(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】農作物の収穫装置
(51)【国際特許分類】
A01D 51/00 20060101AFI20240618BHJP
A01D 21/00 20060101ALI20240618BHJP
A01D 90/02 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
A01D51/00
A01D21/00
A01D90/02
(21)【出願番号】P 2020148634
(22)【出願日】2020-09-04
【審査請求日】2023-05-22
(31)【優先権主張番号】P 2019161040
(32)【優先日】2019-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000126115
【氏名又は名称】エア・ウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109472
【氏名又は名称】森本 直之
(72)【発明者】
【氏名】森 晃一
(72)【発明者】
【氏名】小倉 尚勝
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-225540(JP,A)
【文献】特開平10-276538(JP,A)
【文献】特開平08-037881(JP,A)
【文献】特開2017-153448(JP,A)
【文献】特開平10-229726(JP,A)
【文献】米国特許第04240446(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 51/00
A01D 13/00 - 33/14
A01D 90/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場を走行できる走行機体と、
上記走行機体の前方において、上記圃場に存在する農作物を所定のピックアップエリア
に向かって掻寄せる掻寄手段と、
上記ピックアップエリアにおいて
上記農作物をピックアップするピックアップ手段とを備え、
上記掻寄手段は上記ピックアップエリアに対する左右いずれかに設けられ、
上記ピックアップ手段は、
上記農作物を左右から挟んで、後方に向かわせるように動作してローディングする左右の側部コンベアと、
上記農作物を載せて後方に向かわせる
ように動作する底部
コンベアとを含んで構成され、
上記左右の側部コンベアは、対面する左右の側部コンベアベルトのうち上記掻寄手段が設けられていない方の前端が、他方よりも前方に位置するよう構成されている
ことを特徴とする農作物の収穫装置。
【請求項2】
上記左右の側部コンベアは、上記底部コンベアの前端より前に突出する部分において、対面する左右の側部コンベアベルト同士のベルト面の距離が、前方の開放側が広がるよう構成されている
請求項
1記載の農作物の収穫装置。
【請求項3】
上記左右の側部コンベアは、
対面する左右の側部コンベアベルト同士のベルト面の距離が、前方の開放側が広がるよう構成され、
上記広がる部分の根元部が、対面する相手側に向かってそれぞれの側部コンベアベルトを内側から付勢する第1の可動プーリーにより、隘路状に構成されている
請求項
1記載の農作物の収穫装置。
【請求項4】
上記対面する左右の側部コンベアベルトの前端のうち少なくとも一方が、
第2の可動プーリーにより外側に広がることができるように構成されている
請求項
1記載の農作物の収穫装置。
【請求項5】
上記左右の側部コンベアは、対面する左右の側部コンベアベルト同士のベルト面の距離が、底部コンベアに近いほうが広くなるよう構成されている
請求項
1記載の農作物の収穫装置。
【請求項6】
上記左右の側部コンベアのうち少なくとも一方は、側部コンベアベルトが、側部コンベアベルトの内側から対面する相手側に向かって上記側部コンベアベルトを付勢する1または2以上の付勢プーリーに掛け渡されている
請求項
1~5のいずれか一項に記載の農作物の収穫装置。
【請求項7】
圃場を走行できる走行機体と、
上記走行機体の前方において、上記圃場に存在する農作物を所定のピックアップエリアに向かって掻寄せる掻寄手段と、
上記ピックアップエリアおいて、上記農作物をピックアップするピックアップ手段とを備え、
上記ピックアップ手段は、
上記農作物を左右から挟んで、後方に向かわせるように動作してローディングする左右の側部コンベアと、
上記農作物を載せて後方に向かわせるように動作する底部コンベアとを含んで構成され、
上記底部コンベアは、底部コンベアベルトの送り速度が、上記左右の側部コンベアのうち少なくともいずれか一方の側部コンベアベルトの送り速度とおなじ速度になるよう設定されている
ことを特徴とする農作物の収穫装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場に存在する農作物を収穫する農作物の収穫装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
圃場に散在する農作物の収穫は、人力で行わなければならないケースがある。たとえばカボチャの収穫がそうである。
カボチャは、地面を這うように蔓が伸び、地表に転がるように実が生育する。その収穫作業は、まず蔓から実を切り離し、それらを1トン程度の実が入る鉄製コンテナに人力で運び入れる。そのコンテナをフォークリフト等でトラックに積み込むことが行われる。
カボチャの実は1個あたり1.5~3kg程度の重量がある。蔓から切り離した実を拾い上げてコンテナまで、ひとつずつ人手で持ち運ばなければならない。その作業は腰や腕への肉体的な負担が大きい。たいへんな重労働である。
【0003】
上記の問題に対する先行技術文献として、本出願人は下記の特許文献1~5を把握している。
【0004】
特許文献1は、「カボチャ収穫機」に関するものであり、つぎの記載がある。
〔0009〕
本考案のカボチャ収納機は、
図1に示すように、カボチャを収穫地点からコンテナ4付近まで移動させるための搬送コンベアー1aと搬送コンベアー1aの後部に設けられたローラー付台1bからなる搬送ユニット1二組と、輸送用平パレット3から構成されており、これら二組の搬送ユニット1は、搬送ユニット1の長手方向が輸送用平パレット3の長辺と平行に位置するように対称に適宜な間隔、例えば収穫作業人が乗ることができるスペースを設け、かつ、トラクターとの間にコンテナ4を収納するスペースを設けて輸送用平パレット3上に配置される。
〔0010〕
本考案のカボチャ収穫機を用いて作業員三人で収穫していく場合(トラクター運転手は別)の実施例について以下に説明する。
図2に示すように、定植に使用した三本の農業用マルチフィルム5のうち、左右二本の農業用マルチフィルム5上にはツルから刈取られたカボチャが置かれており、カボチャが置かれていない中央の農業用マルチフィルム5上をコンテナ4を積んだトラクターが走行する。左右二本の農業用マルチフィルム5に作業員一人ずつを配置し、トラクターの移人動に合わせ歩きながら、搬送コンベヤー1a端部の上に農業用マルチフィルム5上に点在するカボチャを乗せていく。残り一人の作業員は、輸送用平パレット3上の二組の搬送ユニット1の間に搭乗し、ローラー付台1bに運ばれてきたカボチャをコンテナ4の中に入れる作業を行う。
【0005】
特許文献2は、「作物拾上げ収穫機」に関するものであり、つぎの記載がある。
〔請求項1〕
走行装置(9)で走行可能にした機体フレーム(1)に掻込装置(55)と拾上げ搬送装置(22)を設け、圃場に在る作物を前記拾上げ搬送装置(22)上に載せて機体後部の作物収容部(38)に搬送する作物拾上げ収穫機において、前記作物収容部(38)を昇降機構(44)で上昇可能にしたことを特徴とする作物拾上げ収穫機。
〔0028〕
また、該左右の搬送フレーム18,18の機体前側、即ち前端側には、搬送従動スプロケット19,19を各々回転自在に設け、該左右の搬送従動スプロケット19,19と左右の搬送駆動スプロケット17,17に亘って搬送伝動チェーン20,20を無端状に巻回する。さらに、該左右の搬送伝動チェーン20,20の左右間には、作物を載置して搬送する複数の搬送バー21を、前後方向に所定間隔毎に配置することにより、拾上げ搬送装置22が構成される。
