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特許7506088静電容量式センサ、静電容量検出方法、及び、静電容量検出プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】静電容量式センサ、静電容量検出方法、及び、静電容量検出プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20240618BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
G06F3/041 522
G06F3/041 512
G06F3/044 120
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021558212
(86)(22)【出願日】2020-10-07
(86)【国際出願番号】 JP2020038027
(87)【国際公開番号】W WO2021100348
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-02-25
【審判番号】
【審判請求日】2023-07-19
(31)【優先権主張番号】P 2019209025
(32)【優先日】2019-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】山田 朋輝
【合議体】
【審判長】篠塚 隆
【審判官】野崎 大進
【審判官】北元 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-141557(JP,A)
【文献】国際公開第2018/193711(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041 - 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出電極を有するセンサ部と、
前記センサ部の検出電極の静電容量値を検出する静電容量検出部と、
前記静電容量値と基準値との差分値を計算する差分値計算部と、
前記差分値に対してフィルタパラメータを用いて時間方向のフィルタ処理を施すことによりフィルタ計算値を計算するフィルタ計算部と、
前記フィルタ計算部により計算されたフィルタ計算値に基づいて前記センサ部周辺の状態を判定する判定部とを有する静電容量式センサであって、
前記差分値計算部により計算された差分値に基づいて前記フィルタパラメータを計算するフィルタパラメータ計算部を備え
前記フィルタパラメータ計算部は、前記差分値計算部により計算された差分値が大きいほど、応答時間が短くなるように前記フィルタパラメータを計算することを特徴とする静電容量式センサ。
【請求項2】
前記静電容量検出部により検出された静電容量値に基づいて前記基準値を取得する基準値取得部をさらに含む、請求項記載の静電容量式センサ。
【請求項3】
前記基準値取得部は、前記センサ部の検出電極に検出対象が近接していない場合の静電容量値を前記基準値として取得する、請求項記載の静電容量式センサ。
【請求項4】
前記判定部は、前記フィルタ計算部により計算されたフィルタ計算値に基づいて前記検出電極と検出対象との近接度合いを判定する、請求項1乃至のいずれか1項記載の静電容量式センサ。
【請求項5】
前記判定部は、前記フィルタ計算部により計算されたフィルタ計算値が予め決められた第1閾値以上の場合に検出対象がタッチ状態であると判定し、前記フィルタ計算値が前記第1閾値未満であるとともに予め決められた第2閾値以上の場合に前記検出対象がホバー状態であると判定し、前記フィルタ計算値が前記第2閾値未満の場合に近接無し状態であると判定する、請求項1乃至のいずれか1項記載の静電容量式センサ。
【請求項6】
前記フィルタ計算部は、指数移動平均を用いた時間方向のフィルタ処理を施すことにより前記フィルタ計算値を計算する、請求項1乃至のいずれか1項記載の静電容量式センサ。
【請求項7】
前記フィルタ計算部は、単純移動平均を用いた時間方向のフィルタ処理を施すことによりフィルタ計算値を計算する、請求項1乃至のいずれか1項記載の静電容量式センサ。
【請求項8】
前記フィルタパラメータ計算部は、前記差分値計算部により計算された差分値が大きいほど、前記フィルタパラメータを大きくする、請求項記載の静電容量式センサ。
【請求項9】
前記フィルタパラメータ計算部は、前記差分値計算部により計算された差分値が大きいほど、前記フィルタパラメータを小さくする、請求項記載の静電容量式センサ。
【請求項10】
前記フィルタパラメータ計算部は、前記フィルタパラメータを計算する際に、あらかじめ定められた範囲内に前記フィルタパラメータが収まるように計算する、請求項1乃至のいずれか1項記載の静電容量式センサ。
【請求項11】
検出電極を有するセンサ部の検出電極の静電容量値を検出する静電容量検出ステップと、
前記静電容量値と基準値との差分値を計算する差分値計算ステップと、
