(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】量子ビットのための電荷ロック回路及び制御システム
(51)【国際特許分類】
G06N 10/40 20220101AFI20240618BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20240618BHJP
H01L 21/8238 20060101ALI20240618BHJP
H01L 27/092 20060101ALI20240618BHJP
H03K 19/195 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
G06N10/40
H01L27/088 331E
H01L27/092 B
H03K19/195
(21)【出願番号】P 2021574765
(86)(22)【出願日】2020-04-27
(86)【国際出願番号】 US2020030062
(87)【国際公開番号】W WO2021025737
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2023-03-16
(32)【優先日】2019-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】314015767
【氏名又は名称】マイクロソフト テクノロジー ライセンシング,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ダス,クシャル
(72)【発明者】
【氏名】モイニ,アリレザ
(72)【発明者】
【氏名】ライリー,デイビッド ジェイ.
【審査官】大倉 崚吾
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0015317(US,A1)
【文献】EKANAYAKE, S. Ramesh et al.,"Quantum bit controller and observer circuits in SOS-CMOS technology for gigahertz low-temperature operation",7th IEEE Conference on Nanotechnology [online],IEEE,2007年,[2024年01月22日検索],インターネット<URL:https://ieeexplore.ieee.org/document/4601417>,DOI: 10.1109/NANO.2007.4601417
【文献】PUDDY, R. K. et al.,"Multiplexed Charge-locking Device for Large Arrays of Quantum Devices",Applied Physics Letters [online],Vol. 107,No. 143501,AIP Publishing,2015年,[2024年01月22日検索],インターネット<URL:https://pubs.aip.org/aip/apl/article/107/14/143501/29586/Multiplexed-charge-locking-device-for-large-arrays>
【文献】VAN DER PLOEG, S. H. W. et al.,"Controllable coupling of superconducting flux qubits",arXiv [online],2007年,[2024年01月22日検索],インターネット<URL:https://arxiv.org/abs/cond-mat/0605588v3>,0605588v3
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06N 10/00-10/80
H01L 27/088-27/092
H03K 19/195
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
量子ビットゲートを制御するシステムであって、
複数の量子ビットゲートを含む量子デバイスを有する第1パッケージデバイスであり、前記量子デバイスが極低温で作動するよう構成される、前記第1パッケージデバイスと、
前記極低温で作動するよう構成された制御回路を有する第2パッケージデバイスと
を有し、
前記第1パッケージデバイスは、前記第2パッケージデバイスへ結合され、
前記制御回路は、複数の電荷ロック回路を有し、該複数の電荷ロック回路の夫々は、該複数の電荷ロック回路の夫々が電圧信号を少なくとも1つの量子ビット
ゲートへ供給するよう構成されるように、インターコネクトにより前記複数の量子ビットゲートのうちの前記少なくとも1つの量子ビットゲートへ結合され、
前記複数の電荷ロック回路の夫々は、入力電圧信号を受信する入力端子と、前記電圧信号を前記少なくとも1つの量子ビットゲートへ選択的に供給する出力端子とを有し、
前記複数の電荷ロック回路の夫々は、前記入力電圧信号を受信する第1端子と、第1電圧量又は第2電圧量を選択的に受け取る第2端子とを備えるキャパシタを更に有し、前記第1電圧量は、前記第2電圧量よりも多い、
システム。
【請求項2】
前記複数の電荷ロック回路の夫々は、制御された大きさを有しているパルス信号として前記電圧信号を生成するよう構成され、
前記制御された大きさは、少なくとも前記第1電圧量及び前記第2電圧量に依存する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数の電荷ロック回路の少なくともサブセットは、直接モード又は容量モードのうちの一方で作動するよう構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記キャパシタは、前記直接モード中には充電されない、
請求項
3に記載のシステム。
【請求項5】
前記キャパシタは、前記容量モード中に充電される、
請求項
3に記載のシステム。
【請求項6】
前記複数の電荷ロック回路の夫々は、複数のトランジスタデバイスを有し、該複数のトランジスタデバイスの少なくともサブセットの中の夫々は、バックゲートバイアス端子を含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記バックゲートバイアス端子は、各々のトランジスタデバイスに関連した閾電圧を変えるための電圧を受けるよう構成される、
請求項
6に記載のシステム。
【請求項8】
前記制御回路は、前記複数の電荷ロック回路の夫々に関連した少なくとも1つの制御信号を制御するよう構成された制御ロジックを更に有する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
複数の量子ビットゲートを含み、極低温で作動するよう構成された量子デバイスと、前記極低温で作動するよう構成され、複数の電荷ロック回路を有する制御回路とを有する量子ビットゲート制御システムでの方法であって、前記複数の電荷ロック回路の夫々は、該複数の電荷ロック回路の夫々が電圧信号を少なくとも1つの量子ビットゲートへ供給するよう構成されるように、インターコネクトにより前記複数の量子ビットゲートのうちの前記少なくとも1つの量子ビットゲートへ結合され、前記複数の電荷ロック回路の夫々は、入力電圧信号を受信する第1端子と、第1電圧量又は第2電圧量を選択的に受け取る第2端子とを有し、前記第1電圧量は前記第2電圧量よりも多い、前記方法において、
前記少なくとも1つの量子ビットゲートへ出力される前記電圧信号が、第1の制御された大きさを有しているパルス信号を有するように、前記複数の電荷ロック回路の第1サブセットを容量モードで作動させることであり、前記第1の制御された大きさは、前記入力電圧信号の量と、前記第1電圧量及び前記第2電圧量の夫々とに依存する、ことと、
前記少なくとも1つの量子ビットゲートへ出力される前記電圧信号が、第2の制御された大きさを有している信号を有するように、前記複数の電荷ロック回路の第2サブセットを直接モードで作動させることであり、前記第2の制御された大きさは、前記入力電圧信号と、前記第1電圧量又は前記第2電圧量の一方のみとに依存する、ことと
を有する方法。
【請求項10】
前記制御回路は、前記複数の電荷ロック回路の夫々に関連した少なくとも1つの制御信号を制御するよう構成された制御ロジックを更に有する、
請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の電荷ロック回路の夫々は、複数のトランジスタデバイスを有し、該複数のトランジスタデバイスの少なくともサブセットの中の夫々は、バックゲートバイアス端子を含む、
請求項
9に記載の方法。
【請求項12】
前記バックゲートバイアス端子は、各々のトランジスタデバイスに関連した閾電圧を変えるための電圧を受けるよう構成される、
請求項
11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
デジタルプロセッサなどの、電子デバイスで使用される半導体ベースの集積回路は、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)技術に基づいたデジタル回路を含む。CMOS技術に基づいた、プロセッサ及び関連するコンポーネントの使用に対する更なるアプローチは、超電導ロジックベースのデバイスの使用である。超電導ロジックベースのデバイスは、量子ビットなどの量子情報を処理するためにも使用され得る。
【発明の概要】
【0002】
一態様において、本開示は、量子ビットを制御するシステムに関係がある。システムは、複数の量子ビットゲートを含む量子デバイスを有する第1パッケージデバイスを含んでもよく、量子デバイスは極低温で作動するよう構成される。システムは、極低温で作動するよう構成された制御回路を有する第2パッケージデバイスを更に含んでもよく、第1パッケージデバイスは第2パッケージデバイスへ結合され、制御回路は複数の電荷ロック回路を有し、複数の電荷ロック回路の夫々は、複数の電荷ロック回路の夫々が電圧信号を少なくとも1つの量子ビットへ供給するよう構成されるように、インターコネクトにより複数の量子ビットゲートのうちの少なくとも1つの量子ビットゲートへ結合される。
【0003】
他の態様においては、本開示は、複数の量子ビットゲートを含み、極低温で作動するよう構成された量子デバイスと、極低温で作動するよう構成され、複数の電荷ロック回路を有する制御回路とを有する量子ビットゲート制御システムでの方法であって、複数の電荷ロック回路の夫々は、複数の電荷ロック回路の夫々が電圧信号を少なくとも1つの量子ビットゲートへ供給するよう構成されるように、インターコネクトにより複数の量子ビットゲートのうちの少なくとも1つの量子ビットゲートへ結合され、複数の電荷ロック回路の夫々は、入力電圧信号を受信する第1端子と、第1電圧量又は第2電圧量を選択的に受け取る第2端子とを有し、第1電圧量は第2電圧量よりも多い、方法に関係がある。方法は、少なくとも1つの量子ビットゲートへ出力される電圧信号が、第1の制御された大きさを有しているパルス信号を有するように、複数の電荷ロック回路の第1サブセットを容量モードで作動させることを含んでもよく、第1の制御された大きさは、入力電圧信号の量と、第1電圧量及び第2電圧量の夫々とに依存する。方法は、少なくとも1つの量子ビットゲートへ出力される電圧信号が、第2の制御された大きさを有している信号を有するように、複数の電荷ロック回路の第2サブセットを直接モードで作動させることを更に含んでもよく、第2の制御された大きさは、入力電圧信号と、第1電圧量又は第2電圧量の一方のみとに依存する。
【0004】
