(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】サンシェード開閉装置
(51)【国際特許分類】
B60J 3/00 20060101AFI20240618BHJP
B60J 1/00 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
B60J3/00 H
B60J1/00 F
(21)【出願番号】P 2021030748
(22)【出願日】2021-02-26
【審査請求日】2023-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】390000996
【氏名又は名称】株式会社ハイレックスコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中井 邦光
【審査官】高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-008102(JP,A)
【文献】実開平03-093208(JP,U)
【文献】特開2001-020638(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 1/00
3/00
7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓ガラスを覆う方向である閉方向と、前記閉方向とは反対側の開方向とを含む開閉方向に動作するサンシェード部材と、
前記サンシェード部材の前記閉方向側の端部に取り付けられ、前記開閉方向に延びる長尺部材と、
前記長尺部材または前記サンシェード部材を駆動して、前記サンシェード部材を前記開閉方向に操作する駆動部と
を備えた、サンシェード開閉装置であって、
前記サンシェード部材は、前記閉方向側の端部に、前記長尺部材の一端が収容可能な収容部を備え、前記収容部は、前記長尺部材の一端を前記収容部に向けて挿入可能な大きさに形成された開口を有し、
前記サンシェード開閉装置がさらに、
前記長尺部材の一端が前記収容部の前記開口から離脱することを許容する位置、または、前記長尺部材の一端を前記収容部の開口から離脱させる位置である、離脱位置へと移動可能な移動部材と、
前記移動部材を前記離脱位置へと移動させるために操作可能な操作部とを備えている、
サンシェード開閉装置。
【請求項2】
前記移動部材が、前記収容部に収容された前記長尺部材の一端が前記収容部の前記開口から離脱しないように、前記開口を少なくとも部分的に閉鎖する離脱防止位置から前記離脱位置へと移動可能であり、前記移動部材が前記離脱位置に移動したときに、前記開口が開放される、請求項1に記載のサンシェード装置。
【請求項3】
前記操作部は、前記移動部材に接続され、前記サンシェード部材の前記閉方向側の端部に沿って、前記サンシェード部材の幅方向に延びる紐状またはワイヤ状の解除部材を備え、前記解除部材が、前記幅方向に対して交差する方向に操作されることで、前記移動部材が前記離脱位置へと移動する、請求項1または2に記載のサンシェード開閉装置。
【請求項4】
前記長尺部材が、前記幅方向で一方側に設けられた第1長尺部材と、前記幅方向で他方側に設けられた第2長尺部材とを有し、
前記サンシェード部材が、前記第1長尺部材の一端が収容可能な第1収容部と、前記第2長尺部材の一端が収容可能な第2収容部とを有し、
前記移動部材が、前記幅方向で一方側に設けられた第1移動部材と、前記幅方向で他方側に設けられた第2移動部材とを有し、
前記解除部材は、前記幅方向の一端が前記第1移動部材に接続され、前記幅方向の他端が前記第2移動部材に接続され、
前記解除部材が、前記幅方向に対して交差する方向に操作されることで、前記第1移動部材および前記第2移動部材が前記離脱位置へと移動する、請求項3に記載のサンシェード開閉装置。
【請求項5】
前記サンシェード部材が、サンシェード本体と、前記サンシェード本体の前記閉方向側の端部において、前記サンシェード部材の幅方向に延びる端部部材とを備え、
前記端部部材は、前記幅方向に延びる中空の筒状部と、前記筒状部の両端に設けられたキャップとを備え、
前記解除部材が前記筒状部を通って前記キャップ側に延びて前記移動部材と接続され、
前記キャップは、前記収容部と、前記移動部材が前記開口を少なくとも部分的に閉鎖する離脱防止位置にあるときに前記移動部材と係合して前記移動部材を前記離脱防止位置に保持する係合部とを備えている、請求項3または4に記載のサンシェード開閉装置。
【請求項6】
前記長尺部材は、ワイヤ本体と、前記ワイヤ本体の端部に設けられたワイヤエンドとを備えたワイヤであり、
前記移動部材は、前記収容部の開口を閉鎖する閉塞部を有し、前記閉塞部に前記ワイヤ本体が挿通可能であり、前記ワイヤエンドは通過できない幅を有するスリットを備えている、請求項1~5のいずれか1項に記載のサンシェード開閉装置。
【請求項7】
前記サンシェード開閉装置がさらに、
前記移動部材を前記長尺部材に向けて付勢する移動部材付勢部材と、
前記移動部材と前記移動部材付勢部材との間に介在する規制位置から、前記移動部材と前記移動部材付勢部材との間から外れた規制解除位置へと移動可能なストッパーと、
をさらに備え、
前記ストッパーは、前記操作部に接続され、前記操作部が操作されることによって、前記ストッパーが前記規制位置から前記規制解除位置へと移動し、
前記ストッパーが前記規制
解除位置に移動することによって、前記移動部材が前記移動部材付勢部材によって前記離脱位置へと移動し、
前記移動部材が前記離脱位置に移動したときに、前記移動部材が前記長尺部材を押圧して、前記長尺部材の一端が前記収容部の前記開口から押し出される、請求項1に記載のサンシェード開閉装置。
【請求項8】
前記サンシェード開閉装置がさらに、
前記サンシェード部材を前記開方向に付勢する付勢部材を備え、
前記駆動部は、前記長尺部材を前記サンシェード部材の閉方向に引き操作することで、前記長尺部材に接続された前記サンシェード部材を前記閉方向に移動させるように構成され、
前記長尺部材の一端が前記収容部の前記開口から離脱して、前記長尺部材が前記サンシェード部材から外れたときに、前記付勢部材の付勢力によって前記サンシェード部材が開方向へと開放する、請求項1~7のいずれか1項に記載のサンシェード開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はサンシェード開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械などを含む窓ガラスが設けられた車両においてサンシェードが設けられる場合がある。例えば、油圧ショベルなどの建設機械のキャブは、キャブの前方に設けられた前窓やキャブの上方に設けられた天窓など、複数の窓を含んでいる。これらの窓がサンシェードによって部分的に覆われることで太陽光が遮られ、作業者の作業性が向上する。建設機械に設けられたサンシェードの一例が、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1では、前窓の窓枠の上部に、スプリングにより巻き取られるロールスクリーン型のサンシェードが設けられている。サンシェードの先端に設けられた係止バーの左右両端が、窓枠の左右に設けられた係止体に係止されることで、サンシェードが所定の位置に位置付けられて、太陽光を遮ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、建設機械を含め、サンシェードを有する車両において、サンシェードを直接手で操作することなく、サンシェードを駆動する駆動部によってサンシェードを開閉駆動する構造が求められている。しかし、このような駆動部が設けられたサンシェード開閉装置とした場合、駆動部が故障等によって作動しなくなると、サンシェードが閉鎖状態から開放できなくなる可能性がある。このような場合、建設機械の関連法規では、建設機械が転倒した場合などの緊急時に、運転者がキャブの窓から外に退避できるように建設機械を構成しなければならないことが定められており、その法規を満たすことができなくなる。