前記差分値に対してフィルタパラメータを用いて時間方向のフィルタ処理を施すことによりフィルタ計算値を計算するフィルタ計算ステップと、
前記フィルタ計算ステップにより計算されたフィルタ計算値に基づいて前記センサ部周辺の状態を判定する判定ステップとを有する静電容量検出方法であって、
前記差分値計算ステップにより計算された差分値に基づいて前記フィルタパラメータを計算するフィルタパラメータ計算ステップをさらに備え
前記フィルタパラメータ計算ステップは、前記差分値計算ステップで計算された差分値が大きいほど、応答時間が短くなるように前記フィルタパラメータを計算するステップであることを特徴とする静電容量検出方法。
【請求項12】
検出電極を有するセンサ部の検出電極の静電容量値を検出する静電容量検出ステップと、
前記静電容量値と基準値との差分値を計算する差分値計算ステップと、
前記差分値に対してフィルタパラメータを用いて時間方向のフィルタ処理を施すことによりフィルタ計算値を計算するフィルタ計算ステップと、
前記フィルタ計算ステップにより計算されたフィルタ計算値に基づいて前記センサ部周辺の状態を判定する判定ステップとを有する処理をコンピュータに実行させる静電容量検出プログラムであって、
前記差分値計算ステップにより計算された差分値に基づいて前記フィルタパラメータを計算するフィルタパラメータ計算ステップをさらに前記コンピュータに実行させ
前記フィルタパラメータ計算ステップは、前記差分値計算ステップで計算された差分値が大きいほど、応答時間が短くなるように前記フィルタパラメータを計算するステップであることを特徴とする、静電容量検出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量式センサ、静電容量検出方法、及び、静電容量検出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
静電容量式センサによる検出原理は、タッチパネルやタッチパッドといったタッチ入力デバイスで主に利用されている。静電容量式センサは、本質的にはGND(人体)との間の容量に応じた値を検出するセンサであるため、タッチしていない状態(空中)でも物体を検出することが可能である。そのため、高感度な検出回路を利用した手袋対応タッチパッドや空中ジェスチャ操作可能なセンサ等も開発されている。しかしながら、静電容量値は物体との距離に応じて減少するため、遠方にある物体を安定して検出するためには高いS/N比(シグナル/ノイズ比)が必要になる。
【0003】
特許文献1には、ノイズの量に応じてタッチの有無を識別するための閾値を変更するタッチパネルが開示されている。すなわち、ノイズレベルが低い場合には閾値を低くし、軽いタッチ操作が可能な操作性重視のモードとなる。逆に、ノイズレベルが高い場合には閾値を高くし、ノイズ耐性の高いモードとすることができる。
【0004】
また、特許文献2には、静電容量センサの直近所定回分の検出値に移動平均計算を行うステアリングホイールが開示されている。このステアリングホイールは、外乱が発生したとしても移動平均値を用いて検出値の補正を行うことで車の振動等によるノイズを抑制している。
【0005】
特許文献3には、ノイズ量が大きいほどノイズの減衰量が大きくなり、ノイズ量が小さいほどノイズの減衰量が小さくなるようにローパスフィルタ処理におけるノイズの減衰特性を変更するフィルタ部が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2019-71020号公報
【文献】特開2019-23012号公報
【文献】特開2015-141557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されたタッチパネルにおいては、ノイズが増加すると閾値が増加する(検出する距離が遠くなる)ため、ユーザーの操作感が変わる(前日と反応が違う)といった問題がある。また、特許文献2に開示されたステアリングホイールにおいては、平均化処理によってノイズを減らすことができるものの、移動平均等の時間方向フィルタ計算は応答性とトレードオフであることが知られており、ユーザー目線では操作が遅れてついてくるような感覚を覚えるといった問題がある。さらに、特許文献3に開示されたフィルタ部においては、パラメータをノイズに応じて変動させることでS/N比を一定に保つことができるものの、ノイズが一定の環境下では効果が無いといった問題がある。SN比を向上させる方法として一般的なのは、デジタルローパスフィルタによるデータの平均化であるが、デジタルローパスフィルタでは、カットオフ周波数で決まるフィルタの強度と応答性がトレードオフの関係にあり、固定パラメータ(カットオフ周波数)の場合SN比と応答性のどちらかを犠牲にする必要がある。
【0008】
