(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】ボルトの緩み判定システム
(51)【国際特許分類】
G01B 11/26 20060101AFI20240618BHJP
F16B 31/00 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
G01B11/26 H
F16B31/00 Z
(21)【出願番号】P 2021026246
(22)【出願日】2021-02-22
【審査請求日】2023-11-13
(73)【特許権者】
【識別番号】390021577
【氏名又は名称】東海旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】上盛 広大
(72)【発明者】
【氏名】重松 健太郎
【審査官】山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/044725(WO,A1)
【文献】特開昭64-074403(JP,A)
【文献】特開2019-117163(JP,A)
【文献】特開2010-188326(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
F16B 23/00-43/02
G06T 1/00
7/00-7/90
11/60-13/80
17/05
19/00-19/20
G06V 10/00-20/90
30/418、40/16、40/20
G01N 21/84-21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多角形状の頂面を有するボルトの画像を取得するように構成された画像取得部と、
前記画像取得部が取得した前記画像に基づいて前記ボルトの緩みを判定するように構成された判定部と、
を備え、
前記画像取得部は、前記ボルトに対し、前記頂面を含む第1画像、及び前記ボルトの頭部の側面を含む第2画像の少なくとも一方を取得するように構成され、
前記判定部は、
前記第1画像が取得された前記ボルトに対しては、前記第1画像における前記頂面の形状の認定により前記ボルトの軸周りの回転角度を算出し、前記第2画像が取得された前記ボルトに対しては、前記第2画像における前記頭部の側面の形状に基づいて前記回転角度を算出する算出処理と、
算出された前記回転角度に基づいて前記ボルトの緩みを判定する判定処理と、
を実行するように構成される、ボルトの緩み判定システム。
【請求項2】
請求項1に記載のボルトの緩み判定システムであって、
前記判定部は、前記算出処理において、前記第1画像における前記頂面の射影変換により前記頂面の形状を認定する、ボルトの緩み判定システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のボルトの緩み判定システムであって、
前記判定部は、前記算出処理において、前記第1画像における前記頂面を予め用意した多角形とマッチングすることで、前記第1画像における前記頂面の形状を認定する、ボルトの緩み判定システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のボルトの緩み判定システムであって、
前記判定部は、前記算出処理において、前記第2画像における前記頭部の稜線を用いて前記頂面の頂点をプロットすることで、前記第2画像における前記頂面の形状を認定する、ボルトの緩み判定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ボルトの緩み判定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
乗物(例えば、鉄道車両、航空機等)及び構造物(例えば、鉄道レール、橋梁等)において、部材間の締結手段としてボルト及びナットが使用される。乗物及び構造物においてボルトが緩むと、重大事故につながるおそれがあるため、定期的にボルトにおける緩みを検査する必要がある。
【0003】
このボルトの緩みは、目視検査又はハンマーによる打音検査で行うことができるが、このような検査では作業工数が多くかかる。また、検査者によって検出精度にバラつきが発生する。
【0004】
そこで、(1)レーザー光を用いてボルトの高さ又は位置を検出する方法(特許文献1及び特許文献2参照)、(2)ボルトに装着された無線通信タグからの電波を検出する方法(特許文献3参照)等の検査方法が考案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-317288号公報
【文献】特開2010-230527号公報
【文献】特開2011-241567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記(1)の検査方法では、検査機器と検査対象のボルトとの距離が制限されるため、ボルトの位置によっては検査ができない。また、上記(2)の検出方法では、個々のボルトに電波検出用の付帯装備が必要となる。
【0007】
