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特許7505983ニューラルネットワークを使用してユーザに送達される感覚刺激を増強するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】ニューラルネットワークを使用してユーザに送達される感覚刺激を増強するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 21/02 20060101AFI20240618BHJP
   A61B 5/16 20060101ALI20240618BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20240618BHJP
   A61B 5/291 20210101ALI20240618BHJP
【FI】
A61M21/02 G
A61B5/16 130
A61B5/00 G
A61B5/291
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020563516
(86)(22)【出願日】2019-05-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 EP2019061990
(87)【国際公開番号】W WO2019215306
(87)【国際公開日】2019-11-14
【審査請求日】2022-05-06
(31)【優先権主張番号】62/669,526
(32)【優先日】2018-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/691,269
(32)【優先日】2018-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア モリーナ,ゲイリー ネルソン
(72)【発明者】
【氏名】パストゥール,サンデル テオドール
(72)【発明者】
【氏名】グロッセカテファー,ウルフ
(72)【発明者】
【氏名】ブレッシュ,エリック
(72)【発明者】
【氏名】ハインリッヒ,アドリーネ
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-539747(JP,A)
【文献】特表2017-504376(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 21/02
A61B 5/16
A61B 5/00
A61B 5/291
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
睡眠セッションの間にユーザに感覚刺激を送達するように構成されたシステムであって、前記システムは、
前記睡眠セッションの間に前記ユーザの脳活動に関する情報を伝達する出力信号を生成するように構成された1つ以上のセンサと、
前記睡眠セッションの間に前記ユーザに前記感覚刺激を提供するように構成された1つ以上の感覚刺激装置と、
前記1つ以上のセンサ及び前記1つ以上の感覚刺激装置に結合された1つ以上のハードウェアプロセッサと、
を含み、
前記感覚刺激は、前記ユーザの睡眠に影響を及ぼし、
前記1つ以上のハードウェアプロセッサは、機械読取可能命令によって、
ユーザの集団に対する過去の睡眠の深さの情報を得る動作であり、前記過去の睡眠の深さの情報は、前記ユーザの集団における個々のユーザの脳活動から推定される睡眠の深さの情報であり、前記ユーザの集団における個々のユーザの睡眠セッションの間の時間の経過に伴う睡眠の深さの情報である、動作と、
前記過去の睡眠の深さの情報を入力として前記個々のユーザに対する予め定義された睡眠段階を予測するニューラルネットワークに提供することによって、前記過去の睡眠の深さの情報に基づき、前記ニューラルネットワークを訓練する動作と、
を行うように構成されており、前記1つ以上のハードウェアプロセッサは、
前記出力信号に基づき、訓練された前記ニューラルネットワークに、前記ユーザが深い眠りの段階にある前記睡眠セッションの間の将来の時間を予測させる動作であり、前記訓練されたニューラルネットワークは、入力層、出力層、及び前記入力層と前記出力層との間の1つ以上の中間層を含む、動作と、
前記将来の時間に関して、前記訓練されたニューラルネットワークの前記1つ以上の中間層によって生成される1つ以上の値を決定する動作と、
前記1つ以上の感覚刺激装置に、前記将来の時間における前記ユーザに対する前記感覚刺激を提供させ、前記1つ以上の中間層の前記1つ以上の値が示前記将来の時間に応答して、前記1つ以上の感覚刺激装置に、前記睡眠セッションの間の最適化されたタイミング及び/又は強度の感覚刺激の提供の準備をさせる動作と、
を行うようにさらに構成されている、システム。
【請求項2】
前記1つ以上のハードウェアプロセッサは、前記ユーザにおける脳活動に関する情報を伝達する出力信号によって示される睡眠の深さを示す前記ユーザの1つ以上の脳活動パラメータを決定し、さらに、前記1つ以上の中間層の1つ以上の値及び前記1つ以上の脳活動パラメータが、前記ユーザが深い眠りの段階にあることを示すのに応答して、前記1つ以上の感覚刺激装置に、前記睡眠セッションの間の感覚刺激のタイミング及び/又は強度を調節させるようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記1つ以上のハードウェアプロセッサは、前記訓練されたニューラルネットワークの前記1つ以上の中間層からの前記1つ以上の値が、前記訓練されたニューラルネットワークの1つ以上の畳み込み層からの値及び1つ以上の再帰層からの値を含むように構成され、さらに、前記1つ以上の感覚刺激装置は、前記1つ以上の脳活動パラメータが、前記ユーザが深い眠りにあることを示すのに応答し前記ユーザの睡眠との関連性を示す前記ユーザの脳活動に関する情報を伝達する出力信号の周波数領域における出力である前記1つ以上の畳み込み層からの値が、前記感覚刺激を提供すべきときを示すのに応答し、及び前記1つ以上の再帰層からの値が、前記ユーザが深い眠りの段階にあることを示すのに応答して、前記感覚刺激のタイミング及び/又は強度を調節するようにされる、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記1つ以上のハードウェアプロセッサは、
(i)前記1つ以上の畳み込み層からの値が、2つ以上の畳み込み層からの2つ以上の対応する個々の値を含むように構成され、
(ii)1つの畳み込み層からの値と別の畳み込み層からの値の比を決定し、
(iii)前記比が、閾値を超えた場合に前記1つ以上の感覚刺激装置に前記感覚刺激を提供させ、前記比が閾値を超える量に基づき、前記1つ以上の感覚刺激装置に前記感覚刺激の強度を調節させる、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記1つ以上のハードウェアプロセッサは、前記1つ以上の脳活動パラメータ、前記1つ以上の畳み込み層からの値、及び前記1つ以上の再帰層からの値を重み付けし、さらに、前記重み付けされた1つ以上の脳活動パラメータが、前記ユーザが深い眠りにあることを示すのに応答し前記ユーザの睡眠との関連性を示す前記ユーザの脳活動に関する情報を伝達する出力信号の周波数領域における出力である前記重み付けされた1つ以上の畳み込み層からの値が、前記感覚刺激を提供すべきときを示すのに応答し、及び前記重み付けされた1つ以上の再帰層からの値が、前記ユーザが深い眠りの段階にあることを示すのに応答して、前記1つ以上の感覚刺激装置に前記感覚刺激を調節させるようにさらに構成されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記1つ以上のハードウェアプロセッサは、前記睡眠セッションにおける複数の時間ウィンドウで前記出力信号を前記ニューラルネットワークに提供し、さらに、前記時間ウィンドウでの出力信号に基づき、前記訓練されたニューラルネットワークに前記将来の時間を予測させるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記1つ以上の感覚刺激装置は、前記感覚刺激が可聴音を含むように構成され、前記1つ以上の感覚刺激装置に前記感覚刺激のタイミング及び/又は強度を調節させることが、前記1つ以上の中間層の前記1つ以上の値が、前記ユーザが深い眠りの段階にあることを示すのに応答して、前記1つ以上の感覚刺激装置にトーン間隔を減少させること及び/又はトーンボリュームを増加させることを含むように前記1つ以上のハードウェアプロセッサは構成されている、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ニューラルネットワークを使用してユーザに送達される感覚刺激を増強するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
睡眠をモニターし、睡眠の間にユーザに感覚刺激を送達するためのシステムが知られている。例えば、国際公開第2012/138761号(A1)において、睡眠の間に感覚刺激を送達することによって記憶機能及び/又は認知機能を改変するための装置、システム、及び方法が開示されている。脳波(EEG)センサに基づく睡眠モニタリング及び感覚刺激システムが知られている。これらのシステムは、状態に基づくものであり、これは、睡眠段階刺激送達閾値を超過するEEGパラメータに応答して刺激が送達されるということを意味する。これらの状態に基づく決定は、年齢及び他の人口統計学的パラメータ等、ユーザの特徴の変化を考慮していない。その結果として、ユーザは、それ以外の場合よりも少ない刺激を受けることがあるか、又は、刺激のタイミングが、ユーザの個々の睡眠パターンに適切に対応しないことがある。従って、睡眠セッションの間の感覚刺激の送達を増強するために、従来技術のシステムと比較して睡眠対象に関する正確な情報を生成することができるシステムが必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願第14/784,782号
【文献】米国特許出願第14/783,114号
【文献】米国特許出願第14/784,746号
【文献】米国特許出願第15/101,008号
【文献】米国特許出願第15/100,435号
【発明の概要】
【0004】
