IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルアンドケー バイオメッド カンパニー リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許-斜側方脊椎癒合ケージ 図1
  • 特許-斜側方脊椎癒合ケージ 図2
  • 特許-斜側方脊椎癒合ケージ 図3
  • 特許-斜側方脊椎癒合ケージ 図4
  • 特許-斜側方脊椎癒合ケージ 図5
  • 特許-斜側方脊椎癒合ケージ 図6
  • 特許-斜側方脊椎癒合ケージ 図7
  • 特許-斜側方脊椎癒合ケージ 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】斜側方脊椎癒合ケージ
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/44 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
A61F2/44
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021576428
(86)(22)【出願日】2020-06-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-18
(86)【国際出願番号】 KR2020007849
(87)【国際公開番号】W WO2020256410
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2022-01-05
(31)【優先権主張番号】10-2019-0074169
(32)【優先日】2019-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518134286
【氏名又は名称】エルアンドケー バイオメッド カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カン、グック ジン
(72)【発明者】
【氏名】アン、ヨンボ
(72)【発明者】
【氏名】リ、サン ス
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ユン ソ
【審査官】松山 雛子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0100129(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108742953(CN,A)
【文献】特表2019-510549(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0042695(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0021149(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0058632(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0058575(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0210063(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107773331(CN,A)
【文献】中国実用新案第206273257(CN,U)
【文献】特開2015-226849(JP,A)
【文献】特表2014-529466(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1632908(KR,B1)
【文献】特開2014-176650(JP,A)
【文献】特表2012-501234(JP,A)
【文献】特開2019-055288(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0056085(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0106630(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-1524532(KR,B1)
【文献】特表2015-521919(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脊椎体間に挿入される斜側方脊椎癒合ケージにおいて、
前側部と、
前記前側部と距離を置いて形成される後側部と、
前記前側部と前記後側部とに連結され、脊椎体間に挿入が開始される内側部と、
前記前側部と前記後側部とに連結され、前記内側部に反対となる位置において、器具と結合される外側部と、を含み、
