IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメントの特許一覧

<>
  • 特許-フレネルレンズ、及び画像観察装置 図1
  • 特許-フレネルレンズ、及び画像観察装置 図2A
  • 特許-フレネルレンズ、及び画像観察装置 図2B
  • 特許-フレネルレンズ、及び画像観察装置 図3
  • 特許-フレネルレンズ、及び画像観察装置 図4
  • 特許-フレネルレンズ、及び画像観察装置 図5A
  • 特許-フレネルレンズ、及び画像観察装置 図5B
  • 特許-フレネルレンズ、及び画像観察装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】フレネルレンズ、及び画像観察装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 3/08 20060101AFI20240618BHJP
   G02B 5/04 20060101ALI20240618BHJP
   G02B 27/02 20060101ALN20240618BHJP
【FI】
G02B3/08
G02B5/04 A
G02B27/02 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021524880
(86)(22)【出願日】2020-06-03
(86)【国際出願番号】 JP2020021981
(87)【国際公開番号】W WO2020246509
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-04-28
(31)【優先権主張番号】P 2019107348
(32)【優先日】2019-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】310021766
【氏名又は名称】株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 文彦
(72)【発明者】
【氏名】石岡 学
(72)【発明者】
【氏名】龍堀 浩行
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 礼
(72)【発明者】
【氏名】只 正太郎
【審査官】中村 説志
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-68751(JP,A)
【文献】特開2017-129753(JP,A)
【文献】特開平8-75906(JP,A)
【文献】特開昭61-277935(JP,A)
【文献】国際公開第2005/059641(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/008249(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/084752(WO,A1)
【文献】特開2014-119738(JP,A)
【文献】特開2014-126713(JP,A)
【文献】特開2004-212770(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0226887(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0250310(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 3/08
G02B 5/04
G02B 27/01-27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸から外周に向かって並んでいる複数のプリズムを有しているフレネルレンズにおいて、
前記複数のプリズムのそれぞれは、前記フレネルレンズの外周に向いており前記光軸に対して傾斜している有効面と、前記光軸に向いている非有効面とを有し、前記有効面と前記非有効面との間に前記プリズムの頂部を有し、
前記複数のプリズムのうちの少なくとも1つにおいて、前記非有効面は、第1の面と、前記第1の面よりも前記プリズムの前記頂部に近い第2の面とを有し、少なくとも前記第1の面は前記光軸に対して傾斜し、
前記複数のプリズムのうちの前記少なくとも1つにおいて、前記第2の面と前記光軸との角度は、前記第1の面と前記光軸との角度よりも小さく、前記頂部から、前記第2の面と前記第1の面との境までの距離は、前記少なくとも1つプリズムの高さの半分よりも小さい
フレネルレンズ。
【請求項2】
前記少なくとも1つのプリズムは、前記頂部に湾曲面を有している