従って、本開示の1つ以上の態様は、睡眠セッションの間にユーザに感覚刺激を送達するように構成されたシステムに関する。当該システムは、1つ以上のセンサ、1つ以上の感覚刺激装置、1つ以上のハードウェアプロセッサ、及び/又は他の構成要素を含む。1つ以上のセンサは、睡眠セッションの間にユーザの脳活動に関する情報を伝達する出力信号を生成するように構成される。1つ以上の感覚刺激装置は、睡眠セッションの間にユーザに感覚刺激を提供するように構成される。1つ以上のハードウェアプロセッサは、1つ以上のセンサ及び1つ以上の感覚刺激装置に結合される。1つ以上のハードウェアプロセッサは、機械読取可能命令によって構成される。1つ以上のハードウェアプロセッサは、ユーザの集団に対する歴史的な睡眠の深さ情報を得るように構成される。歴史的な睡眠の深さ情報は、ユーザの集団の脳活動に関し、脳活動は、ユーザの集団の睡眠セッションの間の時間の経過に伴う睡眠の深さを示す。1つ以上のハードウェアプロセッサは、歴史的な睡眠の深さ情報を入力としてニューラルネットワークに提供することによって、歴史的な睡眠の深さ情報に基づき、ニューラルネットワークに訓練させるように構成される。1つ以上のハードウェアプロセッサは、出力信号に基づき、訓練されたニューラルネットワークに、ユーザが深い眠りの段階にある睡眠セッションの間の将来の時間を予測させるように構成される。訓練されたニューラルネットワークは、入力層、出力層、及び入力層と出力層との間の1つ以上の中間層を含む。1つ以上のハードウェアプロセッサは、将来の時間の各々に関して、訓練されたニューラルネットワークの1つ以上の中間層によって生成される1つ以上の値を決定するように構成される。1つ以上のハードウェアプロセッサは、1つ以上の感覚刺激装置に、将来の時間におけるユーザに対する感覚刺激を提供させ、1つ以上の中間層の1つ以上の値に基づき、睡眠セッションの間の感覚刺激のタイミング及び/又は強度を調節させるように構成される。
【0005】
本開示の別の態様は、送達システムを用いて睡眠セッションの間にユーザに感覚刺激を送達する方法に関する。システムは、1つ以上のセンサ、1つ以上の感覚刺激装置、1つ以上のセンサ及び1つ以上の感覚刺激装置に結合された1つ以上のハードウェアプロセッサ、及び/又は他の構成要素を含む。1つ以上のハードウェアプロセッサは、機械読取可能命令によって構成される。当該方法は、1つ以上のセンサを用いて、睡眠セッションの間にユーザの脳活動に関する情報を伝達する出力信号を生成するステップを含む。当該方法は、1つ以上の感覚刺激装置を用いて、睡眠セッションの間にユーザに感覚刺激を提供するステップを含む。当該方法は、1つ以上のハードウェアプロセッサを用いて、ユーザの集団に対する歴史的な睡眠の深さ情報を得るステップを含む。歴史的な睡眠の深さ情報は、ユーザの集団の脳活動に関し、脳活動は、ユーザの集団の睡眠セッションの間の時間の経過に伴う睡眠の深さを示す。当該方法は、1つ以上のハードウェアプロセッサを用いて、歴史的な睡眠の深さ情報を入力としてニューラルネットワークに提供することによって、歴史的な睡眠の深さ情報に基づき、ニューラルネットワークに訓練させるステップを含む。当該方法は、1つ以上のハードウェアプロセッサを用いて、出力信号に基づき、訓練されたニューラルネットワークに、ユーザが深い眠りの段階にある睡眠セッションの間の将来の時間を予測させるステップを含む。訓練されたニューラルネットワークは、入力層、出力層、及び入力層と出力層との間の1つ以上の中間層を含む。当該方法は、1つ以上のハードウェアプロセッサを用いて、将来の時間の各々に関して、訓練されたニューラルネットワークの1つ以上の中間層によって生成される1つ以上の値を決定するステップを含む。当該方法は、1つ以上のハードウェアプロセッサを用いて、1つ以上の感覚刺激装置に、将来の時間におけるユーザに対する感覚刺激を提供させ、1つ以上の中間層の1つ以上の値に基づき、睡眠セッションの間の感覚刺激のタイミング及び/又は強度を調節させるステップを含む。
【0006】
本開示のさらに別の態様は、睡眠セッションの間にユーザに感覚刺激を送達するためのシステムに関する。当該システムは、睡眠セッションの間にユーザの脳活動に関する情報を伝達する出力信号を生成するための手段を含む。当該システムは、睡眠セッションの間にユーザに感覚刺激を提供するための手段を含む。当該システムは、ユーザの集団に対する歴史的な睡眠の深さ情報を得るための手段を含む。歴史的な睡眠の深さ情報は、ユーザの集団の脳活動に関し、脳活動は、ユーザの集団の睡眠セッションの間の時間の経過に伴う睡眠の深さを示す。当該システムは、歴史的な睡眠の深さ情報を入力としてニューラルネットワークに提供することによって、歴史的な睡眠の深さ情報に基づき、ニューラルネットワークに訓練させるための手段を含む。当該システムは、出力信号に基づき、訓練されたニューラルネットワークに、ユーザが深い眠りの段階にある睡眠セッションの間の将来の時間を予測させるための手段を含む。訓練されたニューラルネットワークは、入力層、出力層、及び入力層と出力層との間の1つ以上の中間層を含む。当該システムは、将来の時間の各々に関して、訓練されたニューラルネットワークの1つ以上の中間層によって生成される1つ以上の値を決定するための手段を含む。当該システムは、1つ以上の感覚刺激装置に、将来の時間におけるユーザに対する感覚刺激を提供させ、1つ以上の中間層の1つ以上の値に基づき、睡眠セッションの間の感覚刺激のタイミング及び/又は強度を調節させるための手段を含む。
【0007】
本開示の上記及び他の目的、特性、並びに特徴だけでなく、操作方法及び関連する構造要素及び部品の組み合わせの機能も製造のむだを省くことも、付随の図面を参考にして以下の説明及び添付の特許請求の範囲を考慮することによってより明らかになり、付随の図面の全てが本明細書の一部を形成し、類似の参照番号は様々な図において対応する部分を示している。しかし、図面は例示及び説明目的のためだけにあり、本開示の範囲を規定するとして意図されないことを明確に理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】1つ以上の実施形態に従った、睡眠セッションの間にユーザに感覚刺激を送達するように構成されたシステムの概略図である。
図2】1つ以上の実施形態に従った、システムによって行われる動作のうちいくつかを例示した図である。
図3】1つ以上の実施形態に従った、システムの一部であるディープニューラルネットワークの例となるアーキテクチャを例示した図である。
図4】1つ以上の実施形態に従った、睡眠セッションにおけるある時点にわたる睡眠段階N3、N2、N1、覚醒、及びREMに対する睡眠段階確率値の連続体(continuum)の一例を例示した図である。
図5】1つ以上の実施形態に従った、N3睡眠に関連する予測確率値を使用して、ユーザに刺激を提供するときを決定し、さらに、刺激の量を決定する一例を例示した図である。
図6】1つ以上の実施形態に従った、本明細書において記載される睡眠段階を予測するように訓練されたディープニューラルネットワークからの畳み込み層値出力を例示した図である。
図7】1つ以上の実施形態に従った、ユーザに提供される刺激を調節するために使用される畳み込み層値出力間の比を例示した図である。
図8】1つ以上の実施形態に従った、睡眠セッションに対する睡眠段階に関する脳活動パラメータ、睡眠の深さ、徐波密度、及びデルタパワーを例示した図である。
図9】1つ以上の実施形態に従った、N3睡眠の期間の詳細を例示した図である。
図10】1つ以上の実施形態に従った、送達システムを用いた睡眠セッションの間にユーザに感覚刺激を送達する方法を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書において使用される場合、単数形の不定冠詞及び定冠詞は、その内容が何か他に明確に指示していない限り、その複数形を含む。本明細書において使用される場合、「又は」という用語は、その内容が何か他に明確に指示していない限り、「及び/又は」を意味する。本明細書において使用される場合、2つ以上の部品又は構成要素が「連結される」という記載は、連接が生じる限り、その部品が結合されるか、又は、直接的若しくは間接的に、すなわち、1つ以上の中間の部品又は構成要素を介して共に作動することを意味するはずである。本明細書において使用される場合、「直接連結される」は、2つの要素が互いに直接接触していることを意味する。本明細書において使用される場合、「固定して連結される」又は「固定される」は、2つの構成要素が、互いに対して一定の向きを維持しながら1つのものとして移動するように連結されることを意味する。
【0010】
本明細書において使用される場合、「単体構造(unitary)」という単語は、構成要素がシングルピース又はユニットとして作製されることを意味する。すなわち、別々に作製され、次に、ユニットとして共に連結される部分品を含む構成要素は、「単体構造」構成要素又は「単体構造」体ではない。本明細書において利用される場合、2つ以上の部品又は構成要素が互いに「かみ合う/係合する」という記載は、その部品が、直接又は1つ以上の中間の部品又は構成要素を介して互いに対して力を及ぼすことを意味するはずである。本明細書において利用される場合、「数」という用語は、1又は1を超える整数(すなわち、複数)を意味するはずである。
【0011】
例えば限定することなく、上、下、左、右、上方、下方、前、後ろ、及びその派生語等、本明細書において使用される方向を示す句は、図面において示されている要素の向きに関し、明確に記載されていない限り、請求項の範囲を限定しない。
【0012】
図1は、睡眠セッションの間にユーザ12に感覚刺激を送達するように構成されたシステム10の概略図である。システム10は、ユーザ12における睡眠の回復効果を高める及び/又は他の目的のために、ユーザ12に対する感覚刺激の送達を促進するように構成される。例えば、システム10は、睡眠の間に送達される聴覚刺激及び/又は他の刺激を含む感覚刺激が、覚醒を引き起こすことなく、ユーザ12において徐波を増強し、これが、認知利益及び睡眠回復の増強をもたらすように構成される。本明細書において記載されているように、一部の実施形態では、システム10は、(例えば、ニューラルネットワークからの出力及び/又は他の情報に基づき)睡眠セッションの間の深い眠りの期間を決定するように構成される。一部の実施形態では、そのような決定に基づき、システム10は、覚醒を引き起こすことなく睡眠徐波を増強するために、ユーザ12に送達される感覚(例えば聴覚)刺激を調節するように構成される。一部の実施形態において、深い眠りの期間は、ユーザ12の睡眠セッションの間にリアルタイム及び/又はほぼリアルタイムで決定されてもよい。
【0013】
