IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ロリク・テクノロジーズ・アーゲーの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】液晶化合物
(51)【国際特許分類】
   C07C 69/94 20060101AFI20240618BHJP
   C07C 255/54 20060101ALI20240618BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20240618BHJP
   C08K 5/315 20060101ALI20240618BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20240618BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20240618BHJP
   G02B 5/30 20060101ALN20240618BHJP
【FI】
C07C69/94
C07C255/54 CSP
C08L101/00
C08K5/315
H05B33/02
H05B33/14 A
G02B5/30
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021559141
(86)(22)【出願日】2020-03-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-20
(86)【国際出願番号】 EP2020057092
(87)【国際公開番号】W WO2020207709
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2023-01-20
(31)【優先権主張番号】19167783.0
(32)【優先日】2019-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518163910
【氏名又は名称】ロリク・テクノロジーズ・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】ROLIC TECHNOLOGIES AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】シャペレ,サブリナ
【審査官】奥谷 暢子
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-539182(JP,A)
【文献】特開2017-141433(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0059709(US,A1)
【文献】特開平08-073409(JP,A)
【文献】Berget, Patrick E. et al.,Catalysis by titanocene-functionalized polymer-supported dendrimers,Tetrahedron Letters,2007年,(2007), 48(46), 8101-8103
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C08L
C08K
H05B
H10K
G02B
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化4】

[式中、
Xは、-CH -、-O-、-CO-、-COO-、-OOC-、-CONR’-、-OCOO-および-OCONR’からなる群より選択される基を表し;
およびGは、各々、独立に、式III
【化5】

{式中、
Dは、1,4-ナフタレンジイル、2,6-ナフタレンジイルおよび1,5-ナフタレンジイルからなる群より選択され、
Eは、任意選択的に置換されていてもよい1,4-フェニレン、ピリジン-2,5-ジイル、ピリミジン-2,5-ジイル、trans-1,4-シクロヘキシレン、trans-1,3-ジオキサン-2,5-ジイル、1,4-ナフタレンジイル、2,6-ナフタレンジイルおよび1,5-ナフタレンジイルからなる群より選択され;
mは、1または0であり、
およびZ は、独立に、単結合、-COO-、-OOC-、および-OCOO-、-CH -CH -、-CH O-、-OCH -、-CH=CH-、-C≡C-、-(CH -および-(CH O-からなる群より選択され;
は、式-(CH X-(式中、qは、1~18の値を有する整数であり、Xは、上に定義したとおりであり、1つまたは2つの隣接していない-CH -基は、-CH=CH-によって任意選択的に置換されていてもよく、あるいは、1つまたは2つの-CH -基は、1つまたは2つの追加の連結基Xによって置換されていてもよいが、ただし、第一に、基Z が2つの隣接するヘテロ原子を含有せず、第二に、Xが-CH である場合、qが0の値も有することができるとする)で示される基を表し、
は、CH =C(Ph)-、CH =CW-COO-、CH =CH-COO-Ph-、CH =CW-CO-NH-、CH =CH-O-、CH =CH-OOC-、Ph-CH=CH-、CH =CH-Ph-、CH =CH-Ph-O-、R -Ph-CH=CH-COO-、R -OOC-CH=CH-Ph-O-および2-W-エポキシエチルからなる群より選択される重合性基を表し、
式中、
Wは、H、Cl、Phまたは低級アルキルを表し、
は、低級アルキルを表すが、ただし、R がフェニレン基(-Ph-)に結合している場合、R は、水素または低級アルコキシを表してもよいとする}
で示される基によって表され、
Arは、フェニルまたはナフタレンジイルからなる群より選択される芳香族基を表し;
wは、1または2であり
pは、式-(CH)p-(式中、pは、1~18の整数であり、1つまたは2つの隣接していない-CH-基は、-CH=CH-によって任意選択的に置換されていてもよく;あるいは、1つまたは2つの-CH-基は、-O-、-CO-、-COO-、-OOC-、-CONR’-、-OCOO-、-OCONR’からなる群より選択される1つまたは2つの基によって任意選択的に置換されていてもよいが、ただし、第一に、スペーサー基が2つの隣接するヘテロ原子を含有せず、第二に、Xが-CH-である場合、pが0の値も有することができるとする)で示される基を表し;そして
Mは、式(II)
【化6】

{式中、
AおよびBは、独立に、任意選択的に置換されていてもよい6員の同素環式もしくは複素環式基、またはナフタレンジイルを表し;
Cは、任意選択的に置換されていてもよい、5員および6員の同素環式もしくは複素環式基、またはナフタレンジイルからなる群より選択され;
およびnは、0または1であるが、ただし、第一に、1≦n+n≦2であり、第二に、Cがナフタレンジイルである場合、0≦n+n≦2であるとし;
は、-O-、-COO-、-OOC-、-CO-、-CONR’-、-NR’CO-、-OCOO-、-OCONR’-、-NR’COO-および単結合からなる群より選択され;
式中、
R’は、水素、アキラルな低級アルキル基およびアキラルな低級アルケニル基からなる群より選択され;
およびZは、独立に、単結合、-COO-、-OOC-、-CH-CH-、-CHO-、-OCH-、-CH=CH-、-C≡C-、-(CH-および-(CHO-からなる群より選択され;そして
は、-CN、-COR、-COOR、-OCOR、-CONR’R、-NR’COR、-OCOOR、-OCONR’R、-NR’COOR、-F、-Cl、-CF、-OCF、-ORおよび-Rからなる群より選択され、
式中、
Rは、水素、アキラルなC1-18アルキル基、および3位またはより高位に二重結合を有するアキラルなC4-18アルケニル基からなる群より選択され;そして
R’は、上に定義したとおりである}で示されるアキラル基を表す]
で示される化合物。
【請求項2】
Xが、-CH-、-O-、-COO-、-OOC-および-OCOO-から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
基Spの整数pが1~12の値を有する、請求項1または2のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項4】
基Zが、-O-、-COO-、-OOC-、-OCOO-および単結合からなる群より選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
基ZおよびZが、-COO-、-OOC-、-CHCH-、-CHO-、-OCH-、-CH=CH-、-C≡C-および単結合からなる群より選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
基Rが、-CN、-COOR、-OCOR、F、Cl、CF、OCF、OR、Rからなる群より選択され、Rが、アキラルなC1-12アルキル、または3位もしくはより高位に二重結合を有するアキラルなC4-12アルケニル基、または水素を表す、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
基Rが、CH=CW-COO-およびCH=CH-O-からなる群より選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の前記式(I)で示される化合物を含む、硬化性液晶(LCP)混合物。
【請求項9】
架橋または重合された形態の請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物または請求項8に記載の混合物を含む、硬化性液晶(LCP)ネットワーク。
【請求項10】
請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物または請求項8に記載の混合物の、光学または電気光学デバイスの製造における使用。
【請求項11】
