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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20240618BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
G03G15/20 510
G03G21/00 398
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021048772
(22)【出願日】2021-03-23
(65)【公開番号】P2022147504
(43)【公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(72)【発明者】
【氏名】湯 銘
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-072727(JP,A)
【文献】特開平08-286556(JP,A)
【文献】特開2018-010193(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/20
13/34
15/00
15/20
15/36
21/00-21/02
21/14
21/20
H05B 1/00-3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷シートにトナーを加熱定着する加熱部、加熱ローラおよび加圧部により画像形成を行う画像形成部と、
入力電圧を検知する電圧検知部と、
各部の動作を維持するために必要な予め定められた第1規定電圧を記憶する記憶部と、
前記画像形成部、前記電圧検知部および前記記憶部を制御する制御部とを備え、
前記加熱部は、前記加熱ローラを加熱する第1ヒーターおよび第2ヒーターを備え、
前記記憶部は、前記第1ヒーターおよび前記第2ヒーターの消費電力に関する情報を記憶し、
前記制御部は、前記画像形成部に予め定められた初期動作を実施させた後、前記電圧検知部に入力電圧を検知させて第1電圧とし、続いて前記第1ヒーターの駆動を開始した後、前記電圧検知部に入力電圧を検知させて第2電圧とし、前記第1電圧および前記第2電圧に基づき、前記第1ヒーターの駆動による入力電圧の低下量を計算し、
前記第1ヒーターの駆動による入力電圧の変化量と、前記第1ヒーターおよび前記第2ヒーターの消費電力に関する情報とに基づき、前記第2ヒーターの駆動による入力電圧の低下量を予測し、
前記電圧検知部に前記第2電圧を予め定められた検知時間ごとに更新させ、前記第2電圧から前記第2ヒーターの駆動による前記入力電圧の低下量を反映した電圧を第3電圧として、前記第3電圧が前記第1規定電圧以上になった場合に、前記画像形成部に前記第2ヒーターの駆動を開始させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1ヒーターの消費電力は、前記第2ヒーターの消費電力よりも大きい請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置に関し、より詳細には、定着加熱方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、定着加熱方式を用いた画像形成装置では、形成した画像を用紙からなる媒体表面にトナーを定着させるためにヒーターにより加熱することにより画像を定着させている。
このような画像形成装置では、定着装置の電源投入時にヒーターによる突入電流が発生し、電流がピークとなることがある。
【0003】
そこで、突入電流の発生を防止するためにメインヒーター加熱開始後、所定時間T1経過後にサブヒーターの加熱を開始することにより、メインヒーター、サブヒーターによる突入電流を緩和する提案が行われている。
【0004】
従来、定着装置の電源投入時、待機時、印刷時における突入電流を防止する発明として、センターランプ又はサイドランプのいずれか一方のランプが加熱を行っているときは、そのランプの加熱が停止するまで他方のランプの加熱開始を待機させ、ヒートローラ10を所定の制御温度範囲内に維持する定着装置のヒーター制御装置の発明が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-070628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、メインヒーター加熱開始後、所定時間T1経過後にサブヒーターの加熱を開始する従来の定着装置の加熱シーケンスは、そのときどきの電源事情に関係なく、サブヒーターの加熱開始の遅延時間T1が設定されていることが多い。
【0007】
それゆえ、電源事情がよい場合(例えば、100V、15Aのコンセントの場合)に上記加熱シーケンスを実施しても特に問題は発生しないが、電源事情が悪い場合(例えば、100V、15A未満のコンセントの場合)に上記加熱シーケンスを実施すると、突入電流により電圧が低下するため、十分な電力を得ることができず、画像形成装置の起動に支障が生じてしまうことがある。
【0008】
また、電源事情が悪い環境に合わせて加熱シーケンスの設定を行った場合、電源事情がよい環境でのヒーターの起動時間が長くなってしまい、画像形成装置が使用可能な温度に到達するまで時間がかかり、使い勝手の悪いものとなってしまう。
【0009】