そこで、検出対象の物体が遠方時においては誤動作率を抑制するとともに、検出対象の物体が近接時においては応答性を損なわない静電容量式センサ、静電容量検出方法、及び、静電容量検出プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施の形態の静電容量式センサは、検出電極を有するセンサ部と、前記センサ部の検出電極の静電容量値を検出する静電容量検出部と、前記静電容量値と基準値との差分値を計算する差分値計算部と、前記差分値に対してフィルタパラメータを用いて時間方向のフィルタ処理を施すことによりフィルタ計算値を計算するフィルタ計算部と、前記フィルタ計算部により計算されたフィルタ計算値に基づいて前記センサ部周辺の状態を判定する判定部とを有する静電容量式センサであって、前記差分値計算部により計算された差分値に基づいて前記フィルタパラメータを計算するフィルタパラメータ計算部をさらに備える。
【発明の効果】
【0010】
検出対象の物体が遠方時に誤動作率を抑制するとともに、検出対象の物体が近接時において応答性を損なわない静電容量式センサ、静電容量検出方法、及び、静電容量検出プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態の静電容量式センサ100を示す図である。
図2】フィルタパラメータα及びフィルタ計算値Vf(t)を計算する際に実行する処理を示すフローチャートである。
図3図2のステップS100の処理を示すフローチャートである。
図4】判定部127が実行する処理を示すフローチャートである。
図5】差分値V(t)とフィルタ計算値Vf(t)の特性を示す図である。
図6】フィルタパラメータαの特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の静電容量式センサ、静電容量検出方法、及び、静電容量検出プログラムを適用した実施の形態について説明する。
【0013】
<実施の形態>
図1は、実施の形態の静電容量式センサ100を示す図である。静電容量式センサ100は、センサ部110と処理装置120とを含む。
【0014】
センサ部110は、検出電極111を有する。センサ部110は、例えば、タブレットコンピュータ、スマートフォン、及びゲーム機器の操作部、又は、車両のドアハンドルや車室内の機器の操作部等の様々な部位に設置することができる。
【0015】
検出電極111は、人体(例えば指)やペン等の検出対象の近接に応じて静電容量が変化する電極である。図1には1本の検出電極111を示す。検出電極111は基板等に設けられた配線112を介して処理装置120に接続されている。ただし、検出電極111は複数本あってもよく、2軸方向の一方の軸に沿って設けられる複数本の線状の電極と、他方の軸に沿って設けられる複数本の電極とが立体的に交差し、交差部における静電容量の変化が処理装置120によって検出される構成であってもよい。
【0016】
処理装置120は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、入出力インターフェース、及び内部バス等を含むコンピュータによって実現される。
【0017】
処理装置120は、検出電極111の静電容量値を検出し、検出した静電容量値に基づいてデジタルローパスフィルタによるフィルタ処理を行い、フィルタ処理で得た結果に基づいて、センサ部110への検出対象の近接の度合を判定する。
【0018】
また、デジタルローパスフィルタは、カットオフ周波数と応答性がトレードオフの関係にあり、静電容量式センサ100は、検出電極111の静電容量のシグナルのレンジが広いことを想定しているため、シグナルが小さくとも安定動作させることができるように、処理装置120は、静電容量のS/N比に応じてフィルタ特性を変更する。具体的には、静電容量のS/N比が大きいときにはカットオフ周波数を高く(フィルタを弱く)して応答性が良好な状態にし、静電容量のS/N比が小さいときには応答性よりもノイズ遮断を優先するためにカットオフ周波数を低く(フィルタを強く)する。
【0019】
ただし、静電容量のS/N比を求めてフィルタ特性の変更に利用するのではなく、静電容量値と基準値との差分値を用いる。基準値は、センサ部110に検出対象が近接していないと処理装置120が判定した状態で検出される検出電極111の静電容量値である。
【0020】
このような基準値を用いて計算した差分値が大きいときはS/N比も大きく、差分値が小さいときはS/N比も小さい。このため、差分値を用いてフィルタ特性の変更を行えば、静電容量のS/N比に応じてフィルタ特性を変更することができる。
【0021】
処理装置120が行うフィルタ特性の変更は、差分値に基づいてフィルタパラメータαを計算することで実現する。以下、処理装置120の構成と具体的な処理について説明する。
【0022】
処理装置120は、主制御部121、静電容量検出部122、基準値取得部123、差分値計算部124、フィルタパラメータ計算部125、フィルタ計算部126、判定部127、及びメモリ128を有する。
【0023】