〔0060〕
該掻込装置55は、側面視で反時計回り方向に回転し、前記拾上げ搬送装置22の搬送始端部にある作物を掻込板54で拾上げ搬送装置22の搬送方向下手側に押し上げることで、作物が確実に搬送される状態とするものである。
【0006】
特許文献3は、「結球野菜収穫機」に関するものであり、つぎの記載がある。
〔0019〕
操縦部4の左側には、キャベツ等の結球野菜Aを引き抜いて後方に搬送する収穫作業部13が配置されている。実施形態の収穫作業部13は、結球野菜Aを引き抜き結球部を挟持して後方に搬送する引抜き搬送装置14を備えている。引抜き搬送装置14は、前端側に位置する左右一対の掻込みホイール16L,16Rと、左右一対の根茎搬送体17L,17Rと、根茎搬送体17L,17Rの上方に前低後高に傾斜して設けられた左右一対の縦搬送ベルト18L,18Rとを備えている。側面視で縦搬送ベルト18L,18Rと根茎搬送体17L,17Rの間に、搬送中の結球野菜Aの根茎部を切断する切断装置19が配置されている。
〔0021〕
根茎搬送体17L,17Rは、互いに内向きに周回駆動することによって、結球野菜Aの根茎部を左右から挟持して当該根茎部を切断装置19に向けて案内するものである。根茎搬送体17L,17Rも前低後高状に傾斜した姿勢で設けられている。縦搬送ベルト18L,18Rは、互いに内向きに周回駆動することによって、結球野菜Aの結球部を左右から挟持して状態で後ろ斜め上方に搬送するものである。実施形態の縦搬送ベルト18L,18Rは、側面視で根茎搬送体17L,17Rと平行状に配置されている。従って、縦搬送ベルト18L,18Rも、根茎搬送体17L,17Rと同様に、前低後高状に傾斜した姿勢で設けられている。
【0007】
特許文献4は、「結球野菜収穫機」に関するものであり、つぎの記載がある。
〔0019〕
操縦部4の左側には、結球野菜Aを引き抜いて後方に搬送する収穫作業部13が配置されている。収穫作業部13は、結球野菜Aを引き抜いて結球部を挟持し後方に搬送する引抜き搬送装置14と、搬送中の結球野菜Aの根茎部を切断する切断装置19とを備えている。引抜き搬送装置14は、前端側に位置する左右一対の掻込ホイール16L,16Rと、左右一対の根茎搬送帯17L,17Rと、根茎搬送帯17L,17Rの上方後部に前低後高に傾斜して設けられた左右一対の結球搬送帯18L,18Rとを備えている。側面視で結球搬送帯18L,18Rと根茎搬送帯17L,17Rの間に、切断装置19が配置されている。
〔0022〕
根茎搬送帯17L,17Rは、互いに内向きに周回駆動することによって、結球野菜Aの根茎部を左右から挟持して当該根茎部を切断装置19に向けて案内するものである。根茎搬送帯17L,17Rも前低後高状に傾斜した姿勢で設けられている。結球搬送帯18L,18Rは、互いに内向きに周回駆動することによって、結球野菜Aの結球部を左右から挟持した状態で後ろ斜め上方に搬送するものである。実施形態の結球搬送帯18L,18Rは、側面視で根茎搬送帯17L,17Rと平行状に配置されている。従って、結球搬送帯18L,18Rも、根茎搬送帯17L,17Rと同様に、前低後高状に傾斜した姿勢で設けられている。
【0008】
特許文献5は、「収穫機」に関するものであり、つぎの記載がある。
〔0013〕
挟持搬送部10は、
図1及び
図2に示すように、薄荷収穫機1の前部における圃場の地面付近に当たる位置から後方且つ斜め上方に向かって延びている。
図1は外装カバーが設けられた状態の挟持搬送部10を示し、
図2は外装カバーが取り外された状態の挟持搬送部10を示す。挟持搬送部10は、フレーム11L及び11Rと、搬送ベルト12L及び12Rと、駆動プーリ13L及び13Rと、従動プーリ14L及び14Rとを有している。これらの各構成は、左右一対に設けられている。以下、左右一対に設けられた構成を示す符号において、Lが付くものは左右一対のうち左側の構成を、Rが付くものは左右一対のうち右側の構成を示すものとする。
〔0029〕
以下、薄荷収穫機1による薄荷の収穫方法について説明する。挟持搬送部10において駆動機構60が駆動プーリ13L及び13Rを駆動させると、搬送ベルト12Lが
図2中、時計回りに、搬送ベルト12Rが
図2中、反時計回りにそれぞれ走行する。また、これに連動し、作物掻込部20において、掻込ベルト21Lが
図2中、時計回りに、掻込ベルト21Rが
図2中、反時計回りにそれぞれ回転する。薄荷収穫機1に搭乗した操縦者が、圃場に生えた薄荷の列に向かって薄荷収穫機1を前進させると、掻込ベルト21L及び21Rが薄荷を掻き込んで挟持搬送部10の前部へと誘導する。誘導された薄荷は挟持搬送部10の前部において、搬送ベルト12Lと搬送ベルト12Rとに挟持されつつ、カッター8L及び8Rによって根元から切断される。切断された薄荷は、上下方向に延びた姿勢(
図4参照)で搬送ベルト12L及び12Rによって挟持されつつ、挟持搬送部10の後部へと搬送される。薄荷の列に沿って薄荷収穫機1を前進させると、列に沿って並んだ複数本の薄荷がカッター8L及び8Rによって順に切断されていくとともに、挟持搬送部10によって連続して搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】実用新案登録第3211730号公報
【文献】特開2017-175997号公報
【文献】特開2014-18084号公報
【文献】特開2017-153449号公報
【文献】特許第6659395号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1のカボチャ収穫機は、搬送コンベアー1aにより、カボチャを収穫地点からコンテナ4付近まで移動させることができる。
しかしながら、このカボチャ収穫機では、地面に転がったカボチャを拾上げる作業は人力によって行わねばならない。この作業は依然として、腰や腕への肉体的な負担が大きな重労働である。
【0011】
特許文献2の作物拾上げ収穫機は、掻込装置(55)と拾上げ搬送装置(22)により、圃場に在る作物を拾上げて収穫する。
しかしながら、この作物拾上げ収穫機は、掻込装置(55)と拾上げ搬送装置(22)が機体フレーム(1)の幅いっぱいに設けられいる。つまり、設備自体が大掛かりで設備効率が悪く、コスト面において不利である。
【0012】
特許文献3の結球野菜収穫機は、左右一対の縦搬送ベルト18L,18Rによって結球野菜Aの結球部を左右から挟持して搬送する。つまり、キャベツ、レタス、ハクサイのように比較的重量の軽い結球野菜の収穫に適したものであり、カボチャのように重量がある農作物の収穫には適用するのが難しい。また、特許文献3の結球野菜収穫機は、結球野菜Aが一定間隔で並ぶ列状になるよう栽培された圃場において、列状の結球野菜Aを順次収穫するのに適したものである。つまり、カボチャのように圃場に散在する農作物をピックアップする収穫には適用するのが難しい。
【0013】
特許文献4の結球野菜収穫機は、左右一対の結球搬送帯18L,18Rによって結球野菜Aの結球部を左右から挟持した状態で搬送するものである。つまり、特許文献3と同様に、重量があるカボチャ等の農作物の収穫に適用するのは難しい。また、特許文献4の結球野菜収穫機も、一定間隔で結球野菜Aが列状に並ぶ圃場において、列状の結球野菜Aを順次収穫するのに適したものである。つまり、特許文献3と同様に、圃場に散在するカボチャのような農作物をピックアップする収穫に適用するのは難しい。
【0014】
特許文献5の収穫機は、薄荷のような葉物野菜を挟持搬送部10で搬送して収穫するものであり、特許文献3と同様に、圃場に散在するカボチャのような農作物をピックアップする収穫に適用することができない。
【0015】
本発明の目的は、上記課題を解決した農作物の収穫装置を提供することにある。
