(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】除草装置及び植物の分裂組織の位置を推定する方法
(51)【国際特許分類】
A01M 21/04 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
A01M21/04 Z
(21)【出願番号】P 2022019042
(22)【出願日】2022-02-09
【審査請求日】2023-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】加藤 久幸
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-053941(JP,A)
【文献】特開2001-275541(JP,A)
【文献】国際公開第2020/075782(WO,A1)
【文献】特表2021-520313(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0029612(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0229421(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 21/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物にレーザ照射を実行することにより除草を行う除草装置であって、
植物が存在しうる範囲の画像を取得するように構成された画像取得部と、
前記画像取得部により取得された前記画像から、レーザ照射を実行する対象の植物が存在する領域である対象領域を特定するように構成された特定部と、
前記特定部により特定された前記対象領域の形状に応じて定まる、前記対象領域における特定地点を決定する決定部と、
前記特定地点を含む所定の範囲内を、前記対象領域における他の範囲と比較して高い密度でレーザ照射を実行するように構成された照射部と、
を備え
、
前記対象領域は、前記対象の植物の画像である植物画像の部分に外接する矩形の領域であり、
前記決定部は、前記矩形の領域における対角線の交点を、前記特定地点として決定する、除草装置。
【請求項2】
植物にレーザ照射を実行することにより除草を行う除草装置であって、
植物が存在しうる範囲の画像を取得するように構成された画像取得部と、
前記画像取得部により取得された前記画像から、レーザ照射を実行する対象の植物が存在する領域である対象領域を特定するように構成された特定部と、
前記特定部により特定された前記対象領域の形状に応じて定まる、前記対象領域における特定地点を決定する決定部と、
前記特定地点を含む所定の範囲内を、前記対象領域における他の範囲と比較して高い密度でレーザ照射を実行するように構成された照射部と、
を備え
、
前記対象領域は、前記対象の植物の画像である植物画像の部分に外接する円形の領域であり、
前記決定部は、前記円形の領域の中心を、前記特定地点として決定する、除草装置。
【請求項3】
植物にレーザ照射を実行することにより除草を行う除草装置であって、
植物が存在しうる範囲の画像を取得するように構成された画像取得部と、
前記画像取得部により取得された前記画像から、レーザ照射を実行する対象の植物が存在する領域である対象領域を特定するように構成された特定部と、
前記特定部により特定された前記対象領域の形状に応じて定まる、前記対象領域における特定地点を決定する決定部と、
前記特定地点を含む所定の範囲内を、前記対象領域における他の範囲と比較して高い密度でレーザ照射を実行するように構成された照射部と、
を備え
、
前記対象領域は、前記画像における植物と認識された対象物が示される画素の集合した領域であり、
前記決定部は、前記領域の重心を前記特定地点として決定する、除草装置。
【請求項4】
請求項
3に記載の除草装置であって、
前記特定部は、前記画像における緑色部分を前記対象領域として特定する、除草装置。
【請求項5】
請求項1から請求項
4までのいずれか1項に記載の除草装置であって、
当該除草装置を移動させることが可能な移動機構を更に備える、除草装置。
【請求項6】
植物の分裂組織の位置を推定する方法であって、
画像を取得することと、
前記画像から、対象の植物
の画像である植物画像の部分に外接する矩形又は円形の領域である対象領域を特定することと、
前記対象領域における中心点を、分裂組織の位置と推定することと、
