(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】負極活物質及びそれを含む二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 4/587 20100101AFI20240618BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
H01M4/587
H01M4/36 C
H01M4/36 D
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021063451
(22)【出願日】2021-04-02
(62)【分割の表示】P 2018517757の分割
【原出願日】2017-02-06
【審査請求日】2021-04-06
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-12
(31)【優先権主張番号】10-2016-0015158
(32)【優先日】2016-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヒュン-ウク
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジョン-フン
(72)【発明者】
【氏名】ホン、ジャン-ヒュク
【合議体】
【審判長】篠原 功一
【審判官】井上 信一
【審判官】渡辺 努
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/152113(WO,A1)
【文献】特開2010-73618(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/587
H01M 4/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人造黒鉛粒子及び天然黒鉛粒子を含み、
前記人造黒鉛粒子の平均粒径は、18~30μmであり、
前記天然黒鉛粒子の平均粒径は、5~13μmであり、
前記天然黒鉛粒子と前記人造黒鉛粒子との平均粒径の比率は1:1.5~1:5であり、
前記人造黒鉛粒子及び天然黒鉛粒子はそれぞれ非晶質炭素を含むコーティング層をさらに備え、
前記コーティング層は前記人造黒鉛粒子及び天然黒鉛粒子の全体100重量部に対して1~10重量部であり、
前記人造黒鉛粒子と天然黒鉛粒子との重量比は2:8~3:7である負極活物質。
【請求項2】
集電体、及び前記集電体の少なくとも一面に形成され、請求項1に記載の負極活物質を含む負極活物質層を備えた負極。
【請求項3】
前記負極活物質層はバインダー、導電材及び分散材のうち少なくともいずれか1つをさらに含む請求項2に記載の負極。
【請求項4】
正極、請求項2に記載の負極、及び前記正極と負極との間に介在されたセパレータを含む二次電池。
【請求項5】
前記二次電池はリチウム二次電池である請求項4に記載の二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負極活物質及びそれを含む二次電池に関し、より詳しくは、寿命特性が改善された負極活物質及びそれを含む二次電池に関する。
【0002】
本出願は、2016年2月5日出願の韓国特許出願第10-2016-0015158号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に援用される。
【背景技術】
【0003】
電池の寿命特性に影響を及ぼす因子は、素材の固有特性因子と設計因子とに分けられるが、固有特性因子は電池を構成している核心材料(正極、負極、分離膜及び電解質)の固有特性(intrinsic properties)であり、設計因子はセルの設計と関係するものであって、特に正極と負極との設計バランスが含まれる。
【0004】
電池を構成している核心素材によって寿命が悪くなる場合は回復が不可能であるが、電池の温度が上昇するほど材料の退化が速まるため、寿命特性がさらに速く低下する。このような場合には素材の根本的な特性を改善しなければならない。一方、設計因子による寿命の悪化は、正極と負極との間の熱力学的または電気化学的なバランスが取れなかったために起きる場合が殆どである。実際、優れた性能を有する正極と優れた性能を有する負極とを選択して電池を設計しても、必ずしも良い寿命を見せるわけではない。また、性能が悪い正極と負極を使用したとしても、寿命特性が悪くなるとは限らない。すなわち、電池
の設計は様々な因子を考慮しなければならず、殆どが経験によって決定される場合が多い。これが電池設計が難しく思われる理由である。
【0005】