更なる他の態様においては、本開示は、量子ビットゲートを制御するシステムに関係がある。システムは、複数の量子ビットゲートを含む量子デバイスを含んでもよく、量子デバイスは極低温で作動するよう構成される。システムは、極低温で作動するよう構成された制御回路を更に含んでもよく、制御回路は複数の電荷ロック回路を有し、複数の電荷ロック回路の夫々は、複数の電荷ロック回路の夫々が電圧信号を少なくとも1つの量子ビットへ供給するよう構成されるように、インターコネクトにより複数の量子ビットゲートのうちの少なくとも1つの量子ビットゲートへ結合され、複数の電荷ロック回路の夫々は、入力電圧信号を受信する入力端子と、電圧信号を少なくとも1つの量子ビットゲートへ選択的に供給する出力端子とを有し、制御回路は、複数の電荷ロック回路の夫々に関連した少なくとも1つの制御信号を供給するよう構成された制御ロジックを更に有する。
【0005】
別の他の態様においては、本開示は、量子ビットを制御するシステムに関係がある。システムは、複数の量子ビットゲートを含む量子デバイスを有する第1パッケージデバイスを含んでもよく、量子デバイスは極低温で作動するよう構成される。システムは、極低温で作動するよう構成された制御システムを有する第2パッケージデバイスを更に含んでもよく、第1パッケージデバイスは第2パッケージデバイスへ結合される。制御システムは、複数の電荷ロック回路を含んでもよく、複数の電荷ロック回路の夫々は、複数の電荷ロック回路の夫々が電圧信号を少なくとも1つの量子ビットへ供給するよう構成されるように、インターコネクトにより複数の量子ビットゲートのうちの少なくとも1つの量子ビットゲートへ結合される。制御システムは、複数の電荷ロック回路のうちの少なくとも1つを選択的に有効にするように、かつ、複数の電荷ロック回路のうちの選択された1つへの少なくとも1つの電圧信号の供給を選択的に有効にするように、少なくとも1つの制御信号を供給するよう構成された有限状態機械を有する制御回路を更に含んでもよい。
【0006】
他の態様においては、本開示は、量子ビットを制御するシステムに関係がある。システムは、複数の量子ビットゲートを含む量子デバイスを有する第1パッケージデバイスを含んでもよく、量子デバイスは極低温で作動するよう構成される。システムは、極低温で作動するよう構成された制御システムを有する第2パッケージデバイスを更に含んでもよく、第1パッケージデバイスは第2パッケージデバイスへ結合される。制御システムは、複数の電荷ロック回路を含んでもよく、複数の電荷ロック回路の夫々は、複数の電荷ロック回路の夫々が電圧信号を少なくとも1つの量子ビットへ供給するよう構成されるように、インターコネクトにより複数の量子ビットゲートのうちの少なくとも1つの量子ビットゲートへ結合される。制御システムは、複数の電荷ロック回路のうちの少なくとも1つを選択的に有効にするように少なくとも1つの制御信号を供給するよう構成された制御ロジックを有する制御回路を更に含んでもよい。
【0007】
更なる他の態様においては、本開示は、量子ビットを制御するシステムに関係がある。システムは、複数の量子ビットゲートを含む量子デバイスを有する第1パッケージデバイスを含んでもよく、量子デバイスは極低温で作動するよう構成される。システムは、極低温で作動するよう構成された制御システムを有する第2パッケージデバイスを更に含んでもよく、第1パッケージデバイスは第2パッケージデバイスへ結合される。制御システムは、複数の電荷ロック回路を含んでもよく、複数の電荷ロック回路の夫々は、複数の電荷ロック回路の夫々が電圧信号を少なくとも1つの量子ビットへ供給するよう構成されるように、インターコネクトにより複数の量子ビットゲートのうちの少なくとも1つの量子ビットゲートへ結合される。制御システムは、少なくとも1つの電圧信号を生成するデジタル-アナログ変換器を更に含んでもよい。制御システムは、複数の電荷ロック回路のうちの少なくとも1つを選択的に有効にするように、かつ、複数の電荷ロック回路のうちの選択された1つへの少なくとも1つの電圧信号の供給を選択的に有効にするように、少なくとも1つの制御信号を供給するよう構成された有限状態機械を有する制御回路を更に含んでもよい。
【0008】
この概要は、詳細な説明において以下で更に記載される概念の一部を簡潔に紹介するために与えられている。この概要は、請求されている対象の重要な特徴又は必須の特徴を特定することも、請求されている対象の範囲を限定するために使用されることも意図しない。
【0009】
本開示は、例として説明されており、添付の図面によって限定されない。図面中、同じ参照符号は、同様の要素を示している。図中の要素は、簡潔さ及び明りょうのために表されており、必ずしも実寸通りではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一例に従って、量子ビットを制御するシステム100を示す。
【
図2】一例に従って、極低温CMOS制御チップ、量子ビットチップ、及び共振器チップを含む共通基板を示す。
【
図3】一例に従って、高速制御マルチプレキシングに関連した制御システムのブロック図を示す。
【
図4】一例に従って、制御システムを含む極低温CMOS制御チップの平面図を示す。
【
図5】一例に従って、電荷ロック高速ゲーティング(CLFG)セルを示す。
【
図6】
図5のCLFGの動作に関連した例示的な波形600を示す。
【
図7A】一例に従って、極低温CMOS制御チップ700に関連した様々なブロックを示す。
【
図7B】一例に従って、極低温CMOS制御チップ700に関連した様々なブロックを示す。
【
図8】一例に従って、電荷ロック及び高速ゲーティングのブロック図を示す。
【
図10】一例に従って、CLFGセルの動作を制御する有限状態機械を示す。
【
図11A】例示的な極低温CMOS制御チップの部分として、イネーブル信号を生成するために使用され得る例示的なシステムを示す。
【
図11B】例示的な極低温CMOS制御チップの部分として、イネーブル信号を生成するために使用され得る例示的なシステムを示す。
【
図12】一例に従って、CLFGセルアレイを示す。
【
図13】一例に従って、容量モードで作動するよう構成された例示的なCLFGセルを示す。
【
図14】一例に従って、容量モード及び直接モードの両方を含むデュアルモードで作動するよう構成された例示的なCLFGセルを示す。
【
図15】
図13及び
図14に示されているCLFGセルのための信号に関連した例示的な波形を示す。
【
図16】容量モードでのCLFGセルのシミュレーションに関連した例示的な波形を示す。
【
図17】電荷ロックテスト中の例示的な量子ビットデバイスのアクティブエリアの第1ビュー及び第2ビューを示す。
【
図18】一例に従って、量子ポイントコンタクト(QPC)に関連した電圧及び電流の変化の図を示す。
【
図19】量子ドットによる高速ゲーティング動作のテスト中の極低温CMOS制御チップに対応する例示的な波形を示す。
【
図20】極低温CMOS制御チップのテスト中の量子ドットを通るリードアウト信号に対応する例示的なリードアウト波形を示す。
【
図21】一例に従って、FDSOIデジタルデバイスを示す。
【
図22】一例に従って、FDSOIアナログデバイスを示す。
【
図23】本開示で記載されるシステムに関連した方法に対応するフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示で記載される例は、量子ビットを制御システムに関係がある。量子デバイスを制御することは、理想的には、量子デバイスと緊密に統合された極低温で、非常に多くの静的及び動的な電圧信号を生成することを必要とする。本開示で使用されるように、「極低温」(cryogenic temperature(s))との用語は、300ケルビン以下の任意の温度を意味する。低温環境が如何なるアクティブな電子機器の電力消費も制限していることを考えると、これは大きな課題である。加えて、大量の電圧信号も量子計算デバイスにおいて量子ビットゲートへ結合される必要がある。これは、量子計算デバイスにおいて量子ビットゲートを駆動するために、潜在的に何千ものワイヤが電圧源へ接続される必要があるからである。更に、従来、量子ビットは、クライオスタットで減衰される大きい信号を生成しなければならない室温のパルス発生器により制御されてきた。この減衰を解消するために必要な電力、更には、ケーブルインピーダンスを駆動するために必要な電力は、量子コンピュータのスケーリングの障害になる。
【0012】
本開示で記載される例は、量子計算デバイスのための極低温制御回路及びアーキテクチャに関係がある。制御アーキテクチャは、量子ビットプレーンと密に集積されている極低温制御回路を含む集積回路制御チップを含む。例として、制御チップは、量子ビットプレーンにワイヤボンディング又はフリップチップ実装され得る。加えて、制御チップは、電圧バイアスを生成するようキャパシタ(インターコネクトキャパシタンスを含む)に電荷を蓄える。単一のデジタル-アナログ変換器が、各キャパシタでの電荷をセットするために使用されてもよく、電荷は、極低温で、そのような温度での非常に低い漏れ経路によって長い期間保持される。電荷のリフレッシュは、量子ビット操作に見合ったタイムスケールで周期的に行われ得る。減衰により発生する熱に関連した課題は、“電荷シャッフル”回路を配置することによって、つまり、電圧パルスを生成するようキャパシタ間で電荷を移動させることによって、対処される。キャパシタンスは、極低温CMOS制御チップと量子ビットプレーンとの間の緊密な統合により可能な限り低減される。例えば、チップスタックパッケージ化アプローチによる、この緊密な統合は、キャパシタンスを動的に低減することができ、それによって、消費電力に影響を与える。
【0013】
一例で、極低温CMOS制御チップは、FDSOI(fully-depleted semiconductor on insulator)プロセスを用いて実装されてもよい。一例で、FDSOIプロセスベースのデバイスは、非ドープゲートチャネルと、超極薄のボディと、ソース、ドレイン、及びゲートの下にある超極薄の埋め込み酸化膜(buried oxide,BOX)と、隣接するデバイスからの完全な絶縁層分離とを含むことがある。電荷保存のために使用されるキャパシタは、オンチップデバイスを用いて実装される。各トランジスタデバイスのバックゲート又はボディバイアスは、冷却に関連した影響を考慮するように閾電圧を動的に設定するために使用され得る。制御チップは、共通のバックゲートバイアスを与えられるドメインに分割されている回路ブロックを含む。別個のバイアスを有するドメインの例は、n型デバイスのための回路ブロック、p型デバイスのための回路ブロック、アナログデバイスのための回路ブロック、及びデジタルデバイスのための回路ブロックを含む。いくつかの例で、異なるバックゲートバイアスが、異なるアスペクト比を有するトランジスタに供給される。
【0014】
量子ビットプレーンは、約20ミリケルビン(~20mK)で作動し得るトロポロジカルコンピューティング(topological computing)ゲートを含んでもよい。量子計算デバイスは、量子情報、例えば、量子ビットを処理し得る。量子ビットは、光子、電子、ジョセフソン結合、量子ドット、又はヘテロ構造を含む様々な物理システムを用いて実装され得る。量子状態は、スピンの方向、スピンの他の態様、電荷、エネルギ、若しくは量子ビットの部分としての励起段階、又は超電導物質ノトロポジー位相としてエンコードされ得る。例となる量子ビットは、低周波DC信号(例えば、バイアス電流)又は高周波無線周波数信号(例えば、10GHz信号)のどちらか一方に基づいて、あるいは、それら両方の組み合わせに基づいて、作動し得る。ある例では、マイクロ波信号が、例えば、量子ビット(qubits)の状態を含め、超電導デバイスを制御するために使用されてもよい。量子ビット(qubits)のためのゲートの特定の実装は、高周波マイクロ波信号を必要とすることがある。
【0015】