を含む、植物の分裂組織の位置を推定する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、除草装置及び植物の分裂組織の位置を推定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ照射によって、農地における不要植物(つまり雑草)を除去する除草装置が公知である(特許文献1-3参照)。この除草装置では、不要植物の上方からレーザ光を照射することで、不要植物に損傷を与えて枯死させる。レーザ光は、画像認識処理によって識別された不要植物の位置に向けて照射される。具体的には、不要植物の分裂組織領域を狙って、レーザ光が照射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-53941号公報
【文献】特開2015-53942号公報
【文献】特開2015-62412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、画像による分裂組織領域の識別は容易ではなく、画像認識の処理時間が長くなるおそれがある。よって、処理負荷が高くなるという問題があった。
本開示の一局面は、処理負荷を抑制しつつ除草することができる装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、植物にレーザ照射を実行することにより除草を行う除草装置であって、画像取得部と、特定部と、決定部と、照射部と、を備える。画像取得部は、植物が存在しうる範囲の画像を取得するように構成される。特定部は、画像取得部により取得された画像から、レーザ照射を実行する対象の植物が存在する領域である対象領域を特定するように構成される。決定部は、特定部により特定された対象領域の形状に応じて定まる、対象領域における特定地点を決定する。照射部は、特定地点を含む所定の範囲内を、対象領域における他の範囲と比較して高い密度でレーザ照射を実行するように構成される。
【0006】
このような構成によれば、画像上の植物が存在する領域の形状に基づいてレーザ照射位置を特定するため、画像認識で分裂組織を特定してレーザ照射位置を特定する構成と比較して、処理負荷を抑制しつつ不要な植物を除草することができる。
【0007】
上述した除草装置において、対象領域は、画像における植物が存在する範囲を含む矩形の領域であってもよい。決定部は、矩形の領域における対角線の交点を、特定地点として決定してもよい。
従来、植物の分裂組織にレーザ照射を実行することが知られているが、植物の分裂組織は非常に小さく、画像認識で分裂組織を特定しようとすると、画像認識の処理時間が長くなり、処理負荷が高くなるおそれがある。上述した構成の除草装置では、矩形の領域における対角線の交点を、植物の分裂組織と推定し、レーザ照射を実行することから、処理負荷を抑制しつつ不要な植物を除草することができる。
【0008】
上述した除草装置において、対象領域は、画像における植物が存在する範囲を含む円形の領域であってもよい。決定部は、円形の領域の中心を、特定地点として決定してもよい。このような構成によれば、円形の領域の中心を、植物の分裂組織と推定し、レーザ照射を実行することができる。よって、処理負荷を抑制しつつ不要な植物を除草することができる。
【0009】
上述した除草装置において、対象領域は、画像における植物と認識された対象物が示される画素の集合した領域であってもよい。決定部は、領域の重心を特定地点として決定してもよい。このような構成によれば、画像における植物と認識された対象物が示される画素の集合した領域の重心を、植物の分裂組織と推定し、レーザ照射を実行することができる。よって、処理負荷を抑制しつつ不要な植物を除草することができる。
【0010】
上述した除草装置において、特定部は、画像における緑色部分を対象領域として特定してもよい。このような構成によれば、画像から不要な植物を良好に検出することができ、高い精度で除草を行うことができる。
【0011】
上述した除草装置において、当該除草装置を移動させることが可能な移動機構を更に備えてもよい。このような構成によれば、除草装置を容易に移動させて、除草作業を行うことができる。よって、効率よく除草を行うことができる。
【0012】
