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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】建物の電力供給切替システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 9/04 20060101AFI20240618BHJP
   H02B 1/40 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
H02J9/04
H02B1/40 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020102808
(22)【出願日】2020-06-15
(65)【公開番号】P2021197822
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】506122073
【氏名又は名称】エア・ウォーター北海道株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520346860
【氏名又は名称】エア・ウォーター北海道・産業ガス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109472
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 直之
(72)【発明者】
【氏名】中村 好伸
(72)【発明者】
【氏名】二見 悟史
【審査官】栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-003730(JP,A)
【文献】特開2014-096927(JP,A)
【文献】特開平07-161279(JP,A)
【文献】特開2002-188564(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 9/04
H02B 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源から電力が供給される建物に対し、上記建物に供給する電力を、上記商用電源と外部電源とのあいだで切替えを行う建物の電力供給切替システムであって、
上記建物に既設の分電盤に備わった分岐ブレーカに対して上記商用電源を供給する経路に存在し、上記切替えを行うための切替器を備え、
上記切替器は、単相3線式に対応する3極仕様のものであり、第1の入側に上記商用電源が接続され、第2の入側に上記外部電源が接続され、出側に上記分岐ブレーカへの供給線が接続され、
上記外部電源が単相2線式100Vの発電機であり、上記発電機の単相2線が上記切替器の上記第2の入側における第1電圧極と中性極に導通され、
上記切替器の上記第2の入側における第1電圧極と第2電圧極が、渡り配線によって導通され
上記切替器には、上記外部電源との接続を行うためのプラグとアース線とを備えた3芯線のキャブタイヤケーブルが接続され、上記アース線が上記分電盤のアース端子に対して電気的に接続されることにより上記外部電源が接地されている
ことを特徴とする建物の電力供給切替システム。
【請求項2】
上記分電盤に備わったメインブレーカの上流に上記切替器が存在し、上記商用電源と上記切替器のあいだに第1の開閉器を配置した
請求項1記載の建物の電力供給切替システム。
【請求項3】
上記渡り配線は、
上記切替器の上記第2の入側における上記第1電圧極と上記第2電圧極に接続されている
請求項1または2記載の建物の電力供給切替システム。
【請求項4】
上記分電盤に備わったメインブレーカと上記分岐ブレーカのあいだに上記切替器が存在し、
上記外部電源と上記切替器のあいだに第2の開閉器を配置した
請求項1記載の建物の電力供給切替システム。
【請求項5】
上記渡り配線は、
上記第2の開閉器の入側における第1電圧極と第2電圧極に接続されている
請求項4記載の建物の電力供給切替システム。
【請求項6】
上記キャブタイヤケーブルを収納するボックスを備えている
請求項1~5のいずれか一項に記載の建物の電力供給切替システム。
【請求項7】
上記分電盤とは別体のボックスをさらに備え、上記ボックスに上記切替器が収容されている
請求項1~のいずれか一項に記載の建物の電力供給切替システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の電力供給を、商用電力から発電機の電力に切り替えるためのシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地震や台風などの災害が多発したことによる防災意識の高まりから、単相2線式100Vの可搬式ポータブル発電機に対する需要が増えている。
しかし、ポータブル発電機は屋外で発電するため、電気を屋内で使う場合、窓や玄関から延長ケーブルを引き込む必要がある。そうすると、窓や玄関が開きっぱなしになり、防犯面で問題があり、冷暖房の効率も極端に悪くなる。
また、延長ケーブルの電流容量不足やたこ足配線から火災の原因になる可能性がある。さらに、長過ぎる延長ケーブルが、電圧損失による電気機器動作不良の原因になることもある。
ポータブル発電機では、発電した電気を建物内の配電に直接供給できないため、建物の照明器具や換気扇など、コンセントを経由しない電化機器を稼働できなかった。
【0003】
本出願人は、上記のような背景技術に関連する先行技術文献として、下記の特許文献1および2を把握している。
【0004】