主制御部121、静電容量検出部122、基準値取得部123、差分値計算部124、フィルタパラメータ計算部125、フィルタ計算部126、判定部127は、処理装置120が実行する静電容量検出プログラムの機能(ファンクション)を機能ブロックとして示したものである。また、メモリ128は、処理装置120のメモリを機能的に表したものである。
【0024】
主制御部121は、処理装置120の処理を統括する制御部であり、静電容量検出部122、基準値取得部123、差分値計算部124、フィルタパラメータ計算部125、フィルタ計算部126、及び判定部127が実行する処理以外の処理を実行する。
【0025】
静電容量検出部122は、センサ部110の検出電極111の静電容量値を検出する。具体的には、静電容量検出部122は、検出電極111に接続されており、検出電極111と接地電位点(GND)との間の静電容量値を検出し、検出した静電容量値を表すデータをメモリ128に格納する。
【0026】
基準値取得部123は、静電容量検出部122により検出された静電容量値に基づいて基準値を取得する。ここでは、基準値取得部123は、センサ部110の検出電極111に検出対象が近接していない場合の静電容量値を基準値として取得し、メモリ128に格納する。基準値は、差分値計算部124が静電容量値と基準値との差分値を計算する際に利用される。
【0027】
差分値計算部124は、静電容量検出部122により検出された静電容量値と、基準値取得部123によって取得される基準値との差分値を計算し、メモリ128に格納する。
【0028】
フィルタパラメータ計算部125は、差分値計算部124により計算された差分値に基づいてフィルタパラメータαを計算し、メモリ128に格納する。フィルタパラメータαは、静電容量式センサ100のフィルタ特性を決める変数である。
【0029】
フィルタパラメータ計算部125は、センサ部110への検出対象の近接度合の変化に応じて動的に変化する差分値に基づいてフィルタパラメータαを計算する。フィルタパラメータ計算部125によって計算されるフィルタパラメータαの値は、センサ部110への検出対象の近接度合の変化に応じて動的に変化する。具体的には、フィルタパラメータ計算部125は、差分値計算部124により計算された差分値が大きいほど、応答時間が短くなるようにフィルタパラメータαを計算する。
【0030】
フィルタパラメータαは、次式(1)で計算される。V(t)は差分値であり、A、Bは、差分値V(t)に対するフィルタパラメータαの特性を決める係数である。例えば、A=0.875、B=0.125であり、AとBの和は1である。
【0031】
【数1】
フィルタパラメータαは、差分値V(t)が大きいほど、大きな値になる。フィルタパラメータαの値が大きいほどローパスフィルタが弱く(遮断周波数が高く)なり、ローパスフィルタの入力に対する出力の応答が速くなる。また、フィルタパラメータαの値が小さいほど、ローパスフィルタが強く(遮断周波数が低く)なり、ローパスフィルタの入力に対する出力の応答が遅くなる。
【0032】
フィルタパラメータαは、一般に0<α≦1を満たす変数であるが、フィルタパラメータ計算部125は、式(1)で計算したフィルタパラメータαが0.125≦α≦1を満たすように、計算したフィルタパラメータαを補正する場合がある。
【0033】
また、ここでは、フィルタパラメータαが一次関数で表される形態について説明するが、フィルタパラメータαを導出する式は一次関数に限られない。フィルタパラメータαの値が連続的に変化すればよいため、例えば、フィルタパラメータαが差分値V(t)の二乗に比例してもよいし、差分値V(t)又は差分値V(t)の二乗に反比例してもよい。フィルタパラメータαを表す式は、静電容量式センサ100の用途等に応じた適切な式であればよい。
【0034】
フィルタ計算部126は、差分値V(t)に対してフィルタパラメータαを用いて時間方向のフィルタ処理を施すことによりフィルタ計算値Vf(t)を計算する。すなわち、フィルタ計算部126は、フィルタパラメータ計算部125によって計算されたフィルタパラメータαを用いて、差分値計算部124により計算された差分値V(t)の移動平均を求めるフィルタ処理を施すことにより、フィルタ計算値Vf(t)を計算する。差分値の移動平均を求めるフィルタ処理は、差分値V(t)に時間方向のフィルタ処理を施すことの一例である。ここでは、フィルタ計算部126は、移動平均として指数移動平均を用いた時間方向のフィルタ処理を施すことによりフィルタ計算値Vf(t)を計算する。また、フィルタ計算値は、フィルタ処理が施された差分値である。また、上述したようにフィルタパラメータ計算部125は、差分値計算部124により計算された差分値が大きいほど、フィルタパラメータαを大きくするが、これは指数移動平均を用いたフィルタ処理を行う場合の話である。
【0035】
具体的には、フィルタ計算部126は、次式(2)を用いてフィルタ計算値Vf(t)を計算する。
【0036】
【数2】
