(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】塞栓保護のための方法、システム、および装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/22 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
A61B17/22 528
(21)【出願番号】P 2021526738
(86)(22)【出願日】2019-11-15
(86)【国際出願番号】 US2019061739
(87)【国際公開番号】W WO2020102679
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2022-11-15
(32)【優先日】2018-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521208826
【氏名又は名称】バリーン・メディカル・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン・カイルカハン
(72)【発明者】
【氏名】アレックス・カイルカハン
【審査官】羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0172919(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0042626(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0230285(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0069003(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0025555(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0282370(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0088790(US,A1)
【文献】特開2005-095242(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0004667(US,A1)
【文献】特開平07-051381(JP,A)
【文献】特開2014-198262(JP,A)
【文献】特開2002-000701(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の細孔を含む拡張可能フィルタであって、前記複数の細孔は、妨害が限定された血液の流れを可能にするとともに、細孔径より大きな塞栓の捕捉を可能にするようなサイズである、拡張可能フィルタと、
非拡張時に少なくとも前記フィルタを収容するように構成されたシース直径を有する導入器シースと、
非拡張時に少なくともフィルタを包含する前記導入器シースを収容するように構成されたスリーブ直径を有する引き離し(TA)スリーブと
を備え、
前記TAスリーブは、近位端部からその長さの少なくとも一部に沿って、互いに引き裂き可能または分離可能な複数の部分を有し、
前記導入器シースは、前記導入器シースが前記フィルタを覆って前記フィルタの拡張を抑制する第1形態と、前記導入器シースの近位セクションが折り重なって遠位側で前記フィルタを露出させる第2形態との間で変形可能であるように、長手方向に伸縮可能な構造を含み、
前記フィルタは、前記導入器シースが前記第1形態にある状態では拡張が抑制され、前記導入器シースが前記第2形態にある状態では拡張する、塞栓保護システム(EPS)。
【請求項2】
前記導入器シースは、前記第2形態から前記第1形態に変形可能である、請求項1に記載の塞栓保護システム(EPS)。
【請求項3】
前記導入器シースは、アコーディオンのように長手方向に伸縮可能な構造を含む、請求項2に記載の塞栓保護システム(EPS)。
【請求項4】
本体直径および遠位セクションを有する拡張可能な内側本体をさらに備え、前記内側本体は、前記フィルタと結合されるかまたは前記フィルタと一体に形成され、前記導入器シースの内側に収容される、請求項1に記載の塞栓保護システム(EPS)。
【請求項5】
本体直径および遠位セクションを有する拡張可能な内側本体をさらに備え、前記内側本体は、前記フィルタと結合されるかまたは前記フィルタと一体に形成され、前記導入器シースの内側に収容される、請求項1から3のいずれか一項に記載の塞栓保護システム(EPS)。
【請求項6】
前記フィルタは、前記内側本体の少なくとも前記遠位セクションに接
触して配置される、請求項4または5に記載の塞栓保護システム(EPS)。
【請求項7】
少なくとも前記フィルタの1つまたは複数のエリア上に配置された放射線不透過性マーカーをさらに備える、請求項1に記載の塞栓保護システム(EPS)。
【請求項8】
前記マーカーは、白金および金のうちの少なくとも一方の少なくとも1つのストランド、ならびに/または白金および金のうちの少なくとも一方のコーティングを備える、請求項7に記載の塞栓保護システム(EPS)。
【請求項9】
前記フィルタおよび前記内側本体の遠位セクションのうちの少なくとも一方の1つまたは複数のエリア上に配置された放射線不透過性マーカーをさらに備える、請求項4から6のいずれか一項に記載の塞栓保護システム(EPS)。
【請求項10】
前記マーカーは、白金および金のうちの少なくとも一方の少なくとも1つのストランド、ならびに/または白金および金のうちの少なくとも一方のコーティングを備える、請求項9に記載の塞栓保護システム(EPS)。
【請求項11】
前記シース直径は、前記フィルタの非拡張時に、前記内側本体およびフィルタを、前記内側本体および前記フィルタの遠位部分を含め、収容するように構成される、請求項4から6、9および10のいずれか一項に記載の塞栓保護システム(EPS)。
【請求項12】