さらに、地域だけではなく実際の電源環境では、建物などの配線によって、さまざまな障害が発生する可能性があるため、個々の電源環境に合わせて定着ヒーターの加熱シーケンスを事前に設定することは困難である。
【0010】
この発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、従来よりも適切なタイミングでサブヒーターの加熱タイミングを決定することで、電源事情に合わせてより短時間での使用を可能にする画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)この発明による画像形成装置は、印刷シートにトナーを加熱定着する加熱部、加熱ローラおよび加圧部により画像形成を行う画像形成部と、入力電圧を検知する電圧検知部と、各部の動作を維持するために必要な予め定められた第1規定電圧を記憶する記憶部と、前記画像形成部、前記電圧検知部および前記記憶部を制御する制御部とを備え、前記加熱部は、前記加熱ローラを加熱する第1ヒーターおよび第2ヒーターを備え、前記記憶部は、前記第1ヒーターおよび前記第2ヒーターの消費電力に関する情報を記憶し、前記制御部は、前記画像形成部に予め定められた初期動作を実施させた後、前記電圧検知部に入力電圧を検知させて第1電圧とし、続いて前記第1ヒーターの駆動を開始した後、前記電圧検知部に入力電圧を検知させて第2電圧とし、前記第1電圧および前記第2電圧に基づき、前記第1ヒーターの駆動による入力電圧の低下量を計算し、前記第1ヒーターの駆動による入力電圧の変化量と、前記第1ヒーターおよび前記第2ヒーターの消費電力に関する情報とに基づき、前記第2ヒーターの駆動による入力電圧の低下量を予測し、前記電圧検知部に前記第2電圧を予め定められた検知時間ごとに更新させ、前記第2電圧から前記第2ヒーターの駆動による前記入力電圧の低下量を反映した電圧を第3電圧として、前記第3電圧が前記第1規定電圧以上になった場合に、前記画像形成部に前記第2ヒーターの駆動を開始させることを特徴とする。
【0012】
この発明において、「画像形成装置」は、トナーによる像形成に電子写真方式を用いるプリンタなどの複写(コピー)機能を有する複写機や複合機、または複写以外の機能をも含むMFP(Multifunctional Peripheral:多機能周辺装置)など、画像を形成して出力する装置である。
「消費電力に関する情報」は、ワット数などの消費電力を直接示す情報のみに限られず、例えば、第1ヒーターに対して第2ヒーターは50%の消費電力である等の情報であってもよい。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、適切なタイミングでサブヒーターの加熱タイミングを決定することで、電源事情に合わせてより短時間での使用を可能にする画像形成装置が実現される。
【0014】
さらに、この発明の好ましい態様について説明する。
【0015】
(2)前記第1ヒーターの消費電力は、前記第2ヒーターの消費電力よりも大きい方が好ましい。
【0016】
このようにすれば、前記第1ヒーターの駆動による入力電圧の変化量と、前記第1ヒーターおよび前記第2ヒーターの消費電力とに基づき、前記第2ヒーターの駆動による入力電圧の低下量の予測が容易になるため、適切なタイミングでサブヒーターの加熱タイミングを決定することで、電源事情に合わせてより短時間での使用を可能にする画像形成装置が実現される。
【0017】
(3)前記記憶部は、各部の動作を維持するために必要な予め定められた第2規定電圧を記憶し、前記制御部は、前記第1ヒーターの駆動による入力電圧の変化量と、前記第1ヒーターおよび前記第2ヒーターの消費電力に関する情報とに基づき、前記第2ヒーターの駆動による入力電圧を予測し、前記電圧検知部に前記第2電圧を予め定められた検知時間ごとに更新させ、前記第2電圧から前記第2ヒーターの駆動による前記入力電圧の予測電圧を差し引いた電圧差を計算し、前記電圧差が前記第2規定電圧以上になった場合に、前記画像形成部に前記第2ヒーターの駆動を開始させるものであってもよい。
【0018】
このようにすれば、電圧差を規定電圧と比較することにより、処理が容易となるため、適切なタイミングでサブヒーターの加熱タイミングを決定することで、電源事情に合わせてより短時間での使用を可能にする画像形成装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】この発明の画像形成装置の実施形態1に係るデジタル複合機の外観を示す斜視図である。
図2図1に示すデジタル複合機の本体部分の機構的構成を示す断面図である。
図3図1に示すデジタル複合機の電気的構成を示すブロック図である。
図4図1に示すデジタル複合機の電力モニタ部の電気的構成を示すブロック図である。
図5】従来のデジタル複合機のヒーター加熱の問題点を示す説明図である。 (A)は、電源環境がよい場合の電圧変化の一例を示し、(B)は、電源環境が悪い場合の電圧変化の一例を示す。
図6】この発明の実施形態1のデジタル複合機のヒーター加熱手順の流れを示すフローチャートである。
図7】この発明の実施形態2のデジタル複合機のヒーター加熱手順の流れを示すフローチャートである。
図8】この発明の実施形態2のデジタル複合機のヒーター加熱手順の流れを示すフローチャートである。
図9】この発明の実施形態3のデジタル複合機のヒーター加熱手順の流れを示すフローチャートである。
図10】この発明の実施形態4のデジタル複合機のヒーター加熱手順の流れを示すフローチャートである。