式(2)は、差分値V(t)の指数移動平均としてフィルタ計算値Vf(t)を求める式である。Vf(t-1)は、前回の計算で求めたフィルタ計算値であり、前回の計算時までの過去のすべての差分値が反映されたフィルタ計算値である。
【0037】
フィルタパラメータαの値が小さいほど、前回までの差分値の平均値の重みが大きくなるため、ローパスフィルタが強くなり、入力(V(t))に対する出力(Vf(t))の応答が遅くなる。また、フィルタパラメータαの値が大きいほど、前回までの差分値の平均値の重みが小さくなるため、ローパスフィルタが弱くなり、入力(V(t))に対する出力(Vf(t))の応答が速くなる。
【0038】
判定部127は、フィルタ計算部126により計算されたフィルタ計算値に基づいてセンサ部110の周辺の状態を判定する。具体的には、判定部127は、フィルタ計算部126により計算されたフィルタ計算値に基づいて検出電極111と検出対象との近接度合いを判定し、判定結果を表すデータを出力する。ここで、近接度合いとは、例えば検出対象がセンサ部110に触れている状態(タッチ状態)、検出対象がセンサ部110から少し(例えば数cm)離れた位置に存在している状態(ホバー(hover)状態)、及びセンサ部110の近くに検出対象が存在しない状態(近接なし状態)のいずれか1つである。
【0039】
メモリ128は、処理装置120が処理を実行する際に利用するプログラムやデータを格納する。
【0040】
次に、処理装置120が実行する処理について説明する。処理装置120は、静電容量検出プログラムを実行することにより、以下で図2乃至図4を用いて説明する処理を実行する。また、処理装置120が静電容量検出プログラムを実行することによって実現される処理方法は、静電容量検出方法である。
【0041】
すなわち、本実施の形態における静電容量検出方法は、検出電極111を有するセンサ部110の検出電極111の静電容量値を検出する静電容量検出ステップと、静電容量値と基準値との差分値V(t)を計算する差分値計算ステップと、差分値V(t)に対してフィルタパラメータαを用いて時間方向のフィルタ処理を施すことによりフィルタ計算値Vf(t)を計算するフィルタ計算ステップと、フィルタ計算ステップにより計算されたフィルタ計算値Vf(t)に基づいてセンサ部110周辺の状態を判定する判定ステップとを有する静電容量検出方法であって、差分値計算ステップにより計算された差分値V(t)に基づいてフィルタパラメータαを計算するフィルタパラメータ計算ステップをさらに備える。
【0042】
また、本実施の形態における静電容量検出プログラムは、検出電極111を有するセンサ部110の検出電極111の静電容量値を検出する静電容量検出ステップと、静電容量値と基準値との差分値V(t)を計算する差分値計算ステップと、差分値V(t)に対してフィルタパラメータαを用いて時間方向のフィルタ処理を施すことによりフィルタ計算値Vf(t)を計算するフィルタ計算ステップと、フィルタ計算ステップにより計算されたフィルタ計算値Vf(t)に基づいてセンサ部110周辺の状態を判定する判定ステップと、差分値計算ステップにより計算された差分値V(t)に基づいてフィルタパラメータαを計算するフィルタパラメータ計算ステップとを含む処理をコンピュータに実行させる。
【0043】
図2は、フィルタパラメータ計算部125及びフィルタ計算部126がフィルタパラメータα及びフィルタ計算値Vf(t)をそれぞれ計算する際に実行する処理を示すフローチャートである。
【0044】
まず、図2において、処理がスタートすると、フィルタパラメータ計算部125は、式(1)に基づいてフィルタパラメータαを計算する(ステップS100)。なお、後ほど詳述するが、フィルタパラメータ計算部125は、フィルタパラメータαを計算する際に、あらかじめ定められた範囲内にフィルタパラメータαが収まるように計算する。
【0045】
次いで、フィルタ計算部126は、ステップS100で計算されたフィルタパラメータαを用いて、式(2)に基づいてフィルタ計算値Vf(t)を計算する(ステップS101)。
【0046】
以上で、フィルタパラメータα及びフィルタ計算値Vf(t)を計算する処理が終了する(エンド)。
【0047】
ステップS100の処理は、具体的には図3に示す通りである。図3は、図2のステップS100の処理を示すフローチャートである。
【0048】
処理がスタートすると、フィルタパラメータ計算部125は、式(1)でフィルタパラメータαを計算する(ステップS110)。
【0049】
フィルタパラメータ計算部125は、計算したフィルタパラメータαがαmaxよりも大きいかどうかを判定する(ステップS111)。αmaxは、フィルタパラメータαが取り得る最大値であり、ここでは一例として1である。
【0050】
フィルタパラメータ計算部125は、計算したフィルタパラメータαがαmaxよりも大きくない(S111:NO)と判定すると、計算したフィルタパラメータαがαminよりも小さいかどうかを判定する(ステップS112)。αminは、フィルタパラメータαが取り得る最小値であり、ここでは一例として0.125である。