前記導入器シースは、0.025~0.250mmの厚さを有する壁、前記導入器シースの近位端部上に配置され、医療処置用の流体を供給するためのフラッシュチューブを接続する導入器ハブ、医療処置用の流体を供給するフラッシュポートのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の塞栓保護システム(EPS)。
【請求項13】
前記細孔は、0.1mm~1.0mmのサイズである、請求項1に記載の塞栓保護システム(EPS)。
【請求項14】
前記導入器シースは、0.025~0.250mmの厚さを有する壁、前記導入器シースの近位端部上に配置され、医療処置用の流体を供給するためのフラッシュチューブを接続する導入器ハブ、医療処置用の流体を供給するフラッシュポートのうちの少なくとも1つを含み、前記細孔は、0.1mm~1.0mmのサイズである、請求項1から11のいずれか一項に記載の塞栓保護システム(EPS)。
【請求項15】
前記TAスリーブの前記スリーブ直径は、前記フィルタの非拡張時に前記内側本体およびフィルタを包含する前記導入器シースを収容するように構成される、請求項4から6および9から11のいずれか一項に記載の塞栓保護システム(EPS)。
【請求項16】
前記TAスリーブは、近位端部に、径方向外側に突出した少なくとも1つのプルタブを含む、請求項1に記載の塞栓保護システム(EPS)。
【請求項17】
前記TAスリーブは、近位端部に、径方向外側に突出した少なくとも2つのプルタブを含む、請求項1に記載の塞栓保護システム(EPS)。
【請求項18】
前記TAスリーブは、近位端部に、径方向外側に突出した少なくとも1つのプルタブを含むか、または前記近位端部に、径方向外側に突出した少なくとも2つのプルタブを含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の塞栓保護システム(EPS)。
【請求項19】
前記フィルタおよび/または前記内側本体の遠位セクションの少なくとも一部は、前記フィルタおよび/または前記内側本体の遠位セクションが位置付けられる血管の内壁に対して力を加えるようなサイズまで拡張するように構成される、請求項4から6、9から11、および15のいずれか一項に記載の塞栓保護システム(EPS)。
【請求項20】
前記TAスリーブの近位端部を包みかつ/または封止するように構成された第1のハウジングをさらに備える、請求項1に記載の塞栓保護システム(EPS)。
【請求項21】
前記TAスリーブの近位端部を包みかつ/または封止するように構成された第1のハウジングをさらに備える、請求項1から19のいずれか一項に記載の塞栓保護システム(EPS)。
【請求項22】
前記第1のハウジングを包みかつ/または封止するように構成された第2のハウジングをさらに備える、請求項20に記載の塞栓保護システム(EPS)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2018年11月15日に出願され、「SYSTEMS, APPARATUSES, DEVICES AND METHODS FOR EMBOLIC PROTECTION」と題された米国仮特許出願第62/767,860号、および2019年1月14日に出願され、「METHODS, SYSTEMS, AND DEVICES FOR EMBOLIC PROTECTION」と題された米国仮特許出願第62/792,362号の利益および優先権を主張し、これらの米国仮特許出願の両方が、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
過去10年間に、構造的心疾患のためのカテーテルベースの治療、例えば、経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)および経カテーテル僧帽弁置換術(TMVR)において、大規模な開発が行われている。脳塞栓症は、このような処置の既知の合併症であり、血栓、アテローム、および脂質を含み得る塞栓粒子が、植え込み処置中に移動し、血流に入って、脳および他の生命の維持に必要不可欠の器官に塞栓を形成し得る。脳塞栓症は、重篤な神経障害、卒中、また、死さえも引き起こし得る。さらに、腎臓など、生命の維持に必要不可欠の器官における塞栓症は、これらの器官の機能を著しく損ない得、入院、生活の質の低下、また、場合によっては死を引き起こす。したがって、脳および他の生命の維持に必要不可欠の器官における塞栓症の予防は、これらの処置の結果を改善することにより、大いに患者のためになり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示の実施形態は、塞栓保護のための方法、システムおよび装置を対象とし、さらに具体的には、例えば、送達/植え込みシステム、ならびに人工心臓弁を心臓内に送達もしくは植え込みするか、または、処置中に移動もしくは発生した塞栓を捕捉するかもしくは別様にとらえることが、関連する合併症(例えば、卒中)を防ぐのに必要である、心臓もしくは血管処置を実行するための方法を含む、外科システムおよび方法用の、塞栓保護のための方法、システム、および装置を対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
したがって、いくつかの実施形態では、塞栓保護システム(EPS)が提供され、これは、本体直径および遠位セクションを有する内側本体と、内側本体の少なくとも遠位セクション上にまたはこれに隣接して配置された拡張可能フィルタとを備えるか、または別様に含む。フィルタは、複数の細孔を含むように構成され、複数の細孔は、いくつかの実施形態では約0.100mm~1.000mmのサイズにされて、妨害が限定された血液の流れを可能にするとともに、細孔径より大きな塞栓の捕捉を可能にする。このような実施形態は、フィルタおよび内側本体の遠位セクションのうちの少なくとも一方の1つまたは複数のエリア上に配置された放射線不透過性マーカーをさらに含み得、マーカーは、フィルタと共に含まれる白金および金のうちの少なくとも一方の少なくとも1つのストランド、ならびに/または白金および金のうちの少なくとも一方のコーティングを備え得る。
【0005】
