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特許7505936建物、建物の空調方法および建物の空調システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】建物、建物の空調方法および建物の空調システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 5/00 20060101AFI20240618BHJP
   E04B 1/76 20060101ALI20240618BHJP
   F24D 3/00 20220101ALI20240618BHJP
   F24F 1/0093 20190101ALI20240618BHJP
   F24F 11/83 20180101ALI20240618BHJP
   F24F 13/30 20060101ALI20240618BHJP
   F24F 11/875 20180101ALI20240618BHJP
   F28D 20/02 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
F24F5/00 102C
E04B1/76 200Z
F24D3/00 A
F24D3/00 L
F24F5/00 K
F24F1/0093
F24F11/83
F24F13/30
F24F11/875
F28D20/02 D
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020133931
(22)【出願日】2020-08-06
(65)【公開番号】P2022030143
(43)【公開日】2022-02-18
【審査請求日】2023-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】303046244
【氏名又は名称】旭化成ホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(72)【発明者】
【氏名】栗原 正明
【審査官】奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-65236(JP,A)
【文献】特開2018-59653(JP,A)
【文献】特開平10-54574(JP,A)
【文献】特開平3-160226(JP,A)
【文献】特開平5-215352(JP,A)
【文献】実開昭59-134763(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00-13/32
F24D 3/00
F28D 20/02
E04B 1/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調対象となる空調対象エリアと、
前記空調対象エリアに放熱する放熱手段と、
前記放熱手段の駆動を制御する制御部と、を有する建物であって
前記放熱手段は、
前記空調対象エリアと異なる他のエリアの熱を伝達する熱伝達部と、
前記熱伝達部に隣接して設けられ前記熱伝達部の熱を蓄熱する潜熱蓄熱材と、
前記潜熱蓄熱材に蓄熱された熱を前記空調対象エリアに放熱する放熱部と、を有し、
前記他のエリアは、前記建物に設けられ、
前記制御部は、前記空調対象エリアの温度情報が予め設定された設定温度よりも低く、かつ、前記他のエリアの温度が前記空調対象エリアの温度情報よりも高い場合に、前記空調対象エリアを暖房するように前記放熱手段の駆動を制御する建物。
【請求項2】
前記熱伝達部は、
前記空調対象エリアの外部の熱を含む熱媒と、
前記潜熱蓄熱材に隣接して設けられ前記熱媒が流通する流路と、を有し、
前記潜熱蓄熱材には、前記熱媒の熱が蓄熱され、
前記制御部は、前記空調対象エリアの温度情報に基づいて、前記熱媒を前記流路に供給する供給量を制御する請求項1に記載の建物。
【請求項3】
前記空調対象エリアの温度を測定する温度センサを有し、
前記空調対象エリアの温度情報は、前記温度センサが測定した前記空調対象エリアの温度である請求項1または2に記載の建物。
【請求項4】
前記空調対象エリアの温度情報は、季節によって設定される温度情報である請求項1または2に記載の建物。
【請求項5】
前記空調対象エリアは、脱衣室である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の建物。
【請求項6】
前記熱伝達部は、前記建物に設けられた浴槽の湯の熱を伝達するように構成されている請求項1乃至5のいずれか一項に記載の建物。
【請求項7】
記他のエリアは、前記建物に設けられ前記建物の熱が籠る熱籠りエリアである請求項1乃至5のいずれか一項に記載の建物。
【請求項8】
記他のエリアは、前記建物に設けられ空調機によって空調されるエリアである請求項1乃至7のいずれか一項に記載の建物。
【請求項9】
前記空調対象エリアは、断熱部材に覆われている請求項1乃至8のいずれか一項に記載の建物。
【請求項10】