特に、負極の場合は、充電及び放電の過程で急激な収縮膨張を伴うため、常に動力学的な条件下に置かれるようになる。リチウム二次電池の設計において黒鉛を適用する場合は、充電程度に伴う黒鉛の構造変化による体積膨張の程度を考慮しなければならず、そうでない場合には充電過程で負極の膨張による電極の反り現象などが生じて電池の寿命と性能を大きく低下させることになる。
【0006】
しかし、現在負極活物質として使用されている天然黒鉛は、表面被膜形成剤の消耗量が多く、高い容量を有するほど単位面積当り出入りするリチウムイオンの量が増加するため相対的に律速特性が低下し、充・放電中の体積膨張が大きいため寿命特性が良くないという問題がある。
【0007】
また、人造黒鉛は、粉体黒鉛化を通じて黒鉛化しながら内部に気孔(pore)がないため、電極製造時に圧延特性が良くなく、表面積が低くてリチウムイオンの電荷移動抵抗(charge transfer resistance)が増加し、出力特性が良くないという問題がある。
【0008】
そこで、天然黒鉛と人造黒鉛とを混合して電極を製造する技術が開発されている。しかし、物質の動力学的特性が相異なることから、負極電池内における動力学的特性が相応せずに相乗効果が得られず、依然として技術開発が求められている実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記問題を解決するため、動力学的バランスが取れて、寿命特性が改善された負極活物質及びそれを含む二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様によれば、下記具現例の負極活物質が提供される。
【0011】
具現例1は、大粒径人造黒鉛及び小粒径天然黒鉛を含み、前記小粒径と大粒径との平均粒径の比率は1:1.5~1:5であり、前記大粒径人造黒鉛及び小粒径天然黒鉛はそれぞれ非晶質炭素を含むコーティング層をさらに備え、前記コーティング層は大粒径人造黒鉛及び小粒径天然黒鉛の全体100重量部に対して1~10重量部であり、前記大粒径人造黒鉛と小粒径天然黒鉛との含量比は1:9~4:6である負極活物質に関する。
【0012】
具現例2は、具現例1において、前記大粒径人造黒鉛の平均粒径が18~30μmである負極活物質に関する。
【0013】
具現例3は、具現例1または具現例2において、前記小粒径天然黒鉛の平均粒径が5~13μmである負極活物質に関する。
【0014】
本発明の他の態様によれば、下記具現例の負極が提供される。
【0015】
具現例4は、集電体、及び前記集電体の少なくとも一面に形成され、具現例1~3のうちいずれか1つの負極活物質を含む負極活物質層を備えた負極に関する。
【0016】
具現例5は、具現例4において、前記負極活物質層がバインダー、導電材及び分散材の
うち少なくともいずれか1つをさらに含む負極に関する。
【0017】
具現例6は、具現例4または具現例5において、前記負極活物質層が1~2のパッキング密度を有する負極に関する。
【0018】
本発明のさらに他の態様によれば、下記具現例の二次電池が提供される。
【0019】
具現例7は、正極、具現例4~6のうちいずれか1つの具現例による負極、及び前記正極と負極との間に介在されたセパレータを含む二次電池に関する。
【0020】
具現例8は、具現例7において、前記二次電池がリチウム二次電池である二次電池に関する。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、動力学的バランスが取れた大粒径人造黒鉛と小粒径天然黒鉛とを最適化された比率で混合使用することで、電荷移動抵抗及び液体拡散抵抗(liquid diffusion resistance)が減少して急速充電性能が改善される利点があり、抵抗が低くなることで寿命性能が改善される利点がある。
【0022】
また、圧延性能が優れた小粒径天然黒鉛を大粒径人造黒鉛と混合使用することで、圧延性能が改善されて優れた容量を有する二次電池を具現できる利点がある。
【0023】
さらに、大粒径人造黒鉛及び小粒径天然黒鉛の表面に非晶質炭素をコーティングして使用することで、電解質による剥離(exfoliation)の発生を抑制することができ、低温出力が向上する利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【
図1】実施例2-1、比較例2-1~2-3の電荷移動抵抗を比較測定したグラフである。
【
図2】実施例2-2~2-4、比較例2-4、2-5の表面コーティング含量による抵抗を比較測定したグラフである。
【
図3】実施例2-1、2-5、2-6、比較例2-6、2-7の大粒径人造黒鉛と小粒径天然黒鉛との比率によるサイクル特性を比較測定したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0026】
