(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】貯湯式給湯システム
(51)【国際特許分類】
F24H 15/10 20220101AFI20240618BHJP
F24H 15/40 20220101ALI20240618BHJP
F24H 1/18 20220101ALI20240618BHJP
【FI】
F24H15/10
F24H15/40
F24H1/18 A
(21)【出願番号】P 2021011302
(22)【出願日】2021-01-27
【審査請求日】2023-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】菅原 優輝
(72)【発明者】
【氏名】阿部 基
(72)【発明者】
【氏名】荒木 亮
(72)【発明者】
【氏名】巌 憲介
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-133789(JP,A)
【文献】特開2017-180945(JP,A)
【文献】特開2014-105956(JP,A)
【文献】特開2007-232344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 15/10
F24H 15/40
F24H 15/00
F24H 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯湯する貯湯タンクと、
前記貯湯タンク内の水を加熱する加熱手段と、
前記貯湯タンクの上部から湯を供給する出湯管と、
前記貯湯タンクの中部から中温水を取り出す中温水取り出し口に接続された中温水取り出し管と、
前記貯湯タンクの下部に給水する給水管と、
前記出湯管と前記中温水取り出し管からの温水を混合する中温水混合弁と、
前記中温水混合弁で混ぜ合わせた温水と前記給水管からの給水を混合する給湯混合弁と、
前記貯湯タンクの貯湯温度を検出する貯湯温度サーミスタと、
前記中温水混合弁の弁開度を制御する制御装置とを設けた貯湯式給湯システムにおいて、
前記貯湯式給湯システムには、
警報や注意報等の情報を取得する情報取得手段と、
前記取得した情報が今後停電が予測される前記警報または注意報であるかを判定する判定手段とを設け、
前記制御装置は、前記判定手段が今後停電が予測されると判定した場合、前記中温水混合弁の弁開度を出湯管側を全開にして待機
すると共に、前記貯湯温度サーミスタで検出した前記貯湯温度に基づいて、所定温度の湯が供給されるように前記給湯混合弁の弁開度を制御するようにしたことを特徴とする貯湯式給湯システム。
【請求項2】
前記情報取得手段が前記警報や注意報の発令が解除された情報を取得したとき、もしくは、前記判定手段が今後停電が予測されると判定してから所定時間経過したとき、前記弁開度の待機を解除するようにしたことを特徴とする請求項
1記載の貯湯式給湯システム。
【請求項3】
前記情報取得手段は、インターネットに接続されたネットワーク通信網を介して、サーバーと接続し、前記サーバーから前記警報や注意報等の情報を取得するようにしたことを特徴とする請求項1
または2記載の貯湯式給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、停電時でも貯湯タンク内に蓄えられた湯を使用することができる貯湯式給湯システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の貯湯式給湯機においては、追い焚き運転等により貯湯タンクの中間部に中温水が溜まっていく、この中温水の温度が給湯設定温度よりも高い温度のときは、中温水混合弁の開度を中温側全開にして、積極的に中温水を取り出すことが知られていた(特許文献1)。
【0003】
また、今日では、貯湯式給湯機のレジリエンス対応が求められており、雷や地震などで停電になってしまっても貯湯タンク内に溜まった湯を給湯することができる貯湯式給湯機が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のように、積極的に中温水を使用するために中温水混合弁の弁開度を中温側全開にしているときに停電になってしまうと、中温水混合弁の弁開度の変更ができなくなってしまうので、中温水混合弁の弁開度が中温側全開で固定されてしまい、中温水の取り出し口よりも上部の温水を取り出すことができなくなってしまうという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するため、湯水を貯湯する貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の水を加熱する加熱手段と、前記貯湯タンクの上部から湯を供給する出湯管と、前記貯湯タンクの中部から中温水を取り出す中温水取り出し口に接続された中温水取り出し管と、前記貯湯タンクの下部に給水する給水管と、前記出湯管と前記中温水取り出し管からの温水を混合する中温水混合弁と、前記中温水混合弁で混ぜ合わせた温水と前記給水管からの給水を混合する給湯混合弁と、前記貯湯タンクの貯湯温度を検出する貯湯温度サーミスタと、
