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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】テープ切断装置及び表面実装機
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
H05K13/02 B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020118957
(22)【出願日】2020-07-10
(65)【公開番号】P2022015842
(43)【公開日】2022-01-21
【審査請求日】2022-12-12
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】豊田 稔
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-125417(JP,A)
【文献】実開昭53-140190(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
B26D 1/00- 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープを2枚の刃により切断するテープ切断装置であって、
第1刃と、
前記第1刃に対して接離方向である第1方向に往復移動する第2刃と、を含み、
前記第2刃は、3以上の分割刃を含み、
3以上の前記分割刃は、前記第1方向と直交する第2方向に並び、
3以上の前記分割刃は、前記第2方向に対して刃先が傾斜しており、
前記分割刃は、平面視で四角形であり、隣り合う2辺に刃先を有する、テープ切断装置。
【請求項2】
3以上の前記分割刃は、刃先と前記第2方向とがなす傾斜角度がそれぞれ等しい、請求項1に記載のテープ切断装置。
【請求項3】
3以上の前記分割刃は、隣り合う前記分割刃と端部同士が線接触又は面接触する、請求項1又は請求項2に記載のテープ切断装置。
【請求項4】
前記分割刃は、同じ形状かつ同じ大きさである、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のテープ切断装置。
【請求項5】
テープを2枚の刃により切断するテープ切断装置であって、
第1刃と、
前記第1刃に対して接離方向である第1方向に往復移動する第2刃と、を含み、
前記第2刃は、3以上の分割刃を含み、
3以上の前記分割刃は、前記第1方向と直交する第2方向に並び、
3以上の前記分割刃は、前記第2方向に対して刃先が傾斜しており、
前記分割刃は、平面視で四角形であり、対向する2辺に刃先を有する、テープ切断装置。
【請求項6】
テープを2枚の刃により切断するテープ切断装置であって、
第1刃と、
前記第1刃に対して接離方向である第1方向に往復移動する第2刃と、を含み、
前記第2刃は、3以上の分割刃を含み、
3以上の前記分割刃は、前記第1方向と直交する第2方向に並び、
3以上の前記分割刃は、前記第2方向に対して刃先が傾斜しており、
前記第2刃の複数の前記分割刃は、平面視で四角形であって同一形状かつ同じ大きさであり、さらに、刃先と前記第2方向とがなす傾斜角度がそれぞれ等しくなるように傾いた状態で前記第2方向に並んでおり、
前記第2方向に並ぶ複数の前記分割刃の前記第1刃側の第1頂点は、前記第2方向に平行な第1直線上にあり、前記第1頂点と逆側の第2頂点は、前記第1直線に対して平行な第2直線上にある、テープ切断装置。
【請求項7】
前記第1刃は、前記第2方向に一続きに延びる一枚の板状の刃である、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のテープ切断装置。
【請求項8】
テープを2枚の刃により切断するテープ切断装置であって、
第1刃と、
前記第1刃に対して接離方向である第1方向に往復移動する第2刃と、を含み、
前記第2刃は、3以上の分割刃を含み、
3以上の前記分割刃は、前記第1方向と直交する第2方向に並び、
3以上の前記分割刃は、前記第2方向に対して刃先が傾斜しており、
前記第1刃は、3以上の分割刃を含み、
前記第1刃の3以上の前記分割刃は、前記第1方向と直交する前記第2方向に並び、
前記第1刃の3以上の前記分割刃は、前記第2方向に対して刃先が傾斜している、テープ切断装置。