本開示の一局面は、ボルトの位置による制約を低減できるボルトの緩み判定システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様は、多角形状の頂面を有するボルトの画像を取得するように構成された画像取得部と、画像取得部が取得した画像に基づいてボルトの緩みを判定するように構成された判定部と、を備えるボルトの緩み判定システムである。画像取得部は、ボルトに対し、頂面を含む第1画像、及びボルトの頭部の側面を含む第2画像の少なくとも一方を取得するように構成される。
【0009】
判定部は、第1画像が取得されたボルトに対しては、第1画像における頂面の形状の認定によりボルトの軸周りの回転角度を算出し、第2画像が取得されたボルトに対しては、第2画像における頭部の側面の形状に基づいて回転角度を算出する算出処理と、算出された回転角度に基づいてボルトの緩みを判定する判定処理とを実行するように構成される。
【0010】
このような構成によれば、画像を用いてボルトの緩みが判定されるため、低コストでの緩み検査を実現できる。また、ボルトの頂面及び頭部の側面のいずれかの画像に基づいて回転角度を算出できるため、ボルトの位置による緩み判定の制約が低減される。
【0011】
本開示の一態様では、判定部は、算出処理において、第1画像における頂面の射影変換により頂面の形状を認定してもよい。このような構成によれば、軸方向に対し傾斜した方向から頂面を撮影した場合の判定精度を向上できる。
【0012】
本開示の一態様では、判定部は、算出処理において、第1画像における頂面を予め用意した多角形とマッチングすることで、第1画像における頂面の形状を認定してもよい。このような構成によれば、第1画像によるボルトの回転角度の算出精度を向上しつつ、処理負荷を低減することができる。
【0013】
本開示の一態様では、判定部は、算出処理において、第2画像における頭部の稜線を用いて頂面の頂点をプロットすることで、第2画像における頂面の形状を認定してもよい。このような構成によれば、第2画像によるボルトの回転角度の算出精度を向上しつつ、処理負荷を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、実施形態におけるボルトの緩み判定システムの構成を概略的に示すブロック図である。
【
図2】
図2は、画像取得部の構成例を示す模式図である。
【
図3】
図3Aは、頂面の平面視形状が含まれる第1画像の一例であり、
図3Bは、頂面の平面視形状が含まれない第1画像の一例であり、
図3Cは、第2画像の一例である。
【
図4】
図4A-4Dは、マッチングに用いる多角形の一例であり、
図4Eは、ボルトの回転角度を示す模式図である。
【
図5】
図5は、第1画像の射影変換の一例を示す模式図である。
【
図6】
図6は、第2画像におけるボルトの回転角度の算出手順を示す模式図である。
【
図7】
図7は、
図1の判定部が実行する処理を概略的に示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1に示すボルトの緩み判定システム1は、乗物又は構造物の締結部に取り付けられたボルトの緩みを判定する。ボルトの緩み判定システム1は、画像取得部2と、処理部3とを備える。
【0016】
ボルトの緩み判定システム1が使用される乗物としては、鉄道車両、航空機、バス等の多数の乗客を輸送する公共輸送機関が挙げられる。ボルトの緩み判定システム1が使用される構造物としては、鉄道レール、橋梁、鉄塔等が挙げられる。
【0017】
これらの中でも鉄道車両では、ボルトが様々な位置に様々な角度で取り付けられている。また、鉄道車両は敷設された鉄道レール上を走行するため、ボルトの検査場所が限定される。そのため、鉄道車両では、ボルトの位置による制約の小さい緩み判定が特に求められる。
【0018】
<画像取得部>
画像取得部2は、多角形状の頂面を有するボルトの画像を取得するように構成されている。なお、ボルトの頂面とは、ボルトの頭部のうち座面の反対側にある荷重を受けない面を意味する。
【0019】
図2は、鉄道車両100のボルトを検査対象とする場合の画像取得部2の一例である。
図2の画像取得部2は、ゲート210に取り付けられた複数のカメラ21を有する。ゲート210は、鉄道車両100が走行するレール200を跨ぐように配置されている。
【0020】
ゲート210は、例えば、鉄道車両100の点検及び修理を行う車庫の入り口に配置される。また、ゲート210には、カメラ21の撮影を補助する照明が配置されている。使用されるカメラ21の数は、検査対象となる全てのボルトの撮影が可能な数とされる。
【0021】
複数のカメラ21には、鉄道車両100の上方からボルトを撮影するカメラ、鉄道車両100の側方からボルトを撮影するカメラ、及び鉄道車両100の下方からボルトを撮影するカメラが含まれている。
【0022】
複数のカメラ21は、鉄道車両100がゲート210を通過する際に、それぞれが対応する少なくとも1つのボルトの画像を取得する。1つのカメラ21が複数のボルトを撮影する場合、各ボルトは画像上の座標によって識別される。
【0023】