特許文献1は、上述した単相2線式100Vの可搬式ポータブル発電機の一例である。
【0005】
特許文献2は、停電時電源切替システムであり、停電時に、商用電源供給ラインと発電機等の外部電源供給ラインとを切替えるシステムに関するものである。
特許文献2には、つぎの記載がある。
[0012]
・・・この停電時電源切替システム1は、発電機3、屋外中継ボックス5、コントロールボックス11、切替装置付き分電盤25、更には、ソーラー電池39が備えられており、発電機3とソーラー電池39とが停電時に稼働させる外部電源となっている。発電機3は搬送式になっており、発電機3を外部電源として使用するときには、専用ケーブル41で屋外中継ボックス5と連結するようになっている。
[0013]
屋外中継ボックス5は、発電機3からの電気を屋内に引き込むためのものである。・・・
[0014]
コントロールボックス11は、発電機3からの電気を安全に供給するためのものである。・・・
[0015]
切替装置付き分電盤25は、・・・さらに、外部電源側と商用電源側との切替装置としての切替レバー37と、発電機側とソーラー側との切替レバー37も同様に窓穴から突出した状態で配列されている。
[0016]
この切替装置付き分電盤25は、既存の商用電源用の分電盤と交換して設置するものである。・・・
[0017]
・・・各電源供給ラインは単相三線式のR相、S相、T相から成っている。S相は接地されており、R相-S相間とT相-S相間はAC100V、R相-T相間はAC200Vとなっているが、この図では、視認の便宜のために、一相分で示している。
[0020]
切替レバー37(図3)の操作により、発電機電源供給ライン43と切替後電源供給ライン63との間か、或いは、商用電源供給ライン47と切替後電源供給ライン63との間が択一的に接続されて導通する。
切替後電源供給ライン63は、専用分電盤55上では、主幹ブレーカ(ノーヒューズブレーカ)33(図4)が接続され、さらに、分岐ブレーカ35(図4)を介して、分岐電源供給ラインが照明やコンセントに電源供給するようになっている。
[0021]
上記したように、切替装置付き分電盤25は、基台27に、商用電源用の既設盤51と専用分電盤55に加えて、外部電源である発電機電源の切替え用に停電時電源切替システム盤53を付加した形で組み立てられており、・・・
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-191331号公報
【文献】特許第5877612号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(1)ポータブル発電機は、二酸化炭素や一酸化炭素を含む排ガスを排出するため、屋外に設置される。一方、災害等で停電したときに建物の内部で電気を使用するケースにおいて、屋外から屋内へ配線する既存の経路がなかった。上述したように窓や玄関から延長ケーブルを仮設して配線する方法もあるが、給電中は常に開けっ放しとなり、防犯上の問題があるうえ、熱暖房の熱が逃げてしまう問題もある。
(2)ポータブル発電機には、1.5kW(100V・15A)を出力する機種がある。発電機のコンセント容量は15Aである。一方、一般に販売されている延長ケーブル(電線太さ1.25sq)では、許容電流が12Aである。許容電流12Aのケーブルに15Aの電流を長時間流すと、延長ケーブルが加熱し、やがて発火や火災に至る危険がある。(3)市販の延長ケーブルは、移動用の仕様ではないため、擦れて絶縁が劣化し、最悪は短絡による火災が生じる危険がある。
(4)ポータブル発電機自体の絶縁が経年的に劣化すると、発電機自体にアースが無ければ、使用者に感電が生じるおそれがある。
(5)ポータブル発電機から1本の延長ケーブルを建物内に引き入れ、建物の内部で複数の電気器具に分配するケースがしばしば行われることが想定される。この場合、タコ足配線にならざるを得ず、火災が発生するリスクが高くなる。
(6)延長ケーブルには電気抵抗がある。たとえば延長ケーブルの長さを20mとすると、単相2線であれば、電圧線と中性線を足した長さは往復で40mになる。電線太さ1.25sq(電気抵抗は16.5Ω/km)の延長ケーブルであれば、20mで電気抵抗は、0.66Ωとなる。これに15Aの電流を流すと電圧損失は9.9Vになり、建物内部で受け取る電圧は約90Vになってしまう。一方、商用電源の最低電圧が95Vに規定されている。このため、90Vでは動作不良を起こす電気機器が生じることも予想される。
(7)上述したように、ポータブル発電機から建物へ延長ケーブルを引き込むと、当然のことながら分電盤を経由しない。このため、ポータブル発電機では、分電盤から直接器具に接続されている照明や換気扇等を稼働することができない。
この深刻な問題をそのまま放置しながら暫定的にポータブル発電機を分電盤に接続することが行われるケースがある。両端がプラグになるように改造した延長コード(通常は他端がコンセント、一端がプラグである)を使用し、建物の主幹ブレーカを切った状態で、両端のプラグをそれぞれポータブル発電機のコンセントと建物のコンセントに差し込むことで、ポータブル発電機から建物の分電盤に給電できる。しかし、停電から復電しかつ発電した状態で、誤って主幹ブレーカをONにすると、ポータブル発電機に過電流が流れ、ポータブル発電機が発火したり、付近一帯の停電を起こすなどの波及事故を生じたりする。また、プラグは電極がむき出しなので、発電状態のポータブル発電機に一端のプラグを挿し込んだ状態で、むき出しの多端側のプラグの電極に触れると感電し、たとえ100Vでも最悪は死亡事故に至る可能性がある。上述した暫定措置は極めて危険である。
【0008】