さらに、前述した実施形態は、拡張可能な導入器シース(IS)をさらに含み得、これは、スリーブとも呼ばれ得、非拡張時に、遠位部分を含め、内側本体およびフィルタを収容するように構成されたシース直径を有する。いくつかの実施形態では、導入器シースは、いくつかの実施形態では約0.025~0.250mmの、厚さを有する壁を含み得る。導入器シースは、その近位端部上に配置された導入器ハブ、およびフラッシュポートをさらに含み得る。
【0006】
前述した実施形態は、非拡張時に内側本体およびフィルタを包含する導入器シースを収容するように構成されたスリーブ直径を有する引き離し(TA)スリーブと、導入器シース内部および本体直径内部に嵌まるように構成された拡張器直径を有する拡張器とをさらに含み得、拡張器は、円錐形の遠位先端部および近位拡張器ハブを含み得る。
【0007】
少なくとも前述した実施形態のうちのいくつかにおいて、
- TAスリーブは、近位端部に少なくとも1つのプルタブを含み、少なくともフィルタの拡張前にTAスリーブが近位に引っ張られるかまたは別様に導かれるにつれて、少なくとも1つのプルタブを介して、少なくとも最初は近位端部からその長さの少なくとも一部に沿って引き裂かれるかもしくは別様に分離するように構成され、
- 少なくともフィルタは、導入器シースを近位方向に引っ込めることにより遠位に露出されると拡張し、それによって、導入器シースは、それ自体の上にアコーディオンのように近位に折り重なり、
- フィルタおよび/もしくは内側本体の遠位セクションの少なくとも一部は、フィルタおよび/もしくは内側本体の遠位セクションが位置付けられる血管の内壁に対して力を加えるようなサイズまで拡張するように構成され、
- 導入器シースは、その長さの少なくとも一部にわたり約10cm~30cm拡張するように構成され、
かつ/または、
- 少なくとも拡張したフィルタは、導入器シースが遠位に移動すると導入器シースの遠位端部により拡張後に再び捕捉されるように構成される。
【0008】
いくつかの実施形態では、塞栓保護システム(EPS)が提供され、これは、複数の細孔を含む拡張可能フィルタであって、複数の細孔は、いくつかの実施形態では約0.100mm~1.000mmのサイズにされて、妨害が限定された血液の流れを可能にするとともに、細孔径より大きな塞栓の捕捉を可能にする、拡張可能フィルタと、非拡張時に少なくともフィルタを収容するように構成されたシース直径を有する導入器シースであって、導入器シースは、いくつかの実施形態では約0.025~0.250mmの、厚さを有する壁を含む、導入器シースと、非拡張時に少なくともフィルタを包含する導入器シースを収容するように構成されたスリーブ直径を有する引き離し(TA)スリーブとを備える。このような実施形態では、TAスリーブは、フィルタの拡張前にTAスリーブが近位に引っ張られるかまたは別様に導かれるにつれて、近位端部からその長さの少なくとも一部に沿って引き裂かれるかまたは別様に分離するように構成され、フィルタは、導入器シースを近位方向に引っ込めることにより遠位に露出されると拡張し、それによって、導入器シースは、それ自体の上に近位に折り重なる。
【0009】
このような実施形態は、以下の特徴、説明、構造、または機能性(適用可能な場合)のうちの1つおよび/または別の1つ(いくつかの実施形態では複数、さらなる実施形態ではすべて)を含み得る:
- 少なくとも拡張したフィルタは、導入器シースが遠位に移動すると導入器シースの遠位端部により拡張後に再び捕捉されるように構成される、
- 導入器シースは、それ自体の上にアコーディオンのように近位に折り重なる、
- 本体直径および遠位セクションを有する内側本体、
- フィルタは、内側本体の少なくとも遠位セクション上にまたはこれに隣接して配置される、
- 少なくともフィルタの1つまたは複数のエリア上に配置された放射線不透過性マーカーであって、
〇マーカーは、フィルタと共に含まれる白金および金のうちの少なくとも一方の少なくとも1つのストランド、ならびに/または白金および金のうちの少なくとも一方のコーティングを備え得る、放射線不透過性マーカー、
- フィルタおよび内側本体の遠位セクションのうちの少なくとも一方の1つまたは複数のエリア上に配置された放射線不透過性マーカーであって、
〇マーカーは、フィルタと共に含まれる白金および金のうちの少なくとも一方の少なくとも1つのストランド、ならびに/または白金および金のうちの少なくとも一方のコーティングを備え得る、放射線不透過性マーカー、
- 導入器シース直径は、非拡張時に、遠位部分を含め、内側本体およびフィルタを収容するように構成され得る、
- 導入器シースは、約0.025~0.250mmの厚さを有し得る壁、その近位端部上に配置された導入器ハブ、およびフラッシュポートのうちの少なくとも1つを含む、
- TAのスリーブ直径は、非拡張時に内側本体およびフィルタを包含する導入器シースを収容するように構成され得る、
- IS内部に嵌まるように構成された拡張器直径を有する拡張器であって、拡張器は、円錐形の遠位先端部および近位拡張器ハブのうちの少なくとも1つを含み得る、拡張器、
- IS内部および本体直径内部に嵌まるように構成された拡張器直径を有する拡張器であって、拡張器は、円錐形の遠位先端部および近位拡張器ハブのうちの少なくとも1つを含み得る、拡張器、
- TAスリーブは、近位端部に少なくとも1つのプルタブを含み得る、
- TAは、近位端部からその長さの少なくとも一部に沿って引き裂かれるかまたは別様に分離するように構成され得、いくつかの実施形態では、このような引き裂きは、少なくともフィルタの拡張前にTAスリーブが近位に引っ張られるかまたは別様に導かれるにつれて、少なくとも最初は少なくとも1つのプルタブを介して行われる、
- フィルタおよび/または内側本体の遠位セクションの少なくとも一部は、フィルタおよび/または内側本体の遠位セクションが位置付けられる血管の内壁に対して力を加えるようなサイズまで拡張するように構成され得る、
- 導入器シースの長さの少なくとも一部は、拡張するように構成され、拡張は、いくつかの実施形態では約10cm~30cmとすることができる、
- TAスリーブの近位端部を、実質的に包み、いくつかの実施形態では包んで封止するように構成された第1のハウジングであって、第1のハウジングは、ガイド内腔を備え得る、第1のハウジング、
ならびに、