また、カメラ21には、鉄道車両100の接近を検知するドップラーセンサが取付けられている。カメラ21は、鉄道車両100の走行速度に合わせて、鉄道車両100のボルトを自動撮影する。
【0024】
カメラ21は、カメラ21とボルトとの位置関係によって、
図3A又は
図3Bに示すボルトの頂面Tを含む第1画像、及び
図3Cに示すボルトの頭部Hの側面Lを含む第2画像の少なくとも一方を取得する。カメラ21が複数のボルトを撮影する場合、ボルトごとに第1画像又は第2画像を抽出する。
【0025】
図3Aは、中心軸と平行な方向から撮影したボルトの頭部Hを含む第1画像の一例である。
図3Aでは、頂面Tと画像の撮影方向とが直交しており、頂面Tの平面視形状(
図3Aでは正六角形)がそのまま画像に含まれている。
【0026】
図3Bは、中心軸と径方向との双方に交差する方向から撮影したボルトの頭部Hを含む第1画像の一例である。
図3Bでは、画像に含まれる頂面Tの形状は頂面Tの平面視形状に対し歪んでいる。
【0027】
図3Cは、径方向から撮影したボルトの頭部Hを含む第2画像の一例である。
図3Cでは、頭部Hの複数の側面Lと、複数の稜線Rとが画像に含まれている。稜線Rは、複数の側面Lの境界であり、ボルトの中心軸と平行である。
【0028】
図2の例において、複数のカメラ21は、ボルトに対する撮影時の位置及び姿勢が固定されている。また、各カメラ21は、同じボルトを撮影対象とする。そのため、検査対象の各ボルトの撮影画像における姿勢(つまり撮影方向)は常に一定である。
【0029】
<処理部>
図1に示す処理部3は、画像取得部2が取得したボルトの画像を用いた処理を実行するように構成されている。処理部3は、判定部31と、記憶部32とを有する。
【0030】
処理部3は、例えば、プロセッサと、RAM、ROM等の記憶媒体と、入出力部とを備えるコンピュータにより構成される。処理部3は、有線通信又は無線通信によって、画像取得部2から画像を受信する。
【0031】
(判定部)
判定部31は、画像取得部2が取得した画像に基づいてボルトの緩みを判定するように構成されている。判定部31は、算出処理と、判定処理とを実行する。
【0032】
算出処理では、判定部31は、第1画像又は第2画像が取得されたボルトの軸周りの回転角度を算出する。判定部31は、画像取得部2によって取得された画像が第1画像であるか第2画像であるかによって、回転角度の算出手順を変える。
【0033】
判定部31は、第1画像が取得されたボルトに対しては、第1画像における頂面の形状の認定により回転角度を算出する。具体的には、判定部31は、画像解析処理によって第1画像から頂面を切り出し、この頂面を予め用意した多角形とマッチングすることで、第1画像における頂面の形状を認定する。
【0034】
判定部31は、例えば、
図4A,4B,4C,4Dに示す六角形のパターンにおいて、
図3Aの第1画像の頂面Tと一致するものが存在すれば、頂面Tの形状が六角形であると認定する。
【0035】
【0036】
判定部31は、このように基準となる正多角形を適宜変形させて、第1画像の頂面Tと一致する形状を探索する。また、判定部31は、ボルトの頂面の形状に合わせて多角形を選択する。例えば頂面が三角形の場合は、判定部31は、第1画像における頂面を三角形とマッチングする。
【0037】
判定部31は、第1画像における頂面の形状を認定した後、この形状に基づいてボルトの回転角度を算出する。具体的には、
図4Eに示すように、頂面Tの中心(つまりボルトの中心軸)と1つの頂点とを結ぶ直線Sが、基準線Cに対して成す角度Θをボルト(つまり頭部H)の軸周りの回転角度とする。
【0038】
基準線Cは、回転角度の基準として予め設定された直線であり、頂面Tの中心を通る。また、直線Sが通る頂点は、例えば、反時計回りにおいて基準線Cに最も近い頂点とされる。
【0039】
判定部31は、
図3Bのように第1画像に含まれる頂面が平面視形状でない場合(つまり第1画像が平面視の画像でない場合)に、第1画像における頂面の射影変換により頂面の形状を認定する。
【0040】
具体的には、判定部31は、
図5に示すように、X軸を中心とした回転、Y軸を中心とした回転、及びZ軸を中心とした回転を組み合わせた第1画像P全体の3次元変形により、頂面Tを平面視形状に変換する。
【0041】
判定部31は、平面視形状に変換された頂面に対し、上述した多角形とのマッチングを行うことで、頂面の形状を認定する。さらに、判定部31は、この形状に基づいてボルトの回転角度を算出する。
【0042】
また、判定部31は、第2画像が取得されたボルトに対しては、第2画像における頭部の側面の形状に基づいて回転角度を算出する。具体的には、判定部31は、
図6に示すように、ボルトの頂面Tの形状を正多角形と仮定した上で、第2画像から切り出した頭部Hの複数の稜線Rを用いて、頂面Tの各頂点の位置をプロットする。
【0043】
つまり、判定部31は、第2画像に含まれる頭部Hの形状を、正多角柱の径方向における投影図と見なして、頂面Tの形状を認定する。なお、稜線Rは、画像解析処理によって抽出される。
【0044】
判定部31は、認定した頂面Tの形状を用いて、第1画像の場合と同様の手順で、頂面Tの中心(つまりボルトの中心軸)と1つの頂点とを結ぶ直線Sが、基準線Cに対して成す角度Θをボルトの軸周りの回転角度とする。