本発明の負極活物質は、大粒径人造黒鉛及び小粒径天然黒鉛を含む。
【0027】
黒鉛結晶は、sd2-混成軌道の炭素原子が六角平面で相互結合して炭素六角網面(graphene layer)を形成し、該炭素六角網面の上下に位置するπ電子がこれ
ら六角網面を結合させることで得られる。π電子は炭素六角網面の間を比較的自由に移動できるため、黒鉛の電子伝導性が良好になる。このような黒鉛層間を結合しているπ結合は弱いファンデルワールス結合を成すが、炭素六角網面内の結合は非常に強い共有結合であって異方的性質(anisotropy)を示し、リチウムイオンはこれら黒鉛層の間に挿入及び脱離するようになる。
【0028】
このような黒鉛には、自然で生成されて採掘される天然黒鉛(natural grahpite)と、石炭系及び石油系ピッチなどを2,500℃以上で炭化させて製造される人造黒鉛(artificial synthetic、pyrolytic graphite)とがある。
【0029】
本発明の一実施例に適用可能な人造黒鉛は、当該技術分野で製造される人造黒鉛であれば制限なく使用でき、非制限的な実施例としてMCMB(mesophase carbon microbeads)、モザイクコークス (mosaic cokes)を2800~3000℃で焼成した人造黒鉛を使用することができる。
【0030】
また、本発明の負極活物質に含まれる天然黒鉛は、当該技術分野で使用される天然黒鉛であれば制限なく使用でき、非可逆反応を減らして、電極の工程性を向上させるため、球形化過程などの後処理加工を通じて滑らかな形態の表面形状に変えて使用することができる。
【0031】
このとき、本発明の負極活物質は、大粒径の人造黒鉛と小粒径の天然黒鉛とを混合して含むことで、動力学的バランスを取るようになる。
【0032】
本明細書において動力学的バランスとは、リチウムイオンの充放電時に、界面と粒子内とで発生する抵抗のバランスを意味し、粒子が小さい天然黒鉛は電荷移動抵抗が減少し、粒子が大きいモザイク状の人造黒鉛は、結晶面のエッジ方向性が等方性(isotropic)であるため電荷移動抵抗が減少して、バランスを取ることができる。
【0033】
また、粒子内における固体拡散(solid diffusion)抵抗も、粒子が小さい天然黒鉛は結晶の長さが短くて抵抗が減少し、人造黒鉛は等方性成長をした結晶が異方性(anisotropic)成長をした結晶に比べて長さが短いため抵抗が減少して、動力学的バランスを取ることができる。
【0034】
従来、人造黒鉛は球形化工程で製造することができなかったため、模様が丸くなく、大粒径人造黒鉛のみで電極を製造するには多量のバインダー(カルボキシメチルセルロース(CMC)、スチレンブタジエンラバー(SBR)など)を必要とし、これが電池内で抵抗として作用して電池の性能を劣化させる問題を起こす恐れがあった。逆に、小粒径の球形化天然黒鉛のみを使用する場合は、粒子が小さくて比表面積が大きいため、表面副反応の増加によって長寿命特性で電池性能が劣化する恐れがあった。したがって、大粒径の人造黒鉛と小粒径の天然黒鉛とを混合して使用すれば、それぞれを単独で使用する場合に生じる上記の問題を解決することができる。
【0035】
このとき、小粒径と大粒径との平均粒径の比率は1:1.5~1:5であり、望ましくは1:2~1:4であり、より望ましくは1:2~1:3であり得る。このような平均粒径の比率範囲を満足できない場合、動力学的バランスが取れないため、高電流による充電でリチウム金属が負極の表面に析出しながら、セルの性能が急激に低下する問題がある。
【0036】
より具体的に、本発明に適用可能な大粒径人造黒鉛の平均粒径は、例えば18~30μmであり、望ましくは20~25μmであり、より望ましくは23μmであり得、30μmを超過する場合は、電荷移動抵抗が大きく増加してセルの出力特性が低下する問題があり、18μm未満の場合は、低い初期効率と容量減少によって電池のエネルギー密度が減少する問題がある。
【0037】
さらに、本発明に適用可能な小粒径天然黒鉛の平均粒径は、例えば5~13μmであり、望ましくは8~11μmであり得、上述した大粒径人造黒鉛と同様に、13μmを超過する場合は、電荷移動抵抗が大きく増加してセルの出力特性が低下する問題があり、5μm未満の場合は、低い初期効率と容量減少によって電池のエネルギー密度が減少する問題がある。
【0038】
また、前記大粒径人造黒鉛と小粒径天然黒鉛とは1:9~4:6の重量比で混合して使用し、望ましくは2:8~3:7の重量比で使用することができる。上述した範囲を超える場合、動力学的バランスが取れないため、高電流による充電でリチウム金属が負極の表面に析出しながら、二次電池の性能が急激に低下する問題がある。