【請求項9】
前記第1刃の3以上の前記分割刃の前記第2方向に対する傾斜は、前記第2刃の3以上の前記分割刃の前記第2方向に対する傾斜に対して逆向きの傾斜である、請求項8に記載のテープ切断装置。
【請求項10】
部品供給後の空になったキャリアテープを切断する、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のテープ切断装置を備える、表面実装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ切断装置及び表面実装機に関する。
【背景技術】
【0002】
表面実装機にはテープフィーダが備えられており、電子部品を取り出した後の空テープがテープフィーダから排出されるようになっている。排出された空テープは、テープ切断装置によって適切な長さに切断され、ダストボックスへ逐次収納される。テープ切断装置は、固定刃と、固定刃に対して平行移動しながら接離する可動刃とを有しており、空テープを固定刃と可動刃により挟み込み、空テープを切断する装置である。
【0003】
特許文献1に開示された構成では、一方の刃は、刃の長手方向に向かうにしたがって刃幅が漸次変化する形状となっている。これにより、固定刃と可動刃とが角度を付けて斜めに交差し、切断の確実性を高めることができる、とのことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-158661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、可動刃に角度を付けようとすると、可動刃が接離方向に大きくなるため、可動刃の大型化を抑制することが課題となる。また、固定刃に角度を付けた場合や、2つの刃にともに角度を付けた場合も同様の課題がある。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、固定刃と可動刃とを斜めに交差させて空テープ切断の確実性を高めつつ、装置の大型化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために本明細書によって開示される技術は、テープを2枚の刃により切断するテープ切断装置であって、第1刃と、前記第1刃に対して接離方向である第1方向に往復移動する第2刃と、を含み、前記第2刃は、3以上の分割刃を含み、3以上の前記分割刃は、前記第1方向と直交する第2方向に並び、3以上の前記分割刃は、前記第2方向に対して刃先が傾斜している。
【0008】
また、本明細書によって開示される技術は、前記テープ切断装置を備える表面実装機である。
【0009】
このような構成のテープ切断装置又は表面実装機では、分割刃を第2方向に並べて配置しているので、第2刃が第1方向に大型化することを抑制できる。また、分割刃は、刃先が傾斜しているので、刃先が傾斜していない場合に比べて小さな力でテープを切断することができ、切断の確実性を高めることができる。
【0010】
また、本明細書によって開示されるテープ切断装置において、3以上の前記分割刃は、刃先の傾斜角度がそれぞれ等しくてもよい。
【0011】
このような構成では、どの分割刃でも同じ力でテープを切断することができる。
【0012】
また、本明細書によって開示されるテープ切断装置において、3以上の前記分割刃は、隣り合う前記分割刃と端部同士が線接触又は面接触してもよい。
【0013】
このような構成では、分割刃を第2方向に並べて配置する際の位置合わせを容易にしつつ、切断の確実性の低下を抑制することができる。
【0014】
また、本明細書によって開示されるテープ切断装置において、前記分割刃は、同じ形状かつ同じ大きさであってもよい。
【0015】
このような構成では、第2刃を構成する分割刃は1種類のみで済むため、交換用の分割刃を複数種類準備する必要がなく、メンテナンス性が良好になる。
【0016】
また、本明細書によって開示されるテープ切断装置において、前記分割刃は、平面視で四角形であり、隣り合う2辺に刃先を有してもよい。
【0017】
このような構成では、テープ切断時において、隣り合う2辺の刃先に負荷を分散させることができるので、切断時の負荷を低減することができる。
【0018】
また、本明細書によって開示されるテープ切断装置において、前記分割刃は、平面視で四角形であり、対向する2辺に刃先を有してもよい。