図1は、一例に従って、量子ビットを制御するシステム100を示す。この例では、システム100は、複数の段を含んでもよく、夫々の段は、異なる温度で作動するよう構成され得る。よって、システム100は、段110,130、及び150を含み得る。段110は、室温(例えば、周囲温度)で、又は4ケルビンと室温との間で作動するよう構成されたコンポーネントを含んでもよい。段130は、300ケルビン以下かつ最高4ケルビンまでで作動するよう構成されたコンポーネントを含んでもよい。段150は、約20ミリケルビン(mK)で作動するよう構成されたコンポーネントを含んでもよい。段110は、マイクロコントローラ112(又はマイクロプロセッサ)、デジタル-アナログ変換器(DAC)114、信号発生器116、及び測定デバイス118を含み得る。マイクロコントローラ112は、量子ビット及びシステム100の他の局面を制御するよう構成された制御信号を生成し得る。DAC114は、マイクロコントローラ112から(又は他のコンポーネントから)デジタル制御信号を受信し、それらをアナログ形式に変換し得る。アナログ信号は、次いで、必要に応じて、他の段へ伝送されてもよい。信号発生器116は、必要に応じて、マイクロ波信号発生器及び他のクロック信号発生器を含んでもよい。測定デバイス118は、スペクトラムアナライザなどの器具を含み得る。
【0016】
引き続き
図1を参照して、段130は、熱負荷を減らして、室温にあるコンポーネントと20ミリケルビン(mK)にあるコンポーネントとの間の効率的な接続を可能にするように、段110を段150と相互接続するよう構成されたコンポーネントを含み得る。よって、この例では、段130は、コンポーネント132、インターコネクト134、インターコネクト136、及びインターコネクト138を含み得る。一例で、コンポーネント132は、高電子移動度トランジスタ(high-electron-mobility transistor(s),HEMT)低雑音増幅器として実装されてもよい。インターコネクト134、136及び138は、ニオブ及び銅などの導電体を含むケーブルとして実装されてもよい。導電体は、ポリイミドなどの適切な誘電体を用いてインターコネクト内で絶縁され得る。
【0017】
依然として
図1を参照すると、段150は、カプラ152、リードアウトマルチプレキシング154、高速制御マルチプレキシング156、及び量子ビット160を含み得る。カプラ152は、信号発生器(信号発生器116)からの信号をリードアウトマルチプレキシング154へ結合し得る。カプラ152はまた、如何なる反射信号もコンポーネント132へ向け得る。リードアウトマルチプレキシング154及び高速制御マルチプレキシング156は、単一の制御チップ(時々、低温制御回路と呼ばれる)で実装されてもよい。一例で、リードアウトマルチプレキシング154は、サファイアなどの不活性基板上でニオブなどの超伝導材料を用いて実装されてもよい。リードアウトマルチプレキシング154チップは、共振器のバンクを形成するように適切なサイズの複数の誘導、容量、及び抵抗素子を含んでもよい。極低温で、共振器回路は、超電導性を示し、高品質係数の共振器を出現させる。これは、効率的な低損失周波数多重化メカニズムをもたらし得る。一例で、極低温CMOS制御チップ(例えば、CMOSなどの、半導体技術を用いて製造されたASIC)は、量子ビット(例えば、量子ビット160)と同じ基板に実装されてもよく、量子ビットと同じ極低温(例えば、20mK)で作動するよう構成されてもよい。
【0018】
図2は、一例に従って、極低温CMOS制御チップ210、量子ビットチップ250、及び共振器チップ280を含む共通基板200を示す。極低温CMOS制御チップ210は、ワイヤボンド(例えば、ワイヤボンド212及び214)により接点パッド(例えば、接点パッド222及び224)へ結合され得る。極低温CMOS制御チップ210は、ワイヤボンド(例えば、ワイヤボンド216及び218)により接点パッド(例えば、接点パッド226及び228)へ更に結合されてもよい。極低温CMOS制御チップ210は、ワイヤボンド(例えば、ワイヤボンド230及び232)により他の接点(例えば、接点234及び236)へ更に結合されてもよい。量子ビットチップ250は、ワイヤボンド(例えば、ワイヤボンド252及び254)により接点パッド(例えば、接点パッド256及び258)へ結合され得る。量子ビットチップ250は、ワイヤボンド(例えば、ワイヤボンド260及び262)により共振器チップ280へ結合され得る。共振器チップ280は、ワイヤボンド(例えば、ワイヤボンド282及び284)により接点(例えば、接点290及び292)へ結合され得る。
図2に示されていないが、量子デバイスの不必要な加熱を軽減するために、チップパッケージ化配置はまた、希釈冷凍器の混合チャンバ段に平行に熱接触する金メッキ銅ピラーを分離するよう各チップをセメントで固めることによる熱管理を含んでもよい。この例は、ワイヤボンディングによる制御チップと量子ビットとの間の緊密な統合を示すが、他の技術も使用され得る。例として、制御チップは、量子ビットとともに基板にフリップチップボンディングされてもよい。代替的に、ぱっけーじ・おん・ぱっけーじ、システム・イン・パッケージ、又は他のマルチチップアセンブリも使用され得る。
【0019】
この例では、極低温CMOS制御チップは、極低温動作に適した本質的に低電力、低漏出のCMOSプラットフォームである28nm-FDSOI技術で実装され得る。FDSOIのトランジスタは、温度による閾電圧の変化を相殺するようバックゲートバイアスを構成する有用性をもたらし得る。この例となるプラットフォームは、高電圧(1.8V)セル及び低電圧(1V)セルを設け、また、例となる制御システムなどの混合信号回路設計での有用な側面である、n型及びp型トランジスタ又は回路ブロック全体の個別的なバックゲート制御を可能にする。
【0020】
図3は、一例に従って、高速制御マルチプレキシング156に関連した制御システム300のブロック図を示す。制御システム300は、制御チップの部分として組み込まれている電荷ロック及び高速ゲーティング(charge locking and fast gating,CLFG)セル360の挙動を制御するために使用され得る。制御システム300は、シリアル・ペリフェラル・インターフェース(serial peripheral interface,SPI)インターフェース310、波形メモリ320、電圧制御発振器(voltage-controlled oscillator,VCO)330、クロック選択マルチプレクサ(C
SEL)340、及び有限状態機械350を含み得る。示されるように、V
HOLD、V
HIGH、及びV
LOWを含む3つの異なる電圧レベルがセルに結合され得る。C
SEL340は、有限状態機械へ供給されるクロック信号を選択するために使用される。有限状態機械及び関連するレジスタに関する更なる詳細は後述される。
【0021】
一例で、制御システム300は、極低温CMOS制御チップの部分として実装されてもよい。
図4は、一例に従って、制御システム420(
図3の制御システム300と同様)を含む極低温CMOS制御チップ400の平面図を示す。極低温CMOS制御チップ400は、デジタル及びアナログの両方のブロックを含み得る。この例では、極低温CMOS制御チップ400は、電荷ロック及び高速ゲーティング(CLFG)セルと、制御システム420に対応するコンポーネントとを含み得る。この例では、極低温CMOS制御チップ400は、ロジック410及びCLFGセルを含み得る。一例で、ロジック410は、2つのFSMによりチップの通信、波形メモリ、及び自律運転をもたらす一連の結合されたデジタルロジック回路を含んでもよい。ロジック410は制御システム420を含んでもよく、制御システム420は、発振器422と、有限状態機械(FSM)及びSPIインターフェース(例えば、FSM+SPIインターフェース)424と、メモリ426とを含み得る。発振器422は、設定可能な長さ及び周波数分割器を備えたリング発振器として実装されてもよい。FSMに関する更なる詳細は後述される。メモリ426は、任意のパルスパターンが記憶されることを可能にする128ビットレジスタとして構成されてもよい。チップの左端及び下端に沿ってタイル上に並べられているのは、量子ビットを制御するために必要な静的及び動的電圧を生成する循環アナログ回路ブロック”CLFG”であってよい。CLFGセルは、セル432、434、436及び438を含み得る。ここで記載されている例では、CLFGセルは単一のダイ上で実現されているが、それらは、一緒にパッケージ化された又は別なふうに相互接続された多数のダイ上で形成されてもよい。
図4は、極低温CMOS制御チップ400の特定の平面図を示すが、チップは異なる平面図を有してもよい。加えて、
図4は、特定の様態で配置されている特定の数のコンポーネントを示すが、極低温CMOS制御チップ400は、異なるように配置されている追加の又はより少ないコンポーネントを含んでもよい。
【0022】
図5は、一例に従って、CLFGセル500を示す。CLFGセル500は、電荷をロックし、電圧出力を供給するよう構成され得る。各CLFGセル500は、N個のセルのうちのいずれかに対応し得る。CLFGセル500は、2つの部分、すなわち、静的電圧を出力端子(GATE<N>と表記)へ結合する部分510、及び動的電圧(電圧VHIGH又は電圧VLOWのうちの一方に基づく)を出力端子へ結合する部分550を含み得る。CLFGセル500の部分510は、信号G
LOCK,Nに応答して作動し得るスイッチ512を含み得る。この信号は、適切な有限状態機械又は他のタイプ制御ロジック若しくは命令の制御下で供給され得る。スイッチ512が閉じられる場合に、電圧V
HOLDが、オンチップキャパシタンスに相当するC
PULSE,Nと表記されたキャパシタの1つのプレートへ結合され得る。CLFGセル500の部分550は、スイッチ552及びスイッチ554を更に含んでもよい。CLFGセル500は、インバータ556を更に含んでもよい。CLFGセル500は、これらのスイッチ(スイッチ552及びスイッチ554)のうちの1つのみが一度に閉じられるように構成され得る。この例では、G
FG,Nと表記されている信号がスイッチ552を制御することができ、この信号の反転された信号(例えば、インバータ556によって反転される)がスイッチ554を制御することができる。このようにして、一度に、電圧V
HIGH又は電圧V
LOWのどちらか一方が、オンチップキャパシタンスに相当するC
PULSE,Nと表記されたキャパシタの第2のプレートへ2つのスイッチのうちの一方を介して結合され得る。
【0023】
引き続き
図5を参照して、C
Pは、極低温CMOS制御チップ及び量子ビットチップにおける配線と、その2つを相互接続するために使用されるワイヤ(又は他のインターコネクト)とによる寄生キャパシタンスの和であってよい。セルは、最初に、外部電圧源をCLFGセル500の入力端子(
図5ではINと表記)へ接続し、その電位をV
HOLDに上げるオンチップの有限状態機械(FSM)による構成のために選択され得る。この例では、室温のデジタル-アナログ変換器(DAC)の単一チャネルがソースとして使用されてもよく、FSMは、各CLFGセルをこの電圧バイアスを有している接点に順次切り替えて、キャパシタにエネルギを与え、それから、キャパシタは、高インピーダンス出力で静的電圧を生成するのに必要な電荷をロックする。回路は、オンチップキャパシタンスC
PULSE及び寄生キャパシタンスC
Pを組み込む。寄生キャパシタンスC
Pは、量子ビットチップ上のボンドパッド、ボンドワイヤ、及びゲートインターコネクトからの寄与を含む。充電(charge-up)に続いて,スイッチ512は、キャパシタ及び量子ビットの電荷を浮遊させたままFSMによって(例えば、G
LOCK,N信号をデアサートすることによって)開かれる。このロックされた電荷は、その場合に、CLFGセル500が選択解除されたとしても残り、量子ビットデバイスのオフセットバイアスを設定するために使用され得る静的電圧を確立する。