つまり、設備効率のよい機構で、圃場に存在する農作物のピックアップを自動化した農作物の収穫装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1の農作物の収穫装置は、上記目的を達成するため、つぎの構成を採用した。
圃場を走行できる走行機体と、
上記走行機体の前方において、上記圃場に存在する農作物を所定のピックアップエリアに向かって掻寄せる掻寄手段と、
上記ピックアップエリアにおいて上記農作物をピックアップするピックアップ手段とを備え、
上記掻寄手段は上記ピックアップエリアに対する左右いずれかに設けられ、
上記ピックアップ手段は、
上記農作物を左右から挟んで、後方に向かわせるように動作してローディングする左右の側部コンベアと、
上記農作物を載せて後方に向かわせるように動作する底部コンベアとを含んで構成され、
上記左右の側部コンベアは、対面する左右の側部コンベアベルトのうち上記掻寄手段が設けられていない方の前端が、他方よりも前方に位置するよう構成されている。
【0020】
請求項2の農作物の収穫装置は、上記請求項1記載の構成に加え、つぎの構成を採用した。
上記左右の側部コンベアは、上記底部コンベアの前端より前に突出する部分において、対面する左右の側部コンベアベルト同士のベルト面の距離が、前方の開放側が広がるよう構成されている。
【0021】
請求項3の農作物の収穫装置は、上記請求項1記載の構成に加え、つぎの構成を採用した。
上記左右の側部コンベアは、
対面する左右の側部コンベアベルト同士のベルト面の距離が、前方の開放側が広がるよう構成され、
上記広がる部分の根元部が、対面する相手側に向かってそれぞれの側部コンベアベルトを内側から付勢する第1の可動プーリーにより、隘路状に構成されている。
【0023】
請求項4の農作物の収穫装置は、上記請求項1記載の構成に加え、つぎの構成を採用した。
上記対面する左右の側部コンベアベルトの前端のうち少なくとも一方が、
第2の可動プーリーにより外側に広がることができるように構成されている。
【0026】
請求項5の農作物の収穫装置は、上記請求項1記載の構成に加え、つぎの構成を採用した。
上記左右の側部コンベアは、対面する左右の側部コンベアベルト同士のベルト面の距離が、底部コンベアに近いほうが広くなるよう構成されている。
【0029】
請求項6の農作物の収穫装置は、上記請求項1~5のいずれか一項に記載の構成に加え、つぎの構成を採用した。
上記左右の側部コンベアのうち少なくとも一方は、側部コンベアベルトが、側部コンベアベルトの内側から対面する相手側に向かって上記側部コンベアベルトを付勢する1または2以上の付勢プーリーに掛け渡されている。
【0030】
請求項7の農作物の収穫装置は、上記目的を達成するため、つぎの構成を採用した。
圃場を走行できる走行機体と、
上記走行機体の前方において、上記圃場に存在する農作物を所定のピックアップエリアに向かって掻寄せる掻寄手段と、
上記ピックアップエリアおいて、上記農作物をピックアップするピックアップ手段とを備え、
上記ピックアップ手段は、
上記農作物を左右から挟んで、後方に向かわせるように動作してローディングする左右の側部コンベアと、
上記農作物を載せて後方に向かわせるように動作する底部コンベアとを含んで構成され、
上記底部コンベアは、底部コンベアベルトの送り速度が、上記左右の側部コンベアのうち少なくともいずれか一方の側部コンベアベルトの送り速度とおなじ速度になるよう設定されている。
【発明の効果】
【0034】
請求項1記載の農作物の収穫装置は、走行機体と掻寄手段とピックアップ手段を備えている。上記走行機体は圃場を走行する。上記掻寄手段は、上記走行機体の前方において、上記圃場に存在する農作物を所定のピックアップエリアに向かって掻寄せる。上記ピックアップ手段は、上記ピックアップエリアにおいて、上記農作物をピックアップする。上記掻寄手段は上記ピックアップエリアに対する左右いずれかに設けられている。上記ピックアップ手段は、左右の側部コンベアと底部コンベアとを含んで構成される。上記左右の側部コンベアは、対面する左右の側部コンベアベルトのうち上記掻寄手段が設けられていない方の前端が、他方よりも前方に位置するよう構成されている。
上記走行機体の走行に伴って、左右の側部コンベアが上記農作物を左右から挟んで上記底部コンベアに載せるように上記農作物をローディングし、上記底部コンベアが、上記農作物を載せて後方に向かって送る。このとき、ピックアップした農作物を3つのコンベアベルトで三方から保持し、安定して後方に向かって送り、収穫することができる。このように、設備効率のよい機構で、圃場に存在する農作物のピックアップを自動化することができる。
さらに、上記ピックアップエリアに対する左右いずれかに設けられた上記掻寄手段が、上記圃場に存在する農作物を上記ピックアップエリアに向かって掻寄せる。したがって、列状に植わっていない農作物を掻寄せてピックアップできる。このため、収穫の対象となる幅が広がり、収穫効率がよくなり、収穫コストを低減できる。このとき、上記左右の側部コンベアが、対面する左右の側部コンベアベルトのうち上記掻寄手段が設けられていない方の前端が、他方よりも前方に位置するよう構成されている。このため、上記掻寄手段によってピックアップエリアに向かって掻き寄せられる農作物は、上記左右の側部コンベアベルトのうち前に位置した前端でキャッチされて、ピックアップされる。さらに、上記左右の側部コンベアは、対面する左右の側部コンベアベルトのうち一方の前端が、他方よりも前方に位置することになる。このため、小さな農作物をピックアップするときに、上記左右の側部コンベアベルトのうち前に位置した前端で農作物がキャッチされて、ピックアップされ、収穫する農作物の大きさにばらつきがあっても、確実にピックアップできる。
【0038】
請求項2記載の農作物の収穫装置は、対面する左右の側部コンベアベルト同士のベルト面の距離が、前方の開放側において広がっており、その部分が上記底部コンベアの前端より前に突出している。したがって、上記走行機体の走行にともなって、上記左右の側部コンベアベルト同士の距離が広がった部分に侵入してくる農作物を、左右の側部コンベアベルトが挟み込み、上記底部コンベアに載せることでピックアップできる。このように、圃場に存在する農作物を確実にピックアップして収穫することができる。
【0039】
請求項3の農作物の収穫装置は、上記左右の側部コンベアが、対面する左右の側部コンベアベルト同士のベルト面の距離が、前方の開放側が広がるよう構成される。そして、上記広がる部分の根元部が、対面する相手側に向かってそれぞれの側部コンベアベルトを内側から付勢する第1の可動プーリーにより、隘路状に構成されている。このようにすることにより、上記隘路より先端側の左右の側部コンベアによって、圃場に転がる農作物を挟みやすく、確実にピックアップして収穫できる。
【0041】
請求項4の農作物の収穫装置は、上記対面する左右の側部コンベアベルトの前端のうち少なくとも一方が、第2の可動プーリーにより外側に広がることができるように構成されている。このようにすることにより、大きな農作物をピックアップするときに、上記対面する左右の側部コンベアベルトの前端のうち少なくとも一方が外側に広がってピックアップする。このため、収穫する農作物の大きさにばらつきがあっても、確実にピックアップできる。
【0044】
請求項5記載の農作物の収穫装置は、対面する左右の側部コンベアベルト同士のベルト面の距離が、底部コンベアに近いほうが広い。このため、左右の側部コンベアベルトと底部コンベアベルトにより、前方から後方に農作物を送るための大略三角形の通路が形成される。したがって、ピックアップされた農作物が3つのコンベアベルトで三方から保持され、安定して後方に向かって送られる。
【0047】
請求項6記載の農作物の収穫装置は、上記左右の側部コンベアのうち少なくとも一方が1または2以上の付勢プーリーに掛け渡されている。上記付勢プーリーに掛け渡された側部コンベアベルトは、側部コンベアベルトの内側から対面する相手側に向かって付勢される。これにより、農作物を左右から挟んで上記底部コンベアに載せるときに、付勢された側部コンベアベルトは、通過する農作物に沿って付勢力に抗して後退する。上記底部コンベアに載った上記農作物を後方に向かって送るときも同様である。したがって、ピックアップされた農作物が3つのコンベアベルトにより包まれるようになり、より安定して後方に向かって送られる。