図11】この発明の実施形態5のデジタル複合機のヒーター加熱手順の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を用いてこの発明をさらに詳述する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、この発明を限定するものと解されるべきではない。
【0021】
〔実施形態1〕
図1図6に基づき、この発明の画像形成装置の一実施形態であるデジタル複合機1について説明する。
図1は、この発明の画像形成装置の実施形態1に係るデジタル複合機1の外観を示す斜視図である。
図2は、図1に示すデジタル複合機1の本体部分の機構的構成を示す断面図である。
【0022】
デジタル複合機1は、画像データをデジタル処理し、複写機能やスキャナ機能、ファクシミリ機能を有する複合機やMFP(Multifunctional Peripheral:多機能周辺装置)などの装置である。
【0023】
図2に示すように、デジタル複合機1は、原稿を読取り部に搬送する搬送部112、原稿を読み取る読取部111および画像形成を行う画像形成部102を備える。
【0024】
デジタル複合機1は、操作部103や通信部55を介して受付けたユーザーからの指示に基づいてスキャナ、印刷およびコピーのジョブを実行する。
【0025】
<デジタル複合機1の構成>
ここで、図2に示すデジタル複合機1の内部的な構成を簡単に説明しておく。
【0026】
デジタル複合機1においては、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像を印刷シートに印刷する。あるいは、単色(例えばブラック)を用いたモノクロ画像を印刷シートに印刷する。
【0027】
このため、現像装置12、感光体ドラム13、ドラムクリーニング装置14、および帯電器15等は、それぞれ4個ずつ設けられる。
各色に応じた4種類のトナー像を形成するために、それぞれがブラック、シアン、マゼンタ、およびイエローに対応付けられて、4つの画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdが構成されている。
【0028】
各画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdのいずれにおいても、次のようにしてトナー像が形成される。
ドラムクリーニング装置14が感光体ドラム13表面の残留トナーを除去および回収する。
その後、帯電器15が感光体ドラム13の表面を所定の電位に均一に帯電させる。
そして、光走査装置11が均一に帯電した前記表面を露光して前記表面に静電潜像を形成する。
その後、現像装置12が前記静電潜像を現像する。
これにより、各感光体ドラム13表面に各色のトナー像が形成される。
【0029】
また、中間転写ベルト21は矢印方向Cに周回移動する。
ベルトクリーニング装置22は周回移動する中間転写ベルト21の残留トナーを除去および回収する。
各感光体ドラム13表面の各色のトナー像が中間転写ベルト21に順次転写して重ね合わせられて、中間転写ベルト21上にカラーのトナー像が形成される。
【0030】
前記印刷シートは、ピックアップローラ33により4つある給送トレイ18のいずれか一つから引出されて、シート搬送経路R1を介して2次転写装置23へ給送される。
あるいは、手差しトレイ19から図示しないピックアップローラによって給送され、シート搬送経路R1を介して2次転写装置23へ給送される。
【0031】
シート搬送経路R1には、印刷シートを一旦停止させて印刷シートの先端を揃えるレジストローラ34が配置されている。
また、印刷シートの搬送を促す搬送ローラ35等が配置されている。
レジストローラ34は、印刷シートをいったん停止させた後、中間転写ベルト21と転写ローラ23a間のニップ域へトナー像の転写タイミングに合わせて印刷シートを搬送する。
【0032】
2次転写装置23の転写ローラ23aと中間転写ベルト21との間にはニップ域が形成される。
印刷シートが前記ニップを通過するとき、中間転写ベルト21の表面に形成されたカラーのトナー像が印刷シートに転写される。
印刷シートは、前記ニップ域を通過した後、定着装置17の加熱ローラ24と加圧ローラ25との間に挟まれて加熱および加圧される。
この加熱および加圧により、カラーのトナー像が印刷シート上に定着される。
【0033】
定着装置17を通過した印刷シートは、排出ローラ36aまたは36bを経て排出トレイ39aまたは39bへ排出される。
印刷シートの排出先は、後述する制御部100によって制御され、図示しない切替え機構によって排出トレイ39aおよび39bの何れかへ印刷シートが導かれるように搬送経路が切替えられる。
印刷シートの搬送経路の切替え機構は、画像形成装置の技術分野で周知であるので詳細な図示を省略している。
【0034】
続いて、図3に基づき、デジタル複合機1の電気的な構成を簡単に説明しておく。
図3は、図1に示すデジタル複合機1の電気的構成を示すブロック図である。
図3に示すように、デジタル複合機1は、通信部55、制御部100、タイマ101、画像形成部102、操作部103、メモリ104、読取部111および搬送部112を備える。
【0035】
以下、デジタル複合機1の電気的な各構成要素を説明する。
【0036】