前記放熱手段は、パネル状に形成され、一方の面が前記空調対象エリアに対向して設けられ、
前記一方の面に前記放熱部が設けられている請求項1乃至9のいずれか一項に記載の建物。
【請求項11】
前記放熱手段は、長尺に形成され、前記空調対象エリアに沿って設けられ、
前記空調対象エリアに対向する部分に前記放熱部が設けられている請求項1乃至9のいずれか一項に記載の建物。
【請求項12】
建物内の空調対象となる空調対象エリアと、
前記空調対象エリアに放熱する放熱手段と、
前記放熱手段の駆動を制御する制御部と、を有する建物の空調方法であって
前記放熱手段は、
前記空調対象エリアと異なる他のエリアの外部の熱を伝達する熱伝達部と、
前記熱伝達部に隣接して設けられ前記熱伝達部の熱を蓄熱する潜熱蓄熱材と、
前記潜熱蓄熱材に蓄熱された熱を前記空調対象エリアに放熱する放熱部と、を有する建物の空調方法であって、
前記他のエリアは、前記建物に設けられ、
前記空調対象エリアの温度情報が予め設定された設定温度よりも低く、かつ、前記他のエリアの温度が前記空調対象エリアの温度情報よりも高い場合に、
前記放熱手段を駆動して前記空調対象エリアを暖房する建物の空調方法。
【請求項13】
記空調対象エリアの温度情報が予め設定された設定温度よりも高く、かつ、前記他のエリアの温度が前記空調対象エリアの温度情報よりも低い場合に、
前記放熱手段を駆動して前記空調対象エリアを冷房する請求項12に記載の建物の空調方法。
【請求項14】
建物内の空調対象となる空調対象エリアに放熱する放熱手段と、
前記放熱手段の駆動を制御する制御部と、を有する建物の空調システムであって
前記放熱手段は、
前記空調対象エリアと異なる他のエリアの熱を伝達する熱伝達部と、
前記熱伝達部に隣接して設けられ前記熱伝達部の熱を蓄熱する潜熱蓄熱材と、
前記潜熱蓄熱材に蓄熱された熱を前記空調対象エリアに放熱する放熱部と、を有し、
前記他のエリアは、前記建物に設けられ、
前記制御部は、前記空調対象エリアの温度情報が予め設定された設定温度よりも低く、かつ、前記他のエリアの温度が前記空調対象エリアの温度情報よりも高い場合に、前記空調対象エリアを暖房するように前記放熱手段の駆動を制御する建物の空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物、建物の空調方法および建物の空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パネルの内部に温水を流通させてパネルの内部空気を温め、パネルの内部の熱を放熱させて、暖房対象となる空間の空気を温める温水式パネルヒータが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に開示された温水式パネルヒータは、流通する温水の熱を蓄熱可能な蓄熱部を有している。特許文献1に開示された温水式パネルヒータは、温水の流通が停止した状態であっても蓄熱部の熱でパネルの内部空気を温めたり、蓄熱部の熱を放熱させたりして暖房対象となる空間の空気を温めることが可能に構成されている。特許文献1に開示された温水式パネルヒータは、蓄熱部の温度を検出するセンサを有しており、蓄熱部の温度が所定の第1温度以上に上昇した場合には、パネル内の温水の流通を停止させ、蓄熱部の温度が所定の第2温度以下に低下した場合には、パネル内の温水の流通を再開させるように制御されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-162940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
暖房を行う場合には、暖房対象となる空間を快適な温度に制御する必要がある。このため、蓄熱部の温度に基づいて暖房を行っても、暖房対象となる空間が快適な温度となるとは限らず、暖房が効かなかったり、過度な暖房が行われたりする虞がある。
【0005】
そこで、本発明は、空調対象となる空間を快適な温度に維持することができる建物、建物の空調方法および建物の空調システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る建物は、空調対象となる空調対象エリアと、前記空調対象エリアに放熱する放熱手段と、前記放熱手段の駆動を制御する制御部と、を有する建物であって、前記放熱手段は、前記空調対象エリアと異なる他のエリアの熱を伝達する熱伝達部と、前記熱伝達部に隣接して設けられ前記熱伝達部の熱を蓄熱する潜熱蓄熱材と、前記潜熱蓄熱材に蓄熱された熱を前記空調対象エリアに放熱する放熱部と、を有し、前記他のエリアは、前記建物に設けられ、前記制御部は、前記空調対象エリアの温度情報が予め設定された設定温度よりも低く、かつ、前記他のエリアの温度が前記空調対象エリアの温度情報よりも高い場合に、前記空調対象エリアを暖房するように前記放熱手段の駆動を制御する。
【0007】