前記前側部の中心部と前記後側部の中心部には、曲率中心が前側に位置するように屈曲される前側屈曲部及び後側屈曲部をそれぞれ含むことにより、前記後側屈曲部、前記内側部、及び前記外側部が椎体の皮質領域に位置し、
前記前側部において、前記前側屈曲部を中心に、前記内側部と前記外側部との間には、直線区間である前側直線部が形成され、
前記後側部において、前記後側屈曲部を中心に、前記内側部と前記外側部との間には、直線区間である後側直線部が形成され、
前記前側直線部及び前記後側直線部は、前記後側部の中心と前記前側部の中心とを連結する仮想線を中心にし、両側対称で同一角度に傾き、
互いに平行である前記前側直線部と前記後側直線部との間の幅を直線部幅W1とするとき、前記後側屈曲部の曲率半径R2は、前記前側屈曲部の曲率半径R1と前記直線部幅W1との和と同じであることを特徴とする斜側方脊椎癒合ケージ。
【請求項2】
前記前側屈曲部の曲率半径R1は、前記後側屈曲部の曲率半径R2以下であることを特徴とする請求項1に記載の斜側方脊椎癒合ケージ。
【請求項3】
前記内側部は、内側に向けて突出されるラウンド型に形成され、前記内側部の曲率半径R3の大きさは、前記直線部幅W1の大きさ以上であることを特徴とする請求項に記載の斜側方脊椎癒合ケージ。
【請求項4】
前記内側部と前記後側直線部との間には、遷移部が配されることを特徴とする請求項に記載の斜側方脊椎癒合ケージ。
【請求項5】
前記遷移部の曲率半径R4は、前記内側部の曲率半径R3より大きく、前記後側部の曲率半径R2より小さいことを特徴とする請求項に記載の斜側方脊椎癒合ケージ。
【請求項6】
前記後側部の最大高さH1は、前記前側部の最大高さH2以下であることを特徴とする請求項1に記載の斜側方脊椎癒合ケージ。
【請求項7】
前記斜側方脊椎癒合ケージの最大長をLとし、互いに平行である前記前側直線部と前記後側直線部との間の幅を直線部幅W1とするとき、前記最大長L、直線部幅W1、前側屈曲部の曲率半径R1、及び後側屈曲部の曲率半径R2の間には、下記数式1の関係を満足することを特徴とする請求項に記載の斜側方脊椎癒合ケージ:
【数1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、斜側方脊椎癒合ケージに係り、さらに詳細には、脇腹から斜め方向になる手術経路に沿い、大腰筋(psoas muscle)及び腹膜(peritoneum)の存在にもかかわらず、手術が可能な斜側方脊椎癒合ケージに関する。
【背景技術】
【0002】
椎体は、本体をなす32~35個の脊椎骨(vertebra)と、脊椎骨間の椎間板(intervertebral disc)、すなわち、ディスクとからなり、上端の頭蓋骨と、下端の骨盤とを連結する人体の中枢をなす部分である。
【0003】
脊椎骨は、上から、7個の頚椎(cervical)、12個の胸椎(thoracic)、5個の腰推(lumber)、5個の仙椎(sacrum)、3~5個の尾椎(coccyx)からなるが、成人においては、5個の仙椎が癒合し、1個の仙骨になり、3~5個の尾椎が癒合し、1個の尾骨になる。
【0004】
長期間、深刻な脊椎疾患治療のための治療方法の一つとして、脊椎の癒合法がある。そのような脊椎癒合術は、椎間板(ディスク(intervertebral disc)を除去し、それを代替するケージ(cage)を挿入し、隣接する椎体を互いに癒合させる手術法である。
【0005】
そのような脊椎癒合術は、腰推に施術される場合、ケージの挿入方向により、後方椎体間固定術(PLIF:posterial lumbar interbody fusion)、腰椎後方進入椎体間固定術(TLIF:transformational lumbar interbody fusion)、側傍椎体間固定術(LLIF:lateral lateral lumbar interbody fusion)、斜側方椎体間固定術(OLIF:oblique lumbar interbody fusion)、前方椎体間固定術(ALIF:anterior lumbar interbody fusion)などに区分されうる。
【0006】
後方椎体間固定術(PLIF)は、脊椎の中心線に沿って切開し、脊椎体がいずれも露出されるように開放し、脊椎骨の後方側一部を除去した後、ディスクを除去し、PLIFケージを挿入する方法である。
【0007】
後方椎体間固定術(PLIF)は、脊椎癒合術において、最も長い間、施行されてきたものであり、2節や3節の癒合術を行うとき、必ず必要な方法である。しかしながら、手術過程により、神経と靭帯と筋肉とに癒着される可能性が高く、切開領域が大きく、治癒時間が長く、人によっては、後遺症が大きいという短所がある。
【0008】
PLIFケージは、1対の小さいケージが左右両側に配され、全ての脊椎癒合術に使用されるケージにおいて最小である。
【0009】