通信部55は、外部の機器と通信データを送受し、例えば外部のコンピュータから印刷ジョブの実行要求を受信する通信インターフェースの回路およびファームウェアである。
【0037】
制御部100は、デジタル複合機1を統合的に制御するものであって、CPU、RAM、ROM、各種のインターフェース回路等からなる。
制御部100は、デジタル複合機1全体の動作をコントロールするために、各センサの検知、モーター、クラッチ、定着ランプ等、あらゆる負荷の監視・制御を行う。
【0038】
タイマ101は、時間を計測してカウントする部分であり、例えば、内蔵時計やネットワークを通じて時刻を取得する。
【0039】
画像形成部102は、電子写真方式により印刷画像を印刷シートに印刷する。
画像形成部102は、図2に示すように、光走査装置11、現像装置12、感光体ドラム13、ドラムクリーニング装置14および帯電器15に係る電気的構成要素を含んで構成される。
画像形成部102はさらに、中間転写ベルト21、定着装置17、シート搬送経路R1、給送トレイ18、および排出トレイ39a、39bに係る電気的構成要素を含んで構成される。
【0040】
また、画像形成部102は、図2に示す構成要素以外に、図3に示すように、定着装置17の加熱ローラ24を加熱する加熱部120と、入力電圧をモニタする電圧モニタ部130とを含んで構成される。
【0041】
操作部103は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)とタッチパネルから構成され、液晶ディスプレイに情報を表示し、タッチパネルを通じてユーザーからの指令を受け付ける部分である。
制御部100は、操作部103を通じて、デジタル複合機1の動作および状態の表示を行う。
【0042】
メモリ104は、RAM104aおよびROM104bを備え、例えばハードディスク装置(HDD)やフラッシュメモリ等不揮発性の記憶手段であって、種々のデータやプログラムを格納する。
【0043】
RAM104aは、制御部100がアクセス可能なメモリ(Random Access Memory)であり、一時的にデータを記憶しておくワークメモリを提供する。
RAM104aには、例えば、メインヒーターおよびサブヒーターの電圧、電圧の変化量および予測値などが記録される。
【0044】
ROM104bは、制御部100がアクセス可能な読み出し専用メモリ(Read Only Memory)であり、制御部100のプログラム制御のために必要なデータが格納される。
ROM104bには、例えば、画像形成機能や省電力モード移行機能などの設定の基礎となる各種のデータや、デジタル複合機の動作を維持するために必要な予め定められた規定電圧などが格納される。
【0045】
RAM104aおよびROM104bは、制御部100とバス接続されており、制御部100を動作させるためのプログラム格納、メモリ展開がなされる。
なお、これらは一例の構成であって、複数のCPUや基板により構成されるシステムであってもよい。
【0046】
例えば、制御部100は、読取部111および搬送部112を制御して、搬送部112により原稿を搬送する。
そして、読取部111により原稿の画像を読取らせ、原稿の画像を示す画像データをメモリ104に格納する。
さらに、画像形成部102を制御して、画像形成部102でメモリ104内の画像データによって示される原稿の画像を印刷シートに印刷させる。
【0047】
以上がデジタル複合機1の構成の概要である。
【0048】
<電圧モニタ部130の電気的構成>
次に、図4に基づき、電圧モニタ部130の電気的構成について説明する。
図4は、図1に示すデジタル複合機1の加熱部120および電圧モニタ部130の電気的構成を示すブロック図である。
【0049】
図4に示すように、加熱部120は、メインのハロゲンランプ121、サブのハロゲンランプ122、スイッチ素子123、スイッチ素子124および電源生成回路125を備える。
【0050】
また、電圧モニタ部130は、電圧センス回路131および電圧(電力)演算回路132を備える。
【0051】
以下、加熱部120および電圧モニタ部130の各構成要素を説明する。
【0052】
加熱部120は、メインのハロゲンランプ121およびサブのハロゲンランプ122と、スイッチ素子123および124を備え、電源生成回路125から電力を受けて発熱することにより、定着装置17の加熱ローラ24を加熱する部分である。
【0053】
ハロゲンランプ121のワット数(消費電力)は、ハロゲンランプ122のワット数(消費電力)よりも大きいものとする。
【0054】
スイッチ素子123および124は、それぞれメインのハロゲンランプ121およびサブのハロゲンランプ122と電源生成回路125とをつなぐ接点(スイッチを開閉させる部分である。
【0055】
電源生成回路125は、所定の電圧および周波数の交流電力をメインのハロゲンランプ121およびサブのハロゲンランプ122に供給する回路である。
【0056】
電圧センス回路131は、外部電源の電圧を計測する回路である。
【0057】
電圧(電力)演算回路132は、電圧センス回路131が計測した外部電源の電圧に基づき、電圧(電力)を算出する回路である。
【0058】
制御部100は、電圧(電力)演算回路132によって算出された電圧(電力)に基づき、スイッチ素子123および124の出力をON/OFF制御することにより、それぞれメインのハロゲンランプ121およびサブのハロゲンランプ122への電力の供給を制御し、加熱ローラ24の加熱を適切に制御する。
