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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】ガリウム含有酸化物結晶
(51)【国際特許分類】
   C30B 29/16 20060101AFI20240618BHJP
   C30B 7/10 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
C30B29/16
C30B7/10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020170501
(22)【出願日】2020-10-08
(65)【公開番号】P2022062473
(43)【公開日】2022-04-20
【審査請求日】2023-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉川 潤
(72)【発明者】
【氏名】前田 美穂
【審査官】吉森 晃
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2022/075139(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 29/16
C30B 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Ga原子及びO原子をいずれも40at%以上含有するガリウム含有酸化物結晶であって、
CuKα線によるXRDにて、少なくとも2θ=19.4°~19.8°、26.2°~26.6°、34.3°~34.9°、35.3°~35.9°、36.3°~37.1°、39.4°~40.2°、40.5°~41.3°の7つの位置にピークを有する、
ガリウム含有酸化物結晶。
【請求項2】
ラマンシフト231cm-1に最も近いラマンピークの半値幅が20cm-1以下である、
請求項1に記載のガリウム含有酸化物結晶。
【請求項3】
結晶表面の表面粗さRaが1000nm以下である、
請求項1又は2に記載のガリウム含有酸化物結晶。
【請求項4】
結晶粒子のアスペクト比(粒子径/粒子高さ)が4.0~20である、
請求項1~3のいずれか1項に記載のガリウム含有酸化物結晶。
【請求項5】
O原子に対するGa原子の比率が0.69~1.00である、
請求項1~4のいずれか1項に記載のガリウム含有酸化物結晶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガリウム含有酸化物結晶に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、酸化ガリウム(Ga23)が半導体用材料として着目されている。酸化ガリウムはα、β、γ、δ及びεの5つの結晶形を有することが知られているが、この中で、準安定相であるα-Ga23はバンドギャップが5.3eVと非常に大きく、パワー半導体用材料として期待を集めている。例えば、特許文献1には、コランダム型結晶構造を有する下地基板と、コランダム型結晶構造を有する半導体層と、コランダム型結晶構造を有する絶縁膜とを備えた半導体装置が開示されており、サファイア基板上に、半導体層としてα-Ga23膜を形成した例が記載されている。また、特許文献2には、コランダム構造を有する結晶性酸化物半導体を主成分として含むn型半導体層と、六方晶の結晶構造を有する無機化合物を主成分とするp型半導体層と、電極とを備えた半導体装置が開示されている。この特許文献2の実施例には、c面サファイア基板上に、n型半導体層として準安定相であるコランダム構造を有するα-Ga23膜を、p型半導体層として六方晶の結晶構造を有するα-Rh23膜を形成して、ダイオードを作製することが開示されている。また、α-Ga23は蛍光体への応用も期待されている。β-Ga23は、例えば非特許文献1に記載されているように、高性能なパワーデバイス用半導体材料として期待されている。また、β-Ga23はガスセンサ、透明導電膜、深紫外光検出器、EL発光素子、触媒等への応用も期待されている。
【0003】
水熱合成法は、比較的低温・低コストで高品質な結晶を合成可能な方法として一般に知られている(例えば非特許文献2)。Ga23の水熱合成としては、非特許文献3のように、まずGaOOHを合成し、その後の熱処理によってα-Ga23又はβ-Ga23結晶を作製する手法が知られている。また、非特許文献4のように、温度365-384℃、圧力235atm(約23.8MPa)の超臨界水中にてγ-Ga23結晶を作製する方法も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-72533号公報
【文献】特開2016-25256号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】IEEE ELECTRON DEVICE LETTERS, VOL. 40, NO. 3, MARCH 2019, pp. 431-434