【0045】
判定部31は、第1画像又は第2画像に基づいて算出したボルトの回転角度を記憶部32に記憶する。
【0046】
判定処理では、判定部31は、算出されたボルトの回転角度と、記憶部32に記憶されている過去のボルトの回転角度の履歴とを比較することで、ボルトの緩みの有無を判定する。
【0047】
例えば、判定部31は、直近の数回分(例えば5回分)の同じボルトの回転角度の平均値と算出した回転角度との差が閾値以上の場合に、回転角度を算出したボルトに緩みが有ると判定する。閾値は、予め定められる値であり、例えば5°である。
【0048】
判定部31は、算出処理と判定処理とを、検査対象のボルト1つずつに対して行う。
図2のように画像取得部2が一度に複数のボルトの画像を取得する場合は、各ボルトに対する処理を並行又は連続して行う。
【0049】
[1-2.処理]
以下、
図7のフロー図を参照しつつ、ボルトの緩み判定システム1の判定部31が実行する処理の一例について説明する。
【0050】
本処理では、判定部31は、まず、画像取得部2が取得した検査対象のボルトの画像が第1画像であるか否か判定する(ステップS110)。なお、画像の種別は、撮影方向に基づいてボルト毎に与えられたコードに基づいて判定されてもよいし、AI等のアルゴリズムによる画像解析処理によって判定されてもよい。
【0051】
ボルトの画像が第1画像の場合(S110:YES)、判定部31は、第1画像に頂面の平面視形状が含まれているか否か(つまり、第1画像がボルトを軸方向から撮影した画像であるか否か)判定する(ステップS120)。
【0052】
第1画像に頂面の平面視形状が含まれている場合(S120:YES)、頂面と予め用意した多角形とのマッチングにより、頂面の形状を認定する(ステップS130)。なお、第1画像における頂面の平面視形状の有無は、上述のように、撮影方向に基づいてボルト毎に与えられたコードに基づいて判定されてもよいし、AI等のアルゴリズムによる画像解析処理によって判定されてもよい。
【0053】
一方、第1画像に頂面の平面視形状が含まれていない場合(S120:NO)、つまり、第1画像がボルトを軸方向及び径方向の双方と交差する方向から撮影した画像である場合、判定部31は、射影変換により第1画像上の頂面を平面視形状に変形し(ステップS140)、ステップS130のマッチングにより頂面の形状を認定する。
【0054】
ステップS110において、ボルトの画像が第2画像の場合(S110:NO)、判定部31は、第2画像における頭部の稜線を用いて頂面の頂点をプロットすることで、頂面の形状を認定する(ステップS150)。
【0055】
ステップS130又はステップS150で頂面の形状を認定した後、判定部31は、認定された頂面の形状に基づいて、ボルトの軸周りの回転角度を算出する(ステップS160)。
【0056】
回転角度の算出後、判定部31は、算出された回転角度が一定以上(例えば過去の平均値との差が閾値以上)であるか否か判定する(ステップS170)。回転角度が一定以上の場合(S170:YES)、判定部31は、緩み有りと判定する(ステップS180)。一方、回転角度が一定未満の場合(S170:NO)、判定部31は、緩み無しと判定する(ステップS190)。
【0057】
[1-3.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)画像を用いてボルトの緩みが判定されるため、低コストでの緩み検査を実現できる。また、ボルトの頂面及び頭部の側面のいずれかの画像に基づいて回転角度を算出できるため、ボルトの位置による緩み判定の制約が低減される。
【0058】
(1b)第1画像における頂面の射影変換を行うことで、軸方向に対し傾斜した方向から頂面を撮影した場合の判定精度を向上できる。
【0059】
(1c)予め用意した多角形とのマッチングによって第1画像における頂面の形状を認定することで、第1画像によるボルトの回転角度の算出精度を向上しつつ、処理負荷を低減することができる。
【0060】
(1d)頭部の稜線を用いた頂点のプロットによって第2画像における頂面の形状を認定することで、第2画像によるボルトの回転角度の算出精度を向上しつつ、処理負荷を低減することができる。
【0061】
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0062】
(2a)上記実施形態のボルトの緩み判定システム1において、第1画像における頂面の形状の認定方法は、多角形とのマッチングに限定されない。
【0063】
(2b)上記実施形態のボルトの緩み判定システム1において、判定部は、第1画像に頂面の平面視形状が含まれていない場合に、射影変換以外の手法によって頂面の平面視形状を得てもよい。
【0064】
(2c)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0065】
1…ボルトの緩み判定システム、2…画像取得部、3…処理部、21…カメラ、
31…判定部、32…記憶部、100…鉄道車両、200…レール、210…ゲート。