【0059】
実施形態1において、この発明の「加熱部」は、少なくともメインのハロゲンランプ121およびサブのハロゲンランプ122によって実現される。また、この発明の「加圧部」は、加圧ローラ25によって実現される。また、この発明の「電圧検知部」は、電圧モニタ部130によって実現される。また、この発明の「第1ヒーター」および「第2ヒーター」は、それぞれハロゲンランプ121およびハロゲンランプ122によって実現される。
【0060】
(従来のデジタル複合機1のヒーター加熱の問題点)
次に、図5に基づき、従来のデジタル複合機1のヒーター加熱の問題点について説明する。
【0061】
図5は、従来のデジタル複合機1のヒーター加熱の問題点を示す説明図である。
【0062】
図5において、横軸は時間を示し、縦軸はメインヒーターおよびサブヒーター駆動時の電圧の変化を示す。
【0063】
図5の例では、時間T1でメインヒーターをONにし、時間T1から200ms後の時間T2にさらにサブヒーターをONにした場合を想定する。
【0064】
図5(A)は、電源環境がよい場合(例えば、100V、15Aの商用電源電圧を使用した場合)の電圧変化の一例を示す。
【0065】
図5(A)に示すように、時間T1でメインヒーターをONにすると、突入電流により電圧が一時的に低下するが、再び元の100Vrmsに近い電圧まで回復する。
【0066】
次に、時間T1から200ms後の時間T2でサブヒーターをONにすると、電圧は一時的に低下するが、90Vrmsの電圧まで回復するため、デジタル複合機1の動作に大きな支障は生じない。
【0067】
一方、図5(B)は、電源環境が悪い場合(例えば、100V、15A未満の商用電源電圧を使用した場合)の電圧変化の一例を示す。
【0068】
図5(B)に示すように、時間T1でメインヒーターをONにすると、突入電流により電圧が大きく低下し、回復しても100Vrmsよりもずっと小さな電圧にとどまる。
【0069】
次に、時間T1から200ms後の時間T2でサブヒーターをONにすると、電圧はさらに低下するが、このときデジタル複合機1の動作を維持するために最低限必要な電圧を下回る。
その結果、起動に必要な電力を得ることができず、デジタル複合機1の動作に支障が生じてしまう。
【0070】
また、電源環境が悪い場合に合わせて、加熱シーケンスを行うことも考えられるが、その場合、電源環境がよい場合でのヒーターの起動時間が長くなってしまう。
その結果、デジタル複合機1が使用可能な温度に到達するまで時間がかかり、使い勝手の悪いものとなってしまう。
【0071】
さらに、実際の電源環境では、地域に供給される電力量だけではなく、建物などの配線によってもさまざまな障害が発生する可能性があるため、個々の電源環境に合わせて定着ヒーターの加熱シーケンスを事前に設定する事は困難である。
【0072】
(この発明の実施形態1のデジタル複合機1のヒーター加熱手順の流れ)
次に、図6に基づき、この発明の実施形態1のデジタル複合機1のヒーター加熱手順の流れについて説明する。
【0073】
図6は、この発明の実施形態1のデジタル複合機1のヒーター加熱手順の流れを示すフローチャートである。
【0074】
図6のステップS1において、ユーザーがデジタル複合機1の主電源をONにして起動すると(ステップS1の判定がYesの場合)、ステップS2において、制御部100は、ヒーター以外の各負荷の初期動作を予め定められた順に行う(ステップS2)。
【0075】
このとき、制御部100は、商用電源の1次側電圧信号を電圧モニタ部130の電圧センス回路131に取得させ、当該1次側電圧信号に基づく計算処理を電圧(電力)演算回路132に行わせ、半周期ごとの電圧実効値を求めさせる。
【0076】
制御部100は、検出した電圧実効値を第1電圧としてメモリ104に記憶させる。
【0077】
次に、制御部100は、ウォームアップモードに入るべく、画像形成部102に定着装置17の動作を開始させる。
【0078】
ステップS3において、制御部100は、メインヒーターであるハロゲンランプ121のスイッチ素子123をONにして、ハロゲンランプ121を点灯させる(ステップS3)。
【0079】
ハロゲンランプ121が点灯すると、制御部100は、ステップS2の場合と同様にして、半周期ごとの電圧実効値を検出し、第2電圧としてメモリ104に記憶させる。
【0080】
次に、ステップS4において、制御部100は、ステップS2において初期動作の実施時に検出した第1電圧と、ステップS3においてハロゲンランプ121のON時に検出した第2電圧とに基づき、ハロゲンランプ121のON時の突入電流による電圧の変化量を計算する(ステップS4)。
【0081】
次に、ステップS5において、制御部100は、メインヒーターであるハロゲンランプ121およびサブヒーターであるハロゲンランプ122のワット数に基づき、ハロゲンランプ122の駆動時の電圧低下量を予測する(ステップS5)。
【0082】
次に、ステップS6において、制御部100は、ステップS2の場合と同様にして、ハロゲンランプ121のON時の電圧実効値(第2電圧)を半周期ごとに検出する(ステップS6)。
【0083】
次に、ステップS7において、制御部100は、ステップS6で検出した第2電圧と、ステップS5で予測したハロゲンランプ122駆動時の電圧低下量とに基づき、サブヒーターであるハロゲンランプ122の駆動時の突入電流によって低下する電圧(第3電圧)を計算する(ステップS7)。