【0039】
本発明の負極活物質は、大粒径人造黒鉛及び小粒径天然黒鉛がそれぞれ非晶質炭素を含むコーティング層をさらに備える。
【0040】
従来、電池の低温出力を向上させるため、電解液にプロピレンカーボネート(PC)を添加しているが、プロピレンカーボネート(PC)はリチウムイオンがリチウムイオンクラスター(cluster)を形成し、移動した後、黒鉛に挿入されるとき、脱溶媒化(de-solvation)するエネルギー障壁が高いため、クラスター形態で黒鉛に挿入されながら剥離が生ずる問題があった。
【0041】
しかし、本発明は、人造黒鉛及び天然黒鉛の表面に非晶質炭素を含むコーティング層を備えるため、リチウムイオンを吸着することができ、上述した従来の問題を解決できるだけでなく、固体状態拡散(solid-state diffusion)性能が改善されて急速充電性能が向上する。
【0042】
このとき、前記非晶質炭素を含むコーティング層は、大粒径人造黒鉛及び小粒径天然黒鉛の全体100重量部に対して1~10重量部であり、望ましくは2~8重量部であり、より望ましくは3~5重量部であり得る。前記コーティング層の含量が1重量部未満の場合は電解液によって剥離が生じ、天然黒鉛では比表面積が大きくなって、エッジ面の官能性基がそのまま電解液と反応して初期効率が減少する。逆に、10重量部を超過すれば、粒子表面のコーティング層が低い初期効率をもたらし、単位重量当り放電容量が減少して電池の容量が低下し、非晶質炭素を含むコーティング層が硬いことから圧延性も低下する問題がある。
【0043】
本発明の一態様によれば、集電体、及び前記集電体の一面に形成された上述した負極活物質を含む負極活物質層を備えた負極が提供される。
【0044】
本発明による負極活物質は、当該技術分野で通常使用される製造方法によって負極に製造でき、非制限的な例として、上述した本発明の負極活物質にバインダー、溶媒、必要に応じて導電材と分散材を混合し撹拌してスラリーを製造した後、それを集電体の一面または両面に塗布し圧縮して負極を製造することができる。
【0045】
前記集電体は、当該技術分野で適用されるものであれば制限なく使用でき、非制限的な例として、ステンレススチール;アルミニウム;ニッケル;チタン;焼成炭素;銅;カーボン、ニッケル、チタンまたは銀で表面処理されたステンレススチール;アルミニウム-カドミウム合金などを使用することができる。
【0046】
前記バインダーは、当該技術分野で電極活物質と導電材などとの結合、及び電極集電体に対する結合を補助する成分であれば制限なく使用でき、望ましくはポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(PVdF-co-HFP)、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンテルポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、ポリアクリロニトリル及びポリメチルメタクリレートからなる群より選択される少なくともいずれか1つであり、通常、電極活物質を含む混合物の全体重量を基準に1~20重量%で添加できる。
【0047】
前記溶媒の非制限的な例としては、アセトン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、シクロヘキサン、水またはこれらの混合物などがある。このような溶媒は、集電体表面に所望する程度のスラリー塗布層が形成されるように、適正な水準の粘度を提供する。
【0048】
前記導電材は、当該技術分野で化学的変化を誘発せず、導電性を有するものであれば特に制限されなく、非制限的な例としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック系化合物;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などが使用でき、通常、混合電極活物質を含む混合物の全体重量を基準に1~20重量%で添加できる。
【0049】
また、前記分散材は、N-メチル-2-ピロリドン、ジアセトンアルコール、ジメチルホルムアルデヒド、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、イソプロピルセロソルブ、アセチルアセトン、メチルイソブチルケトン、n-ブチルアセテート、セロソルブアセテート、トルエン、キシレンなどを単独または混合して使用することができる。
【0050】