【文献】Ann. Chim. Sci. Mat., 2002, 27(6), pp. 15-36
【文献】Crystal Growth & Design, Vol. 8, No. 4, 2008, pp. 1282-1287
【文献】Russian Journal of Physical Chemistry A, 2011, Vol. 85, No. 3, pp. 377-382
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、酸化ガリウムについてはα、β、γ、δ及びεの5つの結晶形が知られているが、それ以外の結晶形については知られていない。
【0007】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、新規なガリウム含有酸化物を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のガリウム含有酸化物結晶は、Ga原子及びO原子をいずれも40at%以上含有するガリウム含有酸化物結晶であって、XRDにて、少なくとも2θ=19.4°~19.8°、26.2°~26.6°、34.3°~34.9°、35.3°~35.9°、36.3°~37.1°、39.4°~40.2°、40.5°~41.3°の7つの位置にピークを有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】耐圧容器10の縦断面図。
図2】水熱合成システム20の概略説明図。
図3】実施例1で得られた生成物のXRDプロファイル。
図4】実施例1で得られた生成物のSEM画像。
図5】実施例1で得られた生成物のラマンスペクトル。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の好適な実施形態を、図面を参照しながら以下に説明する。図1は耐圧容器10の縦断面図、図2は水熱合成システム20の概略説明図である。
【0011】
本実施形態のガリウム含有酸化物結晶は、Ga原子及びO原子をいずれも40at%以上含有する。このガリウム含有酸化物結晶は、XRDにて、少なくとも2θ=19.4°~19.8°、26.2°~26.6°、34.3°~34.9°、35.3°~35.9°、36.3°~37.1°、39.4°~40.2°、40.5°~41.3°の7つの位置にピークを有するものである。こうしたピークを有するガリウム含有酸化物結晶は、ICDD(JCPDS)粉末回折データベースに収録されていない。具体的には、酸化ガリウムはα、β、γ、δ及びεの5つの結晶形が知られているが、これらの5つの結晶形のいずれも、上述した7つの位置にピークを有していない。
【0012】
本実施形態のガリウム含有酸化物結晶は、ラマンシフト231cm-1に最も近いラマンピークの半値幅が20cm-1以下であることが好ましく、15cm-1以下であることがより好ましく、12cm-1以下であることが更に好ましい。
【0013】
本実施形態のガリウム含有酸化物結晶は、結晶表面の表面粗さRaが1000nm以下であることが好ましい。
【0014】
本実施形態のガリウム含有酸化物結晶は、結晶粒子のアスペクト比(粒子径/粒子高さ、以下同じ)が4.0~20であることが好ましい。
【0015】
本実施形態のガリウム含有酸化物結晶は、O原子に対するGa原子の比率が0.69~1.00であることが好ましい。なお、酸素欠損のない酸化ガリウム(Ga23)結晶の場合、O原子に対するGa原子の比率は0.67である。
【0016】
次に、本実施形態のガリウム含有酸化物結晶の製法について説明する。ガリウム含有酸化物結晶の製法の一例は、Gaイオンを含有する水溶液を、好ましくはpH8.6~9.4に調整し、温度400℃以上且つ圧力22.1MPa以上の超臨界状態にするものである。
【0017】
Gaイオンを含有する水溶液としては、ハロゲン化ガリウム水溶液、硝酸ガリウム水溶液、硫酸ガリウム水溶液、水酸化ガリウム水溶液などが挙げられる。ハロゲン化ガリウムとしては、塩化ガリウム、臭化ガリウム、ヨウ化ガリウムなどが挙げられる。Gaイオンを含有する水溶液は、pH調整剤で好ましくはpH8.6~9.4(より好ましくは8.8~9.2)に調整したものである。pH調整剤としては、アルカリ金属水酸化物の水溶液(例えばKOH水溶液)を用いてもよいし、アンモニウムイオンを含有する水溶液(例えばアンモニウム水)を用いてもよい。Gaイオンを含有する水溶液のGaイオン濃度は、特に限定するものではないが、例えば0.1M以上10M以下としてもよい。
【0018】
Gaイオンを含有する水溶液を温度400℃以上且つ圧力22.1MPa以上の超臨界状態にするには、Gaイオンを含有する水溶液を耐圧容器に入れて温度400℃以上且つ圧力22.1MPa以上にすることが好ましい。圧力は、耐圧容器の内容積と耐圧容器に入れる水溶液の液量と耐圧容器内の温度及び圧力調整弁の設定によって決定される。反応時間は特に限定するものではないが、例えば0.5時間以上100時間以下としてもよい。反応終了後、耐圧容器内の温度を下げ、耐圧容器から生成物であるガリウム含有酸化物結晶を取り出す。Gaイオンを含有する水溶液には、種結晶を浸漬しておいてもよい。