【0005】
そこで、本発明は、緊急時などに、車両等に設けられた窓ガラスを覆うサンシェード部材を容易に動作させることが可能なサンシェード開閉装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のサンシェード開閉装置は、窓ガラスを覆う方向である閉方向と、前記閉方向とは反対側の開方向とを含む開閉方向に動作するサンシェード部材と、前記サンシェード部材の前記閉方向側の端部に取り付けられ、前記開閉方向に延びる長尺部材と、前記長尺部材または前記サンシェード部材を駆動して、前記サンシェード部材を前記開閉方向に操作する駆動部とを備えた、サンシェード開閉装置であって、前記サンシェード部材は、前記閉方向側の端部に、前記長尺部材の一端が収容可能な収容部を備え、前記収容部は、前記長尺部材の一端を前記収容部に向けて挿入可能な大きさに形成された開口を有し、前記サンシェード開閉装置がさらに、前記長尺部材の一端が前記収容部の前記開口から離脱することを許容する位置、または、前記長尺部材の一端を前記収容部の開口から離脱させる位置である、離脱位置へと移動可能な移動部材と、前記移動部材を前記離脱位置へと移動させるために操作可能な操作部とを備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明のサンシェード開閉装置によれば、緊急時などに、車両等に設けられた窓ガラスを覆うサンシェード部材を容易に動作させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態のサンシェード開閉装置を示す概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態のサンシェード開閉装置が設けられる建設機械を示す概略図である。
【
図3】
図2の建設機械のキャブを示す斜視図である。
【
図4】
図1のサンシェード開閉装置の一部を分解した斜視図である。
【
図5】
図1のサンシェード開閉装置において、移動部材が離脱防止位置に位置し、サンシェード部材と長尺部材とが接続された状態を示す斜視図である。
【
図6】
図5に示されるサンシェード開閉装置を幅方向に見た図である。
【
図7】
図1のサンシェード開閉装置において、移動部材が離脱位置に位置し、サンシェード部材から長尺部材が外れた状態を示す斜視図である。
【
図8】
図7に示されるサンシェード開閉装置を幅方向に見た図である。
【
図10】解除部材の操作によって、移動部材が離脱位置に移動した状態を示す概略図である。
【
図11】本発明の第2実施形態のサンシェード開閉装置を示す概略図である。
【
図12】本発明の第3実施形態のサンシェード開閉装置において、長尺部材の一端が収容部に収容されている状態を示す概略図である。
【
図13】
図12に示される状態から、長尺部材の一端が収容部から押し出された状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態のサンシェード開閉装置を説明する。以下、サンシェード開閉装置が、建設機械に設けられた例を挙げて、本実施形態のサンシェード開閉装置を説明する。しかし、本発明のサンシェード開閉装置は、以下の実施形態に限定されるものではなく、建設機械以外の窓ガラスを有する車両、窓ガラスを有する他の構造に適用されてもよい。なお、本明細書において、「Aに垂直」およびこれに類する表現は、Aに対して完全に垂直な方向のみを指すのではなく、Aに対して略垂直であることを含んで指すものとする。また、本明細書において、「Bに平行」およびこれに類する表現は、Bに対して完全に平行な方向のみを指すのではなく、Bに対して略平行であることを含んで指すものとする。また、本明細書において、「C形状」およびこれに類する表現は、完全なC形状のみを指すのではなく、見た目にC形状を連想させる形状(略C形状)を含んで指すものとする。
【0010】
本実施形態のサンシェード開閉装置1は、
図1に示されるように、窓ガラスW1(
図3参照)を覆う方向である閉方向D1と、閉方向D1とは反対側の開方向D2とを含む開閉方向Dに動作するサンシェード部材2と、サンシェード部材2の閉方向D1側の端部2aに取り付けられ、開閉方向Dに延びる長尺部材3(第1長尺部材3a、第2長尺部材3b)と、長尺部材3を駆動して、サンシェード部材2を開閉方向Dに操作する駆動部4とを備えている。
【0011】
サンシェード開閉装置1は、サンシェード部材2が窓ガラスW1をほぼ覆わないように開放した開放状態(
図1の二点鎖線参照)と、サンシェード部材2によって窓ガラスW1が少なくとも部分的に覆われる遮光状態(
図1の実線参照)との間で、サンシェード部材2を開閉方向Dに移動させる。サンシェード開閉装置1によって、サンシェード部材2が閉方向D1に移動することで、窓ガラスW1を介して日光等の光が透過することを遮ることができる。サンシェード部材2の遮光状態はサンシェード部材2の開閉方向Dでの位置を調整することで、調整可能である。なお、本実施形態では、閉方向D1は鉛直下方向であり、開方向D2は鉛直上方向である。しかし、閉方向および開方向は、遮光されるべき窓ガラスが延びる方向や、サンシェード開閉装置1の設置の仕方などに応じて変更することができ、鉛直下方向、鉛直上方向以外の方向であってもよい。
【0012】
サンシェード開閉装置1は、窓ガラスW1を有する取付対象に取り付けられる。サンシェード開閉装置1の取付対象は、窓ガラスW1を有するものであれば、特に限定されない。サンシェード開閉装置1の取付対象は、例えば、建設機械等の重機などを含む車両とすることができる。なお、車両という用語は、タイヤを有する車両以外に、無限軌道を有する装軌車両等を含む。以下、サンシェード開閉装置1が設けられた建設機械CM(
図2参照)を例にあげて、サンシェード開閉装置1を説明する。なお、建設機械CMの構造は、図示するものに限定されず、様々な構造とすることができる。
【0013】
図2に、サンシェード開閉装置1が設けられる建設機械CMの一例が示されている。
図2に示される建設機械CMは、いわゆる油圧ショベルである。本実施形態では、建設機械CMは、クローラ式の下部走行体Lと、下部走行体L上に旋回自在に搭載された上部旋回体Uとを備えている。建設機械CM(上部旋回体U)は、
図2および
図3に示されるように、キャブCを有している。キャブCは、
図3に示されるように、複数の窓ガラスW1、W2を有している。具体的には、キャブCの前方に設けられた前窓ガラスW1の他に、キャブCの側方に設けられた側方窓ガラスW2を備えている。なお、
図3において示されていないが、キャブCは天井窓ガラスを備えていてもよい。前窓ガラスW1は、
図3においてキャブCの窓枠C1に対して上下方向に開閉可能にキャブCに設けられている。前窓ガラスW1が開閉時に案内される構成は公知であるため詳細な説明は省略するが、前窓ガラスW1は、例えば、キャブCの左右両側に設けられたガイドレールに沿って前窓ガラスW1に設けられたローラが摺動して案内されることで、開閉される。
【0014】
本実施形態では、
図3に示されるように、サンシェード開閉装置1により動作するサンシェード部材2は、前窓ガラスW1を遮光するように構成されている。なお、サンシェード開閉装置1は、前窓ガラスW1以外に、側方窓ガラスW2や図示しない天井窓ガラスを遮光するサンシェード部材を開閉するように構成されていてもよい。
【0015】
サンシェード部材2は、窓ガラスW1を少なくとも部分的に覆い、窓ガラスW1を介して入り込む光を遮る。サンシェード部材2は、窓ガラスW1を有する取付対象に取り付けられる。本実施形態では、サンシェード部材2は、閉鎖した状態の窓ガラスW1(