前記中温水混合弁の弁開度を制御する制御装置とを設けた貯湯式給湯システムにおいて、前記貯湯式給湯システムには、警報や注意報等の情報を取得する情報取得手段と、前記取得した情報が今後停電が予測される前記警報または注意報であるかを判定する判定手段とを設け、前記制御装置は、前記判定手段が今後停電が予測されると判定した場合、前記中温水混合弁の弁開度を出湯管側を全開にして待機すると共に、前記貯湯温度サーミスタで検出した前記貯湯温度に基づいて、所定温度の湯が供給されるように前記給湯混合弁の弁開度を制御するようにした。
【0008】
また、前記情報取得手段が前記警報や注意報の発令が解除された情報を取得したとき、もしくは、前記判定手段が今後停電が予測されると判定してから所定時間経過したとき、前記弁開度の待機を解除するようにした。
【0009】
また、前記情報取得手段は、インターネットに接続されたネットワーク通信網を介して、サーバーと接続し、前記サーバーから前記警報や注意報等の情報を取得するようにした。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、判定手段が、取得した警報または注意報が今後停電となる可能性があると判定した場合、制御装置が中温水混合弁を出湯管側全開にすることで、停電となってしまった場合でも中温水取り出し口よりも上に溜まった高温水を出湯管側から出湯することで、中温水混合弁と給湯混合弁及び給湯管を介して給湯栓から暖かい温水を給湯することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】この発明の警報または注意報を取得した場合の制御を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の貯湯式給湯システムの実施形態を
図1に基づいて説明する。
図1において、1は貯湯式給湯システムの湯水を貯湯する貯湯タンク、2は浴槽、3は貯湯タンク1底部に給水する給水管、4は貯湯タンク1頂部から出湯する出湯管、5は貯湯タンクの水を加熱するヒートポンプ式の加熱手段、6は貯湯タンク1の下部と加熱手段5に接続する加熱往き管、7は加熱往き管6の途中に設けられた加熱循環ポンプ、8は加熱手段5と貯湯タンク1の上部を接続する加熱戻り管、9は加熱戻り管8途中に設けられた加熱バイパス弁、10は加熱バイパス弁9の切り替えにより分岐した加熱バイパス管である。この加熱バイパス管10は給水管3の途中に接続されている。
【0013】
11は加熱手段5の器具に備えられた外気温度を検出する外気温度サーミスタ、12は貯湯タンク1の側面上下に複数設けられ貯湯タンク1内の貯湯温度を検出する貯湯温度サーミスタである。
【0014】
また、13は貯湯タンク1の中間部の中温水取り出し口14から出湯する中温水取り出し管、15は出湯管4からの高温水と中温水取り出し管13の中温水とを混合する中温水混合弁である。
【0015】
この中温水混合弁15は、内部に備えた弁の開度を高温側(出湯管4側)と中温側(中温水取り出し管13側)に切り替えることで、混合比率を変えて給湯混合弁17に混合水の温度を調整して出湯することができる。
【0016】
16は給水管3からバイパスされた給水バイパス管、17は中温水混合弁15からの混合湯と給水バイパス管16からの水とを混合し、その混合比を制御して所望の給湯設定温度及び風呂設定温度を給湯するための給湯混合弁、18は給湯混合弁17で混合された湯を給湯栓19に給湯するための給湯管である。
【0017】
この給湯混合弁17は、内部に備えた弁の開度を混合側(中温水混合弁15側)と水側(給水バイパス管16側)に切り替えることで、混合比率を変えて給湯混合弁17に混合水の温度を調整して出湯することができる。
【0018】