【0084】
次に、ステップS8において、制御部100は、第3電圧がデジタル複合機1の動作を維持するために必要な予め定められた規定電圧以上であるか否かを判定する(ステップS8)。
【0085】
第3電圧が規定電圧未満である場合(ステップS8の判定がNoの場合)、制御部100は、処理をステップS6に戻し、第3電圧が規定電圧以上になるまで、ステップS6~S8の処理を繰り返す。
【0086】
一方、第3電圧が規定電圧以上になった場合(ステップS8の判定がYesの場合)、ステップS9において、制御部100は、サブヒーターであるハロゲンランプ122が点灯可能であると判断し、スイッチ素子124をONにして、ハロゲンランプ122を点灯させる(ステップS9)。
【0087】
その後、画像形成部102は、ウォームアップモードに入り、予め定められた定着装置17のターゲット温度を達成するまでにメイン・サブのハロゲンランプ121・122を点灯させる。
【0088】
このようにして、従来よりも適切なタイミングでサブヒーターの加熱タイミングを決定することで、電源事情に合わせてより短時間での使用を可能にするデジタル複合機1を実現できる。
【0089】
〔実施形態2〕
次に、図7および図8に基づき、この発明の実施形態2のデジタル複合機1のヒーター加熱手順の流れについて説明する。
【0090】
実施形態1においては、メインヒーターおよびサブヒーターの2つのヒーターによる加熱手順を説明した。
実施形態2においては、メインヒーター、第1サブヒーターおよび第2サブヒーターの3つのヒーターによる加熱手順を説明する。
【0091】
実施形態2において、デジタル複合機1の構成は、画像形成部102がメインヒーターの他に、第1サブヒーターおよび第2サブヒーターの2つのサブヒーターを有する以外は、実施形態1の構成と同じである。
【0092】
図7および図8は、この発明の実施形態2のデジタル複合機1のヒーター加熱手順の流れを示すフローチャートである。
【0093】
なお、図7のステップS11~S18の処理は、図6(実施形態1)のステップS1~S8の処理において、サブヒーターを第1サブヒーターに置き換えた場合にそれぞれ対応するため、説明を省略する。
【0094】
ここでは、実施形態1にない図7のステップS19および図8のステップS20~S25の処理について説明する。
【0095】
以下の説明において、第1サブヒーターがハロゲンランプ122Aおよびスイッチ素子124Aから構成され、第2サブヒーターがハロゲンランプ122Bおよびスイッチ素子124Bから構成されるものとして説明する。
【0096】
ステップS18において、第3電圧が規定電圧以上になった場合(ステップS18の判定がYesの場合)、制御部100は、第1サブヒーターであるハロゲンランプ122Aが点灯可能であると判断し、スイッチ素子124AをONにして、ハロゲンランプ122Aを点灯させる。
【0097】
ハロゲンランプ122Aが点灯すると、制御部100は、半周期ごとの電圧実効値を検出し、第3電圧としてメモリ104に記憶させる。
【0098】
次に、図8のステップS20において、制御部100は、ステップS16において検出した第2電圧と、ステップS19において検出した第3電圧とに基づき、ハロゲンランプ122AのON時の突入電流による電圧の変化量を計算する(ステップS20)。
【0099】
次に、ステップS21において、制御部100は、メインヒーターであるハロゲンランプ121、第1サブヒーターであるハロゲンランプ122Aおよび第2サブヒーターであるハロゲンランプ122Bのワット数に基づき、ハロゲンランプ122Bの駆動時の電圧低下量を予測する(ステップS21)。
【0100】
次に、ステップS22において、制御部100は、ハロゲンランプ121およびハロゲンランプ122AのON時の電圧実効値(第3電圧)を半周期ごとに検出する(ステップS22)。
【0101】
次に、ステップS23において、制御部100は、ステップS22で検出した第3電圧と、ステップS21で予測した電圧低下量とに基づき、サブヒーターであるハロゲンランプ122Bの駆動時の突入電流によって低下する電圧(第4電圧)を計算する(ステップS23)。
【0102】
次に、ステップS24において、制御部100は、第4電圧がデジタル複合機1の動作を維持するために必要な予め定められた規定電圧以上であるか否かを判定する(ステップS24)。
【0103】
第4電圧が規定電圧未満である場合(ステップS24の判定がNoの場合)、制御部100は、処理をステップS22に戻し、第4電圧が規定電圧以上になるまで、ステップS22~S24の処理を繰り返す。
【0104】
一方、第4電圧が規定電圧以上になった場合(ステップS24の判定がYesの場合)、制御部100は、第2サブヒーターであるハロゲンランプ122Bが点灯可能であると判断し、スイッチ素子124BをONにして、ハロゲンランプ122Bを点灯させる。
【0105】
その後、画像形成部102は、ウォームアップモードに入り、予め定められた定着装置17のターゲット温度を達成するまでにメイン・第1および第2サブのハロゲンランプ121・122Aおよび122Bを点灯させる。
【0106】
また、3つのサブヒーターを有する場合も、第2サブヒーターについてのステップS21~S24と同様の処理を第3のサブヒーターに行うことによって、適切なタイミングで第3のサブヒーターの加熱タイミングを決定することができる。