図3参照)の上端近傍に取り付けられている。具体的には、サンシェード部材2は、キャブCの窓枠C1の上端近傍に取り付けられている。サンシェード部材2の取付対象への取付方法は特に限定されず、公知の取付方法によって取り付けることができる。
【0016】
本実施形態では、サンシェード部材2の閉方向D1側の端部2aには、上述したように長尺部材3が取り付けられる。本実施形態では、駆動部4によって長尺部材3が駆動されることによって、サンシェード部材2が開閉方向Dに操作される。しかし、後述するように、駆動部4が長尺部材3ではなくサンシェード部材2を直接駆動することによって、サンシェード部材2が開閉方向Dに操作されてもよい(
図11参照)。
【0017】
本実施形態では、サンシェード部材2は、
図1に示されるように、サンシェード本体21と、サンシェード本体21の閉方向D1側の端部2aにおいて、サンシェード部材2の幅方向WDに延びる端部部材22とを備えている。また、本実施形態では、サンシェード部材2は、ロールスクリーン状の巻取式サンシェード部材として構成され、巻取軸23をさらに有している。なお、サンシェード部材2の構造は、窓ガラスW1を少なくとも部分的に覆い、窓ガラスW1を介して入り込む光を遮ることができれば、特に限定されない。例えば、サンシェード部材は、本実施形態のような巻取式ではなく、サンシェード本体が蛇腹状に伸縮して開閉するものであってもよいし、サンシェード本体が巻き取られたり、蛇腹状に伸縮したりせずに、単に開閉方向Dにスライドすることで開閉するものであってもよい。
【0018】
サンシェード本体21は、窓ガラスW1を少なくとも部分的に覆うことができるように所定の面積を有するシート状の遮光部材である。サンシェード本体21の形状や大きさは特に限定されない。本実施形態では、サンシェード本体21は、窓ガラスW1の幅(幅方向WDの長さ)に応じた所定の幅を有する矩形状の遮光シートによって構成されている。サンシェード本体21の材料は、遮光性を有していれば特に限定されず、例えば、公知のサンシェード、遮光シートに用いられる材料とすることができる。本実施形態では、サンシェード本体21の閉方向D1側の端部2aは端部部材22に接続され、サンシェード本体21の開方向D2側の端部(図示せず)は巻取軸23に接続されている。
【0019】
巻取軸23は、サンシェード本体21を巻き取る軸部材である。本実施形態では、巻取軸23は、サンシェード部材2の幅方向WDに延びている。巻取軸23は、本実施形態では、図示しない取付部を介して、閉鎖状態の窓ガラスW1の上端近傍において、キャブCに取り付けられている。巻取軸23は、軸周りに回転することによって、サンシェード本体21を巻き取りし、繰り出しするように構成されている。
【0020】
本実施形態では、サンシェード開閉装置1は、サンシェード部材2を開方向D2に付勢する付勢部材S(
図1参照)を備えている。付勢部材Sを備えている場合、サンシェード部材2に長尺部材3等、他の部材から力が加わらない場合、付勢部材Sの付勢力によってサンシェード部材2を開方向D2に移動させることができる。付勢部材Sは、例えば巻取軸23に設けることができる。付勢部材Sによって巻取軸23がサンシェード本体21を開方向D2に移動させる方向に回転することで、サンシェード本体21が巻取軸23に巻き取られて、サンシェード部材2を開放状態とすることができる。付勢部材の種類や構造は、サンシェード部材2を開方向D2に付勢することができれば、特に限定されない。付勢部材Sは、例えば、巻取軸23を軸周りに回転させることができるバネとすることができる。
【0021】
端部部材22は、サンシェード部材2の閉方向D1側の端部2aに設けられる部材である。本実施形態では、端部部材22は、サンシェード本体21の閉方向D1側となる下端に設けられている。端部部材22の構造の詳細については後述するが、本実施形態では、
図1および
図4に示されるように、端部部材22は、幅方向WDに延びる中空の筒状部221と、筒状部221の両端に設けられたキャップ222とを備えている。
【0022】
上述したように、サンシェード部材2の閉方向D1側の端部2aには、長尺部材3(第1長尺部材3a、第2長尺部材3b)が接続される。サンシェード部材2は、
図5~
図8に示されるように、閉方向D1側の端部2aに、長尺部材3a、3bの一端32a、32b(開方向D2側の端部)が収容可能な収容部Aa、Abを備えている。本実施形態では、サンシェード部材2は、第1長尺部材3aの一端32aが収容可能な第1収容部Aaと、第2長尺部材3bの一端32bが収容可能な第2収容部Abとを有している(
図1参照)。以下、第1収容部Aaおよび第2収容部Abをまとめて収容部Aと呼ぶ。また、以下、第1長尺部材3aおよび第2長尺部材3bをまとめて長尺部材3と呼び、第1長尺部材3aの一端32aおよび第2長尺部材3bの一端32bをまとめて長尺部材3の一端32と呼ぶ。
【0023】
収容部Aは、長尺部材3の一端32が収容可能な内部空間を有しており、収容部Aに長尺部材3の一端32が収容された状態で、後述する移動部材5によって、長尺部材3の一端32が収容部Aから離脱することが抑制されることで(
図5および
図6参照)、長尺部材3がサンシェード部材2に取り付けられる。収容部Aは、本実施形態では、端部部材22(キャップ222)に設けられている。しかし、収容部Aは、長尺部材3の一端32を収容することができれば、サンシェード部材2の端部部材22以外の部位に設けられていてもよい。
【0024】
収容部Aは、
図7および
図8に示されるように、長尺部材3の一端32を収容部Aに向けて挿入可能な大きさに形成された開口OPを有している。長尺部材3の一端32は、開口OPから収容部Aの内部空間へと収容される。後述する移動部材5によって開口OPが塞がれることによって、長尺部材3の一端32の収容部Aからの離脱が抑制される。これにより、長尺部材3の一端32が収容部Aに保持される。開口OPは、長尺部材3の一端32が収容部A内へと移動することができ、かつ、収容部A内から離脱できる大きさで開口している。開口OPは、本実施形態では、サンシェード部材2の閉方向D1側に開口している。より具体的には、開口OPは、鉛直方向下向きに開口しており、収容部Aに収容された長尺部材3の一端32を閉方向D1に投影した形状が入るような形状および大きさで形成されている。
【0025】
キャップ222は、幅方向WDで筒状部221の端部に設けられる部材である。キャップ222の筒状部221に対する接続方法は特に限定されないが、例えば、筒状部221に対して嵌合することによって接続することができる。本実施形態では、
図5および
図7に示されるように、キャップ222に収容部Aが設けられ、キャップ222に長尺部材3が接続されている。なお、収容部Aは、キャップ222以外に設けられていてもよい。
【0026】
キャップ222の全体形状は特に限定されない。本実施形態では、キャップ222は、幅方向WDに軸心を有する略円柱状に形成されている。キャップ222は、
図7および
図8に示されるように、閉方向D1に開口OPを有する収容部Aをキャップ222の閉方向D1側に有している。収容部Aの開口OPの周辺は、
図7および
図8に示されるように、開閉方向Dに対して垂直に延びる平坦面として構成され、後述する移動部材5の閉塞部51と対向する対向面222aを有している。
【0027】
また、キャップ222は、
図5~
図8に示されるように、サンシェード本体21と接続される接続部222bを開方向D2側に有している。接続部222bの形状は、サンシェード本体21が離脱しないように接続することができれば、特に限定されない。
【0028】
また、キャップ222は、
図5~