また、本発明に係る建物の空調方法は、建物内の空調対象となる空調対象エリアと、前記空調対象エリアに放熱する放熱手段と、前記放熱手段の駆動を制御する制御部と、を有する建物の空調方法であって、前記放熱手段は、前記空調対象エリアと異なる他のエリアの外部の熱を伝達する熱伝達部と、前記熱伝達部に隣接して設けられ前記熱伝達部の熱を蓄熱する潜熱蓄熱材と、前記潜熱蓄熱材に蓄熱された熱を前記空調対象エリアに放熱する放熱部と、を有する建物の空調方法であって、前記他のエリアは、前記建物に設けられ、前記空調対象エリアの温度情報が予め設定された設定温度よりも低く、かつ、前記他のエリアの温度が前記空調対象エリアの温度情報よりも高い場合に、前記放熱手段を駆動して前記空調対象エリアを暖房する
【0008】
また、本発明に係る建物の空調システムは、建物内の空調対象となる空調対象エリアに放熱する放熱手段と、前記放熱手段の駆動を制御する制御部と、を有する建物の空調システムであって、前記放熱手段は、前記空調対象エリアと異なる他のエリアの熱を伝達する熱伝達部と、前記熱伝達部に隣接して設けられ前記熱伝達部の熱を蓄熱する潜熱蓄熱材と、前記潜熱蓄熱材に蓄熱された熱を前記空調対象エリアに放熱する放熱部と、を有し、前記他のエリアは、前記建物に設けられ、前記制御部は、前記空調対象エリアの温度情報が予め設定された設定温度よりも低く、かつ、前記他のエリアの温度が前記空調対象エリアの温度情報よりも高い場合に、前記空調対象エリアを暖房するように前記放熱手段の駆動を制御する。
【0009】
本発明では、潜熱蓄熱材の蓄熱を用いて空調対象エリアを効率よく空調することができ、更に、制御部が空調対象エリアの温度情報に基づいて、熱伝達部を制御することにより、空調対象エリアを快適な温度に維持することができる。
また、潜熱蓄熱材は、一定期間、蓄熱可能であるため、制御部が蓄熱を行う時間帯と放熱を行う時間帯とが異なるように制御することも可能となる。例えば、日中に潜熱蓄熱材に蓄熱された熱を夜間に脱衣室へ放熱することができる。
また、放熱部が潜熱蓄熱材に蓄熱された熱を空調対象エリアに放熱する構成であるため、脱衣室の空気および脱衣室にいる人を直接温めるまたは冷やすことができ、快適な空調を行うことができる。
潜熱蓄熱材の、融解・凝固の相転移温度の領域は、空調対象エリアに供される目的の温度や、潜熱蓄熱材に供給される熱源の温度などによって適宜選択される。また、相転移温度は、1水準であっても、複数の水準であっても構わない。
「放熱手段の駆動を制御する」とは、熱伝達部による空調対象エリアの外部の熱の伝達量、潜熱蓄熱材が蓄熱する熱量(潜熱蓄熱材に供給する熱量)、放熱部からの放熱量などを制御することを示す。
また、本発明に係る建物の空調方法では、前記熱伝達部は、前記空調対象エリアと異なる他のエリアの熱を伝達するように構成され、前記他のエリアは、前記建物に設けられ、前記空調対象エリアの温度情報が予め設定された設定温度よりも低く、かつ、前記他のエリアの温度が前記空調対象エリアの温度情報よりも高い場合に、前記放熱手段を駆動して空調対象エリアを暖房する。
このような構成とすることにより、他のエリアの熱を利用して空調対象エリアを効率よくかつエネルギーの無駄なく暖房することができる。
【0010】
また、本発明に係る建物では、前記熱伝達部は、前記空調対象エリアの外部の熱を含む熱媒と、前記潜熱蓄熱材に隣接して設けられ前記熱媒が流通する流路と、を有し、前記潜熱蓄熱材には、前記熱媒の熱が蓄熱され、前記制御部は、前記空調対象エリアの温度情報に基づいて、前記熱媒を前記流路に供給する供給量を制御する構成としてもよい。
このような構成とすることにより、熱媒の供給量を制御して、潜熱蓄熱材に与える熱量を適切に制御したり、空調対象エリアの温度の制御性を高めたりすることができる。その結果、エネルギーの使用量を最適化したり、空調対象エリアの快適性を向上したりすることが可能になる。
【0011】
また、本発明に係る建物では、前記空調対象エリアの温度を測定する温度センサを有し、前記空調対象エリアの温度情報は、前記温度センサが測定した前記空調対象エリアの温度であってもよい。
このような構成とすることにより、空調対象エリアの温度を確実に判別することができため、潜熱蓄熱材への熱の供給について、要否を判断したり供給量を制御したりするなど、適切に制御し、空調対象エリアの温度を最適に維持して、空調対象エリアの快適性を向上できる。
【0012】
また、本発明に係る建物では、前記空調対象エリアの温度情報は、季節によって設定される温度情報であってもよい。
このような構成とすることにより、季節に応じて空調対象エリアの空調を行うことができる。また、空調対象エリアに温度センサを設置できない場合にも、潜熱蓄熱材への熱の供給について、要否を判断したり供給量を制御したりするなど、適切に制御し、空調対象エリアの温度を最適に維持して、空調対象エリアの快適性を向上できる。
【0013】
また、本発明に係る建物では、前記空調対象エリアは、脱衣室であってもよい。
このような構成とすることにより、空調機を設置するスペースが確保しにくい脱衣室であっても、快適な温度に空調することができる。
【0014】
また、本発明に係る建物では、前記熱伝達部は、前記建物に設けられた浴槽の湯の熱を伝達するように構成されていてもよい。