- 第1のハウジングを包み、いくつかの実施形態では第1のハウジングを包んで封止するための第2のハウジングであって、第2のハウジングは、ガイド内腔を備える、第2のハウジング。
【0010】
いくつかの実施形態では、塞栓保護導入器シースが提供され、これは、非拡張時に少なくとも拡張可能フィルタを収容するように構成されたシース直径を有するスリーブを備える。導入器シースは、約0.025~0.250mmの厚さを有する壁を含み得、フィルタは、導入器シースが近位方向に移動することにより遠位に露出されると拡張するように構成され得、それによって、導入器シースは、それ自体の上に近位に折り重なる。いくつかの実施形態では、導入器シースは、導入器シースが遠位方向に移動すると少なくとも拡張したフィルタを再び捕捉するように構成される。
【0011】
このような実施形態では、導入器シースは近位において、それ自体の上にアコーディオンのように折り畳まれるように構成され、かつ/または、導入器シースは、その長さの少なくとも一部にわたり、いくつかの実施形態では約10cm~30cm、拡張するように構成される。
【0012】
いくつかの実施形態では、塞栓保護方法(EPM)が提供され、これは、任意選択で、開示されるシステムおよび/または装置の実施形態のいずれかによる塞栓保護システム(EPS)を提供するステップと、1つの/そのEPSを血管または器官内の手術場所に導くステップと、1つの/その引き離し(TA)スリーブを近位方向に引っ張るかまたは別様に移動させるステップと、TAスリーブが近位方向に引っ張られるかまたは別様に移動されるにつれて、近位端部からその長さの少なくとも一部に沿ってTAスリーブを引き裂くかまたは別様に分離するステップと、1つの/その導入器シースを近位方向に引っ張るかまたは別様に導いて1つの/そのフィルタを露出し、それによって、フィルタが露出されると、フィルタが拡張し、導入器シースがそれ自体の上に折り重なるステップとを含む。いくつかの実施形態では、フィルタおよび/または内側本体の遠位セクションの少なくとも一部は、フィルタおよび/または内側本体の遠位セクションが位置付けられる血管または器官の内壁に対して力を加えるようなサイズまで拡張するように構成される。さらに、いくつかの実施形態では、方法は、導入器シースを遠位に移動させることによって、拡張したフィルタを再び捕捉するステップをさらに含む。
【0013】
このような実施形態は、以下のステップ、特徴、説明、構造、または機能性(適用可能な場合)のうちの1つおよび/または別の1つ(いくつかの実施形態では複数、さらなる実施形態ではすべて)を含み得る:
- 外科処置を実行し、それによって、フィルタが、その処置により生成および/または移動された塞栓を捕捉するように構成される、ステップ、
- この処置は、経血管もしくは経心尖的人工心臓弁植え込みまたは生来の心臓弁修復からなる群から選択される、
- ISの長さの少なくとも一部を拡張させるステップ、
ならびに、
- 導入器シースの長さの少なくとも一部は、約10cm~30cm拡張される。
【0014】
これらおよび他の実施形態、構成要素、材料、ステップ、ならびにそれらの利点および目的は、以下の詳細な説明を参照し、また関連する図面を参照して、さらに明らかとなるであろう。図面の簡単な説明を以下に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態による塞栓保護システムまたは装置の内側本体部材の側面図である。
【
図2】本開示のいくつかの実施形態による、
図1の内側本体の上にまたは別様にこれに隣接して配置され得る、いくつかの実施形態によるフィルタ要素の側面図である。
【
図3A】本開示のいくつかの実施形態による、組立体を形成する、
図1の内側本体の上にまたは別様にこれに隣接して配置されたフィルタ要素の側面図である。
【
図3B】本開示のいくつかの実施形態による、フィルタおよび内側本体組立体の斜視図である。
【
図3C】本開示のいくつかの実施形態による、フィルタおよび内側本体組立体の別の斜視図である。
【
図3D】本開示のいくつかの実施形態による、フィルタおよび内側本体組立体の側面図である。
【
図4】本開示のいくつかの実施形態による、引き離し(TA)スリーブの側面図である。
【
図5】本開示のいくつかの実施形態による、拡張可能な導入器シース/スリーブ組立体の側面図である。
【
図6】本開示のいくつかの実施形態による引き離し導入器シースの側面図である。
【
図7A】いくつかの実施形態による、
図6の引き離し導入器シースの第1の/ハンドル部分を包みかつ/または封止するための第1のクラムシェルと、第1のクラムシェルを包みかつ/または封止するための第2のクラムシェルガイド内腔との、いくつかの実施形態による、分解された側面図である。
【
図7B】いくつかの実施形態による、
図6の引き離し導入器シースの第1の/ハンドル部分を包みかつ/または封止するための第1のクラムシェルと、第1のクラムシェルを包みかつ/または封止するための第2のクラムシェルガイド内腔との、いくつかの実施形態による、組み立てられた側面図である。
【
図8A】いくつかの実施形態による、半分の第1のクラムシェルを包みかつ/または封止する第2のクラムシェルの半部、ならびに第1のクラムシェルの半部に収容されているハンドル部分の側面図である。
【
図8B】いくつかの実施形態による、第1のクラムシェルを包みかつ/または封止する第2のクラムシェルの全体、ならびに第1のクラムシェルに収容されているハンドル部分の側面図である。
【
図9】本開示のいくつかの実施形態によるシステムおよび/または装置と共に使用される拡張器の側面図である。
【
図10】本開示のいくつかの実施形態による、引き離しスリーブと拡張可能な導入器シース組立体との組立体の側面図である。
【
図11】拡張器、拡張可能な導入器シース/スリーブ組立体、および引き離しスリーブを含む、いくつかの実施形態による組立体の側面図である。
【
図12A】本開示のいくつかの実施形態による、使用前の組立体の側面図である。
【
図12B】本開示のいくつかの実施形態による、使用時の組立体の側面図である。
【
図13A】本開示のいくつかの実施形態による、導入器スリーブの側面図であり、スリーブの機能性を示している。
【
図13B】本開示のいくつかの実施形態による、導入器スリーブの側面図であり、スリーブの機能性を示している。