図8に示されるように、移動部材5が離脱防止位置にあるときに移動部材5と係合して移動部材5を離脱防止位置に保持する係合部222cを備えている。係合部222cは、移動部材5と係合することで、移動部材5をキャップ222に対して所定の位置で保持する。本実施形態では、係合部222cは、移動部材5と開閉方向Dで係合することで、移動部材5を所定の位置に保持している。より具体的には、係合部222cは、
図5および
図7に示されるように、移動部材5を挿通可能であり、板状の移動部材5の被係合部52と開閉方向Dで係合することができる、スロット状の貫通孔として形成されている。スロット状の貫通孔として形成された係合部222cは、対向面222aに対して幅方向WDで中央側に隣接して設けられている。なお、係合部222cの形状および構造は、移動部材5をキャップ222に対して所定の位置で保持することができるように移動部材5と係合することができれば、特に限定されない。
【0029】
筒状部221は、サンシェード部材2の閉方向D1側の端部2aに設けられる筒状の部材である。本実施形態では、筒状部221には、サンシェード本体21が取り付けられているとともに、筒状部221の幅方向WDで両端にキャップ222が取り付けられている。筒状部221は、本実施形態では、円筒状に形成されているが、筒状部221の形状は特に限定されず、角筒状など他の形状を有していてもよい。本実施形態では、筒状部221は中空に形成されており、筒状部221の内部空間には、
図1および
図5に示されるように、後述する解除部材61が設けられている。また、筒状部221は、後述するように、筒状部221の内部空間に設けられた解除部材61を筒状部221の外部から操作するための操作用開口221a(
図1および
図4参照)を備えている。本実施形態では、
図1に示されるように、筒状部221の内部空間に配置された解除部材61に、操作用開口221aを通って解除部材操作体62が接続され、解除部材操作体62によって解除部材61が操作可能となっている。なお、本実施形態の変形例として、解除部材操作体62が設けられずに、操作用開口221aに指などが挿入されて、解除部材61が直接操作されてもよい。
【0030】
長尺部材3は、サンシェード部材2に接続される長尺の部材である。本実施形態では、長尺部材3は、
図1に示されるように、駆動部4に接続され、駆動部4によって駆動されて、サンシェード部材2を閉方向D1に移動させる。長尺部材3は、本実施形態では、サンシェード部材2を閉方向D1に引っ張ることで、サンシェード部材2を、開閉方向Dおよび幅方向WDを含む面において平坦に張設された状態で保持している。なお、後述するように、駆動部4がサンシェード部材2に直接接続されて、サンシェード部材2が駆動部4によって駆動されたときに、長尺部材3がサンシェード部材2の開閉方向Dの移動に追従して移動するように構成されていてもよい(
図11参照)。
【0031】
本実施形態では、長尺部材3は、開閉方向Dに延びている。本実施形態では、長尺部材3の開方向D2側の一端32は、サンシェード部材2に取り付けられている。具体的には、長尺部材3の開方向D2側の一端32は、上述したように、サンシェード部材2の収容部Aに収容され、移動部材5が開口OPを塞ぐことによって収容部Aからの離脱が抑制される。長尺部材3の閉方向D1側の他端(図示せず)は、駆動部4に取り付けられている。
【0032】
長尺部材3がサンシェード部材2に取り付けられる幅方向WDの位置は、長尺部材3が接続されたサンシェード部材2が移動可能となる位置であれば特に限定されず、サンシェード部材2の幅方向WDの任意の位置とすることができる。本実施形態では、長尺部材3は、サンシェード部材2の幅方向WDの両端に設けられているが、サンシェード部材2の幅方向WDの中央部に設けられていてもよい。また、長尺部材3の本数は、サンシェード部材2を移動させることができれば、1本でもよいし、複数本であってもよい。本実施形態では、長尺部材3は、
図1に示されるように、幅方向WDで一方側に設けられた第1長尺部材3aと、幅方向WDで他方側に設けられた第2長尺部材3bとを有している。
【0033】
長尺部材3の構造は、長尺部材3が接続されたサンシェード部材2を移動可能であれば、特に限定されないが、本実施形態では、長尺部材3a、3bは、ワイヤ本体31a、31b(以下、まとめてワイヤ本体31と呼ぶ)と、ワイヤ本体31a、31bの端部に設けられたワイヤエンド(以下、長尺部材3の開方向D2側の端部をワイヤエンド32a、32b(以下、まとめてワイヤエンド32)とも呼ぶ。なお、
図1において、閉方向D1側のワイヤエンドは示されていない)とを備えたワイヤである。ワイヤ本体31は、所定の長さを有するワイヤ部分であり、本実施形態では、サンシェード部材2と駆動部4との間に延びている。ワイヤ本体31は、所定の径を有する鋼線などによって構成することができる。ワイヤエンド32は、ワイヤ本体31に対してワイヤ本体31の径方向外側に張り出している。ワイヤエンド32は、サンシェード部材2に設けられた収容部Aに収容され、移動部材5によって、収容部Aからの離脱が抑制される。
【0034】
本実施形態では、ワイヤエンド32は、
図5および
図7に示されるように、ワイヤ本体31の長さ方向に対して垂直な方向に中心軸を有する円柱状に形成されている。しかし、ワイヤエンド32の形状は、収容部Aに収容可能であり、移動部材5によって収容部Aからの離脱を抑制することができれば、特に限定されない。例えば、ワイヤエンド32は、球状や多角柱など、円柱以外の他の形状を有していてもよい。
【0035】
駆動部4は、サンシェード部材2を開閉方向Dに操作するための駆動力を発生させる。本実施形態では、駆動部4は、長尺部材3を駆動するように構成されている。具体的には、駆動部4は、長尺部材3をサンシェード部材2の閉方向D1に引き操作することで、長尺部材3に接続されたサンシェード部材2を閉方向D1に移動させるように構成されている。なお、後述する第2実施形態のように、駆動部4は、長尺部材3ではなく、サンシェード部材2(巻取軸23)を駆動するように構成されていてもよい。なお、駆動部4は、長尺部材3またはサンシェード部材2に直接接続される必要はなく、間接的に接続されていてもよい。
【0036】
駆動部4の構造は特に限定されないが、駆動部4は、例えば、駆動力を生じるモータと、モータにより正逆回転し、長尺部材3を巻き取りし、繰り出しするように構成されたドラムとによって構成することができる。この場合、モータの駆動力によって、ドラムが一方向に回転することによって、長尺部材3がドラムに巻き取られて、長尺部材3が閉方向D1に引き操作される。これにより、長尺部材3が接続されたサンシェード部材2が閉方向D1に移動する。一方、モータの駆動力によって、ドラムが他方向に回転した場合、長尺部材3がドラムから繰り出される。本実施形態では、上述したように、巻取軸23が付勢部材Sによってサンシェード本体21を巻き取る方向に付勢されている。この場合、長尺部材3が駆動部4のドラムから繰り出されたときに、サンシェード本体21が長尺部材3の繰り出しに合わせて、巻取軸23に巻き取られながら開方向D2に移動する。
【0037】
駆動部4は、例えば、建設機械CMの運転席にあるスイッチ等の駆動操作部(図示せず)を操作することで駆動することができる。この場合、例えば外光が眩しいときなどに、サンシェード部材2を遮光状態に移動させたり、サンシェード部材2が必要無いときに、サンシェード部材2を開放状態へと移動させたり、または、外光の照射角度の変化など、状況に応じて、サンシェード部材2の開閉方向Dでの位置を調節したりすることができる。なお、駆動部4は、電動に限られず、手動操作可能に構成されていてもよい。例えば、駆動部を、長尺部材3を巻き取り可能なドラムと、ドラムを回転可能な手動操作用のハンドルとによって構成することで、駆動部が手動操作可能に構成されていてもよい。また、本実施形態では、
図1に示されるように、第1長尺部材3aおよび第2長尺部材3bのそれぞれに駆動部4が設けられているが、長尺部材が1つの場合は、駆動部4は1つでよいし、2つの長尺部材を1つの駆動部によって操作してもよい。