前記スラリーの塗布は、スロットダイコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティングなど多様な方法を用いて連続的にまたは非連続的に行うことができ、スラリーを集電体に塗布した後、最終的に溶媒を乾燥させることで、負極活物質層が集電体に塗布された負極を製造することができる。
【0051】
このとき、負極活物質層は1~2のパッキング密度を有し、望ましくは1.55~1.65、より望ましくは1.575~1.625、さらに望ましくは1.59~1.62の優れたパッキング密度を有する。
【0052】
これは、粉体黒鉛化を通じて黒鉛化しながら内部に気孔が無くなって電極製造時の圧延特性が良くない従来の人造黒鉛を、大粒径を使用しながら、同時に小粒径天然黒鉛を混合して使用した結果であり、優れたパッキング密度を通じて高い容量を有する電池を提供することができる。
【0053】
本発明のさらに他の態様によれば、正極、上述した負極、及び前記正極と負極との間に介在されたセパレータを含む二次電池が提供される。
【0054】
本発明に適用可能な正極は、当該技術分野で使用される正極であれば制限なく使用でき、正極集電体に正極活物質層が塗布された形態であり得る。
【0055】
このとき、前記正極集電体は、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素;アルミニウムまたはステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理されたものを使用することができる。
【0056】
また、前記正極活物質層は、正極活物質、バインダー、導電材、分散材などを含むことができる。
【0057】
前記正極活物質は、当該技術分野で使用される物質であれば制限なく使用でき、非制限的な例としてリチウム含有遷移金属酸化物を望ましく使用でき、例えばLixCoO2(0.5<x<1.3)、LixNiO2(0.5<x<1.3)、LixMnO2(0.5<x<1.3)、LixMn2O4(0.5<x<1.3)、Lix(NiaCobMnc)O2(0.5<x<1.3、0<a<1、0<b<1、0<c<1、a+b+c=1)、LixNi1-yCoyO2(0.5<x<1.3、0<y<1)、LixCo1-yMnyO2(0.5<x<1.3、0≦y<1)、LixNi1-yMnyO2(0.5<x<1.3、0≦y<1)、Lix(NiaCobMnc)O4(0.5<x<1.3、0<a<2、0<b<2、0<c<2、a+b+c=2)、LixMn2-zNizO4(0.5<x<1.3、0<z<2)、LixMn2-zCozO4(0.5<x<1.3、0<z<2)、LixCoPO4(0.5<x<1.3)及びLixFePO4(0.5<x<1.3)からなる群より選択されるいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物を使用でき、前記リチウム含有遷移金属酸化物はアルミニウム(Al)などの金属や金属酸化物でコーティングされても良い。また、前記リチウム含有遷移金属酸化物の外に、硫化物(sulfide)、セレン化物(selenide)及びハロゲン化物(halide)なども使用できる。
【0058】
前記正極活物質層に含まれたバインダー、導電材及び分散材は、上述した負極活物質層に使用されたバインダー、導電材及び分散材と同じものを使用でき、繰り返される説明は省略するが、負極活物質層に使用したバインダー、導電材及び分散材をすべて使用できることは勿論である。
【0059】
本発明に適用可能なセパレータは、当該技術分野で正極と負極との短絡を防止するために使用する物質であれば制限なく使用でき、非制限的な例として多孔性高分子基材のみを含むか、または、多孔性高分子基材及び前記多孔性高分子基材の一面または両面に形成され、無機物粒子とバインダー高分子を備える多孔性コーティング層をさらに含むことができる。
【0060】
このとき、多孔性高分子基材としては、多孔性高分子フィルム基材または多孔性高分子不織布基材が挙げられ、多孔性高分子フィルム基材の非制限的な例はポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィンからなる多孔性高分子フィルムであり得、このようなポリオレフィン多孔性高分子フィルム基材は、例えば80~130℃の温度でシャットダウン機能を発現することができる。
【0061】
このとき、ポリオレフィン多孔性高分子フィルムは、高密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンのようなポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリペンテンなどのポリオレフィン系高分子をそれぞれ単独でまたはこれらの2種以上を混合して形成することができる。