このような構成とすることにより、浴槽の湯の熱を利用して空調対象エリアを空調することができる。空調対象エリアの空調に専用の給湯を使用する場合と比べて、給湯器などの資材のコストを削減できたり、エネルギーの消費量を削減できたりする場合もある。また、浴槽の湯を沸かす湯沸かし作業と共に空調対象エリアに熱を供給できるため、とりわけ、空調対象エリアが脱衣室のような、入浴と関連する場所である場合、入浴の一連動作として、給湯と空調を行うことができ、利便性、快適性に優れた構成となる。
【0015】
また、本発明に係る建物では、前記他のエリアは、前記建物に設けられ前記建物の熱が籠る熱籠りエリアであってもよい。
このような構成とすることにより、熱籠りエリアに籠った熱を利用して空調対象エリアを空調することができ、エネルギーの消費量を削減することができる。
熱籠りエリアとは、建物の上部に位置して、屋根、外壁に囲まれたエリアで、建物の屋根裏や、天井裏、ペントハウス、階段室の上部などで、その下側にある居室などに比べて熱が籠って高温となりやすいエリアを示す。
【0016】
また、本発明に係る建物では、前記他のエリアは、前記建物に設けられ空調機によって空調されるエリアであってもよい。
このような構成とすることにより、空調機で空調された他のエリアの空気の熱を利用して空調対象エリアを空調することができ、エネルギーの消費量を削減することができる。
基本的に、空調機で空調された空気は、潜熱蓄熱材によって保持された(設定された)快適な温度に保たれるため、空調対象エリアの温度を快適な温度とすることができる。
【0017】
また、本発明に係る建物では、前記空調対象エリアは、断熱部材に覆われていてもよい。
このような構成とすることにより、空調された空調対象エリアを快適な温度に維持することができる。
【0018】
また、本発明に係る建物では、前記放熱手段は、パネル状に形成され、一方の面が前記空調対象エリアに対向して設けられ、前記一方の面に前記放熱部が設けられていてもよい。
このような構成とすることにより、空調対象エリアに広い範囲から効率よく放熱することができる。
【0019】
また、本発明に係る建物では、前記放熱手段は、長尺に形成され、前記空調対象エリアに沿って設けられ、前記空調対象エリアに対向する部分に前記放熱部が設けられていてもよい。
このような構成とすることにより、空調対象エリアに広い範囲から効率よく放熱することができる。
【0021】
また、本発明に係る建物の空調方法では、前記空調対象エリアの温度情報が予め設定された設定温度よりも高く、かつ、前記他のエリアの温度が前記空調対象エリアの温度情報よりも低い場合に、前記放熱手段を駆動して空調対象エリアを冷房するようにしてもよい。
このような構成とすることにより、他のエリアの熱を利用して空調対象エリアを効率よくかつエネルギーの無駄なく冷房することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、空調対象となる空間を快適な温度に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態による建物、建物の空調方法および建物の空調システムの一例を示す図である。
図2】空調システムを説明する模式図である。
図3】潜熱蓄熱材の一例を示す斜視図である。
図4図3とは別の潜熱蓄熱材の一例を示す斜視図である。
図5】建物の空調方法のフローチャートである。
図6】本発明の第2実施形態による建物、建物の空調方法および建物の空調システムの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態による建物、建物の空調方法および建物の空調システムについて、図1図5に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態による建物1は、2階建ての住宅で本実施形態による空調システム2が設けられている。建物1は、1階にLDK11、浴室12、脱衣室13(空調対象エリア)が設けられ、2階に3つの居室14-16が設けられている。玄関やトイレ、洗面所、階段室など上記以外の部屋やスペースは、必要に応じて適宜設けられている。
【0025】
LDK11は、1部屋で構成され、リビング、ダイニング、キッチンが1つの空間に配置されている。LDK11は、エアコンなどの空調機41が設置されていて、所定の温度に空調可能な空間である。
脱衣室13は、浴室12と隣接している。脱衣室13は、空調機が設置されていない。脱衣室13は、断熱材などの断熱部材18で覆われている。脱衣室13は、洗面所と脱衣所とを兼用する洗面脱衣室であってもよい。
LDK11と脱衣室13との間には廊下17が設けられ、LDK11と脱衣室13との往来は廊下17を通って行われる。
【0026】
2階の3つの居室14-16は、それぞれ壁で仕切られていて、寝室や子供部屋として使用される。3つの居室14-16は、それぞれ南側に窓が設けられ、日中は日差しが射し込むように設計されている。2階の居室14-16や廊下などの上方には、小屋裏19が設けられている。2階の居室14-16や廊下などと小屋裏19との間には断熱材が設けられ、小屋裏19の熱が2階の居室14-16や廊下などに伝わりにくい構造となっている。