本開示の一態様は、植物の分裂組織の位置を推定する方法であって、画像を取得することと、画像から、対象の植物が存在する範囲を含む矩形又は円形の領域である対象領域を特定することと、対象領域における中心点を、分裂組織の位置と推定することと、を含む。このような構成によれば、中心点は対象領域の形状に応じて定まるため、過剰な処理負荷を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態における除草装置の模式図である。
【
図2】
図2は、
図1の除草装置における制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、矩形の領域における対角線の交点を抽出したときの画像の模式図である。
【
図5】
図5は、円形の領域の中心を抽出したときの画像の模式図である。
【
図6】
図6は、対象物が示される画素の集合した領域の重心を抽出したときの画像の模式図である。
【
図7】
図7は、緑色部分以外の領域を黒色一色に設定したときの画像の模式図である。
【
図8】
図8は、矩形の枠の大きさの割合に応じて、レーザ照射を実行する範囲を決定したときの画像の模式図である。
【
図9】
図9は、円の大きさの割合に応じて、レーザ照射を実行する範囲を決定したときの画像の模式図である。
【
図10】
図10は、対象物が示される画素の集合した領域の面積に応じて、レーザ照射を実行する範囲を決定したときの画像の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.実施形態]
[1-1.構成]
図1に示す除草システム1は、例えば農地において、農作物P1の周辺に発生した不要植物P2をレーザ照射により除去するためのシステムである。不要植物P2は、レーザ照射を実行する対象の植物であり、雑草などが該当する。除草システム1は、装置本体2と、レーザ照射器3と、カメラ4と、制御装置5とを備える。
【0015】
<装置本体>
装置本体2は、レーザ照射器3、カメラ4、及び制御装置5を保持する筐体である。また、装置本体2は、移動機構を有する。
【0016】
本実施形態の移動機構は、複数の車輪21によって構成されている。装置本体2は、複数の車輪21によって、農地上を走行するように構成されている。移動機構は、駆動装置を有していてもよい。例えばモータによって車輪21を回転させる電動式の駆動装置を有してもよい。また、作業者が装置本体2を押す又は引くことで移動する手動式であってもよい。
【0017】
<レーザ照射器>
レーザ照射器3は、制御装置5によって識別された不要植物P2の上方から、不要植物P2に向けてレーザ光Lを照射するように構成されている。
【0018】
レーザ照射器3は、レーザ光Lにより、不要植物P2に損傷を与える(具体的には焼損させる)ことで不要植物P2を枯死させる。
レーザ照射器3としては、バッテリと、発振器と、集光部とを備える公知のレーザ照射装置が使用できる。レーザ照射器3のレーザ光Lの周波数は、例えば450nm以上650nm以下である。
【0019】
レーザ照射器3は、装置本体2の移動中にレーザ照射を行ってもよいし、装置本体2が停止した状態でレーザ照射を行ってもよい。レーザ照射器3は、制御装置5が識別した複数の不要植物P2に順次レーザ照射を行う。
【0020】
<カメラ>
カメラ4は、複数の農作物P1及び少なくとも1つの不要植物P2が混在する農地を上方から撮像した画像を取得するように構成されている。
【0021】
カメラ4が取得する画像には、複数の農作物P1、少なくとも1つの不要植物P2及びその他の物体(例えば、柵等の構造物、石等の障害物など)が含まれる。カメラ4の撮像範囲は、装置本体2の移動に伴って変化する。
【0022】
<制御装置>
制御装置5は、CPU、ROM、RAM、フラッシュメモリ等を有する周知のマイクロコンピュータを中心に構成される。CPUは、非遷移的実体的記録媒体であるROMに格納されたプログラムを実行する。当該プログラムが実行されることで、当該プログラムに対応する方法が実行される。具体的には、制御装置5は当該プログラムに従い、後述する
図3に示す除草処理を実行する。なお、制御装置5は、1つのマイクロコンピュータを備えてもよいし、複数のマイクロコンピュータを備えてもよい。
【0023】
制御装置5は、CPUがプログラムを実行することで実現される機能ブロック、すなわち、仮想的な構成要素として、
図2に示されるように、画像取得部51と、特定部52と、決定部53と、レーザ制御部54と、を備える。制御装置5に含まれる各部の機能を実現する手法はソフトウェアに限るものではなく、その一部又は全部の機能は、一つあるいは複数のハードウェアを用いて実現されてもよい。例えば、上記機能がハードウェアである電子回路によって実現される場合、その電子回路は、デジタル回路、又はアナログ回路、あるいはこれらの組合せによって実現されてもよい。
