(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】ソーシャル対話機会検出方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
H04L 51/52 20220101AFI20240618BHJP
G06Q 50/00 20240101ALI20240618BHJP
G06F 16/9536 20190101ALI20240618BHJP
【FI】
H04L51/52
G06Q50/00 300
G06F16/9536
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021173026
(22)【出願日】2021-10-22
【審査請求日】2022-10-17
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503113186
【氏名又は名称】ホンダ リサーチ インスティテュート ヨーロッパ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Honda Research Institute Europe GmbH
(73)【特許権者】
【識別番号】521464868
【氏名又は名称】スプラウテル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Sproutel Inc.
【住所又は居所原語表記】60 Valley St STE 105, Providence, RI 02909, USA
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイスヴァンゲ,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シュムドリッヒ,イェンス
(72)【発明者】
【氏名】ホロヴィッツ,アーロン
(72)【発明者】
【氏名】シュワルツ,ジョエル
【審査官】中川 幸洋
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-505948(JP,A)
【文献】特表2018-522341(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 51/52
G06Q 50/00
G06F 16/9536
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1人の他者(B、C、D)との間でのユーザ(A)のためのソーシャルネットワークにおける対話プロセスを改善するための方法であって、
トレーニング段階において、
少なくともユーザ状態についてのセンサデータ、および
前記ユーザ(A)と前記少なくとも1人の他者(B、C、D)とのソーシャル対話についての対話データを取得するステップ(S1)と、
前記センサデータおよび前記対話データを分析して(S2)、前記取得されたセンサデータおよび前記取得された対話データから
、前記センサデータに基づいて特定された前記ユーザ状態と、前記対話データに基づいて推定された特定の対話に対する前記ユーザ(A)の対応可能性および意欲と、の間における相関関係に関連する分類子データを生成するステップと、
適用段階において、
前記少なくとも1人の他者(B、C、D)の少なくとも前記ユーザ状態についての現在のセンサデータを取得するステップ(S3)と、
前記取得された現在のセンサデータおよび前記分類子データに基づ
く前記ユーザ(A)に関する対話スコア
であって、前記ソーシャルネットワーク上での複数の利用可能な対話から適切な対話を、前記ユーザおよび前記少なくとも1人の他者の、前記センサデータに基づいて予測される今後の状態を考慮して選択するための決定尺度である対話スコアを
、予測された前記ユーザおよび前記少なくとも1人の他者の今後の状態に基づいて生成するステップと、
前記
生成された対話スコアに基づいて前記ソーシャルネットワークにおける前記少なくとも1人の他者(B、C、D)との対話についての前記ユーザ(A)に関する対話識別子を生成するステップ(S4)と
、
前記生成された対話識別子に基づいて対話推奨を前記ユーザ(A)へ出力するステップ、または、前記生成された対話識別子に基づいて前記ソーシャルネットワーク上で前記ユーザ(A)と前記少なくとも1人の他者(B、C、D)との間における対話を直接開始するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記取得されたセンサデータおよび前記取得された現在のセンサデータが、ユーザの場所、ユーザの活動、およびユーザの感情のうちの少なくとも1つを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記取得された対話データが、前記ソーシャルネットワーク上での開始された対話についての情報、前記ソーシャルネットワーク上での前記開始された対話の受け入れ、および前記ソーシャルネットワーク上での前記開始された対話の拒否のうちの少なくとも1つを含む、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記センサデータおよび前記対話データを分析するステップ(S2)が、前記分類子データを生成するために前記取得されたセンサデータと前記取得された対話データとの間における相関関係を学習するステップを含む、
請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記センサデータを取得するステップ(S1)が、前記ユーザ(A)の前記ユーザ状態についての前記センサデータを取得するステップと、
前記少なくとも1人の他者(B、C、D)の前記ユーザ状態についてのセンサデータをさらに取得するステップとを含み、
現在のセンサデータを取得するステップ(S3)が、前記ユーザ(A)の前記現在のユーザ状態についての前記センサデータを取得するステップと、
前記少なくとも1人の他者(B、C、D)の前記現在のユーザ状態についてのセンサデータをさらに取得するステップとを含む、
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
センサデータを取得するステップ(S1)が、ウェアラブルデバイス、モバイル処理デバイス、モバイル通信デバイスのうちの少なくとも1つの、およびスマートホームシステムの少なくとも1つのセンサ(2)から前記センサデータを取得するステップを含む、
請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記
生成された対話スコアが、少なくともバイナリー予測値または予測された対話が生じる信頼値を含む、
請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記生成された分類子データが、前記ユーザ(A)および前記少なくとも1人の他者(B、C、D)に関する学習された分類子を含み、
前記学習された分類子が、前記ユーザおよび前記少なくとも1人の他者に関する対話の開始の成功を特定するか、または前記学習された分類子が、前記ユーザ(A)および前記少なくとも1人の他者(B、C、D)に関する対話の開始もしくは開始の受け入れの成功を特定する、
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記トレーニング段階において、
前記取得されたセンサデータがさらに、前記少なくとも1人の他者のユーザ状態についてのセンサデータおよび/またはグローバル情報を含み、
前記適用段階において、
前記取得された現在のセンサデータがさらに、前記少なくとも1人の他者のユーザ状態についての現在のセンサデータおよび/またはグローバル情報を含む、
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記トレーニング段階において、
汎用モデルを生成するステップと、
前記汎用モデル、および前記ユーザ(A)の少なくとも前記ユーザ状態についての前記取得されたセンサデータ、および前記ユーザ(A)と前記少なくとも1人の他者(B、C、D)とのソーシャル対話についての前記対話データに基づいて適合機能を学習するステップと、
前記センサデータを分析する前記ステップにおいて、
前記学習された適合機能および前記汎用モデルに基づいて前記分類子データを生成するステップとをさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記トレーニング段階において、センサデータを取得する前記ステップ(S1)と、前記取得されたセンサデータを分析する前記ステップ(S2)とをオフラインで実行しており、そしてさらに、前記取得されたセンサデータおよび前記学習された分類子データを格納するステップをオフラインで実行する、
請求項
8に記載の方法。
【請求項12】
前記トレーニング段階において、センサデータを取得する前記ステップ(S1)と、前記取得されたセンサデータを分析する前記ステップ(S2)とをオンラインで実行しており、そしてさらに、
少なくとも前記取得された現在のセンサデータおよび現在の対話データに基づいて前記分類子データを更新するステップを実行する、
請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
教師なし学習、とりわけクラスタリングベースの学習によって、または能動学習法、とりわけ強化学習によって、前記取得された現在のセンサデータを分析して、更新された分類子データを生成するステップを実行している、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ユーザ(A)および/または