請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物、請求項8に記載の混合物または請求項9に記載のネットワークを含む、光学または電気光学デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メソゲン特性を有する側鎖で置換された硬化性液晶(LCP)またはこれらのLCPをメソゲン分子構造と適合性にする特性を有する側鎖で置換された硬化性液晶に関する。特に、本発明は、調整可能な光学異方性を有し、かつ、低融点または良好な過冷却能と同時に、比較的高い透明点および良好な配列特性を有する、側鎖で置換された硬化性液晶(LCP)、ならびに、実質的に均一またはパターン化されたフィルムの調製における、そのようなLCPの使用であって、基板の平面中および基板の平面に対するLCP分子の配向を制御できる使用に関する。
【0002】
硬化性液晶から調製されたフィルム(LCPフィルム)は、当業者に周知であり、光学および電気光学デバイスの調製において使用される。米国特許第5,650,534号明細書は、非線形光学(NLO)用途での使用に適した構成部品を作製するために使用される化合物および混合物を開示している。これらの化合物は、光学活性であり、キラルなスメクチック中間層またはキラルなネマチック中間相を示す。米国特許第5,707,544号明細書もまた、NLO用途での使用に適した化合物および混合物を開示している。しかしながら、これらの化合物は、比較的高い融点を特徴とする。米国特許第5,593,617号明細書は、光学および電子部品を調製するために使用される、光化学的に重合可能な液晶化合物および混合物を開示している。しかしながら、これらの混合物は、比較的狭い作動範囲を有し、かつ、高温での使用に適さない。
【0003】
LCPフィルムは、一般に、公知のコーティングおよび印刷技術を使用することによって製造される。これは、架橋性LCPまたはLCP混合物の有機溶液を、配向層を備えた基板上にコーティングする工程を伴う。その後、有機溶媒を除去し、良好に配向された溶媒不含のメソゲンLCP層を得て、次に、これを架橋して、液晶特性規則構造を固定する。そのようなフィルムの望まれる光学性能は、LCP材料が同時に満たさなければならない幾つかの物理的パラメーターに決定的に依存する。そのような特性は、ネマチック中間相、高透明点、低融点または融点よりも低く冷却(過冷却)された際の低い結晶化傾向、有機溶媒中での良好な溶解性、他のLCPとの良好な混和性、配向層上の良好な配列特性、ならびに本質的に傾斜ドメインおよび回位のない基板平面からの調整可能な傾斜形成能である。傾斜ドメインは、LCPフィルム内の領域であり、その領域で、LCP分子の長軸が、同じ大きさであるが反対方向に、基板平面からの傾斜角を形成する。回位は、反対の傾斜角のLCP分子が隣接している、隣接傾斜ドメインの境界線である。これらの傾斜ドメインおよび回位は共に、フィルムの均一な外観の障害および不均質な光学性能をもたらす。
【0004】
位相差板フィルムは、通過した光の偏光状態を変化させる光学素子の一種である。光が位相差板を通過すると、位相差板の複屈折および厚さにより、その偏光方向が変化する。位相差板の作製における最大の問題の1つは、小さな充填量で高性能であるフィルムを作製することである。高い複屈折を有する液晶を使用すれば、少量の液晶化合物で必要な位相差値を実現することが可能である。
【0005】
例えば位相差板フィルムのような、LCPから作製された層およびフィルムの光学特性を調整するために、異なる光学異方性、主に、高い光学異方性を有する多種多様なLCP材料が利用可能であることが更に不可欠である。高い光学異方性を示すLCPは、しばしば上記特性の幾つかに悪い影響を示すことが知られている。特に、スメクチック中間相の形成、高融点、結晶化傾向の増大、有機溶媒中での低溶解性、他のLCPとの混和性の低下が認められる。その上、しばしば、傾斜ドメインおよび回位のない均一な配列能が低下する。
【0006】
それゆえ、前述の欠点が大幅に少ない、LCP混合物の調製において使用され得る新たなLCP材料が必要とされている。本発明は、その必要性に取り組むものである。
【0007】
本発明の第一の態様は、式(I)
【化1】

[式中、
およびGは、独立に、重合性メソゲン残基を表し;
Arは、フェニルまたはナフタレンジイルからなる群より選択される芳香族基を表し;
wは、1または2であり;
Xは、-CH-、-O-、-CO-、-COO-、-OOC-、-CONR’-、-OCOO-および-OCONR’からなる群より選択される基を表し;
Spは、式-(CH)p-(式中、pは、1~18の整数であり、1つまたは2つの隣接していない-CH-基は、-CH=CH-によって任意選択的に置換されていてもよいか;あるいは、1つまたは2つの-CH-基は、-O-、-CO-、-COO-、-OOC-、-CONR’-、-OCOO-、-OCONR’からなる群より選択される1つまたは2つの基によって任意選択的に置換されていてもよいが、ただし、第一に、スペーサー基が2つの隣接するヘテロ原子を含有せず、第二に、Xが-CH-である場合、pが0の値も有することができるとする)で示される基を表し;そして
Mは、式(II)
【化2】

{式中、
AおよびBは、独立に、任意選択的に置換されていてもよい6員の同素環式もしくは複素環式基またはナフタレンジイルを表し;
Cは、5員および6員の同素環式もしくは複素環式基またはナフタレンジイルからなる群より選択され;
およびnは、0または1であるが、ただし、第一に、1≦n+n≦2であり、第二に、Cがナフタレンジイルである場合、0≦n+n≦2であるとし;
は、-O-、-COO-、-OOC-、-CO-、-CONR’-、-NR’CO-、OCOO-、-OCONR’-、-NR’COO-および単結合からなる群より選択され;
式中、
R’は、水素、アキラルな低級アルキル基およびアキラルな低級アルケニル基からなる群より選択され;
およびZは、独立に、単結合、-COO-、-OOC-、-CH-CH-、-CHO-、-OCH-、-CH=CH-、-C≡C-、-(CH-および-(CHO-からなる群より選択され;そして
は、H、-CN、-COR、-COOR、-OCOR、-CONR’R、-NR’COR、OCOOR、-OCONR’R、-NR’COOR、-F、-Cl、-CF、-OCF、-ORおよび-Rからなる群より選択され
式中、
Rは、水素、アキラルなC1-18アルキル基および3位またはより高位に二重結合を有するアキラルなC4-18アルケニル基からなる群より選択され;そして
R’は、上に定義したとおりである}で示されるアキラル基を表す]
で示される化合物を提供する。
【0008】
上で言及された側鎖で置換されたメソゲン化合物に加え、そのような化合物はまた、国際公開第00/55110号にも開示されている。しかしながら、これらの化合物の多くは、光学フィルムに使用するためのLCPフィルムの作製に適していない。本発明の化合物を使用することによって、先行技術のものと比較してより薄い位相差板を調製することが可能であることが分かった。その上、本発明に係るLCPは、一般に、良好な配列特性を示し、かつ、傾斜ドメインおよび回位形成傾向の減少を示す。その上、本発明の化合物は、有機溶媒中での比較的良好な溶解性および他のLCP化合物との高い混和性を有する。その上、本発明の化合物は、より高い複屈折を示し、したがって、光学構造において必要とされる材料がより少ない。
【0009】
本発明の化合物の光学異方性は、分子の主要コアを変化させることなく、式IのMの様々な基を選択するだけで、必要要件に容易に適応され得る。このことは、LCPの生産の化学的段階を最低限にして、様々な光学異方性を示す広範なLCPを経済的に入手可能にする。
【0010】
重合性メソゲン残基GおよびGは、同じであっても異なっていてもよい。
【0011】
基Xは、好ましくは、-CH-、-O-、-COO-、-OOC-および-OCOO-からなる群より選択される。
【0012】
スペーサー基Spは、1つまたは複数のフッ素または塩素原子によって場合により置換されていてもよい。置換基が存在しない基が好ましい。とりわけ、整数pが1~12の値を有すること、2つを越えて-CH-基が-O-によって置換されていないこと、ならびに、1つを越えて-CH-基が、-CH=CH-、-CO-、-COO-、-OOC-、-CONR’-、-OCOO-および-OCONR’からなる群より選択される1つの基によって置換されていないことが好ましい。
【0013】
基AおよびBは、置換されているか、置換されていないかまたは芳香族である。これらは、F、Cl、CN、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシおよび低級アルケニルオキシからなる群より選択される1つまたは2つの置換基によって任意選択的に置換されていてもよい。好ましくは、基AおよびBは各々、1を超える置換基を含有しない。とりわけ、基AおよびBが置換を含有しないことが好ましい。
【0014】
基AおよびBが、1,4-フェニレン、ピリジン-2,5-ジイル、ピリミジン-2,5-ジイル、trans-1,4-シクロヘキシレンまたはtrans-1,3-ジオキサン-2,5-ジイル、1,4-ナフタレンジイルおよび2,6-ナフタレンジイルからなる群より選択されることが好ましい。とりわけ、AおよびBが、1,4-フェニレン、trans-1,4-シクロヘキシレンおよび2,6-ナフタレンジイルからなる群より選択されることが好ましい。
【0015】
基Cは、置換されているか、置換されていないかまたは芳香族である。基Cは、F、Cl、CN、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシおよび低級アルケニルオキシからなる群より選択される1つまたは2つの置換基で任意選択的に置換されていてもよい。基Cが最大で1つの置換基を含有することが好ましい。とりわけ、基Cが置換を含有しないことが好ましい。
【0016】