請求項1に記載されるフレネルレンズ。
【請求項3】
前記頂部から、前記第2の面と前記第1の面との境までの距離は、前記湾曲面の直径より大きい
請求項2に記載されるフレネルレンズ。
【請求項4】
前記複数のプリズムのそれぞれは前記第1の面を有し、
前記第1の面の前記光軸との角度は、前記第1の面の前記光軸からの距離に応じて変化している
請求項1に記載されるフレネルレンズ。
【請求項5】
前記第1の面と前記光軸の方向との角度は、前記フレネルレンズの抜き勾配よりも大きい
請求項1に記載されるフレネルレンズ。
【請求項6】
前記第1の面と前記光軸の方向との角度は、5度より大きく、40度以下である
請求項1に記載されるフレネルレンズ。
【請求項7】
請求項1のフレネルレンズと、表示素子とを有している画像観察装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフレネルレンズ及び画像観察装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フレネルレンズは光軸からレンズの外周に向かって並んでいる複数のプリズムで構成されている。下記特許文献1にフレネルレンズが開示されている。各プリズムは略三角形の断面を有し、有効面と非有効面とを有している。有効面は、フレネルレンズの外周に向いており且つ光軸に対して傾斜している。有効面は、所望の光学性能を有する凸レンズのレンズ面を複数の環状領域に分割したものに対応している。非有効面は、光軸に向いており且つ光軸と平行である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2017/138480号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フレネルレンズを通して動画像を見ることのできる画像観察装置において、画像の光はプリズムの有効面だけでなく、非有効面にも到達する。この光は非有効面で反射し、観察者の眼に届くことがある。非有効面で反射して観察者の眼に届く光は、フレアの原因となる。すなわち、非有効面で反射する光に起因して、画像中の発光点の周囲に光が広がっているように見える。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示で提案するフレネルレンズの一例は、光軸から外周に向かって並んでいる複数のプリズムを有している。前記複数のプリズムのそれぞれは、前記フレネルレンズの外周に向いており前記光軸に対して傾斜している有効面と、前記光軸に向いている非有効面とを有し、前記有効面と前記非有効面との間に前記プリズムの頂部を有している。前記複数のプリズムのうちの少なくとも1つにおいて、前記非有効面は第1の面と、前記第1の面よりも前記プリズムの前記頂部に近い第2の面とを有し、少なくとも前記第1の面は前記光軸に対して傾斜している。このフレネルレンズによると、フレアを抑えることができる。
【0006】
本開示で提案する画像観察装置の一例は前記フレネルレンズと表示素子とを含む。この画像観察装置によると、フレアを抑えることができる。
【0007】
なお、このフレネルレンズにおいて、非有効面は第1の面と第2の面との境で屈曲していてもよい。これとは異なり、非有効面は全体的に湾曲し、その一部が第1の面として機能し、他の一部が第2の面として機能してもよい。また、このフレネルレンズにおいて、第1の面と第2の面の双方が光軸に対して傾斜していてもよい。この場合、光軸に対する第1の面と第2の面との角度は同じであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】フレネルレンズの断面を示す概略図である。
図2A】本開示で提案するフレネルレンズの断面の拡大図である。
図2B】非有効面に起因するフレアの発生メカニズムを説明するための図である。
図3】光軸からプリズムまでの距離と、非有効面の角度との関係を説明するための図である。
図4】光軸からプリズムまでの距離と、非有効面の角度との関係を説明するための図である。
図5A】第2非有効面を有するプリズムの頂部を拡大して示す断面図である。
図5B】第2非有効面を有していないプリズムの頂部を拡大して示す断面図である。
図6】画像観察装置の一例であるヘッドマウントディスプレイを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下において、本開示で提案するフレネルレンズについて説明する。本明細書では、本開示で提案するフレネルレンズの例として、図1等に示すフレネルレンズ10について説明する。
【0010】