前記少なくとも1人の他者(B、C、D)の今後のユーザ状態を予測するステップをさらに含み、
前記取得された現在のセンサデータ、前記分類子データに基づいて、そしてさらに前記
生成された今後の状態に基づいて前記ユーザ(A)に関する前記対話スコアを予測している(S5)、
請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記学習された分類子データを提示するインターフェース(9)を前記ユーザ(A)に提供し、前記インターフェース(9)を介して前記提示された学習された分類子データについてのユーザフィードバックを受け入れるステップ、
さらなる分類子データを入力するために前記インターフェース(9)を前記ユーザ(A)に提供するステップ、および
前記分類子データに基づいて、前記対話識別子が生成されることになる対象の前記少なくとも1人の他者(B、C、D)を指定するために前記インターフェース(9)を前記ユーザ(A)に提供するステップ
のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項16】
ローカル処理デバイス(15、16、17、18)における、またはクラウドサービス(10)を介して前記ローカル処理デバイス(15、16、17、18)にリンクされているリモート処理デバイス(20)における前記取得された現在のセンサデータに基づいて現在のユーザ状態を推定するステップ
をさらに含む、請求項1から
15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記分類子データが、前記ユーザ(A)の前記ローカル処理デバイス(15)のメモリ(23)に、前記少なくとも1人の他者(B、C、D)の前記
ローカル処理デバイス(16、17、18)の前記メモリ(23)に、または前記リモート処理デバイス(20)のサーバメモリ(21)に格納される、
請求項
16に記載の方法。
【請求項18】
前記分類子データが、前記ソーシャルネットワークにおける対話のさまざまなタイプを区別し、
対話の前記タイプが、対話の持続時間、対話の内容、対話のターゲット、および通信サービスのうちの少なくとも1つを含む、
請求項1から
17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記対話が、前記ユーザ(A)と、グループメンバーとしての複数の他者(B、C、D)からなるグループとの対話であり、
少なくとも前記ユーザ状態についてのセンサデータ、および前記対話データを取得する前記ステップ(S1)において、センサデータ、および前記グループメンバー(A、B、C、D)の間における対話についての対話データを取得し、
前記センサデータおよび前記対話データを分析する前記ステップ(S2)において、それぞれのグループメンバー(A、B、C、D)に関する前記取得されたセンサデータおよび対話データに基づいて、前記グループメンバー(A、B、C、D)の間における前記対話に関する前記分類子データを生成し、
前記センサデータおよび前記対話データを分析する前記ステップ(S2)において、前記グループメンバー(A、B、C、D)の前記対話スコアから前記ユーザ(A)の前記対話スコアへのマッピングを定義するプーリング機能を特定し、
前記ユーザ(A)に関する前記対話スコアを予測する前記ステップ(S4)において、前記取得された現在のセンサデータ、前記分類子データに基づいて、そしてさらに前記プーリング機能に基づいて前記対話スコアを予測する、
請求項1から
18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記対話スコアを予測する前記ステップ(S4)および前記対話識別子を生成する前記ステップが、前記ユーザの処理デバイス(15)においてローカルに実行され、前記対話を開始するために、前記少なくとも1人の他者(B、C、D)に関連付けられている処理デバイス(16、17、18)に提供されるか、または
前記対話スコアを予測する前記ステップ(S5)および前記対話識別子を生成する前記ステップが、リモート処理デバイス(20)によって実行され、対話を開始するために、前記ユーザ(A)に関連付けられている前記処理デバイス(16、17、18)に提供されるか、または
前記対話スコアを予測する前記ステップ(S5)および前記対話識別子を生成する前記ステップが、前記少なくとも1人の他者(B、C、D)に関連付けられている前記処理デバイス(16、17、18)によって提供された前記センサデータに基づいて前記ユーザの処理デバイス(15)においてローカルに実行される、
請求項1から
16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
請求項1から
20のいずれか一項に記載の方法をコンピュータまたはデジタルシグナルプロセッサに実行させるコンピュータプログラムを記録しているコンピュータ可読記録メディア。
【請求項22】
少なくとも1人の他者(B、C、D)との間でのユーザ(A)のためのソーシャルネットワークにおける対話プロセスを改善するためのシステムであって、
少なくとも1つのセンサ(3)からセンサデータを取得するためのデータ取得インターフェース(2)と、プロセッサおよびメモリと、人間対話インターフェースとを含み、
前記データ取得インターフェース(2)が、少なくともユーザ状態についての前記センサデータ、および
前記ユーザ(A)と前記少なくとも1人の他者(B、C、D)とのソーシャル対話についての対話データを取得するように構成されており、
前記プロセッサが、前記取得されたセンサデータおよび対話データを分析して、前記取得されたセンサデータおよび前記取得された対話データから
、前記センサデータに基づいて特定されたユーザ状態と、前記対話データに基づいて推定された特定の対話に対する前記ユーザ(A)の対応可能性および意欲と、の間における相関関係に関連する分類子データを生成し、前記分類子データを前記メモリに格納するように構成されており、
前記プロセッサがさらに、前記少なくとも1人の他者(B、C、D)の少なくとも前記ユーザ状態についての現在のセンサデータを取得することと、
前記取得された現在のセンサデータおよび前記分類子データに基づ
く前記ユーザ(A)に関する対話スコア
であって、前記ソーシャルネットワーク上での複数の利用可能な対話から適切な対話を、前記ユーザおよび前記少なくとも1人の他者の、前記センサデータに基づいて予測される今後の状態を考慮して選択するための決定尺度である対話スコアを
、予測された前記ユーザおよび前記少なくとも1人の他者の今後の状態に基づいて生成することと、
前記
生成された対話スコアに基づいて前記ソーシャルネットワークにおける前記少なくとも1人の他者(B、C、D)との対話についての前記ユーザ(A)に関する対話識別子を生成すること
、
前記生成された対話識別子に基づいて対話推奨を前記ユーザ(A)へ出力すること、または、前記生成された対話識別子に基づいて前記ソーシャルネットワーク上で前記ユーザ(A)と前記少なくとも1人の他者(B、C、D)との間における対話を直接開始すること、
とを行うように構成されている、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ソーシャルネットワーク上での人どうしの間におけるソーシャル対話を成功裏に容易にするための方法およびシステムに関する。とりわけ、本開示は、ソーシャルネットワーク上でのソーシャル対話の推奨、開始、および受け入れを改善する。
【背景技術】
【0002】
近年では、人々の間におけるコミュニケーションの目的でのコンピュータデバイスの使用、そしてより最近ではモバイル通信デバイス(スマートフォンまたはタブレットコンピュータ)の使用が著しく増加している。さらにいっそう最近では、ソーシャルネットワーク内での対人コミュニケーションの急速な増加がある。ソーシャルネットワークにおいては、ユーザたちは、自分たちの現在の活動またはその他の情報を、それらについてのテキストメッセージ、写真、またはビデオですら介して能動的に共有し得る。ユーザたちはまた、カメラを用いて取り込まれた自分たちの活動のビデオを、ソーシャルネットワーク上で同時にアクティブである他者たちへライブでストリーミングし得る。しかしながら、ソーシャルネットワーク上でのそのような対話は現在、対話のタイミングにおいて、および対話についてのソーシャルネットワーク上での受信者を選択することにおいての両方で、何らかのコンテンツを共有することを意図している能動的なユーザのイニシアチブを必要とする。対話の受信者たちの側では、他のユーザたちは、たとえば「いいね」などのコミュニケーションの返信によって、対話への関与に対する自分たちの同意を能動的に知らせなければならない。
【0003】
ソーシャルネットワークはまた、他者たちとコミュニケーションを取るようにとの推奨をユーザがソーシャルネットワーク内から受け取るアプローチを実施し得る。そのような推奨を生成することは、ユーザと他者たちとの間における共有されている関心の想定に基づき、または場合によってはユーザの特定の活動の検出に基づく。しかしながら、ソーシャル対話のためのそのような推奨を生成するための既知の現在実施されている方法は、他者たちの実際の状況を無視している。実際の状況、たとえば、目覚めていること、または現在自分のモバイル通信デバイスと能動的に関わっていることに起因するその人の対応可能性は、ユーザとの間での特定のトピックについての対話に携わるその他者の実際の関心に影響を与え得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ソーシャルネットワーク上での対話の推奨の品質、開始、および受け入れを改善するために技術的な解決策を提供することが、本開示の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、ソーシャル対話機会検出方法およびシステムを提供する。