4つ以上のサブヒーターを有する場合も同様である。
【0107】
このようにして、2つ以上のサブヒーターを有する場合も、従来よりも適切なタイミングでサブヒーターの加熱タイミングを決定することで、電源事情に合わせてより短時間での使用を可能にするデジタル複合機1を実現できる。
【0108】
〔実施形態3〕
次に、図9に基づき、この発明の実施形態3のデジタル複合機1のヒーター加熱手順の流れについて説明する。
【0109】
実施形態3のデジタル複合機1の構成は、実施形態1(図2図4)と同様であるため、説明を省略する。
【0110】
図9は、この発明の実施形態3のデジタル複合機1のヒーター加熱手順の流れを示すフローチャートである。
【0111】
また、図9のステップS31~S34およびS39の処理は、図6(実施形態1)のステップS1~S4およびS9の処理にそれぞれ対応するため、説明を省略する。
【0112】
ここでは、実施形態1にない図9のステップS35~S38の処理について説明する。
【0113】
図9のステップS34において、メインヒーターであるハロゲンランプ121のON時の突入電流による電圧の変化量を計算した後(ステップS34)、ステップS35において、制御部100は、各ヒーターのワット数に基づき、サブヒーターであるハロゲンランプ122の駆動時の電圧を予測する(ステップS35)。
【0114】
次に、ステップS36において、制御部100は、ハロゲンランプ121のON時の電圧実効値(第2電圧)を半周期ごとに検出する(ステップS36)。
【0115】
次に、ステップS37において、制御部100は、メイン・サブヒーター駆動時の安全電圧からステップS35で予測した予測電圧を引いた電圧差を計算する(ステップS37)。
【0116】
次に、ステップS38において、制御部100は、電圧差がデジタル複合機1の動作を維持するために必要な予め定められた規定電圧以上であるか否かを判定する(ステップS38)。
【0117】
電圧差が規定電圧未満である場合(ステップS38の判定がNoの場合)、制御部100は、処理をステップS36に戻し、電圧差が規定電圧以上になるまで、ステップS36~S38の処理を繰り返す。
【0118】
一方、電圧差が規定電圧以上になった場合(ステップS38の判定がYesの場合)、ステップS39において、制御部100は、サブヒーターであるハロゲンランプ122が点灯可能であると判断し、スイッチ素子124をONにして、ハロゲンランプ122を点灯させる(ステップS39)。
【0119】
このようにして、電圧差を規定電圧と比較することにより、処理が容易となるため、従来よりも適切なタイミングでサブヒーターの加熱タイミングを決定することで、電源事情に合わせてより短時間での使用を可能にするデジタル複合機1を実現できる。
【0120】
〔実施形態4〕
次に、図10に基づき、この発明の実施形態4のデジタル複合機1のヒーター加熱手順の流れについて説明する。
【0121】
実施形態4のデジタル複合機1の構成は、実施形態1(図2図4)と同様であるため、説明を省略する。
【0122】
図10は、この発明の実施形態4のデジタル複合機1のヒーター加熱手順の流れを示すフローチャートである。
【0123】
図10のステップS41において、ユーザーがデジタル複合機1の主電源をONにして起動すると(ステップS41の判定がYesの場合)、ステップS42において、制御部100は、メインヒーターであるハロゲンランプ121のスイッチ素子123をONにして、ハロゲンランプ121を点灯させる(ステップS42)。
【0124】
ハロゲンランプ121が点灯すると、制御部100は、半周期ごとの電圧実効値を検出し、第1電圧としてメモリ104に記憶させる。
【0125】
次に、ステップS43において、制御部100は、サブヒーターであるハロゲンランプ122のスイッチ素子124をONにして、ハロゲンランプ122を点灯させ、ハロゲンランプ122のON時の突入電流による電圧の変化量を計算し、メモリ104に記憶させる(ステップS43)。
【0126】
次に、ステップS44において、制御部100は、ヒーター以外の電力をメモリ104から取得し、装置全体の駆動時の第2電圧を計算する(ステップS44)。
【0127】
次に、ステップS45において、制御部100は、第2電圧がデジタル複合機1の動作を維持するために必要な予め定められた規定電圧以上であるか否かを判定する(ステップS45)。
【0128】
第2電圧が規定電圧未満である場合(ステップS45の判定がNoの場合)、ステップS46において、制御部100は、スイッチ素子124をOFFにして、ハロゲンランプ122を消灯させる(ステップS46)。
【0129】
その後、ステップS47において、ステップS42の場合と同様にして、ハロゲンランプ121のON時の電圧実効値(第1電圧)を半周期ごとに検出する(ステップS47)。
【0130】
次に、ステップS48において、制御部100は、ステップS43において計算したハロゲンランプ122のON時の突入電流による電圧の変化量を第1電圧に加算した第3電圧を計算する(ステップS48)。
【0131】
次に、ステップS49において、制御部100は、第3電圧がデジタル複合機1の動作を維持するために必要な予め定められた規定電圧以上であるか否かを判定する(ステップS49)。
【0132】
第3電圧が規定電圧未満である場合(ステップS49の判定がNoの場合)、制御部100は、処理をステップS47に戻し、第3電圧が規定電圧以上になるまで、ステップS47~S49の処理を繰り返す。