【0038】
図5および
図7に示されるように、サンシェード開閉装置1は、長尺部材3の一端32が収容部Aの開口OPから離脱することを許容する位置、または、長尺部材3の一端32を収容部Aの開口OPから離脱させる位置である、離脱位置へと移動可能な移動部材5と、移動部材5を離脱位置へと移動させるために操作可能な操作部6とを備えている。これにより、詳細は後述するが、緊急時などに車両等に設けられた窓ガラスW1から退避する際などに、サンシェード部材2が退避の妨げとならないようにサンシェード部材2を容易に動かすことが可能となる。本実施形態では、移動部材5は、収容部Aに収容された長尺部材3の一端32が収容部Aの開口OPから離脱しないように、開口OPを少なくとも部分的に閉鎖する離脱防止位置(
図5参照)から離脱位置(
図7参照)へと移動可能であり、移動部材5が離脱位置に移動したときに、開口OPが開放される。
【0039】
移動部材5は、上述したように離脱位置へと移動可能である。離脱位置は、長尺部材3の一端32が収容部Aの開口OPから実際に離脱するか否かを問わず、長尺部材3の一端32が収容部Aの開口OPから離脱できる状態となる移動部材5の位置をいう。具体的には、上述したように、離脱位置は、長尺部材3の一端32が収容部Aの開口OPから離脱することを許容する位置、または、長尺部材3の一端32を収容部Aの開口OPから離脱させる位置である。離脱することを許容する位置は、例えば、移動部材5が移動して、開口OPが開放して、長尺部材3の一端32が重力によって下方に落ちることで、長尺部材3の一端32が開口OPから離脱することができる位置、移動部材5が移動して、開口OPが開放して、サンシェード部材2が巻き取られて(長尺部材3の一端32の位置はそのままで)、長尺部材3の一端32が開口OPから離脱することができる位置、移動部材5が移動して、開口OPが開放して、長尺部材3が手で引っ張られたり、巻き取られることによって、長尺部材3の一端32が開口OPから離脱することができる位置などを含む。また、長尺部材3の一端32を収容部Aの開口OPから離脱させる位置は、後述する第3実施形態のように、移動部材5が移動することによって、長尺部材3の一端32を開口OPから押し出すなど、長尺部材3(長尺部材3のワイヤ本体31または一端32)を直接または間接的に移動させることによって、長尺部材3の一端32を収容部Aの開口OPから離脱させることができる位置をいう。
【0040】
本実施形態では、移動部材5は、収容部Aの開口OPに対して、離脱防止位置から離脱位置へと移動するように構成されている。移動部材5が離脱防止位置にあるときには、
図5および
図6に示されるように、移動部材5は、収容部Aに収容された長尺部材3の一端32が収容部Aの開口OPから離脱することを抑制する。離脱防止位置は、移動部材5によって長尺部材3の一端32が収容部Aから離脱することを抑制することができる位置であればよい。したがって、離脱防止位置にある移動部材5は、開口OPを完全に塞いでいる必要はなく、開口OPを部分的に塞いでいればよい。移動部材5が離脱位置にあるときには、
図7および
図8に示されるように、移動部材5は、収容部Aに収容された長尺部材3の一端32が収容部Aの開口OPから離脱することを許容する。離脱位置は、収容部Aに収容された長尺部材3の一端32が収容部Aの開口OPから離脱することができる位置であればよい。したがって、離脱位置にある移動部材5は、開口OPの全体が開放する必要はない。
【0041】
移動部材5は、操作部6によって離脱防止位置から離脱位置へと移動する。本実施形態では、移動部材5は、
図5、
図7および
図10に示されるように、操作部6によって離脱防止位置から離脱位置に移動する際に、サンシェード部材2の幅方向WDの中央に向かって移動するように構成されている。しかし、移動部材5が操作部6によって離脱防止位置から離脱位置に移動する方向は特に限定されない。例えば、移動部材5は、幅方向WDで外側(サンシェード部材2の幅方向WDの中央に対して、移動部材5が幅方向WDで離れる方向)に移動するように構成されていいてもよいし、幅方向WDと開閉方向Dとの両方に垂直な方向(
図1における紙面手前方向)に移動してもよい。なお、移動部材5は、離脱防止位置から離脱位置へと移動した後、バネ等によって再度離脱防止位置へと戻るように構成されていてもよい。
【0042】
本実施形態では、移動部材5は、
図1に示されるように、幅方向WDで一方側に設けられた第1移動部材5aと、幅方向WDで他方側に設けられた第2移動部材5b(以下、第1移動部材5aおよび第2移動部材5bをまとめて移動部材5と呼ぶ)とを有している。なお、移動部材5の数は、特に限定されず、用いられる長尺部材3、収容部Aの数等に応じて適宜変更される。
【0043】
移動部材5の構造は、長尺部材3の一端32が収容部Aの開口OPから離脱することを許容する位置、または、長尺部材3の一端32を収容部Aの開口OPから離脱させる位置である、離脱位置へと移動可能であれば、特に限定されない。本実施形態では、移動部材5は、
図5および
図9に示されるように、収容部Aの開口OPを閉鎖する閉塞部51と、サンシェード部材2の閉方向D1側の端部2aにおいて、端部部材22(本実施形態ではキャップ222)と係合する被係合部52とを備えている。また、本実施形態では、移動部材5は、後述する解除部材61と連結される連結部53を備えている。移動部材5の形状は、長尺部材3の一端32が収容部Aの開口OPから離脱することを許容する位置、または、長尺部材3の一端32を収容部Aの開口OPから離脱させる位置である、離脱位置へと移動可能であれば、特に限定されない。本実施形態では、移動部材5は、
図9に示されるように、板状に形成されており、閉塞部51、被係合部52および連結部53が連続した1枚の板状に形成されている。具体的には、
図5に示されるように、移動部材5が端部部材22(キャップ222)に取り付けられた状態で、移動部材5の板厚方向が開閉方向Dとなるように配置され、サンシェード部材2の幅方向WDの中央側から、連結部53、被係合部52、閉塞部51が幅方向WDに連続して延びている。
【0044】
閉塞部51は、移動部材5が離脱防止位置にあるときに、収容部Aの開口OPを閉鎖して、長尺部材3の一端32の収容部Aからの離脱を抑制する。本実施形態では、閉塞部51は、移動部材5が離脱防止位置にあるときに、開口OPの閉方向D1側(
図5および
図6において下方)に配置されている。具体的には、閉塞部51はキャップ222の対向面222aと対向して開閉方向Dに垂直に配置され、開口OPの下方を塞いでいる。閉塞部51を含め、移動部材5の材料は、移動部材5が離脱防止位置にあるときに、長尺部材3から負荷が加わったときに破損しない程度の所定の剛性を有する金属または樹脂によって構成される。
【0045】
閉塞部51は、
図5および
図9に示されるように、ワイヤ本体31が挿通可能であり、ワイヤエンド32は通過できない幅を有するスリットSLを備えている。閉塞部51にスリットSLが設けられていることにより、ワイヤ本体31を、スリットSLを通して収容部A内へと延ばすことができる。本実施形態では、スリットSLは、閉塞部51の幅方向WDで外側に位置する自由端から幅方向WDに延びている。
【0046】
被係合部52は、端部部材22と係合して、移動部材5を離脱防止位置で保持する。本実施形態では、被係合部52は、
図5および
図6に示されるように、キャップ222の係合部222cと係合する。具体的には、被係合部52が係合部222cに対して開閉方向Dで係合することによって、移動部材5が離脱防止位置で保持される。本実施形態では、被係合部52は、スロット状の貫通孔として設けられた係合部222cに挿入されて、移動部材5の、開閉方向Dの移動と、開閉方向Dおよび幅方向WDの両方に垂直な方向(