【0006】
本開示の第1の態様は、少なくとも1人の他者との間でのユーザのためのソーシャルネットワークにおける対話プロセスを改善するための方法に関する。トレーニング段階において、この方法は、少なくともユーザ状態についてのセンサデータ、およびユーザと少なくとも1人の他者とのソーシャル対話についての関連した対話データを取得するステップと、センサデータおよび対話データを分析して、取得されたセンサデータおよび取得された対話データに基づいて分類子データを生成するステップとを含む。適用段階において、この方法は、少なくとも1人の他者の少なくともユーザ状態についての現在のセンサデータを取得し、次いで、取得された現在のセンサデータ、およびトレーニング段階において生成された分類子データに基づいてユーザに関する対話スコアを予測し、次いで、予測された対話スコアに基づいてソーシャルネットワークにおける少なくとも1人の他者との対話についてのユーザに関する対話識別子を生成する。
【0007】
第2の態様によるプログラムは、そのプログラムがコンピュータまたはデジタルシグナルプロセッサ上で実行されたときに前述の例示的な実施形態のうちのいずれかによるステップを実行するためのプログラムコード手段を含む。
【0008】
第3の態様による、少なくとも1人の他者との間でのユーザのためのソーシャルネットワークにおける対話プロセスを改善するためのシステムは、複数のセンサからセンサデータを取得するためのデータ取得インターフェースと、プロセッサ(コンピューティングユニット)およびメモリ(ストレージユニット)と、人間対話インターフェースとを含み、データ取得インターフェースは、少なくともユーザ状態についてのセンサデータ、および人間と少なくとも1人の他者とのソーシャル対話についての対話データを取得するように構成されている。プロセッサ、または複数のプロセッサが、センサデータおよび対話データを分析して、取得されたセンサデータおよび取得された対話データから分類子データを生成するように構成されている。プロセッサは、生成された分類子データをメモリに格納する。プロセッサはさらに、データ取得インターフェースを介して少なくとも1人の他者の少なくともユーザ状態についての現在のセンサデータを取得することと、取得された現在のセンサデータ、およびメモリに格納されている分類子データに基づいてユーザに関する対話スコアを予測することと、予測された対話スコアに基づいてソーシャルネットワークにおける少なくとも1人の他者との対話についてのユーザに関する対話識別子を生成することとを行うように構成されている。
【0009】
ここで、添付の図面を参照しながら、本開示がより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の例示的な実施形態による機能的なシステム概観を示す図である。
【
図2】本開示の例示的な実施形態によるさらなる機能的なシステム概観を示す図である。
【
図3】本開示の例示的な実施形態による方法のフローチャートである。
【
図4】本開示の例示的な実施形態によるシステムの例示的な構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
この問題は、本開示の第1の態様による方法、第2の態様によるプログラム、および第3の態様によるシステムによって解決される。
【0012】
従属請求項は、本開示のさらなる例示的な実施形態を定義する。
【0013】
本開示の第1の態様は、少なくとも1人の他者との間でのユーザのためのソーシャルネットワークにおける対話プロセスを改善するための方法に関する。トレーニング段階において、この方法は、少なくともユーザ状態についてのセンサデータ、およびユーザと少なくとも1人の他者とのソーシャル対話についての関連した対話データを取得するステップと、センサデータおよび対話データを分析して、取得されたセンサデータおよび取得された対話データに基づいて分類子データを生成するステップとを含む。適用段階において、この方法は、少なくとも1人の他者の少なくともユーザ状態についての現在のセンサデータを取得し、次いで、取得された現在のセンサデータ、およびトレーニング段階において生成された分類子データに基づいてユーザに関する対話スコアを予測し、次いで、予測された対話スコアに基づいてソーシャルネットワークにおける少なくとも1人の他者との対話についてのユーザに関する対話識別子を生成する。
【0014】
分類子データは、対話スコアの予測のために使用される1つまたは一式の分類子を定義する。本開示のコンテキストでは、分類子データは、一方では人の特定されたユーザ状態と、他方では特定の対話に対するその人の推定された対応可能性および意欲との間における相関関係に関連し得る。
【0015】
ユーザ状態は、センサデータから直接導出され得る。センサデータは、少なくとも1つのセンサ読み取り値を含み得る。たとえば、センサ読み取り値は、グローバルナビゲーション衛星システム(GNSS)のロケーション信号、TV信号もしくはビデオ信号、または動き検出信号であり得る。あるいは、ユーザ状態は、マッピング、とりわけ、少なくとも1つの、好ましくは複数のセンサからの取得されたセンサデータから、対応するユーザ状態への学習されたマッピングに基づいて特定され得る。代替として、または追加として、ユーザ状態は、活動認識のための既知の現況技術のアプローチで現在実行されているように、人を描写する画像またはビデオセンサデータに基づいて推測され得る。追加として、または代替として、ユーザ状態は、人の取得された以前のユーザ状態を考慮に入れて、たとえば、状態マシン、またはマルコフプロセス、または、たとえば特定の観測時間にわたる、人のユーザ行動についての学習されたパターンに基づいて、複雑な推論から特定され得る。
【0016】
生成された、とりわけ学習され格納された分類子データは、ユーザに関する対話スコアを予測(計算)することを可能にする。この対話スコアは、少なくとも1人の他者の現在のユーザ状態を考慮し、ソーシャルネットワーク上での一般に利用可能な対話と組み合わせて、対話スコアは、特定の現在適切な対話を選択するための決定尺度であり、これは次いで、生成された対話識別子によって明確に識別される。
【0017】
本開示を用いて、フレームワークが生成され、これは、対話において連携するユーザと少なくとも1人の他者との両方の状態を考慮に入れる、ソーシャルネットワークにおける対話に関する推奨を生成するための方法を実施することを可能にする。これは、たとえば、他者が現在、開始側ユーザとの間でのこの特定のトピックについての想定される対話に従事する準備ができているかまたは従事する意欲があるかどうかを考慮する。ソーシャルネットワーク上での対話に関する推奨を生成するための既知のアプローチは、その人が、対話に適したコンピューティングデバイスのところに存在しているかどうか、および/またはその人が、別の妨げる対話に実際に従事していないかどうか、たとえば、その人が現在電話を取っているかどうかを探ることによって、その人が対話に対応可能であろうかどうかを検出する。それとは反対に、本開示は、たとえば、開始側ユーザおよび受信側他者の両方の実行されている活動と既知の対応可能性とを相関付けることによって、開始側ユーザおよび受信側他者の両方にとって都合のよいタイミングでユーザが通信対話を開始することを可能にする分類子をトレーニングし、分類子のトレーニング段階から過去に開始され受け入れられた対話を用いて開始側ユーザおよび受信側他者の両方の精神状態を検出する。
【0018】
トレーニングされた分類子データに基づいて達成される品質およびソーシャル対話を成功裏に開始すること/受け入れることに関する結果は、現在知られている認識表示によって達成可能な結果を超える。既知の認識表示は、たとえば、受信者のビデオもしくは静止画像、その位置特定、または同様の直接の情報を提供することによって、受信者の現在の状況についての直接の情報を提供し、これは、強いプライバシー上の影響を及ぼす可能性があり、そしてさらに、もっぱら開始側ユーザによる解釈に依存する。
【0019】
ソーシャルネットワークにおいて実施されるメッセンジャーサービスのような既知の通信ツールは、特定の時間中に他のユーザをブロックすることまたは対話開始のタイプを制限することを可能にする。既存のメッセンジャーサービスに関するこれらの利用可能な設定は、手動で選択されることになり、本質的に静的であり、現在では、特定の時点においてのみ特定の他者との特定の通信対話を許可することなどの機能どうしを組み合わせることを可能にしていない。それとは反対に、この方法は、センサのセットおよびプロセッサ(コンピューティングユニット)を、開始されたソーシャル対話のそれまでに実行された開始、受け入れ、および拒否についての情報などの対話データと組み合わせて使用することによって、ユーザの状態のさまざまな側面、たとえば、ユーザの場所、活動、および感情を検出することを可能にする。この方法は、これを、他者を識別する情報と組み合わせ、分類子データを学習することによって、一方ではユーザ状態と他方では対話データとの両方の側面の間における相関関係を学習する。分類子データは、ソーシャルネットワークにおけるユーザに対する適切な対話を自動的に予測すること、推奨すること、または開始することさえ可能にする。
【0020】