基Cが、フラン-2,4-ジイル、フラン-2,5-ジイル、テトラヒドロフラン-2,4-ジイル、テトラヒドロフラン-2,5-ジイル、ジオキソラン-2,4-ジイル、ジオキソラン-2,5-ジイル、オキサゾール-2,4-ジイル、オキサゾール-2,5-ジイル、シクロペンタン-1,3-ジイル、シクロペンタン-1,4-ジイル、1,4-フェニレン、ピリジン-2,5-ジイル、ピリミジン-2,5-ジイル、trans-1,4-シクロヘキシレンまたはジオキサン-2,5-ジイル、1,4-ナフタレンジイル、1,3-ナフタレンジイル、1,5-ナフタレンジイル、1,6-ナフタレンジイル、1,7-ナフタレンジイル、2,3-ナフタレンジイル、2,4-ナフタレンジイル、2,5-ナフタレンジイル、2,6-ナフタレンジイル、2,7-ナフタレンジイル、および2,8-ナフタレンジイルから選択されることが好ましい。とりわけ、Cが、フラン-2,5-ジイル、テトラヒドロフラン-2,5-ジイル、オキサゾール-2,5-ジイル、1,4-フェニレン、trans-1,4-シクロヘキシレン、および2,6-ナフタレンジイルからなる群より選択されることが好ましい。
【0017】
基Zは、好ましくは、-O-、-COO-、-OOC-および単結合からなる群より選択される。とりわけ、Zが、-O-または単結合から選択されることが好ましい。
【0018】
基ZおよびZは、好ましくは、-COO-、-OOC-、-CHCH-、-CHO-、-OCH-、-CH=CH-、-C≡C-および単結合からなる群より選択される。とりわけ、ZおよびZが、-COO-、-OOC-、-C≡C-および単結合からなる群より選択されることが好ましい。
【0019】
基Rは、好ましくは、H、-CN、-COOR、-OCOR、F、Cl、CF、OCF、OR、Rからなる群より選択され、式中、Rは、アキラルなC1-12アルキル、3位もしくはより高位に二重結合を有するアキラルなC4-12アルケニル基、または水素を表す。とりわけ、Rが、-CN、F、Cl、CF、OCF、OR、Rからなる群より選択され、式中、Rが、アキラルなC1-8アルキル基または水素を表すことが好ましい。
【0020】
「低級アルキル」という用語は、C1-6のアキラルな分岐または直鎖アルキル基を包含すると理解すべきである。本発明の化合物中に存在し得る低級アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルなどを包含する。
【0021】
「低級アルケニル」という用語は、二重結合が2位またはより高位にあるC3-6のアキラルな分岐または直鎖アルケニル基を包含すると理解すべきである。本発明の化合物中に存在し得る低級アルケニル基の例は、2-プロペニル、3-ブテニル、3-イソペンテニル、4-ペンテニル、5-ヘキセニル、4-イソヘキセニルなどを包含する。
【0022】
「低級アルコキシ」という用語は、C1-6のアキラルな分岐または直鎖アルコキシ基を包含すると理解すべきである。本発明の化合物中に存在し得る低級アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシなどを包含する。
【0023】
「アルケニルオキシ」という用語は、二重結合が2位またはより高位にあるC3-6のアキラルな分岐または直鎖アルケニルオキシ基を包含すると理解すべきである。本発明の化合物中に存在し得る低級アルケニルオキシ基の例は、2-プロペニルオキシ、3-ブテニルオキシ、4-ペンテニルオキシ、5-ヘキセニルオキシなどを包含する。
【0024】
好ましくは、重合性メソゲン残基GおよびGは各々、独立に、式III
【化3】

[式中、
Dは、1,4-ナフタレンジイル、2,6-ナフタレンジイルおよび1,5-ナフタレンジイルからなる群より選択され;
Eは、任意選択的に置換されていてもよい、1,4-フェニレン、ピリジン-2,5-ジイル、ピリミジン-2,5-ジイル、trans-1,4-シクロヘキシレン、trans-1,4-シクロヘキサン、trans-1,3-ジオキサン-2,5-ジイル、1,4-ナフタレンジイル、2,6-ナフタレンジイルおよび1,5-ナフタレンジイルからなる群より選択され;
mは、1または0であり、
およびZは、独立に、単結合、-COO-、-OOC-および-OCOO-、-CH-CH-、-CHO-、-OCH-、-CH=CH-、-C≡C-、-(CH-および-(CHO-からなる群より選択され;
は、単結合または式-(CHX-(式中、qは、1~18の値を有する整数であり、Xは、上に定義したとおりであり、1つまたは2つの隣接していない-CH-基は、-CH=CH-によって任意選択的に置換されていてもよく、あるいは、1つまたは2つの-CH-基は、1つまたは2つの追加の連結基Xによって置換されていてもよいが、ただし、第一に、基Zが2つの隣接するヘテロ原子を含有せず、第二に、Xが-CHである場合、qが0の値も有することができるとする)で示される基を表し、
は、CH=C(Ph)-、CH=CW-COO-、CH=CH-COO-Ph-、CH=CW-CO-NH-、CH=CH-O-、CH=CH-OOC-、Ph-CH=CH-、CH=CH-Ph-、CH=CH-Ph-O-、R-Ph-CH=CH-COO-、R-OOC-CH=CH-Ph-O-および2-W-エポキシエチルからなる群より選択される重合性基を表し、
式中、
Wは、H、Cl、Phまたは低級アルキルを表し、
は、低級アルキルを表すが、ただし、Rがフェニレン基(-Ph-)に結合している場合、Rは、水素または低級アルコキシを表してもよいとする]
で示される基によって表される。
【0025】
「Ph」および「Ph-」という用語は、フェニル基を示すと理解されよう。「-Ph-」という用語は、文脈が他のものを要求する場合を除き、フェニレンの任意の異性体、すなわち、1,2-フェニレン、1,3-フェニレンまたは1,4-フェニレンを意味すると理解されよう。
【0026】
とりわけ、基DおよびEが置換を含有しないことが好ましい。
【0027】
基ZおよびZが、単結合、-COO-、-OOC-、-OCOO-、-CH-CH-、-CHO-、-OCH-、-CH=CH-および-C≡C-からなる群より選択されることが好ましい。とりわけ、ZおよびZが、単結合、-C≡C-、-COO-、-OCOO-または-OOC-を表すことが好ましい。
【0028】
は、1つまたは複数のハロゲン原子、好ましくは1つまたは複数のフッ素原子によって任意選択的に置換されていてもよい。qが1~11の値を有することが好ましい。また、Zが置換を含有しないことが好ましい。さらには、基Zについて、Xが、-CH-、-O-、-COO-、OCOOおよび-OOC-、とりわけ-CH-または-O-から選択されることが好ましい。
【0029】
基Rが、CH=CW-COO-およびCH=CH-O-からなる群より選択されることが好ましい。
【0030】
基GおよびGの各々について2つの整数mの合計が0または1であることが好ましい。とりわけ、GおよびGの両方について、mが0の値を有することが好ましい。
【0031】
本発明の化合物は、当業者に周知の手順を使用して容易に調製され得る。
【0032】
出発材料は、市販で入手可能か容易に調製され得、かつ、当業者に周知である。
【0033】
本発明の化合物は、好ましくは、メソゲン残基を連結する前に、側基(lateral group)を含む環を形成することによって調製される。あるいは、該化合物は、側基を連結する前に、重合性メソゲン残基を含む環を形成することによって調製され得る。それゆえ、本発明の第二の態様は、式(I)で示される化合物の調製方法であって、側基を含む環を形成し、その後、そこへメソゲン残基を連結することを含む方法を提供する。メソゲン残基GおよびGは、GおよびGが同一である場合、同時に中央の環に結合される。
【0034】
本出願の文脈内で使用される場合のLCP材料は、液晶モノマーおよび/または液晶オリゴマーおよび/または液晶ポリマーおよび/または架橋液晶を含む、液晶材料を意味するものとする。液晶材料が液晶モノマーを含む場合、そのようなモノマーは、典型的には、LCP材料において、例えば配列層との接触に起因して、異方性が創出された後、重合され得る。重合は、熱処理によってまたは化学光(好ましくは、UV光を含む)への露光によって開始され得る。LCP材料は、一種類の液晶化合物のみ含み得るが、追加の重合性および/または非重合性化合物を含んでもよく、化合物のすべてが液晶化合物である必要はない。さらに、LCP材料は、酸化防止剤、光開始剤などの開始剤、促進剤、色素、阻害剤、活性化剤、充填剤、連鎖移動阻害剤、顔料、帯電防止剤、防炎剤、増粘剤、チキソトロープ剤、界面活性剤、粘度調整剤、伸展油、可塑剤、粘着剤、触媒、増感剤;安定剤、例えば、4-エトキシフェノールまたは2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)などのフェノール誘導体;滑剤;分散剤;高分子結合剤および/または重合によって高分子結合剤に変換できるモノマー化合物、あるいは、エマルジョンコーティングおよび印刷インクの場合、米国特許第5,798,147号明細書に開示されているような分散助剤;疎水化剤、接着剤、流れ改良剤、消泡剤、脱気剤、希釈剤、助剤、着色剤、色素および顔料;硬化阻害剤、例えば、ヒドロキノン、p-tert.-ブチルカテコール;2,6-ジ tert.-ブチル-p-メチルフェノール;フェノチアジン;N-フェニル-2-ナフチルアミン;あるいは欧州特許第1 090 325 B号明細書に記載されているような光配向性モノマーまたはオリゴマーまたはポリマー、キラル添加剤、等方性または異方性の蛍光および/または非蛍光色素、特に二色性色素を含む、添加物を含有し得るが、これらに限定されない。
【0035】