【0051】
フィルタパラメータ計算部125は、計算したフィルタパラメータαがαminよりも小さくない(S112:NO)と判定すると、計算したフィルタパラメータαを出力する(ステップS113)。フローがステップS113に進行する場合は、計算したフィルタパラメータαが0.125以上で1以下の場合である。
【0052】
また、フィルタパラメータ計算部125は、ステップS111において、計算したフィルタパラメータαがαmaxよりも大きい(S111:YES)と判定すると、フィルタパラメータαをαmaxに設定して出力する(ステップS114)。ステップS114の処理により、フィルタパラメータαは1に補正される。αmaxは、ノイズ耐性よりも応答性(応答速度)が求められる状態でのフィルタパラメータαの最大値である。
【0053】
また、フィルタパラメータ計算部125は、ステップS112において、計算したフィルタパラメータαがαminよりも小さい(S112:YES)と判定すると、フィルタパラメータαをαminに設定して出力する(ステップS115)。ステップS115の処理により、フィルタパラメータαは0.125に補正される。αminは、応答性(応答速度)よりもノイズ耐性が求められる際のフィルタパラメータαの最小値である。このような最小値は、例えば、最も応答が遅いときでも最低限求められる応答速度を与える値として選択すればよい。
【0054】
ステップS113、S114、S115の処理が終了すると、フィルタパラメータ計算部125は、一連の処理を終える(エンド)。
【0055】
ここで、一例として、ステップS110で用いる式(1)におけるAを0.875、Bを0.125に設定した理由は次の通りである。例えば、検出対象がセンサ部110にタッチしているときに得られる差分値V(t)のカウント数が100であり、検出対象が検出されていないときに得られる差分値V(t)のカウント数が0であり、上述のようにノイズ耐性が求められる際のフィルタパラメータαの最小値であるαminが0.125に設定されると、αmaxが1であることから、A、Bの値を0.875、0.125に設定した。
【0056】
図3に示す処理により、静電容量値が大きく差分値V(t)が大きい場合は、十分に高いS/N比が得られる状態であるため、フィルタパラメータαを大きな値にしてフィルタを弱くする。カットオフ周波数は高くなり、応答性が良くなる。
【0057】
また、静電容量値が小さく差分値V(t)が小さい場合は、S/N比が低い状態であるため、フィルタパラメータαを小さな値にしてフィルタを強くする。カットオフ周波数は低くなり、応答性は低下する。
【0058】
すなわち、S/N比が高い状態では、応答性を優先してフィルタを弱くし、S/N比が低い状態では、応答性を多少犠牲にしてでもフィルタを強くする趣旨である。
【0059】
図4は、判定部127が実行する処理を示すフローチャートである。判定部127は、フィルタ計算部126により計算されたフィルタ計算値Vf(t)が予め決められた第1閾値Th_T以上の場合に検出対象がタッチ状態であると判定し、フィルタ計算値Vf(t)が第1閾値Th_T未満であるとともに予め決められた第2閾値Th_H以上の場合に検出対象がホバー状態であると判定し、フィルタ計算値Vf(t)が第2閾値Th_H未満の場合に近接無し状態であると判定する。
【0060】
具体的には、判定部127は、処理がスタートすると、フィルタ計算値Vf(t)が閾値Th_T以上であるかどうかを判定する(ステップS200)。閾値Th_Tは、タッチ状態であるかどうかの判定に用いる閾値であり、第1閾値の一例である。
【0061】
判定部127は、フィルタ計算値Vf(t)が閾値Th_T以上である(S200:YES)と判定すると、タッチ状態であると判定する(ステップS201)。
【0062】
また、判定部127は、ステップS200において、フィルタ計算値Vf(t)が閾値Th_T以上ではない(S200:NO)と判定すると、フィルタ計算値Vf(t)が閾値Th_H以上であるかどうかを判定する(ステップS202)。閾値Th_Hは、ホバー状態であるかどうかの判定に用いる閾値であり、第2閾値の一例である。
【0063】
判定部127は、フィルタ計算値Vf(t)が閾値Th_H以上である(S202:YES)と判定すると、ホバー状態であると判定する(ステップS203)。
【0064】
一方、判定部127は、フィルタ計算値Vf(t)が閾値Th_H以上ではない(S202:NO)と判定すると、検出対象は近接していない状態であると判定する(ステップS204)。
【0065】
ステップS201、S203、S204の処理が終了すると、判定部127は、一連の処理を終える(エンド)。
【0066】
図5は、差分値V(t)とフィルタ計算値Vf(t)の特性を示す図である。図5には、検出対象が近接なし状態からホバー状態を経てタッチ状態になるときのフィルタ計算値Vf(t)を示す。横軸は時間(0秒~100秒)であり、縦軸はカウント値である。
【0067】