【0019】
このような構成では、一方の刃先が破損した場合、分割刃の向きをひっくり返すことで、もう一方の刃先を利用できるため、分割刃の交換頻度を下げることができる。
【0020】
また、本明細書によって開示されるテープ切断装置において、3以上の前記分割刃は、第2刃の刃先が凹凸を繰り返し形成するように配置されてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、装置の大型化を抑制しつつ、テープ切断の確実性を高めたテープ切断装置、及び表面実装機を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態1に係る表面実装機の平面図
図2】部品供給装置及びテープ切断装置の斜視図
図3】テープ切断装置の斜視図
図4】部品供給装置及びテープ切断装置の内部構造を示す断面図
図5】第1刃及び第2刃の構成を示す平面図
図6】第2刃の構成を示す斜視図
図7】実施形態2に係る第1刃及び第2刃の構成を示す平面図
図8】他の実施形態(3)に係る第1刃及び第2刃の構成を示す平面図
図9】他の実施形態(5)に係る第1刃及び第2刃の構成を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
<実施形態1>
本明細書に開示された技術の1の実施形態を、実施形態1として図1から図6を参照して説明する。
【0024】
本実施形態では、部品Cをプリント基板P上に実装する表面実装機10を例示している。表面実装機10は、図1から図4に示すように、平面視略矩形状の基台11と、基台11上にプリント基板Pを搬送する搬送コンベア12と、プリント基板P上に部品Cを実装する部品実装装置13と、部品実装装置13に部品Cを供給する部品供給装置14と、部品供給装置14から排出される空テープTを切断するテープ切断装置30と、を備えて構成されている。
【0025】
なお、以下の説明において、基台11の長手方向(図1の左右方向)をX方向、基台11の短手方向(図1の上下方向)をY方向、図2の上下方向をZ方向とする。
【0026】
基台11には、搬送コンベア12、部品実装装置13、テープ切断装置30等が配置されている。
【0027】
搬送コンベア12は、図1に示すように、基台11の長手方向(X方向)の略中央部に配されており、プリント基板Pを図1中の右方(上流)から左方(下流)に向かって搬送する。搬送コンベア12には、プリント基板Pが架設するようにセットされる。プリント基板Pは、搬送コンベア12によって上流から基台11のX方向略中央部の部品実装位置に搬入され、部品Cが実装された後、下流に搬出される。
【0028】
部品供給装置14は、図1に示すように、搬送コンベア12のY方向両側においてX方向に沿って2つずつ、合計4箇所に配置されている。各部品供給装置14には、図2に示すように複数のフィーダ15がX方向に整列した状態で取り付けられている。
【0029】
部品実装装置13は、図1に示すように、基台11上に配置された複数のフレーム16に支持されたヘッドユニット17と、ヘッドユニット17を移動させる複数の駆動装置18とを備えて構成されている。
【0030】
複数の駆動装置18は、Y方向に延びるフレーム16やX方向に延びるフレーム16等に取り付けられており、複数の駆動装置18が通電制御されることにより、ヘッドユニット17が基台11上をXY方向に移動するようになっている。
【0031】
ヘッドユニット17には、図1に示すように、部品Cの保持及び実装を行う実装ヘッド19がX方向に複数並んで搭載されている。各実装ヘッド19は、部品供給装置14から供給される部品Cを吸着して保持し、プリント基板P上に実装するようになっている。
【0032】
テープ切断装置30は、空テープTを所定の長さに切断するものであって、図2に示すように、部品供給装置14が有するフィーダ15の下方に配置されている。
【0033】
フィーダ15は、複数の部品Cが収容された部品供給テープT1を保持している。図4に示すように、部品供給テープT1は、平坦なシート状をなすカバーテープT3と、上方に開口した部品収納部を一定間隔おきに有するキャリアテープT2と、表面実装用の電子部品である部品Cからなる。部品収納部には、部品Cが1つずつ収納されている。キャリアテープT2の上面には、部品収納部を閉止するように、カバーテープT3が貼着されている。以下、本明細書においては、部品供給テープT1からカバーテープT3を剥がし、部品収納部から部品Cを取り除いた後に残るキャリアテープT2を、空テープTと表記する。