【
図14A】本開示のいくつかの実施形態による塞栓保護システムの使用の概要を示し、いくつかの実施形態による、例示的な処置(例えば、心臓処置、例えば、弁修復または植え込み)を実行するための方法を示す図である。
【
図14B】本開示のいくつかの実施形態による塞栓保護システムの使用の概要を示し、いくつかの実施形態による、例示的な処置(例えば、心臓処置、例えば、弁修復または植え込み)を実行するための方法を示す図である。
【
図14C】本開示のいくつかの実施形態による塞栓保護システムの使用の概要を示し、いくつかの実施形態による、例示的な処置(例えば、心臓処置、例えば、弁修復または植え込み)を実行するための方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、いくつかの実施形態による塞栓保護システムまたは装置の内側本体部材100の側面図である。内側本体100は、いくつかの実施形態では、編組材料とすることができ、また、ニチノール、ステンレス鋼、および/またはポリマー材料(編組材料であるかどうかに関わらず)で作られ得る。遠位セクション102は、拡張能力および/または形状(例えばヒートセットを介した、例えばベル形状)を有して構成されて、内側本体またはシステムが使用される血管/組織(例えば、大動脈)、および管状近位セクション104の直径より大きな直径を達成することができる。この機能性は、内側本体100のエッジ(少なくとも)、および/または内側本体100に隣接して配置されたフィルタ(例えば、
図2を参照)を、血管(または他の組織)の内壁に対して押すように半径方向外向きの力を提供するために含まれ得る。
【0017】
図2は、いくつかの実施形態による、拡張構成で示された(上記で言及したような)フィルタ要素200の側面図であり、フィルタ要素は、(
図1に示す内側本体のベル形状と類似の)ベル形状の形態とすることができる。いくつかの実施形態による、このようなフィルタ要素200は、内側本体の上、内部、または別様にこれに隣接して配置され(例えば、
図3A~
図3D参照)、特に、(いくつかの実施形態では)内側本体の遠位部分と共に位置付けられて、組立体(例えば、
図3A参照)を形成することができる。フィルタ200は、編組要素として構成されてもよく、ニチノール、ステンレス鋼、および/またはポリマー材料(編組材料であるかどうかに関わらず)から作られ得る。フィルタの細孔径は、妨害が限定された血液の流れを可能にするように構成され得るが、フィルタによる、(細孔径により左右される)特定のサイズの塞栓および破片の捕捉も可能にする。いくつかの実施形態では、内側本体の遠位端部は、本質的にフィルタとして機能するように構成され得、よって、別個の、遠位に装着されたフィルタが不要となり得ることが、認識されるであろう。
【0018】
図3A~
図3Dは、フィルタ302と内側本体304との組立体300のさまざまな図を示す。内側本体304の管状部分306に付け加えて、いくつかの実施形態では、これにより、管状部分を通じて処置を行うことが可能になり、一方、フィルタと内側本体との組立体300は、その処置からのいかなる破片も濾過するように機能する。内側本体の近位部分308は、(シャフトとも呼ばれ得る)管状本体を形成するように構成され得、これは、(いくつかの実施形態によると)拡張可能であり、例えば、直径は、3mm~10mmの間で拡張し得る。管状部分の直径は、医療用インプラント(例えば、人工心臓弁、外科用機器など)を収容するように構成され得る。このようなものが
図3Dに開示されており、組立体300の遠位端部において、またはその近くで、ネック314から突出して示されたインプラント312が組立体内部にあることを示している。よって、いくつかの実施形態では、治療装置/インプラントは、最初に拡張可能な近位シャフトを通して、次に拡張可能なジョイント/ネック/アダプタを通して、最後にフィルタ領域を通して、送達され得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、内側本体およびフィルタ要素は、ネック部分(例えば、314)において、当業者によく知られている任意の方法を介して、カテーテル316に固定される、1つの要素を構成し得ることも注目に値する(部分316は、内側本体管状部分、または内側本体/フィルタ組立体に結合された別個のカテーテル部分と呼ぶことができる)。カテーテル/ガイド内腔部分316は、いくつかの実施形態では、内側本体(および/またはフィルタ)と同様のメッシュを備え得る。いくつかの実施形態では、ネック部分314は、カテーテル316を内側本体/フィルタ組立体に適合/結合させるアダプタまたは結合物とすることができる。このアダプタ/ジョイントは、拡張可能となるように構成されてもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、フィルタ要素は、内側本体の一部を備えるか、または別様に、同じ材料(および同じかもしくは同様の構成)で構築され得る。例えば、いくつかの実施形態では、内側本体の遠位端部は、それ自体の上に折り返されて、メッシュの、より近接した間隔を形成し得る。いくつかの実施形態では、内側本体の全長(近位から遠位まで、または実質的に遠位まで)は、多層で、全長(または実質的に全長)に沿って、メッシュの、より近接した間隔を形成し得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の白金または金線(図示せず)が、フィルタ(および/または内側本体)の遠位エッジ上でまたはこれに近接して含まれて(例えば、織られて)、例えば、X線透視下でフィルタを設置するための放射線不透過性マーカーを提供することができる。あるいは、フィルタの遠位端部の一部が、(例えば、蒸着を介して)金でコーティングされ得る。フィルタおよび/または編組はまた、(例えば)ヘパリンなどの抗血栓性材料でコーティングされ得る。
【0022】