上記特許文献1は、単相2線式100Vの可搬式ポータブル発電機の一例を開示するもので、上述した各課題を有するものである。
【0009】
上記特許文献2は、停電時に、商用電源供給ラインから発電機等の外部電源供給ラインを切り替えるシステムに関するものである。しかしながら、上記特許文献2では、既存の分電盤を、切替装置付きの分電盤25に交換して設置せねばならない。したがって分電盤の付け替え工事の必要があり、事前にかかるコストが高い。また、単相三線式の電源を想定しており、安価に手に入る単相2線式100Vのポータブル発電機の利用が想定されておらず、高コストである。
【0010】
本発明は上記の課題を解決するため、つぎの目的をもってなされた。
上記建物に既設の分電盤をそのまま活用し、外部電源として安価に手に入る単相2線式100Vのポータブル発電機を利用して商用電源との切替えを安全に行うことができる建物の電力供給切替システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の建物の電力供給切替システムは、上記目的を達成するため、つぎの構成を採用した。
商用電源から電力が供給される建物に対し、上記建物に供給する電力を、上記商用電源と外部電源とのあいだで切替えを行う建物の電力供給切替システムであって、
上記建物に既設の分電盤に備わった分岐ブレーカに対して上記商用電源を供給する経路に存在し、上記切替えを行うための切替器を備え、
上記切替器は、単相3線式に対応する3極仕様のものであり、第1の入側に上記商用電源が接続され、第2の入側に上記外部電源が接続され、出側に上記分岐ブレーカへの供給線が接続され、
上記外部電源が単相2線式100Vの発電機であり、上記発電機の単相2線が上記切替器の上記第2の入側における第1電圧極と中性極に導通され、
上記切替器の上記第2の入側における第1電圧極と第2電圧極が、渡り配線によって導通され
上記切替器には、上記外部電源との接続を行うためのプラグとアース線とを備えた3芯線のキャブタイヤケーブルが接続され、上記アース線が上記分電盤のアース端子に対して電気的に接続されることにより上記外部電源が接地されている。
【0012】
請求項2記載の建物の電力供給切替システムは、請求項1記載の構成に加え、つぎの構成を採用した。
上記分電盤に備わったメインブレーカの上流に上記切替器が存在し、上記商用電源と上記切替器のあいだに第1の開閉器を配置した。
【0013】
請求項3記載の建物の電力供給切替システムは、請求項1または2記載の構成に加え、つぎの構成を採用した。
上記渡り配線は、
上記切替器の上記第2の入側における上記第1電圧極と上記第2電圧極に接続されている。
【0014】
請求項4記載の建物の電力供給切替システムは、請求項1記載の構成に加え、つぎの構成を採用した。
上記分電盤に備わったメインブレーカと上記分岐ブレーカのあいだに上記切替器が存在し、
上記外部電源と上記切替器のあいだに第2の開閉器を配置した。
【0015】
請求項5記載の建物の電力供給切替システムは、請求項4記載の構成に加え、つぎの構成を採用した。
上記渡り配線は、
上記第2の開閉器の入側における第1電圧極と第2電圧極に接続されている。
【0018】
請求項記載の建物の電力供給切替システムは、請求項1~5のいずれか一項に記載の構成に加え、つぎの構成を採用した。
上記キャブタイヤケーブルを収納するボックスを備えている。
【0019】
請求項記載の建物の電力供給切替システムは、請求項1~のいずれか一項に記載の構成に加え、つぎの構成を採用した。
上記分電盤とは別体のボックスをさらに備え、上記ボックスに上記切替器が収容されている。
【発明の効果】
【0020】
請求項1記載の建物の電力供給切替システムは、商用電源から電力が供給される建物に対し、上記建物に供給する電力を、上記商用電源と外部電源とのあいだで切替えを行う建物の電力供給切替システムである。このシステムは、上記建物に既設の分電盤に備わった分岐ブレーカに対して上記商用電源を供給する経路に存在し、上記切替えを行うための切替器を備えている。このため、上記建物に既設の分電盤をそのまま利用して外部電源と商用電源との切替えを行うことができる。従来のように、既存の分電盤を、切替装置付きの特別なものに交換する必要がなく、設備コストや工事コストを抑えることができる。上記切替器は、単相3線式に対応する3極仕様のものである。このため、上記切替器が電灯分電盤に対応したものであり、建物に既設の分電盤を利用することができる。また、上記切替器は、第1の入側に上記商用電源が接続され、第2の入側に上記外部電源が接続され、出側に上記分岐ブレーカへの供給線が接続される。これにより、第1および第2の入側がそれぞれ商用電源と外部電源で、出側が負荷となり、負荷の側から見て商用電源か発電機かを選択しうる構造となる。さらに、上記外部電源が単相2線式100Vの発電機であり、市場で安価に手に入るポータブル発電機を利用でき、低コストに運用できる。そのうえで、上記発電機の単相2線が上記切替器の上記第2の入側における第1電圧極と中性極に導通され、上記切替器の上記第2の入側における第1電圧極と第2電圧極が、渡り配線によって導通されている。これにより、渡り配線という極めて簡単かつ安価な設備により、単相2線式の発電機を単相3線式の分電盤により屋内の電気設備に使用することができる。また、屋外から屋内へ玄関や窓を経由せずに電気を引き込むことができ、防犯上あるいは冷暖房上の問題が生じない。建物に既設の分電盤を利用するため、天井照明や換気設備などを発電機で使用できる。屋外での発電となり、二酸化炭素や一酸化炭素が屋内に入ることによる中毒の危険が生じない。商用電源と発電機が電気的に接続されないので、それを要因とする波及事故や火災が生じない。