また、フィルタ計算値Vf(t)の他に、理想的な差分値の波形(理想差分値)と、フィルタパラメータαを0.125に固定した場合のフィルタ計算値(α=0.125固定)を示す。差分値V(t)は、理想差分値にランダムなノイズを加えた波形である。また、タッチ状態の判定閾値Th_Tと、ホバー状態の判定閾値Th_Hを示す。
【0068】
また、フィルタ計算値Vf(t)については、図5に加えて、フィルタパラメータαの特性を示す図6を用いて説明する。
【0069】
図5に示すように、理想差分値は、30秒の時点でホバー状態に、60秒の時点でタッチ状態に移行した際のデータを想定し、0秒~29秒は0カウント、30秒~59秒は30カウント、60秒以降は120カウントである。
【0070】
ノイズを含む差分値V(t)は、タッチ状態の期間(60秒以降)にタッチ閾値Th_Tを下回ることがないためタッチ判定には問題が無いものの、近接していないのにホバー閾値Th_Hを超えている瞬間や、ホバー状態なのにホバー閾値Th_Hを下回る瞬間が存在する。
【0071】
また、図5に示すように、フィルタパラメータαを0.125に固定した場合のフィルタ計算値は、重めのフィルタパラメータα(0.125)で指数移動平均処理によるノイズ平均化処理が施されているため、近接なし状態の期間(0秒~29秒)にホバー閾値Th_Hを超えることはなく、ホバー状態の期間(30秒~59秒)の初期の30秒~38秒には、フィルタの強さとトレードオフである応答性の低下によりホバー閾値Th_Hを超えていないが、39秒の時点でホバー閾値Th_Hを超えた後は、ホバー閾値Th_Hを下回ることがなくなっている。
【0072】
しかし、フィルタパラメータαを0.125に固定した場合のフィルタ計算値は、60秒以降のタッチ状態においても応答性の低下が生じており、タッチ閾値Th_Tを超えるまでに約7秒の遅延が生じている。
【0073】
これに対して、フィルタ計算値Vf(t)は、フィルタパラメータαを0.125~1の範囲で差分値V(t)に応じて動的に切り替えるため、図5に示す近接なし状態(0秒~30秒)のようにV(t)が0に近い値の間は、図6に示すようにフィルタパラメータαが非常に低い値になるため、フィルタパラメータαを0.125に固定した場合のフィルタ計算値とほぼ重なっている。
【0074】
ホバー状態(30秒~60秒)では、図6に示すようにフィルタパラメータαの値は0.125よりは大きいものの比較的小さな値であるため、図5に示すように、フィルタ計算値Vf(t)は、指数移動平均の効果を得ることができている。図5に示すように、フィルタ計算値Vf(t)は、近接なし状態(0秒~30秒)とホバー状態(30秒~60秒)では、フィルタパラメータαを0.125に固定した場合のフィルタ計算値とあまり大きな差異はない。
【0075】
そして、センサ部110に検出対象がタッチした60秒以降では、図6に示すようにフィルタパラメータαの値が1に近い値となり、ほぼフィルタがかかっていない状態となる。そのため、60秒以降のタッチ状態では、フィルタ計算値Vf(t)は、図5に示すように差分値V(t)とほぼ一致し、タッチ時の応答性が改善されていることが分かる。
【0076】
以上のように、差分値V(t)に基づいて計算したフィルタパラメータαを用いて、差分値V(t)の指数移動平均としてフィルタ計算値Vf(t)を計算する。このため、差分値V(t)が小さいときはフィルタパラメータαが小さくなってローパスフィルタが強くなり、ノイズが抑えられる。また、差分値V(t)が大きいときはフィルタパラメータαが大きくなってローパスフィルタが弱くなり、応答性が良好になる。また、差分値が大きいときはS/N比も大きく、差分値が小さいときはS/N比も小さい。
【0077】
したがって、検出対象の物体が遠方時に誤動作率を抑制するとともに、検出対象の物体が近接時において応答性を損なわない静電容量式センサ100、静電容量検出方法、及び、静電容量検出プログラムを提供することができる。
【0078】
実施の形態の静電容量式センサ100、静電容量検出方法、及び、静電容量検出プログラムによって求められるフィルタ計算値Vf(t)は、フィルタパラメータαが固定値の場合に比べて、タッチ状態、ホバー状態、近接なし状態の判定の反応性を改善するとともに、誤判定の可能性を低くすることができる。
【0079】
また、フィルタパラメータ計算部125は、差分値V(t)が大きいほど、応答性が良くなる(応答時間が短くなる)ようにフィルタパラメータαを計算する。差分値V(t)が大きい場合には、静電容量値が大きくS/N比が十分に大きいため、ローパスフィルタの強度を弱めて応答性を高めることができる。これとは逆に差分値V(t)が小さい場合には、静電容量値が小さくS/N比が小さいため、ローパスフィルタの強度を強めてノイズを除去することで誤動作を回避することができる。
【0080】
また、静電容量式センサ100は、静電容量値に基づいて基準値を取得する基準値取得部123を含むため、温度等の外部環境変化に左右されることなく適正な基準値を使用することができる。