取得されたセンサデータおよび現在のセンサデータは、ユーザの場所、ユーザの活動、およびユーザの感情のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0021】
センサデータのこれらのインスタンスは、現在のセンサから既に広く利用可能であり、人のユーザ状態を推測することを可能にし、その一方で同時に、これらのセンサデータは、ソーシャルネットワーク上での対話の開始および受け入れに影響し得る。したがって、対話推奨の品質が改善されることになる。
【0022】
例示的な実施形態による方法では、取得された対話データは、ソーシャルネットワーク上での過去の開始された対話についての情報、ソーシャルネットワーク上での開始された対話の過去の受け入れ、およびソーシャルネットワーク上での開始された対話の過去の拒否のうちの少なくとも1つを含む。
【0023】
ソーシャル対話の開始は、スマートフォンの現在の活動、たとえば、通話またはメッセンジャー通信を分析することによって、ユーザおよび他者の両方についてのセンサデータを取得することによって、たとえば、ユーザおよび他者のためにGNSSセンサによって提供された近くの場所の位置によって、または外部センサからのセンサデータ、たとえば、会話のマイクロフォンベースの検出によって検出され得る。
【0024】
対話の拒否は、出られなかったもしくは途中で切られた電話、チャットの形式での対話の短い持続時間、たとえば、チャットにおけるほんの数語の言葉、もしくはチャットのほんの短い持続時間、特定のタイムピリオド内に応答がないことから、またはカメラもしくはマイクロフォンなどのセンサによって記録された人の声もしくは顔の特徴に基づく感情検出によって推測され得る。カメラまたはマイクロフォンは、ユーザまたは少なくとも1人の他者に関連付けられているスマートフォンの一部を形成し得る。
【0025】
したがって、推奨される対話の品質は、この方法のトレーニング段階中にユーザおよび少なくとも1人の他者の対話履歴を考慮に入れることによって改善されることが可能である。
【0026】
この方法の例示的な実施形態は、センサデータおよび対話データを分析するステップにおいて、分類子データを生成するために、取得されたセンサデータと取得された対話データとの間における相関関係を学習するステップを含む。
【0027】
例示的な実施形態では、センサデータを取得するステップは、ユーザ状態についてのセンサデータを取得するステップと、少なくとも1人の他者のユーザ状態についてのセンサデータをさらに取得するステップとを含む。適用段階において、現在のセンサデータを取得するステップは、現在のユーザ状態についてのセンサデータを取得するステップと、少なくとも1人の他者の現在のユーザ状態についてのセンサデータをさらに取得するステップとを含む。
【0028】
したがって、ユーザによる対話を開始する、および少なくとも1人の他者による提案された対話を受け入れる高い確率が達成される。推奨される対話の、およびこの方法を実施するシステムの受け入れが増大される。
【0029】
この方法は、センサデータを取得するステップにおいて、ウェアラブルデバイス、たとえば、スマートウォッチ、モバイル処理デバイス、たとえば、タブレットコンピュータ、モバイル通信デバイス、たとえば、スマートフォン、およびスマートホームシステムの一部を形成する少なくとも1つのセンサからセンサデータを取得し得る。
【0030】
したがって、この方法は、容易に利用可能なセンサデータのインスタンスに依存する。この方法を実施するためのコストは、したがって、さらなるセンサによって増大されることはない。本開示に関係しているセンサは、既存の存在しているセンサデバイスであるので、ユーザによるこの方法の実施態様の受容度は高い。
【0031】
例示的な実施形態による予測された対話スコアは、少なくともバイナリー予測値または予測された対話が生じる信頼値を含む。
【0032】
この方法による対話スコアは、成功する推奨のための尺度を提供する。対話スコアは、たとえば、ソーシャルネットワーク上での複数の利用可能な対話から適切な対話を選択することを決定するためにさらに効率的に処理されるべきである尺度を表す。対話スコアは、1つもしくは複数のしきい値を使用して、または複数の代替対話から選択を行うための選択基準として、さらに処理され得る。
【0033】
例示的な実施形態での分類子データは、それぞれユーザおよびそれぞれの他者に関する学習された分類子を含むことが可能であり、学習された分類子は、ユーザおよび他者に関する対話の開始の成功を特定する。
【0034】
この例示的な実施形態での分類子データは、したがって、人のそれぞれのペアに関する分類子を含み、人のこのペアに関してのみ有効である。これは、対話の開始者としての人に関する特定の分類子と、対話の受信者(宛先)としてのユーザに関する特定の分類子とを含み得る。あるいは、分類子は、役割に依存しない分類子であり得る。役割に依存しない分類子とは、対話の開始者としての役目を果たす、および対話の受信者としての役目を果たすユーザに等しく当てはまる分類子である。
【0035】
学習された分類子は、ユーザおよび他者に関する対話の開始の成功または対話の受け入れの成功を特定し得る。
【0036】
例示的な実施形態による方法では、トレーニング段階における取得されたセンサデータは、少なくとも1人の他者の状態についてのさらなるセンサデータおよび/またはグローバル情報を含み、適用段階において、取得された現在のセンサデータは、少なくとも1人の他者の状態についてのさらなるセンサデータおよび/または現在のグローバル情報を含む。
【0037】
グローバル情報は、時間、日付、季節、天気、および気温に関する情報を含み得る。
【0038】
あるいは、ソーシャルネットワークにおける対話に関する対称的な機会検出が実行されることが可能である。対称的な機会検出は、ユーザおよび他者それぞれに関する推奨される対話に関する個々の検出を実行し、次いでその後に、それぞれの個々の検出の結果を組み合わせて、対称的な機会検出を生成する。
【0039】
対称的な機会検出、ならびに少なくとも1人の他者のユーザ状態についてのさらなるセンサデータを含めることの両方が、成功するソーシャル対話の高い確率という効果を提供する。
【0040】
開始側ユーザおよび対話の受信者としての他者の両方に関する相互機会検出のこの特定の例は、成功する相互通信対話にとって特に有利であるユーザおよび他者のユーザ状態の組合せを識別することを可能にする。
【0041】
例示的な実施形態による方法は、トレーニング段階において、汎用モデルを生成するステップと、汎用モデル、および少なくともユーザ状態についての取得されたセンサデータ、およびユーザと少なくとも1人の他者とのソーシャル対話についての対話データに基づいて適合機能を学習するステップとを含む。センサデータを分析するステップにおいて、この方法は、学習された適合機能および汎用モデルに基づいて分類子データを生成する。
【0042】
汎用機能は、グループメンバーとしてのユーザおよび他者からなるグループにとって有効で適している基本的な分類子データを提供することと、次いでこのグループのメンバーとしての個々のユーザに対して、たとえば、適用段階中に個々のユーザに関するさらに多くのトレーニングデータが利用可能になるにつれて、汎用モデルを適合させることとを可能にする。
【0043】
例示的な実施形態による方法は、トレーニング段階において、センサデータを取得するステップと、取得されたセンサデータを分析するステップとをオフラインで実行し、取得されたセンサデータおよび学習された分類子データをオフラインで格納し得る。
【0044】
学習段階は、たとえばマシン学習によって、分類子データを生成するために高い処理リソースを必要とし、サーバベースのおよびクラウドベースの実施に特に適している。適用段階は、学習段階からの生成され格納された分類子データから恩恵を受け、そして控えめな処理能力しか備えていないスマートフォン上で稼働するように実施され得る。
【0045】
例示的な実施形態による方法は、トレーニング段階において、センサデータを取得するステップと、取得されたセンサデータを分析するステップとをオンラインで実行し、少なくとも取得された現在のセンサデータおよび取得された現在の対話データに基づいて分類子データを更新する。
【0046】
例示的な実施形態による方法は、教師なし学習によって、とりわけクラスタリングベースの学習によって、取得された現在のセンサデータを分析して、更新された分類子データを生成するステップを実行する。
【0047】
したがって、分類子データの継続的な更新および学習が可能であり、適用段階中に、取得された現在のセンサデータおよび現在の対話データの形式でのさらなるトレーニングデータの継続的な利用可能性から恩恵を受ける。更新された分類子データを生成するための分類子のこのさらなるトレーニングは、教師なし学習アルゴリズム、とりわけクラスタリングベースの学習を実行することによって使用され得る。
【0048】
例示的な実施形態による方法は、能動学習法、とりわけ強化学習によって、取得された現在のセンサデータを分析して、更新された分類子データを生成するステップを実行することを含む。
【0049】
さらに改善された更新された分類子データを生成するために能動学習を実行することは、たとえば特別に適合されたヒューマンマシンインターフェース(HMI)を介して、適用段階中にユーザが追加のトレーニングに関与する場合に特に有利である。更新された分類子データは、ユーザによる高い度合いの受け入れを満足させることを期待されることが可能である対話推奨を提供し得る。
【0050】