また、上記切替器には、上記外部電源との接続を行うためのプラグとアース線とを備えた3芯線のキャブタイヤケーブルが接続され、上記アース線が上記分電盤のアース端子に対して電気的に接続されることにより上記外部電源が接地されている。これにより、外部電源との接続にキャブタイヤケーブルを使用することにより移動電線としての使用が可能となる。また、上記発電機等の外部電源が、上記キャブタイヤケーブルのアース線および分電盤のアース端子を経由して接地されることとなる。これにより、たとえば発電機等の外部電源に経年劣化による絶縁不良が生じたとしても感電事故が防止できる。外部電源へのプラグが屋外で露出したとしても電圧が印加しないので感電事故が防止される。
【0021】
請求項2記載の建物の電力供給切替システムは、上記分電盤に備わったメインブレーカの上流に上記切替器が存在し、上記商用電源と上記切替器のあいだに第1の開閉器を配置した。このため、停電時には、上記第1の開閉器を活用(切る操作)することで、誤操作が起こったときの安全性を確保できる。つまり、仮に、停電から復電したとき、誤って外部電源が電力を供給している最中に、負荷を停止させないで切替器を操作したとしても、上記第1の開閉器が切ってあれば、通電せずに負荷が停止する。このとき、たとえ切替器にアーク放電が発生したとしても、負荷が停止することで、誤操作に気づくことができる。逆に、誤って外部電源が電力を供給しているとき、負荷を停止させずに上記第1の開閉器を入れたとしても、切替器は外部電源側になっているため、商用電源は通電しない。外部電源を停止させると、負荷が停止することで、誤操作に気づくことができる。このように、外部電源から電力を供給する操作の前に、上記第1の開閉器を切る操作を入れることにより、誤操作に対しての安全性が確保できる。
【0022】
請求項3記載の建物の電力供給切替システムは、上記渡り配線が、上記切替器の上記第2の入側における上記第1電圧極と上記第2電圧極に接続されている。これにより、渡り配線という極めて簡単かつ安価な設備により、単相2線式の発電機を単相3線式の分電盤により屋内の電気設備に使用することができる。
【0023】
請求項4記載の建物の電力供給切替システムは、上記分電盤に備わったメインブレーカと上記分岐ブレーカのあいだに上記切替器が存在する。このため、停電時には、既設のメインブレーカを活用(切る操作)することで、誤操作が起こったときの安全性を確保できる。つまり、仮に、停電から復電したとき、誤って外部電源が電力を供給している最中に、負荷を停止させないで切替器を操作したとしても、上記メインブレーカが切ってあれば、通電せずに負荷が停止する。このとき、たとえ切替器にアーク放電が発生したとしても、負荷が停止することで、誤操作に気づくことができる。逆に、誤って外部電源が電力を供給しているとき、負荷を停止させずに上記メインブレーカを入れたとしても、切替器は外部電源側になっているため、商用電源は通電しない。外部電源を停止させると、負荷が停止することで、誤操作に気づくことができる。このように、外部電源から電力を供給する操作の前に、上記メインブレーカを切る操作を入れることにより、誤操作に対しての安全性が確保できる。さらに、上記外部電源と上記切替器のあいだに第2の開閉器を配置した。このため、外部電源側に漏電等の障害が生じたときには、上記第2の開閉器を閉じることで安全性を確保できる。
【0024】
請求項5記載の建物の電力供給切替システムは、上記渡り配線が、上記第2の開閉器の入側における第1電圧極と第2電圧極に接続されている。これにより、渡り配線という極めて簡単かつ安価な設備により、単相2線式の発電機を単相3線式の分電盤により屋内の電気設備に使用することができる。
【0027】
請求項記載の建物の電力供給切替システムは、上記キャブタイヤケーブルを収納するボックスを備えている。たとえば上記ボックスを屋外に配置すれば、屋外のボックスにプラグ付きのキャブタイヤケーブルを収納し、いつでも容易に屋外の外部電源を接続できる。
【0028】
請求項記載の建物の電力供給切替システムは、上記分電盤とは別体のボックスをさらに備え、上記ボックスに上記切替器が収容されている。
上記切替器を屋外に配置することができ、屋外に配置した外部電源から容易に電源の供給を受けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の建物の電力供給切替システムの第1実施形態を示す構成図である。
図2】本発明の第2実施形態を示す構成図である。
図3】本発明の第3実施形態を示す構成図である。
図4】本発明の第4実施形態を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
つぎに、本発明を実施するための形態を説明する。
【0031】
◆第1実施形態
図1は、本発明の建物の電力供給切替システムの第1実施形態を示す構成図である。
【0032】
〔全体構成〕
本実施形態の建物の電力供給切替システムは、商用電源1から電力が供給される建物2に対し、上記商用電源1と外部電源20とのあいだで、上記建物2に供給する電力の切替えを行うものである。このシステムには、上記切替えを行うための切替器30を備えている。上記切替器30は、上記建物2に既設の分電盤10に備わった分岐ブレーカ12に対して上記商用電源1を供給する経路に存在する。
【0033】
具体的には、この例では、上記切替器30が、上記商用電源10の電力をカウントする電力メータ1Aと、上記電力メータ1Aを経由して供給される電力を分岐するための分電盤10とのあいだに設けられる。
【0034】