【0081】
また、センサ部110の検出電極111に検出対象が近接していない場合の静電容量値を基準値として取得するため、決まった条件で安定的に基準値を取得することができる。
【0082】
また、フィルタ計算値Vf(t)に基づいて検出電極111と検出対象との近接度合いを判定するため、検出電極111と検出対象との間の静電容量値に対応して計算されるフィルタ計算値に基づいて、近接度合いを判定することができる。
【0083】
また、閾値Th_Tと閾値Th_Hを用いて近接度合いを判定するので、タッチ状態、ホバー状態、及び近接無し状態を安定的に判定することができる。
【0084】
また、差分値V(t)に指数移動平均のフィルタ処理を施してフィルタ計算値を計算するので、ノイズを低減して適切に近接度合いを判定することができる。また、指数移動平均のフィルタ処理では、過去の計算値については1回前のフィルタ計算値Vf(t-1)だけをメモリ128で保持すればよいので、過去のデータが1つで済み、メモリ128のうち過去のデータを格納するために使用する容量が少なくて済み、計算を迅速に行うことができる。
【0085】
また、差分値V(t)が大きいほど、フィルタパラメータαを大きくするので、差分値V(t)が大きいときにフィルタパラメータαを大きくすることで、フィルタ強度を弱めて応答性を高めることができる。逆に、差分値V(t)が小さいほど、フィルタパラメータαを小さくするので、差分値が小さいときにフィルタパラメータを小さくすることで、フィルタの強度を強めてノイズを低減し、S/N比を高めることができる。
【0086】
また、フィルタパラメータαを計算する際に、あらかじめ定められた範囲内に収まるように計算するので、指数移動平均の計算を安定的に行うことができ、適切なフィルタ計算値Vf(t)を求めることができる。
【0087】
フィルタパラメータαの最小値は、差分値が小さいとき(検出対象が遠くにあるとき)のパラメータであるため、ノイズによる誤作動を避けるために小さな値を設定すべきではあるが、小さいほど応答性が低下するため、応答性に関する顧客要求を満たす限りという条件で小さな値に設定する。逆に、フィルタパラメータαの最大値は、差分値が大きいとき(検出対象が接触しているとき)のパラメータであるため、S/N比は十分に大きく、ノイズ耐性はそれほど求められないため、大きな値に設定できる。
【0088】
なお、以上では、式(1)でフィルタパラメータαを求める形態について説明したが、フィルタパラメータαを計算する際にデジタルローパスフィルタ処理を施してもよい。フィルタパラメータαの急激な変化を抑制することができるからである。
【0089】
また、以上では、指数移動平均を用いてフィルタ計算値Vf(t)を計算する形態について説明したが、フィルタ計算部126は、単純移動平均を用いた時間方向のフィルタ処理を施すことによりフィルタ計算値Vf(t)を計算してもよい。例えば、1回前に計算した差分値V(t-1)からN-1回前までに計算した差分値V(t-(N-1))までをメモリ128に格納しておき、最新の差分値V(t)を含むN個の差分値の平均をフィルタ計算値Vf(t)として求めてもよい。これは次式(3)を用いて計算することができる。
【0090】
【数3】
この場合に、フィルタパラメータはNであり、指数移動平均の場合と異なり、フィルタパラメータ計算部125は、差分値計算部124により計算された差分値V(t)が大きいほど、フィルタパラメータNを小さくする。すなわち、フィルタパラメータ計算部125は、差分値V(t)が大きいほど小さな値Nを出力すればよい。Nの値が小さい方が最新の差分値V(t)の割合が大きくなるためローパスフィルタが弱く、Nの値が大きい方が最新の差分値V(t)の割合が小さくなるためローパスフィルタが強いことになる。
【0091】
差分値V(t)が大きいときはローパスフィルタが弱くてよく、差分値V(t)が小さいときはローパスフィルタを強くしたいので、差分値V(t)が大きいほど小さな値Nを出力すればよい。
【0092】
単純移動平均によるフィルタ処理を施すことで、ノイズを低減して適切に近接度合いを判定することができる。
【0093】
以上、本発明の例示的な実施の形態の静電容量式センサ、静電容量検出方法、及び、静電容量検出プログラムについて説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0094】
本国際出願は2019年11月19日に出願した日本国特許出願2019-209025号に基づく優先権を主張するものであり、日本国特許出願2019-209025号の全内容を本国際出願に援用する。
【符号の説明】
【0095】
100 静電容量式センサ
110 センサ部
111 検出電極
120 処理装置
122 静電容量検出部
123 基準値取得部
124 差分値計算部
125 フィルタパラメータ計算部
126 フィルタ計算部
127 判定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6