【0024】
画像取得部51は、カメラにより撮像された画像を取得するように構成されている。
特定部52は、画像取得部51により取得された画像から、レーザ照射を実行する不要植物P2が存在する領域である対象領域を特定するように構成されている。
【0025】
決定部53は、特定部52により特定された対象領域の形状に応じて定まる、対象領域における特定地点を決定するように構成されている。
レーザ制御部54は、特定地点に対してレーザ照射を実行するように指示する。レーザ制御部54は、レーザ照射器3に対して、照射座標、照射時間、照射強度等を入力する。
【0026】
レーザ制御部54の指示によって、レーザ照射器3は、特定部52により不要植物P2と識別された全ての植物に対してレーザ光Lを照射する。
[1-2.処理]
以下、
図3のフロー図を参照しつつ、制御装置5が実行する処理の一例について説明する。
【0027】
まず、制御装置5は、S101で、カメラ4が撮像した画像を取得する。
次に、制御装置5は、S102で、画像に写る物体の中から、植物を抽出する。具体的には、制御装置5は、画像に写る物体の色が緑色か緑色以外かを判定する。より詳しくは、制御装置5は、RGBが緑色を示す所定の範囲内にある画素を抽出する。
【0028】
続いて、制御装置5は、S103で、S102で植物と判定された物体について、農作物P1か不要植物P2かを判定する。具体的には、制御装置5は、画像に写る物体について、予め学習させた雑草の色のパターンと類似するか否かを判定する。一例として、制御装置5は、画像を細かく分割し、分割した各区画について、色の並びが雑草の色の並びと類似しているか否かを判定する。制御装置5は、画像に写る物体について、雑草の色のパターンと類似していると判定した場合、不要植物P2と判定する。
【0029】
なお、画像に写る物体の中から、不要植物P2を抽出する方法はこれに限定されるものではない。例えば、制御装置5は、公知の統計学的手法によって構築されたAI(人工知能)を用いて、不要植物P2を抽出してもよい。統計学的手法としては、例えば、教師あり機械学習、多変量解析等が挙げられる。教師あり機械学習では、多数のラベル(つまり教師データ)付きの植物の画像を機械学習回路にて分析することで、判定式(つまり分類器)を構築する。
【0030】
続いて、制御装置5は、S104で、特定地点を決定する。具体的には、制御装置5は、まず不要植物P2が存在する領域を矩形で囲む。そして、制御装置5は、
図4の画像60に示されるように、矩形の領域61における対角線62の交点を、特定地点S1として決定する。本実施形態では、矩形の領域61が対象領域に相当する。なお、
図4~10は、カメラ4で撮像した所定範囲の画像のうちの一部を抽出した画像である。
【0031】
続いて、制御装置5は、S105で、レーザ照射器3に対して、S104で決定した特定地点S1を照射座標として指示する。これにより、レーザ照射器3は、不要植物P2の特定地点S1にレーザを照射する。
【0032】
[1-3.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)制御装置5は、矩形の領域における対角線62の交点を、特定地点S1として決定する。このような構成によれば、画像認識で分裂組織を特定する構成と比較して、処理負荷を抑制しつつ不要植物P2を除草することができる。その理由を説明する。従来、不要植物P2の分裂組織にレーザ照射を実行することが知られている。しかし、不要植物P2の分裂組織は非常に小さく、画像認識で分裂組織を特定することは困難である。画像認識の処理時間が長くなり、処理負荷が高くなるおそれがある。
【0033】
ここで、分裂組織は真上から見た時に不要植物P2の中心にあることが多い。そこで、上述した構成によれば、特定地点を分裂組織と推定して、レーザ照射を実行することができる。特定地点を分裂組織と推定することで、過剰な処理負荷を抑制できる。
【0034】
(1b)除草システム1は、装置本体2を移動させることが可能な移動機構を備える。このような構成によれば、装置本体2を容易に移動させて、除草作業を行うことができる。よって、効率よく除草を行うことができる。
【0035】
[1-4.対応関係]
上記実施形態では、レーザ照射器3が照射部に相当し、画像取得部51、特定部52、決定部53、及びレーザ照射器3が除草装置に相当する。
【0036】