【0062】
また、前記多孔性高分子フィルム基材は、ポリオレフィンの外に、ポリエステルなどの多様な高分子を用いてフィルム状に成形して製造することもできる。また、前記多孔性高分子フィルム基材は2層以上のフィルム層が積層された構造で形成でき、それぞれのフィルム層は上述したポリオレフィン、ポリエステルなどの高分子を単独でまたはこれらを2種以上混合して形成することもできる。
【0063】
また、前記多孔性高分子フィルム基材及び多孔性不織布基材は、上述したポリオレフィン系の他に、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルファイド、ポリエチレンナフタレートなどをそれぞれ単独でまたはこれらを混合した高分子から形成することができる。
【0064】
また、前記多孔性基材の厚さは特に制限されないが、5~50μmが望ましく、多孔性基材に存在する気孔の大きさは電極接着層のバインダー高分子繊維より小さければ良く、望ましくは0.001~50μmであり、気孔度は0.1~99%であることが望ましい。
【0065】
前記多孔性コーティング層は無機物粒子及びバインダー高分子を含むことができ、前記無機物粒子は充填されて互いに接触した状態で前記バインダー高分子によって相互結着して、それにより無機物粒子同士の間にインタースティシャル・ボリューム(interstitial volume)が形成され、前記無機物粒子同士の間のインタースティシャル・ボリュームは空き空間になって気孔を形成することができる。
【0066】
すなわち、バインダー高分子は、無機物粒子同士が互いに結着した状態を維持できるようにこれらを互いに付着、例えばバインダー高分子が無機物粒子同士の間を連結及び固定することができる。また、一実施例として前記多孔性コーティング層の気孔は、無機物粒子同士の間のインタースティシャル・ボリュームが空き空間になって形成された気孔であり、これは無機物粒子による充填構造(closed packed or densely packed)で実質的に面接する無機物粒子同士によって限定される空間であり得る。このような多孔性コーティング層の気孔によって、電池を作動させるために必須なリチウムイオンが移動する経路を提供することができる。
【0067】
また、上述したインタースティシャル・ボリュームによる気孔構造を形成する無機物粒子の充填構造を形成するためには、多孔性コーティング層に含まれた無機物粒子とバインダー高分子との重量比は50:50~99:1の範囲であることが望ましく、70:30~95:5であることがより望ましい。50:50以上の無機物粒子の含量はセパレータの熱的安定性に寄与する。無機物粒子同士の間のインタースティシャル・ボリュームの形成は、多孔性コーティング層の気孔度及び気孔大きさの確保に寄与することができる。無機物粒子の含量が99重量部を超過すれば、相対的にバインダー高分子の含量が少ないため、多孔性コーティング層の耐剥離性が弱化する恐れがある。
【0068】
また、上述した二次電池は、リチウム二次電池であり得る。
【0069】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。しかし、本発明による実施例は多くの他の形態に変形され得、本発明の範囲が後述する実施例に限定されると解釈されてはならない。本発明の実施例は当業界で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0070】
[実施例1-1]
【0071】
人造黒鉛としてはZichen社のGT、天然黒鉛としてはBTR社のAGP8を使用して実験した。平均粒径はGT=23μm、AGP8=11μm、重量比は3:7にして混合し、これら人造黒鉛及び天然黒鉛の全体100重量部に対して2重量部の非晶質炭素をコーティングして負極活物質を製造した。
【0072】
[実施例1-2]
【0073】
非晶質炭素を5重量部にしてコーティングしたことを除き、実施例1-1と同様の方法で負極活物質を製造した。
【0074】
[実施例1-3]
【0075】
非晶質炭素を1重量部にしてコーティングしたことを除き、実施例1-1と同様の方法で負極活物質を製造した。
【0076】
[実施例1-4]
【0077】
非晶質炭素を10重量部にしてコーティングしたことを除き、実施例1-1と同様の方法で負極活物質を製造した
【0078】
[実施例1-5]
【0079】
人造黒鉛と天然黒鉛との重量比を1:9にしたことを除き、実施例1-1と同様の方法で負極活物質を製造した。
【0080】
[実施例1-6]
【0081】
人造黒鉛と天然黒鉛との重量比を4:6にしたことを除き、実施例1-1と同様の方法で負極活物質を製造した。
【0082】
[比較例1-1]
【0083】