腰椎後方進入椎体間固定術(TLIF)は、脊椎筋肉両側に沿って小さく切開し、最小限に脊椎体を露出させた後、脊椎関節部位を、神経孔が出てくる方向に除去しながら、TLIFケージを、ディスクを除去して挿入する手術方法である。該手術技法は、出血も少なく、手術時間も短縮させるという長所があるために、1節手術の場合に適するが、さまざまな部位の手術が必要である場合には、PLIF手術を行わなければならない。該TLIFケージは、ほとんど円弧形状になっており、椎体に入れて回転させ、TLIFケージの凸状部分が腹側を向くようにする。該TLIFケージは、PLIFケージよりは、大きいが、支持面積が、後述するLLIFケージまたはALIFケージよりは小さい。
【0010】
前方椎体間固定術(ALIF)は、手術回復も早く、癒着も心配する必要がないというようなさまざまな長所があるが、前方(腹側)を切開して内臓をよけながら脊椎側に近付いて施行するので、高度の熟練された技術が必要であるという短所がある。ALIFケージは、全ての脊椎癒合術ケージにおいて、最大の支持面積を有する長所がある。
【0011】
ALIF、PLIF、TLIFの短所を克服するために開発されたのが、側傍椎体間固定術(LLIF)である。該側傍椎体間固定術は、脇腹切開を介して手術を進めるので、既存の背を切開する手術に比べ、脊椎と脊椎との間の狭窄された部位の間隔をさらに広く広げることができるということは、言うまでもなく、周囲組織の損傷がほとんどないという長所がある。ただし、手術する経路周囲に、大腰筋(psoas muscle)及び腹膜(peritoneum)があり、手術時、過ちがあれば、太腿筋肉麻痺になるというような問題がある。LLIFケージは、ALIFケージよりは小さいが、PLIFケージやTLIFケージよりは大きい。
【0012】
そのような側傍椎体間固定術に比べ、さらに安全であって効果的な手術法が、斜側方椎体間固定術(OLIF:oblique lumbar interbody fusionまたはATPO(anterior to psoas) fusion)である。該斜側方椎体間固定術は、脇腹から斜め方向に手術経路がなり、大腰筋(psoas muscle)及び腹膜(peritoneum)により、手術がDLIFでもってしては困難である4番腰椎(L4)と5番腰椎(L5)との間にも可能であるという長所がある。また、該側傍椎体間固定術で問題になる、神経に損傷を与える可能性が顕著に低い。
【0013】
既存の斜側方椎体間固定術は、別途のケージを使用するのではなく、LLIFケージを利用している。しかし、該側傍椎体間固定術と異なり、該斜側方椎体間固定術に、既存のLLIFケージをそのまま使用する場合、施術者の若干の過ちによっても、LLIFケージが、進入方向に沿ってさらに進めば、LLIFケージの末端部(挿入側端部)が椎体を過ぎ、挿入側の反対側の血管または神経を損傷させる危険性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】US 2016-0310294A
【文献】US 9474624
【文献】KR 1632908B
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
前述の問題点を解決するために案出された本発明の目的は、施術時、安定して、椎体間の空間に、望ましい位置に載置されることにより、医療事故を防止することができる斜側方脊椎癒合ケージを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前述の課題を解決するための本発明は、脊椎体間に挿入される斜側方脊椎癒合ケージにおいて、前側部(anterior side portion)と、前記前側部と距離を置いて形成される後側部(posterior side portion)と、前記前側部と前記後側部とに連結され、脊椎体間に挿入が開始される内側部(medial side portion)と、前記前側部と前記後側部とに連結され、前記内側部(medial side portion)に反対となる位置で器具と結合される外側部(lateral side portion)と、を含み、前記前側部と前記後側部との中心部には、曲率中心が前側を向くように屈曲される前側屈曲部及び後側屈曲部をそれぞれ含むことにより、前記後側屈曲部、前記内側部及び前記外側が、椎体の皮質領域に位置することを特徴とする斜側方脊椎癒合ケージである。
【0017】
前記前側部において、前記前側屈曲部を中心に、前記内側部と前記外側部との間には、直線区間である前側直線部が形成され、前記後側部において、前記後側屈曲部を中心に、前記内側部と前記外側部との間には、直線区間である後側直線部が形成されることを特徴とする。
【0018】
また、前記前側屈曲部の曲率半径R1は、前記後側屈曲部の曲率半径R2以下であることを特徴とする。
【0019】