【0019】
ドーパントを含有したガリウム含有酸化物結晶を得たい場合には、Gaイオンを含有する水溶液にドーパントに対応するイオンを含有させておけばよい。ドーパントとしては、例えば炭素(C)、珪素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、錫(Sn)、鉛(Pb)などの14族元素が挙げられる。ガリウム含有酸化物結晶にドーパントを含有させることでガリウム含有酸化物結晶の導電性を制御することができる。
【0020】
耐圧容器の一例を図1に示す。図1の耐圧容器10は、ステンレス製であり、有底筒状の容器本体11の開口部に設けられた雌ネジに、雄ネジが設けられた突起12aの付いた蓋12がねじ込まれたものである。耐圧容器10の内容積は、50mL以上が好ましい。耐圧容器10の容器本体11には、Gaイオンを含有する水溶液14が入っている。この水溶液14は、好ましくはpH8.6~9.4(より好ましくは8.8~9.2)に調整されている。
【0021】
図2は水熱合成システム20の概略説明図である。この水熱合成システム20では、電気炉筐体22に耐圧容器10がセットされている。電気炉筐体22の内部には、ヒーター24及び炉内温度測定用熱電対26が取り付けられている。耐圧容器10には、耐圧容器10の内部温度を測定する耐圧容器用熱電対28が取り付けられている。ヒーター24へ供給する電力は、炉内温度測定用熱電対26によって測定される炉内温度が設定温度になるように制御される。耐圧容器10には、配管30が接続されている。配管30の一端30aは、耐圧容器10の内部に配置され、配管30の他端30bは、大気中に配置されている。配管30は、冷却水槽40内の冷却水によって冷却される。配管30のうち冷却水槽40から他端30bまでの間には、圧力計32と安全弁34と圧力調整弁36とが取り付けられている。ヒーター24により耐圧容器10の全体を加熱し、耐圧容器10の内部温度が400℃以上で且つ耐圧容器10の内部圧力が22.1MPa以上になるようにする。耐圧容器10の内部圧力は、耐圧容器10の内容積と耐圧容器10に入れる水溶液14の液量と容器内温度及び圧力調整弁36の設定によって決定される。そのため、容器内温度を400℃以上にしたときに容器内圧力が22.1MPa以上になるように、耐圧容器10に入れる水溶液14の液量を調整すればよい。この状態で所定時間保持し、その後、耐圧容器10の内部温度を室温まで冷却した後、結晶を含む溶液を耐圧容器10から取り出し、純水にてリンスした後、乾燥器で乾燥させる。
【0022】
以上説明したように、本実施形態のガリウム含有酸化物結晶は、今までに知られていないピークを有する結晶であるため、新規な結晶構造を有するものであり、半導体材料としての新たな用途が期待される。
【0023】
また、本実施形態のガリウム含有酸化物結晶において、ラマンシフト231cm-1に最も近いラマンピークの半値幅が20cm-1以下であれば、結晶性が良好であり、パワーデバイスや触媒等の高性能化に寄与することが期待される。
【0024】
更に、本実施形態のガリウム含有酸化物結晶において、結晶表面の表面粗さRaが1000nm以下であれば、表面平滑性が高いため、パワーデバイスにおいてキャリア濃度を制御したドリフト層を形成したり電極を形成したりすることが容易になる。
【0025】
更にまた、本実施形態のガリウム含有酸化物結晶において、結晶粒子のアスペクト比が4.0~20であれば、板状であるため、パワーデバイス等の電子部品を作製する際、電極等のデバイス構造を作製しやすい。
【0026】
そしてまた、本実施形態のガリウム含有酸化物結晶において、O原子に対するGa原子の比率が0.69~1.00であれば、酸素欠損を一定程度含有するため、導電性が発現しやすくなり、パワーデバイスに好適である。
【0027】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【実施例
【0028】
以下に、本発明の実施例について説明する。なお、以下の実施例は本発明を何ら限定するものではない。
【0029】
[実施例1]
1.水熱合成
硝酸ガリウム八水和物(キシダ化学製)0.1M水溶液を作製し、pH調整剤として1M KOH水溶液を用いてpHを9.0に調整し、原料溶液を得た。続いて、図1に示すSUS316製の耐圧容器10(内径19mm、内容積50mL)に、原料溶液45mLを入れ、密閉した。続いて、耐圧容器10を図2に示す水熱合成システム20の電気炉筐体22にセットした。なお、圧力調整弁36は予め耐圧容器10の内部圧力が24.0MPaとなるようにセットしておいた。次に、電気炉筐体22のヒーター24により耐圧容器10の全体を加熱し、耐圧容器10の内部温度を420℃とした。このとき、耐圧容器10の内部圧力は24.0MPaであった。この状態で5時間保持した。その後、耐圧容器10の内部温度を室温まで冷却した後、生成した粒子を耐圧容器10から取り出し、純水にてリンスした後、乾燥器で乾燥させた。