20は給湯管18途中に設けられ給湯流量を内部の羽根車の回転数により検出する給湯流量センサ、21は給湯温度を検出する給湯温度サーミスタ、22は給水管3途中に設けられ市水を一定の給水圧に減圧する給水減圧弁、23は給水管3の途中に設けられ市水の温度を検出する給水サーミスタ、24は貯湯タンク1の上部に連通して設けられ手動で開閉可能な逃し弁である。
【0019】
25は風呂循環回路で、貯湯タンク1内の湯水と循環する風呂の湯水とを熱交換させる風呂熱交換器26と浴槽2とを、浴槽2から風呂熱交換器26に向かう風呂往き管25a及び風呂熱交換器26から浴槽2に向かう風呂戻り管25bとで循環可能に接続するものである。
【0020】
27は風呂循環回路25に設けられた風呂循環ポンプ、28は浴槽2への湯張り量を内部の羽根車の回転数により検出する風呂流量センサ、29は風呂循環回路25を流れる風呂の温度を検出する風呂温度サーミスタ、30は湯水の水圧から浴槽2内の水位を検出する水位センサであり、風呂循環回路25途中の風呂循環ポンプ27よりも上流側に設けられている。この水位センサ30は、湯水の水圧から浴槽2内の水位を検出しているので、浴槽2の循環口が露出してしまうと水位検出が行えないため、水位を検出するためには浴槽2の循環口よりも水位が上である必要がある。
【0021】
31は給湯管18途中から分岐されて風呂循環回路25に接続され浴槽2への湯張りを行うための湯張り管、32はこの湯張り管31に設けられ浴槽2への湯張りの開始、停止を行う湯張り弁である。
【0022】
33は給湯および風呂の制御を行う制御装置で、外気温度サーミスタ11、貯湯温度サーミスタ12、給湯流量センサ20、給湯温度サーミスタ21、給水温度サーミスタ23、風呂流量センサ28、風呂温度サーミスタ29、水位センサ30の検出値が入力され、加熱循環ポンプ7、中温水混合弁15、給湯混合弁17、風呂循環ポンプ27、湯張り弁32を駆動するものである。
【0023】
34は制御装置33と通信可能で、浴室内に設けられた浴室内リモコンであり、湯張り運転開始や湯張り運転の目標水位である設定水位や目標量である湯張り設定量を設定する操作部35と、設定内容を表示する表示部36と、湯張り運転が完了したことを報知する報知部37とが設けられている。
【0024】
38は制御装置33から有線または無線により接続されるネットワーク通信網、39はネットワーク通信網を介して接続されるサーバ機器であり、制御装置33はネットワーク通信網38を介してサーバ機器39と必要な情報を相互にやりとり可能となっている。また、サーバ機器39は、気象庁や民間の気象情報サービスから気象に関する警報や注意報の情報を適宜取得して情報を更新している。
【0025】
制御装置33には、情報取得手段40が設けられており、情報取得手段40は、サーバ機器39から気象に関する警報や注意報の情報(緊急地震速報、大雨、洪水、強風、風雪、暴風雪、大雪、波浪、高潮、雷、融雪、濃霧、乾燥、雪崩、低温、霜、着氷、着雪等)の発令及び解除の有無を定期的に(ここでは30分毎に)やりとりして情報を取得する。なお、サーバ機器39以外の適宜の箇所から公知情報としての情報を取得しても良い。
【0026】
また、制御装置33には、判定手段41が設けられており、判定手段41は、情報取得手段40で取得した情報が今後停電が予測される警報または注意報であるか否かを判定する。
【0027】
ここで、判定手段41の判定方法を説明する。
判定手段41は、前記気象に関する警報や注意報の情報のうち今後停電が予測される警報または注意報に該当する情報を予め記憶しており(今後停電が予測される警報や注意報の情報として、例えば、電線が切れることで停電となり得る緊急地震速報や洪水、強風、暴風雪、落雷により停電となり得る雷に関する警報及び注意報が判定手段41のテーブルデータに記憶されている)、情報取得手段40で取得した前記気象に関する警報や注意報の情報と、判定手段41で記憶されている前記テーブルデータとを比較して、前記テーブルデータと一致すれば、今後停電が予測されると判定し、前記テーブルデータと一致しなければ、今後停電が予測されていないと判定する。
【0028】
また、ここでは、今後停電が予測される警報や注意報の情報として、電線が切れることで停電となり得る緊急地震速報や洪水、強風、暴風雪、落雷により停電となり得る雷に関する警報及び注意報がテーブルデータに予め記憶されているが、今後停電が予測される警報または注意報の種類をユーザーが任意に設定して判定手段41のテーブルデータに記憶させておき、任意に設定されたテーブルデータと、情報取得手段40で取得した前記気象に関する警報や注意報の情報とを比較して一致するか否かを判定しても良い。
【0029】