【0034】
図4に示すように、フィーダ15は、スプロケット21と、送りモータ22と、これら各構成品が装着される基部23と、を有している。送りモータ22の動力は、ギヤ群24により伝達されてスプロケット21を回転させる。スプロケット21の外周には、キャリアテープT2(空テープT)の係合孔と係合する歯が等間隔で形成されており、スプロケット21を回転させると、部品供給テープTが送出されるようになっている。基部23はY方向に長い形状をしており、後方(-Y方向)には部品供給テープT1を巻回したリール(図示しない)が固定されている。基部23の上面部は、リールから引き出された部品供給テープT1のテープ通路となっている。フィーダ15は、搬送コンベア12側の端部から部品供給テープT1に収容された部品Cを実装ヘッド19に供給し、部品Cが取り出されて空になった空テープTを下方に向けて排出する。
【0035】
そして、部品Cが取り出された後の空テープTは、図4に示すように、シュートSを通って、フィーダ15の下部に案内される。シュートSの出口には、テープ切断装置30が取り付けられている。
【0036】
テープ切断装置30は、表面実装機10の基台11上に載置されており、図3及び図4に示すように、シュートSの出口のすぐ下に配される第1刃31及び第2刃32と、シリンダ33と、基部36と、を有している。
【0037】
シリンダ33は、図4に示すように、Y方向に往復運動が可能なロッド33Aを有している。ロッド33Aの前端は可動台35に固定されており、可動台35の上部には可動板34が、そして、可動板34の上面には第2刃32がそれぞれ固定されている。そのため、可動台35、可動板34、及び第2刃32はロッド33Aと一体的に変位する。
【0038】
具体的には、シリンダ33を作動させてロッド33AをY方向(第1方向の一例)に往復移動させると、可動台35、及び可動板34を介して第2刃32がY方向に往復移動する。すなわち、シリンダ33を作動させることで、第2刃32を第1刃31に対してY方向(第1方向)に接離させることができる。なお、図4において、ロッド33Aが最も後方(-Y方向)まで後退したときの第2刃32等の位置(以下、後退位置という)を実線で、ロッド33Aが最も前方(+Y方向)に突出したときの第2刃32等の位置(以下、前進位置という)を2点鎖線で、それぞれ表している。前進位置においては、第2刃32の上面と第1刃31の下面は当接しており、第2刃32が第1刃31の下方に潜り込んでいる。また、第2刃32が後退位置から前進位置まで移動する過程においては、第1刃31の刃先31Aと、第2刃32の刃先32Aが、平面視方向から見て斜めに交差する。
【0039】
第1刃31は、図3から図5に示すように、X方向に一続きに延びる1枚の板状の刃である。第1刃31は、基部36の上方にボルト等で固定されており、基部36に対して変位しないようになっている。第1刃31は平面視方向に見て矩形であり、第2刃32の側に配される辺には直線状の刃先31Aが形成されている。
【0040】
第2刃32は、図3図5及び図6に示すように、X方向(第2方向の1例)に並ぶ5枚の第2分割刃(分割刃の一例)40を有している。第2分割刃40は板状であり、その上面45が上方を向くようにして、可動板34の上面前部にボルト等で固定されている。第2分割刃40の側面は下方に向かうにつれて引き下がる方向に傾斜しており、第2分割刃40は下方に向かって窄まった四角錐台の形状をしている。本実施形態に係る5枚の第2分割刃40は、全て同じ形状かつ同じ大きさをしている。
【0041】
第2分割刃40の上面45は矩形であり、4つの辺41~44にはそれぞれ刃先41A~44Aが形成されている。辺41,43が長辺、辺42,44が短辺である。全ての第2分割刃40は、長辺41がX方向に対して傾斜角度θ1傾いた姿勢で可動板34に固定されている。傾斜角度θ1は90°未満の任意の値をとりうるが、1~45°の間が好ましく、本実施形態では一例としてθ1=15°としている。
【0042】