上記切替器30は、もともと上記電力メータ1Aを経由して分電盤10に電力を供給する経路1B(図において破線で示す)を切断し、上記電力メータ1Aと分電盤10のあいだに存在するよう接続されたものである。このような構造を採用することにより、既設の分電盤10を備えた建物2において屋内施工を行わず、屋外施工だけで本実施形態の切替システムを適用することができる。
【0035】
上記切替器30には、上記分電盤10に供給する電力を、上記商用電源1と上記外部電源20で切り替えることができるよう、上記分電盤10、上記商用電源1および上記外部電源20が接続される。
【0036】
〔商用電源1〕
上記商用電源1は、電力会社から供給される100V/200V単相3線式の交流電源である。上記商用電源1は、上記電力メータ1Aを経由して分電盤10に供給され、上記分電盤10において各分岐ブレーカ12に分岐される。
【0037】
〔外部電源20〕
上記外部電源20は、単相2線式100Vの発電機20Aである。上記発電機20Aは、この例ではLPガス発電機であり、LPガスボンベ21からガスメータ22およびガス供給ボックス23を経由して供給されるLPガスにより、エンジンを駆動することにより発電する。上記外部電源20としては、LPガス発電機だけでなく、ガソリンエンジン発電機や軽油エンジン発電機等を使用することができる。
【0038】
上記発電機20Aは、アース極を備えた3極仕様のプラグ37Aによって電力が取り出される。
【0039】
〔分電盤10〕
上記分電盤10は、建物2に既設のものであり、上述したように、上記電力メータ1Aを経由して供給される商用電源を、メインブレーカ11を経由して各分岐ブレーカ12に分岐する。上記メインブレーカ11は、規定以上の電気が流れると遮断するブレーカである。上記メインブレーカ11は、各分岐ブレーカ12側に発生した漏電を検知すると遮断する漏電ブレーカとしても機能する。上記各分岐ブレーカ12は、建物の照明やコンセント等に電力を供給し、規定以上の電気が流れると遮断する安全ブレーカである。また、上記分電盤10は、電気を接地するための第1アース端子13を備えている。
【0040】
〔切替器30〕
上記切替器30は、上記分電盤10とは別体の切替ボックス50内に収容されている。上記切替ボックス50は、建物2の外(つまり屋外)に配置されている。したがって、上記分電盤10は建物2の屋内に配置され、上記電力メータ1Aと上記切替ボックス50が建物2の屋外に配置されている。
【0041】
上記切替器30は、単相3線式に対応する3極仕様のものである。第1の入側31と第2の入側32、および出側33を有し、第1の入側31と第2の入側32にそれぞれ接続された電源を切換えて出側33に出力するようになっている。
【0042】
上記第1の入側31に上記商用電源1が接続され、第2の入側32に上記外部電源20が接続される。出側33に上記分岐ブレーカ12への供給線12Aが接続される。これにより、上記分岐ブレーカ12に供給する電力を、上記商用電源1と上記外部電源20とのあいだで切り替えるようになっている。
【0043】
上記第1の入側31では、その第1電圧極、第2電圧極および中性極が、単相3線式の商用電源1に対応して接続される。上記第2の入側32には、上述した単相2線式100Vの発電機20Aが接続される。すなわち、上記発電機20Aは、上記切替器30の上記第2の入側32における第1電圧極32Aと中性極32Cに接続される。そして、上記切替器30は、上記第2の入側32における第1電圧極32Aと第2電圧極32Bが、渡り配線35によって接続されている。
【0044】
〔第1の開閉器41〕
上述したように、上記切替器30は、上記分電盤10に備わったメインブレーカ11の上流に存在している。そして、本実施形態では、上記商用電源1と上記切替器30のあいだに、第1の開閉器41を配置している。上記第1の開閉器41は、規定以上の電気が流れると遮断するブレーカを用いることができる。また、上記分電盤10において電力会社が取り付けるサービスブレーカ(リミッター)を移設して使用することもできる。
【0045】
〔キャブタイヤケーブル37〕
上記切替器30には、上記外部電源20との接続を行うためのキャブタイヤケーブル37が接続される。上記キャブタイヤケーブル37は、アース線を備えた3芯線であり、上述したアース極を備えた3極仕様のプラグ37Aを先端に備え、上記プラグ37Aによって上記発電機20Aから電力を取り出すようになっている。
【0046】
上記キャブタイヤケーブル37はケーブルボックス55に収納される。上記ケーブルボックス55は、上述した切替ボックス50に隣接して屋外に配置される。
【0047】
上記ケーブルボックス55の内部には、接続端子56と第2アース端子57が設けられている。
【0048】
上記接続端子56には、上記キャブタイヤケーブル37の3芯線のうちアース線38以外の電圧線39が接続される。上記電圧線39は、上記接続端子56を介し、上述したように、上記切替器30の上記第2の入側32における第1電圧極32Aと中性極32Cに接続される。
【0049】
第2アース端子57には、上記キャブタイヤケーブル37の3芯線のうちアース線38が接続される。上記第2アース端子57は、上述した上記分電盤10の第1アース端子13に接続され、上記第1アース端子13が電気的に接地される。これにより、上記発電機20Aのケースが、上記キャブタイヤケーブル37、第2アース端子57、第1アース端子13を経由して接地されることになる。
【0050】
〔第1実施形態の効果〕
上記第1実施形態によれば、つぎの作用効果を奏する。
【0051】