図4は、本開示のいくつかの実施形態による、引き離し(TA)スリーブ400の側面図を示す。TAスリーブは、放射線不透過性マーカー402(例えば、以下では遠位に位置するところが示されている)と、医療専門家(または、いくつかの実施形態では、別の装置)によって把持されるように構成された、少なくとも1つの(例示されるように、いくつかの実施形態によると、2つの)引き裂き「ウィング」またはプルタブ404とを含み、スリーブ400を、いくつかの実施形態ではその長さの少なくとも一部に沿って、または(いくつかの実施形態によると)実質的にその全長に沿って、長手方向に少なくとも2つの部分(例えば、2つの半部)に引き裂くのを助けることができる。
【0023】
図5は、いくつかの実施形態による組立体の側面図であり、遠位部分501および近位部分502を備える、拡張可能な導入器シース/スリーブ組立体500を描いている。いくつかの実施形態では、組立体は、いくつかの実施形態では約0.025~0.250mmの、またいくつかの実施形態では約0.050mmの、壁厚を有する、拡張可能な導入器シース/スリーブ(IS)503を含む。導入器シース503は、(例えば)血管または器官内への送達のための、より小さな導入/送達プロファイルのため、フィルタ507および編組内側本体509を覆うように構成され得る。語句「導入器シース」および「導入器スリーブ」は、本開示全体にわたって互換的に言及され得る。組立体500はまた、導入器ハブ506を含み、これは、医療処置用の流体を供給するために、フラッシュチューブ508および対応するポート510を接続する機能性を含み得る。
【0024】
図6は、遠位部分601と、ウィング/プルタブ604を含む近位部分602とを含む、引き離し導入器シース600の別の実施例である。プルタブ604は、いくつかの実施形態では、他の要素との接続、または他の要素に対する連結のための特徴部606a~606dを含む。
【0025】
図7A~
図7Bは、第1のクラムシェルハウジング702A、702Bの分解された側面図および組み立てられた側面図であり、第1のクラムシェルハウジング702A、702Bは、いくつかの実施形態では、導入器スリーブ(
図6の参照符号600を参照)の対応するプルタブ部分の形態に適合するかまたはぴったり適合する形態で成形され得る。第1のクラムシェルはさらに、第2のクラムシェルハウジング704A、704Bによって、包まれかつ/または(いくつかの実施形態によると)封止され得、第2のクラムシェルハウジング704A、704Bは、組み立てられると、その一部が、ガイド内腔を形成する(例えば、いくつかの実施形態に関して、前述した説明を参照)。
【0026】
図8A~
図8Bは、組み立てられた半部800(
図8Aは「半部」、
図8Bは「完全体」)の側面図であり、第1のクラムシェル804を包みかつ/または封止する第2のクラムシェル802と、導入器スリーブ806のプルタブ部分とを示す。第1および/または第2のクラムシェルハウジングの半部は、いくつかの実施形態によると、部品/部分/半分に分けて構成され、それによって、それらは、TAスリーブが「引き裂かれる」のを可能にするように取り外し可能となり得る。
【0027】
図9は、本開示のいくつかの実施形態によるシステムおよび/または装置と共に使用される、遠位端部先端部902と、近位端部908上に配置された拡張器ハブ906とを備えた、拡張器900の側面図を示す。
【0028】
図10は、本開示のいくつかの実施形態(例えば
図1~
図5も参照)による、引き離しスリーブ1002、拡張可能な導入器シース組立体1000(内側本体およびフィルタを含む)の組立体の側面図である。導入器ハブ1004、フラッシュチューブ1006、フラッシュポート1008、TAスリーブ1010、およびTAスリーブ放射線不透過性マーカー1012も示されている。
【0029】
図11は、いくつかの実施形態による、完全な塞栓保護システム(EPS)1100を示し、これは、本体直径および遠位セクション1102を有する内側本体と、内側本体の少なくとも遠位セクションの上にまたはこれに隣接して配置された拡張可能フィルタ(図示せず)とを含む。拡張器1106構成要素の遠位先端部1104、2つのクラムシェルの組み立てられた半部1108(ガイド内腔1108のみが示されている)、ならびにガイド内腔1108を越えて延びる、システム1100の管状部分1112も、示されている。近位端部において、シャフトは、いくつかの実施形態では、編組材料(例えば、ポリマー、ニチノール)から作られ得、また、薄いスリーブによって覆われ得る。
【0030】
同様に、
図12Aは、いくつかの実施形態によるEPS1200の組立体の側面図を示し、これは、拡張器1202および遠位拡張器先端部1203と、拡張可能な導入器シース/スリーブ組立体1204と、引き離しスリーブ1206と、近位端部1205に位置する、拡張器ハブ1210およびフラッシュチューブ1212およびポート1214を備えた、導入器ハブ1208とを含む。
図12Bは、いくつかの実施形態によるEPS1200の側面図を示し、引き離しスリーブ1206を引き裂くところを示している。具体的には、引き離しスリーブ1206が近位方向に引っ張られるかまたは別様に移動されると、TAスリーブ1206が近位方向に引っ張られるかまたは別様に移動されるにつれて、近位端部1201からその長さの少なくとも一部に沿って、TAスリーブ1206の引き裂きまたは別様の分離が起こる。いくつかの実施形態では、これは、フィルタ1216および編組内側本体1218のうちの少なくとも1つが拡張する前に起こり得る。
【0031】
図13A~
図13Bは、導入器シース1300の機能性のうちの少なくともいくつかの側面図を示し、拡張可能なスリーブ1304が引き戻される際にフィルタ1302(および/または、いくつかの実施形態では、編組内側本体の遠位端部)がどのように露出されるかを示している。いくつかの実施形態では、これにより、導入器シースの近位セクションは、例えばアコーディオン様式1306で、(例えば)近位編組セクションの上でそれ自体の上に折り畳まれる。このような「アコーディオン」の機能性は、導入器シース自体の上に折り畳まれるような導入器シースの任意の能力、形状、および/または形態を含む。
【0032】
図14A~