また、前記前側直線部と前記後側直線部との最大距離を直線部幅W1とするとき、前記後側屈曲部の曲率半径R2は、前記前側屈曲部の曲率半径R1と前記直線部幅W1との和と同じであることを特徴とする。
【0020】
また、前記内側部は、実質的に内側に向けて突出されるラウンド型に形成され、前記内側部の曲率半径R3の大きさは、前記直線部幅W1の大きさ以上であることを特徴とする。
【0021】
また、前記内側部と前記後側直線部との間には、遷移部が配されることを特徴とする。
【0022】
また、前記遷移部の曲率半径R4は、前記内側部の曲率半径R3より大きく、前記後側部の曲率半径R2より小さいことを特徴とする。
【0023】
また、前記後側部の最大高さH1は、前記前側部の最大高さH2以下であることを特徴とする。
【0024】
また、前記前側直線部及び前記後側直線部は、前記後側部と前記内側部とを連結する仮想線を中心にし、両側対称で同一角度で傾くことを特徴とする。
【0025】
また、前記斜側方脊椎癒合ケージの最大長をLとし、前記前側直線部と前記後側直線部との最大距離を直線部幅W1とするとき、前記最大長が、直線部幅、及び内側部と外側部との曲率半径の間には、下記数式1関係を満足することを特徴とする:
【0026】
【数1】
【0027】
また、前記斜側方脊椎癒合ケージの最大長Lによる長手方向に対する傾斜角度(B°)は、12≦w1≦30であり、30≦L≦90であるとき、下記数式2からも得られる:
【0028】
【数2】
【発明の効果】
【0029】
本発明を介する斜側方脊椎癒合ケージを挿入する場合、熟練と係わりなく、椎体間空間の望ましい位置に載置させることができる。すなわち、該斜側方脊椎癒合ケージは、望ましい位置を自ら探し出すセルフセンタリング(self-centering)機能を有しており、該斜側方脊椎癒合ケージの内側部が、血管または神経を損傷させることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の実施例1による斜側方脊椎癒合ケージの斜視図である。
図2図1の斜側方脊椎癒合ケージの平面図及び側面図である。
図3図1の斜側方脊椎癒合ケージの挿入過程を示した概路図である。
図4】本発明の実施例2による斜側方脊椎癒合ケージの最低高状態の斜視図である。
図5図4の斜側方脊椎癒合ケージの平面図及び側面図である。
図6図4の斜側方脊椎癒合ケージの最高高状態の斜視図である。
図7図6の斜側方脊椎癒合ケージの平面図及び側面図である。
図8図4の斜側方脊椎癒合ケージの挿入過程を示した概路図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明につき、望ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。以下の各図面の構成要素に参照符号を付加するにおき、同一構成要素に限っては、たとえ他の図面上に表示されているとしても、可能な限り、同一符号を有するようにし、本発明の、要旨を不要にぼやかしてしまうと判断される公知の機能及び構成に係わる詳細な説明は、省略する。
【0032】
方向について定義する。図3及び図8において、Pは、人体の背中側方向である後側(posterior)を意味し、Aは、人体の腹側方向である前側(anterioro)を意味する。Mは、手術経路を基準に見たとき、体の内側(medial)を向く方向であり、Lは、それと反対に、手術経路を基準に見たとき、体の外側(lateral)を向く方向を意味する。また、ケージ自体において、挿入器具20,30から遠い側が末端(distal)方向であり、前記挿入器具20,30に近い側が近位(proximal)方向である。言い換えれば、ケージにおいて、挿入が開始される側が末端方向であり、それに反対となる側が近位方向である。以下の説明においては、前述の方向を基準にして説明する。
【0033】
図1ないし図3を参照し、本発明の実施例1による斜側方脊椎癒合ケージ100について説明する。図1及び図2に図示されているように、前記斜側方脊椎癒合ケージ100は、基本的に、内部に骨充填材(bone graft)を入れることができるウィンドウ(window)を有し、大きく見て、前側部(anterior side portion)と、前記前側部と距離を置いて形成される後側部(posterior side portion)と、前記前側部と前記後側部とに連結され、脊椎体間に挿入が開始される内側部(medial side portion)104と、前記前側部と前記後側部とに連結され、前記内側部104に反対となる位置において、挿入器具20と結合される外側部(lateral side portion)102と、を含んでなる。
【0034】