図5は、特定の様態で配置されている特定の数のコンポーネントを示すが、CLFGセル500は、異なるように配置されている追加の又はより少ないコンポーネントを含んでもよい。
【0024】
図6は、CLFGセル500の動作に関連した例示的な波形600を示す。動的な制御のために、電圧パルスは、ゲートの電位及び量子ビットのエネルギ状態を速やかに変化させることを求められる。そのようなパルスを量子ビットプレーンから遠く離れて生成することは、たとえ電力が開放線路の端で消費されないとしても、生成器がケーブルインピーダンスを駆動しなければならないので、相当のエネルギを必要とする。代替的に、相当な大きさの電圧パルスは、小さいキャパシタンスの局所電荷の再分配によってわずかなエネルギで生成され得る。この例では、この概念が、CLFGセル500の動的な動作を可能にするために利用されている。第2のFSMの制御下で、セルは、パルシングのために選択され、レジスタメモリに格納されている予めロードされたパルスパターンが、スイッチG
FGに適用される。
【0025】
スイッチ552及び554は、2つの電圧源VHIGH及びVLOWの間でキャパシタCPULSEの下側のプレートを切り替えるように制御され得る。これらの電圧源は、チップの外部にあっても、あるいは、ローカルの予め充電されたキャパシタから導出されてもよい。VLOW又はVHIGHに切り替えられたCPULSEの下側のプレートの電位により、電荷は上側のプレートに誘導され、接地を基準とした出力電圧VOUTを変更する。
【0026】
この例では、パルスの大きさは、ΔVPULSE=(CPULSE/(CP+CPULSE))(VHIGH-VLOW)によって与えられ、消費電力PPULSEは、総キャパシタンス、パルス周波数f、及び2つのレベルの電圧によって与えられ、PPULSE=((CP×CPULSE)/(CP+CPULSE))(VHIGH-VLOW)2fである。CP及びCPULSEは、(pF)チップスケールキャパシタンスであるから、それらは充電にごくわずかな電力しか必要としない。
【0027】
図7A及び
図7Bは、一例に従って、極低温CMOS制御チップ700に関連した様々なブロックを示す。上述されたように、極低温CMOS制御チップ700は、アナログ及びデジタルの両方のコンポーネントを含む可能性がある。この例では、極低温CMOS制御チップは、アナログ-デジタル変換器(ADC)バッファ702、ADC704、ADC SRAM706、及びADCコントロール708を含み得る。極低温CMOS制御チップ700は、クロックドライバ710と、マイクロ波生成器720と、基準及びバイアス生成器722とを更に含んでもよい。これらのコンポーネントは様々なバスを介して結合され得る。各バスは、少なくとも1つの単線を含み得る。
図7A及び
図7Bに示されるように、極低温CMOS制御チップ700は、クロック信号、様々な電圧、及び制御信号を含む様々な外部信号を受信し得る。示されるように、クロックのいくつかは、外部で生成され、制御チップに関連したピンにより受け取られる。
【0028】
引き続き
図7Aを参照して、極低温CMOS制御チップ700は、メイン制御及びレジスタ730と、様々な他のブロック740とを更に含んでもよい。メイン制御及びレジスタ730は、シリアル・ペリフェラル・インターフェース(SPI)を含んでもよく、これは、外部プロセッサとの通信を可能にし得る。他のブロック740は、サンプル・アンド・ホールド(sample-and-hold,S&H)ブロック740、コンパレータ744、及び無線周波数(RF)マルチプレクサ(MUX)746を含んでもよい。RF MUX746は、2つの無線周波数信号(RFIN1及びRFIN2)の間の選択を可能にし得る。この例では、メイン制御及びレジスタ730のためのアドバンスド・ペリフェラル・ブロック・クロック(advance peripheral block clock,APBCLK)入力と、電荷ロック及び高速ゲーティングブロック750のための別個のAPBCLK入力ピンとが存在する。
図7Bに示されるように、電荷ロック及び高速ゲーティング750については、局所発振器(例えば、VCO754)へ切り替える能力もある。局所発振器はまた、コンフィグレーションレジスタを通じて分割可能である。SPIクロック(SCLK)は、SPIマスタから伝来する。この例では、APBCLKとSPIマスタからのSCLKとの間にはクロック比要件が存在する。一例で、APBCLKは、>=4×SCLKでなければならない。適切なクロッキングを確かにするために、クロックドメイン・クロッシング(clock domain crossing,CDC)ロジックが、SCLKとAPBCLKとの間に配置され、もう1つのCDCロジックは、APBCLKと分割された発振器クロックとの間に配置される。
【0029】
図7Bは、電荷ロック及び高速ゲーティング750の態様の一部の図を示す。電荷ロック及び高速ゲーティング750は、メイン制御及びレジスタ752と、電圧制御発振器(VCO)754と、CLFGセルアレイ760とを含み得る。制御及びレジスタ752は、SPIインターフェースを含んでもよい。制御及びレジスタ752は、レジスタリード/ライトブロックを含んでもよく、これは、レジスタファイルへ結合され得る。VCO754は、電荷ロック及び高速ゲーティング750の態様の一部による使用のために他のクロック信号を供給するよう構成され得る。CLFGセルアレイ760は、CLFGセル763及び764を含んでもよく、これらの夫々は、
図5のCLFGセル500と類似し得る。
【0030】
図8は、一例に従って、電荷ロック及び高速ゲーティング(CLFG)800のブロック図を示す。CLFG800は、レジスタリード/ライトインターフェース820へバス(例えば、APB)により結合されているSPIインターフェース810を含み得る。レジスタリード/ライトインターフェース820は、レジスタ830(例えば、レジスタは、レジスタファイルの部分として含まれてもよい)へ結合され得る。CLFG800は、有限状態機械840を更に含んでもよく、有限状態機械840は、レジスタから入力を受け、出力信号をCLFGセルアレイ880へ供給するよう構成され得る。CLFGセルアレイ880は、電圧を量子ビットへ供給し得る。CLFG800は、発振器850、分周器(FDIV)860、及びマルチプレクサ870を更に含んでもよい。マルチプレクサ870は、1つの入力としてAPBクロックを、他の入力として分周器出力を受け取ることができる。このようにして、本例では、有限状態機械は、局所発振器からのクロック信号又はAPBCLKのどちらか一方で実行され得る。クロック制御モジュールは、局所発振器クロックを1から255までの整数値に分割するために使用されてもよく、マルチプレクサ870は、APBCLKと分割された発振器クロックとの間の切り替えを可能にするために使用されてもよい。分割されたクロックに対するデューティサイクル要件はない。クロック制御モジュールのクロック出力は、XCLKと呼ばれ、それは、有限状態機械をクロック制御するために使用される。
【0031】
次の表1は、極低温CMOS制御チップのための信号のいくつか及びそれらの説明をリストアップする:
【表1】
【0032】
表2は、極低温CMOS制御チップに関連したレジスタのいくつかをリストアップする。レジスタのほとんどの説明は自明であるから、レジスタのほんの一部及びそれらの機能性が、極低温CMOS制御チップの動作を説明するために記載されている。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【0033】
表2は、特定のレジスタ及びそれらの配置を示すが、追加の又はより少ないレジスタが使用されてもよい。加えて、表で提示されている情報は、レジスタに加えて、他のモダリティを介して極低温CMOS制御チップへ通信されてもよい。例として、特別な命令が、レジスタに含まれている情報をエンコードするために使用されてもよい。表2で記載されているレジスタによって有効にされるアーキテクチャは、32個の電荷ロック高速ゲーティング(CLFG)セルを仮定する。この例では、各CLFGセルは、独立してDC充電され得、FGSRレジスタに格納されている波形に従って高速パルシングされ得る。この実施において、128ビットは4つの32ビットレジスタ(例えば、レジスタFGSR0~3)に格納され得、電荷ロック高速ゲーティングセルのいずれかは、それらのレジスタに格納されているビットパターンに従って高速パルシングされ得る。ビットパターンは、連続して繰り返されることも、あるいは、FSMの制御下で1回再生することもできる。この実施は、2レベルパルシングに応じるが、マルチレベルパルシングに拡張可能である。この例となるアーキテクチャで、表2に記載されているREG_CTL1レジスタは、アクティブにされた有限状態機械によってセルの充電を開始及び完了するために使用される情報を含む。例として、このレジスタのビット8は、いつFGSR選択用のカウンタが有効にされて、127に達してロールオーバするまでXCLKクロックのクロック周期ごとにインクリメントされるかを制御する。他の例として、REG_CTL1レジスタのビット4及び5は、完全なDC充電シーケンスが32個のセルの全てに行われるかどうか、又は選択的なDC充電シーケンスが32個のセルのサブセットにのみ行われるかどうかを制御する。
【0034】
図9は、高速ゲーティング回路900の例を示す。上述されたように、表2の部分として、4つの32ビットレジスタが高速ゲーティング回路900の出力を制御し得る。高速ゲーティング回路900は、カウンタ910及びマルチプレクサ920を含み得る。マルチプレクサ920は、1つの入力としてカウンタ910の出力を、他の入力としてレジスタREG_CTL<3>に対応する値を受け取るよう結合され得る。高速ゲーティング回路900は、ANDゲート930、マルチプレクサ940、及びゲート950を更に含んでもよく、これらは、
図9に示されるように互いに結合され得る。これらのロジック要素は、
図9に示される信号を更に受信し得る。カウンタ910は、CL_FG端子での出力であるよう128ビット値のビット位置を選択する。この例では、これは128対1のMUXである。クロック周期(例えば、
図9に示されるクロックXCLKに対応する)ごとに、カウンタ910は1だけインクリメントされる。カウンタ910は、0にラップバックし、カウントし続ける。REG_CTL[8]に格納されているビットの値はカウンタ910を有効にする。よって、この例では、REG_CTL[8]=0であるとき、カウンタは0のままであり、インクリメントしない。電荷ロック状態機械がアイドルでない場合には、高速ゲーティング出力CL_FGは0である。カウンタは、REG_CTL[8]=1である限りは、この場合にインクリメントし続ける。
【0035】
引き続き
図9を参照して、一例で、128ビットFGSRを更新し、新しい高速ゲーティングシーケンスを開始するためのプログラミングシーケンスは、次の通りである:(1)カウンタを0に保つようREG_CTL[8]をクリアするか、あるいは、XCLKを止めるようREG_CTL[1]をセットし、(2)新しい値を4つの32ビットFGSRレジスタに書き込み、(3)カウンタがインクリメントすることを可能にするようREG_CTL[8]をセットするか、あるいは、XCLKを再開するようREG_CTL[1]をクリアする。一例で、FG出力もオーバライドされ得る。REG_CTL1[2]=1であるとき、CL_FG出力はREG_CTL1[3]に等しい。
図9は、特定の様態で配置されている特定の数のコンポーネントを備えた高速ゲーティング回路900を示すが、高速ゲーティング回路900は、異なるように配置されている追加の又はより少ないコンポーネントを含んでもよい。加えて、他の信号が、追加の又はより少ない制御を供給するために使用されてもよい。
【0036】