本発明の化合物がLCP混合物の調製において使用され得ることが認識されよう。そのような混合物は、式(I)で示される化合物と1つまたは複数の追加の成分とを混合することによって調製され得る。また、有機溶媒がこれらの混合物の調製において使用されてもよい。それゆえ、本発明の第三の態様は、式(I)で示される化合物および1つまたは複数の追加の成分を含む、LCP混合物を提供する。LCP混合物中に存在する1つまたは複数の追加の成分は、式(I)で示されるさらなる化合物、他のメソゲン化合物、メソゲン分子構造と適合性である化合物、または螺旋ピッチの誘導のためのキラルなドーパントであり得る。LCP混合物はまた、適切な有機溶媒を含んでもよい。そのような液晶混合物の調製において使用され得る溶媒の例は、アセトン、シクロペンタノン(CP)、シクロヘキサノン(CH)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチルピロリドン(NMP)、N-エチルピロリドン、N-ビニルピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド(AN)、テトラヒドロフラン(THF)、1,3-ジオキソラン(DXG)、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチル(EA)、1-メトキシ-2-プロパノールアセテート(MPA)、ガンマ-ブチロラクトン(BL)、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジメチルスルホキシド(DMSO)を包含するが、これらに限定されない。
【0036】
最も好ましいのは、シクロペンタノン(CP)、シクロヘキサノン(CH)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル(EA)、1-メトキシ-2-プロパノールアセテート(MPA)、1,3-ジオキソラン(DXG)、ジメチルスルホキシド(DMSO)である。
【0037】
二色性色素は、分子の長軸方向と短軸方向との間で吸光度が変動する色素のことを指す。二色性色素は、好ましくは、可視光を吸収する。二色性色素の例は、アゾ色素、アクリジン色素、オキサジン色素、シアニン色素、ナフタレン色素およびアントラキノン色素を包含する。これらの二色性色素は、個別に使用することも、組み合わせて使用することもできる。液晶混合物の100質量部に対して使用される二色性色素の量は、0.01質量部~40質量部、好ましくは、0.05質量部~15質量部である。
【0038】
本発明の化合物はまた、本発明の第一の態様に係るLCP化合物または本発明の第三の態様に係るLCP混合物を基板上に流し込むことによって、LCP層の形成において使用してもよい。それゆえ、本発明の第四の態様は、式(I)で示される化合物を含むLCP層を形成する工程およびその層を架橋する工程を含む、LCPネットワーク形成方法を提供する。本発明の第三の態様に係るLCP混合物も、LCPネットワークの製造において同様の方法で使用してもよい。
【0039】
本発明はまた、本発明の第五の態様において、架橋形態の式(I)で示される化合物を含む架橋されたLCPネットワークも包含する。また、架橋形態の本発明の第三の態様に係る混合物を含む架橋されたLCPネットワークも、本発明のこの態様に包含されてよい。
【0040】
本発明の第六の態様は、式(I)で示される化合物の光学または電気光学デバイスの作製における使用を提供する。また、本発明の第三の態様に係る液晶混合物の光学または電気光学デバイスの作製における使用も、本発明のこの態様に包含される。
【0041】
本発明の第七の態様は、架橋状態の式(I)で示される化合物を含む光学または電気光学デバイスを提供する。また、本発明の第三の態様に係る架橋状態のLCP液晶混合物を含む光学または電気光学デバイスも本発明のこの態様に包含される。
【0042】
LCP混合物は、支持体上に適用することができる。支持体は、剛性であっても可撓性であってもよく、任意の形態または形状を有することができる。例えば、支持体は、複雑な表面を有する基体であってもよい。原則として、支持体は、いかなる材料から構成されていてもよい。好ましくは、支持体は、プラスチック、ガラスまた金属を含むか、シリコンウェーハである。支持体が可撓性である場合、支持体がプラスチックまたは金属箔であることが好ましい。好ましくは、支持体の表面は平坦である。幾つかの用途では、支持体は、マイクロレンズもしくはマイクロプリズムのような微細構造といった表面形状構造、または矩形構造などの形状の急な変化を示す構造を含み得る。好ましくは、支持体は、透明である。
【0043】
支持体は、LCP混合物の堆積の間、移動していてもよい。例えば、LCP混合物の層は、好ましくはプラスチックまたは金属である、移動している可撓性の箔上に材料組成物を堆積させることによる、連続式ロールツーロールプロセスで生成してもよい。次いで、生じたフィルムを支持体箔と一緒にロール上に巻き取ってもよく、または、フィルムを支持体から剥離してもよく、フィルムは、その後、支持体なしの自立型フィルムとして巻き取られる。
【0044】
支持体は、有機層、誘電体層または金属層などの追加の層を有してもよい。層は、様々な機能を有することができ、例えば、有機層を、コーティングしようとする材料の支持体との適合性を高めるプライマー層としてコーティングすることができる。金属層は、例えばディスプレイなどの電気光学デバイスにおいて使用されるとき、電極として使用されてもよく、または反射体としての機能を有することもできる。また、支持体は、例えば薄膜トランジスタ、電極またはカラーフィルターを含み得るLCD用の基板など、特定の機能を有する光学素子またはデバイスであってもよい。別の例では、支持体は、OLED層構造を含むデバイスである。支持体はまた、位相差板フィルム;偏光フィルムまたはシート偏光子などの偏光子、市販のVikuity(商標)DBEFフィルムなどの反射偏光子であることもできる。
【0045】
LCP混合物は、押出成形、鋳造、成型、2Dもしくは3D印刷またはコーティングのような任意の適切な方法によって支持体に適用され得る。適切なコーティング法は、例えば、スピン-コーティング、ブレードコーティング、ナイフコーティング、キスロールコーティング、ダイコーティング、ディッピング、ブラッシング、バーによるキャスティング、ローラー-コーティング、フロー-コーティング、ワイヤ-コーティング、スプレー-コーティング、ディップ-コーティング、カーテン-コーティング、エアナイフコーティング、リバースロールコーティング、グラビアコーティング、メータリング・ロッド(マイヤーバー)コーティング、スロットダイ(押出)コーティング、ローラーコーティング、フレキソコーティングである。適切な印刷法は、シルクスクリーン印刷、フレキソ印刷などのレリーフ印刷、ジェット印刷、ダイレクトグラビア印刷もしくはオフセットグラビア印刷などの凹版印刷、オフセット印刷などのリソグラフ印刷、またはスクリーン印刷などのステンシル印刷を包含する。
【0046】
LCP混合物の層は、支持体の表面全体を覆う必要はない。むしろ、この層は、例えば印刷によって、パターンの形態で適用されても、堆積後に、例えばフォトリソグラフィー法によって、パターンの形態を有するように処理されてもよい。
【0047】
LCPの配列は、液晶を配列させるための任意の公知の手段によって達成することができる。例えば、支持体は、配列表面を有していてもよく、このことは、その表面が液晶を配列させる能力を有することを意味するものとする。支持体は、さらなる処理がなくともすでに配列を提供し得る。例えば、プラスチック基板が支持体として使用される場合、製造法、例えば基板の押出成形または延伸に起因して、表面上に配列を提供し得る。また、配列能を生じさせるために、支持体をブラッシングするか、指向性の微細構造を刻み込むことも可能である。あるいは、配列性能に関して特別設計された支持体上に、材料の薄層をコーティングしてもよい。この層はさらにブラッシングされても、例えば刻み込みによって表面上に指向性の微細構造を有するように処理されてもよい。薄層が光配向性物質を含む場合、配列光に露光することによって配列を生じさせることができる。
【0048】
基板の配列表面は、LCP層中の液晶の配向パターンを規定するために、配列方向のパターンを示し得る。好ましくは、光配向性物質を含む配列層がこの目的のために使用され、様々な偏光面の配列光への選択的露光によって配列パターンが生じる。
【0049】
以降、本発明は、以下の非限定的な実施例を参照して説明される。これらの実施例は、例証の目的でのみ提供される。本発明の範囲内に含まれるこれらの実施例に対する変形は、当業者に明白であろう。
【実施例
【0050】
実施例において使用される定義:
H NMR:H核磁気共鳴分光法
DMSO-d:重水素化ジメチルスルホキシド
300MHz:300メガヘルツ
m:マルチプレット、d:ダブレット、dd:ダブレットダブレット、t:トリプレット、s:シングレット
DMF:ジメチルホルムアミド
HCl溶液(25%):体積百分率
CHCl:ジクロロメタン
THF:テトラヒドロフラン
【0051】
以下の実施例において、温度転移型相は、以下のとおり略される:
(Cr-N):結晶相からネマチック相への転移温度
(N-I):ネマチック相から等方相への転移温度。
【0052】
実施例1:4-[4-(6-ヒドロキシヘキソキシ)フェニル]ベンゾニトリル化合物1の合成
DMF中の4-(4-シアノフェニル)フェノール 39.1g(0.2mol)、炭酸カリウム 34.5g(0.26mol)、ヨウ化カリウム 4.35g(0.026mol)および6-クロロヘキサノール 35.5g(0.26mol)の混合物を80℃で18時間加熱する。次いで、溶液を冷まし、1.2Lの水に注ぐ。得られた沈殿物を濾別し、2Lの水で2回洗浄する。次いで、固体をアセトニトリルから再結晶させると、4-[4-(6-ヒドロキシヘキソキシ)フェニル]ベンゾニトリル 50.4gが白色の結晶性粉末として得られる。
【0053】
実施例2:4-[4-(8-ヒドロキシオクトキシ)フェニル]ベンゾニトリル化合物2の合成
化合物2は、化合物1の実施例1に記載のプロセスに従って、ただし、6-クロロヘキサノールを8-クロロオクタノールに置き換えた条件で合成される。