前記斜側方脊椎癒合ケージ100は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)のように、人体に無害な高分子物質によって作製されるか、あるいはそのような高分子材質のセグメントと金属材質のセグメントとを互いに結合してもなる。このとき、該金属は、チタン、ステンレスのような人体に無害な金属材質を使用する。ここで、前記本体全部を金属材質にすることも可能であるということは、言うまでもない。
【0035】
そして、前記斜側方脊椎癒合ケージ100においては、ブリッジ120を利用し、機械的強度を強化させ、内部ウィンドウに挿入される骨充填材が流出されずに、安定して位置するようにする。また、前記外側部102には、前記挿入器具20との結合のための器具装着部122が形成される。実施例1において、前記器具装着部122は、ねじ線が形成されたホールとして表現されているが、それに限定されるものではない。
【0036】
前記斜側方脊椎癒合ケージ100の最大の特徴は、前記前側部と前記後側部との中心部には、曲率中心が前側を向くように屈曲される前側屈曲部108及び後側屈曲部106をそれぞれ含むということである。それにより、前記後側屈曲部106、前記内側部及び前記外側部が椎体の皮質領域に位置することになる。言い換えれば、前記斜側方脊椎癒合ケージ100は、全体的に曲率中心が前側に位置するように曲折した形状を有する。従って、脇腹側傍から挿入しながら回転することができ、その結果、前記後側屈曲部106が、椎体後側の後側皮質骨14の中心に位置すれば、前記斜側方脊椎癒合ケージ100は、望ましい位置に載置される。特に、前記斜側方脊椎癒合ケージ100の挿入時、幅は、後述する直線部幅W1であるが、載置された後には、図2に図示されているように、AP方向に最大幅がW2になり、それは、W1に比べ、かなり広くなる。
【0037】
その結果、狭幅の斜側方脊椎癒合ケージ100が、直線型ケージに比べ、さらに広い支持面積を有することになる。それについては、以下でさらに詳細に説明する。
【0038】
また、前記前側部において、前記前側屈曲部108を中心にし、前記内側部104と前記外側部102との間には、直線区間である前側直線部114,116が形成され、前記後側部において、前記後側屈曲部106を中心にし、前記内側部104と前記外側部102との間には、直線区間である後側直線部110,112が形成されうる。
【0039】
従って、前記前側部は、前記前側屈曲部108及び前記前側直線部114,116を含み、前記後側部は、前記後側屈曲部106及び前記後側直線部110,112を含むのである。
【0040】
前記前側直線部114,116と前記後側直線部110,112は、前記内側部104が、手術経路を介して挿入された後、挿入を容易なものにする。すなわち、挿入器具20に力を加えて押したり、ハンマー(図示せず)などで衝撃を加えたりし、前記斜側方脊椎癒合ケージ100を、椎体10間の空間に押し入れるとき、直線方向に挿入することができるように一助となる。
【0041】
そして、前記前側屈曲部108の曲率半径R1は、前記後側屈曲部106の曲率半径R2以下であることが望ましい。すなわち、前記斜側方脊椎癒合ケージ100を、椎体10間の空間に挿入するとき、特に、前記後側屈曲部106と前記前側屈曲部108とが挿入された状態で、前記斜側方脊椎癒合ケージ100を回転させる場合、前記前側部を前記後側部に比べ、さらに多く挿入させて回転量を大きくすることが望ましいので、前記前側屈曲部108の曲率半径R1を、前記後側屈曲部106の曲率半径R2より小さくしなければならない。
【0042】
このとき、前記前側直線部114,116と前記後側直線部110,112との最大距離を直線部幅W1とするとき、前記後側屈曲部106の曲率半径R2は、前記前側屈曲部108の曲率半径R1と、前記直線部幅W1との和と同じように設定することができる。すなわち、実質的に、前記後側部が前記前側部より、ほぼ直線部幅W1ほどさらに多く通過すれば、前述の前記斜側方脊椎癒合ケージ100の回転量で十分であると見られる。ここで、W1は、一般的な椎体の大きさを考慮するとき、12mmないし30mm、望ましくは、18mmないし24mmにも決定される。そして、R2は、30~100mm、望ましくは、40~85mmにも決定されることができる。
【0043】
また、前記内側部104は、実質的に、内側に向けて突出されるラウンド型にも形成される。それは、最初に前記斜側方脊椎癒合ケージ100を挿入するとき、挿入が容易であるためであり、前記内側部104の曲率半径R3の大きさは、前記直線部幅W1の大きさ以上であることを特徴とする。言い換えれば、前記内側部104が最も目立つように凸状であるのは、前記直線部幅W1を直径とする半円形であるが、それよりさらになだらかにも形成される。
【0044】
前述の前側部の曲率半径R1と、後側部の曲率半径R2は、経験式により、次のように求めることができる。すなわち、前記斜側方脊椎癒合ケージ100の最大長をLとし、前記前側直線部114,116と前記後側直線部110,112との最大距離を、直線部幅W1とするとき、前記最大長が、直線部幅、及び内側部と外側部との曲率半径の間には、下記数式1の関係を満足することを特徴とする。ここで、Lは、30~90mm、望ましくは、40~65mmに決定される:
【0045】
【数1】
【0046】
そして、前記内側部104と前記後側直線部110との間には、遷移部118が配されうる。前記遷移部118は、最初に前記内側部104が挿入され、だんだんと進めば、後側皮質骨14において、前記斜側方脊椎癒合ケージ100に当接し、回転を容易にする役割を行う。そのために、前記遷移部118の曲率半径R4は、前記内側部の曲率半径R3より大きく、前記後側部の曲率半径R2より小さく形成されることが望ましい。
【0047】
また、前記後側部の最大高さH1は、前記前側部の最大高さH2以下であることが望ましい。脊椎は、全体的に前弯(lordosis)と後弯(kyphosis)とが反復され、腰推においては、前弯の形態を有する。従って、それに対応するために、前記後側部が前記前側部よりも高さが低く形成されなければならない。また、そのような後側部と前側部との高さ差により、前弯角(A°)が形成されれば、前記斜側方脊椎癒合ケージ100を、挿入器具20によって挿入するとき、力を加えれば、楔のように、前記斜側方脊椎癒合ケージ100が後側に偏るという長所がある。
【0048】
そして、前記前側直線部114,116及び前記後側直線部110,112は、前記後側部と前記前側部とを連結する仮想線(AP線)を中心にし、両側対称に同一角度で傾くようにも形成される。それは、挿入の容易さと共に、最終的に挿入が完了した後、AP線を中心に、対称的に斜側方脊椎癒合ケージ100が配され、解剖学的に安定しているという特徴を有する。
【0049】
また、前記斜側方脊椎癒合ケージ100の最大長Lに対する傾斜角度(B°)は、12≦w1≦30でであり、30≦L≦90であるとき、下記数式2から得られる:
【0050】
【数2】
【0051】
前記傾斜角度(B°)は、前記斜側方脊椎癒合ケージ100の形状を決定するだけではなく、最初椎体10に挿入する方向も決定することになる。図3及び図8に表示された傾斜角度(B°)は、15°であり、大体8°~45°に決定される。
【0052】
次に、図3を参照し、挿入過程について説明する。まず、図3(a)に図示されているように、挿入器具20を、前記斜側方脊椎癒合ケージ100と結合させ、挿入角が傾斜角度(B°)になるように挿入する。このとき、前記挿入器具20がML線となす傾斜角度(C1°)は、別途に調整するものではなく、前記斜側方脊椎癒合ケージ100の器具装着部122が形成された方向によって決定される。
【0053】
そして、図3(b)及び図3(c)に示されているように、前記斜側方脊椎癒合ケージ100を、椎体10間の空間内部に続けて挿入しながら、前記斜側方脊椎癒合ケージ100を回転させる。該回転は、前記挿入器具20を後側に押すことによってもなされる。このとき、前述のように、前記内側部104に連結される前記遷移部118が、前記後側皮質骨14に当接しながら、前記斜側方脊椎癒合ケージ100の回転を案内することになる。
【0054】
最後に、挿入が完了すれば、図3(d)に図示されているように、前記斜側方脊椎癒合ケージ100のAP線を中心に、両側に同一角度に傾くように位置する。その結果、前記内側部104は、内側皮質骨12に位置し、前記外側部102は、外側皮質骨16に位置し、前記後側屈曲部106は、後側皮質骨14に位置することになる。
【0055】
次に、図4ないし図8を利用し、本発明の実施例2による斜側方脊椎癒合ケージ200について説明する。前記斜側方脊椎癒合ケージ200は、高さが調節される膨脹型ケージ(expandable cage)であることを除けば、実施例1の斜側方脊椎癒合ケージ100と同一形状を有する。異なる符号であるが、同じ構成要素については、説明を省略する。
【0056】
図4ないし図7に図示されているように、前記斜側方脊椎癒合ケージ200は、基本的に、上部プレート201と下部プレート203とを有し、外側部202と内側部204とが、前記上部プレート201と前記下部プレート203との間に位置する。そして、前記内側部204に一体に連結される固定スクリュー224と、前記外側部202を貫通し、回転可能になるように支持される駆動スクリュー226が一直線上に位置する。従って、前記駆動スクリュー226が回転しながら、前記固定スクリュー224と結合することにより、前記外側部202と前記内側部204と距離が狭まることになり、その結果、前記上部プレート201と前記下部プレート203との高さを変化させることができる。前記外側部202、前記内側部204、前記上部プレート201及び前記下部プレート203の間には、相互移動のために、レール(図示せず)が形成されている。
【0057】
ただし、前記上部プレート201と前記下部プレート203との高さ方向運動を拘束するために、前記上部プレート201には、上部ガイド205が形成され、前記下部プレート203には、下部ガイド207が形成されうる。