本実施形態の建物の電力供給切替システムは、商用電源1から電力が供給される建物2に対し、上記建物2に供給する電力を、上記商用電源1と外部電源20とのあいだで切替えを行う建物2の電力供給切替システムである。このシステムは、上記建物2に既設の分電盤10に備わった分岐ブレーカ12に対して上記商用電源1を供給する経路に存在し、上記切替えを行うための切替器30を備えている。このため、上記建物2に既設の分電盤10をそのまま利用して外部電源20と商用電源1との切替えを行うことができる。従来のように、既存の分電盤10を、切替装置付きの特別なものに交換する必要がなく、設備コストや工事コストを抑えることができる。上記切替器30は、単相3線式に対応する3極仕様のものである。このため、上記切替器30が電灯分電盤に対応したものであり、建物に既設の分電盤10を利用することができる。また、上記切替器30は、第1の入側31に上記商用電源1が接続され、第2の入側32に上記外部電源20が接続され、出側33に上記分岐ブレーカ12への供給線が接続される。これにより、第1および第2の入側31、32がそれぞれ商用電源1と外部電源20で、出側33が負荷となり、負荷の側から見て商用電源1か外部電源20かを選択しうる構造となる。さらに、上記外部電源20が単相2線式100Vの発電機20Aであり、市場で安価に手に入るポータブル発電機を利用でき、低コストに運用できる。そのうえで、上記発電機20Aが上記切替器30の上記第2の入側32における第1電圧極32Aと中性極32Cに接続され、上記切替器30は、上記第2の入側32における第1電圧極32Aと第2電圧極32Bが、渡り配線35によって接続されている。これにより、渡り配線35という極めて簡単かつ安価な設備により、単相2線式の発電機20Aを単相3線式の分電盤10に接続して屋内の電気設備を使用することができる。また、屋外から屋内へ玄関や窓を経由せずに電気を引き込むことができ、防犯上あるいは冷暖房上の問題が生じない。建物2に既設の分電盤10を利用するため、天井照明や換気設備などを発電機20Aで使用できる。屋外での発電となり、二酸化炭素や一酸化炭素が屋内に入ることによる中毒の危険が生じない。商用電源1と発電機20Aが電気的に接続されないので、それを要因とする波及事故や火災が生じない。
【0052】
本実施形態の建物の電力供給切替システムは、上記分電盤10に備わったメインブレーカ11の上流に上記切替器30が存在し、上記商用電源1と上記切替器30のあいだに第1の開閉器41を配置した。このため、停電時には、上記第1の開閉器41を活用(切る操作)することで、誤操作が起こったときの安全性を確保できる。つまり、仮に、停電から復電したとき、誤って外部電源20が電力を供給している最中に、負荷を停止させないで切替器30を操作したとしても、上記第1の開閉器41が切ってあれば、通電せずに負荷が停止する。このとき、たとえ切替器30にアーク放電が発生したとしても、負荷が停止することで、誤操作に気づくことができる。逆に、誤って外部電源20が電力を供給しているとき、負荷を停止させずに上記第1の開閉器41を入れたとしても、切替器30は外部電源側になっているため、商用電源1は通電しない。外部電源20を停止させると、負荷が停止することで、誤操作に気づくことができる。このように、外部電源20から電力を供給する操作の前に、上記第1の開閉器41を切る操作を入れることにより、誤操作に対しての安全性が確保できる。
【0053】
本実施形態の建物の電力供給切替システムは、上記切替器30には、上記外部電源20との接続を行うためのキャブタイヤケーブル37が接続されている。これにより、外部電源20との接続にキャブタイヤケーブル37を使用し、移動電線としての使用が可能となる。
【0054】
本実施形態の建物の電力供給切替システムは、上記キャブタイヤケーブル37がアース線38を備えた3芯線であり、上記アース線38が接地されている。これにより、外部電源20が接地されることとなり、たとえば発電機等の外部電源に経年劣化による絶縁不良が生じたとしても感電事故が防止できる。外部電源20へのプラグ37Aが屋外で露出したとしても電圧が印加しないので感電事故が防止される。
【0055】
本実施形態の建物の電力供給切替システムは、上記キャブタイヤケーブル37を収納するケーブルボックス55を備えている。たとえば上記ケーブルボックス55を屋外に配置すれば、屋外のケーブルボックス55にプラグ付きのキャブタイヤケーブル37を収納し、いつでも容易に屋外の外部電源を接続できる。
【0056】
本実施形態の建物の電力供給切替システムは、上記分電盤10とは別体の切替ボックス50をさらに備え、上記切替ボックス50に上記切替器30が収容されている。
上記切替器30を屋外に配置することができ、屋外に配置した外部電源20から容易に電源の供給を受けることができる。
なお、上記切替ボックス50を屋内に配置し、ケーブルボックス55を屋外に配置することもできる。
【0057】
◆第2実施形態
図2は、本発明の第2実施形態を説明する構成図である。
【0058】
この例は、上記分電盤10において電力会社が取り付けるサービスブレーカ(リミッター)をそのまま第1の開閉器41として利用した例である。
【0059】
つまり、電力会社が取り付けるサービスブレーカ(リミッター)からメインブレーカ11への供給線を切断し、そこに上述した切替器30を接続したものである。また、この例では、キャブタイヤケーブル37の電圧線39が接続端子56を経由せずに直接切替器30に接続されている。また、この例では、切替ボックス50とケーブルボックス55が一体化している。それ以外は第1実施形態と同様であり、同様の部分にはおなじ符号を付して説明を省略した。
【0060】
〔第2実施形態の効果〕