【0027】
本実施形態による建物の空調システム2では、浴室12の浴槽121の温水27(湯)を熱媒に利用して、脱衣室13を所定の温度に空調するように構成されている。建物1には、住宅に設けられた各設備に温水を供給する給湯器3が設けられている。給湯器3は、浴槽配管31を介して浴槽121に温水を供給可能に構成されているとともに、浴槽121の温水27を建物の空調システム2に供給可能に構成されている。給湯器3は、屋外に設置されている。
【0028】
本実施形態による建物の空調システム2は、脱衣室13に放熱する放熱手段21と、脱衣室13の温度を検出する第1温度センサ22と、第1温度センサ22が判定した脱衣室13の温度に応じて、放熱手段21を制御する制御部23(図2参照)と、を有している。
放熱手段21は、浴槽121の温水27を循環させて温水27の熱を伝達する熱伝達部28と、熱伝達部28に隣接して設けられ熱伝達部28が伝達した蓄熱する潜熱蓄熱材262と、潜熱蓄熱材262に蓄熱された熱を脱衣室13に放熱する放熱部263と、制御部23からの情報を受信する受信部211(図2参照)と、温水27の循環を駆動させる駆動部212(図2参照)と、を有している。
熱伝達部28は、温水27(熱媒)と、熱媒が流通する流路29と、を有している。
【0029】
本実施形態では、放熱手段21は、輻射パネル26と、輻射パネル26および給湯器3に接続された温水管25と、を有している。潜熱蓄熱材262および放熱部263は、輻射パネル26に設けられている。熱伝達部28の流路29は、輻射パネル26および温水管25に設けられている。
図1および図3に示すように、輻射パネル26は、パネル状に形成されている。輻射パネル26の内部には、温水27が流通する輻射パネル内流路261と、潜熱蓄熱材262と、が設けられている。潜熱蓄熱材262は、輻射パネル内流路261に隣接している。輻射パネル26の一方の面には、放熱部263が設けられている。放熱部263は、輻射パネル26の一方の面のほぼ全体にわたって設けられている。図1に示すように、輻射パネル26は、脱衣室13の天井に設けられ、放熱部263が設けられている一方の面が下面となり脱衣室13に面している。
【0030】
温水管25は、給湯器3から輻射パネル26に温水27を送る温水送り管251と、輻射パネル26の流路29を流通した温水27を給湯器3へ戻す温水戻り管252と、を有している。温水送り管251は、輻射パネル内流路261の上流側の端部261a(図3参照)に接続され、温水戻り管252は、輻射パネル内流路261の下流側の端部261bに接続される。温水管25および輻射パネル内流路261が熱伝達部28の流路29に相当している。
【0031】
図3に示すように、輻射パネル26は、輻射パネル内流路261となるホースが設けられて、このホースの周囲に潜熱蓄熱材262が設けられてもよい。また、図4に示すように、輻射パネル26は、ブロック状の潜熱蓄熱材262を間隔をあけて複数設け、隣り合う潜熱蓄熱材262の間隔を温水27が流通可能な輻射パネル内流路261としてもよい。ブロック状の潜熱蓄熱材262は、例えば、袋体に潜熱蓄熱材料を収容して製作することができる。
潜熱蓄熱材262の、融解・凝固の相転移温度の領域は、空調対象エリア(脱衣室13)に供される目的の温度や、供潜熱蓄熱材262に供給される熱源の温度などによって適宜選択される。また、相転移温度は、1水準であっても、複数の水準であっても構わない。
【0032】
図2に示すように、第1温度センサ22は、脱衣室13(図1参照)の温度を検知する第1温度検知部221と、第1温度検知部221が検知した脱衣室13の温度を制御部23に送信する第1情報送信部222と、を有している。第1温度センサ22は、脱衣室13に設けられたコンセントから電源が供給され、第1情報送信部222が無線で制御部23に情報(脱衣室13の温度)を送信するように構成されていてもよいし、USBなどの有線で制御部23に情報を送信するように構成されていてもよい。
【0033】
制御部23は、第1温度センサ22からの情報を受信するとともに、放熱手段21に情報を送信する送受信部231と、放熱手段21の駆動を演算する演算部232と、を有する。演算部232には、脱衣室13の設定温度(例えば、使用者が快適と感じる所望の温度)が入力される。演算部232は、脱衣室13を設定温度とするために、放熱手段21に循環させる温水27の量(水量)を算出する。算出された水量は、送受信部231から放熱手段21の受信部211に送信される。
制御部23は、送受信部231が温水27の温度、輻射パネル26に流入する温水27の水量などの情報も受信し、これらの情報も併せて演算部232が放熱手段21の駆動を演算する。
【0034】
次に、本実施形態による建物の空調方法について説明する。