【0133】
一方、第3電圧が規定電圧以上になった場合(ステップS49の判定がYesの場合)、ステップS50において、制御部100は、サブヒーターであるハロゲンランプ122が点灯可能であると判断し、スイッチ素子124をONにして、ハロゲンランプ122を点灯させる(ステップS50)。
【0134】
その後、ステップS51において、ヒーター以外の各負荷の初期動作を予め定められた順に行う(ステップS51)。
【0135】
一方、ステップS45において、第2電圧が規定電圧以上になった場合(ステップS45の判定がYesの場合)、ステップS51において、制御部100は、ヒーター以外の各負荷の初期動作を予め定められた順に行う(ステップS51)。
【0136】
このようにして、メイン・サブヒーターを先に加熱した後、初期動作を実施する場合においても、従来よりも適切なタイミングでサブヒーターの加熱タイミングを決定することで、電源事情に合わせてより短時間での使用を可能にするデジタル複合機1を実現できる。
【0137】
〔実施形態5〕
次に、図11に基づき、この発明の実施形態5のデジタル複合機1のヒーター加熱手順の流れについて説明する。
【0138】
実施形態5のデジタル複合機1の構成は、実施形態1(図2図4)と同様であるため、説明を省略する。
【0139】
図11は、この発明の実施形態5のデジタル複合機1のヒーター加熱手順の流れを示すフローチャートである。
【0140】
なお、図11のステップS61~S65,S67およびS69の処理は、図6(実施形態1)のステップS1~S6およびS9の処理にそれぞれ対応するため、説明を省略する。
【0141】
ここでは、実施形態1にない図11のステップS66およびS68の処理について説明する。
【0142】
実施形態1において、制御部100は、メイン・サブ両ヒーター駆動時の電圧をその都度計算して、規定電圧以上であるか否かの判断を行っていた。
【0143】
一方、実施形態5において、制御部100は、規定電圧にサブヒーター駆動時の電圧を加算した想定電圧を計算する。
【0144】
図11のステップS65において、ハロゲンランプ122の駆動時の電圧低下量を予測した後(ステップS65)、ステップS66において、制御部100は、デジタル複合機1の動作を維持するために必要な予め定められた規定電圧に対し、予測したサブヒーター駆動時の電圧を加算した想定電圧を計算する(ステップS66)。
【0145】
次に、ステップS67において、メインヒーター駆動による現在の第2電圧を検出した後(ステップS67)、ステップS68において、制御部100は、第2電圧が想定電圧以上であるか否かを判定する(ステップS68)。
【0146】
第2電圧が想定電圧未満である場合(ステップS68の判定がNoの場合)、制御部100は、処理をステップS67に戻し、第2電圧が想定電圧以上になるまで、ステップS67~S68の処理を繰り返す。
【0147】
一方、第2電圧が想定電圧以上になった場合(ステップS68の判定がYesの場合)、ステップS69において、制御部100は、サブヒーターであるハロゲンランプ122が点灯可能であると判断し、スイッチ素子124をONにして、ハロゲンランプ122を点灯させる(ステップS69)。
【0148】
その後、画像形成部102は、ウォームアップモードに入り、予め定められた定着装置17のターゲット温度を達成するまでにメイン・サブのハロゲンランプ121・122を点灯させる。
【0149】
このようにして、メイン・サブ両ヒーター駆動時の電圧をその都度計算せずとも、従来よりも適切なタイミングでサブヒーターの加熱タイミングを決定することで、電源事情に合わせてより短時間での使用を可能にするデジタル複合機1を実現できる。
【0150】
この発明の好ましい態様には、上述した複数の態様のうちの何れかを組み合わせたものも含まれる。
前述した実施の形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。この発明には、請求の範囲と均等の意味および前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。
【符号の説明】
【0151】
1:デジタル複合機、 11:光走査装置、 12:現像装置、 13:感光体ドラム、 14:ドラムクリーニング装置、 15:帯電器、 17:定着装置、 18:給送トレイ、 19:手差しトレイ、 21:中間転写ベルト、 22:ベルトクリーニング装置、 23:2次転写装置、 23a:転写ローラ、 24:加熱ローラ、 25:加圧ローラ、 33:ピックアップローラ、 34:レジストローラ、 35:搬送ローラ、 36a,36b:排出ローラ、 39a,39b:排出トレイ、 55:通信部、 100:制御部、 101:タイマ、 102:画像形成部、 103:操作部、 104:メモリ、 104a:RAM、 104b:ROM、 111:読取部、 112:搬送部、 120:加熱部、 121,122,122A,122B:ハロゲンランプ、 123,124,124A,124B:スイッチ素子、 125:電源生成回路、 130:電圧モニタ部、 131:電圧センス回路、 132:電圧(電力)演算回路、 C:矢印方向、 Pa,Pb,Pc,Pd:画像ステーション、 R1:シート搬送経路、 T1,T2:時間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11