本実施形態の建物の電力供給切替システムは、上記分電盤10に備わったサービスブレーカ(リミッター)をそのまま第1の開閉器41として利用し、第1の開閉器41と上記分岐ブレーカ12のあいだに上記切替器30が存在する。このため、停電時には、既設の第1の開閉器41を活用(切る操作)することで、誤操作が起こったときの安全性を確保できる。つまり、仮に、停電から復電したとき、誤って外部電源20が電力を供給している最中に、負荷を停止させないで切替器30を操作したとしても、上記第1の開閉器41が切ってあれば、通電せずに負荷が停止する。このとき、たとえ切替器30にアーク放電が発生したとしても、負荷が停止することで、誤操作に気づくことができる。逆に、誤って外部電源20が電力を供給しているとき、負荷を停止させずに上記第1の開閉器41を入れたとしても、切替器30は外部電源側になっているため、商用電源は通電しない。外部電源20を停止させると、負荷が停止することで、誤操作に気づくことができる。このように、外部電源20から電力を供給する操作の前に、上記第1の開閉器41を切る操作を入れることにより、誤操作に対しての安全性が確保できる。さらに、上記外部電源20と上記切替器30のあいだに第2の開閉器(過電流漏電ブレーカー)42を配置した。このため、外部電源20側に漏電等の障害が生じたときには、上記第2の開閉器(過電流漏電ブレーカー)42を閉じることで安全性を確保できる。
それ以外は、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0061】
◆第3実施形態
図3は、本発明の第3実施形態を説明する構成図である。
【0062】
この例は、電力会社のサービスブレーカ(リミッター)がない分電盤10において、上記分電盤10に備わったメインブレーカ11と上記分岐ブレーカ12のあいだに上記切替器30を存在させた例である。つまり、メインブレーカ11から分岐ブレーカ12への供給線を切断し、そこに上述した切替器30を接続したものである。
【0063】
そして、上記外部電源20と上記切替器30のあいだに第2の開閉器(過電流漏電ブレーカー)42を配置している。上記第2の開閉器(過電流漏電ブレーカー)42は、規定以上の電気が流れると遮断するブレーカを用いることができる。また、上記第2の開閉器(過電流漏電ブレーカー)42は、分岐ブレーカ12側に発生した漏電を検知して遮断する漏電ブレーカとしても機能する。上記第2の開閉器(過電流漏電ブレーカー)42は、この例では切替ボックス50内に収容されている。この例では、切替ボックス50とケーブルボックス55が一体化して屋外に配置されている。上記第2の開閉器(過電流漏電ブレーカー)42は単相2線式に対応した使用であり、上記接続端子56と接続される。これにより、上記キャブタイヤケーブル37の3芯線のうちアース線38以外の電圧線39が、上記接続端子56、上記第2の開閉器(過電流漏電ブレーカー)42を経由して、上述したように、上記切替器30の上記第2の入側32における第1電圧極32Aと中性極32Cに接続される。それ以外は第1実施形態と同様であり、同様の部分にはおなじ符号を付して説明を省略した。なお、本実施形態において、切替ボックス50とケーブルボックス55を別体とし、切替ボックス50を屋内に、ケーブルボックス55を屋外に配置することもできる。
【0064】
〔第3実施形態の効果〕
本実施形態の建物の電力供給切替システムは、上記分電盤10に備わったメインブレーカ11と上記分岐ブレーカ12のあいだに上記切替器30が存在する。このため、停電時には、既設のメインブレーカ11を活用(切る操作)することで、誤操作が起こったときの安全性を確保できる。つまり、仮に、停電から復電したとき、誤って外部電源20が電力を供給している最中に、負荷を停止させないで切替器30を操作したとしても、上記メインブレーカ11が切ってあれば、通電せずに負荷が停止する。このとき、たとえ切替器30にアーク放電が発生したとしても、負荷が停止することで、誤操作に気づくことができる。逆に、誤って外部電源20が電力を供給しているとき、負荷を停止させずに上記メインブレーカ11を入れたとしても、切替器30は外部電源側になっているため、商用電源は通電しない。外部電源20を停止させると、負荷が停止することで、誤操作に気づくことができる。このように、外部電源20から電力を供給する操作の前に、上記メインブレーカ(過電流漏電ブレーカ)11を切る操作を入れることにより、誤操作に対しての安全性が確保できる。さらに、上記外部電源20と上記切替器30のあいだに第2の開閉器(過電流漏電ブレーカー)42を配置した。このため、外部電源20側に漏電等の障害が生じたときには、上記第2の開閉器(過電流漏電ブレーカー)42を閉じることで安全性を確保できる。
それ以外は、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0065】
◆第4実施形態
図4は、本発明の第4実施形態を説明する構成図である。
【0066】
この例は、上記第3実施形態と同様に、電力会社のサービスブレーカ(リミッター)がない分電盤10において、上記分電盤10に備わったメインブレーカ11と上記分岐ブレーカ12のあいだに上記切替器30を存在させた例である。つまり、メインブレーカ11から分岐ブレーカ12への供給線を切断し、そこに上述した切替器30を接続し、上記外部電源20と上記切替器30のあいだに第2の開閉器(過電流漏電ブレーカー)42を配置したものである。
【0067】
この例は、上記渡り配線35を配置する位置が第3実施形態と異なっている。上記第3実施形態では、上記渡り配線35が、上記切替器30の上記第2の入側32における第1電圧極32Aと第2電圧極32Bを接続している。