センサ出力信号に基づくリアルタイム又はほぼリアルタイムでの自動的な睡眠段階分けは、睡眠療法システムが、療法が実施される療法条件の限られた制御のみを有している(例えば、睡眠療法システムは、典型的には、バックグラウンドノイズ、照明、又はユーザの家庭における睡眠環境の他の特徴を制御しない)ため、困難であることが多い。リアルタイム又はほぼリアルタイムの睡眠療法を可能にするセンサ出力信号の高速処理を確実にするために、従来技術のシステムは、典型的には、限られた複雑性の状態に基づくアルゴリズムに頼っている。例えば、これらのシステムは、典型的には、センサ出力信号から決定される共通パラメータに(例えば、脳波(EEG)のデルタパワー帯域上の0.5~4Hz、アルファ帯域上の8~13Hz、ベータ帯域上の15~30Hzの閾値等)閾値を設定し、これらの閾値を使用して、時を見計らって感覚刺激を送達するために睡眠段階を決定する。これは、特に異なる人口統計学的グループ由来のユーザに対して、特定の睡眠段階を確実に検出するのを難しくする。一例として、睡眠構築及びEEGパターンは、ユーザの年齢によって異なる。多くの場合、これらの相違は、睡眠段階を検出するために使用された方法が強化されると、従来技術のシステムにそれ以外の場合よりも少ない(又は多い)刺激を送達させる。
【0014】
システム10は、自動的なリアルタイム又はほぼリアルタイムのセンサ出力信号に基づく睡眠段階分けのために、機械学習モデル(例えば、以下に記載されるディープニューラルネットワーク)にてこ入れすることによって、従来技術のシステムの限界に取り組む。システム10は、睡眠段階分けのための機械学習モデルからの出力全体、並びに、システム10によって提供される感覚刺激を調節するためにモデルから出力された中間値を使用する。一部の実施形態において、システム10は、センサ14、感覚刺激装置16、外部資源18、プロセッサ20、電子記憶装置22、ユーザインターフェース24、及び/又は他の構成要素のうち1つ以上を含む。
【0015】
センサ14は、ユーザ12における脳活動及び/又は他の活動に関する情報を伝達する出力信号を生成するように構成される。一部の実施形態において、センサ14は、ユーザ12における徐波活動等の脳活動に関する情報を伝達する出力信号を生成するように構成される。一部の実施形態では、ユーザ12における脳活動及び/又は他の活動に関する情報は、徐波活動に関する情報である。一部の実施形態において、センサ14は、睡眠セッションの間にユーザ12に提供される刺激に関する情報を伝達する出力信号を生成するように構成される。一部の実施形態において、センサ14からの出力信号内の情報は、(以下に記載される)ユーザ12に感覚刺激を提供する感覚刺激装置16を制御するために使用される。
【0016】
センサ14は、直接的にユーザ12における脳活動に関する情報を伝達する出力信号を生成する1つ以上のセンサを含んでもよい。例えば、センサ14は、ユーザ12の脳内の電流から生じるユーザ12の頭皮に沿った電気的活動を検出するように構成された脳波(EEG)電極を含んでもよい。センサ18は、間接的にユーザ12の脳活動に関する情報を伝達する出力信号を生成する1つ以上のセンサを含んでもよい。例えば、1つ以上のセンサ14は、ユーザ12の心拍数(例えば、センサ14は、ユーザ12の胸部に位置することができる心拍数センサであってもよく、及び/又は、ユーザ12の手首上のブレスレットとして構成されてもよく、及び/又は、ユーザ12の別の肢に位置してもよい)、ユーザ12の動き(例えば、センサ14は、アクティグラフィー信号を使用して睡眠を分析することができるように、ユーザ12の手首及び/又は足首の周りのブレスレット等、ウェアラブルで運ぶことができる加速度計を含んでもよい)、ユーザ12の呼吸、及び/又は、ユーザ12の他の特徴に基づき出力を生成する心拍数センサを含んでもよい。
【0017】
一部の実施形態において、センサ14は、EEG電極、眼電図(EOG)電極、アクティグラフィーセンサ、心電図(EKG)電極、呼吸センサ、圧力センサ、バイタルサインカメラ、フォトプレチスモグラム(PPG)センサ、機能的近赤外線センサ(fNIR)、温度センサ、マイクロホン、及び/又はユーザ12に提供される刺激に関する(例えば、刺激の量、頻度、強度、及び/又は他の特徴等の)出力信号を生成するように構成された他のセンサ、及び/又は他のセンサのうち1つ以上を含んでもよい。センサ14は、ユーザ12に近い単一の位置において例示されているけれども、これは、限定的であると意図されない。センサ14は、例えば、感覚刺激装置16内(又はそれと通信している位置)、ユーザ12の衣服と(取り外し可能な様式で)結合した位置、(例えば、ヘッドバンド、リストバンド等として)ユーザ12によって装着される位置、(例えば、ユーザ12の動きに関する出力信号を伝達するカメラ等)ユーザ12が眠っている間にユーザ12を指すように置かれる位置、ユーザ12が眠っているベッド及び/又は他の家具と結合された位置、及び/又は他の位置等、複数の位置に配置されるセンサを含んでもよい。
【0018】
図1において、センサ18、感覚刺激装置16、プロセッサ20、電子記憶装置22、及びユーザインターフェース24は、別々の実体として示されている。これは、限定的であると意図されない。システム10の構成要素及び/又は他の構成要素の一部及び/又は全ては、1つ以上の単数形の装置にグループ化することができる。例えば、これら及び/又は他の構成要素は、ユーザ12によって着用されるヘッドセット及び/又は他の衣服に含まれてもよい。そのようなヘッドセットは、例えば、検出電極、基準電極、EEGに関連する1つ以上の装置、聴覚刺激を送達する手段(例えば、有線及び/又は無線のオーディオ装置及び/又は他の装置等)、及び1つ以上のオーディオスピーカを含んでもよい。この例において、オーディオスピーカは、ユーザ12の耳の中及び/又はその近く、及び/又は他の場所に位置してもよい。基準電極は、ユーザの耳の後ろ及び/又は他の場所に位置してもよい。この例において、検出電極は、ユーザ12の脳活動に関する情報及び/又は他の情報を伝達する出力信号を生成するように構成することができる。出力信号は、ワイヤレスで及び/又はワイヤを介して、プロセッサ(例えば、図1において示されているプロセッサ20等)、プロセッサを含んでも含まなくてもよい計算装置(例えば、ベッドサイドのラップトップ等)、及び/又は他の装置に送られてもよい。この例では、音響刺激が、無線のオーディオ装置及び/又はスピーカを介してユーザ12に送達されてもよい。この例では、検知電極、基準電極、及びEEG装置は、例えば、図1におけるセンサ14によって表すことができる。無線のオーディオ装置及びスピーカは、例えば、図1において示されている感覚刺激装置16によって表すことができる。この例において、計算装置は、プロセッサ20、電子記憶装置22、ユーザインターフェース24、及び/又は図1において示されているシステム10の他の構成要素を含んでもよい。
【0019】
刺激装置16は、ユーザ12に感覚刺激を提供するように構成される。感覚刺激装置16は、睡眠セッションに先立ち、睡眠セッションの間、及び/又は他の時間に、聴覚、視覚、体性感覚、電気、磁気、及び/又は感覚の刺激をユーザ12に提供するように構成される。一部の実施形態において、睡眠セッションは、ユーザ12が眠っている及び/又は眠ることを試みている任意の期間を含んでもよい。睡眠セッションは、夜間の睡眠、昼寝、及び/又は他の睡眠セッションを含んでもよい。例えば、感覚刺激装置16は、睡眠セッションの間にユーザ12に刺激を提供して、より深い眠りの段階、より浅い睡眠の段階への移行を促進するように、特定の段階における睡眠を維持するように、睡眠の回復効果を高めるように、及び/又は他の目的のために構成することができる。一部の実施形態において、感覚刺激装置16は、より深い眠り段階とより浅い睡眠段階との間の移行を促進することが、ユーザ12における睡眠徐波を減少させることを含み、より浅い睡眠段階とより深い眠り段階との間の移行を促進することが、睡眠徐波を増加させることを含むように構成されてもよい。
【0020】
感覚刺激装置16は、非侵襲的な脳刺激及び/又は他の方法を介して、睡眠段階間の移行を促進する、特定の段階における睡眠を維持する、及び/又は睡眠の回復効果を高めるように構成される。感覚刺激装置16は、聴覚、電気、磁気、視覚、体性感覚、及び/又は他の感覚の刺激を使用した非侵襲的な脳刺激を介して、睡眠段階間の移行を促進する、特定の段階における睡眠を維持する、及び/又は睡眠の回復効果を高めるように構成されてもよい。聴覚、電気、磁気、視覚、体性感覚、及び/又は他の感覚の刺激は、聴覚刺激、視覚刺激、体性感覚刺激、電気刺激、磁気刺激、異なるタイプの刺激の組み合わせ、及び/又は他の刺激を含んでもよい。聴覚、電気、磁気、視覚、体性感覚、及び/又は他の感覚の刺激には、匂い、音、視覚刺激、接触、味覚、体性感覚刺激、触覚、電気、磁気、及び/又は他の刺激が含まれる。感覚刺激は、強度、タイミング、及び/又は他の特徴を有してもよい。例えば、音響トーンをユーザ12に提供して、ユーザ12における睡眠の回復効果を高めることができる。音響トーンは、トーン間隔によって互いに離間された、決定された長さのトーンの1つ以上のシリーズを含んでもよい。個々のトーンのボリューム(例えば、強度等)は、大きなトーンがより深い眠りの間に流され、ソフトなトーンがより浅い睡眠の間に流されるように、睡眠の深さ及び(本明細書において記載される)他の要因に基づき調節することができる。個々のトーンの長さ(例えば、タイミング等)及び/又はトーン間隔(例えば、タイミング等)も、ユーザ12がより深い又はより浅い睡眠にあるかどうかに応じて調整することができる。この例は、限定的であると意図されない。感覚刺激装置16の例として、音源、スピーカ、音楽プレーヤ、トーン発生器、振動刺激を送達する(例えば圧電部材等の)バイブレータ、脳の皮質を直接刺激する磁場を生成するコイル、1つ以上の光発生器若しくはランプ、フレグランスディスペンサ、及び/又は他の装置のうち1つ以上が挙げられてもよい。一部の実施形態において、感覚刺激装置16は、(例えば、以下に記載される)ユーザ12に提供される刺激の強度、タイミング、及び/又は他のパラメータを調整するように構成される。
【0021】