図10は、一例に従って、有限状態機械1000を示す。この例では、有限状態機械1000は、2つの有限状態機械FSM A及びFSM Bを含む。有限状態機械の夫々は、CLFGセル(例えば、CLFGセル500)のDC充電のために構成される。FSM Aは、CL_ENレジスタ内のビットに従って有効にされるCLFGセルのみを同時に充電するよう構成される有限状態機械に対応する。FSM Bは、CLFGアレイ内の全てのCLFGセル(例えば、32個のセルを有するCLFGアレイ内の32個のセルの全て)を順次充電するよう構成される有限状態機械に対応する。この例では、レジスタに格納されているビット値(例えば、表2に示されているフィールドBEGIN_CHRGに対応する32ビットレジスタREG_CTL1のビット4及び5)は、2つの有限状態機械のうちのどちらがアクティブであるかを決定する。この例では、BEGIN_CHRGフィールドが00から01へ遷移する場合に、FSM Aがアクティブにされ、代替的に、BEGIN_CHRGフィールドが00から10に遷移する場合に、FSM Bがアクティブにされる。FSM A及びFSM Bの両方からの出力信号は、マルチプレクサ1002の入力の1つへ結合されるCHRG信号として供給される。マルチプレクサ1002の他の入力は、REG_CTL<6>に格納されているビット値(表2に記載)を有する。マルチプレクサ1002の出力は、大域的なDC充電信号であり、CL_CHRGと表記される。ビット7(例えば、REG_CTL<7>)の値は、FSM A及びFSM Bの出力がDC充電信号として供給されるかどうか、又はDC充電信号が表2に記載されるREG_CTLレジスタのビット6の値であるようユーザ選択されるかどうかを決定する。
【0037】
引き続き
図10を参照して、アクティブ化されると、FSM Aは、IdleA0状態で開始し、COUNTDOWN A状態に移る。この遷移の部分として、FSM Aは、CHRG信号をアサートし、カウントダウンを開始して、有効にされているCLFGセルをDC充電する。FSM Aの動作全体を通じて、CL_ENの値は、ユーザによって前もって指定されたのと同じままである。この例では、i番目のCLFGセルは、特定のCLFGセルのための局所イネーブル信号がハイ(例えば、CL_EN<i>=1)である場合に、有効にされる。よって、CHRG信号をゲート制御することによって、局所イネーブル信号は、CLFGセルが、それが充電されるよう有効にされる場合にのみ充電される、ことを確かにする。充電の完了後、FSM Aは、アイドル状態IdleA1に入る。次の表3は、FSM Aについて
図10で参照された遷移/状態の間の例示的な対応と、ビット及び他の信号の例示的な値とを示す。
【表3】
【0038】
依然として
図10を参照すると、アクティブ化されると、FSM BはSTART_CHRG状態に入り、32個のCLFGセルが存在すると仮定すると、CL_EN<32>ビットが1にセットされ、他のイネーブルビットの夫々が0にセットされる場合に、32番目のCLFGセルの充電を開始する。このプロセスの部分として、FSM Bは、COUNTDOWN B状態に入り、CLFGセルの順次的な充電に必要なクロック周期(例えば、DCSRクロック周期)をカウントダウンする。状態START_CHRG及びCOUNTDOWN Bを除いて、FSM Bの動作全体を通じて、CL_ENの値は、ユーザによって前もって指定されたのと同じままである。CL_EN<31>ビットが1にセットされ、残りのイネーブルビットが0にセットされる場合に、32番目のCLFGセルのDC充電は終了し、31番目のCLFGセルのDC充電が始まる。この例では、これらのステップは、32個全てのCLFGセルが充電されるまで繰り返される。次いで、FSM Bは、アイドル状態(例えば、IdleB1状態)へ移る。次の表4は、FSM Bについて
図10で参照された遷移/状態の間の例示的な対応と、ビット及び他の信号の例示的な値とを示す。
【表4】
【0039】
図10は、特定の様態で作動する特別な有限状態機械を示すが、他の状態機械も使用されてよい。表3及び表4は、具体的なビット及び信号並びに2つの有限状態機械のための各々の値に言及するが、他のビット及び信号並びに各々の値も使用されてよい。加えて、状態機械に関連した機能性は、他のロジック又は命令を用いて達成されてもよい。
【0040】
図11A及び
図11Bは、例となる極低温CMOS制御チップの部分としてイネーブル信号を生成するために使用され得る例示的なシステム1100を示す。上記のFSMは、システム1100とインターフェース接続するために使用されてもよく、システム1100は、充電されるCLFGセルを選択するために使用されるイネーブル信号を生成するために使用され得る。この例はまた、制御される必要がある1024個のCLFGセル(32の行及び32の列を含む格子状に配置される)が存在すると仮定する。システム1100は、マスタロジック及びクロック部分1110と、行デコーダ1120と、列デコーダ1130とを含み得る。マスタロジック及びクロック部分1110は、メモリコントローラと同様の方法で命令又はコマンドを記憶及び解釈するよう構成された回路及びロジックを含んでもよい。行デコーダ1120は、マスタロジック及びクロック部分1110から行アドレスを受け取って、R
0からR
31と表記されている信号のうちの1つ以上をアサートするよう構成され得る。列デコーダ1130は、マスタロジック及びクロック部分1110から列アドレスを受け取って、C
0からC
31及びD
0からD
31と表記されている信号のうちの1つ以上をアサートするよう構成され得る。
【0041】
これより
図11Bを参照すると、システム1100は、行デコーダ1120及び列デコーダ1130によって生成された信号を回路1140へ結合するためのバスシステムを更に含んでもよい。回路1140は、その出力端子で、OUT
I,FGと表記されている信号を生成するよう構成され得る。この信号は、量子ビットゲート1160へ結合され得る。回路1140は、上述されたCLFGセルの「直接モード」(direct mode)と類似した実施例である。よって、この例では、回路1160は、各々の行(R
J)信号及び各々の列(C
I)信号がハイであり、駆動ライン(D)信号がハイ又はローである場合に夫々、電圧バス
VLFG又はV
HFGへ接続され得る。回路1140はまた、CLFGセル(例えば、
図5に示されており、上述されている)のアレイとして実装されてもよい。
図11は、特定の様態で配置されている特定のコンポーネントを有するものとしてシステム1100を示すが、異なるように配置されているより多い又はより少ないコンポーネントが存在してもよい。
【0042】
図12は、一例に従って、CLFGセルアレイ1200を示す。例として、CLFGセルアレイ1200は、
図7のCLFGセルアレイ760に対応してもよく、極低温CMOS制御チップの部分として含まれてもよい。この例では、CLFGセルアレイ1200は、32個のCLFGセル(例えば、CLFGセル1210、1220、1230、1240、及び1250)を含み得る。これらのCLFGセルの夫々は、制御又は他のタイプの電圧を量子ビットへ供給するために使用され得るOUTCL信号の1つを生成するよう構成され得る。各CLFGセルは、CL_FG、CL_CHRG、VICL、VHFG、及びVLFGと表記されている信号を受信し得る。これらの信号は、
図13及び
図14を参照して更に詳細に記載される。加えて、これらの信号のうちのいくつかはまた、極低温CMOS制御チップに関連した記載の部分として上述されている。各CLFGセルはまた、イネーブル信号(例えば、
図12に示されるCL_EN<0>、CL_EN<1>、CL_EN<2>、CL_EN<30>、又はCL_EN<31>)を受信し得る。イネーブル信号は、
図10での有限状態機械の記載に関連して上述されたように、選択的又は順次的なDC充電を可能にし得る。
図12に示されるCLFGセルの夫々はまた、ESD回路1212、1222、1232、1242、及び1252を含む静電放電(ESD)回路を含んでもよい。CLFGセルは、容量モードでのみ、あるいは、容量モード及び直接モードの両方を含むデュアルモードで、作動し得る。例として、CLFGセルアレイ1200は、32個のCLFGセルから成り、そのうちの16個のCLFGセルは、容量モードで作動するよう構成され、残りの16個のCLFGセルは、直接モードで作動するよう構成される。一例で、各タイプのCLFGセルの半分はまた、標準のパッド構造による漏れを更に最小限にするように、ESD保護が低減されたカスタムのアナログパッドを組み込んでもよい。
図12は、特定の様態で配置されている特定のコンポーネントを有するものとしてCLFGセルアレイ1200を示すが、異なるように配置されているより多い又はより少ないコンポーネントが存在してもよい。
【0043】
図13は、一例に従って、容量モードで作動するよう構成されたCLFGセル1300の例を示す。別なふうに示されない限りは、
図13で言及されている信号は、
図5~7B及び表1、2に関して上述されたのと同じ意味を有している。CLFGセル1300は、
図5のCLFGセル500と同様にして構成される。CLFGセル1300は、電荷をロックし、そのCLFGセルに関連した出力端子(OUT)で電圧出力を供給するよう構成される。各CLFGセル1300は、N個のセルのうちのいずれかに対応し得る。動的電圧(VHFG端子により受け取られる電圧(
図5ではV
HIGHと呼ばれる)、又はVLFG端子により受け取られる電圧(
図5ではV
LOWと呼ばれる)のうちの1つに基づく)が、出力端子へ結合され得る。CLFGセル1300はスイッチ1312を含んでもよく、スイッチ1312は、CL_EN<N>信号に応答して作動し得る。この信号は、
図10に関して記載される適切な有限状態機械又は他のタイプの制御ロジックの制御下で供給され得る。スイッチ1312が閉じられる場合に、信号線VICL上で入力端子(IN)を介して受け取られた電圧(
図5ではV
HOLDと呼ばれる)は、オンチップキャパシタンスに相当するC
PULSE,Nと表記されているキャパシタの1つのプレートへ結合され得る。CLFGセル1300は、スイッチ1314及びスイッチ1316を更に含んでもよい。CLFGセル1300は、インバータ1318を更に含んでもよい。CLFGセル1300は、これらのスイッチのうちの1つのみが一度に閉じられるように構成され得る。この例では、CL_EN<N>と表記されている信号が、スイッチ1314を制御することができ、この信号の反転されたバージョン(例えば、インバータ1318によって反転される)が、スイッチ1316を制御することができる。このように、一度に、電圧V
HIGH又は電圧V
LOWのどちらか一方が、オンチップキャパシタンスに相当するC
PULSE,Nと表記されているキャパシタの第2のプレートへ2つのスイッチのうちの一方により結合され得る。CLFGセル1300は、出力端子(OUT)へ結合されたESD1320を更に含んでもよい。CLFGセル1300は、量子ビットゲートへ供給される出力電圧が
図13に示される容量配置により供給されるので、容量モードでのみ作動する。
図13は、特定の様態で配置されている特定の数のコンポーネントを示すが、CLFGセル1300は、異なるように配置されている追加の又はより少ないコンポーネントを含んでもよい。例として、CLFGセル1300はESD1320を含まなくてもよい。
【0044】
図14は、一例に従って、容量モード及び直接モードの両方を含むデュアルモードで作動するよう構成されたCLFGセル1400の例を示す。別なふうに示されない限りは、
図14で言及されている信号は、
図5~7B及び表1、2に関して上述されたのと同じ意味を有している。CLFGセル1400は、電荷をロックし、そのCLFGセルに関連した出力端子(OUT)で電圧出力を供給するよう構成される。各CLFGセル1400は、N個のセルのうちのいずれかに対応し得る。容量モードにおいて(スイッチ1414を介してアサートされるCL_MODEと表記された信号のアサーションによって有効にされる)、動的電圧(VHFG端子により受け取られる電圧(