【0054】
実施例3:4-[4-(10-ヒドロキシデコキシ)フェニル]ベンゾニトリル化合物3の合成
化合物3は、化合物1の実施例1に記載のプロセスに従って、ただし、6-クロロヘキサノールを10-クロロデカノールに置き換えた条件で合成される。
【0055】
実施例4:4-[4-(11-ヒドロキシウンデコキシ)フェニル]ベンゾニトリル化合物4の合成
化合物4は、化合物1の実施例1に記載のプロセスに従って、ただし、6-クロロヘキサノールを11-クロロウンデカノールに置き換えた条件で合成される。
【0056】
実施例5:6-[4-(4-シアノフェニル)フェノキシ]ヘキシル2,5-ジヒドロキシベンゾエート化合物5の合成
トリエチルアミン 52.1g(0.51mol)を、THF 450mLに溶解させた4-[4-(6-ヒドロキシヘキソキシ)フェニル]ベンゾニトリル 50.4g(0.17mol)の溶液に滴下する。混合物を0℃に冷却し、メタンスルホニルクロリド 23.5g(0.204mol)をゆっくり加える。3時間撹拌した後、混合物をシリカ下で濾別し、減圧下で溶媒を除去することによって乾燥させると、6-[4-(4-シアノフェニル)フェノキシ]ヘキシルメタンスルホネートの黄色の油状物70.7gが得られる。2,3,4,6,7,8,9,10-オクタヒドロピリミド[1,2-a]アゼピン 27.2g(0.175mol)を、DMF 190mL中の2,5 ジヒドロキシ安息香酸 28.1g(0.179mol)の溶液に加える。DMF 190mL中のヨウ化ナトリウム 7.65g、6-[4-(4-シアノフェニル)フェノキシ]ヘキシルメタンスルホネート 70.7g(0.170mol)を混合物に投入する。4時間後、生じた混合物を2Lの冷水に注いだ。沈殿物を濾別し、水で2回洗浄する。淡黄色の固体をCHCN中で再結晶させると、6-[4-(4-シアノフェニル)フェノキシ]ヘキシル2,5-ジヒドロキシベンゾエート 57.7gが白色の粉末として得られる。
【0057】
実施例6:8-[4-(4-シアノフェニル)フェノキシ]オクチル2,5-ジヒドロキシベンゾエート化合物6の合成
化合物6は、化合物5の実施例5に記載のプロセスに従って、ただし、4-[4-(6-ヒドロキシヘキソキシ)フェニル]ベンゾニトリルを4-[4-(8-ヒドロキシオクトキシ)フェニル]ベンゾニトリル化合物2に置き換えた条件で合成される。
【0058】
実施例7:10-[4-(4-シアノフェニル)フェノキシ]デシル2,5-ジヒドロキシベンゾエート化合物7の合成
化合物7は、化合物5の実施例5に記載のプロセスに従って、ただし、4-[4-(6-ヒドロキシヘキソキシ)フェニル]ベンゾニトリルを化合物3に置き換えた条件で合成される。
【0059】
実施例8:11-[4-(4-シアノフェニル)フェノキシ]ウンデシル2,5-ジヒドロキシベンゾエート化合物8の調製
化合物8は、化合物5の実施例5に記載のプロセスに従って、ただし、4-[4-(6-ヒドロキシヘキソキシ)フェニル]ベンゾニトリルを化合物4に置き換えた条件で合成される。
【0060】
実施例9:6-(6-ヒドロキシヘキソキシ)ナフタレン-2-カルボン酸化合物9の合成
DMF 250mL中のメチル6-ヒドロキシナフタレン-2-カルボキシレート 76.3g(0.377mol)、炭酸カリウム 68.5g(0.49mol)、ヨウ化カリウム 8.2g(0.049mol)および6-クロロヘキサノール 67g(0.49mol)の混合物を80℃に18時間加熱する。次いで、溶液を冷まし、2.6Lの冷水に注ぐ。沈殿物を濾別し、水で2回洗浄する。次いで、生成物をアセトニトリルから再結晶させると、白色の粉末94.2gが得られる。DMF 680mL中のこの固体、水酸化ナトリウム 37.95g、メタノール 340mLおよび水 75mLの混合物を60℃で4時間撹拌する。水 782mL中の塩酸 122.2gを滴下する。懸濁液を濾別すると、6-(6-ヒドロキシヘキソキシ)ナフタレン-2-カルボン酸の白色の固体85.8gが得られる。
【0061】
実施例10:6-(8-ヒドロキシオクトキシ)ナフタレン-2-カルボン酸化合物10の合成
化合物10は、化合物9の実施例9に記載のプロセスに従って、ただし、6-クロロヘキサノールを8-クロロオクタノールに置き換えた条件で合成される。
【0062】
実施例11:6-(8-ヒドロキシデコキシ)ナフタレン-2-カルボン酸化合物11の合成
化合物11は、化合物9の実施例9に記載のプロセスに従って、ただし、6-クロロヘキサノールを10-クロロデカノールに置き換えた条件で合成される。
【0063】
実施例12:6-(11-ヒドロキシウンデコキシ)ナフタレン-2-カルボン酸化合物12の合成
化合物12は、化合物9の実施例9に記載のプロセスに従って、ただし、6-クロロヘキサノールを11-クロロウンデカノールに置き換えた条件で合成される。
【0064】
実施例13:[3-[6-[4-(4-シアノフェニル)フェノキシ]ヘキソキシカルボニル]-4-[6-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ナフタレン-2-カルボニル]オキシ-フェニル]6-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ナフタレン-2-カルボキシレート化合物13の合成
N-メチル-2-ピロリドン 50mL中のクロロプロピオン酸クロリド 45.3g(0.357mol)を、N-メチル-2-ピロリドン 220ml中の6-(6-ヒドロキシヘキソキシ)ナフタレン-2-カルボン酸 85.8g(0.297mol)に滴下する。混合物を室温で2時間撹拌する。次いで、溶液を水 810mLに注ぎ、固体を濾別し、真空下で乾燥させると、105.25gが得られる。
【0065】
先の生成物 6.1g(0.0161mol)、6-[4-(4-シアノフェニル)フェノキシ]ヘキシル2,5-ジヒドロキシベンゾエート 3g(0.0070mol)、4-(ジメチルアミノ)-ピリジン 0.2gおよびジシクロヘキシルカルボジイミド 3.65g(0.0175mol)をCHCl 120mL中で混合し、室温で一晩撹拌する。溶液をhyfloシリカに通して濾過し、溶液を真空下で乾燥させると、白色の固体が得られる。固体を、トリエチルアミン 3.2gと共にCHCl50mLに溶解させる。混合物を40℃で一晩撹拌し、濾別して、真空下で乾燥させる。白色の固体をアセトニトリル中で再結晶させると、[3-[6-[4-(4-シアノフェニル)フェノキシ]ヘキソキシカルボニル]-4-[6-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ナフタレン-2-カルボニル]オキシ-フェニル]6-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ナフタレン-2-カルボキシレート化合物13の白色の固体5.95gが得られる。
【0066】
液晶相転移:化合物13を、その相転移温度を決定するために交差偏光子の下で偏光顕微鏡を用いて観察した。結果として、温度が上昇したとき、結晶相は105℃(T(Cr-N))でネマチック相へと変化し、等方相は150℃(T(N-I))を上回るように見えた。
DMSO-d中のH NMR(300MHz):DMSO-d中のH NMR(300MHz):8.80 (s, 2H), 8.11 (m, 4H), 7.95 (m, 3H), 7.86 (d, 4H), 7.80 (d, 1H), 7.76 (d, 2H), 7.58 (d, 1H), 7.43 (d, 2H), 7.28 (d, 2H), 6.94 (d, 2H), 6.32 (m, 2H), 6.13 (m, 2H), 5.93 (m, 2H), 4.10 (m, 10H), 3.73 (t, 2H), 2-0.8 (m, 24H)
【0067】
実施例14:(acry6-8)[3-[8-[4-(4-シアノフェニル)フェノキシ]オクトキシカルボニル]-4-[6-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ナフタレン-2-カルボニル]オキシ-フェニル]6-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ナフタレン-2-カルボキシレート化合物14の合成
化合物14は、化合物13の実施例13に記載のプロセスに従って、ただし、6-[4-(4-シアノフェニル)フェノキシ]ヘキシル2,5-ジヒドロキシベンゾエートを8-[4-(4-シアノフェニル)フェノキシ]オクチル2,5-ジヒドロキシベンゾエートに置き換えた条件で合成される。
液晶相転移:T(Cr-N):96℃、T(N-I)>150℃
DMSO-d中のH NMR(300MHz):DMSO-d中のH NMR(300MHz):8.80 (s, 2H), 8.09 (m, 4H), 7.94 (m, 3H), 7.83 (d, 4H), 7.80 (d, 1H), 7.66 (d, 2H), 7.58 (d, 1H), 7.45 (d, 2H), 7.28 (d, 2H), 7.02 (d, 2H), 6.30 (m, 2H), 6.16 (m, 2H), 5.92 (m, 2H), 4.14 (m, 10H), 3.90 (t, 2H), 1.9-0.7 (m, 28H)
【0068】
実施例15:(acry6-10)[3-[10-[4-(4-シアノフェニル)フェノキシ]デコキシカルボニル]-4-[6-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ナフタレン-2-カルボニル]オキシ-フェニル]6-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ナフタレン-2-カルボキシレート化合物15の合成