外部資源18は、情報源(例えば、データベース、ウェブサイト等)、システム10に関与する外部実体(例えば、1つ以上の外部睡眠モニタリング装置、医療提供者の医療記録システム等)、及び/又は他の資源を含む。例えば、外部資源18は、ユーザの集団に対する歴史的な睡眠の深さ情報源及び/又は他の情報源を含んでもよい。ユーザの集団に対する歴史的な睡眠の深さ情報は、ユーザの集団の睡眠セッションの間の時間の経過に伴う睡眠の深さを示すユーザの集団の脳活動に関してもよい。一部の実施形態において、ユーザの集団に対する歴史的な睡眠の深さ情報は、所与の地理的領域におけるユーザ集団;性別、民族性、年齢、一般的な健康レベルに関する人口統計学的情報、及び/又は他の人口統計学的情報;ユーザの集団についての生理学的情報(例えば、体重、血圧、脈拍等)、及び/又は他の情報に関してもよい。一部の実施形態において、この情報は、ユーザの集団における個々のユーザが、人口統計学的に、生理学的に、及び/又は別の方法でユーザ12と類似しているかどうかを示してもよい。
【0022】
一部の実施形態において、外部資源18は、情報の通信を促進するコンポーネント、システム10の外側の1つ以上のサーバ、ネットワーク(例えば、インターネット等)、電子記憶装置、Wi-Fi技術に関する機器、Bluetooth(登録商標)技術に関する機器、データ入力装置、センサ、スキャナ、個々のユーザに関連する計算装置、及び/又は他の資源を含む。一部の実装形態では、本明細書において外部資源18に起因する機能の一部又は全てが、システム10に含まれる資源によって提供されてもよい。外部資源18は、有線及び/又は無線の接続を介して、ネットワーク(例えば、ローカルエリアネットワーク及び/又はインターネット等)を介して、セルラー技術を介して、Wi-Fi技術を介して、及び/又は他の資源を介して、プロセッサ20、ユーザインターフェース24、センサ14、電子記憶装置22、感覚刺激装置16、及び/又はシステム10の他の構成要素と通信するように構成することができる。
【0023】
プロセッサ20は、システム10において情報処理能力を提供するように構成される。そのようなものとして、プロセッサ20は、デジタルプロセッサ、アナログプロセッサ、情報を処理するように設計されたデジタル回路、情報を処理するように設計されたアナログ回路、ステートマシン、及び/又は情報を電子的に処理するための他の機構のうち1つ以上を含んでもよい。プロセッサ20は、単一実体として図1において示されているけれども、これは単に例示的目的のためである。一部の実施形態において、プロセッサ20は、複数の処理ユニットを含んでもよい。これらの処理ユニットは、同じ装置(例えば、感覚刺激装置16、ユーザインターフェース24)内に物理的に位置してもよく、又は、プロセッサ20は、協調して動作する複数の装置の処理機能を表してもよい。一部の実施形態において、プロセッサ20は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、スマートフォン、タブレットコンピュータ、サーバ、及び/又は他の計算装置等の計算装置であってもよく、及び/又は、そのような計算装置に含まれてもよい。そのような計算装置は、システム10とのユーザインタラクションを促進するように構成されたグラフィカルユーザインタフェースを有する1つ以上の電子アプリケーションを実行することができる。
【0024】
図1において示されているように、プロセッサ20は、1つ以上のコンピュータプログラムコンポーネントを実行するように構成される。コンピュータプログラムコンポーネントは、例えば、プロセッサ20にコードされた及び/又は別の方法で包埋されたソフトウェアプログラム及び/又はアルゴリズムを含んでもよい。1つ以上のコンピュータプログラムコンポーネントは、情報コンポーネント30、モデルコンポーネント32、制御コンポーネント34、調節コンポーネント36、及び/又は他のコンポーネントのうち1つ以上を含んでもよい。プロセッサ20は、ソフトウェア;ハードウェア;ファームウェア;ソフトウェア、ハードウェア、及び/又はファームウェアの一部の組み合わせ;及び/又は、プロセッサ20上の処理能力を構成するための他の機構;によって、コンポーネント30、32、34、及び/又は36を実行するように構成されてもよい。
【0025】
コンポーネント30、32、34、及び36は、単一の処理ユニット内に共同設置されているとして図1において例示されているけれども、プロセッサ20が複数の処理ユニットを含む実施形態においては、コンポーネント30、32、34、及び/又は36のうち1つ以上が、他のコンポーネントから離れて位置してもよいということが正しく理解されるべきである。以下に記載される異なるコンポーネント30、32、34、及び/又は36によって提供される機能の説明は、コンポーネント30、32、34、及び/又は36のいずれも、記載されるよりも多い又は少ない機能を提供することができるため、例示目的のためにあり、限定的であるとして意図されない。例えば、コンポーネント30、32、34、及び/又は36のうち1つ以上を除去することができ、さらに、その機能の一部又は全てを、他のコンポーネント30、32、34、及び/又は36によって提供することができる。別の例として、プロセッサ20は、コンポーネント30、32、34、及び/又は36のうち1つに起因する機能の一部又は全てを行うことができる1つ以上のさらなるコンポーネントを実行するように構成されてもよい。
【0026】
情報コンポーネント30は、ユーザ12の1つ以上の脳活動パラメータを決定するように構成される。脳活動パラメータは、センサ14からの出力信号及び/又は他の情報に基づき決定される。脳活動パラメータは、ユーザにおける睡眠の深さを示す。一部の実施形態では、脳活動に関する出力信号内の情報は、時間の経過に伴う睡眠の深さを示す。一部の実施形態では、時間の経過に伴う睡眠の深さを示す情報は、ユーザ12における徐波活動に関する情報であるか又はそれを含む。一部の実施形態において、ユーザ12の徐波活動は、ユーザ12の睡眠段階を示すことができる。ユーザ12の睡眠段階は、急速眼球運動(REM)睡眠、非急速眼球運動(NREM)睡眠、及び/又は他の睡眠に関連していてもよい。ユーザの集団の睡眠段階は、NREMのステージN1、ステージN2、又はステージN3、REM睡眠、及び/又は他の睡眠段階のうち1つ以上であってもよい。一部の実施形態において、ユーザ12の睡眠段階は、ステージS1、S2、S3、又はS4のうち1つ以上であってもよい。一部の実施形態では、NREMのステージ2及び/又は3(及び/又は、S3及び/又はS4)は、徐波(例えば、深い)睡眠であってもよい。一部の実施形態では、時間の経過に伴う睡眠の深さを示す脳活動に関する情報は、1つ以上のさらなる脳活動パラメータである及び/又はそれに関する。
【0027】
一部の実施形態では、時間の経過に伴う睡眠の深さを示す脳活動に関する情報は、ユーザの集団の睡眠セッションの間に生成されたEEG情報である及び/又はそれを含む。一部の実施形態において、脳活動パラメータは、EEG情報に基づき決定されてもよい。一部の実施形態において、脳活動パラメータは、情報コンポーネント30及び/又はシステム10の他のコンポーネントによって決定されてもよい。一部の実施形態において、脳活動パラメータは、事前に決定されてもよく、さらに、外部資源18から得られる歴史的な睡眠の深さ情報の一部であってもよい。一部の実施形態において、1つ以上の脳活動パラメータは、EEG信号の周波数、振幅、位相、紡錘波、K複合、若しくは睡眠徐波等の特定の睡眠パターンの存在、アルファ波、及び/又は他の特徴である及び/又はそれに関する。一部の実施形態において、1つ以上の脳活動パラメータは、EEG信号の周波数、振幅、及び/又は他の特徴に基づき決定される。一部の実施形態では、決定された脳活動パラメータ及び/又はEEGの特徴は、上記のREM及び/又はNREMの睡眠段階に対応する睡眠段階であってもよく及び/又はそれを示してもよい。例えば、NREM睡眠の間の典型的なEEG特徴には、睡眠段階N1に対するアルファ波(例えば、約8~12Hz等)からシータ波(例えば、約4~7Hz等)への移行;睡眠段階N2に対する睡眠紡錘波(例えば、約11から16Hz等)及び/又はK複合(例えば、睡眠徐波に類似)の存在;睡眠段階N3に対するピーク間振幅が約75uVを超える、睡眠徐波としても知られるデルタ波(例えば、約0.5から4Hz等)の存在;浅い睡眠及び/又は覚醒状態の存在、及び/又は他の特徴;が含まれる。一部の実施形態において、浅い睡眠は、アルファ活動(例えば、8~12Hz帯域のEEGパワー等)がもはや存在せず、徐波が存在しないという事実によって特徴づけることができる。一部の実施形態において、徐波活動は、正の連続値(例えば、0.4から4Hz帯域のEEGパワー等)である。一部の実施形態において、徐波の欠如は浅い睡眠を示す。加えて、紡錘波活動(11から16Hz帯域のEEGパワー)が高くあってもよい。深い眠りは、デルタ活動(例えば、0.5から4Hz帯域のEEGパワー等)が優位であるという事実によって特徴づけることができる。一部の実施形態では、デルタ帯域及びSWAにおけるEEGパワーは、睡眠EEGを考慮する場合に同じである。一部の実施形態では、時間の経過に伴う睡眠の深さを示す脳活動に関する情報は、時間の経過に伴うEEGデルタパワーの変化、ユーザの集団における微少覚醒の量、他のEEGパワーレベル、及び/又は他のパラメータを示す。
【0028】
情報コンポーネント30は、歴史的な睡眠の深さ情報を得るように構成される。一部の実施形態において、歴史的な睡眠の深さ情報は、ユーザの集団に対するものである。一部の実施形態において、歴史的な睡眠の深さ情報は、ユーザ12に対するものである。歴史的な睡眠の深さ情報は、ユーザの集団及び/又はユーザ12の以前の睡眠セッションの間の時間の経過に伴う睡眠の深さを示すユーザの集団及び/又はユーザ12の脳活動に関する。歴史的な睡眠の深さ情報は、対応する睡眠セッションの間のユーザの集団及び/又はユーザ12の睡眠段階及び/又は他の脳活動パラメータ、及び/又は他の情報に関する。一部の実施形態において、情報コンポーネント30は、外部資源18、電子記憶装置22、及び/又は他の情報源から電子的に歴史的な睡眠の深さ情報を得るように構成される。一部の実施形態では、外部資源18、電子記憶装置22、及び/又は他の情報源から電子的に歴史的な睡眠の深さ情報を得ることは、1つ以上のデータベース及び/又はサーバを検索すること、情報をアップロードすること及び/又は情報をダウンロードすること、(例えば、ユーザインターフェース24を介して標的患者集団の入力を定義するために使用される基準等)ユーザ入力を促進すること、電子メールを送受信すること、テキストメッセージを送受信すること、及び/又は他の通信を送受信すること、及び/又は、他の取得動作を行うこと、を含む。一部の実施形態において、情報コンポーネント30は、様々な供給源(例えば、上記の外部資源18、電子記憶装置22のうち1つ以上等)からの情報を凝集する、1つ以上の電子データベース(例えば、電子記憶装置22及び/又は他の電子データベース等)に情報を配置する、歴史的な睡眠の深さ情報の1つ以上の特性(例えば、睡眠セッションの長さ、睡眠セッションの数等)に基づき情報を正規化する、及び/又は他の動作を行うように構成される。