また、図5に示すように、隣接する2枚の第2分割刃40は、対向する辺同士が線接触する位置関係を保ったまま可動板34上に固定されており、隣接する第2分割刃40の間に隙間が生じないようになっている。具体的には、図5において最も左方に配される第2分割刃40の辺42は、左から2番目に配される第2分割刃40の辺44と線接触しており、2つの第2分割刃40は隙間なく並んでいる。これら以外の第2分割刃40同士でも同様に、辺42と辺44とが線接触している。
【0043】
また、各第2分割刃40の前端(第1刃側)にある頂点は、X方向に平行な直線L1上に並んでいる。そして、各第2分割刃40の後端にある頂点も同様に、X方向に平行な直線L2上に並んでいる。可動板34の上面において、1の第2分割刃40をX方向に沿って平行移動させた軌跡の上に、他の第2分割刃40が配されていることになる。
【0044】
つまり、各第2分割刃40は、傾斜角度θ1を保ったまま、X方向に沿って5枚並んでおり、隣接する第2分割刃40同士は、対向する辺42,44が隙間なく線接触している。したがって、第2刃32の第1刃31側においては、各第2分割刃40の辺41,42が交互に隙間なく階段状に並んでいることになる。そして、これらの辺41,42に形成されている刃先41A,42Aによって、第2刃32の刃先32Aが形成されている。
【0045】
表面実装機10における空テープTの切断手順について説明する。まず、図4に示すように、フィーダ15において、部品供給テープT1からカバーテープT3が剥がされ、キャリアテープT2の部品収納部に収納されていた部品Cが露出する。次に、実装ヘッド19が部品Cを吸着して保持し、プリント基板P上の所定の位置に部品Cを載置する。このとき、部品Cが収納されていた部品収納部は空になっている。
【0046】
新たな部品Cを供給するため、送りモータ22によってスプロケット21を回し、部品供給テープT1を前方(+Y方向)に送り出す。このとき送り出した部品供給テープT1の長さだけ、空テープTも前方に送り出され、空テープTはシュートSの内部を経由して、シュートSの出口から第1刃31と第2刃32の間に垂下される。なお、部品供給装置14は複数のフィーダ15を有しており、本実施形態に係る表面実装機10は部品供給装置14を片側につき2台ずつ有しているので、図5に示すように多数の空テープTが第1刃31と第2刃32の間に同時に垂下されることになる。
【0047】
次に、例えば一定時間の経過ごとに、シリンダ33を作動させて第2刃32を前進位置まで前進させると、その過程で第2刃32の刃先32Aと第1刃31の刃先31Aが斜めに交差して空テープTを挟み込み、空テープTが切断される。その後再度シリンダ33を作動させて第2刃32を後退位置に戻し、空テープTの切断が完了する。
【0048】
なお、シリンダ33の作動間隔は、本実施形態では一例として一定時間の経過を基準にしているが、表面実装機10の稼働時間や、フィーダ15の稼働時間、スプロケット21の回転回数、部品供給テープT1の送り出し回数等、任意の値を計測して、その値を基準としてもよい。
【0049】
切断された空テープTはそのまま落下し、下方に設置されたダストボックス(図示しない)に収容されて、一定量になるまで集積された後にまとめて廃棄される。
【0050】
続いて、実施形態1に係るテープ切断装置30及び表面実装機10の作用及び効果について説明する。
【0051】
実施形態1は、空テープTを2枚の刃により切断するテープ切断装置30であって、第1刃31と、第1刃31に対して接離方向であるY方向に往復移動する第2刃32と、を含み、第2刃32は、3以上の第2分割刃40を含み、第2分割刃40は、Y方向と直交するX方向に並び、第2分割刃40は、X方向に対して刃先41Aが傾斜している。
【0052】
この構成では、個々の第2分割刃40のX方向の長さが小さくなる。そのため、第2分割刃40の刃先41AをX方向に対して傾斜させても、第2刃32のY方向の長さの増加分は小さい。
【0053】
別の言い方をすれば、図5に示すように、本実施形態に係る第2刃32の刃先32Aは、第2分割刃40の刃先41Aが、隣接する第2分割刃40の境界にある段差Bを介して5つ連なって形成されている。そして、5つの刃先41Aが連なってなる刃先32Aは、X方向から見ると各刃先41Aが重なっており、その重なりの分、刃先32AのY方向の長さを小さくすることができる。したがって、刃先41Aを傾斜させても、第2刃32のY方向の長さの増加分は、各刃先41Aが重なっていない場合、つまり、第2刃32が分割されておらず一続きの刃である場合と比べて小さい。