図1の紙面手前方向)の移動が規制され、離脱防止位置に保持されている。被係合部52の大きさは特に限定されないが、被係合部52の開閉方向Dの厚さが、係合部222に圧入可能な程度で、係合部222cの開閉方向Dの寸法よりも大きくされている、および/または、被係合部52の開閉方向Dおよび幅方向WDの両方に垂直な方向の寸法が、係合部222cの開閉方向Dおよび幅方向WDの両方に垂直な方向の寸法よりも圧入可能な程度に大きくされていることが好ましい。この場合、被係合部52が係合部222cに圧入されることで、例えば、操作部6の誤操作などによって、移動部材5が離脱位置に誤って移動して、長尺部材3がサンシェード部材2から離脱してしまうことが抑制される。
【0047】
連結部53は、解除部材61と連結される部位である。本実施形態では、連結部53において、解除部材61が連結されることで、解除部材61が操作されたときの操作力が移動部材5に伝達されて、移動部材5を離脱防止位置から離脱位置に移動させることができる。連結部53と解除部材61との間の連結方法は特に限定されず、例えば、溶接、ねじ止めなど、公知の連結方法で連結することができる。また、本実施形態では、連結部53と被係合部52との間には、連結部53が被係合部52に対して幅広に形成されることで段差部STが設けられている。この段差部STがある場合、移動部材5をキャップ222に組み付ける際に、移動部材5の閉塞部51および被係合部52をキャップ222の係合部222cに差し込んだときに、段差部STとキャップ222の端面とが当接して移動部材5が所定の位置で停止する。これにより、移動部材5がキャップ222に対して位置決めされる。
【0048】
操作部6は、移動部材5を離脱防止位置から離脱位置へと移動させるために操作される部位である。詳細は後述するが、本実施形態では、
図1および
図4に示されるように、操作部6は、紐状またはワイヤ状の解除部材61を備えている。しかし、操作部6の形状および構造は、移動部材5を離脱防止位置から離脱位置へと移動させることができれば、特に限定されない。例えば、解除部材61等を設けずに、例えば、移動部材に、指でつまむことなどによって操作可能な操作部を設けることによって、離脱防止位置にある移動部材が直接ユーザによって操作されて離脱位置へ移動されても構わない。なお、後述するように、本実施形態では、解除部材61が幅方向WDに対して交差する方向に操作され、解除部材61が幅方向WDに移動するように構成されているが、操作部6が操作される方向および操作部6が移動する方向は、移動部材5を離脱防止位置から離脱位置へと移動させることができれば、特に限定されない。
【0049】
上述したように、本実施形態において、サンシェード部材2は、閉方向D1側の端部2aに収容部Aを備え、収容部Aは、長尺部材3の一端32を収容部Aに向けて挿入可能な大きさに形成された開口OPを有し、サンシェード開閉装置1が、長尺部材3の一端32が収容部Aの開口OPから離脱することを許容する位置、または、長尺部材3の一端32を収容部Aの開口OPから離脱させる位置である、離脱位置へと移動可能な移動部材5と、移動部材5を離脱位置へと移動させるために操作可能な操作部6とを備えている。これにより、例えば、ユーザが、サンシェード部材2によって覆われる窓ガラスW1から退避しなければならない場合などに、窓ガラスW1を覆っているサンシェード部材2を容易に動かすことができる。以下、この点を具体的に説明する。
【0050】
本実施形態のサンシェード開閉装置1において、
図1に示されるように、サンシェード部材2の閉方向D1側の端部2aには、開閉方向Dに延びる長尺部材3が接続されている。サンシェード部材2は、長尺部材3によって閉方向D1に引っ張られて、テンションがかかった状態で保持されている。そのため、サンシェード部材2は、窓ガラスW1を覆っている状態において、駆動部4を作動する以外に、サンシェード部材2を自由に動かすことができず、窓ガラスW1の開放が困難となったり、窓ガラスW1を開放したとしても、サンシェード部材2が邪魔になって窓ガラスW1の開放によって生じた開口部から退出することが困難となる。したがって、例えば、窓ガラスW1を開くことで生じた開口部から外部に退避する場合に、サンシェード部材2から長尺部材3を取り外して、サンシェード部材2の動きが長尺部材3によって拘束されないようにする必要がある。本実施形態では、移動部材5を離脱位置に移動させることによって、
図7および
図8に示されるように、収容部Aの開口OPが、長尺部材3の一端32が開口OPから離脱できるように開放される。したがって、長尺部材3をサンシェード部材2から容易に外すことができる。これにより、サンシェード部材2が長尺部材3によって拘束されずに、サンシェード部材2を開方向D2に移動したり、サンシェード部材2を窓ガラスW1から離れるように手前に動かしたりすることができる。したがって、窓ガラスW1から外部へ退避しなければならない場合などに、窓ガラスW1の開放によって生じた開口部から外部に容易に退避することができる。
【0051】
また、本実施形態では、
図1および
図4に示されるように、操作部6は、移動部材5に接続され、サンシェード部材2の閉方向D1側の端部2aに沿って、サンシェード部材2の幅方向WDに延びる紐状またはワイヤ状の解除部材61を備えている。本実施形態では、解除部材61は、幅方向WDに対して交差する方向に操作されることで、移動部材5が離脱位置へと移動することを可能にしている。この場合、移動部材5を幅方向WDに延びる解除部材61によって操作可能とすることで、移動部材5から幅方向WDで離れた位置であっても、移動部材5を操作することができる。すなわち、例えば、移動部材5が、サンシェード部材2の閉方向D1側の端部において、幅方向WDで端に設けられている場合に、ユーザが幅方向WDの端まで手を伸ばしたりせずとも、移動部材5を離脱位置まで移動させることができる。なお、幅方向WDに対して交差する方向は、閉方向D1であってもよいし、サンシェード本体21の表面に対して垂直な方向であってもよいし、開方向D2であってもよいし、これらの方向に対して幅方向WDに傾いた方向であってもよい。本実施形態では、解除部材61は、閉方向D1、具体的には鉛直下方向に操作されることにより、移動部材5を離脱位置へと移動させる。
【0052】
解除部材61は、移動部材5に連結され、操作されたときに、移動部材5を移動させる。具体的には、解除部材61は、操作されたときに解除部材61から移動部材5に操作力を伝達し、移動部材5を離脱防止位置から離脱位置へと移動させる。解除部材61は、例えば、紐状またはワイヤ状の部材であり、幅方向WDに所定の長さで延びている。解除部材61は、幅方向WDに操作されても構わないが、本実施形態では、幅方向WDに対して交差する方向に操作されることで、幅方向WDに対して交差する方向に加わった力が、幅方向WDに移動部材5を引っ張る力に変換されて、移動部材5を離脱位置へと移動させる。本実施形態では、解除部材61は、
図1に示されるように、筒状部221を通ってキャップ222側に延びて移動部材5と接続されている。この場合、解除部材61が幅方向WDに対して交差する方向に操作されたときに、解除部材61は、移動部材5が設けられたキャップ222までの間の部分は、筒状部221の内部で幅方向WDに案内されて移動する。より具体的には、解除部材61が幅方向WDに対して交差する方向に操作されたときに、
図10に示されるように、解除部材61が変形しながら操作用開口221aから筒状部221の外部へと出る一方で、解除部材61の操作用開口221aから移動部材5までの間の部分は、筒状部221の内部で幅方向WDに案内されながら移動する。これにより、解除部材61が幅方向WDに対して交差する方向に操作されたときに、移動部材5が離脱位置へと幅方向WDに移動しやすくなっている。
【0053】
また、本実施形態では、
図1に示されるように、解除部材61が筒状部221を通ってキャップ222側に延び、キャップ222は、