例示的な実施形態による方法は、適用段階において、ユーザの今後のユーザ状態および/または少なくとも1人の他者の今後のユーザ状態を予測するステップを含む。予測するステップは、取得された現在のセンサデータ、分類子データに基づいて、そしてさらに、予測された今後の状態に基づいてユーザに関する対話スコアを予測する。
【0051】
対話スコアを特定する際にユーザおよび少なくとも1人の他者の今後の状態が考慮に入れられ、対話識別子がそれに基づいている場合、分類子データは、それに基づく開始された対話に関して特に良好な結果をもたらし得る。ユーザおよび他者による対話の開始および受け入れは、今後に向けての期待および想定に関するユーザおよび他者の決定に依存することになる。
【0052】
例示的な実施形態による方法は、学習された分類子データを提示するインターフェースをユーザに提供し、出力された学習された分類子データについてのユーザフィードバックを受け入れるステップ、および/またはさらなる分類子データを入力するためにインターフェースをユーザに提供するステップ、および/または分類子データに基づいて、対話識別子が生成されることになる対象の少なくとも1人の他者を指定するためにインターフェースをユーザに提供するステップを含む。
【0053】
したがってユーザは、分類子データを更新することに直接関与することが可能であり、ひいては、この方法を実施するシステムの受け入れが増大されることになる。
【0054】
例示的な実施形態による方法は、対話識別子に基づいて対話推奨をユーザへ出力するステップ、またはソーシャルネットワーク上でユーザと少なくとも1人の他者との間における対話を直接開始するステップを含み得る。
【0055】
例示的な実施形態による方法は、ローカル処理デバイスにおける、またはクラウドサービスを介してローカル処理デバイスにリンクされているリモート処理デバイスにおける取得された現在のセンサデータに基づいて現在のユーザ状態を推定するステップをさらに含む。
【0056】
例示的な実施形態による方法は、分類子データを、ユーザに関連付けられているローカル処理デバイスのメモリに、少なくとも1人の他者に関連付けられている処理デバイスのメモリ、またはリモート処理デバイスのサーバメモリに格納する。
【0057】
例示的な実施形態による方法は、ソーシャルネットワークにおける対話のさまざまなタイプを区別する分類子データを示す。対話のタイプは、対話の持続時間、対話の内容、対話のターゲット、および通信サービス(メッセンジャーサービス)のうちの少なくとも1つを含む。
【0058】
例示的な実施形態による方法は、ソーシャルネットワークにおける対話を、ユーザと、グループメンバーとしてのユーザおよび複数の他者を含む人々のグループとの対話として示す。この方法の例示的な実施形態は、少なくともユーザ状態についてのセンサデータ、および対話データを取得するステップにおいて、センサデータ、およびグループメンバーの間における対話についての対話データを取得する。センサデータおよび対話データを分析するステップにおいて、グループメンバーに関する取得されたセンサデータおよび対話データに基づいて、グループのグループメンバーの間における対話に関する分類子データが生成される。センサデータおよび対話データを分析するステップにおいて、グループメンバーの対話スコアからユーザの対話スコアへのマッピングを定義するプーリング機能が生成される。ユーザに関する対話スコアを予測するステップにおいて、取得された現在のセンサデータ、分類子データに基づいて、そしてさらにプーリング機能に基づいて対話スコアが生成される。
【0059】
この例示的な実施形態は、特に人々のグループの共通の習慣および特徴を考慮に入れる、対話のための機会を探る。グループ内での結果として生じる対話の結果として生じる開始および受け入れに対する高いレベルの満足が期待され得る。
【0060】
例示的な実施形態による方法は、対話スコアを予測するステップおよび対話識別子を生成するステップをユーザの処理デバイスにおいてローカルに実行するように構成されており、対話を開始するために、他者に関連付けられている処理デバイスに対話スコアおよび/または対話識別子を提供する。
【0061】
他者に関連付けられている処理デバイスに対話スコアおよび/または対話識別子を提供することは、ユーザおよび他者の2つの処理デバイスの間におけるポイントツーポイント(ピアツーピア)通信を介して直接実行され得る。
【0062】
あるいは、この方法は、対話スコアを予測するステップおよび対話識別子を生成するステップを、リモート処理デバイスを使用することによって実行し、対話を開始するために、ユーザに関連付けられている処理デバイスに、予測された対話スコアおよび生成された対話識別子を提供する。この分散処理は、クラウドコンピューティングを介して方法ステップを実行することに対応し、対話の開始のために方法ステップの結果をユーザの処理デバイスへプッシュする。
【0063】
したがって、ユーザのモバイルかつ低能力の処理デバイスの処理リソースは、ユーザとのインターフェースを取るタスクのみを負担し、その一方で、データ分析、マシン学習、データベースの格納などに言及するさらに高度な方法ステップは、コンピューティングクラウドへとアウトソースされる。作業負荷の有利な分散が達成される。
【0064】
さらに代替として、この方法は、対話スコアを予測するステップおよび対話識別子を生成するステップを、少なくとも1人の他者に関連付けられている処理デバイスによって提供されたセンサデータに基づいてユーザの処理デバイスにおいてローカルに実行する。
【0065】
第2の態様によるプログラムは、そのプログラムがコンピュータまたはデジタルシグナルプロセッサ上で実行されたときに前述の例示的な実施形態のうちのいずれかによるステップを実行するためのプログラムコード手段を含む。第2の態様によるコンピュータ可読記録メディアは、第1の態様による方法をコンピュータまたはデジタルシグナルプロセッサに実行させるコンピュータプログラムを記録している。
【0066】
第1の態様による方法の方法ステップは、1つまたは複数のプログラムモジュールを含むコンピュータプログラム(また、アプリケーションプログラム、または、アプリ)の形式で実施するのに非常に適している。
【0067】
第3の態様による、少なくとも1人の他者との間でのユーザのためのソーシャルネットワークにおける対話プロセスを改善するためのシステムは、複数のセンサからセンサデータを取得するためのデータ取得インターフェースと、プロセッサ(コンピューティングユニット)およびメモリ(ストレージユニット)と、人間対話インターフェースとを含み、データ取得インターフェースは、少なくともユーザ状態についてのセンサデータ、および人間と少なくとも1人の他者とのソーシャル対話についての対話データを取得するように構成されている。プロセッサ、または複数のプロセッサが、センサデータおよび対話データを分析して、取得されたセンサデータおよび取得された対話データから分類子データを生成するように構成されている。プロセッサは、生成された分類子データをメモリに格納する。プロセッサはさらに、データ取得インターフェースを介して少なくとも1人の他者の少なくともユーザ状態についての現在のセンサデータを取得することと、取得された現在のセンサデータ、およびメモリに格納されている分類子データに基づいてユーザに関する対話スコアを予測することと、予測された対話スコアに基づいてソーシャルネットワークにおける少なくとも1人の他者との対話についてのユーザに関する対話識別子を生成することとを行うように構成されている。
【0068】
例示的な実施形態によるシステムは、通信デバイス、とりわけスマートフォン、タブレットコンピュータ、またはスマートホームデバイスの一部である。代替として、または追加として、このシステムは、スマートホームシステムへと統合される。
【0069】
好ましくは、取得インターフェースは、ウェアラブルデバイス、たとえばスマートウォッチ、またはスマートフォンなどのモバイル通信デバイス、またはTVセット、冷蔵庫、もしくはスマートスピーカーなどのその他のスマートホームデバイスなど、複数のデジタルデバイスからデータを取得する。
【0070】
同じまたは対応する特徴どうしは、同じ参照記号によって図に示されている。
【0071】
図1は、本開示の例示的な実施形態による機能的なシステム概観を示している。ソーシャルネットワークにおける対話プロセスを改善するためのシステム1の機能なシステム概観は、簡略化されており、主要なモジュールおよびそれらの機能を強調している。システム1は、1つまたは複数のプロセッサ、マイクロプロセッサ(これらは、コンピューティングユニットと総称され得る)の上で稼働するソフトウェアの形式で実装され得る。
図1および
図2で提示されているシステム1の機能構造は、ソフトウェアの実装形態とハードウェアの実装形態とに等しく当てはまり、ハードウェアコンポーネントとソフトウェアコンポーネントとの間における特定の分散を特に予期していない。
【0072】
システム1は、それ自体のデータ取得インターフェース2を介してセンサデータおよび対話データを取得する。データ取得インターフェース2は、単一のデータ取得モジュールまたは複数のデータ取得モジュールによって実施され得る。データ取得インターフェース2は、複数のセンサ3からセンサデータを取得する。センサ3は、システム1の主要なデータソースである。センサデータを提供するために使用されるセンサ3に関する例は、電子通信デバイスの、および/またはインストールされたソフトウェアの使用状態を、通信チャネルを介してデータ取得インターフェース2に通信する仮想センサを含み得る。
【0073】