【0048】
請求項7記載の農作物の収穫装置は、走行機体と掻寄手段とピックアップ手段を備えている。上記走行機体は圃場を走行する。上記掻寄手段は、上記走行機体の前方において、上記圃場に存在する農作物を所定のピックアップエリアに向かって掻寄せる。上記ピックアップ手段は、上記ピックアップエリアにおいて、上記農作物をピックアップする。また、上記ピックアップ手段は、左右の側部コンベアと底部コンベアとを含んで構成される。上記左右の側部コンベアは、上記農作物を左右から挟んで、後方に向かわせるように動作してローディングする。上記底部コンベアは、上記農作物を載せて後方に向かわせるように動作する。
これにより、上記走行機体の走行に伴って、上記掻寄手段が上記圃場に存在する農作物を上記ピックアップエリアに向かって掻寄せ、左右の側部コンベアが上記農作物を左右から挟んで上記底部コンベアに載せるように上記農作物をローディングし、上記底部コンベアが、上記農作物を載せて後方に向かって送る。このとき、ピックアップした農作物を3つのコンベアベルトで三方から保持し、安定して後方に向かって送り、収穫することができる。このように、設備効率のよい機構で、圃場に存在する農作物のピックアップを自動化することができる。さらに、上記底部コンベアは、底部コンベアベルトの送り速度が、上記左右の側部コンベアのうち少なくともいずれか一方の側部コンベアベルトの送り速度とおなじ速度になるよう設定されている。つまり、三方から農作物を保持する3つのコンベアベルトのうち2つを同じ速度で送る。これにより、ピックアップされた農作物が3つのコンベアベルトにより安定して後方に向かって送られる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】本発明の第1実施形態を説明する図であり、農作物の収穫装置を車体の上から見た図である。
【
図2】上記農作物の収穫装置を車体の左側から見た図である。
【
図3】掻寄手段を説明する図であり、(A)は斜視図、(B)(C)は機能を説明する図である。
【
図4】ピックアップ手段を上から見て説明する図である。
【
図5】上記ピックアップ手段を横から見て説明する図である。
【
図6】側部コンベアを示す図であり、(A)は平面図、(B)は側面図である。
【
図7】上記ピックアップ手段の一部を構成する底面コンベアと側部コンベアの位置関係を説明する図である。
【
図8】切断手段の一例を示す図であり、(A)は上から見た図、(B)は横から見た図である。
【
図10】底部送り手段の第2変形例を示す図である。
【
図11】ローディング手段の第1変形例を示す図である。
【
図12】ローディング手段の第2変形例を示す図である。
【
図14】切断手段の変形例を示す図であり、(A)は第1変形例、(B)は第2変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
◆第1実施形態
図1~
図8は、本発明の第1実施形態を説明する図である。
【0054】
本実施形態は、本発明を、農作物の一例としてカボチャを収穫する収穫装置に適用した例を説明する。
【0055】
〔概略〕
図1~2は、上記収穫装置の全体構造を説明する図である。
この収穫装置は、走行機体1、ピックアップ手段10、掻寄手段70、搬送手段50および収容容器60を備えている。
なお、
図1と
図2では、図の左が走行機体1の前方、図の右が走行機体1の後方である。したがって、
図1では、図の上が走行機体1の右側、図の下が走行機体1の左側にあたる。
【0056】
上記走行機体1には、車体前方に上記ピックアップ手段10と掻寄手段70が設けられ、車体上に搬送手段50が、車体後方に上記収容容器60が配置されている。
【0057】
上記収穫装置では、上記走行機体1の走行に伴って、上記走行機体1の車幅前方に存在する農作物を、上記掻寄手段70により所定のピックアップエリア2に向かって掻き寄せる。上記ピックアップエリア2に集まった農作物を、車体前方の上記ピックアップ手段10によりピックアップする。上記ピックアップ手段10でピックアップされた農作物は、上記搬送手段50で走行機体1の後方に搬送され、収容容器60に収容される。
【0058】
〔走行機体1〕
上記走行機体1は、車体の下部に無限軌道3を有し、車体の上部に座席4が設けられている。上記無限軌道3は、当該走行機体1が圃場を走行するための走行手段として機能する。上記座席4は、運転等の操作を行う作業者が着席するためのものである。上記走行機体1は、駆動エンジン、バッテリー、油圧機構等(いずれも図示していない)が搭載されている。
【0059】
上記走行機体1の車体上部には、上記搬送手段50が設けられている。上記搬送手段50は、ピックアップされた農作物を、車体前方から車体後方まで搬送する。つまり、上記搬送手段50は、車体前方から車体後方にわたって設けられている。
【0060】
上記収穫装置では、走行機体1の左右の片側寄りに上記座席4が配置されている。上記搬送手段50は、上記座席4と反対側寄りの、上記座席4を避けるエリアに配置されている。この例では、上記座席4は、上記走行機体1の右側寄りに配置されている。上記搬送手段50は、上記走行機体1の左側寄りを通るように配置されている。
【0061】
上記走行機体1の前方には、ピックアップ手段10が設けられている。上記ピックアップ手段10は、上記搬送手段50の前端部分に配置されている。
【0062】
当該走行機体1における幅に対する一部分にピックアップエリア2が設けられている。上記ピックアップエリア2は、上記ピックアップ手段10の前端部に対応するエリアである。つまりこの例では、上記ピックアップエリア2は、当該走行機体1の横幅(車幅)のうち左寄りの所定幅の部分に設けられたエリアである。
【0063】
〔掻寄手段70〕
上記走行機体1の前方における、上記ピックアップエリア2以外の部分(この例では車体の前方右側の領域である)に、上記掻寄手段70が設けられている。上記掻寄手段70は、上記走行機体1の走行に伴って、上記圃場に存在する農作物が上記掻寄手段70の前方に迫ったときに、その農作物を上記ピックアップエリア2に向かって掻寄せる。上記掻寄手段70は、上記ピックアップエリア2の両側に設けることもできる。
【0064】
図3は、上記掻寄手段70の一例を説明する図である。(A)は斜視図、(B)(C)は機能を説明する図である。
【0065】
図3(A)に示すように、この例では、上記掻寄手段70は、掻寄ローラ71と、上記掻寄ローラ71の上部に配置されて上記農作物が上記掻寄ローラ71を乗り越えないように規制する規制部材72とを含んで構成されている。
【0066】
上記掻寄ローラ71は、走行機体1の走行方向に対して斜めに配置されている。具体的には、上記掻寄ローラ71のピックアップエリア2に近い側が後方に、ピックアップエリア2から遠い側が前方に位置している。この状態で、上記掻寄ローラ71は、走行機体1の走行中、図示しない回転駆動手段により矢印P方向に回転駆動される。つまり、掻寄ローラ71に当たった農作物が持ち上がる方向に掻寄ローラ71を回転させ、掻寄ローラ71や地面と農作物との接触抵抗を低減する。
【0067】
上記規制部材72は、上記矢印P方向に回転する掻寄ローラ71に当たった農作物が、掻寄ローラ71を乗り越えてしまうのを防止する。
【0068】
これにより、圃場に存在する農作物は、走行機体1の走行に伴って上記掻寄ローラ71の前方に迫り、上記掻寄ローラ71に当たると矢印Q方向に転がって、ピックアップエリア2に向かって掻寄せられる。
【0069】
上記掻寄ローラ71の回転方向や回転数は、圃場に存在する農作物の状態に応じて変更することができるように構成されている。
【0070】
図3(B)(C)に示すように、上記走行機体1の走行方向に対する上記掻寄手段70の角度を可変しうるように構成されている。具体的には、掻寄手段70のピックアップエリア2から遠い側と車体との距離を、シリンダ73の伸縮によって変えるようになっている。