【0054】
このような構成では、第2刃32の刃先32Aと第1刃31の刃先31Aを斜めに交差させて空テープ切断の確実性を高めることができる。これと同時に、第2刃32のY方向の長さの増加を抑制することができるため、テープ切断装置30の大型化を抑制できる。さらに、3以上の第2分割刃40のうち、一部の第2分割刃40が破損した場合には、その破損した第2分割刃40のみを交換すればよく、第2刃32全体を交換する必要はない。
【0055】
また、実施形態1では、5枚の第2分割刃40は、それぞれの刃先41Aの傾斜角度θ1が等しくなっている。このようにすると、5枚のうちのどの第2分割刃40でも同じ力で1枚のテープを切断することができる。また、第2分割刃40ごとに刃先41Aの傾斜角度θ1を変える必要がないため、可動板34上における第2分割刃40の位置や角度の調整が容易になる。
【0056】
また、実施形態1によると、第2分割刃40は、隣り合う第2分割刃40と端部同士が線接触している。
【0057】
仮に、隣り合う第2分割刃40同士が接触していなければ、2つの第2分割刃40の間には隙間があることになる。この場合、テープ切断時に空テープTの一部が隙間に入り込んで切り残しが生じ、切断の確実性が低下するおそれがある。また、隣り合う第2分割刃40同士が接触していても、その接触が点接触であれば、2つの第2分割刃40の相対的な位置関係が僅かでもずれると隙間が生じてしまう。この場合、隙間の発生を防ぎ、切り残しを生じさせないためには、隣り合う第2分割刃40同士で非常に高精度な位置合わせが必要になる。
【0058】
実施形態1の構成では、図5及び図6に示すように、隣り合う第2分割刃40同士は対向する辺42,44が線接触している。このようにすると、第2分割刃40同士の相対的な位置が、線接触している辺に沿う方向にずれたとしても、両者が完全に離れるまでは隙間が生じない。そのため、隣り合う第2分割刃40の相対位置の許容範囲を大きくすることができ、第2分割刃40を可動板34に固定する際の位置合わせが容易になる。
【0059】
また、実施形態1では、5枚の第2分割刃40は全て同じ形状かつ同じ大きさをしている。このようにすると、一部の第2分割刃40が破損して交換を要する場合に、破損した第2分割刃40が第2刃32を構成するどの分割刃であっても、同じ形状かつ同じ大きさである交換用の新しい第2分割刃40で置き換えることができる。つまり、第2分割刃40の種類が1種類であるため、交換用の刃を複数種類準備する必要がない。
【0060】
また、実施形態1によると、第2分割刃40は平面に見て四角形であり、隣り合う2辺41,42に刃先41A,42Aを有している。このようにすると、2つの刃先41A,42Aのうちのどちらでも空テープTを切断できるため、テープ切断時の負荷を分散させて、テープ切断装置30のシリンダ33にかかる負荷を低減することができる。
【0061】
また、実施形態1によると、第2分割刃40は、平面視で四角形であり、対向する2辺41及び43にそれぞれ刃先41A及び43Aを有している。このようにすると、第2分割刃40の一方の刃先、例えば41Aが破損した場合、第2分割刃40の向きを、Z方向を軸として180°回転させると、破損していないもう一方の刃先43Aを使用することができる。これにより、1つの第2分割刃40が有する複数の刃先41A,43Aを順次使用できるため、第2分割刃40の交換頻度が下がり、1つの第2分割刃40を長期にわたって使用することができる。
【0062】
<実施形態2>
次に、実施形態2について図7を参照して説明する。実施形態2は、実施形態1における第2分割刃40及び第2刃32の形状と配置を変更したものである。実施形態1と共通する構成、作用、及び効果については重複するため、その説明を省略する。また、実施形態1と同じ構成については、同一の符号を用いるものとする。
【0063】
実施形態2の第2分割刃140は、図7に示すようにそれぞれ台形状をしている。5枚の第2分割刃140が、可動板34の上面にボルト等で固定され、相対変位が規制されている。ここで、実施形態2に係る5枚の第2分割刃140は、線接触と点接触を交互に繰り返してX方向に並んでいる。そして、第2分割刃140の刃先141AはY方向に凹凸を繰り返しつつ隙間なく並んでおり、第2刃132の刃先132Aを形成している。