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0037】
(2a)上記実施形態では、除草システム1が、矩形の領域61における対角線62の交点を、特定地点S1として決定し、レーザ照射を実行する構成を例示した。しかし、特定地点を決定する方法はこれに限定されるものではない。例えば、除草システム1は、
図5の画像70に示されるように、画像70における植物が存在する範囲を含む円形の領域71を対象領域とし、円形の領域71の中心を、特定地点S2として決定してもよい。このような構成によっても、画像認識で分裂組織を特定する構成と比較して、処理負荷を抑制しつつ不要植物P2を除草することができる。
【0038】
また例えば、除草システム1は、
図6の画像80に示されるように、画像80における植物と認識された対象物が示される画素の集合した領域81を対象領域とし、当該領域の重心を特定地点S3として決定してもよい。具体的には、画像80における緑色部分を対象領域としてもよい。このとき、
図7の画像90に示されるように、緑色部分以外の領域を、例えば黒色一色に設定することで、不要植物P2の形状をより的確に抽出することができる。このような構成によっても、画像認識で分裂組織を特定する構成と比較して、処理負荷を抑制しつつ不要植物P2を除草することができる。
【0039】
(2b)上記実施形態では、レーザ制御部54が、特定地点に対してレーザ照射を実行するように指示する構成を例示した。しかし、レーザ照射を実行する範囲はこれに限定されるものではない。例えば、
図8~10に示されるように、レーザ制御部54は、特定地点S1を含む所定の範囲内に対して、レーザ照射を実行してもよい。具体的には、
図8に示されるように、矩形の枠の大きさの割合に応じて、レーザ照射を実行する範囲63を決定してもよい。また、
図9に示されるように、円の大きさの割合に応じて、レーザ照射を実行する範囲64を決定してもよい。また、
図10に示されるように、画像における植物と認識された対象物が示される画素の集合した領域の面積に応じて、レーザ照射を実行する範囲65を決定してもよい。
【0040】
また、例えば、レーザ制御部54は、特定地点を含む所定の範囲内を、対象領域における他の範囲と比較して高い密度でレーザ照射を実行するように指示してもよい。具体的には、特定地点を含む所定の範囲内を、対象領域における他の範囲と比較して、高い頻度でレーザ照射を実行してもよいし、高い出力値でレーザ照射を実行してもよいし、長い時間レーザ照射を実行してもよい。
【0041】
(2c)上記実施形態の構成は、植物の分裂組織の位置を推定する方法として用いられてもよい。具体的には、画像を取得することと、画像から、対象の植物が存在する範囲を含む矩形又は円形の領域である対象領域を特定することと、対象領域における中心点を、分裂組織の位置と推定することと、を含んでいてもよい。
【0042】
例えば、
図4,5のように特定地点S1,S2を決定した画像60,70は、機械学習の教師データとして用いられてもよい。具体的には、特定地点S1,S2を決定した画像60,70を教師データとして機械学習回路に入力し、特定地点を分裂組織の位置として学習させてもよい。
【0043】
(2d)上記実施形態では、装置本体2を移動させることが可能な移動機構を備える構成を例示した。しかし、装置本体2の移動形態は走行に限定されない。装置本体は、例えば、農地に設けられたレールにより移動可能な構成であってもよい。装置本体は、例えば、飛行により移動してもよい。また、装置本体2は、移動機構を備えない構成であってもよい。
【0044】
(2e)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【0045】
(2f)本開示は、前述した除草システム1の他、当該除草システム1を構成要素とするシステム、当該除草システム1としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した媒体、不要植物P2を抽出する方法など、種々の形態で実現することができる。
【符号の説明】
【0046】
1…除草システム、2…装置本体、3…レーザ照射器、4…カメラ、5…制御装置、21…車輪、51…画像取得部、52…特定部、53…決定部、54…レーザ制御部、60,70,80,90…画像、61…矩形の領域、62…対角線、71…円形の領域、81…領域、63,64,65…範囲、L…レーザ光、P1…農作物、P2…不要植物、S1,S2,S3…特定地点。