電子通信デバイスは、モバイル電話、タブレットコンピュータ、ノートパソコン、据え置き型パーソナルコンピュータ(PC)、TV、ワイヤレスラジオセット、スマートウォッチなどのウェアラブル、または任意のその他のスマートデバイス、たとえばスマート冷蔵庫などのスマート家庭用デバイスを含むことができる。
【0074】
通信チャネルは、別々のセンサ3の間で異なり得る。通信チャネルは、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)、ワイヤレスパーソナルエリアネットワーク(WPAN)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、DALI(登録商標)、イーサネット(登録商標)などの通信プロトコル、または赤外線(IR)もしくは可視光通信(VLC)などのテクノロジーに基づくワイヤレス、有線、または光ファイバネットワークを含み得る。
【0075】
データ取得インターフェース2によって取得されるセンサデータは、電子通信デバイスの使用状態についてのデータを含み得る。使用状態は、電子通信デバイス、または電子通信デバイスに関連付けられているデバイスのオン状態、およびオフ状態、スタンバイ状態を含み得る。使用状態に関するさらなる例は、進行している通話、拒否された通話、アクティブなソフトウェアアプリケーション、選択されたTVチャネルまたは選択されたラジオチャネル、開いている冷蔵庫のドア、オーブン用の選択されたプログラム、洗濯機用の、または乾燥機用の選択されたプログラムを含む。使用状態は、ブラインド、日よけ、または間仕切りの状態を含み得る。使用状態は、電子通信デバイスの任意のタイプのテキスト入力デバイス上でのテキストのタイピング入力、および/またはネットワーク、たとえばインターネット(ワールドワイドネット)もしくはイントラネットに接続されている電子通信デバイスのウェブ閲覧履歴を含み得る。使用状態は、電子通信デバイスのさらなる例としての任意のタイプのスマートスピーカー上での話し言葉入力を含み得る。
【0076】
データ取得インターフェース2によって取得されるセンサデータは、環境に、たとえば、スマートホーム設定に設置されている静的なセンサ3から取得されるセンサデータを含み得る。これは、とりわけ、動きセンサ、存在検出センサ、温度センサ、湿度センサ、環境光センサ、サウンドセンサ、ガスセンサ、監視カメラ、オン/オフスイッチ、および調光スイッチを含み得る。
【0077】
データ取得インターフェース2によって取得されるセンサデータは、環境のあちこちを移動する自律型デバイス(ロボットデバイス)、たとえば、清掃ロボット、芝刈りデバイス、または、カメラを備えた自律型デバイスに含まれているモバイルセンサ3から取得されるセンサデータを含み得る。
【0078】
データ取得インターフェース2によって取得されるセンサデータは、ウェアラブルデバイス、たとえば、スマートウォッチ、スマートフォン、またはスマート衣類上のセンサ3から取得されるセンサデータを含み得る。センサ3は、カメラ、マイクロフォン、および注意検出(焦点検出)センサを含むことができる。
【0079】
センサ3は、ハードウェアで、またはソフトウェアで実装されることが可能であるか、またはセンサ3は、ハードウェアおよびソフトウェアの両方を含む。たとえば、注意検出センサは、電子デバイスのユーザを観察するカメラからの画像データを使用し、たとえば、カメラによって入手された画像データからユーザの視線方向および目の焦点を特定するためのソフトウェアを使用することによってユーザの注意の焦点を検出し得る。
【0080】
センサ3は、光学センサ、たとえば、カメラ、3Dカメラ、赤外線(IR)カメラ、またはアクティブカメラなどのさまざまなセンサタイプを含むことが可能であり、これらは、パン角度、チルト角度、または焦点(ズーム)に関して調整され得る。
【0081】
センサ3は、人間についての生理的なセンサデータを取得するセンサタイプ、たとえば、皮膚コンダクタンスセンサ、筋電図(EMG)センサ、脳波記録(EEG)センサ、電極、光学心拍センサ、および温度センサを含み得る。
【0082】
センサ3は、磁気スイッチセンサ、近接センサ(たとえば超音波原理に基づく)、動きセンサ(たとえば光学的感知に基づく)、または圧力センサ(たとえば圧電感知原理に基づく)などのセンサタイプを含み得る。
【0083】
取得されたセンサデータは、ユーザ状態推測モジュール4に提供される。ユーザ状態推測モジュール4は、取得されたセンサデータに基づいて人(ユーザ)のユーザ状態を特定する。とりわけ、ユーザ状態推測モジュール4は、センサ3どうしの組合せ、好ましくは、さまざまな技術原理に基づいてセンサデータを取得するセンサ3の多様な組合せからのセンサデータを使用して、そこからユーザ状態を推測することが可能である。
【0084】
特定されるユーザ状態(推測されるユーザ状態)は、人の実行されている活動についての情報によって定義され得る。人の実行されている活動は、「料理をしている」、「食事をしている」、「TVを見ている」、「読書をしている」、「編み物をしている」、「ゲームをしている」、「スポーツをしている」、「人と会っている」、「車で運転している」、「公共交通機関によって移動している」、「勉強をしている」、「人の写真を見ている」、「インターネットを閲覧している」、「買い物をしている」を含み得る。
【0085】
特定されるユーザ状態は、追加の情報によって、より詳しくさらに定義され得る。たとえば、「料理をしている」または「食事をしている」というユーザ状態は、実際に調理されているまたは食べられている料理を含めることによって指定され得る。「TVを見ている」というユーザ状態は、チャネルまたは視聴されているコンテンツについての情報を含めることによって、さらに定義され得る。「公共交通機関によって移動している」というユーザ状態は、輸送の手段、たとえば、電車、バス、飛行機、もしくは船で、および/または目的地、および/または移動速度によって、さらに定義され得る。
【0086】
特定されるユーザ状態は、人の感情状態についての情報によって定義され得る。ユーザの感情状態に関する例は、「幸せである」、「興奮している」、「退屈している」、「リラックスしている」、「魅了されている」、および「ストレスを感じている」である。
【0087】
特定されるユーザ状態は、人の生理的な状態についての情報によって定義され得る。ユーザの生理的な状態に関する例は、「眠っている」、「目覚めている」、「疲れ切っている」、「活発である」、「寒い」、「暑い」、および「精神的に負担がある」である。
【0088】
特定されるユーザ状態は、建物内、たとえば、人のアパート内、または建物外もしくは公共エリア内、たとえば、車両内、もしくは駐車場内の両方での、人の現在の場所についての情報によって定義され得る。特定されるユーザ状態は、人の現在の場所のみについての情報だけでなく、人と人との場所に関連した距離についての情報によっても定義され得る。
【0089】
特定されるユーザ状態は、人の物体に関連した状態についての情報、たとえば、「人が電話を携帯している」、「人がその人の電話から離れている」、「人が、その人の手に何かを持つことによって両手をふさがれている」、または「人が、その人に関連付けられているビデオチャットデバイスの近くにいる」によって定義され得る。
【0090】
特定されるユーザ状態は、人のユーザ状態の履歴についての情報によって定義され得る。ユーザ状態の履歴は、たとえば、最後のソーシャル対話の時以降の活動を含む、人が実行した活動の履歴を含み得る。最後のソーシャル対話は、任意の人間との一般的な最後のソーシャル対話、または特定の人との最後のソーシャル対話に関連し得る。ユーザ状態の履歴についての情報は、帰宅後の経過時間、特定の日の作業活動の持続時間についての情報を含み得る。
【0091】
特定されるユーザ状態は、人のユーザ嗜好についての情報によって定義され得る。ユーザ嗜好は、たとえば、好みの食べ物、好みのスポーツ、およびお気に入りのスポーツチームを含むことができる。
【0092】
特定されるユーザ状態は、人に関するカレンダー情報から得られた情報によって定義され得る。ユーザのカレンダー情報は、ユーザの誕生日、今からx時間以内の会議への予定されている出席、またはその人の予定されている休日を含み得る。
【0093】
このシステムはさらに、取得されたセンサデータおよび対話データを対話開始/成功検出モジュール5に提供する。開始/成功検出モジュール5は、人固有のモジュールであり、これは、特定の人(ユーザ)に関してソーシャルネットワーク上での特定のソーシャル対話を特定し、そのソーシャル対話の対話パラメータについての情報、たとえば、対話の開始時間、対話の終了時間、対話の持続時間、および対話のタイプを取得する。対話のタイプは、テキストメッセージ、共有画像、ビデオチャットを指し得る。対話開始/成功検出モジュール5は、対話パラメータを検出する(特定する)。
【0094】
対話開始/成功検出モジュール5は、対話データを人固有トレーニングサンプルデータベース6に提供する。人固有トレーニングサンプルデータベース6はさらに、ユーザ状態推測データを受信し、これも人固有(ユーザ固有)である。人固有トレーニングサンプルデータベース6は、対話データに関連付けられている、そしてさらに対話参加者に関連付けられているユーザ状態についてのデータ(ユーザ状態データ)を含むトレーニングサンプルのセットを生成して格納する。
【0095】