図5に示されるように、移動部材5が離脱防止位置にあるときに移動部材5と係合して移動部材5を離脱防止位置に保持する係合部222cを備えている。解除部材61の筒状部221を通る部分は、筒状部221に囲まれており、ユーザが誤って操作することが抑制されている。また、移動部材5(被係合部52)がキャップ222の係合部222cに圧入されて係合することで、車両の振動やユーザの操作部6(解除部材操作体62)との接触など、解除部材61に意図しない軽い力が加わったとしても、移動部材5が離脱位置へと誤って移動することが抑制される。
【0054】
また、本実施形態では、
図1および
図4に示されるように、解除部材61は、幅方向WDの一端が第1移動部材5aに接続され、幅方向WDの他端が第2移動部材5bに接続され、解除部材61が、幅方向WDに対して交差する方向に操作されることで、第1移動部材5aおよび第2移動部材5bが離脱位置へと移動する(
図10参照)。このように、本実施形態では、1つの解除部材61の操作によって、第1移動部材5aおよび第2移動部材5bを同時に操作することができる。したがって、第1長尺部材3aおよび第2長尺部材3bを同時に第1収容部Aaおよび第2収容部Abのそれぞれから離脱させることができる。したがって、簡単な操作で迅速に長尺部材3をサンシェード部材2から外すことができ、迅速に外部に退避することができる。
【0055】
本実施形態では、
図1および
図10に示されるように、解除部材61には、操作用開口221aを介して、解除部材操作体62が接続されている。解除部材操作体62は、解除部材61に対して着脱可能に構成されていてもよいし、固定されていてもよい。本実施形態では、解除部材操作体62は、解除部材61に接続されるピン状の部材であり、幅方向WDに交差する方向に引き操作することで、
図10に示されるように、解除部材61を幅方向WDに移動させて、移動部材5を離脱位置へと移動させることができる。なお、解除部材操作体62は、通常時は、解除部材61には接続せずに、運転席の所定の位置に設けて、緊急時に解除部材61に係合させて解除部材61を操作するようにしてもよい。この場合、通常時に解除部材61が誤操作されることがさらに抑制される。
【0056】
つぎに、建設機械CMにサンシェード開閉装置1が適用された例をあげて、サンシェード開閉装置1の動作をより詳細に説明する。
【0057】
まず、通常時のサンシェード開閉装置1の動作について説明する。建設機械CMのキャブCに乗車している運転者の作業中、前窓ガラスW1から入る日光が眩しい場合、運転者は、キャブC内でサンシェード部材2を操作するための操作ボタンなどの操作部材を操作する。操作部材が操作されると、駆動部4が駆動される。駆動部4が駆動されると、駆動部4のモータが回転して駆動部4のドラムを回転させて、長尺部材3をドラムに巻き取る。長尺部材3が駆動部4のドラムに巻き取られると、長尺部材3が閉方向D1に引き操作される。長尺部材3のワイヤエンド32は、
図5および
図6に示されるように、収容部Aに収容され、移動部材5の閉塞部51と開閉方向Dで係合している。したがって、長尺部材3が閉方向D1に引き操作されることによって、キャップ222を含む端部部材22は、長尺部材3から閉方向D1に力を受けて、サンシェード部材2が閉方向D1に移動する。このとき、サンシェード部材2のサンシェード本体21は、巻取軸23に設けられた付勢部材Sによって、開方向D2に付勢力を受けているが、その付勢力に抗して、サンシェード部材2は閉方向D1に移動する。以上のように、長尺部材3が操作されることで、サンシェード部材2を所望の位置まで下降させて遮光状態として、運転者は作業を継続することができる。
【0058】
日光が眩しくなくなるなど、サンシェード部材2が不要となると、サンシェード部材2を開方向D2に上昇させる。このときも同様に、操作ボタンなどの操作部材を操作して、駆動部4を駆動する。駆動部4のモータおよびドラムが、サンシェード部材2の下降時とは逆方向に回転するように、駆動部4が駆動されると、長尺部材3がドラムから繰り出される。長尺部材3が駆動部4のドラムから繰り出されると、サンシェード本体21は、巻取軸23に設けられた付勢部材Sによって巻取軸23に巻き取られる。これにより、サンシェード部材2が開方向D2に上昇して、
図1に二点鎖線で示される開放状態となる。
【0059】
つぎに、例えば、建設機械CMが転倒したり、キャブCの側方に設けられたドアが開かなくなったりした場合に、窓ガラスW1を開放してキャブC内から退避する場合の動作について説明する。
【0060】
上述したように窓ガラスW1を開放してキャブCから退避しなければならない場合に、サンシェード部材2が窓ガラスW1を部分的に覆ってしまい、窓ガラスW1を開放する際や、窓ガラスW1を開放して生じる開口部から運転者が退避する際に、サンシェード部材2がキャブCからの退避に邪魔になる場合がある。
【0061】
特に、本実施形態のように、長尺部材3を用いてサンシェード部材2を開閉する場合、長尺部材3によってサンシェード部材2が張った状態になっているので、長尺部材3がサンシェード部材2に接続されている状態では、窓ガラスW1を開放して生じる開口部からの退避が困難になる可能性がある。そのため、まず、長尺部材3をサンシェード部材2から外す必要がある。
【0062】
本実施形態では、長尺部材3をサンシェード部材2から外すために、解除部材61が操作される。具体的には、筒状部221の幅方向WDで中央部に設けられた操作用開口221aから筒状部221の外部に露出している解除部材操作体62を閉方向D1に引っ張ることにより、解除部材61が操作される。解除部材操作体62が閉方向D1に引っ張られると、
図10に示されるように、解除部材61の一部が操作用開口221aから引き出されるとともに、解除部材61が筒状部221内で幅方向WDに引っ張られる。解除部材61が幅方向WDに引っ張られると、解除部材61と接続された第1移動部材5aおよび第2移動部材5bが幅方向WDで内側に引っ張られる。これにより、
図5および
図7に示されるように、第1移動部材5aおよび第2移動部材5bが離脱防止位置から離脱位置へと移動する。
図7および
図8に示されるように、第1移動部材5aおよび第2移動部材5bが離脱位置へ移動すると、キャップ222の収容部Aの開口OPが開放して、第1長尺部材3aの一端32aおよび第2長尺部材3bの一端32bが収容部Aから離脱可能な状態となる。
【0063】
長尺部材3の一端32が離脱可能な状態となったとき、キャップ222を含む端部部材22は長尺部材3による拘束から解放される。これにより、運転者は、サンシェード部材2を開方向D2に移動させたり、サンシェード部材2を手前側に移動させたりすることで、窓ガラスW1を開放して生じる開口部から、外部に退避することができる。
【0064】
本実施形態では、長尺部材3の一端32が収容部Aの開口OPから離脱して、長尺部材3がサンシェード部材2から外れたときに、巻取軸23に設けられた付勢部材Sの付勢力によってサンシェード部材2が開方向D2へと開放するように構成されている。したがって、本実施形態では、サンシェード部材2と長尺部材3との間の接続が解除されたときに、サンシェード部材2が付勢部材Sの付勢力によって自動的に開放する。したがって、キャブCから外部への退避がより容易になる。また、本実施形態では、通常時は電動の駆動部4によってサンシェード部材2が電動駆動されるが、緊急時にサンシェード部材2を開放させる際に、電動の駆動部4の駆動力は必要なく、付勢部材Sの付勢力によって自動的にサンシェード部材2が開放する。したがって、電動駆動されるサンシェード開閉装置1において、建設機械CMの電気系統が破損して駆動部4が動作しない場合であっても、手動操作でサンシェード部材2を容易に開放させることができる。
【0065】
<第2実施形態>
なお、サンシェード開閉装置1の変形例として、