【0071】
図3(B)は、傾斜角を深くした例、
図3(C)は、傾斜角を浅くした例である。圃場や農作物の状態により、農作物が矢印Q方向に転がりにくいときは、傾斜角が深くなるよう設定することができる。農作物が矢印Q方向に転がりやすいときは、傾斜角が浅くなるよう設定することができる。
【0072】
〔ピックアップ手段10〕
図4は、上記ピックアップ手段10を上から見て説明する図である。
図5は、上記ピックアップ手段10を横から見て説明する図である。
【0073】
上記ピックアップ手段10は、上記圃場に存在する農作物を、上記走行機体1の走行に伴って上記ピックアップエリア2においてピックアップする。
【0074】
上記ピックアップ手段10は、底部送り手段11とローディング手段21とを含んで構成されている。
上記底部送り手段11は、上記農作物を載せて後方に向かわせるためのものである。
上記ローディング手段21は、上記農作物を挟んで上記底部送り手段11に載せるためのものである。
【0075】
〔底部送り手段11〕
上記底部送り手段11は、この例では、上記農作物を載せて後方に向かわせるように動作する底部コンベア11Aである。上記底部コンベア11Aは、ベルト面が水平になるよう配置されたエンドレスの平ベルトである底部コンベアベルト12を含んで構成される。上記底部コンベアベルト12を掛ける前端側のプーリー11Bが、後端側のプーリー(図示せず)よりも小径である。上記後端側のプーリーが駆動プーリーであり、上記底部コンベアベルト12に対して送り駆動力を付与する。上記底部コンベア11Aは、前端側のプーリー11Bから後端側のプーリーに向かって、上を向いたベルト面が、走行機体1の走行面に対して登り傾斜となるように配置されている。
【0076】
〔ローディング手段21〕
上記ローディング手段21は、この例では、上記農作物を左右から挟んで上記底部コンベア11Aに載せるように動作する左右の側部コンベア22A,22Bである。上記左右の側部コンベア22A,22Bは、上記底部コンベア11Aに載った上記農作物を後方に向かわせるようにも動作する。
【0077】
図4に示すように、上記左右の側部コンベア22A,22Bは、上記底部コンベア11Aの前端11Cより前に突出する部分23A,23Bが設けられている。上記突出する部分23A,23Bにおいて、対面する左右の側部コンベア22A,22Bにおける左右の側部コンベアベルト30A,30B同士のベルト面の距離が、前方の開放側が広がるよう構成されている。上記両側部コンベアベルト30A,30B同士の距離が前方に開放する略三角形の領域により、上述したピックアップエリア2が形成される。このピックアップエリア2に前方から入ってきた農作物が、左右の側部コンベアベルト30A,30Bによって挟まれ、後方に送られる。これにより農作物がピックアップされて上記底部コンベア11Aに載せられ、ローディングが行われる。したがって、左右の側部コンベア22A,22Bの両側部コンベアベルト30A,30Bは、それぞれ対面する内側が後方に向かう方向に送られる。
【0078】
図7は、上記ピックアップ手段10の一部を構成する底面コンベア11Aと左右の側部コンベア22A,22Bの位置関係を説明する図である。
上記左右の側部コンベア22A,22Bは、対面する左右の側部コンベアベルト30A,30B同士のベルト面の距離が、底部コンベア11Aに近いほうが広くなるよう構成されている。つまり、上記底部コンベア11Aの農作物が載る上面11Dと、左右の側部コンベア22A,22Bの農作物を挟む内面24A,24Bが、前から見て三角形を呈するように構成されている。このような構成により、ピックアップされた農作物は、3つのコンベアベルトで三方から保持されて上記三角形の通路を通り、安定して後方に向かって送られる。上記底部コンベア11Aの上面11Dに対する左右の内面24A,24Bの角度は、たとえば45°~60°程度に設定することができる。
【0079】
〔側部コンベア〕
図6は、右側の側部コンベア22Bを示す図である。(A)は側面図、(B)は平面図である。左側の側部コンベア22Aは、基本的に、上記右側の側部コンベア22Bと左右対称に構成されているので、図示を省略した。
【0080】
上記左右の側部コンベア22A,22Bは、左右の側部コンベアベルト30A,30Bがそれぞれ、側部コンベアベルト30A,30Bの内側から対面する相手側に向かって上記側部コンベアベルト30A,30Bを付勢するそれぞれ3つの付勢プーリー31A,31B,31Cに掛け渡されている。
【0081】
この例では、3つの付勢プーリー31A,31B,31Cを用いたが、付勢プーリーは片側に1つ以上あればよい趣旨である。また、この例では、左右の側部コンベアベルト30A,30Bをそれぞれ付勢プーリーに掛け渡すようにしたが、左右のうち少なくとも一方が付勢プーリーに掛け渡されていればよい。
【0082】
図6に示した例では、上記側部コンベアベルト30Bは、前端プーリー32と後端プーリー33に掛け渡されている。上記前端プーリー32は前後方向に延びるコンベアフレーム36の前端に配置され、上記後端プーリー33は上記コンベアフレーム36の後端に配置されている。上記後端プーリー33が駆動プーリーであり、上記側部コンベアベルト30Bに対して送り駆動力を付与する。
【0083】
また、前端プーリー32と後端プーリー33の間において、側部コンベアベルト30Bを対面する相手側に向かって内側から付勢プーリー31A,31B,31Cが付勢している。前端側から第1付勢プーリー31A、第2付勢プーリー31B、第3付勢プーリー31Cである。
【0084】
上記側部コンベア22Bでは、コンベアフレーム36に対する上記第1付勢プーリー31A、第2付勢プーリー31B、第3付勢プーリー31Cの反対側では、上記側部コンベアベルト30Bは、4つの固定プーリー38と1つのテンションプーリー39に掛け渡されている。
【0085】
上記第1付勢プーリー31A、第2付勢プーリー31B、第3付勢プーリー31Cは、それぞれ第1揺動アーム34A、第2揺動アーム34B、第3揺動アーム34Cの先端部分に設けられている。上記第1揺動アーム34A、第2揺動アーム34B、第3揺動アーム34Cの根元部は、それぞれ上記コンベアフレーム36に軸支されている。
【0086】
上記第1揺動アーム34A、第2揺動アーム34B、第3揺動アーム34Cは、それぞれ第1ばね部材35A、第2ばね部材35B、第3ばね部材35Cにより支持されている。上記第1ばね部材35A、第2ばね部材35B、第3ばね部材35Cは、それぞれ引張ばねである。上記第1ばね部材35A、第2ばね部材35B、第3ばね部材35Cは、それぞれその一端が上記コンベアフレーム36に対して連結され、それぞれの他端が上記第1揺動アーム34A、第2揺動アーム34B、第3揺動アーム34Cの根元側に設けられた第1フック37A、第2フック37B、第3フック37Cに連結されている。
【0087】
このような構造により、上記第1揺動アーム34A、第2揺動アーム34B、第3揺動アーム34Cは、第1付勢プーリー31A、第2付勢プーリー31B、第3付勢プーリー31Cに対してベルトの外側から力(図示の矢印X)が加わると、それぞれ第1ばね部材35A、第2ばね部材35B、第3ばね部材35Cのばね弾性力に抗して矢印R1、矢印R2、矢印R3方向に揺動しうるように支持されている。
【0088】
上記のような構造で左右の側部コンベア22A,22Bが構成されることにより、対面する左右の側部コンベアベルト30A,30Bのあいだに農作物が挟まれて後方に送られるとき、農作物の通過に応じて第1付勢プーリー31A、第2付勢プーリー31B、第3付勢プーリー31Cが後方に逃げる。これにより、通過する農作物を潰さずに保持して確実に通過させることができる。
【0089】
〔ベルト送り制御〕
上記左右の側部コンベア22A,22Bは、左右の側部コンベアベルト30A,30Bの送り速度が異なる速度になるよう設定されている。このようにすることにより、ピックアップエリア2に複数の農作物が同時に侵入してしまったとしても、それら複数の農作物は前後方向に並ぶように配置が変わり、1個ずつスムーズにピックアップされる。