たとえば、ユーザ(人A)に関連付けられている人固有トレーニングサンプルデータベース6は、第1の人Bを含む対話およびユーザ状態に関する対話データおよび関連したユーザ状態データを含むトレーニングサンプル6.1の第1のセットを含む。ユーザ(人A)に関連付けられている人固有トレーニングサンプルデータベース6はさらに、第2の人Cを含む対話およびユーザ状態に関する対話データおよび関連したユーザ状態データを含むトレーニングサンプル6.2の第2のセットを含む。ユーザ(人A)に関連付けられている人固有トレーニングサンプルデータベース6はさらに、第3の人Dを含む対話およびユーザ状態に関する対話データおよび関連したユーザ状態データを含むトレーニングサンプル6.3の第3のセットを含む。
【0096】
したがって人固有トレーニングサンプルデータベース6は、トレーニングデータサンプル6.1、6.2、6.3のセットを含み、これらは、システム1のトレーニング段階に関する基礎を形成する。トレーニング段階中に、対話機会分類子モジュール7は、トレーニングデータサンプル6.1、6.2、6.3に基づいて人固有対話機会分類子7.1、7.2、7.3を学習する。
【0097】
とりわけ、対話機会分類子モジュール7は、ユーザ(人A)と第1の人Bとの間における対話に関する人固有対話機会分類子7.1を学習する。さらに、対話機会分類子モジュール7は、ユーザと第2の人Cとの間における対話に関する人固有対話機会分類子7.2を学習する。さらに、対話機会分類子モジュール7は、ユーザと第3の人Dとの間における対話に関する人固有対話機会分類子7.3を学習する。
【0098】
第1、第2、および第3の人固有対話機会分類子7.1、7.2、7.3のトレーニングは、オンライントレーニングとして実行され得る。あるいは、対話機会分類子モジュール7によるトレーニングは、オフライントレーニングを介して実行されることが可能である。トレーニング段階を実行した後には、対話機会分類子モジュール7は、自由に使える分類子データをトレーニングしたことになる。とりわけ、対話機会分類子モジュール7は、人固有対話機会分類子7.1、7.2、7.3のトレーニングされたセットを含む分類子データを有する。
【0099】
対話機会分類子モジュール7は、ソーシャルネットワークにおけるソーシャル対話を改善するための方法の適用段階において使用するためのトレーニングされた分類子データを格納することができる。
【0100】
適用段階において、システム1、とりわけデータ取得モジュール2は、センサ3から現在のセンサデータを取得する。現在のセンサデータは、その複数の態様において、センサ3からトレーニング段階において取得されたセンサデータに対応する。取得される現在のセンサデータは、現在の時点に関して取得される。
【0101】
ユーザ状態推測モジュール4は、取得された現在のセンサデータを入手し、取得されたセンサデータに基づいて現在のユーザ状態を推測する。ユーザ状態推測モジュール4は次いで、推測された現在のユーザ状態を対話機会分類子モジュール7に提供し、対話機会分類子モジュール7は、自由に使えるトレーニングされた分類子データを有する。
【0102】
適用段階において、対話機会分類子モジュール7は、取得された現在のユーザ状態に基づいて、およびトレーニング段階において生成された分類子データに基づいて、ユーザに関する対話スコアを予測する。対話スコアは、機会選択モジュール8に提供される。
【0103】
対話スコアは、複数の利用可能なソーシャル対話、複数の人、および複数の時間のうちから、特定の時間にわたるソーシャルネットワーク上での1人または複数の他者との特定のソーシャル対話を選択することを可能にするパラメータであり得る。たとえば、対話スコアは、バイナリーパラメータ、バイナリーパラメータのセット、または確率分布もしくは確率分布のセットを含み得る。
【0104】
機会選択モジュール8は、対話機会分類子モジュール7から入手された予測された対話スコアに基づいてユーザに関する対話識別子を生成する。
【0105】
対話識別子は、特定の時間に設定されたソーシャルネットワーク上でのユーザAと1人または複数の他者B、C、Dとの特定のソーシャル対話を指定し得る。対話識別子は、特別なケースでは、「推奨されるソーシャル対話なし」という推奨に対応し、そのケースは、機会選択モジュール8が、対話機会分類子モジュール7から提供された対話スコアの評価に基づいて、これを、推奨されるアクション方針として特定する場合である。
【0106】
機会選択モジュール8は、生成された対話識別子を人間対話インターフェース9(HMI)に提供する。HMI9は、機会選択モジュール8によって提供された対話識別子に基づいてソーシャルネットワーク上でのソーシャル対話に関する推奨をユーザAに出力し得る。代替として、または追加として、HMIは、受信された対話識別子に基づいてソーシャルネットワーク上でのソーシャル対話を開始し得る。
【0107】
HMI9は、とりわけ、1人または複数の他者B、C、D(彼らもソーシャルネットワークのユーザである)と通信するように促すユーザA用のプロンプトを含むメッセージをユーザに提示し得る。そのメッセージは、推奨されるソーシャル対話の相手である少なくとも1人の他者B、C、Dの表示を含み得る。HMI9は、プロンプトを、またはプロンプトが利用可能である旨の表示、たとえばアイコンをユーザAに表示し得る。
【0108】
代替として、または追加として、メッセージは、ソーシャルネットワークのメッセージングサーバへ送られ得る。メッセージは、ソーシャルネットワークのユーザAと少なくとも1人の他者B、C、Dとの間におけるソーシャル対話を開始するように構成され得る。開始されるソーシャル対話は、ソーシャルネットワークのメッセージングアプリ、またはソーシャルネットワーキングアプリもしくは別の適切なアプリ、またはネットワーク(インターネット、イントラネット)上のウェブサイト内で開始されるメッセージであり得る。開始メッセージは、少なくとも1人の他者B、C、Dに宛てられることが可能であり、画像データ、たとえばGIF、アニメーションGIF、オーディオデータ、ビデオデータ、リンク、またはその他の適切なコンテンツなど、1つまたは複数のメディアデータアイテムを含み得る。開始メッセージは、開始メッセージの宛先としての少なくとも1人の他者B、C、Dが、開始メッセージを受信する際に、たとえば返信メッセージを介して、推奨されるソーシャル対話を受け入れることを可能にする要素を含み得る。
【0109】
図2は、本開示の例示的な実施形態によるさらなる機能的なシステム概観を示している。
図2に示されているシステム1’は、複数の人A、B、C、Dの人固有トレーニングサンプルデータベース6.1、6.2、6.3を含むことによってシステム1を拡張している。ソーシャルネットワークにおける対話プロセスを改善するためのシステム1’は、相互機会検出プロセスを実行する。
【0110】
図2に示されているシステム1’の機能的なシステム概観のほとんどの特徴は、
図1を参照しながら論じられているシステム1の特徴に対応する。したがって、対応する特徴に関しては、簡潔にするために、
図1およびシステム1の論考に対する参照で十分であると考えられる。ソーシャルネットワークにおける対話プロセスを改善するシステム1’は、複数の人、すなわち、ユーザに対応する人A、ならびに、たとえば、(第1の)人B、(第2の)人C、および(第3の)人Dに関する相互機会検出を示す。
【0111】
複数の人に関する相互機会検出はまた、ネットワーク10を介して接続されている処理ユニット(プロセッサ、サーバ)の配置において、わずかに異なる処理分布で実行され得る。それでもなお、
図1に示されているシステム1の、および
図2に示されているシステム1’のシステムアーキテクチャーは、対応する適用例に限定されず、たとえば、相互に交換され得る。
【0112】
ネットワーク10は、複数の処理ユニットを相互接続するのに適した1つまたは複数のネットワーク、たとえば、ローカルエリアネットワーク(LAN)またはワイドエリアネットワーク(WAN)を含み得る。ネットワーク10は、世界規模のネットワーク、インターネット、または、企業規模のネットなどのイントラネットであり得る。
【0113】
システム1’は、複数のパーソナル電子通信デバイスを含み、それぞれの電子通信デバイスは、1人の人A、B、C、Dに関連付けられている。それらのパーソナル通信デバイスのそれぞれは、少なくともデータ取得モジュール2、1つまたは複数のセンサ3、ユーザ状態推測モジュール4、および人固有対話開始/成功検出モジュール5を含む。
【0114】
加えて、電子通信デバイスはそれぞれ、人A、B、C、Dに情報を出力するための、および/または人A、B、C、Dからの入力を受信するための関連付けられているHMI9を含む。
【0115】
図2は、少なくとも1つの通信標準に基づいて通信を実行するための電子通信デバイスの通信モジュールを示していない。通信モジュールは、電子通信デバイスからサーバ19までの電子通信デバイスどうしの間における通信を可能にする。サーバ19は、データをデータストレージデバイス20に格納するために、およびデータストレージデバイス20からデータを読み取るために、データストレージデバイス(メモリ)20にアクセスし得る。
【0116】
図2に示されているシステム1’は、より複雑なデータ処理をクラウドに、とりわけ
図4におけるサーバ19などの少なくとも1つのリモートサーバおよびデータストレージデバイス20上に配置する。これは、人固有対話機会分類子7.1、7.2、7.3をトレーニングするための学習段階のために複数の人A、B、C、Dのさらに包括的な人固有トレーニングサンプルデータベース6.1、6.2、6.3を使用するシステム1’による相互対話機会検出にとって有利である。人固有対話機会分類子7.1、7.2、7.3はまた、システム1の分類子データよりも複雑な構造のものである。人固有トレーニングデータサンプル6.1、6.2、6.3はそれぞれ、ユーザ(人A)からの人固有の対話データを、ユーザからのユーザ状態データ、および1人のさらなる人B、C、Dからのさらなるユーザ状態データと組み合わせる。