図14Cは、いくつかの実施形態(例えば、上記を参照)による塞栓保護システム1400の使用の概要を示し、例示的な処置(例えば心臓処置、例えば弁修復または植え込み)を実行するための方法を示すのにも役立つ。このような例としての方法では、1つの/その塞栓保護システム1400は、大血管(例えば、大腿動脈、頸動脈)における入口を介して、血管または器官内の手術場所に導かれる。その後、外科医が、引き離し(TA)スリーブを近位方向に引っ張るかまたは別様に移動させ、TAスリーブが近位方向に引っ張られるかまたは別様に移動される(その結果、「アコーディオン」状態1401になる)につれて、TAスリーブを、近位端部からその長さの少なくとも一部に沿って引き裂くかまたは別様に分離する。導入器シース1402は次に、近位方向に引っ張られるかまたは別様に導かれて、(放射線不透過性エッジマーカー1405も含み得る)1つの/そのフィルタ1404を露出させることができ、それによって、いくつかの実施形態では、フィルタは、露出されると、拡張し(例えば、自己拡張)、導入器シース1402は、それ自体の上に近位方向に折り畳まれ得る。いくつかの実施形態では、フィルタ1402および/または内側本体の遠位セクションの少なくとも一部は、フィルタおよび/または内側本体の遠位セクションが位置付けられる血管または器官の内壁に対して力を加えるようなサイズまで拡張するように構成され、例えば、いかなる流れまたは塞栓もシステム/フィルタから逃げられないことを保証する。さらに、いくつかの実施形態では、方法は、処置の完了時に導入器シース1402を遠位に移動させることによって、拡張したフィルタ1404を再び捕捉するステップをさらに含む。導入器シース1402は、フィルタ1404を(例えば)大動脈1403から取り外す前に、スリーブが前方に押されるにつれて、導入器シースの遠位端部内に拡張可能フィルタ1404を捕捉するために引き戻される。
【0033】
発明のさまざまな実施形態が本明細書に説明および例示されてきたが、当業者は、機能を実行し、かつ/または結果および/もしくは本明細書に記載される利点のうちの1つもしくは複数を得るための、さまざまな他の手段および/または構造を容易に構想するであろうし、そのような変形例および/または修正のそれぞれは、本明細書に記載される発明の実施形態の範囲内であるとみなされる。さらに一般的には、当業者は、本明細書に記載される、ありとあらゆるパラメータ、寸法、材料、および構成は、一例であることを意図していること、ならびに、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成は、本明細書に開示される発明の教示が使用される、1つまたは複数の特定の適用によって左右されることを、容易に認識するであろう。当業者は、日常的な実験を単に使用するだけで、本明細書に記載される発明の特定の実施形態に対する多くの等価物を認識するか、または確認することができるであろう。したがって、前述した実施形態は、例として提示されたに過ぎないこと、また、添付の特許請求の範囲およびその等価物の範囲内で、発明の実施形態は、具体的に説明および主張されたのとは別様に実施され得ることが、理解される。本開示の発明の実施形態はまた、本明細書に記載される個々の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法のそれぞれを対象とする。さらに、2つ以上のそのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の任意の組み合わせは、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が互いに矛盾しない場合、本開示の発明の範囲内に含まれる。
【0034】
本明細書に開示される実施形態はまた、1つまたは複数の特徴、ならびに完全なシステム、装置および/または方法と組み合わせられて、さらに他の実施形態および発明をもたらすことができる。さらに、いくつかの実施形態は、特定の先行技術文献に開示される1つおよび/または別の特徴が明確に欠如していることによって、先行技術と識別可能とすることができ、すなわち、そのような実施形態に対する特許請求の範囲は、1つまたは複数の否定的な限定を含むことによって、先行技術と識別可能である。
【0035】
また、さまざまな発明の概念は、1つまたは複数の方法として具体化され得、その実施例が提供されている。方法の一環として実施される行為は、任意の適切な様式で順序を付けられ得る。したがって、例示されたのとは異なる順序で行為が実施される実施形態が構築され得、異なる順序には、例示的な実施形態では連続した行為として示されていてもいくつかの行為を同時に実施することが含まれ得る。
【0036】
本出願のどこかに提示される、特許、特許出願、記事、ウェブページ、書籍などを含むがこれらに限定されない、刊行物または他の文献へのありとあらゆる参照は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。さらに、本明細書で定められ使用されるような、すべての定義は、辞書の定義、参照により組み込まれる文献における定義、および/または定義された用語の通常の意味に優先するものと理解されたい。
【0037】
本明細書および特許請求の範囲で使用されるような、不定冠詞「1つの(a)」および「1つの(an)」は、明確に反対の指示がない限り、「少なくとも1つの」を意味すると理解されたい。
【0038】
本明細書および特許請求の範囲で使用されるような、語句「および/または」は、そのように結合された要素のうちの「いずれかまたは両方」、すなわち、ある場合には結合して存在し、他の場合には分離して存在する要素を意味すると理解されたい。「および/または」と共に列挙される複数の要素は、同じように、すなわち、そのように結合された要素のうちの「1つまたは複数」と解釈されたい。「および/または」節により具体的に識別された要素以外にも、具体的に識別された要素に関係するか無関係であるかに関わらず、他の要素が任意選択で存在し得る。よって、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」への言及は、「備える(comprising)」などの開放型の言語と共に使用される場合、一実施形態では、Aのみ(任意選択でB以外の要素を含む)を指し;別の実施形態では、Bのみ(任意選択でA以外の要素を含む)を指し;さらに別の実施形態では、AおよびBの両方(任意選択で他の要素を含む)を指すなどである。