そして、今後停電が予測される警報または注意報と一致していると判定された警報または注意報が解除された情報を情報取得手段40で取得すると、判定手段41は、今後停電となる可能性がなくなったと判定する。
【0030】
ここで、判定手段41の警報または注意報の解除の判定としては、警報または注意報が解除された直後でも、警報または注意報が発令されてから所定時間経過したあとでも良い。
【0031】
次に、沸き上げ運転について説明する。
沸き上げ要求があると、制御装置33は、貯湯タンク1と加熱手段5を繋ぐ配管の途中にある加熱循環ポンプ7を駆動して、貯湯タンク1内下部から水をくみ上げ、加熱手段5で温めて貯湯タンク1上部に戻す動作を続ける事により徐々に貯湯タンク1内の水が高温水へと沸き上げる。
【0032】
次に、給湯運転ついて説明する。
給湯栓19が開かれると給水管3から給水され、貯湯タンク1下部に流入すると共に給水バイパス管16を通り、貯湯タンク1上部から押し出された高温水と貯湯タンク1中間部から押し出された中温水とが中温水混合弁15で混ぜ合わされ、その混合水と給水バイパス管16の給水が給湯混合弁17で混ぜ合わされ、給湯設定温度と給湯温度サーミスタ21で検出された温度が同じなるように調整された湯水が給湯栓19から給湯される。
【0033】
また、湯張り運転の各種器具の動作について説明する。
浴室内リモコン34の操作部35の湯張りスイッチが押されると制御装置33は湯張り弁32を開弁し、給水管3から給水を供給し、貯湯タンク1下部に流入すると共に給水バイパス管16を通り、中温水混合弁15で混ぜ合わされた混合水と給水バイパス管16の給水が給湯混合弁17で混ぜ合わされ、風呂設定温度と風呂温度サーミスタ29で検出された温度が同じになるように調整された湯水が浴槽2に流入されることで湯張りが開始される。そして、風呂流量センサ28で流れた流量を検出して、流れた流量の合計積算値が湯張り設定量分流れたら制御装置33が湯張り弁32を閉状態にすることで湯張り運転を完了し、風呂温度を自動で保温する自動保温運転に移行する。
【0034】
また、浴槽2の追い焚き運転について説明する。
自動保温運転中に風呂温度サーミスタ29で検出した風呂温度が所定追い焚き温度以下になるか、もしくは、操作部35の追い焚きスイッチが押されると、浴槽水を風呂循環回路25を介して浴槽2と風呂熱交換器26とを循環させて、貯湯タンク1内の湯と熱交換させ浴槽2の浴槽水を昇温する追い焚き運転を行う。風呂設定温度まで上昇したことを風呂温度サーミスタ29の検出値で確認すると追い焚き運転を完了させる。このとき、貯湯タンク1の中間層では追い焚き運転で浴槽水と熱交換したため中温水が貯まることになる。
【0035】
したがって、自然放熱や追い焚き運転により貯湯タンク1の中間部に中温水が溜まっていく、沸き上げ運転時に中温水があるとヒートポンプ加熱手段の加熱能力を低くして運転しなければならないためCOPが低下するため積極的に中温水を給湯で使用することで、COP低下を防ぐ必要があるため、貯湯温度サーミスタ12で検出された貯湯タンク1の中間部の中温水の温度が給湯設定温度よりも高い場合は、中温水混合弁15の弁開度を中温水側全開にしている。
【0036】
次に本発明の判定手段41が今後停電が予測される場合の特徴的な制御について
図2のフローチャートに基づいて説明する。
まず、情報取得手段40は、警報または注意報の情報があるかを確認しており(S1)、警報または注意報が発令され、情報取得手段40が情報を取得した場合(S1がYes)、判定手段41は、取得した警報または注意報が今後停電となる可能性があるか否かを判定し(S2)、停電となる可能性がない場合はS1に戻り(S2がNo)、停電となる可能性があるときはS3に進む(S2がYes)。
【0037】
そして、制御装置33は、中温水混合弁15の弁開度を高温側全開の位置に変更し待機させる(S3)。さらに、給湯混合弁17の弁開度を、貯湯温度サーミスタ12の検出温度に基づいて、停電時に給湯混合弁17の開度変更ができない場合でも火傷の恐れのない所定温度(貯湯温度サーミスタ12で検出された最も高い温度の高温湯と水とを混合したとき、火傷の恐れのない40℃前後)の湯が給湯されるように、所定の弁開度にする(S4)。
【0038】
そして、情報取得手段40は、発令された警報または注意報の解除が出されるかを確認し続け(S5)、発令された警報または注意報の解除されないまま(S5がNo)、給湯運転が開始された場合は(S6がYes)、通常のフィードバック制御に従って、中温水混合弁15の弁開度を変えないまま、給湯設定温度の湯が給湯されるように給湯混合弁17を制御する(S7)。