【0090】
上記底部コンベア11Aは、底部コンベアベルト12の送り速度が、上記左右の側部コンベア22A,22Bのうち少なくともいずれか一方の側部コンベアベルト30A,30Bの送り速度と実質的におなじ速度になるよう設定されている。
【0091】
具体的には、この例では、上記底部コンベアベルト12の送り速度が、上記左右の側部コンベア22A,22Bのうち送り速度の遅い方の側部コンベアベルト30A,30Bと実質的におなじ送り速度になるよう設定する。つまり、三方から農作物を保持する3つのコンベアベルトのうち2つを同じ速度で送る。このようにすることにより、ピックアップされた農作物が3つのコンベアベルトにより安定して後方に向かって送られる。
【0092】
〔切断手段41〕
図8は、切断手段41の一例を示す図である。(A)は上から見た図、(B)は横から見た図である。
この上記収穫装置では、上記底部送り手段11の左右少なくともいずれか一方に、上記走行機体1の走行にともなって上記底部送り手段11の上部に乗り上げる茎葉を切断する切断手段41が配置されている。この例では、上記切断手段41は、上記底部送り手段11の左右にそれぞれ配置された回転鋸である。上記走行機体1の走行にともなって上記底部送り手段11の上部に乗り上げようとする茎葉を上記切断手段41が切断することにより、茎葉の絡まりによるトラブルを未然に防止できる。
【0093】
〔搬送手段50〕
上記搬送手段50は、上記ピックアップ手段10でピックアップされた農作物を搬送する。上記搬送手段50により、車体前方のピックアップエリア2でピックアップされた農作物を、車体後方の収容容器60まで搬送する。
【0094】
この例では、上記搬送手段50は、第1コンベア51、第2コンベア52、第3コンベア53を含んで構成されている。
【0095】
上記第1コンベア51は、車体の左寄りにおいて前後に延び、前端部が地面近くに位置して登り傾斜するように配置されている。上記第1コンベア51の後端部は、収容容器60の上部開口の高さである。上記第1コンベア51の前端部が、上記ピックアップエリア2である。上記第1コンベア51では、登り傾斜でも農作物が転がり落ちないように、たとえば、サン付きベルトを用いることができる。
【0096】
上記第2コンベア52は、上記第1コンベア51の後端部において、車体の左右方向に延びるように配置されている。上記第2コンベア52により、上記第1コンベア51で搬送されてきた農作物の搬送方向を一旦変える。
【0097】
上記第3コンベア53は、上記第2コンベア52の下流端において、車体の前後方向に延びるよう配置されている。上記第1コンベア51の後端部は、収容容器60の上部開口に達している。これにより、上記第3コンベア53で搬送された農作物を収容容器60内に収容する。
【0098】
上記第1コンベア51の前端部にあるピックアップエリア2において、上記ピックアップ手段10によって農作物が第1コンベア51上に搭載されることにより、上記農作物がピックアップされる。上記第1コンベア51は、ピックアップされた農作物を後方に運び、第2コンベア52に載せる。第2コンベア52は、農作物の搬送方向を一旦変える。第2コンベア52から第3コンベア53に渡された農作物は、第3コンベア53により車体後方の収容容器60まで搬送される。
【0099】
〔収容容器60〕
上記収容容器60は、上記搬送手段50で搬送された農作物を収容する。上記収容容器60は、走行機体1の車体後方に配置されている。上記収容容器60は、上部に開口を有する箱状の容器である。上記収容容器60は、昇降可能なリフト機構61に搭載されている。また、第3コンベア53から投入される農作物が高低差で傷つかないよう、上記収容容器60を傾斜させる傾斜機構(図示せず)を備えている。
【0100】
〔収穫動作〕
本実施形態の収穫装置では、たとえば、つぎのようにして農作物を収穫することができる。
【0101】
たとえば農作物としてカボチャを収穫する場合、あらかじめ茎葉をヘタ部で切断してカボチャの実を切り離し、圃場に点在させておく。
【0102】
走行機体1を圃場で走行させる。この走行に伴って、圃場に点在するカボチャは、走行機体1の前方に迫り、掻寄ローラ71に当たると、ピックアップエリア2に向かって掻き寄せられる。一部のカボチャは掻寄ローラ71に当たらずに、直接ピックアップエリア2に向かう。
【0103】
上記ピックアップエリア2では、左右の側部コンベアベルト30A,30B同士の前方の開放部に入ったカボチャが、上記側部コンベアベルト30A,30Bに挟まれて後方に送られ、ピックアップされて上記底部コンベア11Aに載せられる。その後、左右の側部コンベアベルト30A,30Bと底部コンベアベルト12が後方に向かってカボチャを送る。このときカボチャは、3つのコンベアベルトで三方から保持されて上記三角形の通路を通り、後方に向かって送られる。
【0104】
その後カボチャは、上記搬送手段50でさらに車体の後方に向かって送られて収容容器60に収容され、収穫が行われる。
【0105】
〔まとめ〕
上記第1実施形態の農作物の収穫装置は、たとえばカボチャの収穫に用いることにより、カボチャを人力で拾いあげることなく収穫できる。
【0106】
この場合、あらかじめカボチャを蔓からハサミで切り離し、圃場に点在させておく。その圃場に本装置を走行させることにより、カボチャを地面からピックアップし、収容容器60に収容する。
【0107】
このように、上記第1実施形態は、カボチャの収穫作業において、地面からカボチャを持ち上げてコンテナまで運び入れる作業を機械化する。これにより省力化および省人化を達成する。
【0108】
〔第1実施形態の効果〕
上記第1実施形態は、つぎの作用効果を奏する。
【0109】
上記第1実施形態の農作物の収穫装置は、走行機体1とピックアップ手段10を備えている。上記走行機体1は圃場を走行する。上記ピックアップ手段10は所定のピックアップエリア2を有し、上記走行機体1の前方において上記圃場に存在する農作物をピックアップする。
上記ピックアップ手段10は、底部送り手段11とローディング手段21とを含んで構成されている。上記底部送り手段11は、上記農作物を載せて後方に向かわせるためのものである。上記ローディング手段21は、上記農作物を挟んで上記底部送り手段11に載せるためのものである。上記走行機体1の走行に伴って、上記ローディング手段21が底部送り手段11に農作物を載せ、その農作物を上記底部送り手段11が後方に向かわせる。このように、設備効率のよい機構で、圃場に存在する農作物のピックアップを自動化することができる。
【0110】
上記第1実施形態の農作物の収穫装置は、上記底部送り手段11が、上記農作物を載せて後方に向かわせるように動作する底部コンベア11Aである。このため、ピックアップした農作物を安定して後方に向かって送り、収穫することができる。
【0111】
上記第1実施形態の農作物の収穫装置は、上記ローディング手段21は、上記農作物を左右から挟んで上記底部コンベア11Aに載せるように動作する左右の側部コンベア22A,22Bである。このため、圃場に存在する農作物を左右から支持してピックアップし、安定して後方に向かって送り、収穫することができる。
【0112】
上記第1実施形態の農作物の収穫装置は、上記左右の側部コンベア22A,22Bは、上記底部コンベア11Aに載った上記農作物を後方に向かわせるように動作する。このため、左右の側部コンベア22A,22Bと底部コンベア11Aにより、圃場に存在する農作物を確実にピックアップする。ピックアップした農作物を3つのコンベアベルトで三方から保持し、安定して後方に向かって送り、収穫することができる。
【0113】
上記第1実施形態の農作物の収穫装置は、対面する左右の側部コンベアベルト30A,30B同士のベルト面の距離が、前方の開放側において広がっており、その部分が上記底部コンベア11Aの前端より前に突出している。したがって、上記走行機体1の走行にともなって、上記左右の側部コンベアベルト30A,30B同士の距離が広がった部分に侵入してくる農作物を、左右の側部コンベアベルト30A,30Bが挟み込み、上記底部コンベア11Aに載せることでピックアップできる。このように、圃場に存在する農作物を確実にピックアップして収穫することができる。