図5ではV
HIGHと呼ばれる)、又はVLFG端子により受け取られる電圧(
図5ではV
LOWと呼ばれる)のうちの1つに基づく)が、出力端子へ結合され得る。CLFGセル1400はスイッチ1412を含んでもよく、スイッチ1412は、CL_EN<N>信号に応答して作動し得る。この信号は、
図10に関して記載される適切な有限状態機械又は他のタイプの制御ロジックの制御下で供給され得る。スイッチ1412が閉じられる場合に、信号線VICL上で入力端子(IN)を介して受け取られた電圧(
図5ではV
HOLDと呼ばれる)は、オンチップキャパシタンスに相当するC
PULSE,Nと表記されているキャパシタの1つのプレートへ結合され得る。CLFGセル1400は、スイッチ1416及びスイッチ1418を更に含んでもよい。CLFGセル1400は、インバータ1420を更に含んでもよい。CLFGセル1400は、これらのスイッチ1416及び1418のうちの1つのみが一度に閉じられるように構成され得る。この例では、CL_EN<N>と表記されている信号が、スイッチ1416を制御することができ、この信号の反転されたバージョン(例えば、インバータ1410によって反転される)が、スイッチ1418を制御することができる。このように、一度に、電圧V
HIGH又は電圧V
LOWのどちらか一方が、オンチップキャパシタンスに相当するC
PULSE,Nと表記されているキャパシタの第2のプレートへ2つのスイッチのうちの一方により結合され得る。CL_MODE信号がアサートされる場合に、CLFGセル1400は、量子ビットゲートへ供給される出力電圧が
図14に示される容量配置により供給されるので、容量モードで作動する。
【0045】
引き続き
図14を参照して、CLFGセル1400は、CL_MODE信号がデアサートされる場合に直接モードで作動し得る。よって、CL_MODE信号がデアサートされる場合に、スイッチ1434が閉じられ、そして、CL_EN<N>信号のステータスに応じて、スイッチ1436又はスイッチ1438のどちらか一方が閉じられる。結果として、一度に、電圧V
HIGH又は電圧V
LOWのどちらか一方が、入力端子(IN)を介したV
IN電圧が結合されるのと同じ端子へ2つのスイッチのうちの一方により結合され得る。CLFGセル1400は、出力端子(OUT)へ結合されたESD1450を更に含んでもよい。
図14は、特定の様態で配置されている特定の数のコンポーネントを示すが、CLFGセル1400は、異なるように配置されている追加の又はより少ないコンポーネントを含んでもよい。例として、CLFGセル1400はESD1450を含まなくてもよい。
【0046】
CLFGセル1300及びCLFGセル1400の両方の場合に、キャパシタが充電されると、極低温環境での低い漏れは、それらがそれほど頻繁にリフレッシュされる必要がないことを確かにする。CLFGセルの夫々は、単一のDACから電圧を受け取ることができる。単一のDAC電圧は、ディスプレイをラスタライズするのと同様の技術を用いて全てのCLFGセル(例えば、上記の例では32個のCLFGセル)を充電するために使用され得る。よって、この例では、DAC電圧は、DAC電圧ラインとキャパシタとの間の経路内のスイッチを閉じることによってキャパシタへ供給され、キャパシタが充電された後で、スイッチは開かれ、DAC電圧は、ラウンドロビン方式で次のキャパシタを充電するために使用される。共有されているDACを使用することによって、CLFGセルを含む制御チップと、室温の電子機器と間の入力/出力ラインの数は、大幅に削減される。上述されたように、極低温CMOS制御チップと量子ビットプレーンとの間の相互接続は、ワイヤボンディング、フリップチップボンディング、又は他の低インピーダンスインターコネクト技術により形成される。
【0047】
図15は、CLFGセル1300及びCLFGセル1400のための信号に関連した例示的な波形1500を示す。この例では、CLFGセル1300及びCLFGセル1400の夫々は、XCLKと表記されているクロックに関して作動するものとして示されている。CL_CHRG信号は、極低温CMOS制御チップに関連した制御レジスタ(例えば、REG_DCSR)で指定されているクロック周期(又は他のメトリック)に基づく期間アサートされる。CL_FG制御信号は、電荷シャッフルのために使用される。CLFGセル1300及びCLFGセル1400については、この制御信号がハイであるときはいつでも、OUTCL端子での電圧は、VICLと、V
HGIH電圧とV
LOW電圧との間の差との間でパルシングする。CL_FG制御信号がローであるときはいつでも、CLFGセル1300及びCLFGセル1400は両方ともDCモードで作動し、それにより、出力電圧(‘DCモードでのOUTCL’と表記されている波形によって表される)は、キャパシタが最初に(例えば、CL_CHRG信号によって)充電される電圧に保持され、それは、リフレッシュがない場合には、時間とともに散逸することになる。‘容量モードでのOUTCL’と表記されている波形は、CLFGセル1300の出力信号を示す。この同じ波形はまた、CLFGセル1400が容量モードで作動する場合に、CLFGセル1400の出力を示す。‘直接モードでのOUTCL’と表記されている波形は、CLFGセル1400が直接モードで作動する場合に、CLFGセル1400の出力信号を示す。それらのモードの夫々は、
図13及び
図14に関連して上述されている。
【0048】
引き続き
図15を参照して、容量モードでのCLFG1400を使用した高速ゲーティング動作周期は、蓄積キャパシタのDC充電と,その後のパルスの連続とを含む。一例で、DC充電期間は、REG_DCSR値によって決定される。パルスの期間及び数は、128ビットにセットされるCL_FGSRレジスタ(上記を参照)の内容によって決定される。この例では、このレジスタの内容は、(例えば、波形生成器によって)一度に1つのビットを読み出され、CL_FGと表記されている制御信号として適用される。直接駆動モードを使用する場合に、高速ゲーティングはパルスの連続から成り、出力はVLFG又はVHFGへ直接接続される。直接駆動モードでは、充電周期は依然として存在し、CL_FGSRで“0”の値と同様に振る舞う。これらのモードの夫々は、
図13及び
図14に関連して上述されている。
【0049】
図16は、容量モードでのCLFGセル1400のシミュレーションに関連した例示的な波形1600を示す。OUTCLと表記される波形は、容量モードで作動する場合のCLFGセル1400のシミュレーションされた出力波形を表す。CL_ENと表記される波形はイネーブル信号に対応し、これは、充電のためにCLFGセルを有効にするために使用される。CL_CHRG信号は、CLFGセルに関連したキャパシタ(又は複数のキャパシタ)を充電するために使用される。上述されたように、CL_CHRG信号は、極低温CMOS制御チップに関連した制御レジスタ(例えば、REG_DCSR)で指定されているクロック周期(又は他のメトリック)に基づく期間アサートされる。CLFGセル1400については、CL_FG制御信号がハイであるときはいつでも、OUTCL端子での電圧は、VICLと、V
HGIH電圧とV
LOW電圧との間の差との間でパルシングする。VICL電圧は、(上述されたように)DACから受け取られ得るCLFGセルの入力端子での電圧に対応する。V
HIGH電圧は、VHFG端子により受け取られ、波形も、
図16でVHFGと表記されている。V
LOW電圧は、VLFG端子により受け取られ、波形も、
図16でVLFGと表記されている。
【0050】
引き続き
図16を参照して、OUTCL波形の部分1602は、CLFGセルでのDC電圧(例えば、1.8ボルト)のロックを示す。OUTCL波形の部分1604は、量子ビットのための制御信号として使用され得るパルスを生成するための電圧の高速ゲーティングを示す。部分1606は、パルスの生成後のリストアされたロックされたDC電圧を示す。部分1608は、ロックされたDC電圧がリフレッシュ又はリストアされない場合のOUTCL端子での電圧を示す。部分1610は、部分1602でロックされた電圧のレベルとは異なるレベルのDC電圧(例えば、0.6ボルト)のロックを示す。部分1612は、量子ビット又は他のそのようなデバイスを制御するためにも使用され得る、異なった大きさを有しているパルスを生成するための電圧の高速ゲーティングを示す。
図16は、矩形パルスを有するものとしてOUTCL波形を示すが、パルスは異なる形状を有してもよい。
図16は、2つの異なる大きさを有しているOUTCL波形を示すが、OUTCL波形は、大きさにおいて他の変動を有してもよい。同様に、OUTCL波形のパルシングの周波数も、上記の極低温CMOS制御チップにより制御されてもよい。加えて、OUTCL波形は、量子ビットゲート又は他のタイプの量子ビットデバイスのための制御信号を生成するように高周波信号、例えば、マイクロ波トーンを変調するために使用されてもよい。
【0051】
図17は、電荷ロックテスト中の例示的な量子ビットデバイス1700のアクティブエリアの第1ビュー1710及び第2ビュー1750を示す。量子ビットデバイス1700は、ヒ化ガリウム(GaAs)ベースの量子ドットデバイスであってよい。この例では、ビュー1710及びビュー1750で示されるように、複数の信号が、量子ドットを制御するために使用され得る。上記の極低温CMOS制御チップが、上記のCLFGセルに関連した容量モード又は直接モードのどちらか一方を用いて制御信号のいずれかを生成するために使用されてもよい。量子ビットを制御する信号は、レフトウォール(LW)信号、レフトプランジャー(LP)信号、センターウォール(CW)信号、ライトプランジャー(RP)信号、及びライトウォール(RW)信号を含み得る。量子ビットゲート内の量子ドット1730を検知することに関連した追加の信号は、検知ドットトップゲート(SD
T)、検知ドットプランジャー(SD
P)、及び検知ドットボトムゲート(SD
B)を含み得る。この例では、ビュー1710に示されるように、制御信号LW、LP、CW、RP、RWの電位は、プログラムされた有限状態機械に基づいて5つのCLFGセルを用いてロックされ得る。
図17は、特定の制御信号を有する量子ビットデバイス1700を示すが、他の制御信号を有している他のタイプの量子ビットデバイスも、上記の極低温CMOS制御チップによって生成された電圧にさらされ得る。
【0052】
図18は、一例に従って、量子ポイントコンタクト(quantum point contact,QPC)に関連した電圧及び電流の変化の
図1800を示す。グラフ1810は、QPC電流の経時変化を示す。グラフ1820は、ライトウォール電圧の変化に応じたQPC電流の変化を示す。グラフ1830は、極低温CMOS制御チップの保持電圧の経時変化を示す。
【0053】
図19は、量子ドットによる高速ゲーティング動作のテスト中の極低温CMOS制御チップに対応する例示的な波形1900を示す。例となる波形1910は、高速ゲーティングが140KHzで実行される場合のリードアウト信号に対応する。例となる波形1920は、高速ゲーティングが1.26MHzで実行される場合のリードアウト信号に対応する。例となる波形1930は、高速ゲーティングが2.45MHzで実行される場合のリードアウト信号に対応する。周波数は、分周器を用いて変更可能である。波形は、共通の時間スケールを共有しない。
図19は、波形に関連した電圧パルスの特定のデューティサイクル及び振幅を示すが、デューティサイクル及び振幅は、極低温CMOS制御チップによって変更され得る。これは、有利なことに、室温の器具からの量子ビットゲートの制御の必要性を取り除く。
【0054】