人造黒鉛としてはZichen社のGT、天然黒鉛としてはBTR社のAGP8を使用して実験した。平均粒径はGT=23μm、AGP8=11μm、重量比は3:7にして混合負極活物質を製造した。
【0084】
[比較例1-2]
【0085】
コーティングされる非晶質炭素の含量を人造黒鉛100重量部に対して2重量部にして大粒径人造黒鉛のみに非晶質炭素をコーティングしたことを除いて、実施例1-1と同様の方法で負極活物質を製造した。
【0086】
[比較例1-3]
【0087】
コーティングされる非晶質炭素の含量を天然黒鉛100重量部に対して2重量部にして小粒径天然黒鉛のみに非晶質炭素をコーティングしたことを除いて、実施例1-1と同様の方法で負極活物質を製造した。
【0088】
[比較例1-4]
【0089】
0.5重量部の非晶質炭素をコーティングしたことを除き、実施例1-1と同様の方法で負極活物質を製造した。
【0090】
[比較例1-5]
【0091】
10重量部の非晶質炭素をコーティングしたことを除き、実施例1-1と同様の方法で負極活物質を製造した。
【0092】
[比較例1-6]
【0093】
人造黒鉛と天然黒鉛との重量比を0.5:9.5にしたことを除き、実施例1-1と同様の方法で負極活物質を製造した。
【0094】
[比較例1-7]
【0095】
人造黒鉛と天然黒鉛との重量比を5:5にしたことを除き、実施例1-1と同様の方法で負極活物質を製造した。
【0096】
[実施例2-1]
【0097】
負極の製造
【0098】
実施例1-1の負極活物質、バインダーとしてCMC、SBR、導電材としてカーボンブラックをそれぞれ96重量部、1重量部、2重量部、1重量部にして、3次蒸留水に添加して負極混合物スラリーを製造した。該負極混合物スラリーを厚さ10μmの負極集電体である銅薄膜の両面に塗布し乾燥して、ロールプレスを施して負極を製造した。
【0099】
正極の製造
【0100】
平均直径2μmのLiMn1/3Ni1/3Co1/3O2と平均直径20μmのLiMn1/3Ni1/3Co1/3O2とを1:3の重量比で混合した正極活物質92重量部、導電材としてカーボンブラック4重量部、及びバインダー高分子としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)4重量部を、溶剤であるN-メチル-2ピロリドン(NMP)に添加して正極混合物スラリーを製造した。前記正極混合物スラリーを厚さ20μmの正極集電体のアルミニウム(Al)薄膜の両面に塗布し乾燥して、ロールプレスを施して正極を製造した。
【0101】
セパレータの製造
【0102】
ポリフッ化ビニリデン(PVdF)とエポキシをアセトンに溶解させてバインダー高分子溶液を製造した。製造したバインダー高分子溶液にアルミナ(Al2O3)をポリフッ化ビニリデン/アルミナ(Al2O3)=7.15/92.5の重量比になるように添加し、3時間以上ボールミル法を用いてアルミナ(Al2O3)を破砕し分散してスラリーを製造した。このように製造されたスラリーのアルミナ(Al2O3)の粒径はボールミルに使用されるビーズのサイズ(粒度)及びボールミル時間によって制御できるが、本実験では約400mmに粉砕してスラリーを製造した。このように製造されたスラリーを厚さ12μmのポリエチレン多孔性高分子フィルム(気孔度45%)の一面にコーティングして乾燥した。
【0103】
電池の製造
【0104】
上記のように製造した負極、正極及びセパレータを、正極/セパレータ/負極/セパレータ/正極の順に積層し、高温で加圧して単位バイセルを製造した。製造した21個の単位バイセルをセパレータの一面上に配列してから折り畳んで電極組立体を製作した後、組み立てられた電池に1Mのリチウムヘキサフルオロホスフェート(LiPF6)が溶解されたエチレンカーボネート及びエチルメチルカーボネート(EC/EMC=1:2、体積比)の電解液を注入してリチウム二次電池を製造した。
【0105】
[実施例2-2]
【0106】
実施例1-2の負極活物質を使用したことを除き、実施例2-1と同様の方法で電池を製造した。
【0107】
[実施例2-3]
【0108】
実施例1-3の負極活物質を使用したことを除き、実施例2-1と同様の方法で電池を製造した。
【0109】
[実施例2-4]
【0110】
実施例1-4の負極活物質を使用したことを除き、実施例2-1と同様の方法で電池を製造した。
【0111】
[実施例2-5]
【0112】
実施例1-5の負極活物質を使用したことを除き、実施例2-1と同様の方法で電池を製造した。
【0113】
[実施例2-6]
【0114】
実施例1-6の負極活物質を使用したことを除き、実施例2-1と同様の方法で電池を製造した。
【0115】
[比較例2-1]
【0116】