化合物15は、化合物13の実施例13に記載のプロセスに従って、ただし、6-[4-(4-シアノフェニル)フェノキシ]ヘキシル2,5-ジヒドロキシベンゾエートを10-[4-(4-シアノフェニル)デコキシ]オクチル2,5-ジヒドロキシベンゾエートに置き換えた条件で合成される。
液晶相転移:T(Cr-N):107℃、T(N-I)>150℃
DMSO-d中のH NMR(300MHz):8.68 (d, 2H), 7.98 (m, 4H), 7.84 (m, 3H), 7.73 (d, 4H), 7.67 (dd, 1H), 7.58 (d, 2H), 7.47 (d, 1H), 7.36 (d, 2H), 7.17 (d, 2H), 6.92 (d, 2H), 6.24 (m, 2H), 6.10 (m, 2H), 5.81 (m, 2H), 3.98 (m, 10H), 3.85 (t, 2H), 1.9-0.7 (m, 32H)
【0069】
実施例16:[3-[11-[4-(4-シアノフェニル)フェノキシ]ウンデコキシカルボニル]-4-[6-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ナフタレン-2-カルボニル]オキシ-フェニル]6-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ナフタレン-2-カルボキシレート化合物16の合成
化合物16は、化合物13の実施例13に記載のプロセスに従って、ただし、6-[4-(4-シアノフェニル)フェノキシ]ヘキシル2,5-ジヒドロキシベンゾエートを11-[4-(4-シアノフェニル)ウンデコキシ]オクチル2,5-ジヒドロキシベンゾエートに置き換えた条件で合成される。
液晶相転移:T(Cr-N):90℃、T(N-I):141℃
【0070】
実施例17:[3-[6-[4-(4-シアノフェニル)フェノキシ]ヘキソキシカルボニル]-4-[6-(11-プロパ-2-エノイルオキシウンデコキシ)ナフタレン-2-カルボニル]オキシ-フェニル]6-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ナフタレン-2-カルボキシレート化合物17の合成
化合物17は、化合物13の実施例13に記載のプロセスに従って、ただし、6-(6-ヒドロキシヘキソキシ)ナフタレン-2-カルボン酸を6-(11-ヒドロキシウンデコキシ)ナフタレン-2-カルボン酸に置き換えた条件で合成される。
液晶相転移:T(Cr-N):120℃、T(N-I)>150℃
【0071】
実施例18:[3-[8-[4-(4-シアノフェニル)フェノキシ]オクトキシカルボニル]-4-[6-(11-プロパ-2-エノイルオキシウンデコキシ)ナフタレン-2-カルボニル]オキシ-フェニル]6-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ナフタレン-2-カルボキシレート化合物18の合成
化合物18は、化合物17の実施例17に記載のプロセスに従って、ただし、6-[4-(4-シアノフェニル)フェノキシ]ヘキシル2,5-ジヒドロキシベンゾエートを8-[4-(4-シアノフェニル)フェノキシ]オクチル2,5-ジヒドロキシベンゾエートに置き換えた条件で合成される。
液晶相転移:T(Cr-N):109℃、T(N-I)>150℃
【0072】
実施例19:[3-[10-[4-(4-シアノフェニル)フェノキシ]デコキシカルボニル]-4-[6-(11-プロパ-2-エノイルオキシウンデコキシ)ナフタレン-2-カルボニル]オキシ-フェニル]6-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ナフタレン-2-カルボキシレート化合物19の合成
化合物19は、化合物17の実施例17に記載のプロセスに従って、ただし、6-[4-(4-シアノフェニル)フェノキシ]ヘキシル2,5-ジヒドロキシベンゾエートを10-[4-(4-シアノフェニル)フェノキシ]デシル2,5-ジヒドロキシベンゾエートに置き換えた条件で合成される。
液晶相転移:T(Cr-N):98℃、T(N-I)>150℃
DMSO-d中のH NMR(300MHz):8.82 (d, 2H), 8.15 (m, 4H), 7.95 (m, 6H), 7.85 (d, 4H), 7.71 (m, 3H), 7.60 (d, 1H), 7.48 (s, 2H), 7.30 (d, 2H), 7.15 (d, 2H), 6.35 (m, 2H), 6.20 (m, 2H), 5.94 (m, 2H), 4.10 (m, 10H), 3.95 (t, 2H), 1.9-0.7 (m, 54H)
【0073】
実施例20:[3-[10-[4-(4-シアノフェニル)フェノキシ]デコキシカルボニル]-4-[6-(10-プロパ-2-エノイルオキシデコキシ)ナフタレン-2-カルボニル]オキシ-フェニル]6-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ナフタレン-2-カルボキシレート化合物20の合成
化合物20は、化合物19の実施例19に記載のプロセスに従って、ただし、6-(11-ヒドロキシウンデコキシ)ナフタレン-2-カルボン酸を6-(10-ヒドロキシデコキシ)ナフタレン-2-カルボン酸に置き換えた条件で合成される。
液晶相転移:T(Cr-N):80℃、T(N-I)>150℃
【0074】
実施例21:[3-[6-[4-(4-シアノフェニル)フェノキシ]ヘキソキシカルボニル]-4-[6-(4-プロパ-2-エノイルオキシブトキシカルボニルオキシ)ナフタレン-2-カルボニル]オキシ-フェニル]6-(4-プロパ-2-エノイルオキシブトキシカルボニルオキシ)ナフタレン-2-カルボキシレート化合物21の合成
6-(4-プロパ-2-エノイルオキシブトキシカルボニルオキシ)ナフタレン-2-カルボン酸(米国特許第7,670,505 B2号明細書に記載のプロセスに従って合成された)5g(0.0140mol)およびBHT 35mgをCHCl 50mL中で混合する。この溶液にDMF 3.5mlおよび塩化オキサリル 1.9g(0.0145mol)を加える。その後、反応混合物を室温で1時間撹拌し、次いで、過剰の塩化オキサリルを減圧下で除去する。生成物をCHClに溶解させ、CHCl50mL中の6-[4-(4-シアノフェニル)フェノキシ]ヘキシル2,5-ジヒドロキシベンゾエート化合物5の 2.7g(0.0062mol)、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン 3.85gおよび2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール 5mgの溶液に滴下する。生じた混合物を室温で4時間撹拌する。その後、25%塩酸 3gおよび水 100mLを加え、相を分離する。有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液で2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮する。残留物をCHCNで再結晶させると、化合物21の白色の固体2.45gが得られる。
液晶相転移:T(Cr-N):99℃、T(N-I)>150℃
DMSO-d中のH NMR(300MHz):8.95 (s, 2H), 8.32 (m, 2H), 8.16 (m, 4H), 7.96 (d, 3H), 7.80 (m, 5H), 7.57 (m, 5H), 6.96 (d, 2H), 6.34 (m, 2H), 6.20 (m, 2H), 5.96 (m, 2H), 4.26 (m, 4H), 4.09 (m, 6H), 3.77 (t, 2H), 1.75 (m, 8H), 1.6-1.2 (m, 4H), 1.15 (m, 4H)
【0075】
実施例22:[3-[8-[4-(4-シアノフェニル)フェノキシ]オクトキシカルボニル]-4-[6-(4-プロパ-2-エノイルオキシブトキシカルボニルオキシ)ナフタレン-2-カルボニル]オキシ-フェニル]6-(4-プロパ-2-エノイルオキシブトキシカルボニルオキシ)ナフタレン-2-カルボキシレート化合物22の合成
化合物22は、化合物21の実施例21に記載のプロセスに従って、ただし、6-[4-(4-シアノフェニル)フェノキシ]ヘキシル2,5-ジヒドロキシベンゾエートを8-[4-(4-シアノフェニル)フェノキシ]オクチル2,5-ジヒドロキシベンゾエートに置き換えた条件で合成される。
液晶相転移:T(Cr-N):103℃、T(N-I)>150℃
【0076】
実施例22A:10-(4-フェニルフェノキシ)デカン-1-オール化合物22Aの合成
化合物22Aは、化合物3の実施例3に記載のプロセスに従って、ただし、4-(4-シアノフェニル)フェノールを4-フェニルフェノールに置き換えた条件で合成される。
【0077】
実施例22B:10-[4-(p-トリル)フェノキシ]デカン-1-オール化合物22Bの合成
化合物22Bは、化合物3の実施例3に記載のプロセスに従って、ただし、4-(4-シアノフェニル)フェノールを4-(p-トリル)フェノールに置き換えた条件で合成される。
【0078】
実施例22C:6-(10-ヒドロキシデコキシ)ナフタレン-2-カルボニトリル化合物22Cの合成
化合物22Cは、化合物3の実施例3に記載のプロセスに従って、ただし、4-(4-シアノフェニル)フェノールを6-ヒドロキシナフタレン-2-カルボニトリルに置き換えた条件で合成される。
【0079】
実施例22D:6-(3-ヒドロキシプロポキシ)ナフタレン-2-カルボン酸化合物22Dの合成
化合物22Dは、化合物9の実施例9に記載のプロセスに従って、ただし、6-クロロヘキサノールを3-ブロモプロパノールに置き換えた条件で合成される。
【0080】
実施例22E:10-(4-フェニルフェノキシ)デシル2,5-ジヒドロキシベンゾエート化合物22Eの合成