フレネルレンズ10は、表示素子を有する画像観察装置に搭載される。例えば、フレネルレンズ10は、ヘッドマウントディスプレイ100(図6参照)における接眼光学系として利用される。ヘッドマウントディスプレイ100は、ユーザ(観察者)の眼前に配置される表示素子IDを有している。表示素子IDは、例えば、液晶表示装置や、有機EL(electroluminescence)表示装置、マイクロLED表示装置などである。フレネルレンズ10がヘッドマウントディスプレイ100に搭載される場合、2つのフレネルレンズ10が左右に並んで配置される。ヘッドマウントディスプレイ100においては、フレネルレンズ10に加えて、フレネルレンズ10に対して光軸Z1の方向に位置する他のフレネルレンズも利用されてよい。フレネルレンズ10が搭載される画像観察装置はヘッドマウントディスプレイ100に限られず、例えばカメラの電子ビューファインダなどに適用されてもよい。
【0011】
図1で示すように、複数のプリズム11は光軸Z1と交差する面(例えば、光軸1に垂直な平面や、凹面、凸面など)に配置されている。図1において、フレネルレンズ10はプリズム11が表示素子IDに向かって突出するように配置されている。図1とは異なり、フレネルレンズ10はプリズム11が観察者の瞳に向かって突出するように配置されてもよい。
【0012】
フレネルレンズ10を光軸Z1の方向で見たときに、各プリズム11は光軸Z1を中心とする環状である。複数のプリズム11は、フレネルレンズ10を光軸Z1の方向で見たときに、径方向(光軸Z1に直交する方向)で並んでいる。各プリズム11は、有効面Esと非有効面Nsとを有している。また、各プリズム11は、有効面Esと非有効面Nsとの間に頂部11cを有している。有効面Esは、フレネルレンズ10の外周に向いており且つ光軸Z1に対して傾斜している。すなわち、光軸Z1から有効面Esの法線Deまでの距離が、フレネルレンズ10の前側(図1において、表示素子ID側)に向かって大きくなるように、有効面Esは傾斜している。有効面Esは、画像観察装置において求められる光学性能を有する凸レンズのレンズ面を、複数の環状領域に分割したものに対応している。分割されたレンズ面が光軸Z1と交差する面(例えば、光軸1に垂直な平面や、凹面、凸面など)に沿って並べられて、フレネルレンズ10を構成している。非有効面Nsは光軸Z1に向いた面である。すなわち、非有効面Nsの法線Dnは光軸Z1に向かって延びている。
【0013】
図2Aは本開示で提案するフレネルレンズ10の断面を示す図である。この図に示すように、各プリズム11において、非有効面Nsは光軸Z1に対して傾斜している斜面を有している。頂部11cに近づくに従って、光軸Z1から非有効面Nsまでの距離が大きくなるように、非有効面Nsは傾斜している。(非有効面Nsと光軸Z1との距離とは、光軸Z1に対して直交する方向での距離である。)非有効面Nsのこの傾斜によって、フレアの発生を抑えることができる。好ましくは、全てのプリズム11において、非有効面Nsは斜面を有するが、一部のプリズム11においてのみ、非有効面Nsは斜面を有してもよい。
【0014】
図2Bは、非有効面に起因するフレアの発生メカニズムを説明するための図である。この図では、フレネルレンズ10とは異なり、非有効面Nsが光軸Z1と平行なフレネルレンズ90が示されている。観察者が表示素子IDの発光点Lpを見たとき、発光点Lpから出た光L1は、プリズム91Aの有効面Esで屈折し、観察者の瞳に届く。発光点Lpからは、光L1の他にも、非有効面Nsに到達する光が発生する。図の例では、光L2は、プリズム91Aの外側にあるプリズム91Bの非有効面Nsで反射して観察者の瞳に届く。また、光L3は、プリズム91Aの内側にあるプリズム91Cの有効面Esからプリズム91Cに入射し、非有効面Nsで反射して観察者の瞳に届く。このように、観察者が表示素子IDの発光点Lpを見たとき、有効面Esで屈折して観察者の瞳に届く光L1だけでなく、非有効面Nsで反射して観察者の瞳に届く光L2・L3が発生する。この光L2・L3がフレアの原因となる。以下では、光L2・L3で表されるように非有効面Nsに向かう光を「非有効光」と称し、光L1で表されるように有効面Esに入射する光を「有効光」と称する。
【0015】