【0117】
人固有トレーニングサンプルデータベース6は、人B、C、Dのそれぞれからネットワーク10を介してユーザ状態データ11を入手する。
【0118】
より具体的には、ユーザに関連付けられている人固有トレーニングサンプルデータベース6は、ユーザに関する対話データと、第1の人Bを含む対話と、ユーザのユーザ状態データと、第1の人Bのユーザ状態データ11.1とを含む人固有トレーニングサンプル6.1の第1のセットを含む。同様に、人固有トレーニングサンプル6.2の第2のセットは、ユーザに関する対話データと、第2の人Cを含む対話と、ユーザのユーザ状態データと、第2の人Cのユーザ状態データ11.2とを含む。人固有トレーニングサンプル6.3の第3のセットは、ユーザに関する対話データと、第3の人Dを含む対話と、ユーザのユーザ状態データと、第3の人Dのユーザ状態データ11.3とを含む。
【0119】
人固有対話機会分類子モジュール7は、人固有対話機会分類子7.1、7.2、7.3を含む分類子データを含み、それらは、それぞれ人固有トレーニングサンプル6.1、6.2、および6.3の第1、第2、および第3のセットを使用してトレーニングされる。
【0120】
たとえば、人固有対話機会分類子7.1は、第1の人固有トレーニングデータサンプル6.1に基づいて学習する。したがって人固有対話機会分類子7.1は、ユーザの現在のユーザ状態データに基づいて、および人Bの現在のユーザ状態データ12.1に基づいて、ユーザ(人A)と人Bとの間における対話に関する第1の相互対話スコア13.1を提供するようにトレーニングされる。したがって、予測された第1の相互対話スコア13.1は、ユーザと人Bとの間におけるソーシャル対話について決定するためのさらに包括的な決定尺度を提供する。なぜなら、ユーザおよび人Bの両方のユーザ状態が考慮に入れられるからである。したがって、推奨または開始されたアクションは、成功の高められた確率を有することになる。なぜなら、対話の開始者(ユーザ、人A)および対話の宛先(人B)の両方が考慮され、予測される対話スコア13.1に影響するからである。予測された対話スコア13.1は、機会選択モジュール8に提供され、機会選択モジュール8は、それに基づいて対話識別子を生成する。対話識別子は次いで、ユーザAに関連付けられているそれぞれのHMI9に提供され得る。
【0121】
代替として、または追加として、生成された対話識別子は、人Bに関連付けられているHMI9.1に提供され得る。加えて、生成された対話識別子はさらに、人Cに関連付けられているHMI9.2に、および/または人Dに関連付けられているHMI9.3に提供され得る。
【0122】
ユーザAの現在のユーザ状態データに基づく、そしてさらに人Cの現在のユーザ状態データ12.2に基づく、ユーザ(人A)と人Cとの間における対話に関する第2の相互対話スコア13.2は、ユーザAと人Bとの間における対話に関する第1の相互対話スコア13.1に対応する様式で予測され得る。
【0123】
ユーザの現在のユーザ状態データに基づく、そしてさらに人Dの現在のユーザ状態データ12.3に基づく、ユーザAと人Dとの間における対話に関する第3の相互対話スコア13.3は、ユーザAと人Bとの間における対話に関する第1の相互対話スコア13.1に対応する様式で予測され得る。
【0124】
予測された第2および第3の対話スコア13.2、13.3は、それぞれユーザAと人Cとの間における、およびユーザAと人Dとの間におけるソーシャル対話について決定するための対応する有利で包括的な決定尺度を提供する。
【0125】
図3は、例示的な実施形態による、少なくとも1人の他者との間でのユーザのためのソーシャルネットワークにおける対話プロセスを改善するための方法の簡略化されたフローチャートを示している。
図3は、この方法がトレーニング段階およびその後の適用段階において実行されているところを示している。
【0126】
トレーニング段階はステップS1で開始し、そこでは、少なくともユーザ状態についてのセンサデータ、および人間と少なくとも1人の他者B、C、Dとのソーシャル対話についての対話データが取得される。ユーザ状態についての取得されたセンサデータは、少なくとも1人の他者B、C、Dのユーザ状態についての少なくともセンサデータを含む。ユーザ状態についての取得されたセンサデータはさらに、ユーザ(人A)のユーザ状態についてのセンサデータを含み得る。
【0127】
ステップS1はまた、取得されたセンサデータから少なくとも1人の他者B、C、Dおよびユーザのユーザ状態を推測するサブステップを含み得る。
【0128】
ステップS2において、取得されたセンサデータおよび対話データが分析される。取得されたセンサデータおよび取得された対話データの分析は、分類子データを生成する。生成された分類子データは、その後にメモリ20に格納される。
【0129】
適用段階では、ステップS3において、少なくとも1人の他者B、C、Dの少なくともユーザ状態についての現在のセンサデータが取得される。
【0130】
ステップS4において、取得された現在のセンサデータおよび生成された分類子データに基づく、ユーザAに関する対話スコアが予測される。
【0131】
ステップS4に続くステップS5において、ソーシャルネットワークにおける少なくとも1人の他者B、C、Dとの対話についてのユーザAに関する対話識別子が、予測された対話スコアに基づいて生成される。
【0132】
ステップS6において、HMI9は、対話識別子に基づいてソーシャルネットワーク上での対話をユーザAに推奨する。代替として、または追加として、HMI9は、対話識別子に基づいてソーシャルネットワーク上でユーザAと少なくとも1人の他者B、C、Dとの対話を直接開始する。
【0133】
図4は、本開示の例示的な実施形態によるシステム1、1’の例示的な構造を示している。システム1、1’は、複数の電子通信デバイス15、16、17、18を含み、それらは、ネットワーク10を介して通信することが可能である。複数の電子通信デバイス15、16、17、18のうちのそれぞれの電子通信デバイス15、16、17、18は、1人の人A、B、C、Dに関連付けられている。電子通信デバイス15、16、17、18の通信モジュール23は、電子通信デバイス15、16、17、18のそれぞれのペアの間における通信(ピアツーピア通信)、電子通信デバイス15、16、17、18のうちの1つから電子通信デバイス15、16、17、18のうちの2つ以上への通信(マルチキャスト通信)、および電子通信デバイス15、16、17、18のうちの1つから他のすべての電子通信デバイス15、16、17、18への通信(ブロードキャスト通信)を可能にする。
【0134】
さらに、ネットワーク10はまた、通信モジュール23を使用して電子通信デバイス15、16、17、18のそれぞれからサーバ19への通信を可能にし得る。サーバ19は、データをデータストレージデバイス20に格納するために、およびデータストレージデバイス20からデータを読み取るために、データストレージデバイス(メモリ)20にアクセスし得る。
【0135】
電子通信デバイス15、16、17、18のそれぞれは、プロセッサ21(コンピューティングユニット、ローカルコンピューティングユニット)と、データをローカルに格納するためのメモリ22(ストレージユニット、ローカルストレージユニット)とを含む。
【0136】
本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく、本発明の構造に対してさまざまな修正および変形が行われることが可能であるということは、当業者にとって明らかであろう。上記を考慮すると、本発明の修正および変形が以降の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範疇内に収まるならば、本発明はそれらの修正および変形をカバーするということが意図されている。
【符号の説明】
【0137】
1 システム
1’ システム
2 データ取得インターフェース、データ取得モジュール
3 センサ
4 ユーザ状態推測モジュール
5 対話開始/成功検出モジュール
6 人固有トレーニングサンプルデータベース
6.1 トレーニングサンプル、トレーニングデータサンプル、人固有トレーニングサンプルデータベース、人固有トレーニングデータサンプル
6.2 トレーニングサンプル、トレーニングデータサンプル、人固有トレーニングサンプルデータベース、人固有トレーニングデータサンプル
6.3 トレーニングサンプル、トレーニングデータサンプル、人固有トレーニングサンプルデータベース、人固有トレーニングデータサンプル
7 対話機会分類子モジュール
7.1 人固有対話機会分類子
7.2 人固有対話機会分類子
7.3 人固有対話機会分類子
8 機会選択モジュール
9 人間対話インターフェース(HMI)
9.1 HMI
9.2 HMI
9.3 HMI
10 ネットワーク
11 ユーザ状態データ
11.1 ユーザ状態データ
11.2 ユーザ状態データ
11.3 ユーザ状態データ
12.1 現在のユーザ状態データ
12.2 現在のユーザ状態データ
12.3 現在のユーザ状態データ
13.1 対話スコア
13.2 対話スコア
13.3 対話スコア
15 電子通信デバイス
16 電子通信デバイス
17 電子通信デバイス
18 電子通信デバイス
19 サーバ
20 データストレージデバイス、メモリ
21 プロセッサ
22 メモリ
23 通信モジュール
A 人、ユーザ
B 人、第1の人、他者
C 人、第2の人、他者
D 人、第3の人、他者