脱衣室13の温度が設定温度よりも低く、脱衣室13を暖房する場合に、放熱手段21を駆動して給湯器3から流路29に温水27を循環させる。これにより、輻射パネル26の潜熱蓄熱材262に温水27の熱が蓄熱される。そして、蓄熱された熱を放熱部263から脱衣室13に放熱し、脱衣室13を暖房する。
【0035】
脱衣室13を設定温度に暖房する場合の暖房制御について図5に示すフローチャートを元に説明する。
まず、暖房制御を開始し(S-1)、第1温度センサ22が測定した脱衣室13の温度(T1)が予め設定された設定温度よりも低いかどうか判断する(S-2)。第1温度センサ22が測定した脱衣室13の温度(T1)が予め設定された設定温度よりも低い場合は、放熱手段21を駆動し、流路29に温水27を循環させて、温水27の熱を潜熱蓄熱材262に蓄熱し、潜熱蓄熱材262に蓄熱された熱を脱衣室13に放熱する(S-3)。
脱衣室13の温度(T1)が設定温度に達した場合は、放熱手段21の駆動を停止し終了(S-4)となる。脱衣室13の温度(T1)が設定温度に達していない場合は、脱衣室13の温度が設定温度に達するまで、流路29に温水27を循環させ、潜熱蓄熱材262に蓄熱した熱を脱衣室13に放熱する。
【0036】
本実施形態では、給湯器3は、建物1の設備に温水27を供給するモードと、浴槽121の温水27を放熱手段21の流路29に循環させるモードと、を切り替え可能であるとともに、両方のモードを同時に実行可能である。このため、例えば、脱衣室13に温水式の床暖房設備が設けられている場合、床暖房設備への温水27の供給と、放熱手段21への浴槽121の温水27の循環とを、同時に行うことができる。すなわち、脱衣室13の床暖房設備による暖房と、建物の空調システム2による暖房とを同時に行うことができる。
【0037】
次に、上述した本発明の実施形態による建物1、建物の空調方法および建物の空調システム2の作用・効果について図面を用いて説明する。
本実施形態による建物1、建物の空調方法および建物の空調システム2では、潜熱蓄熱材262の蓄熱を用いて脱衣室13(空調対象エリア)を効率よく空調することができ、更に、制御部23が脱衣室13の温度に基づいて、熱伝達部28を制御することにより、脱衣室13を快適な温度に維持することができる。
潜熱蓄熱材262は、一定期間、蓄熱可能であるため、制御部23が蓄熱を行う時間帯と放熱を行う時間帯とが異なるように制御することも可能となる。例えば、日中に潜熱蓄熱材262に蓄熱された熱を夜間に脱衣室13へ放熱することができる。
【0038】
また、本実施形態では、熱伝達部28は、建物1に設けられた浴槽の湯の熱を伝達するように構成されている。
このような構成とすることにより、浴槽の湯の熱を利用して脱衣室13を空調することができる。脱衣室13の空調に専用の給湯を使用する場合と比べて、給湯器などの資材のコストを削減できたり、エネルギーの消費量を削減できたりする場合もある。また、浴槽の湯を沸かす湯沸かし作業と共に入浴と関連する脱衣室13に熱を供給できるため、入浴の一連動作として、給湯と脱衣室13の空調を行うことができ、利便性、快適性に優れた構成となる。
【0039】
また、本実施形態では、輻射パネル26の放射熱によって脱衣室13の空気および脱衣室13にいる人を直接温めることができるため、快適な暖房を行うことができる。
また、本実施形態では、空調設備を設置するスペースが確保できない脱衣室13であっても、空調することができる。
【0040】
また、本実施形態では、熱伝達部28は、熱媒(温水27)と、熱媒が流通する流路29と、を有し、潜熱蓄熱材262には、熱媒の熱が蓄熱され、制御部は、熱媒を流路29に供給する供給量を制御している。
このような構成とすることにより、熱媒の供給量を制御して、潜熱蓄熱材262に与える熱量を適切に制御したり、脱衣所13の温度の制御性を高めたりすることができる。その結果、エネルギーの使用量を最適化したり、脱衣所13の快適性を向上したりすることが可能になる。
【0041】
また、本実施形態では、脱衣室13に第1温度センサ22が設けられ、第1温度センサ22が測定した温度をもとに、脱衣室13の空調を行っている。
このような構成とすることにより、脱衣室13の温度を確実に判別することができため潜熱蓄熱材262への熱の供給について、要否を判断したり供給量を制御したりするなど、適切に制御し、脱衣室13の温度を最適に維持して、脱衣室13の快適性を向上できる。
【0042】
また、本実施形態では、脱衣室13は、断熱部材に覆われていることにより、空調された脱衣所を快適な温度に維持することができる。
【0043】
また、本実施形態では、放熱部263はパネル状に形成された輻射パネル26の一方の面に形成され、脱衣室13に面するように配置されている。
このような構成とすることにより、潜熱蓄熱材262に蓄熱された熱を広い範囲から脱衣室13に効率よく放熱することができる。
なお、熱伝達部28は、建物1に設けられた浴槽の湯の熱を伝達する実施形態で説明したが、これに限らず風呂給湯と床暖房の2系列を有する熱源機を利用してもよい。
【0044】
(第2実施形態)