【0058】
内部に骨充填材を入れることができるウィンドウを有し、大きく見て、前側部と、前記前側部と距離を置いて形成される後側部と、前記前側部と前記後側部とに連結され、脊椎体間に挿入が開始される内側部104と、前記前側部と前記後側部とに連結され、前記内側部104に反対となる位置において、挿入器具20と結合される外側部102と、を含む点は、実施例1と同一である。
【0059】
前記斜側方脊椎癒合ケージ200は、基本的に、金属であるならば、チタン、ステンレスのような金属材質によってなる、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)のように、人体に無害な高分子物質によって作製されるか、金属と高分子物質とを、構成要素別に異ならせて使用することも可能である。
【0060】
また、前記外側部202には、前記挿入器具30と結合のための器具装着部222が形成される。実施例2において、前記器具装着部222は、前記駆動スクリュー226のヘッド部に形成される工具溝の形状に表現されているが、それに限定されるものではない。図示されていないが、前記挿入器具30は、前記斜側方脊椎癒合ケージ200との確固な結合のために、グリッパ(gripper)などをさらに含んでもよい。
【0061】
前記斜側方脊椎癒合ケージ200も、前記前側部と前記後側部との中心部には、曲率中心が前側を向くように屈曲される前側屈曲部208及び後側屈曲部206をそれぞれ含む。
【0062】
また、前記前側部において、前記前側屈曲部208を中心にし、前記内側部204と前記外側部202との間には、直線区間である前側直線部214,216が形成され、前記後側部において、前記後側屈曲部206を中心にし、前記内側部204と前記外側部202との間には、直線区間である後側直線部210,212が形成されることは、実施例1の斜側方脊椎癒合ケージ100と同一である。
【0063】
そして、前記内側部204と前記後側直線部210との間には、遷移部218が配されうる。
【0064】
また、前記後側部の最大高さH1は、前記前側部の最大高さH2以下であることは、実施例1の斜側方脊椎癒合ケージ100と同一である。
【0065】
次に、図8を参照し、挿入過程について説明する。まず、図8(a)に図示されているように、挿入器具30を、前記斜側方脊椎癒合ケージ200と結合させ、挿入角が傾斜角度(B°)になるように挿入する。このとき、前記挿入器具30が、ML線となす傾斜角度(C2°)は、別途に調整するものではなく、前記斜側方脊椎癒合ケージ200の器具装着部222が形成された方向によって決定される。
【0066】
そして、図8(b)及び図8(c)に示されているように、前記斜側方脊椎癒合ケージ200を、椎体10間の空間内部に続けて挿入しながら、前記斜側方脊椎癒合ケージ200を回転させる。該回転は、前記挿入器具30を後側に押すことによってもなされる。このとき、前述のように、前記内側部204に連結される前記遷移部218が、前記後側皮質骨14を当接しながら、前記斜側方脊椎癒合ケージ200の回転を案内することになる。
【0067】
最後に、挿入が完了すれば、図8(d)に図示されているように、前記斜側方脊椎癒合ケージ200のAP線を中心に、両側に同一角度に傾くように位置する。その結果、前記内側部204は、内側皮質骨12に位置し、前記外側部202は、外側皮質骨16に位置し、前記後側屈曲部206は、後側皮質骨14に位置することになる。
【0068】
そして、実施例2の斜側方脊椎癒合ケージ200は、膨脹型ケージであるので、最初挿入時には、図5のような状態で、最低高状態である。しかし、前記駆動スクリュー226を回転させれば、前述のように、前記上部プレート201と前記下部プレート203との距離が変化しながら、図7のように、高さを変化させることができる。
【0069】
前述のところのように、本発明の望ましい実施例を参照して説明したが、当該技術分野の当業者であるならば、特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から外れない範囲内において、本発明を多様に修正させて変更させられるということを理解することができるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明を介する斜側方脊椎癒合ケージは、施術者の熟練度と係わりなく、椎体間の空間に安定して載置され、患者に生じうる医療事故を防止することができる。そして、そのような安定した載置が保証されるので、施術者を簡単に教育させることにより、他方式の脊椎癒合手術を代替することができる。従って、マーケットーシェアを高めることができる可能性が予想される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8