【0114】
上記第1実施形態の農作物の収穫装置は、対面する左右の側部コンベアベルト30A,30B同士のベルト面の距離が、底部コンベア11Aに近いほうが広い。このため、左右の側部コンベアベルト30A,30Bと底部コンベアベルト11Aにより、前方から後方に農作物を送るための大略三角形の通路が形成される。したがって、ピックアップされた農作物が3つのコンベアベルトで三方から保持され、安定して後方に向かって送られる。
【0115】
上記第1実施形態の農作物の収穫装置は、上記左右の側部コンベア22A,22Bは、左右の側部コンベアベルト30A,30Bが異なる速度で送られる。このため、ピックアップエリア2に複数の農作物が同時に侵入してしまったとしても、左右の側部コンベアベルト30A,30Bの送り速度が異なるため、それら複数の農作物は前後方向に並ぶように配置が変わり、1個ずつスムーズにピックアップされる。つまり、ピックアップエリア2で複数の農作物が込み合ってピックアップ動作が滞るようなトラブルが防止される。
【0116】
上記第1実施形態の農作物の収穫装置は、左右のうち少なくともいずれか一方の側部コンベアベルト30A,30Bと底部コンベアベルト12は、実質的におなじ速度で送られる。つまり、三方から農作物を保持する3つのコンベアベルトのうち2つを同じ速度で送る。これにより、ピックアップされた農作物が3つのコンベアベルトにより安定して後方に向かって送られる。
【0117】
上記第1実施形態の農作物の収穫装置は、上記左右の側部コンベア22A,22Bのうち少なくとも一方が第1付勢プーリー31A、第2付勢プーリー31B、第3付勢プーリー31Cに掛け渡されている。上記第1付勢プーリー31A、第2付勢プーリー31B、第3付勢プーリー31Cに掛け渡された側部コンベアベルト30A,30Bは、側部コンベアベルト30A,30Bの内側から対面する相手側に向かって付勢される。これにより、農作物を左右から挟んで上記底部コンベア11Aに載せるときに、付勢された側部コンベアベルト30A,30Bは、通過する農作物に沿って付勢力に抗して後退する。上記底部コンベア11Aに載った上記農作物を後方に向かって送るときも同様である。したがって、ピックアップされた農作物が3つのコンベアベルトにより包まれるようになり、より安定して後方に向かって送られる。
【0118】
上記第1実施形態の農作物の収穫装置は、上記走行機体1の前方に掻寄手段70が設けられている。上記掻寄手段70が、上記圃場に存在する農作物を上記ピックアップエリア2に向かって掻寄せる。したがって、列状に植わっていない農作物を掻寄せてピックアップできる。このため、収穫の対象となる幅が広がり、収穫効率がよくなり、収穫コストを低減できる。
【0119】
上記第1実施形態の農作物の収穫装置は、上記掻寄手段70が、掻寄ローラ71と規制部材72とを含んで構成されている。上記規制部材72は、上記掻寄ローラ71の上部に配置されて上記農作物が上記掻寄ローラ71を乗り越えないように規制する。このため、圃場に存在する農作物をもれなく掻寄せてピックアップできる。したがって、圃場に残った農作物を人手で集める余分な作業をしなくてよい。また、圃場に残った農作物を走行機体1が誤って踏み潰すといったロスも生じない。
【0120】
上記第1実施形態の農作物の収穫装置は、上記底部送り手段11の左右少なくともいずれか一方に切断手段41が配置されることにより、上記走行機体1の走行にともなって上記底部送り手段11の上部に乗り上げる茎葉を切断する。これにより、茎葉の絡まりによるトラブルを未然に防止できる。
【0121】
◆変形例
以上は本発明の特に好ましい実施形態について説明したが、本発明は図示した実施形態に限定する趣旨ではない。つまり、本発明は、たとえば下記に示すような各種の態様に変形して実施することができる。
【0122】
〔変形例:底部送り手段11〕
上記底部送り手段11において、上記底部コンベア11Aを、平ベルトコンベアに替えて、丸ゴムベルトコンベアやローラーコンベアにすることもできる。また、上記底部コンベア11Aに替えて、振動フィーダを適用してもよい。
【0123】
図9に示すように、上記底部送り手段11において、上記底部コンベア11Aに替えて、前後方向に沿うように複数のレール81を平行に配置した構造とすることもできる。この例では、左右の側部コンベア22A,22Bによって農作物が挟まれてピックアップされ、その状態でレール81上を滑って後方に送られる。
【0124】
図10に示すように、上記底部送り手段11において、上記底部コンベア11Aに替えて、先端部の回転ローラ83とその後方に配置された固定床82とすることもできる。この例では、左右の側部コンベア22A,22Bと回転ローラ83によって農作物が挟まれてピックアップされる。その後、農作物は左右の側部コンベア22A,22Bに挟まれるとともに固定床82上を滑って後方に送られる。
【0125】
〔変形例:ローディング手段21〕
図11に示すように、上記ローディング手段21として、上述した左右の側部コンベア22A,22Bに替えて、上部コンベア21Aとすることもできる。上記上部コンベア21Aは、上記底部コンベア11Aと対面するように平ベルトが掛け渡されている。上記上部コンベア21Aの平ベルトは、底部コンベア11Aと対面するベルト面が後方に向かって送られる。これにより、上部コンベア21Aと底部コンベア11Aの間に農作物を挟んでピックアップして後方に送る。
【0126】
図12に示すように、上記ローディング手段21として、上述した左右の側部コンベア22A,22Bに替えて、先端コンベア84とすることもできる。上記先端コンベア84は、上記底部コンベア11Aの先端部分と一部対面し、前側が前方に突出している。上記先端コンベア84は、前側プーリ84Aと後側プーリ84Bに平ベルトが掛け渡されている。上記前側プーリ84Aと後側プーリ84Bのいずれか一方または両方が上下に揺動しうるように構成されている。上記先端コンベア84の平ベルトは、底部コンベア11Aと対面するベルト面が後方に向かって送られる。これにより、先端コンベア84と底部コンベア11Aの間に農作物を挟んでピックアップする。ピックアップした農作物が後方に送られるときに、通過する農作物に合わせて前側プーリ84Aと後側プーリ84Bの少なくともいずれかが上下に揺動する。その後は底部コンベア11Aによって農作物が後方に送られる。
【0127】
〔変形例:掻寄手段70〕
図13に示すように、上記掻寄手段70として、上述した掻寄ローラ71に替えて、掻寄ベルト74を適用することもできる。上記掻寄ベルト74は、ピックアップエリア2に向かってエンドレスベルトが送られ、走行機体1の走行にともなって上記掻寄ベルト74に当たった農作物がピックアップエリア2に向かって掻き寄せられる。
【0128】
また、上記掻寄手段70において、上述した掻寄ローラ71をオーガスクリューにすることもできる。
【0129】
〔変形例:切断手段41〕
図14(A)に示すように、上記切断手段41として、回転鋸に替えてバリカン刃41Aを適用することもできる。
【0130】
図14(B)に示すように、上記切断手段41における回転鋸として、遊星キャリア42と遊星刃43を有するものを使用することができる。上記遊星キャリア42は、この例では放射状に延びる4つの遊星アーム42Aを有している。各遊星アーム42Aの先端部にそれぞれ単独で回転する遊星刃43が設けられている。このような構造により、石の飛散が少なくなって安全性が向上する。
【0131】
〔変形例:側部コンベア22A,22B〕
図15は、側部コンベア22A,22Bの第1変形例である。
【0132】
この例では、上記左右の側部コンベア22A,22Bが、対面する左右の側部コンベアベルト30A,30B同士のベルト面の距離が、前方の開放側が広がるよう構成されている。そして、上記広がる部分の根元部が、対面する相手側に向かってそれぞれの側部コンベアベルト30A,30Bを内側から付勢する第1の可動プーリー91により、隘路状に構成されている。