図2Aで示すように、フレネルレンズ10においても、観察者が表示素子IDの発光点Lpを見たとき、発光点Lpから出た有効光L1は、プリズム11Aの有効面Esで屈折し、観察者の瞳に届く。また、発光点Lpからは、上述した非有効光L2・L3が発生する。(図2Aで示す非有効光L2・L3が発光点Lpから出る方向と、図2Bで示す非有効光L2・L3が発光点Lpから出る方向は同じである。)しかしながら、フレネルレンズ10において、非有効面Nsは光軸Z1に対して傾斜し、非有効面Nsと光軸Z1の方向との間には角度θnが確保されている。そのため、非有効光L2は、プリズム11Aの外側にあるプリズム11Bの非有効面Nsで全反射するものの、観察者の瞳の位置を逸れる。また、非有効面Nsが光軸Z1に対して傾斜しているので、非有効光L3も観察者の瞳の位置を逸れる。言い換えれば、非有効光L2・L3が観察者の瞳の位置を逸れるように、各プリズム11において角度θnが設計されている。このため、フレアの発生を抑えることができる。
【0016】
非有効面Nsと光軸Z1との角度θnは、抜き勾配よりも大きい。「抜き勾配」とは、金型を利用したフレネルレンズ10の成形時に、金型と成形品(フレネルレンズ10)との分離を円滑化するために、金型表面に形成した斜面であり、この斜面は金型と成形品との分離方向に対して傾斜している。抜き勾配は例えば1度から5度である。これに対して、非有効面Nsと光軸Z1の方向との角度θnは、例えば、5度よりも大きい。角度θnは、好ましくは15度よりも大きい。角度θnは、より好ましくは20度よりも大きい。角度θnは、さらに好ましくは、30度よりも大きい。また、角度θnは40度よりも小さい。より好ましくは、角度θnは、35度よりも小さい。
【0017】
光軸Z1からプリズム11までの距離に応じて、非有効面Nsの角度θnは変化していてもよい。こうすることで、非有効光L2・L3が観察者の瞳に達することを、より効果的に防ぐことができる。有効面Esの角度(フレネルレンズ10の光学特性)によっては、例えば、光軸Z1からプリズム11までの距離が大きくなるに従って、角度θnは大きくなってもよい。反対に、有効面Esの角度によっては、光軸Z1からプリズム11までの距離が大きくなるに従って、角度θnは小さくなってもよい。
【0018】
図3及び図4は、光軸Z1からプリズムまでの距離と、角度θnとの関係を説明するための図である。
【0019】
図3の(a)は、光軸Z1に近いプリズム91(非有効面Nsが傾斜していないプリズム)を表し、図3の(b)は、光軸Z1からの距離が相対的に大きいプリズム91を表している。上述したように、フレネルレンズを構成する複数の有効面Esは、凸レンズのレンズ面を分割したものに対応している。そのため、図3の(a)で示すように、光軸Z1に近い位置では、有効面Esの傾斜は相対的に緩くなり、図3の(b)で示すように、光軸Z1から遠い位置では、有効面Esの傾斜は相対的に急になる。そのため、非有効光L3の非有効面Nsへの入射角θe1・θe2は、光軸Z1から近いプリズム91(図3の(a))よりも、光軸Z1から遠いプリズム91(図3の(b))において小さくなる。(すなわち、図3の(b)で示す入射角θe2は、図3の(a)で示す入射角θe1より小さい。)そのため、光軸Z1に近い位置では、非有効面Nsと光軸Z1の方向との角度θnが相対的に小さくても、非有効光L3が非有効面Nsに達することを防ぐことが可能となる。このように、非有効面Nsに対する非有効光L3の入射角θe1・θe2が光軸Z1からの距離によって異なるため、非有効面Nsの角度θnも光軸Z1からの距離によって変えるのが望ましい。
【0020】
図4は、発光点Lp1・Lp2から出る非有効光L21・L22・L23・L24を示している。光軸Z1に近い発光点Lp1から出た非有効光L21・L22は、フレネルレンズ10に達する。これに対して、光軸Z1から遠い発光点Lp2から出た非有効光のうち一部(光L24)は、フレネルレンズ10の外側を通過する。このため、フレネルレンズ10の外周部に近づくに従って、観察者の瞳に非有効光L2(図2A参照)が届きにくくなる。そのため、フレネルレンズ10の外周部では、非有効面Nsと光軸Z1の方向との角度θnが小さくても、非有効光L2(図2A参照)が観察者の瞳に届くことを抑えることができる。このため、フレネルレンズ10の外周部では、非有効面Nsの角度θnは相対的に小さくてよい。
【0021】
図5Aは、プリズム11の頂部11cを拡大して示す断面図である。図5Aで示すように、プリズム11は、その頂部11cに、湾曲面Csを有している。このような湾曲面Csを頂部11cに形成することにより、フレネルレンズ10の成形が容易となる。
【0022】
また、プリズム11の非有効面Nsは、頂部11cから相対的に遠い第1非有効面Ns1と、頂部11cに相対的に近い第2非有効面Ns2とを含んでいる。第1非有効面Ns1と第2非有効面Ns2は光軸Z1の方向で並んでいる。第1非有効面Ns1と光軸Z1の方向との間に、上述した角度θnが確保されている。第1非有効面Ns1の角度θnは、図3及び図4を参照しながら説明したように、光軸Z1からの距離に応じて変化してもよい。第2非有効面Ns2と光軸Z1の方向との角度は、第1非有効面Ns1と光軸Z1の方向との角度θnよりも小さい。