次に、本発明の他の実施形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第1実施形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第1実施形態と異なる構成について説明する。
図6に示すように、第2実施形態による建物1B、建物の空調方法および建物の空調システム2Bは、第1実施形態と建物の空調システムが異なっている。
第2実施形態による建物の空調システム2Bでは、第1実施形態の熱伝達部28に代わる熱伝達部28Bを有している。熱伝達部28Bは、LDK11の熱を伝達する第1熱伝達部4と、2階の上方の小屋裏19(熱籠りエリア)の熱を伝達する第2熱伝達部5と、を有している。
【0045】
第1熱伝達部4は、LDK11の空気を熱媒とし、LDK11の空気が流通する流路を有している。第2熱伝達部5は、小屋裏19の空気を熱媒とし、小屋裏19の空気が流通する流路を有している。
LDK11には、空調機41およびLDK11の温度を検出する第2温度センサ42が設けられている。小屋裏19には、小屋裏19の温度を検出する第3温度センサ51が設けられている。
【0046】
第2実施形態による建物の空調システム2Bでは、放熱手段21Bの輻射パネル26Bが脱衣室13の天井ではなく、脱衣室13の壁に沿って設けられている。輻射パネル26Bは、放熱部263Bが設けられる一方の面が脱衣室13に面している。
【0047】
第2実施形態では、輻射パネル26Bの輻射パネル内流路261B(流路)に、LDK11の空気が流通する第1ダクト43(流路)および小屋裏19の空気が流通する第2ダクト52(流路)が接続されている。第1ダクト43は、輻射パネル内流路261BとLDK11の内部とを接続している。第2ダクト52は、輻射パネル内流路261Bと小屋裏19の内部とを接続している。
第1ダクト43には、LDK11の空気が流入する。第1ダクト43に流入したLDK11の空気は、輻射パネル内流路261Bに流入する。第2ダクト52には、小屋裏19の空気が流入する。第2ダクト52に流入した小屋裏19の空気は、輻射パネル内流路261Bに流入する。
【0048】
第1ダクト43のLDK11側の端部は、LDK11の天井に設けられた吸込み口11aに接続されている。第1ダクト43の輻射パネル内流路261側の端部は、輻射パネル内流路261の上流側の端部に接続されている。
LDK11の天井に設けられた吸込み口11aには、第1ファン44が設けられている。第1ファン44は、LDK11の空気を吸い上げて第1ダクト43に流入させるように構成されている。
第2ダクト52の小屋裏19側の端部は、小屋裏19に設けられた吸込み口19aに接続されている。第2ダクト52の輻射パネル内流路261B側の端部は、輻射パネル内流路261Bの上流側の端部に接続されている。
小屋裏19に設けられた吸込み口19aには、第2ファン53が設けられている。第2ファン53は、小屋裏19の空気を吸い込んで第2ダクト52に流入させるように構成されている。
【0049】
第1ダクト43および第2ダクト52は、2階の壁部や1階と2階との間、1階の天井裏と、脱衣室13と廊下17との間に設けられた壁部やダクトスペースなどに設けられ、居室や脱衣室13、廊下17などに露出しないように構成されている。
なお、第1ダクト43および第2ダクト52から輻射パネル内流路261Bに流入した空気は、輻射パネル内流路261Bを循環するように構成されていてもよいし、外部に排出されるように構成されていてもよい。
【0050】
LDK11の温度を検出する第2温度センサ42は、LDK11の温度を検知する第2温度検知部と、第2温度検知部が検知したLDK11の温度を制御部(不図示)に送信する第2情報送信部と、を有している。第2温度センサ42は、LDK11に設置された空調機41の温度センサであってもよいし、空調機41の温度センサとは別に設けられていてもよい。第2温度センサ42は、空調機41の温度センサとは別に設けられる場合は、LDK11に設けられたコンセントから電源が供給され、第2情報送信部が無線で制御部に情報(LDK11の温度)を送信するように構成されていてもよいし、USBなどの有線で制御部に情報を送信するように構成されていてもよい。
【0051】
小屋裏19の温度を検出する第3温度センサ51は、小屋裏19の温度を検知する第3温度検知部と、第3温度検知部が検知した小屋裏19の温度を制御部に送信する第3情報送信部と、を有している。第3温度センサ51は、小屋裏19に設けられた電気配線やコンセントから電源が供給され、第3情報送信部が無線で制御部に情報(小屋裏19の温度)を送信するように構成されていてもよいし、USBなどの有線で制御部に情報を送信するように構成されていてもよい。
【0052】
制御部は、輻射パネル内流路261Bに流通させる空気を、第1ダクト43からのLDK11の空気、および第2ダクト52からの小屋裏19の空気のいずれか一方とするか両方とするかを制御可能に構成されている。制御部は、第2温度センサ42が測定したLDK11の温度、第3温度センサ51が測定した小屋裏19の温度の情報から、輻射パネル内流路261に流通させる空気をLDK11の空気および小屋裏19の空気のいずれか一方とするか両方とするかを演算するとともに、空気の流量を演算し、演算結果に基づいて輻射パネル内流路261Bに空気を流通させる。