【0064】
実施形態2によると、5枚の第2分割刃140が有するそれぞれの刃先141Aが組み合わされて、連続した第2刃132の刃先132Aとなっている。刃先132Aは、Y方向の凹凸を形成している。ここで、後方(-Y方向)に向かって凹んでいる部分を凹部132Bとする。このような構成では、第1刃31と第2刃132とを接近させて空テープTを切断する過程において、空テープTは、凹部132Bの周辺であって、第1刃31の刃先31Aと第2刃132の刃先132Aで囲まれた三角形の領域に入り込む。すると、空テープTは、Y方向だけでなくX方向への変位も規制される。そのため、続いて第2刃132を前進位置まで変位させても空テープTはX方向に逸れず、空テープTを確実に切断することができる。
【0065】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0066】
(1)上述した各実施形態では、第2刃は5枚の第2分割刃を有していたが、第2分割刃の数は5枚に限られず、3枚以上の任意の枚数とすることができる。
【0067】
(2)上述した各実施形態では、第2刃を構成する第2分割刃は全て同じ形状かつ同じ大きさであったが、3以上の第2分割刃がそれぞれ異なる形状、大きさのものであっても本発明の技術的範囲に含まれる。例えば、X方向の長さが異なる分割刃を組み合わせると、第2刃のX方向の長さを任意の値にすることができる。
【0068】
(3)また、図8に示すように、第1刃231及び第2刃232がともに3以上の分割刃からなる場合も本発明の技術的範囲に含まれる。このような構成では、第1分割刃250の傾斜角度θ2と、第2分割刃240の傾斜角度θ3を逆向きの傾斜にすることで、2つの刃が交差するときの角度(θ2+θ3)を大きくすることができるため、テープ切断の確実性を高めることができる。
【0069】
(4)上述した各実施形態では、第1刃が固定刃で第2刃がY方向に往復移動する可動刃であったが、固定刃と可動刃が逆であってもよいし、第1刃及び第2刃が共にY方向に往復移動する可動刃であってもよい。
【0070】
(5)上述した各実施形態ではZ方向から見た分割刃の形状の一例として矩形(第2分割刃40)又は台形(第2分割刃140)の場合を例示したが、分割刃の形状はこれに限られない。図9に示す第2分割刃340のような平行四辺形や、その他の多角形、又は曲線と直線で囲まれた形状であっても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0071】
(6)上述した実施形態1では、第2分割刃40の刃先41Aの傾斜角度θ1は一例として15°としているが、本発明の技術的範囲はこれに限定されない。第1刃31と第2刃32の刃先31A,32Aが斜めに交差する構成であれば、θ1の大きさによらず、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0072】
(7)上述した各実施形態において、図4に示すカバーテープT3は部品供給テープT1から剥がされた後上方に引き込まれており、その先の経路は図示していないが、さらに取り回されて空テープTと同じくシュートSに導かれることがある。この場合は、カバーテープT3と空テープTの両方がフィーダ15の後方下部に案内され、第1刃と第2刃により切断される。このような、空テープTだけでなくカバーテープT3も同時に切断する構成のテープ切断装置も、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0073】
(8)上述した実施形態では、第2分割刃は、側面が下方に向かうにつれて引き下がる方向に傾斜している形状としたが、第2分割刃の側面が傾斜していない場合も本発明の技術的範囲に含まれる。例えば、隣り合う第2分割刃と接触する側面が垂直であってもよい。この場合、隣り合う第2分割刃同士は垂直な側面同士が面接触しつつ、X方向に沿って隙間なく並ぶ。
【符号の説明】
【0074】
30,130:テープ切断装置
31,231:第1刃
32,132,232:第2刃
40,140,240:第2分割刃
41A~44A,141A~144A:刃先
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9