【0023】
図5Aで示すように、発光点Lp1から出た光の一部(図5Aにおいて光L4)は、この湾曲面Csで屈折し、プリズム11に入射する。第2非有効面Ns2はこの光L4が観察者の瞳に到達することを防ぐ。図5Bは、このような第2非有効面Ns2を有していないプリズム11を示している。この図において、発光点Lp1の位置や、発光点Lp1から出る光L4の方向は、図5Aのそれらと同じである。図5Bで示すように、非有効面Nsが第2非有効面Ns2を有しておらず、その全体において光軸Z1に対して傾斜している場合、湾曲面Csで屈折し、非有効面Nsに沿って進む光L4が発生する。この光L4が観察者の瞳に到達すると、フレアの原因となる。これに対して、図5Aで示すプリズム11においては、非有効面Nsに第2非有効面Ns2が形成されているので、第2非有効面Ns2が光L4を遮り、観察者の瞳に光L4が到達することを防ぐ。
【0024】
なお、図5Aで示すプリズム11においては、発光点Lp2から出て第2非有効面Ns2の外面で反射した光L5を、第1非有効面Ns1で遮り、観察者の瞳に光L5が到達することを防ぐこともできる。
【0025】
第2非有効面Ns2は、例えば、光軸Z1と平行である。第2非有効面Ns2は、光軸Z1に対して傾斜していてもよい。この場合、第2非有効面Ns2と光軸Z1との角度は、上述した抜き勾配と同じであってもよいし、或いは、抜き勾配より大きくてもよい。
【0026】
図5Aで示すように、プリズム11の頂部11c(プリズム11の最上端)から第2非有効面Ns2と第1非有効面Ns1との境Mまでの距離H4(光軸Z1に沿った方向での距離)は、湾曲面Csの直径よりも大きい。距離H4をこのように設計することによって、言い換えれば、第2非有効面Ns2のサイズをこのように設計することによって、湾曲面Csで屈折した光に対して第2非有効面Ns2を有効に機能させることができる。なお、この説明において、「湾曲面Csの直径」とは、湾曲面Csの内側に接する仮想的な円R(図5A参照)の直径である。円Rは、湾曲面Csの内側に接する仮想的な円のうち最も大きな直径を有する円である。湾曲面Csの直径は、例えば、3μm以上、20μm以下である。したがって、湾曲面Csの直径が3μmより大きい場合、頂部11cから第2非有効面Ns2と第1非有効面Ns1との境Mまでの距離H4は、例えば、3μmより大きい。
【0027】
また、プリズム11の頂部11cから第2非有効面Ns2と第1非有効面Ns1との境Mまでの距離H4は、プリズム11の高さH5(図2A参照)の半分よりも小さい。距離H4をこのように設計することによって、第1非有効面Ns1のサイズを確保できる。その結果、非有効光L2・L3(図3参照)が観察者の瞳に届くことを防ぐことができる。なお、この説明において、プリズム11の高さH5は、隣り合う2つのプリズム11の非有効面Nsと有効面Esとの境から頂部11cまでの距離(光軸Z1に沿った方向での距離)である。
【0028】
以上説明したように、複数のプリズム11のそれぞれは、フレネルレンズ10の外側に向いており光軸Z1に対して傾斜している有効面Esと、光軸Z1に向いている非有効面Nsとを有し、有効面Esと非有効面Nsとの間にプリズム11の頂部11cを有している。各プリズム11において、非有効面Nsは第1非有効面Ns1と、第1非有効面Ns1よりもプリズム11の頂部11cに近い第2非有効面Ns2とを有している。第1非有効面は光軸Z1に対して傾斜している。この構造によると、非有効光L2・L3が観察者の瞳に達し、フレアを生じることを抑えることができる。
【0029】
なお、本開示で提案するフレネルレンズは、上述したフレネルレンズ10の例に限られない。
【0030】
例えば、第2非有効面Ns2と光軸Z1の方向との角度は、第1非有効面Ns1と光軸Z1の方向との角度と同じであってもよい。すなわち、非有効面Nsは平らな平面であってもよい。
【0031】
さらに他の例では、非有効面Nsは、第1非有効面Ns1と第2非有効面Ns2との間の境Mで屈曲していなくてもよい。すなわち、非有効面Nsは全体的に湾曲し、第1非有効面Ns1と第2非有効面Ns2が滑らかに繋がっていてもよい。
【0032】
さらに他の例では、非有効面Nsは、第1非有効面Ns1と第2非有効面Ns2とに加えて、それらとは角度の異なる第3非有効面や、第4非有効面を有してもよい。

図1
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図6