第2実施形態では、輻射パネル内流路261Bを流通するLDK11および小屋裏19の少なくとも一方の空気の熱を潜熱蓄熱材262Bに蓄熱し、潜熱蓄熱材262Bに蓄熱された熱を放熱部263Bから脱衣室13に放熱して、脱衣室13を所定の温度に空調する。
【0053】
第2実施形態による建物1、建物の空調方法および建物の空調システム2では、第1実施形態と同様の効果を奏する。
また、第2実施形態では、LDK11の空調された空気の熱や小屋裏19に籠った熱を利用して脱衣室13(空調対象エリア)を効率的に暖房することができる。
【0054】
以上、本発明による建物1、建物の空調方法および建物の空調システム2の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記の実施形態では、建物の空調システム2による空調対象エリアが脱衣室13であるが、脱衣室13以外であってもよい。
また、上記の第2実施形態では、空調対象エリアに熱を送る側のエリア(他のエリア)がLDK11や小屋裏19であるが、熱を送る側のエリアは、LDK11や小屋裏19以外の部屋や空間であってもよい。また、空調対象エリアに熱を送る側のエリア(他のエリア)は、1つのエリアであってもよいし、3つ以上のエリアであってもよい。
また、上記の第2実施形態では、建物1の熱が籠る熱籠りエリアの小屋裏19の空気を熱伝達部28Bの流路に流通させているが、建物1の熱が籠る熱籠りエリアである天井裏、ペントハウス、階段室の上部などの空気を熱伝達部28Bの流路に流通させるようにしてもよい。
【0055】
また、上記の第1実施形態では、浴槽121の温水27を温水管25および輻射パネル内流路261に流通させ、浴槽121の温水27の熱を潜熱蓄熱材262に蓄熱させている。上記の第2実施形態では、LDK11や小屋裏19の空気をダクトおよび輻射パネル内流路261Bに流通させ、その空気の熱が潜熱蓄熱材262に蓄熱させている。
これに対し、熱伝達部としてヒートパイプや、金属棒、金属配管などを採用し、これらを介して空調対象エリアとは異なる他のエリアの熱や温水27の熱などを潜熱蓄熱材262へ伝達し、潜熱蓄熱材262に蓄熱させるようにしてもよい。また、建物に設けられている鉄骨梁や柱、金属部材などを介して空調対象エリアとは異なる他のエリアの熱や温水27の熱などを潜熱蓄熱材262へ伝達し、潜熱蓄熱材262に蓄熱させるようにしてもよい。
【0056】
また、上記の実施形態では、放熱手段21は、パネル状の輻射パネル26を有しているが、パネル状に限定されず、潜熱蓄熱材262と、流路29と、放熱部263を備える長尺の輻射部材を有していてもよい。また、輻射パネル26は、スリットや孔部、凹凸が形成されていたり湾曲していたりしてもよい。このようにして、輻射パネル26の放熱部263の表面積を広く確保し、広い範囲から空調対象エリアへ放熱するようにしてもよい。
【0057】
また、上記の第1実施形態では、輻射パネル26(放熱部263)が空調対象エリアの天井に設けられ、上記の第2実施形態では、輻射パネル26B(放熱部263B)が空調対象エリアの壁に設けられている。輻射パネル26,26Bが設けられる場所は適宜設定されてよい。また、輻射パネルの少なくとも放熱部が可動式であり、必要に応じて移動できるように構成されていてもよい。
【0058】
また、上記の実施形態では、空調対象エリアの温度情報を判定するために空調対象エリアの温度を測定する温度センサ(第1温度センサ22)が設けられている。これに対し、季節や天気予報などの情報から空調対象エリアの温度情報を判定するように構成されていてもよい。このような場合は、例えば、制御部を介して、インターネットなどから情報を取ったり、制御部にカレンダー情報を記憶させたりするなどの方法やこれらの組み合わせ等の方法を用いればよい。
また、上記の実施形態では、空調対象エリアは、断熱部材18に覆われているが、断熱部材18に覆われていなくてもよい。
【0059】
また、上記の実施形態の建物の空調システム2,2Bは、空調対象エリアを暖房しているが、空調対象エリアを冷房してもよい。この場合、放熱手段21は、例えば冷風や冷水などの冷温によって潜熱蓄熱材262に空調対象エリアの温度よりも低温の冷熱を蓄熱し、潜熱蓄熱材262に蓄熱された冷熱を空調対象エリアに放熱してもよい。
【符号の説明】
【0060】
1,1B 建物
2,2B 建物の空調システム
11 LDK
13 脱衣室(空調対象エリア)
18 断熱部材
19 小屋裏(熱籠りエリア)
21,21B 放熱手段
22 第1温度センサ(温度センサ)
23 制御部
27 温水(熱媒、湯)
28,28B 熱伝達部
29 流路
41 空調機
121 浴槽
261,261B 輻射パネル内流路(流路)
262,262B 潜熱蓄熱材
263,263B 放熱部
図1
図2
図3
図4
図5
図6