室温からの量子ビットゲートの制御は、室温で生成された電圧パルスを減衰させる必要があり、その結果、室温の電圧パルスから大量の熱を放散する必要がある。加えて、1メートルの長さ(又はそれ以上)のケーブルの負荷(容量性負荷に関して200pFを超える50オーム伝送線路)を扱うために室温からの電圧信号を必要とするのではなく、極低温CMOS制御チップは、フリップチップボンドのキャパシタンスと、制御チップと量子ビットゲートとの間の非常に短いインターコネクトとを扱いさえすればよい。このキャパシタンスは、0.1pF程度であることができる。これは、極低温CMOS制御チップが、大量の放熱を必要とせずに、数千の量子ビットの状態を制御することを可能にする。加えて、高速ゲーティングによる電力消費は小さいので、制御チップが数千の量子ビットを効率的に管理することが可能になる。量子ビットの制御に必要な電力に関して、一例で、リードアウトクロック周波数が1MHzにセットされると仮定すると、量子ビットインターコネクトは1pFのキャパシタンスを有し、その場合に、0.1ボルトパルスについての1000個の量子ビットごとの電力消費は10μWである。量子ビットごとに10個のゲートを考えると、1mWの電力が、1MHzのクロック周波数では10,000個の量子ビットを、あるいは、10MHzのクロック周波数では1000個の量子ビットを制御するために使用され得る。
【0055】
図20は、極低温CMOS制御チップのテスト中の量子ドットを通るリードアウト信号に対応する例示的なリードアウト波形2000を示す。波形2000は、CLFGセル電圧V
HIGH及びV
LOWが量子ドットを制御するためのパルスを生成するために使用され、検知ドットプランジャー(SD
P)ゲートでの電圧がスイープされる場合に、生成される。波形2010は、V
HIGH電圧の変動を示し、波形2020は、V
LOW電圧の変動を示す。波形2030は、CLFGセルに適用されるパルスを示す。
【0056】
上述されたように、一例で、極低温CMOS制御チップは、FDSOI(fully-depleted semiconductor on insulator)を用いて実装されてもよい。一例で、FDSOIプロセスベースのデバイスは、非ドープゲートチャネルと、超極薄のボディと、ソース、ドレイン、及びゲートの下にある超極薄の埋め込み酸化膜(buried oxide,BOX)と、隣接するデバイスからの完全な絶縁層分離とを含むことがある。上述されたように、FDSOIプロセスベースのデバイスは、デジタル及びアナログの両方のデバイス(例えば、トランジスタ又は他のデバイス)を含む可能性がある。
図21は、一例に従って、FDSOIデジタルデバイス2100を示す。FDSOIデジタルデバイス2100は、基板2102を含み得る。この例では、基板2102は、SOI(silicon-on-insulator)基板であってよい。ディープn-ウェル2104は、n型ドーパントを基板にドープすることによって基板2102において形成され得る。追加のウェルが、基板2102及びディープn-ウェル2104において形成されてもよい。例として、p-ウェル2106及びn-ウェル2108が形成され得る。次に、いくつかのリソグラフステップを用いて、トランジスタデバイス2120及びトランジスタデバイス2130が形成され得る。この例では、トランジスタデバイス2120は、ボックス2126の上にゲートチャネル2122が形成されているp型トランジスタである。トランジスタデバイス2120は、p+型のソース/ドレイン領域と、ソース/ドレインへの接点S及びDとを更に含んでもよい。この例では、トランジスタデバイス2130は、ボックス2136の上にゲートチャネル2132が形成されているn型トランジスタである。トランジスタデバイス2130は、n+型のソース/ドレイン領域と、ソース/ドレインへの接点S及びDとを更に含んでもよい。電荷保存のために使用されるキャパシタは、そのようなトランジスタデバイスを用いて実装されてもよい。様々なタイプのデバイス及び領域は、誘電体を用いて形成されたシャロートレンチアイソレーション(shallow trench isolation,STI)領域を用いて絶縁され得る。FDSOIデジタルデバイス2100で形成されるSTI領域の例には、STI2150、STI2152、STI2154、STI2156、STI2158、及びSTI2160が含まれる。
【0057】
引き続き
図21を参照して、各トランジスタデバイスのバックゲート又はボディバイアスは、冷却に関連した影響を考慮するように閾電圧を動的に設定するために使用され得る。よって、この例では、FDSOIデジタルデバイス2100は、n型デバイスのためのN
BG端子を介したバックゲートバイアスと、p型デバイスのためのP
BG端子を介したバックゲートバイアスとを含む。この例では、FDSOIデジタルデバイス2100が、n型及びp型の両方のデバイスのためのバックゲートバイアスを変化させる能力を含む一方で、n型デバイスのバックゲート電圧は、p型デバイスのバックゲート電圧よりも低いことを許されない。
【0058】
依然として
図21を参照して、各トランジスタデバイスのバックゲート又はボディバイアスは、極低温環境でのチップの冷却に関連した影響を考慮するように閾電圧を動的に設定するために使用され得る。トランジスタデバイス及び関連する制御回路は、バックゲートバイアス制御により、トランジスタのデバイスの閾電圧が、トランジスタデバイスの動作温度の非常に大きい変化にもかかわらず調整可能であるように、設計される。極低温CMOS制御チップは、共通のバックゲートバイアスを与えられるドメインに分割されている回路ブロックを含んでもよい。別個のバイアスを有するドメインの例は、n型デバイスのための回路ブロック、p型デバイスのための回路ブロック、アナログデバイスのための回路ブロック、及びデジタルデバイスのための回路ブロックを含む。
図21は、特定の数及びタイプのウェルを含むFDSOIデジタルデバイス2100を示すが、FDSOIデジタルデバイス2100は、他のタイプの追加の又はより少ないウェルを含んでもよい。加えて、トランジスタデバイスは、プレーナ又は非プレーナであってもよい(例えば、FinFETデバイス)。
【0059】
図22は、一例に従って、FDSOIアナログデバイス2200を示す。FDSOIデジタルデバイス2100とは異なり、FDSOIアナログデバイス2200は、独立したバックゲートバイアス制御を含み、p型デバイスのためのバックゲート電圧は、n型トランジスタのためのバックゲート電圧とは無関係に、電圧V
DDより高くされ得る。FDSOIアナログデバイス2200は基板2202を含み得る。この例では、基板2202は、SOI(silicon-on-insulator)基板であってよい。ディープn-ウェル2204は、n型ドーパントを基板にドープすることによって基板2202において形成され得る。p-ウェル2206が、ディープn-ウェル2204において形成されてもよく、n-ウェル2208が、基板2202において形成されてもよい。次に、いくつかのリソグラフステップを用いて、トランジスタデバイス2220及びトランジスタデバイス2230が形成され得る。この例では、トランジスタデバイス2220は、ボックス2226の上にゲートチャネル2222が形成されているp型トランジスタである。トランジスタデバイス2220は、p+型のソース/ドレイン領域と、ソース/ドレインへの接点S及びDとを更に含んでもよい。この例では、トランジスタデバイス2230は、ボックス2236の上にゲートチャネル2232が形成されているn型トランジスタである。トランジスタデバイス2230は、n+型のソース/ドレイン領域と、ソース/ドレインへの接点S及びDとを更に含んでもよい。様々なタイプのデバイス及び領域は、誘電体を用いて形成されたシャロートレンチアイソレーション(STI)領域を用いて絶縁され得る。FDSOIアナログデバイス2200で形成されるSTI領域の例には、STI2250、STI2252、STI2254、STI2256、STI2258、STI2260、STI2262、及びSTI2264が含まれる。
【0060】
引き続き
図22を参照して、各トランジスタデバイスのバックゲート又はボディバイアスは、冷却に関連した影響を考慮するように閾電圧を動的に設定するために使用され得る。よって、この例では、FDSOIアナログデバイス2200は、n型デバイスのためのN
BG端子を介したバックゲートバイアスと、p型デバイスのためのP
BG端子を介したバックゲートバイアスとを含む。この例では、FDSOIデジタルデバイス2100とは異なり、FDSOIアナログデバイス2200は、独立したバックゲートバイアス制御を含み、p型デバイスのためのバックゲート電圧は、n型トランジスタのためのバックゲート電圧とは無関係に、電圧V
DDより高くされ得る。
【0061】
依然として
図22を参照して、各トランジスタデバイスのバックゲート又はボディバイアスは、極低温環境でのチップの冷却に関連した影響を考慮するように閾電圧を動的に設定するために使用され得る。トランジスタデバイス及び関連する制御回路は、バックゲートバイアス制御により、トランジスタのデバイスの閾電圧が、トランジスタデバイスの動作温度の非常に大きい変化にもかかわらず調整可能であるように、設計される。いくつかの例で、異なるバックゲートバイアスが、異なるアスペクト比を有するトランジスタについて供給される。
図22は、特定の数及びタイプのウェルを含むFDSOIアナログデバイス2200を示すが、FDSOIアナログデバイス2200は、他のタイプの追加の又はより少ないウェルを含んでもよい。加えて、トランジスタデバイスは、プレーナ又は非プレーナであってもよい(例えば、FinFETデバイス)。
【0062】
一例として極低温CMOS制御チップで、FDSOIデジタルデバイス2100は、ロー値の電圧とハイ値の電圧との間の差のみを必要とし、中間値に関係しない回路ブロックの部分として使用され得る。FDSOIデジタルデバイス2100は、FDSOIアナログデバイス2200よりも占有する面積が少ないので、感度が高すぎない限りは回路のほとんどでそれを使用することが有利である。一例で、FDSOIアナログデバイス2200のみが、n型及びp型デバイスの両方のための独立したバックゲートバイアス制御と、これらのデバイスのアスペクト比に基づく独立したバックゲートバイアス制御とが存在するように、製造される。上述されたように、極低温CMOS制御チップは、各ドメインが複数のトランジスタデバイスを含むが、共通のバックゲートバイアスを共有しないように、ドメインに分割されてもよい。一例で、n型デバイスとp型デバイスとの組み合わせと、各タイプのデバイスに関連した異なるアスペクト比とに基づいて、8つのドメインが存在し得る。
【0063】
図23は、本開示で記載されるシステムに関連した方法に対応するフローチャート2300を示す。一例で、量子ビットゲートを制御するシステムは、複数の量子ビットゲートを含む量子デバイスを含み得る。このとき、量子デバイスは、極低温で作動するよう構成される。例として、量子デバイスは、
図1の量子ビット160に対応してもよい。システムは、極低温で作動するよう構成された制御回路を更に含んでもよく、制御回路は、複数の電荷ロック回路を有する。例として、制御回路は、上記の極低温CMOS制御チップに含まれている回路に対応してもよい。複数の電荷ロック回路の夫々は、複数の電荷ロック回路の夫々が電圧信号を少なくとも1つの量子ビットゲートへ供給するよう構成されるように、インターコネクトにより複数の量子ビットゲートのうちの少なくとも1つの量子ビットゲートへ結合され得る。このとき、複数の電荷ロック回路の夫々は、入力電圧信号を受信する第1端子と、第1電圧量又は第2電圧量を選択的に受け取る第2端子とを有し、第1電圧量は第2電圧量よりも多い。例として、電荷ロック回路は、CLFGセル360の部分として含まれてもよい。各電荷ロック回路は、上記のCLFGセル500、CLFGセル1300、又はCLFGセル1400のうちのいずれかに対応してもよい。
【0064】