【0039】
本明細書および特許請求の範囲で使用されるような、「または」は、上記で定義したような「および/または」と同じ意味を有すると理解されたい。例えば、リスト中のアイテムを分離する際、「または」または「および/または」は、包括的である、すなわち、いくつかの要素または列挙された要素のうちの、少なくとも1つを含むが、2つ以上も含み、任意選択で、列挙されていない追加のアイテムを含むものとして解釈される。「~のうちの1つのみ」もしくは「~のうちの厳密に1つ」、または、特許請求の範囲で使用される場合に、「~からなる」など、明確に反対の意味が示された用語のみが、いくつかの要素または列挙された要素のうちの厳密に1つの要素を含むことを指す。一般的に、本明細書で使用されるような、用語「または」は、「いずれか」、「~のうちの1つ」、「~のうちの1つのみ」または「~のうちの厳密に1つ」など、排他性のある用語が先行する場合、排他的な選択肢(すなわち、「一方または他方であるが、両方ではない」)を示すものとして解釈されるに過ぎない。「~から本質的になる」は、特許請求の範囲で使用される場合、特許法の分野で使用されるような、その通常の意味を有するものとする。
【0040】
本明細書および特許請求の範囲で使用されるような、語句「少なくとも1つ」は、1つまたは複数の要素のリストへの言及において、要素のそのリスト中の要素のうち任意の1つまたは複数から選択された少なくとも1つの要素を意味するが、必ずしも、要素のリスト内に具体的に列挙されたありとあらゆる要素のうちの少なくとも1つを含むものではなく、また、要素のリスト中の要素の任意の組み合わせを排除するものではないことを理解されたい。この定義は、語句「少なくとも1つ」が言及する要素のリスト内に具体的に識別された要素以外の要素が、具体的に識別された要素と関係あるか無関係であるかに関わらず、任意選択で存在し得ることも可能にする。よって、非限定的な例として、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」(または、同様な意味合いで、「AまたはBのうちの少なくとも1つ」、または、同様な意味合いで「Aおよび/またはBのうちの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、Bが存在しない状態で、任意選択で2つ以上を含む、少なくとも1つのA(任意選択で、B以外の要素を含む)を指し;別の実施形態では、Aが存在しない状態で、任意選択で2つ以上を含む、少なくとも1つのB(任意選択で、A以外の要素を含む)を指し;さらに別の実施形態では、任意選択で2つ以上を含む、少なくとも1つのA、および任意選択で2つ以上を含む、少なくとも1つのB(任意選択で、他の要素を含む)を指すことができるなどであり得る。
【0041】
特許請求の範囲では、また、上記の明細書では、「備える(comprising)」、「含む(including)」、「持つ(carrying)」、「有する(having)」、「包含する(containing)」、「伴う(involving)」、「保持する(holding)」、「~から構成される(composed of)」などといった移行句はすべて、開放型であり、すなわち、含むが限定されないことを意味すると理解される。「~からなる(consisting of)」および「~から本質的になる(consisting essentially of)」の移行句のみは、米国特許庁特許審査手続便覧(United States Patent Office Manual of Patent Examining Procedures)の第2111.03項に記載されるとおり、それぞれ閉鎖型または半閉鎖型の移行句とする。
【符号の説明】
【0042】
100 内側本体部材、内側本体
102 遠位セクション
104 管状近位セクション
200 フィルタ要素、フィルタ
300 組立体
302 フィルタ
304 内側本体
306 管状部分
308 近位部分
312 インプラント
314 ネック、ネック部分
316 カテーテル、部分、カテーテル/ガイド内腔部分
400 引き離し(TA)スリーブ
402 放射線不透過性マーカー
404 引き裂き「ウィング」またはプルタブ
500 拡張可能な導入器シース/スリーブ組立体
501 遠位部分
502 近位部分
503 拡張可能な導入器シース/スリーブ(IS)、導入器シース
506 導入器ハブ
507 フィルタ
508 フラッシュチューブ
509 編組内側本体
510 ポート
600 引き離し導入器シース
601 遠位部分
602 近位部分
604 ウィング/プルタブ、プルタブ
606a 特徴部
606b 特徴部
606c 特徴部
606d 特徴部
702A 第1のクラムシェルハウジング
702B 第1のクラムシェルハウジング
704A 第2のクラムシェルハウジング
704B 第2のクラムシェルハウジング
800 半部
802 第2のクラムシェル
804 第1のクラムシェル
806 導入器スリーブ
900 拡張器
902 遠位端部先端部
906 拡張器ハブ
908 近位端部
1000 拡張可能な導入器シース組立体
1002 引き離しスリーブ
1004 導入器ハブ
1006 フラッシュチューブ
1008 フラッシュポート
1010 TAスリーブ
1012 TAスリーブ放射線不透過性マーカー
1100 塞栓保護システム(EPS)
1102 遠位セクション
1104 遠位先端部
1106 拡張器
1108 半部、ガイド内腔
1112 管状部分
1200 EPS
1201 近位端部
1202 拡張器
1203 遠位拡張器先端部
1204 拡張可能な導入器シース/スリーブ組立体
1205 近位端部
1206 引き離しスリーブ、TAスリーブ
1208 導入器ハブ
1210 拡張器ハブ
1212 フラッシュチューブ
1214 ポート
1216 フィルタ
1218 編組内側本体
1300 導入器シース
1302 フィルタ
1304 拡張可能なスリーブ
1306 アコーディオン様式
1400 塞栓保護システム
1401 「アコーディオン」状態
1402 導入器シース
1403 大動脈
1404 フィルタ
1405 放射線不透過性エッジマーカー