化合物22Eは、化合物5の実施例5に記載のプロセスに従って、ただし、4-[4-(6-ヒドロキシヘキソキシ)フェニル]ベンゾニトリルを10-(4-フェニルフェノキシ)デカン-1-オール化合物に置き換えた条件で合成される。
【0081】
実施例22F:10-[4-(p-トリル)フェノキシ]デシル2,5-ジヒドロキシベンゾエート化合物の合成
化合物22Fは、化合物5の実施例5に記載のプロセスに従って、ただし、4-[4-(6-ヒドロキシヘキソキシ)フェニル]ベンゾニトリルを10-[4-(p-トリル)フェノキシ]デカン-1-オール化合物に置き換えた条件で合成される。
【0082】
実施例22G:10-[(6-シアノ-2-ナフチル)オキシ]デシル2,5-ジヒドロキシベンゾエート化合物22Gの合成
化合物22Gは、化合物5の実施例5に記載のプロセスに従って、ただし、4-[4-(6-ヒドロキシヘキソキシ)フェニル]ベンゾニトリルを6-(10-ヒドロキシデコキシ)ナフタレン-2-カルボニトリル化合物22Gに置き換えた条件で合成される。
【0083】
実施例22H:[3-[10-(4-フェニルフェノキシ)デコキシカルボニル]-4-[6-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ナフタレン-2-カルボニル]オキシ-フェニル]6-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ナフタレン-2-カルボキシレート化合物22Hの合成
化合物22Hは、化合物13の実施例13に記載のプロセスに従って、ただし、6-[4-(4-シアノフェニル)フェノキシ]ヘキシル2,5-ジヒドロキシベンゾエートを10-(4-フェニルフェノキシ)デシル2,5-ジヒドロキシベンゾエートに置き換えた条件で合成される。
液晶相転移:T(Cr-N):90℃、T(N-I):127℃
DMSO-d中のH NMR(300MHz):8.78 (d, 2H)、8.12 (m, 4H), 7.96 (m, 3H), 7.75 (dd, 1H), 7.57 (m, 5H), 7.42 (dd, 4H), 7.28 (m, 3H), 6.97 (d, 2H), 6.32 (m, 2H), 6.18 (m, 2H), 5.89 (m, 2H), 4.10 (m, 10H), 3.93 (t, 2H), 1.9-0.7 (m, 32H)
【0084】
実施例22I:[4-[6-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ナフタレン-2-カルボニル]オキシ-3-[10-[4-(p-トリル)フェノキシ]デコキシカルボニル]フェニル]6-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ナフタレン-2-カルボキシレート化合物22Iの合成
化合物22Iは、化合物13の実施例13に記載のプロセスに従って、ただし、6-[4-(4-シアノフェニル)フェノキシ]ヘキシル2,5-ジヒドロキシベンゾエートを10-[4-(p-トリル)フェノキシ]デシル2,5-ジヒドロキシベンゾエートに置き換えた条件で合成される。
液晶相転移:T(Cr-N):93℃、T(N-I):152℃
DMSO-d中のH NMR(300MHz):8.80 (d, 2H), 8.12 (m, 4H), 7.94 (m, 3H), 7.76 (dd, 1H), 7.52 (m, 7H), 7.24 (dd, 4H), 6.96 (d, 2H), 6.30 (m, 2H), 6.17 (m, 2H), 5.95 (m, 2H), 4.13 (m, 10H), 3.93 (t, 2H), 2.32 (s, 3H), 1.9-0.7 (m, 32H)
【0085】
実施例22J:[3-[10-[(6-シアノ-2-ナフチル)オキシ]デコキシカルボニル]-4-[6-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ナフタレン-2-カルボニル]オキシ-フェニル]6-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ナフタレン-2-カルボキシレート化合物22Jの合成
化合物22Jは、化合物13の実施例13に記載のプロセスに従って、ただし、6-[4-(4-シアノフェニル)フェノキシ]ヘキシル2,5-ジヒドロキシベンゾエートを10-[(6-シアノ-2-ナフチル)オキシ]デシル2,5-ジヒドロキシベンゾエートに置き換えた条件で合成される。
液晶相転移:T(Cr-N):71℃、T(N-I):137℃
DMSO-d中のH NMR(300MHz):8.80(d, 2H), 8.45 (d, 1H), 8.11 (m, 4H), 7.96 (m, 5H), 7.75 (m, 2H), 7.58 (d, 1H), 7.45 (dd, 3H), 7.29 (d, 3H), 6.30 (m, 2H), 6.19 (m, 2H), 5.94 (m, 2H), 4.10 (m, 12H), 3.85 (t, 2H), 1.9-0.6 (m, 32H)
【0086】
実施例22K:[3-[10-[4-(4-シアノフェニル)フェノキシ]デコキシカルボニル]-4-[6-(3-プロパ-2-エノイルオキシプロポキシ)ナフタレン-2-カルボニル]オキシ-フェニル]6-(3-プロパ-2-エノイルオキシプロポキシ)ナフタレン-2-カルボキシレート化合物22Kの合成
化合物22Kは、化合物13の実施例13に記載のプロセスに従って、ただし、6-[4-(4-シアノフェニル)フェノキシ]ヘキシル2,5-ジヒドロキシベンゾエートを10-[(6-シアノ-2-ナフチル)オキシ]デシル2,5-ジヒドロキシベンゾエートに置き換え、6-(6-ヒドロキシヘキソキシ)ナフタレン-2-カルボン酸を6-(3-ヒドロキシプロポキシ)ナフタレン-2-カルボン酸に置き換えた条件で合成される。
液晶相転移:T(Cr-N):110.4℃、T(N-I)>160℃
DMSO-d中のH NMR(300MHz):8.79 (d, 2H), 8.10 (m, 4H), 7.94 (m, 3H), 7.81 (d, 5H), 7.66 (d, 2H), 7.57 (d, 1H), 7.48 (d, 2H), 7.29 (d, 2H), 7.02 (d, 2H), 6.35 (m, 2H), 6.16 (m, 2H), 5.95 (m, 2H), 4.33 (m, 6H), 4.25 (t, 2H), 4.07 (t, 2H), 3.95 (t, 2H), 2.17 (m, 4H), 1.64 (t, 2H), 1.5-0.5 (m, 14H)
【0087】
実施例23A:光配列材料を使用した配向層の調製
ガラス基板に光配列組成物(特許公報 国際公開第O2012/085048号に記載されているようなシクロペンタノン中の固形含量2%の光配列材料)をスピンコーティングする。フィルムを80℃で30秒間乾燥させると、生じたフィルムの厚さは約100nmである。次いで、フィルムを、平行化および直線偏光されたUV(LPUV)光(280~320nm)である250mJ/cm2の配列光に暴露する。偏光面は、基板上の基準縁に対して0°である。
【0088】
実施例23:
14.79w%の化合物16、0.03w%の2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、0.18w%のIrgacure 369をシクロヘキサノン中で混合することによって15.0w%の溶液を調製し、固体が完全に溶解するまで室温で十分に撹拌する。上記ポリマー溶液を実施例23Aの配向層を有するガラスプレート上にスピンコーティングして、液晶フィルムを形成した。このフィルムを、温度を制御したホットプレート上にて90℃で5分間乾燥させる。試料を室温まで冷まし、次いで、N雰囲気下で水銀ランプを使用してUV光を室温でおよそ2分間照射することによって光重合させて、液晶の配向状態を固定する。
【0089】
生じたフィルムは、室温で非常に良好に配向したネマチック中間相を示した。
【0090】
実施例24:
化合物16を化合物21に置き換えたという単一の相違以外は実施例23と同様にしてフィルムを調製する。このフィルムを、温度を制御したホットプレート上にて100℃で5分間乾燥させた。生じたフィルムは、室温で非常に良好に配向したネマチック中間相を示した。
【0091】
実施例25:
化合物16を化合物22に置き換えたという単一の相違以外は実施例23と同様にしてフィルムを調製する。このフィルムを、温度を制御したホットプレート上にて100℃で5分間乾燥させた。生じたフィルムは、室温で良好に配向したネマチック中間相を示した。
【0092】
実施例26:
化合物16を化合物15に置き換えたという単一の相違以外は実施例23と同様にしてフィルムを調製する。このフィルムを、温度を制御したホットプレート上にて100℃で5分間乾燥させた。生じたフィルムは、室温で非常に良好に配向したネマチック中間相を示した。
【0093】
実施例26B:
化合物16を化合物22Hに置き換えたという単一の相違以外は実施例23と同様にしてフィルムを調製する。このフィルムを、温度を制御したホットプレート上にて100℃で5分間乾燥させた。生じたフィルムは、室温で非常に良好に配向したネマチック中間相を示した。
【0094】
実施例26C:
化合物16を化合物22Iに置き換えたという単一の相違以外は実施例23と同様にしてフィルムを調製する。このフィルムを、温度を制御したホットプレート上にて100℃で5分間乾燥させた。生じたフィルムは、室温で非常に良好に配向したネマチック中間相を示した。
【0095】
実施例26D:
化合物16を化合物22Jに置き換えたという1つの違い以外は実施例23と同様にしてフィルムを調製する。このフィルムを、温度を制御したホットプレート上にて100℃で5分間乾燥させた。生じたフィルムは、室温で非常に良好に配向したネマチック中間相を示した。
【0096】
実施例26E:
化合物16を化合物22Kに置き換えたという単一の相違以外は実施例23と同様にしてフィルムを調製する。このフィルムを、温度を制御したホットプレート上にて100℃で5分間乾燥させた。生じたフィルムは、室温で非常に良好に配向したネマチック中間相を示した。
【0097】
比較例1:
化合物16を特許出願 国際公開第2011/003846 A1号に記載の10-[4-(4-シアノフェニル)フェノキシ]デシル2,5-ビス[[4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾイル]オキシ]ベンゾエートに置き換えたという単一の相違以外は実施例23と同様にして、フィルムを調製する。このフィルムを、温度を制御したホットプレート上にて90℃で5分間乾燥させた。生じたフィルムは、室温で非常に良好に配向したネマチック中間相を示した。
【0098】
比較例2:
化合物16を米国特許第7,670,505 B2号明細書に記載される米国特許第7,670,505 B2号明細書からの[4-[6-(4-プロパ-2-エノイルオキシブトキシカルボニルオキシ)ナフタレン-2-カルボニル]オキシフェニル]6-(4-プロパ-2-エノイルオキシブトキシカルボニルオキシ)ナフタレン-2-カルボキシレート(Paliocolor(登録商標)LC1057)に置き換えたという単一の相違以外は実施例23と同様にして、フィルムを調製する。このフィルムを、温度を制御したホットプレート上にて100℃で5分間乾燥させた。生じたフィルムは、室温で非常に良好に配向したネマチック中間相を示した。
【0099】
実施例27:
実施例23、実施例25、実施例26、比較例1および比較例2に記載の試料の550nmでの位相差は、偏光解析器(Ellipsometer)で測定する。試料の厚さは、触針式表面形状測定装置によって測定する。複屈折(Δn)は、決定された位相差および厚さの値から式(Δn=位相差/厚さ)に従って得た。値を表1に列記する。
【0100】
【表1】
【0101】
表1
実施例23、25、26、26B、26C、26Dおよび26Eのフィルムは、比較例1および2のフィルムよりも高い複屈折を有する。これらの新たなLCPは、1/4波長板(Quarter-Waveplate)(QWP)および1/2波長板(Half-Waveplate)(HWP)として位相差板光学フィルムを調製するために使用することができる。位相差板は、光を伝達し、その偏光状態を変調させ、様々なディスプレイ用途またはセキュリティ素子において広く使用される。これらの新たなLCPの特に高い複屈折は、位相差板のフィルムの大幅な厚さの減少をもたらす。一例として、表2は、550nmでの1/2波長板(λ/2)位相差板(HWP)を得るために必要とされる厚さを示し、ここで、実施例26、23、25、26B、26C、26Dおよび26Eにおいてそれぞれ化合物15、16、22、22H、22I、22J、22Kが使用されている。
【0102】
【表2】
【0103】
実施例28:比較例3を用いた偏光フィルムの形成
組成物は、以下の成分を混合することによって得られる:
特許出願 国際公開第2011/003846 A1号に記載の10-[4-(4-シアノフェニル)フェノキシ]デシル2,5-ビス[[4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾイル]オキシ]ベンゾエートの化合物29.26部を、BASF製の二色性色素(登録商標)X13の黒色混合物1.24部、BASF製のIrgacure OXE03 0.95部および2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール0.016部と混合する。この混合物をシクロヘキサノン68.5部に溶解させる。
【0104】
250mJの直線偏光に暴露させておいたガラス(D263)基板上にコートされた100nmの光配向層上に、その溶液を、バーサイズ3(bar N°3)のK-barコーティングによってコーティングする。その後、基板をオーブン内にて90℃で5分間加熱し、室温まで冷ます。次いで、コートされたLCP層を、N雰囲気下で水銀ランプを使用して室温でおよそ2分間、UV光を照射することによって光重合させ、液晶の配向状態を固定する。
【0105】
実施例29:比較例4を用いた偏光フィルムの形成
組成物は、以下の成分を混合することによって得られる:
米国特許第7,670,505 B2号明細書に記載される米国特許第7,670,505 B2号明細書からの[4-[6-(4-プロパ-2-エノイルオキシブトキシカルボニルオキシ)ナフタレン-2-カルボニル]オキシフェニル]6-(4-プロパ-2-エノイルオキシブトキシカルボニルオキシ)ナフタレン-2-カルボキシレート(Paliocolor(登録商標)LC1057)29.33部を、BASF製の二色性色素(登録商標)X13の黒色混合物1.18部、BASF製のIrgacure OXE03 0.95部および2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール0.016部と混合する。この混合物をシクロヘキサノン68.5部に溶解させる。
【0106】
250mJの直線偏光に暴露させておいたガラス(D263)基板上にコートされた100nmの光配列層上に、その溶液を、バーサイズ3のK-barコーティングによってコーティングする。その後、基板をオーブン内にて90℃で5分間加熱し、室温まで冷ます。次いで、コートされたLCP層を、N雰囲気下で水銀ランプを使用して室温でおよそ2分間、UV光を照射することによって光重合させ、液晶の配向状態を固定する。
【0107】
実施例30:実施例15からの化合物を用いた偏光フィルムの形成
組成物は、以下の成分を混合することによって得られる:
実施例15の化合物29.45部を、BASF製の二色性色素(登録商標)X13の黒色混合物1.06部、BASF製のIrgacure OXE03 0.95部および2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール0.016部と混合する。この混合物をシクロヘキサノン68.5部に溶解させる。
【0108】
250mJの直線偏光に暴露させておいたガラス(D263)基板上にコートされた100nmの光配列層上に、その溶液を、バーサイズ3のK-barコーティングによってコーティングする。その後、基板をオーブン内にて90℃で5分間加熱し、室温まで冷ます。次いで、コートされたLCP層を、N雰囲気下で水銀ランプを使用して室温でおよそ2分間、UV光を照射することによって光重合させ、液晶の配向状態を固定する。
【0109】
実施例31:実施例15からの化合物を用いた偏光フィルムの形成
組成物は、以下の成分を混合することによって得られた:
実施例15の化合物16.42部を、BASF製の二色性色素(登録商標)X13の黒色混合物1.00部、BASF製のIrgacure OXE03 0.95部および2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール0.016部と混合する。この混合物をシクロヘキサノン82部に溶解させる。
【0110】
250mJの直線偏光に暴露させておいたガラス(D263)基板上にコートされた100nmの光配列層上に、その溶液を、バーサイズ3のK-barコーティングによってコーティングする。その後、基板をオーブン内にて90℃で5分間加熱し、室温まで冷ます。次いで、コートされたLCP層を、N雰囲気下で水銀ランプを使用して室温でおよそ2分間、UV光を照射することによって光重合させ、液晶の配向状態を固定する。
【0111】
実施例32:実施例22Kからの化合物を用いた偏光フィルムの形成
組成物は、以下の成分を混合することによって得られる:
実施例22Kの化合物16.42部を、BASF製の二色性色素(登録商標)X13の黒色混合物1.00部、BASF製のIrgacure OXE03 0.54部および2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール0.009部と混合する。この混合物をシクロヘキサノン82部に溶解させる。
【0112】
250mJの直線偏光に暴露させておいたガラス(D263)基板上にコートされた100nmの光配列層上に、その溶液を、バーサイズ3のK-barコーティングによってコーティングする。その後、基板をオーブン内にて100℃で5分間加熱し、室温まで冷ます。次いで、コートされたLCP層を、N雰囲気下で水銀ランプを使用して室温でおよそ2分間、UV光を照射することによって光重合させ、液晶の配向状態を固定する。
【0113】
実施例33:偏光フィルムの特性
吸光度における二色比(DR)によって、偏光フィルムの偏光性能を定義することが可能である。DRは、材料特性であり、それゆえ、偏光子の厚さに依存しない。吸光度におけるDRは、偏光分光法を通じて決定することができ、以下のとおり定義される:
DR=Log(1/Tperp)/(Log(1/Tparal))
【0114】
Tperpは、偏光フィルムの透過軸に対して垂直に進入した光の透過率である。Tparalは、偏光フィルムの透過軸に対して平行に進入した光の透過率である。実施例28~32の透過率TperpおよびTparalは、AxoScan偏光計を使用して測定し、これらを使用して450nm、550nm、650nmの波長の二色比(DR)を決定する。
【0115】
実施例28~32の偏光フィルムの厚さは、Alpha-Step Stylusプロファイラーによって決定する。
【0116】
実施例28~32の偏光フィルムの厚さおよびDRの結果を表3にまとめる。
【0117】
【表3】
【0118】
二色比が高いほど、偏光フィルムはより効率的であると言うことができる。本発明の組成物を使用することによって高い二色比を有する偏光フィルムを得ることができる。実際に、本発明の化合物15および化合物22kから製造された偏光フィルムは、13を上回る二色比を提示する一方で、比較例3および比較例4の偏光フィルムのDRは10.2の最大DRを有する。