ステップ2310は、少なくとも1つの量子ビットゲートへ出力される電圧信号が、第1の制御された大きさを有しているパルス信号を有するように、複数の電荷ロック回路の第1サブセットを容量モードで作動させることを含み得る。このとき、第1の制御された大きさは、入力電圧信号の量と、第1電圧量及び第2電圧量の夫々とに依存する。一例で、このステップは、CLFGセル1300の動作に関係してもよい。上述されたように、CLFGセル1300は、CL_EN<N>に応答して作動し得るスイッチ1312を含み得る。この信号は、
図10に関連して記載されている適切な有限状態機械又は他のタイプのロジックの制御下で供給され得る。スイッチ1312が閉じられる場合に、信号線VICL上で入力端子(IN)を介して受け取られた電圧(
図5ではV
HOLDと呼ばれる)は、チップキャパシタンスに相当するC
PULSE,Nと表記されているキャパシタの1つのプレートへ結合され得る。CLFGセル1300は、スイッチ1314及びスイッチ1316を更に含んでもよい。CLFGセル1300は、インバータ1318を更に含んでもよい。CLFGセル1300は、これらのスイッチのうちの1つのみが一度に閉じられるように構成され得る。この例では、CL_EN<N>と表記されている信号が、スイッチ1314を制御することができ、この信号の反転されたバージョン(例えば、インバータ1318によって反転される)が、スイッチ1316を制御することができる。このように、一度に、電圧V
HIGH又は電圧V
LOWのどちらか一方が、オンチップキャパシタンスに相当するC
PULSE,Nと表記されているキャパシタの第2のプレートへ2つのスイッチのうちの一方により結合され得る。
【0065】
ステップ2320は、少なくとも1つの量子ビットゲートへ出力される電圧信号が、第2の制御された大きさを有している信号を有するように、複数の電荷ロック回路の第2サブセットを直接モードで作動させることを含み得る。このとき、第2の制御された大きさは、入力電圧信号と、第1電圧量又は第2電圧量の一方のみとに依存する。一例で、このステップは、CLFGセル1400の動作に関係してもよい。上述されたように、CLFGセル1400は、CL_MODE信号がデアサートされる場合に直接モードで作動し得る。よって、CL_MODE信号がデアサートされる場合に、スイッチ1434が閉じられ、そして、CL_EN<N>信号のステータスに応じて、スイッチ1436又はスイッチ1438のどちらか一方が閉じられる。結果として、一度に、電圧VHIGH又は電圧VLOWのどちらか一方が、入力端子(IN)を介したVIN電圧が結合されるのと同じ端子へ2つのスイッチのうちの一方により結合され得る。
【0066】
まとめると、一態様において、本開示は、量子ビットゲートを制御するシステムに関係がある。システムは、複数の量子ビットゲートを含む量子デバイスを有する第1パッケージデバイスを含んでもよく、量子デバイスは極低温で作動するよう構成される。システムは、極低温で作動するよう構成された制御回路を有する第2パッケージデバイスを更に含んでもよく、第1パッケージデバイスは第2パッケージデバイスへ結合され、制御回路は複数の電荷ロック回路を有し、複数の電荷ロック回路の夫々は、複数の電荷ロック回路の夫々が電圧信号を少なくとも1つの量子ビットへ供給するよう構成されるように、インターコネクトにより複数の量子ビットゲートのうちの少なくとも1つの量子ビットゲートへ結合される。
【0067】
複数の電荷ロック回路の夫々は、入力電圧信号を受信する入力端子と、電圧信号を少なくとも1つの量子ビットゲートへ選択的に供給する出力端子とを有し得る。複数の電荷ロック回路の夫々は、入力電圧信号を受信する第1端子と、第1電圧量又は第2電圧量を選択的に受け取る第2端子とを備えるキャパシタを更に有してもよく、第1電圧量は第2電圧量よりも多い。
【0068】
複数の電荷ロック回路の夫々は、制御された大きさを有しているパルス信号として電圧信号を生成するよう構成され得、制御された大きさは、少なくとも第1電圧量及び第2電圧量に依存する。複数の電荷ロック回路の少なくともサブセットは、直接モード又は容量モードのうちの一方で作動するよう構成され得る。複数の電荷ロック回路の少なくともサブセットの中の夫々は、入力電圧信号を受信する第1端子と、第1電圧量又は第2電圧量を選択的に受け取る第2端子とを備えるキャパシタを有してもよく、第1電圧量は第2電圧量よりも多い。キャパシタは、直接モード中には充電されなくてもよい。キャパシタは、容量モード中に充電され得る。
【0069】
複数の電荷ロック回路の夫々は、複数のトランジスタデバイスを有してもよく、複数のトランジスタの少なくともサブセットの中の夫々は、バックゲートバイアス端子を含み得る。バックゲートバイアス端子は、各々のトランジスタに関連した閾電圧を変えるための電圧を受けるよう構成され得る。制御回路は、複数の電荷ロック回路の夫々に関連した少なくとも1つの制御信号を制御するよう構成された制御ロジックを更に有してもよい。
【0070】
他の態様においては、本開示は、複数の量子ビットゲートを含み、極低温で作動するよう構成された量子デバイスと、極低温で作動するよう構成され、複数の電荷ロック回路を有する制御回路とを有する量子ビットゲート制御システムでの方法であって、複数の電荷ロック回路の夫々は、複数の電荷ロック回路の夫々が電圧信号を少なくとも1つの量子ビットゲートへ供給するよう構成されるように、インターコネクトにより複数の量子ビットゲートのうちの少なくとも1つの量子ビットゲートへ結合され、複数の電荷ロック回路の夫々は、入力電圧信号を受信する第1端子と、第1電圧量又は第2電圧量を選択的に受け取る第2端子とを有し、第1電圧量は第2電圧量よりも多い、方法に関係がある。方法は、少なくとも1つの量子ビットゲートへ出力される電圧信号が、第1の制御された大きさを有しているパルス信号を有するように、複数の電荷ロック回路の第1サブセットを容量モードで作動させることを含んでもよく、第1の制御された大きさは、入力電圧信号の量と、第1電圧量及び第2電圧量の夫々とに依存する。方法は、少なくとも1つの量子ビットゲートへ出力される電圧信号が、第2の制御された大きさを有している信号を有するように、複数の電荷ロック回路の第2サブセットを直接モードで作動させることを更に含んでもよく、第2の制御された大きさは、入力電圧信号と、第1電圧量又は第2電圧量の一方のみとに依存する。
【0071】
制御回路は、複数の電荷ロック回路の夫々に関連した少なくとも1つの制御信号を制御するよう構成された制御ロジックを更に有してもよい。複数の電荷ロック回路の夫々は、複数のトランジスタデバイスを有してもよく、複数のトランジスタの少なくともサブセットの中の夫々は、バックゲートバイアス端子を含む。バックゲートバイアス端子は、各々のトランジスタに関連した閾電圧を変えるための電圧を受けるよう構成されてもよい。
【0072】
更なる他の態様においては、本開示は、量子ビットゲートを制御するシステムに関係がある。システムは、複数の量子ビットゲートを含む量子デバイスを含んでもよく、量子デバイスは極低温で作動するよう構成される。システムは、極低温で作動するよう構成された制御回路を更に含んでもよく、制御回路は複数の電荷ロック回路を有し、複数の電荷ロック回路の夫々は、複数の電荷ロック回路の夫々が電圧信号を少なくとも1つの量子ビットへ供給するよう構成されるように、インターコネクトにより複数の量子ビットゲートのうちの少なくとも1つの量子ビットゲートへ結合され、複数の電荷ロック回路の夫々は、入力電圧信号を受信する入力端子と、電圧信号を少なくとも1つの量子ビットゲートへ選択的に供給する出力端子とを有し、制御回路は、複数の電荷ロック回路の夫々に関連した少なくとも1つの制御信号を供給するよう構成された制御ロジックを更に有する。
【0073】
複数の電荷ロック回路の夫々は、入力電圧信号を受信する第1端子と、第1電圧量又は第2電圧量を選択的に受け取る第2端子とを備えたキャパシタを更に有してもよく、第1電圧量は第2電圧量よりも多く、複数の電荷ロック回路の夫々は、制御された大きさを有しているパルスとして電圧信号を生成するよう構成され、制御された大きさは、第1電圧量及び第2電圧量に少なくとも依存する。
【0074】
複数の電荷ロック回路の少なくともサブセットは、直接モード又は容量モードのうちの一方で作動するよう構成され得、複数の電荷ロック回路の少なくともサブセットの中の夫々は、入力電圧信号を受信する第1端子と、第1電圧量又は第2電圧量を選択的に受け取る第2端子とを有し、第1電圧量は第2電圧量よりも多い。キャパシタは、直接モード中には充電されなくてもよい。キャパシタは、容量モード中に充電され得る。
【0075】
本明細書で示されている方法、モジュール、及びコンポーネントは例示にすぎない、ことが理解されるべきである。例えば、限定無しに、デバイスの実例となるタイプには、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(Field-Programmable Gate Arrays,FPGA)、特定用途向け集積回路(Application-Specific Integrated Circuits,ASIC)、特定用途向け標準製品(Application-Specific Standard Products,ASSP)、システム・オン・チップシステム(System-on-a-Chip systems,SOC)、コンプレックス・プログラマブル・ロジック・デバイス(Complex Programmable Logic Devices,CPLD)などがある。
【0076】
加えて、抽象的であるが依然として明確な意味で、同じ機能を達成するためのコンポーネントの任意の配置は、所望の機能が達成されるように効果的に「関連付け」られる。従って、特定の機能を実現するためにここで組み合わされた任意の2つのコンポーネントは、アーキテクチャ又は中間コンポーネントに関係なく、所望の機能が実現されるように互いに「関連付けられている」と見なすことができる。同様に、そのように関連付けられた任意の2つのコンポーネントは、互いに「動作可能に接続」又は「結合」されて、目的の機能を実現していると見なすこともできる。
【0077】
更に、当業者であれば、上記の動作の機能の間の境界は単に実例である、と認識するだろう。複数の動作の機能は、単一の動作にまとめられてもよく、かつ/あるいは、単一の動作の機能は、追加の動作に分配されてもよい。更に、代替の実施形態は、特定の動作の複数のインスタンスを含んでもよく、動作の順序は、様々な他の実施形態では変更されてもよい。
【0078】
本開示は具体例を与えているが、様々な改良及び変更が、以下で特許請求の範囲において示されている本開示の範囲から逸脱せずに行われ得る。従って、明細書及び図は、限定の意味ではなく、例示の意味で見なされるべきであり、全てのそのような改良は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。具体例に関連して本明細書で記載されている如何なる利点、効果、又は問題の解決法も、いずれかの又は全ての請求項の重要な、必要な、又は必須の特徴として解釈されることを意図されない。
【0079】
更に、数を限定されてない要素は、それが1つ以上存在するものとして解釈されるべきである。また、特許請求の範囲中での「少なくとも1つ」及び「1つ以上」などの導入句の使用は、同じ請求項が導入句「1つ以上」又は「少なくとも1つ」及び“a”又は“an”などの不定冠詞を含む場合でさえ、不定冠詞“a”又は“an”による他の請求項要素の導入が、そのような導入されている請求項要素を含む如何なる特定の請求項も、そのような要素を1つしか含まない発明に限定する、ことを暗示していると解釈されるべきではない。
【0080】
別段述べられない限りは、「第1」及び「第2」などの用語は、そのような用語が記載する要素どうしを任意に区別するために使用される。よって、これの用語は、そのような要素の時間的な又は他の優先順位を示すことを必ずしも意図されない。