図11に示されるように、駆動部4が、長尺部材3を駆動するのではなく、サンシェード部材2を駆動して、サンシェード部材2を開閉方向Dに操作するように構成されていてもよい。なお、
図11に示される実施形態は、駆動部4がサンシェード部材2を駆動し、長尺部材3a、3bが付勢部材S2によって付勢されている点以外は基本的に上述した実施形態と同様である。第2実施形態において、上述した実施形態と同様の構成についての説明は省略するが、上述した実施形態で説明した事項は第2実施形態にも適用可能である。
【0066】
図11に示される実施形態では、駆動部4が、サンシェード部材2の巻取軸23を回転駆動できるように、巻取軸23に接続されている。サンシェード部材2は、駆動部4の駆動に応じて、巻取軸23にサンシェード本体21を巻き取りし、巻取軸23から繰り出しするように構成されている。また、長尺部材3a、3bの閉方向D1側の端部は、
図11に示されるように、ドラムDRに取り付けられ、ドラムDRは、渦巻きバネ等の付勢部材S2によって長尺部材3a、3bを巻き取る方向に付勢されている。本実施形態では、サンシェード部材2を閉方向D1に移動させる際には、駆動部4によって、サンシェード本体21を巻取軸23から繰り出されるように閉方向D1に移動させ、長尺部材3a、3bは付勢部材S2の付勢力によってドラムDRに巻き取られる。一方、サンシェード部材2を開方向D2に移動させる際には、駆動部4によって、サンシェード本体21を、付勢部材S2の付勢力に抗して巻取軸23に巻き取るように開方向D2に移動させ、長尺部材3a、3bがドラムDRから繰り出される。
【0067】
図11に示される実施形態においても、上述した実施形態と同様に、移動部材5を離脱防止位置から離脱位置に移動させることによって、収容部Aの開口OPが、長尺部材3a、3bの一端32a、32bが開口OPから離脱できるように開放される(
図5および
図7参照)。したがって、長尺部材3をサンシェード部材2から容易に外すことができる。これにより、サンシェード部材2が長尺部材3a、3bによって拘束されずに、運転者は、サンシェード部材2を窓ガラスW1から離れるように手前に動かしたりすることができる。したがって、運転者は、窓ガラスW1から外部へ退避しなければならない場合などに、窓ガラスW1の開放によって生じた開口部から外部に容易に退避することができる。
【0068】
<第3実施形態>
また、サンシェード開閉装置1のさらなる変形例として、
図12および
図13に示されるように、移動部材5によって長尺部材3の一端32が開口OPから押し出されることにより、長尺部材3がサンシェード部材2から離脱するように構成されていてもよい。なお、
図12および
図13に示される実施形態は、移動部材5によって長尺部材3の一端32が開口OPから押し出される点以外は基本的に上述した実施形態と同様である。第3実施形態において、上述した実施形態と同様の構成についての説明は省略するが、上述した実施形態で説明した事項は第3実施形態にも適用可能である。
【0069】
本実施形態では、
図12に示されるように、サンシェード部材2(キャップ222)の収容部Aは、幅方向WDに開放した開口OPを有している。本実施形態では、キャップ222は、閉方向D1側には、長尺部材3のワイヤ本体31が通過できるスリットSL2を有している。このスリットSL2は、長尺部材3の一端32が閉方向D1に通過できないような幅で形成されている。
【0070】
また、本実施形態では、
図12に示されるように、サンシェード開閉装置1がさらに、移動部材5を長尺部材3に向けて付勢する移動部材付勢部材S3と、移動部材5と移動部材付勢部材S3との間に介在する規制位置(
図12参照)から、移動部材5と移動部材付勢部材S3との間から外れた規制解除位置(
図13参照)へと移動可能なストッパーSTPとをさらに備えている。後述するように、ストッパーSTPは、操作部6に接続され、操作部6が操作されることによって、ストッパーSTPが規制位置から規制解除位置へと移動する(
図13参照)。これによって、移動部材5が移動部材付勢部材S3によって離脱位置へと移動し、移動部材5が離脱位置に移動したときに、移動部材5が長尺部材3を押圧して、長尺部材3の一端32が収容部Aの開口OPから押し出される。
【0071】
本実施形態では、移動部材5は、
図12および
図13に示されるように、長尺部材3を開口OPに向けて押圧できるように構成されている。移動部材5は、長尺部材3の一端32に対して幅方向WDで内側に配置され、幅方向WDで外側に向かって移動できるように構成されている。
図12に示されるように、移動部材5の幅方向WDで内側(
図12における左側)には、移動部材5を幅方向WDで外側(
図12における右側)に向かって付勢する移動部材付勢部材S3が設けられている。移動部材付勢部材S3の幅方向WDで内側の一端は受け座(壁部)に支持され、外側の端部はストッパーSTPと当接している。移動部材5と移動部材付勢部材S3との間にストッパーSTPが介在することによって、移動部材5に移動部材付勢部材S3から付勢力が加わることが規制されている。ストッパーSTPは、操作部6に接続されている。具体的には、ストッパーSTPは、解除部材61に接続されている。解除部材操作体62が操作され、解除部材61が幅方向WDで内側に操作されることにより、
図13に示されるように、ストッパーSTPは、付勢部材付勢部材S3の幅方向WDで外側の端部を規制する位置から外れた位置に移動する。これにより、
図13に示されるように、移動部材付勢部材S3が移動部材5に当接して、移動部材付勢部材S3の付勢力によって移動部材5が幅方向WDで外側に移動する。移動部材5が幅方向WDで外側に移動して離脱位置に到達すると、移動部材5によって長尺部材3の一端32が開口OPから押し出されて、長尺部材3をサンシェード部材2から離脱させることができる。したがって、長尺部材3をサンシェード部材2から容易に外すことができる。これにより、サンシェード部材2が長尺部材3によって拘束されずに、運転者は、サンシェード部材2を動かすことができる。したがって、運転者は、窓ガラスW1から外部へ退避しなければならない場合などに、窓ガラスW1の開放によって生じた開口部から外部に容易に退避することができる。
【0072】
なお、移動部材5は、
図12および
図13においては、長尺部材3のワイヤエンド32を押圧するように構成されているが、移動部材5が長尺部材3のワイヤ本体31を幅方向WDで外側に押圧することで、長尺部材3を開口OPから押し出して、サンシェード部材2から離脱させてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 サンシェード開閉装置
2 サンシェード部材
2a サンシェード部材の閉方向側の端部
21 サンシェード本体
22 端部部材
221 筒状部
221a 操作用開口
222 キャップ
222a 対向面
222b 接続部
222c 係合部
23 巻取軸
3 長尺部材
3a 第1長尺部材
3b 第2長尺部材
31 ワイヤ本体
31a 第1長尺部材のワイヤ本体
31b 第2長尺部材のワイヤ本体
32 長尺部材の一端(ワイヤエンド)
32a 第1長尺部材の一端(ワイヤエンド)
32b 第2長尺部材の一端(ワイヤエンド)
4 駆動部
5 移動部材
5a 第1移動部材
5b 第2移動部材
51 閉塞部
52 被係合部
53 連結部
6 操作部
61 解除部材
62 解除部材操作体
A 収容部
Aa 第1収容部
Ab 第2収容部
C キャブ
C1 窓枠
CM 建設機械
D 開閉方向
D1 閉方向
D2 開方向
DR ドラム
L 下部走行体
OP 開口
S、S2 付勢部材
S3 移動部材付勢部材
SL、SL2 スリット
ST 段差部
STP ストッパー
U 上部旋回体
W1 窓ガラス(前窓ガラス)
W2 窓ガラス(側方窓ガラス)
WD サンシェード部材の幅方向