【0029】
モデルコンポーネント32は、歴史的な睡眠の深さ情報を使用して機械学習モデルに訓練させるように構成される。一部の実施形態では、機械学習モデルへの入力として歴史的な睡眠の深さ情報を提供することによって、歴史的な睡眠の深さ情報に基づき機械学習モデルは訓練される。一部の実施形態において、機械学習モデルは、数学的方程式、アルゴリズム、プロット、チャート、ネットワーク(例えば、ニューラルネットワーク等)、及び/又は、他のツール及び機械学習モデルコンポーネントであってもよく及び/又はそれらを含んでもよい。例えば、機械学習モデルは、入力層、出力層、及び1つ以上の中間層又は隠れ層を有する1つ以上のニューラルネットワークであってもよく及び/又はそれらを含んでもよい。一部の実施形態では、1つ以上のニューラルネットワークは、ディープニューラルネットワーク(例えば、入力層と出力層の間に1つ以上の中間層又は隠れ層を有するニューラルネットワーク等)であってもよく及び/又はそれらを含んでもよい。
【0030】
一例として、ニューラルネットワークは、多数のニューラルユニット(又は人工ニューロン)の収集に基づいてもよい。ニューラルネットワークは、(例えば、軸索によって接続されている生物学的なニューロンの大きなクラスターを介して)生物学的な脳が機能する様式を大まかに模倣することができる。ニューラルネットワークの各ニューラルユニットは、ニューラルネットワークの多くの他のニューラルユニットと接続されてもよい。そのような接続は、接続されたニューラルユニットの活性化状態に対する影響を及ぼすことができるか又はそれを抑制することができる。一部の実施形態において、各個々のニューラルユニットは、その入力全ての値を共に組み合わせる総和関数を有してもよい。一部の実施形態において、各接続(又はニューラルユニット自体)は、信号が他のニューラルユニットに伝播されるのを可能にする前に閾値を超えなければならないような閾値機能を有してもよい。これらのニューラルネットワークシステムは、明示的にプログラムされるのではなく、自己学習で訓練されてもよく、従来のコンピュータプログラムと比較して、特定の分野の問題解決において、かなり良好に機能することができる。一部の実施形態において、ニューラルネットワークは、(例えば、信号経路が、前方層から後方層まで横切る場合に)複数の層を含んでもよい。一部の実施形態では、バックプロパゲーション技術がニューラルネットワークによって利用されてもよく、フォワード刺激が、「フロント」ニューラルユニットに対する重みをリセットするために使用される。一部の実施形態において、ニューラルネットワークに対する刺激及び抑制は、より無秩序で複雑な様式で相互作用する接続を伴って、より自由に流れてもよい。
【0031】
上記のように、訓練されたニューラルネットワークは、1つ以上の中間層又は隠れ層を含んでもよい。訓練されたニューラルネットワークの中間層は、1つ以上の畳み込み層、1つ以上の再帰層、及び/又は訓練されたニューラルネットワークの他の層を含む。個々の中間層は、入力として別の層から情報を受信し、対応する出力を生成する。予測された睡眠段階及び/又は深い眠りの段階の将来の時間は、ニューラルネットワークの層によって処理されるセンサ14からの出力信号内の情報に基づき生成される。
【0032】
モデルコンポーネント32は、訓練されたニューラルネットワークに、ユーザ12に対する予測される睡眠段階を示させるように構成される。一部の実施形態において、これは、訓練されたニューラルネットワークに、ユーザ12が深い眠りの段階にある睡眠セッションの間の将来の時間を予測させることであってもよく及び/又はそれを含んでもよい。予測される睡眠段階及び/又はタイミングは、刺激のためにユーザが深い眠りにあるかどうか及び/又は他の情報を示す。訓練されたニューラルネットワークは、(例えば、モデルに対する入力としての出力信号内の情報を使用して等)出力信号及び/又は他の情報に基づき、ユーザに対する予測された睡眠段階、及び/又は、深い眠りの段階の将来の時間及び/又はタイミングを示すようにされる。訓練されたニューラルネットワークは、睡眠セッションの間のユーザ12に対する将来の時間に生じると予測される睡眠段階を示すように構成される。一部の実施形態において、モデルコンポーネント32は、睡眠セッションの間の個々の期間に対応する時間的セットで出力信号内の情報をニューラルネットワークに提供するように構成される。一部の実施形態において、モデルコンポーネント32は、時間的セットの情報に基づき、睡眠セッションの間のユーザ12に対する予測された睡眠段階及び/又は予測された深い眠りの段階の時間を、訓練されたニューラルネットワークに出力させるように構成される。(モデルコンポーネント32の機能は、図2~9に関連して以下においてさらに議論される)。
【0033】
制御コンポーネント34は、刺激装置16を制御して、睡眠中及び/又は他の時間にユーザ12に刺激を提供するように構成される。制御コンポーネント34は、予測された睡眠段階(例えば、モデルコンポーネント32からの出力等)及び/又はユーザ12が深い眠りの段階にある将来の時間、及び/又は他の情報に基づき、ユーザ12に対する感覚刺激を感覚刺激装置16に提供させるように構成される。制御コンポーネント34は、睡眠セッションの間の時間の経過に伴う予測された睡眠段階及び/又は将来の時間、及び/又は他の情報に基づき、ユーザ12に対する感覚刺激を感覚刺激装置16に提供させるように構成される。制御コンポーネント34は、刺激のための深い眠り(例えば、深い(N3の)眠り)にある又はあると思われるユーザ12に応答して、ユーザ12に対する感覚刺激を感覚刺激装置16に提供させるように構成される。
【0034】
一部の実施形態において、刺激装置16は、(本明細書に記載されるように)NREM睡眠において送達される(例えば、末梢聴覚、磁気、電気、及び/又は他の)刺激を通じて睡眠徐波を増強するように、制御コンポーネント34によって制御される。一部の実施形態では、制御コンポーネント34(及び/又は本明細書において記載される他のプロセッサコンポーネントのうち1つ以上)は、本明細書において参照により全て個々に援用する(“System and Method for Sleep Session Management Based on Slow Wave Sleep Activity in a Subject”と題された)特許文献1、(“System and Method for Enhancing Sleep Slow Wave Activity Based on Cardiac Activity”と題された)特許文献2、(“Adjustment of Sensory Stimulation Intensity to Enhance Sleep Slow Wave Activity”と題された)特許文献3、(“System and Method for Determining Sleep Stage Based on Sleep Cycle”と題された)特許文献4、及び/又は、(“System and Method for Facilitating Sleep Stage Transitions”と題された)特許文献5において記載されている動作と類似の及び/又は同じ1つ以上の動作を行う。(制御コンポーネント34の機能は、図2~9に関連して以下においてさらに議論される)。
【0035】
調節コンポーネント36は、感覚刺激のタイミング及び/又は強度を感覚刺激装置16に調節させるように構成される。調節コンポーネント36は、脳活動パラメータ、訓練されたニューラルネットワークの中間層から出力された値、及び/又は他の情報に基づき、感覚刺激のタイミング及び/又は強度を感覚刺激装置16に調節させるように構成される。一例として、感覚刺激装置16は、脳活動パラメータ、畳み込み層から出力された値、再帰層から出力された値、及び/又は他の情報に基づき、感覚刺激のタイミング及び/又は強度を調節するようにされる。例えば、調節コンポーネント36は、感覚刺激が、特定の睡眠段階(例えば、N3等)の予測された確率値(例えば、ニューラルネットワークの中間層からの出力)に比例する強度で送達されるように構成することができる。この例では、N3睡眠の確率が高いほど、刺激の強度は大きくなる。(調節コンポーネント36の機能は、図2~9に関連して以下においてさらに議論される)。
【0036】
非限定的な例として、図2は、システム10によって行われる上述した動作のうちいくつかを例示している。図2において示されている例では、EEG信号200が処理される、及び/又は、別の方法で(例えば、図1において示されている情報コンポーネント30及びモデルコンポーネント32によって)、時間ウィンドウ202でディープニューラルネットワーク204に提供される。ディープニューラルネットワーク204は、時間ウィンドウ202内の情報に基づき、(N3、N2、N1、R(REM)、及びW(覚醒状態)として例示されている)将来の睡眠段階208及び/又はユーザが深い睡眠にある将来の時間を予測する(206)。一部の実施形態において、予測ウィンドウは、例えば、約数十秒から数分である。将来の睡眠段階及び/又は深い眠りの段階のタイミングを予測することは、システム10が(より浅い睡眠の段階が予測される場合に)刺激を控える又はより深い(例えばNREMの)睡眠が予測される場合に最適化されたタイミング及び強度の刺激の準備をするのを可能にするため、徐波睡眠を増強するための感覚刺激の提供を促進する。ディープニューラルネットワーク204のアーキテクチャは、(フィルタとして考えることができる)畳み込み層210と、ネットワーク204にメモリを与える(単なる一例として、長・短期記憶素子として実装することができる)再帰層212とを含み、予測精度を洗練させるために過去の予測を使用することができる。
【0037】