【0133】
つまり、上記左右の側部コンベアベルト30A,30Bは、ピックアップエリア2側に向かって広がっており、底部コンベア11Aの前端11C付近に、ボトルネック状の隘路90が形成されている。上記隘路90は、対面する相手側に向かってそれぞれの側部コンベアベルト30A,30Bを内側から付勢する第1の可動プーリー91によって形成される。ピックアップした農作物が隘路90を通過するときは、上記第1の可動プーリー91が外側に広がる方向に移動して農作物を通過させる。
【0134】
このようにすることにより、上記隘路90より先端側の左右の側部コンベア22A,22Bによって、圃場に転がる農作物を挟みやすく、確実にピックアップして収穫できる。
【0135】
〔変形例:側部コンベア22A,22B〕
図16は、側部コンベア22A,22Bの第2変形例である。
【0136】
この例では、上記左右の側部コンベア22A,22Bが、対面する左右の側部コンベアベルト30A,30Bのうち一方の前端が、他方よりも前方に位置するよう構成されている。図示した例では、左側の側部コンベアベルト30Aの前端が、右側の側部コンベアベルト30Bの前端より前方に位置している。
【0137】
このようにすることにより、小さな農作物をピックアップするときに、上記左右の側部コンベアベルト30A,30Bのうち前に位置した前端(図示した例では左側の側部コンベアベルト30Aの前端)で農作物がキャッチされて、ピックアップされる。このため、収穫する農作物の大きさにばらつきがあっても、確実にピックアップできる。
【0138】
また、この例では、上記対面する左右の側部コンベアベルト30A,30Bの前端のうち少なくとも一方が、第2の可動プーリー92により外側に広がることができるように構成されている。図示した例では、右側の側部コンベアベルト30Bの前端より前方に位置する左側の側部コンベアベルト30Aの前端が上記第2の可動プーリー92に掛け渡されている。これにより、左側の側部コンベアベルト30Aの前端が外側に広がることができるように構成される。
【0139】
このようにすることにより、大きな農作物をピックアップするときに、上記対面する左右の側部コンベアベルト30A,30Bの前端のうち少なくとも一方(図示した例では左側の側部コンベアベルト30Aの前端)が外側に広がってピックアップする。このため、収穫する農作物の大きさにばらつきがあっても、確実にピックアップできる。
【0140】
〔変形例:側部コンベア22A,22B〕
図17は、側部コンベア22A,22Bの第3変形例である。
【0141】
この例では、上記掻寄手段70が上記ピックアップエリア2に対する左右いずれかに設けられている(図示した例では右側である)。そして、上記左右の側部コンベア22A,22Bが、対面する左右の側部コンベアベルト30A,30Bのうち上記掻寄手段70が設けられていない方の前端(図示した例では左側の側部コンベアベルト30Aの前端)が、他方よりも前方に位置するよう構成されている。
【0142】
このため、上記掻寄手段70によってピックアップエリア2に向かって掻き寄せられる農作物は、上記左右の側部コンベアベルト30A,30Bのうち前に位置した前端(図示した例では左側の側部コンベアベルト30Aの前端)でキャッチされて、ピックアップされる。
【0143】
〔変形例:側部コンベア22A,22B〕
図18は、側部コンベア22A,22Bの第4変形例である。
【0144】
この例では、上記左右の側部コンベア22A,22Bが、対面する左右の側部コンベアベルト30A,30B同士のベルト面の距離が、前方の開放側が広がるよう構成される。上記広がる部分の根元部は、対面する相手側に向かってそれぞれの側部コンベアベルト30A,30Bを内側から付勢する第1の可動プーリー91A,91Bに掛け渡されている。そして、上記左右の第1の可動プーリー91A,91Bのうちいずれか一方が、他方よりも前方に位置するよう配置されている。図示した例では、左側の第1の可動プーリー91Aが右側の第1の可動プーリー91Bよりも前方に位置している。
【0145】
このようにすることにより、ピックアップエリア2に入ってきた農作物が、前方に配置した左側の第1の可動プーリー91Aにより、反対側にある右側の側部コンベアベルト30Bに押付けられる。このとき、右側の側部コンベアベルト30Bが農作物を包み込むようにたわむ(図示の二点鎖線X)。このような動作により農作物の搬送能力が上がり、より確実にピックアップできるようになる。
【0146】
〔変形例:側部コンベア22A,22B〕
図19は、側部コンベア22A,22Bの第5変形例である。
【0147】
この例では、上記左右の側部コンベア22A,22Bが、対面する左右の側部コンベアベルト30A,30B同士のベルト面の距離が、前方の開放側が広がるよう構成される。上記広がる部分の根元部は、対面する相手側に向かってそれぞれの側部コンベアベルト30A,30Bを内側から付勢する第1の可動プーリー90A,90Bに掛け渡されている。そして、上記左右の第1の可動プーリー90A,90Bのうちいずれか一方が、他方よりも付勢力が強くなるよう設定されている。図示した例では、左側の第1の可動プーリー91Aを右側の第1の可動プーリー91Bよりも付勢力を強くしている。
【0148】
このようにすることにより、農作物がピックアップエリア2に入って来たとき、付勢力を弱く設定した右側の第1の可動プーリー91Bが先に農作物の勢いに負けて後退し、付勢力を強く設定した左側の第1の可動プーリー91Aにより農作物が押される。そうすると、押された右側の側部コンベアベルト30Bが農作物を包み込むようにたわむ(図示の二点鎖線X)。このような動作により農作物の搬送能力が上がり、より確実にピックアップできるようになる。
【0149】
〔その他の変形例〕
本発明において、収穫する農作物は、カボチャに限らず、地表面に配置されている農作物であれば各種のものを対象とすることができる。たとえばカンピョウやスイカなどのように、地面を這うように蔓が伸び、地表に転がるように実が生育する農作物を対象にできる。また、たとえばタマネギやジャガイモなどのように、掘りあげて地面に置かれている農作物を対象にできる。
【0150】
本発明は、上述した第1実施形態および各種変形例のみに限定されるものではなく、本発明の技術思想を踏まえたさらに各種態様の変形例を包含する趣旨である。
【符号の説明】
【0151】
1:走行機体
2:ピックアップエリア
3:無限軌道
4:座席
10:ピックアップ手段
11:底部送り手段
11A:底部コンベア
11B:前端側のプーリー
11C:前端
11D:上面
12:底部コンベアベルト
21:ローディング手段
21A:上部コンベア
22A:側部コンベア(左側)
22B:側部コンベア(右側)
23A:突出する部分(左側)
23B:突出する部分(右側)
24A:内面(左側)
24B:内面(右側)
30A:側部コンベアベルト(左側)
30B:側部コンベアベルト(右側)
31A:第1付勢プーリー
31B:第2付勢プーリー
31C:第3付勢プーリー
32:前端プーリー
33:後端プーリー
34A:第1揺動アーム
34B:第2揺動アーム
34C:第3揺動アーム
35A:第1ばね部材
35B:第2ばね部材
35C:第3ばね部材
36:コンベアフレーム
37A:第1フック
37B:第2フック
37C:第3フック
38:固定プーリー
39:テンションプーリー
41:切断手段
41A:バリカン刃
42:遊星キャリア
42A:遊星アーム
43:遊星刃
50:搬送手段
51:第1コンベア
52:第2コンベア
53:第3コンベア
60:収容容器
61:リフト機構
70:掻寄手段
71:掻寄ローラ
72:規制部材
73:シリンダ
74:掻寄ベルト
81:レール
82:固定床
83:回転ローラ
84:先端コンベア
84A:前側プーリ
84B:後側プーリ
90:隘路
91:第1の可動プーリー
91A:第1の可動プーリー(左側)
91B:第1の可動プーリー(右側)
92:第2の可動プーリー