【0030】
2.評価
(1)結晶相
得られた結晶をアルミナ製乳鉢にて体積基準粒度D50が13μm以下となるまで粉砕した。得られた粉末に対し、XRD装置を用い、下記の条件にてXRDプロファイルを取得した。その結果、図3のXRDプロファイルが得られた。図3に示すように、α,β,γ,δ及びε-Ga23のいずれにも該当しない少なくとも7つのピーク(黒塗りの逆三角形の印を付けたピーク)が確認された。7つのピークの2θは、それぞれ19.6°、26.4°、34.6°、35.6°、36.7°、39.8°及び40.9°であった。これらは、本実施例の結晶由来のものである。なお、印を付けていないピークにも、本実施例の結晶由来のものが存在する。また、本実施例の結晶以外の結晶相も存在する。
・X線管球 Cuターゲット
・管電圧 40kV
・管電流 40mA
・2θ/θ法
・2θ範囲 10°~80°
【0031】
(2)微構造及び組成
粉砕前の粒子を走査電子顕微鏡(SEM,日本電子製JSM-IT500)により観察した結果、図4のような結晶が観察された。結晶には孔は観察されなかった。典型的な六角板状の粒子3つ(粒子1~3)に対し、SEMに付属のEDS装置により粒子表面の組成を点分析にて確認した。その結果、表1のような元素が検出された。各粒子のO原子に対するGa原子の比率は0.69~1.00の範囲内(具体的には0.69~0.92)であった。
【0032】
【表1】
【0033】
(3)粒子形状及び表面粗さ
上記1.で得られた粒子に対し、形状解析レーザ顕微鏡(キーエンス製VK-X150)を用い、粒子形状(径、高さ)を下記の方法で測定した。粒子はDLC(ダイヤモンドライクカーボン)でコーティングした金属Al製の平らな板の上に散在させ、粒子同士が重なっていない3つの粒子(粒子4~6)を観察し、下記測定を行った。粒子上方から観察した像に対し、縦・横方向の径を測定し、それらを平均することで粒子径を求めた。又、レーザ顕微鏡に付属のソフトウェアにて「プロファイル計測」を行い、DLCコーティング金属Al板面からの最大高さを粒子高さとした。その結果、表2に示す粒子径、粒子高さ及びアスペクト比が得られた。上記と同じ形状解析レーザ顕微鏡を用い、付属ソフトウェアの「線粗さ計測」モードにて粒子表面の表面粗さRaを測定した。尚、測定領域の長さは10μmとした。その結果、表2に示す表面粗さRaが得られた。各粒子のアスペクト比は4.0~20の範囲内(具体的には4.7~12.8)、各粒子の表面粗さRaは1000nm以下(具体的には12~475nm)であった。
【0034】
【表2】
【0035】
(4)ラマンピーク半値幅
上記1.で得られた粒子に対し、ラマンスペクトルを測定した。粒子は、上記2.(2)及び(3)で観察した粒子とは別の3つの粒子(粒子7~9)を用いた。ラマンスペクトルは、堀場製作所製レーザーラマン分光測定装置LabRAM ARAMISを用い、操作ソフトウェアLabSpec(Ver.5.78)を用いて測定した。光学系はツェルニターナ型分光系、後方散乱方式であり、光源として半導体励起固体レーザー(DPSS、532nm)を用いた。サンプルの測定前にはSiウェハを用い、校正を行った。粒子に対するラマンスペクトルの測定は、レーザー出力を24mWに調整しHole(コンフォーカルホール径)を400μm、分光器の中心波数を520cm-1、Slitを100μm、グレーティングを1800gr/mm、対物レンズを100倍とし、点分析モードで行った。露光時間は60秒、積算回数を2回とし、波数範囲は100~700cm-1とした。減光フィルターは最強ピークのカウントが3000以上50000以下となるように適宜設定した。また、測定時にNeランプを使用し、得られたスペクトルに対し、Neランプ輝線に起因するピークのピークトップの波数が278.28cm-1となるよう、スペクトルを補正した。ベースラインの補正は、ソフトウェアLabSpec上の機能にて「Type」を「Lines」、「Degree」を「5」、「Attach」を「No」、「Style」を「-」に設定し、「Auto」にして行った。このように得られたスペクトルに対し、ラマンシフト231cm-1に最も近いピークのピークトップのカウント数の1/2のカウント数に対応する高さでのピーク幅を半値幅として求めた。結果は、表3に示されるとおりであった。また、測定されたラマンスペクトルを図5に示す。各粒子の半値幅は20cm-1以下(具体的には11.6cm-1以下)であった。
【0036】
【表3】
【0037】
なお、本明細書において数値範囲を示す「~」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味として使用される。
【符号の説明】
【0038】
10 耐圧容器、11 容器本体、12 蓋、12a 突起、14 Gaイオンを含有する水溶液、20 水熱合成システム、22 電気炉筐体、24 ヒーター、26 炉内温度測定用熱電対、28 耐圧容器用熱電対、30 配管、30a 一端、30b 他端、32 圧力計、34 安全弁、36 圧力調整弁、40 冷却水槽。
図1
図2
図3
図4
図5