比較例1-1の負極活物質を使用したことを除き、実施例2-1と同様の方法で電池を製造した。
【0117】
[比較例2-2]
【0118】
比較例1-2の負極活物質を使用したことを除き、実施例2-1と同様の方法で電池を製造した。
【0119】
[比較例2-3]
【0120】
比較例1-3の負極活物質を使用したことを除き、実施例2-1と同様の方法で電池を製造した。
【0121】
[比較例2-4]
【0122】
比較例1-4の負極活物質を使用したことを除き、実施例2-1と同様の方法で電池を
製造した。
【0123】
[比較例2-5]
【0124】
比較例1-5の負極活物質を使用したことを除き、実施例2-1と同様の方法で電池を製造した。
【0125】
[比較例2-6]
【0126】
比較例1-6の負極活物質を使用したことを除き、実施例2-1と同様の方法で電池を製造した。
【0127】
[比較例2-7]
【0128】
比較例1-7の負極活物質を使用したことを除き、実施例2-1と同様の方法で電池を製造した。
【0129】
性能評価
【0130】
【0131】
SOCを50%に設定した後、EIS(Electrochemical Impedance Spectroscopy)方法を用いて振幅(amplitude)10mV、周波数(frequency)100kHz~50mHzの条件で実施例2-1、比較例2-1~2-3の電池の電荷移動抵抗値を測定し、その結果を
図1に示した。
【0132】
大粒径人造黒鉛と小粒径天然黒鉛を両方ともコーティングした負極活物質を使用した実施例2-1の場合、EIS測定したとき、電荷移動抵抗が大きく減少した。
【0133】
一方、大粒径人造黒鉛と小粒径天然黒鉛を両方ともコーティングしていない比較例2-1の場合、抵抗が最も大きく、大粒径人造黒鉛と小粒径天然黒鉛の一方のみをコーティングした比較例2-2及び2-3より、両方ともコーティングした実施例2-1の場合が抵抗減少に効果的であることが確認できた。
【0134】
【0135】
SOCを50%に設定した後、30秒間2.5Cの電流を流して電圧変化を通じて実施例2-2、2-3、2-4、比較例2-4、2-5の電池の抵抗を計算し、その結果を
図2に示した。
【0136】
大粒径人造黒鉛及び小粒径天然黒鉛の全体100重量部に対して非晶質炭素を含むコーティング層の含量が1、5及び10重量部である実施例2-3、2-2、2-4で抵抗減少の効果があった。
【0137】
非晶質炭素コーティング層の含量が1重量部より少ない0.5重量部である比較例2-4、及び非晶質炭素コーティング層の含量が10重量部より多い10.5重量部である比較例2-5では、抵抗が大幅に増加して動的バランス(kinetic balance)が崩れることを確認した。
【0138】
非晶質炭素層が1重量部未満の場合は、負極の表面を非晶質炭素が完全に囲むことができず、電解液との反応性が増加して、表面にSEI(固体電解質界面)膜が厚く形成されてリチウムイオンの移動が遅くなり、10重量部を超過する場合は、非晶質炭素コーティング層が厚く形成され、低い初期効率によってリチウムイオンの移動距離が増加し、抵抗が増加するためである。
【0139】
大粒径人造黒鉛と小粒径天然黒鉛との比率によるサイクル特性(
図3関連)
【0140】
実施例2-1、2-5、2-6、比較例2-6、2-7の電池に対し、2C寿命性能を0~100%のSOCで測定し、その結果を
図3に示した。
【0141】
大粒径人造黒鉛と小粒径天然黒鉛との重量比が1:9(実施例2-5)、3:7(実施例2-1)、4:6(実施例2-6)の場合には、動的バランスが維持されながら寿命性能に優れる結果を見せた。
【0142】
一方、大粒径人造黒鉛と小粒径天然黒鉛との重量比が1:9~4:6の範囲を超える0.5:9.5(比較例2-6)及び5:5(比較例2-7)では、動的バランスが崩れて寿命の劣化が発生した。
【0143】
すなわち、前記重量比が1:9~4:6の範囲を超える場合は、リチウムイオンを受け入れる速度と黒鉛粒子内でリチウムイオンが移動する速度との差が大きくなって、寿命劣化が加速化するためである。前記重量比が1:9より小さければ(大粒径人造黒鉛の比率が1未満の場合)、リチウムイオンを受け入れる速度は速いが、黒鉛粒子内でのリチウムイオンの移動速度が遅くてリチウムの析出が加速化し、前記重量比が4:6より大きければ(大粒径人造黒鉛の比率が4超過の場合)、黒鉛粒子内でのリチウムイオンの移動速度をリチウムイオンが受け入れる速度が追い付けず、リチウムイオンの濃度勾配が大きく発生して退化が加速化するためである。
【0144】
以上のように、本発明を限定された実施例と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。