図2において示されているように、(例えば、感覚刺激の提供のための深い眠り等)NREM睡眠が予測されること214を示す睡眠段階予測208に応答して、(例えば、図1において示されている制御コンポーネント34によって制御される感覚刺激装置16から)刺激216がユーザ12に提供される。刺激216の強度及び/又はタイミングは、(例えば、図1において示されている情報コンポーネント30によって決定される)脳活動パラメータ220、(定数C,C,...,Cとして例示されている)ディープニューラルネットワークの畳み込み層からの出力222、及び予測された睡眠段階208に基づき、(例えば、調節モジュール36によって)調節される(218)。上述のように、一部の実施形態において、感覚刺激は可聴音を含む。これらの実施形態において、感覚刺激装置16は、ユーザが深い眠り及び/又は刺激のための深い眠りにあることを示す脳活動パラメータ及び/又は中間層(例えば、畳み込み層210及び/又は再帰層212)からの出力に応答してトーン間隔を減少させること及び/又はトーンボリュームを増加させることによって、感覚刺激のタイミング及び/又は強度を調節することができる。
【0038】
図3は、システム10(図1及び2)の一部であるディープニューラルネットワーク(例えば、図2において示されているディープニューラルネットワーク204)の例となるアーキテクチャ300を例示している。図3は、3つの(展開された)EEG301のウィンドウ302、304、及び306に対するディープニューラルネットワークのアーキテクチャ300を例示している。アーキテクチャ300は、畳み込み層308、310、及び312と、再帰層320、322、及び324とを含む。上述のように、畳み込み層308、310、及び312は、フィルタとして考えることができ、再帰層320、322、324(この例においてはLSTM(長・短期記憶)層)に供給される畳み込み出力314、316、及び318を生成する。処理される個々のウィンドウ302、304、306に対するアーキテクチャ300の出力は、「1つ又は複数の軟出力(soft output(s))」326と呼ばれる、個々の睡眠段階に対する一組の予測確率である。「硬(hard)」予測328は、(例えば、以下において記載されるように)最も高い値を有する「軟」出力に関連する睡眠段階を予測する(330)ことにより、アーキテクチャ300(図1において示されているモデルコンポーネント32)によって決定される。「軟」及び「硬」という用語は、限定的であるとして意図されないが、システムによって行われる動作を記載するために使用するのに役立ち得る。例えば、「軟出力」という用語が、この段階において、いかなる判定も可能であるため、使用されてもよい。実際、最終判定は、例えば軟出力の後処理に依存し得る。図3における「Argmax」は、最も高い「軟出力」(例えば、最も高い確率等)に関連する睡眠段階を示すオペレータである。
【0039】
例えば、ニューラルネットワークの有用な特性は、予め定義された睡眠段階(例えば、覚醒、REM、N1、N2、N3の睡眠等)に関連する確率をニューラルネットワークが生成することができるということである。モデルコンポーネント32(図1)は、一組の確率がいわゆる軟判定ベクトルを構成するように構成され、これは、どの睡眠段階が、他の睡眠段階と比較して(一連の可能な値における)最も高い確率値に関連するかを決定することによって、硬判定に翻訳され得る。これらの軟判定によって、システム10が、(先行技術のシステムのように)どの分離した睡眠段階「バケット」に特定のEEG情報が適合するかを判定することを強制されるのではなく、連続体における異なるあり得る睡眠状態を考慮することが可能になる。
【0040】
図1に戻ると、モデルコンポーネント32は、畳み込み層から出力された値及び軟判定値出力の双方が、睡眠段階等の離散値とは対照的に、連続値を含むベクトルであるように構成される。従って、例えばディープニューラルネットワークがNREM睡眠の発生を予測する場合に、刺激のボリュームを調節するためにシステム10によって使用されるように畳み込み及び再帰(軟判定)値出力は利用可能である。加えて、本明細書において記載されるように、生のEEG信号に基づき(例えば、図1において示されている情報コンポーネント30によって)決定されるパラメータを使用して、刺激設定を調節することができる。上述のように、これらのパラメータは、睡眠の深さパラメータ(例えば、デルタ帯域におけるEEGパワーとベータ帯域におけるEEGパワーとの比)、単位時間当たりの検出された徐波の密度、デルタ帯域におけるパワー、及び/又は他のパラメータを含む。
【0041】
上述のように、調節コンポーネント36は、感覚刺激のタイミング及び/又は強度を感覚刺激装置16に調節させるように構成される。調節コンポーネント36は、1つ以上の脳活動パラメータ、訓練されたニューラルネットワークの畳み込み層及び/又は再帰層から出力された値、及び/又は他の情報に基づき、感覚刺激のタイミング及び/又は強度を感覚刺激装置に調節させるように構成される。一例として、ユーザ12に提供される聴覚刺激のボリュームは、畳み込み層値出力及び再帰層値出力(例えば、睡眠段階(軟)予測確率)等のディープニューラルネットワークからの値出力に基づき調整する及び/又は別の方法で制御(例えば、調節)することができる。
【0042】
図4は、睡眠段階N3 404、N2 406、N1 408、覚醒410、及びREM 412に対する睡眠段階確率値(p(c))402の連続体400の一例を、睡眠セッションに対する将来の瞬間414にわたって例示している。図4は、硬出力420も例示しており、これは、睡眠セッションに対する将来の瞬間414にわたる(この例においてはゼロから1のスケールの)最も高い予測確率値402に関連する睡眠段階である。最後に、図4は、参照用の睡眠セッションに対する(例えば、専門家の睡眠技師によって手動で注釈が付けられた)手動で注釈が付けられたヒプノグラム430を例示している。睡眠セッションの間の各瞬間に対して単一の離散した睡眠段階を予測するシステムとは対照的に、モデルコンポーネント32(図1)は、個々の睡眠段階に対する睡眠段階予測確率が波形416として振る舞い、時間の経過に伴い(この例においては)ゼロから1の値の連続体にわたって変化するように構成される。硬出力(例えば、ユーザ12に対する予測された睡眠段階等)を生成するためにモデルコンポーネント32によって使用されることに加えて、様々な時点414におけるこれらの波形の値は、畳み込み層出力、情報コンポーネント30(図1)によって決定されたパラメータ、及び/又は検出されたN3睡眠の間の聴覚刺激を調節するための他の情報と共に、調節コンポーネント36(図1)によって使用することができる。
【0043】
図5は、ユーザ12(図1)に刺激を提供するときを決定するために(例えば、図1において示されているモデルコンポーネント32及び制御コンポーネント34によって)、及び、刺激を調節する(例えば、この例においてはそのボリュームを決定する)ために(例えば、調節コンポーネント36によって)、N3睡眠に関連する予測確率値が使用される一例を例示している。図5aは、睡眠段階N3 504、N2 506、N1 508、覚醒510、及びREM 512に対する睡眠段階確率値(p(c))502の連続体500を、睡眠セッションに対する将来の瞬間514にわたって例示している。図5aは、硬出力睡眠段階予測520も例示しており、これは、(この例においてはゼロから1のスケールの)最も高い予測確率値502に関連する睡眠段階である。図5bは、睡眠段階確率連続体500及び硬出力睡眠段階予測520の例示を繰り返しているが、予測されたN3睡眠540の期間に対して、どのようにして、予測されたN3確率値に比例するボリュームでトーンが送達されるのかも例示している。刺激が送達されるN3予測確率連続体500の領域は、影付き542で示されている。調節コンポーネント36(図1)は、トーン(例えば感覚刺激)のボリューム(例えば強度)がN3睡眠の確率値に比例するように構成される。本質的に、N3予測確率値が高いほど、刺激のボリュームは大きくなる。N3睡眠を検出するシステムに対しては、N3の確率は、他の全ての段階の中で最も高いはずである。非限定的な例として、ここで言及されるN3閾値は刺激のために使用される。N3睡眠が検出される(すなわち、N3の確率が最も高い)と、N3の確率が閾値を超える場合に刺激が送達される。閾値を設定するために、N3が検出されるとN3確率の分布が使用される(この例においては0.65であり、これは、検出されたN3の50%が刺激を受けることを確実にする)。ボリュームは、(閾値を超えると)N3確率に比例する。
【0044】
上述のように、調節コンポーネント36(図1)は、ニューラルネットワークの畳み込み層出力を利用して、ユーザ12に送達される刺激を調節するように構成される。一部の実施形態において、ニューラルネットワークの畳み込み出力を、上記の確率値及び/又は(例えば、EEGから直接決定される)他のパラメータの代わりに使用して刺激を調節してもよい。一部の実施形態において、ニューラルネットワークの畳み込み出力を、上記の確率値及び/又は(例えば、EEGから直接決定される)他のパラメータに加えて使用して刺激を調節してもよい。畳み込み層出力は、フィルタバンクからの出力として考えることができる。非限定的な例として、本明細書において記載される睡眠段階を予測するように訓練されたディープニューラルネットワークからの畳み込み層出力が図6において示されている。そのような畳み込み層出力は、周波数領域における出力及び/又は他の出力を含んでもよい。図6は、例えば、8つの合計出力600~614を示している。これらの出力は、0.1から50Hz(0.1Hz刻み)に及ぶ単一周波数における30秒の長さの200マイクロボルトのピーク間余弦波(co-sinusoidal)信号をEEG入力として使用して生成された。周波数領域の畳み込み出力のプロファイルは、明確な出力600~614の睡眠に関連した関連性を明らかにする。例えば、第4から第6の出力606~610は狭帯域出力を示しており、第4の出力606は、シータ帯域(4から7Hz)における活動に応答し、第5の出力608は、超低周波(infra-slow)(<0.6Hz)振動及び狭いサブシータ帯域(6から7Hz)に応答し、第6の出力610は、デルタ帯域活動に応答する。第3及び第7の出力604及び612は、デルタ帯域以外の任意の帯域における活動に応答する。第1及び第8の出力600及び614は、デルタ帯域におけるマルチモーダルな活動、紡錘波(シグマ11から16Hz)活動、及び狭いガンマの活動(35から40Hz)の範囲に応答する。
【0045】