【0039】
給湯運転が終了すると(S8がYes)、S4に戻り、給湯混合弁17の弁開度を所定の弁開度にする(S4)。
【0040】
このように、判定手段41が、取得した警報または注意報が今後停電となる可能性があると判定した場合、制御装置33が中温水混合弁15を高温側全開にすることで、停電となってしまった場合でも中温水取り出し口14よりも上に溜まった高温水を出湯管4側から出湯することで、中温水混合弁15と給湯混合弁17及び給湯管18を介して給湯栓19から暖かい温水を給湯することができる。
【0041】
また、制御装置33は給湯混合弁17の弁開度を、貯湯温度サーミスタ12で検出された最も高い温度の高温湯と水とを混合したときに火傷の恐れのない温度の弁開度に制御しておくことで、停電で給湯混合弁17の弁開度を変更できなくなったとしても、中温水混合弁15の弁開度を高温側全開にすることにより高温の湯が給湯されることで、使用者が不快に感じることを防止することができる。
【0042】
また、今後停電が予測される警報または注意報が発令されているが、現在停電が発生していないときに給湯運転の要望があったときには、通常のフィードバック制御に従って、中温水混合弁15の弁開度を変えないまま、給湯設定温度の湯が給湯されるように給湯混合弁17を制御するので、給湯設定温度の給湯がされないことで、ユーザが不快に感じることを抑制しつつ、中温水混合弁15の弁開度を高温側にしておくので、停電が発生したとしてもレジリエンス対応可能なまま給湯運転を行うことができる。また、給湯運転が終了次第、給湯混合弁17の弁開度を所定の弁開度にする。
【0043】
そして、情報取得手段40は、発令された警報または注意報の解除が出されるかを確認し続け(S5)、発令された警報または注意報の解除されるた情報を取得すると(S5がYes)、停電の可能性が低くなるため制御装置33が中温水混合弁15の弁開度の高温側全開の待機状態を解除する(S6)。
【0044】
中温水混合弁15の弁開度の高温側待機状態を解除後、貯湯タンク1中間部の貯湯温度を貯湯温度サーミスタ12で検出し、検出した貯湯タンク1中間部の貯湯温度と給湯設定温度とを比較して(S10)、貯湯タンク1中間部の貯湯温度が給湯設定温度よりも高い場合(S10がYes)、中温水混合弁15の弁開度を中温側全開にする(S11)。
【0045】
また、貯湯タンク1中間部の貯湯温度が給湯設定温度以下の場合(S10がNo)、中温水混合弁15の弁開度をフィードバック制御で適宜制御する(S12)。この場合、初期開度を中温水混合弁の弁開度を高温側全開とし、給湯時のフィードバックで適宜弁開度を制御しても良く、給湯設定温度に応じて初期開度を決定しても良い。
【0046】
このように、警報または注意報の解除が発令された情報を取得すると、今後停電となる可能性が少ないので、制御装置33は、中温水混合弁15の弁開度の待機状態を解除し、積極的に中温水を使用するために中温水混合弁15の弁開度を中温側全開とするか、給湯設定温度に応じた弁開度に変更するので効率的に貯湯タンク1内の湯を使用する通常の設定に戻すことができる。
【0047】
なお、本発明は本実施例に限定されるものではなく、要旨を変更しない範囲で改変する事を妨げるものではなく、例えば、本発明では、中温水混合弁15の待機解除の条件を警報または注意報の発令が解除されたか否かで決定しているが、時間経過でも良く、例えば緊急地震速報から余震の心配がない所定時間が経過した後でも、前記判定手段が今後停電が予測されると判定してからの所定時間が経過した後でも良い。
【0048】
また、本発明では、警報または注意報の発令がされ、今後停電が予測される警報または注意報であると判定されると、制御装置33は、中温水混合弁15の弁開度を高温側全開としているが、全開に限られず、中温水取り出し口14より上の貯湯タンク1の上部に溜まった高温の湯が抜けやすくなる弁開度であれば良い。
【0049】
また、本発明では、情報取得手段40や判定手段41は制御装置33の機能の一部であったが、この機能の一部または全てをサーバ機器39に設けることも可能であり、システムとして同等の作動を果たすことができるものであればよいものである。
【符号の説明】
【0050】
1 貯湯タンク
2 浴槽
3 給水管
4 出湯管
5 加熱手段
13 中温水取り出し管
14 中温水取り出し口
15 中温水混合弁
17 給湯混合弁
18 給湯管
33 制御装置
39 サーバー機器
40 情報取得手段
41 判定手段