【0068】
これに対し、この第4実施形態では、上記第2の開閉器(過電流漏電ブレーカー)42は単相3線式に対応した使用であり、上記接続端子56と接続される。このとき、上記キャブタイヤケーブル37の3芯線のうちアース線38以外の電圧線39が、上記接続端子56を経由して上記第2の開閉器(過電流漏電ブレーカー)42の入側における第2電圧極43Bと中性極43Cに接続される。上記渡り配線35は、上記第2の開閉器(過電流漏電ブレーカー)42の入側における第1電圧極43Aと第2電圧極43Bに接続される。上記第2の開閉器(過電流漏電ブレーカー)42の出側における第1電圧極44A、第2電圧極44B、中性極44Cは、それぞれ切替器30の第2の入側32における第1電圧極32A、第2電圧極32B、中性極32Cに接続される。それ以外は上記第3実施形態と同様であり、同様の部分にはおなじ符号を付して説明を省略した。
【0069】
〔第4実施形態の効果〕
本実施形態の建物の電力供給切替システムは、渡り配線35という極めて簡単かつ安価な設備により、単相2線式の発電機20Aを単相3線式の分電盤10により屋内の電気設備に使用することができる。それ以外は、第3実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0070】
◆まとめ
各実施形態は、つぎのような特徴を備えている。
窓や玄関の配線ルートを避けるため、事前に屋外の発電機の近くに切換ボックス50を設け、発電機20Aの容量、および電圧損失を防ぐ屋外仕様のキャブタイヤケーブル37と先端に発電機20Aのコンセントと合致するプラグ37Aを用意する。
移動電線仕様のキャブタイヤケーブル37とすることにより移動電線としての使用を可能とした。
発電最大電流容量および電圧損失を加味したケーブル太さを選定する。これにより加熱問題が解決するとともに電圧損失も許容範囲に納めることができる。
発電機20Aへの電線にアース付きのプラグ37Aを使用する。キャブタイヤケーブル37は3芯線(100V2本とアース線)とする。
切替ボックス50から分電盤10近くまでCVケーブルなどで配線し、切替器30を経由して分電盤10へ接続する。
切替器30は電灯分電盤に対応するため3極として、単相3線に対応する仕様とする。
【0071】
切替器30は入側が第1の入側31と第2の入側32の2つ、出側33が1つの機器で、出側33は負荷、第1の入側31と第2の入側32はそれぞれ商用電源1と発電機20Aとなり、負荷側から見て、商用電源1か発電機20Aかを選択する。
ポータブル発電機20Aは単相2線100Vで電線の本数は2本となっている。一方、分電盤10は単相3線100/200Vの3本となっており本数が合わない。そこで負荷側の使用を単相100Vのみに限定し、発電機20AのN相(中性極・白色)を切替器30のN相(中性極32C・白色)に接続する。発電機20AのU相(充電線・黒色)を切替器30のU相(第1電圧極32A・黒色)に接続する。切替器30のU相(第1電圧極32A・黒色)とW相(第2電圧極32B・赤色)を渡り配線35で接続する。切替ボックス50の端子台側でU相(第1電圧極32A・黒色)とW相(第2電圧極32B・赤色)を渡り配線35で接続してもよい。
この方法を取ることにより建物2の分電盤10を活かすことができる。ただしIH、電気温水器、大型エアコンなどの単相200V電気器具は使えない。
【0072】
屋外で露出しているプラグ37Aは電圧が印加されないので感電しない。
商用電源1と発電機20Aが電気的に接続されないので波及事故がない。発電機火災が生じない。
発電機20Aが屋外で稼働するため、二酸化炭素・一酸化炭素の問題がなく、中毒死も生じない。
屋外から屋内へ窓・玄関を経由せずに電気を引き込むので、防犯・暖房冷房の問題が生じない。
単相3線式の分電盤10を活用できるので、天井照明や換気設備などがそのまま使える。
発電機20Aはアースされるので、経年絶縁劣化した発電機20Aに触れても感電しない。
渡り配線35により、非常に簡単かつ安価に単相2線を単相3線へと変えることができる。
分電盤10から切替器30、切替ボックス50を経由して発電機20Aまで接地アースされる。
屋外のケーブルボックス55にプラグ37A付きのキャブタイヤケーブル37を収納できる。
【0073】
◆変形例
以上は本発明の特に好ましい実施形態について説明したが、本発明は図示した実施形態に限定する趣旨ではなく、各種の態様に変形して実施することができ、本発明は各種の変形例を包含する趣旨である。
【0074】
たとえば、各実施形態(図1図4)において一点鎖線で示したように、屋外のケーブルボックス55内の第2アース端子57から大地に接地させるようにアースを施工することもできる。
【符号の説明】
【0075】
1:商用電源
1A:電力メータ
1B:経路
2:建物
10:分電盤
11:メインブレーカ
12:分岐ブレーカ
12A:供給線
13:第1アース端子
20:外部電源
20A:発電機
21:LPガスボンベ
22:ガスメータ
23:ガス供給ボックス
30:切替器
31:第1の入側
32:第2の入側
32A:第1電圧極
32B:第2電圧極
32C:中性極
33:出側
35:渡り配線
37:キャブタイヤケーブル
37A:プラグ
38:アース線
39:電圧線
41:第1の開閉器
42:第2の開閉器(過電流漏電ブレーカー)
43A:第1電圧極
43B:第2電圧極
43C:中性極
44A:第1電圧極
44B:第2電圧極
44C:中性極
50:切替ボックス
55:ケーブルボックス
56:接続端子
57:第2アース端子
図1
図2
図3
図4