一部の実施形態において、調節コンポーネント36(図1)は、個々の畳み込み層出力(例えば、図6において示されている出力)が、刺激のタイミング及び強度を調節するための基礎として使用されるように構成される。一部の実施形態において、調節コンポーネント36は、複数の畳み込み層出力が、刺激のタイミング及び強度(例えば、ボリューム等)の調節を促進するように構成される。一部の実施形態において、1つ以上の畳み込み層からの出力は、2つ以上の畳み込み層からの2つ以上の対応する個々の出力を含む。一部の実施形態において、調節コンポーネント36は、1つの畳み込み層からの出力と別の畳み込み層からの出力との比を決定するように構成される。一部の実施形態において、調節コンポーネント36は、1つ以上の感覚刺激装置に、上記の比に基づき感覚刺激のタイミング及び/又は強度を調節させるように構成される。
【0046】
例えば、睡眠の深さは、低周波帯におけるEEGパワーと高周波帯におけるEEGパワーとの比を求めることによって推定することができる。従って、検出されたNREM睡眠の間の第6の出力610と第7の出力612との比は、例えば、刺激のボリュームを調節するための適切な基礎になり得る(例えば、比が増加するに従い、強度は増加し、その逆も同様である)。この概念は、図7においてさらに例示されている。図7は、ユーザ(例えば、図1において示されているユーザ12等)に提供される刺激を調節するために使用される畳み込み層値出力間の比を例示している。上部の曲線700は、第6の610と第7の612の畳み込み層値出力間の比の(1分間の長い時間ウィンドウを使用して平滑化された)対数を示している。刺激を送達すべきときを示すように構成されたこの比に対する閾値は、破線の水平線702によって示されている。閾値は、検出されたN3睡眠における比の分布を考慮することによって決定される。次に、閾値は、検出されたN3睡眠の一部(例えば、50%)が刺激を受けることを確実にするように設定される。この例において、閾値は、より浅いN3睡眠の間の刺激の送達を防止するように構成される。垂直線704は、刺激のタイミングを示しており、線の長さは、決定された比が閾値を超える量に比例し得るトーンボリューム(dBs単位)と相関する。比較のために、他のシステム及び非システムにより生成される出力曲線706、708、及び710が例示されている。曲線706は、様々な睡眠段階の予測された確率を示す、(例えば、上記のように決定される)軟出力曲線である。曲線708は、(例えば、上記のように決定される)硬出力の予測された睡眠段階曲線である。曲線710は、同じ睡眠期間712に対する手動で注釈が付けられた睡眠段階を示している。曲線706、708、及び710は、曲線700よりも小さい変動を示している。曲線706、708、及び710によると、ユーザは、睡眠期間712のうち大部分の間、N3睡眠にある。曲線706、708、又は710における信頼性は、ユーザが定常のN3睡眠にあるように見えるために、システム10(例えば、モデルコンポーネント32、制御コンポーネント34、及び/又は調節コンポーネント36等)に、過剰な刺激及び/又は過剰な強度の刺激を送達させ得る。これは、例えば、意図せずにユーザを覚醒させることがある。
【0047】
一部の実施形態において、調節コンポーネント36(図1)は、脳活動パラメータ、1つ以上の畳み込み層から出力された値、及び1つ以上の再帰層から出力された値のうち1つ以上を互いに対して重み付けするように構成される。一部の実施形態において、調節コンポーネント36は、重み付けされた1つ以上の脳活動パラメータ、重み付けされた1つ以上の畳み込み層から出力された値、及び重み付けされた1つ以上の再帰層から出力された値に基づき、1つ以上の感覚刺激装置に感覚刺激を調節させるように構成される。図7に示されている例において、調節コンポーネント36は、ユーザ12(図1)に送達される刺激をどのように調節するかを決定する際に、軟出力706又は硬出力708よりも重く、畳み込み層出力間の比を重み付けすることができる。この場合のボリュームは:

ボリューム=λ×比+(1-λ)×N3確率、0<λ<1
に従って設定される。
【0048】
λが1に近いほど、ボリュームに対する比の重要性は高くなる。
【0049】
図1に戻ると、一部の実施形態において、調節コンポーネント36は、センサ14からの出力信号に基づき(例えば、生のEEG信号に基づき)決定することができる脳活動パラメータのみに基づき感覚刺激を調節するように構成される。これらの実施形態では、ディープニューラルネットワーク(及び/又は他の機械学習モデル)の出力は、(例えば、上記のように)睡眠段階を予測するために使用され続ける。しかし、刺激強度(例えば、ボリューム等)及びタイミングは、代わりに、センサ出力信号に基づき決定された脳活動パラメータに基づき調節される。センサ出力信号は、生のEEG信号であってもよく及び/又はそれを含んでもよく、そのような信号に基づき決定された脳活動パラメータは、例えば、EEGデルタパワーとEEGベータパワーとの比を含んでもよい。しかし、他のセンサ出力信号及び他の脳活動パラメータが熟考される。
【0050】
非限定的な例として、図8は、睡眠セッションに対する睡眠段階806に関して、脳活動パラメータの睡眠の深さ800、徐波密度802、及びデルタパワー804(RMS単位)を例示している。睡眠の深さ、徐波密度、及びデルタパワーは、例えば、生のEEG信号に基づき決定することができる。図8において示されているように、曲線800~806は、概して、互いに対応している。睡眠段階がより深い眠りの段階808である場合、睡眠の深さ800、徐波密度802、及びデルタパワー804は、概して、対応する増加810を示す。逆もまた真実である。これは睡眠周期にわたって保たれる。睡眠周期は、睡眠の深さ、徐波密度、及びデルタパワーの曲線において逆U字形としてはっきりと分かる。
【0051】
図9は、N3睡眠の期間900の詳細を例示している。図9において、生のEEG信号からの特徴のダイナミクスが、(図8において示されているものと同様に)ここでも分かる。図9は、期間900に対する睡眠の深さ906、遅波密度902、及びデルタパワー904(RMS単位)を例示している。これらのパラメータは、図9aにおいて例示され、9bにおいても例示されている。図9bは、ユーザ(例えば、図1において示されているユーザ12等)に送達される刺激910(この例においては聴覚トーン)のタイミング及び強度も示している。個々の垂直線の間隔及び長さは、それぞれタイミング及び強度を示している。調節コンポーネント36(図1)は、これらの特徴のうちいずれか1つ、例えば、個々に基づき、又は、これらの特徴のうち2つ以上の一部の組み合わせに基づき刺激を制御するように構成されてもよい。ハイライトされた検出されたN3部分900に対して、調節コンポーネント36は、(この例においては)トーンボリュームが所与のEEG特徴に比例するように構成される。モデルコンポーネント32(図1)及び/又は制御コンポーネント34(図1)は、個々の特徴902、904、906に対する任意の下限閾値920が、例えば、より浅いN3睡眠におけるトーンの送達を防止するために使用されるように構成されてもよい。ここでも、これは睡眠周期にわたって保たれる。
【0052】
図1に戻ると、電子記憶装置22は、情報を電子的に記憶する電子記憶媒体を含む。電子記憶装置22の電子記憶媒体は、システム10と一体的に提供される(すなわち、実質的に取り外し不可能な)システム記憶装置、及び/又は、例えば、ポート(例えば、USBポート、ファイヤワイヤポート等)若しくはドライブ(例えば、ディスクドライブ等)を介して、システム10に取り外し可能に接続可能なリムーバブル記憶装置の一方又は双方を含んでもよい。電子記憶装置22は、光学的に読取可能な記憶媒体(例えば、光ディスク等)、磁気的に読取可能な記憶媒体(例えば、磁気テープ、磁気ハードドライブ、フロッピードライブ等)、電荷ベースの記憶媒体(例えば、EPROM、RAM等)、ソリッドステート記憶媒体(例えば、フラッシュドライブ等)、クラウド記憶装置、及び/又は他の電子的に読取可能な記憶媒体のうち1つ以上を含んでもよい。電子記憶装置22は、ソフトウェアアルゴリズム、プロセッサ20によって決定された情報、ユーザインターフェース24及び/又は外部の計算システム(例えば、外部資源18)を介して受信された情報、及び/又はシステム10が本明細書において記載されるように機能することを可能にする他の情報を記憶することができる。電子記憶装置22は、(全体的に又は部分的に)システム10内の別個の構成要素であってもよく、又は、電子記憶装置22は、(全体的又は部分的に)システム10の1つ以上の他の構成要素(例えば、プロセッサ20等)と一体的に提供されてもよい。
【0053】
ユーザインターフェース24は、システム10とユーザ12及び/又は他のユーザとのインターフェースを提供するように構成され、このインターフェースを介して、ユーザ12及び/又は他のユーザは、システム10に情報を提供し、システム10から情報を受信することができる。これは、まとめて「情報」と呼ばれるデータ、合図、結果、及び/又は命令、並びに、任意の他の伝達可能なアイテムが、ユーザ(例えば、ユーザ12等)と、センサ14、感覚刺激装置16、外部資源18、プロセッサ20、及び/又はシステム10の他の構成要素のうち1つ以上との間で通信されるのを可能にする。例えば、ヒプノグラム、EEGデータ、睡眠段階確率、及び/又は他の情報が、ユーザ12又は他のユーザに対して、ユーザインターフェース24を介して表示されてもよい。別の例として、ユーザインターフェース24は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、スマートフォン、タブレットコンピュータ、及び/又は他の計算装置等の計算装置であってもよく及び/又はそれに含まれてもよい。そのような計算装置は、ユーザに情報を提供する及び/又はユーザから情報を受信するように構成されたグラフィカルユーザインタフェースを有する1つ以上の電子アプリケーションを実行することができる。
【0054】
ユーザインターフェース24に含めるのに適したインターフェース装置の例には、キーパッド、ボタン、スイッチ、キーボード、ノブ、レバー、表示スクリーン、タッチスクリーン、スピーカ、マイクロホン、インジケータライト、可聴アラーム、プリンタ、触覚フィードバック装置、及び/又は他のインターフェース装置が含まれる。一部の実施形態において、ユーザインターフェース24は、複数の別々のインターフェースを含む。一部の実施形態において、ユーザインターフェース24は、プロセッサ20及び/又はシステム10の他の構成要素と一体的に提供される少なくとも1つのインターフェースを含む。一部の実施形態において、ユーザインターフェース24は、プロセッサ20及び/又はシステム10の他の構成要素と無線で通信するように構成される。
【0055】
ハードワイヤード又はワイヤレスのいずれかの他の通信技術も、ユーザインターフェース24として本開示により熟考されるということが理解されたい。例えば、本開示は、ユーザインターフェース24を、電子記憶装置22によって提供されるリムーバブル記憶インターフェースと一体化することができるということを熟考している。この例では、情報を、リムーバブル記憶装置(例えば、スマートカード、フラッシュドライブ、リムーバブルディスク等)からシステム10にロードすることができ、一人又は複数のユーザがシステム10の実装をカスタマイズするのを可能にする。ユーザインターフェース24としてシステム10と共に使用するように適応した他の例証的な入力装置及び技術は、RS-232ポート、RFリンク、IRリンク、モデム(電話、ケーブル、又はその他)を含むが、これらに限定されない。要するに、システム10と情報を通信するための任意の技術が、ユーザインターフェース24として本開示により熟考される。
【0056】
図10は、送達システムを用いて睡眠セッションの間にユーザに感覚刺激を送達する方法1000を例示している。システムは、1つ以上のセンサ、1つ以上の感覚刺激装置、機械読取可能命令によって構成される1つ以上のハードウェアプロセッサ、及び/又は他の構成要素を含む。1つ以上のハードウェアプロセッサは、コンピュータプログラムコンポーネントを実行するように構成される。コンピュータプログラムコンポーネントは、情報コンポーネント、モデルコンポーネント、制御コンポーネント、調節コンポーネント、及び/又は他のコンポーネントを含む。以下に示される方法1000の動作は、例示的であると意図される。一部の実施形態において、方法1000は、記載されていない1つ以上のさらなる動作を伴って及び/又は議論されている動作の1つ以上を伴わずに成し遂げることができる。加えて、方法1000の動作が図10において例示され且つ以下に記載される順序は、限定的であると意図されない。
【0057】
一部の実施形態において、方法1000は、本明細書において記載される1つ以上のプロセッサ20(例えば、デジタルプロセッサ、アナログプロセッサ、情報を処理するように設計されたデジタル回路、情報を処理するように設計されたアナログ回路、ステートマシン、及び/又は情報を電子的に処理するための他の機構)等、1つ以上の処理装置において実施されてもよい。1つ以上の処理装置は、電子記憶媒体上に電子的に記憶された命令に応じて、方法1000の動作の一部又は全てを実行する1つ以上の装置を含んでもよい。1つ以上の処理装置は、方法1000の動作のうち1つ以上の実行のために特に設計されるハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを介して構成される1つ以上の装置を含んでもよい。
【0058】
動作1002では、ユーザの脳活動に関する情報を伝達する出力信号が生成される。出力信号は、ユーザの睡眠セッションの間及び/又は他の時間に生成される。一部の実施形態において、動作1002は、(図1において示され、本明細書において記載される)センサ14と同じ又は類似のセンサによって行われる。
【0059】
動作1004では、感覚刺激がユーザに提供される。感覚刺激は、睡眠セッションの間及び/又は他の時間に提供される。一部の実施形態において、動作1004は、(図1において示され、本明細書において記載される)感覚刺激装置16と同じ又は類似の感覚刺激装置によって行われる。
【0060】
動作1006では、1つ以上の脳活動パラメータが決定される。脳活動パラメータは、出力信号及び/又は他の情報に基づき決定される。脳活動パラメータは、ユーザにおける睡眠の深さを示す。一部の実施形態において、動作1006は、(図1において示され、本明細書において記載される)情報コンポーネント30と同じ又は類似のプロセッサコンポーネントによって行われる。
【0061】
動作1008では、歴史的な睡眠の深さ情報が得られる。歴史的な睡眠の深さ情報は、ユーザの集団に対するものである。歴史的な睡眠の深さ情報は、ユーザの集団の睡眠セッションの間の時間の経過に伴う睡眠の深さを示す、ユーザの集団の脳活動に関する。一部の実施形態において、動作1008は、(図1において示され、本明細書において記載される)情報コンポーネント30と同じ又は類似のプロセッサコンポーネントによって行われる。
【0062】
動作1010では、ニューラルネットワークが、歴史的な睡眠の深さ情報を使用して訓練される。ニューラルネットワークは、ニューラルネットワークへの入力として歴史的な睡眠の深さ情報を提供することによって、歴史的な睡眠の深さ情報に基づき訓練される。一部の実施形態において、ニューラルネットワークを訓練することは、ニューラルネットワークに訓練させることを含む。一部の実施形態において、動作1010は、(図1において示され、本明細書において記載される)モデルコンポーネント32と同じ又は類似のプロセッサコンポーネントによって行われる。
【0063】
動作1012では、訓練されたニューラルネットワークに、ユーザに対する予測された睡眠段階を示させる。これは、ユーザが深い眠りの段階にある睡眠セッションの間の将来の時間を、訓練されたニューラルネットワークが予測することであってもよく及び/又はそれを含んでもよい。訓練されたニューラルネットワークには、出力信号及び/又は他の情報に基づき、ユーザに対する予測された睡眠段階及び/又はユーザが深い睡眠にある将来の時間を示させる。訓練されたニューラルネットワークは、睡眠セッションの間のユーザに対する将来の時間に発生すると予測される睡眠段階を示すように構成される。訓練されたニューラルネットワークは、1つ以上の中間層を含む。訓練されたニューラルネットワークの1つ以上の中間層は、訓練されたニューラルネットワークの1つ以上の畳み込み層及び1つ以上の再帰層を含む。予測される睡眠段階は、ユーザが刺激のための深い眠りにあるかどうか及び/又は他の情報を示す。
【0064】
一部の実施形態において、動作1012は、睡眠セッションの間の個々の期間に対応する時間的セットで、出力信号内の情報をニューラルネットワークに提供することを含む。一部の実施形態において、動作1012は、時間的セットの情報に基づき、睡眠セッションの間のユーザに対する予測された睡眠段階及び/又は予測された深い眠りの将来の時間を訓練されたニューラルネットワークに出力させることを含む。一部の実施形態において、動作1012は、(図1において示され、本明細書において記載される)モデルコンポーネント32と同じ又は類似のプロセッサコンポーネントによって行われる。
【0065】
動作1014では、予測された睡眠セッションの間の深い眠りの段階のタイミング及び/又は他の情報に基づき、ユーザに対する感覚刺激を1つ以上の感覚刺激装置に提供させる。1つ以上の感覚刺激装置には、予測された睡眠段階及び/又はユーザが刺激のための深い眠りにあることを示す将来の時間に応答して、ユーザに対する感覚刺激を提供させる。一部の実施形態において、動作1014は、(図1において示され、本明細書において記載される)制御コンポーネント34と同じ又は類似のプロセッサコンポーネントによって行われる。
【0066】
動作1016では、1つ以上の脳活動パラメータ及び訓練されたニューラルネットワークの1つ以上の中間層から出力された値に基づき、感覚刺激のタイミング及び/又は強度を1つ以上の感覚刺激装置に調節させる。1つ以上の感覚刺激装置には、1つ以上の脳活動パラメータ、1つ以上の畳み込み層から出力された値、及び1つ以上の再帰層から出力された値に基づき、感覚刺激のタイミング及び/又は強度を調節させる。一部の実施形態において、1つ以上の畳み込み層から出力される値は、2つ以上の畳み込み層から出力される2つ以上の対応する個々の値を含む。一部の実施形態において、動作1016は、1つの畳み込み層から出力された値と、別の畳み込み層から出力される値との比を決定することを含む。一部の実施形態において、動作1016は、上記の比に基づき感覚刺激のタイミング及び/又は強度を1つ以上の感覚刺激装置に調節させることを含む。
【0067】
一部の実施形態において、動作1016は、1つ以上の脳活動パラメータ、1つ以上の畳み込み層から出力された値、及び1つ以上の再帰層から出力された値を、互いに対して重み付けすることを含む。一部の実施形態において、動作1016は、重み付けされた1つ以上の脳活動パラメータ、重み付けされた1つ以上の畳み込み層から出力された値、及び重み付けされた1つ以上の再帰層から出力された値に基づき感覚刺激を1つ以上の感覚刺激装置に調節させることを含む。
【0068】
一部の実施形態において、感覚刺激は可聴音を含む。感覚刺激のタイミング及び/又は強度を1つ以上の感覚刺激装置に調節させることは、1つ以上の脳活動パラメータ及び/又は1つ以上の中間層から出力された値がユーザが深い眠りにあることを示すのに応答して、トーン間隔を減少させること及び/又はトーンボリュームを増加させることを含む。一部の実施形態において、動作1016は、(図1において示され、本明細書において記載される)調節コンポーネント36と同じ又は類似のプロセッサコンポーネントによって行われる。
【0069】
特許請求の範囲において、括弧内に置かれたいかなる参照番号も特許請求の範囲を限定するとして解釈するべきではない。「含む(comprising又はincluding)」という単語は、請求項に述べられたもの以外の要素又はステップの存在を除外しない。いくつかの手段を列挙する装置の請求項において、これらの手段のうちいくつかは、1つの且つ同じハードウェアのアイテムによって実現することができる。単数名詞を言及する際に不定冠詞が使用されている場合は、その名詞の複数形の存在を除外しない。いくつかの手段を列挙するいかなる装置の請求項においても、これらの手段のうちいくつかは、1つの且つ同じハードウェアのアイテムによって実現することができる。特定の要素が互いに異なる従属項において列挙されるという単なる事実は、これらの要素を組合せて使用することができないと示しているのではない。
【0070】
上述の説明は、最も実用的で好ましい実施形態であると現在考慮されるものに基づき例示を目的として詳細を提供しているけれども、そのような詳細は単にその目的のためだけであり、本開示は、明確に開示された実施形態に限定されないが、それどころか、付随の特許請求の範囲の真意及び範囲内にある修正及び同等の構成をカバーするよう意図されることを理解されたい。例えば、本開示は、可能な限り、いかなる実施形態の1つ又は複数の特徴もいかなる他の実施形態の1つ又は複数の特徴とも組み合わせることができると熟考していることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10