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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】キーボード
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/02 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
G06F3/02 400
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022040277
(22)【出願日】2022-03-15
(65)【公開番号】P2023135190
(43)【公開日】2023-09-28
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】311012169
【氏名又は名称】NECパーソナルコンピュータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 正人
(72)【発明者】
【氏名】舟山 高弘
【審査官】遠藤 孝徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-140418(JP,A)
【文献】特開2006-40047(JP,A)
【文献】特許第3326765(JP,B2)
【文献】特開2017-117056(JP,A)
【文献】特開2010-267203(JP,A)
【文献】特許第4491033(JP,B2)
【文献】特許第6868716(JP,B1)
【文献】実公昭60-31137(JP,Y2)
【文献】特許第3793916(JP,B2)
【文献】特許第4142061(JP,B2)
【文献】特許第5417877(JP,B2)
【文献】特開2004-207138(JP,A)
【文献】特開2007-272402(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/02 - 3/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上ケースおよび下ケースを含み、前記上ケースと前記下ケースによって囲まれた内部空間を有する筐体と、
前記上ケースに配置される複数のキーと、
前記筐体に収容され、前記複数のキーの各々に対して行われた操作を検知するメンブレンシートと、
スイッチ素子が実装された基板と、
前記筐体の外部に露出する操作部と、前記操作部に接続されるとともに前記スイッチ素子と係合して前記スイッチ素子を動作させる係合部と、を有する操作子と、
前記メンブレンシートの少なくとも一部を支持する支持部材と、を備え、
前記下ケースのうち前記内部空間に面する内周面には、前記上ケースとは反対側に向けて凹む収容凹部が形成されており、
前記基板の全体および前記支持部材は、前記収容凹部に収容されており、
前記メンブレンシートの厚さ方向において、前記基板は、前記メンブレンシートと重なっており、
前記厚さ方向において、前記支持部材は、前記メンブレンシートと前記基板との間に位置する、キーボード。
【請求項2】
前記スイッチ素子は、前記操作子が前記筐体の外周面に対して略平行に移動することにより動作する、請求項1に記載のキーボード。
【請求項3】
前記支持部材は、前記操作子を前記筐体に向けて付勢する付勢機構を有する、請求項2に記載のキーボード。
【請求項4】
前記付勢機構は、前記厚さ方向から見た平面視においてL字状の形状を有するスリットを含む、請求項3に記載のキーボード。
【請求項5】
前記基板および前記支持部材は、前記下ケースに対して共締めされている、請求項1から4のいずれか一項に記載のキーボード。
【請求項6】
前記操作部は、前記筐体の背面に露出している、請求項1から5のいずれか一項に記載のキーボード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キーボードに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、筐体およびスイッチ機構を備えるキーボードが開示されている。スイッチ機構は、筐体に収容される基板に対し、電気的に接続される。ユーザは、スイッチ機構を操作することにより、キーボードの電源を、オンとオフとの間で切り替えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-186335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スイッチ機構を備えるキーボードにおいては、筐体内に、スイッチ機構用の基板を収容するスペースを確保する必要がある。これにより、筐体のサイズが増大し、平面視におけるキーボードの占有面積(フットプリント)が増大してしまう場合があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされ、平面視における占有面積を低減できるキーボードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るキーボードは、上ケースおよび下ケースを含み、前記上ケースと前記下ケースによって囲まれた内部空間を有する筐体と、前記上ケースに配置される複数のキーと、前記筐体に収容され、前記複数のキーの各々に対して行われた操作を検知するメンブレンシートと、スイッチ素子が実装された基板と、前記筐体の外部に露出する操作部と、前記操作部に接続されるとともに前記スイッチ素子と係合して前記スイッチ素子を動作させる係合部と、を有する操作子と、前記メンブレンシートの少なくとも一部を支持する支持部材と、を備え、前記下ケースのうち前記内部空間に面する内周面には、前記上ケースとは反対側に向けて凹む収容凹部が形成されており、前記基板および前記支持部材は、前記収容凹部に収容されており、前記メンブレンシートの厚さ方向において、前記基板は、前記メンブレンシートと重なっており、前記厚さ方向において、前記支持部材は、前記メンブレンシートと前記基板との間に位置する。
【0007】
本発明の上記態様によれば、例えばメンブレンシートと基板とが厚さ方向において重なっていない場合と比較して、キーボードのフットプリントを低減することができる。また、メンブレンシートの少なくとも一部を支持する支持部材が収容凹部に収容されているため、収容凹部においてメンブレンシートが陥没することが防止される。
【0008】
ここで、前記スイッチ素子は、前記操作子が前記筐体の外周面に対して略平行に移動することにより動作してもよい。
【0009】
この場合、スイッチ機構の構成を単純にすることができる。
【0010】
また、前記操作子を前記筐体に向けて付勢する付勢機構を有してもよい。
【0011】
この場合、例えば操作子が筐体と支持部材との間で非弾性的に挟み込まれている場合と比較して、ユーザが操作子を操作する際に操作子と支持部材との間で生じる摩擦力を低減することができる。これにより、ユーザが操作子を操作する際に要する力を低減することができる。
【0012】
また、前記付勢機構は、前記厚さ方向から見た平面視においてL字状の形状を有するスリットを含んでもよい。
【0013】
この場合、付勢機構の構成を単純にすることができる。
【0014】
また、前記基板および前記支持部材は、前記下ケースに対して共締めされていてもよい。
【0015】
この場合、下ケースに対する支持部材および基板の固定強度を確保しつつ、下ケースに対して支持部材および基板を固定する構成のサイズを抑制することができる。
【0016】
また、前記操作部は、前記筐体の背面に露出していてもよい。
【0017】
この場合、ユーザがキーボードを使用している際に操作部がユーザから見えにくくなるため、キーボードの意匠性を高めることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の上記態様によれば、平面視における占有面積を低減可能なキーボードを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係るキーボードを示す分解図である。
図2図1に示すII-II線に沿う断面図である。
図3】本発明の実施形態に係るスイッチ機構について説明する図である。
図4図2に示すIV-IV線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係るキーボードについて図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るキーボード1は、筐体Cと、メンブレンシート30と、基板40と、操作子50と、支持部材60と、複数のキー70と、を備える。筐体Cは、上ケース10および下ケース20を含む。複数のキー70は、上ケース10に配置されている。筐体Cは、上ケース10と下ケース20とによって囲まれた内部空間Iを有する(図2も参照)。メンブレンシート30、基板40、および支持部材60は、筐体Cに収容されている。
【0021】
(方向定義)
ここで、本実施形態では、メンブレンシート30の厚さ方向(メンブレンシート30に垂直な方向)を単に厚さ方向Zと称する。厚さ方向Zは、上ケース10と下ケース20とが互いに対向する方向でもある。厚さ方向Zから見ることを、平面視という場合がある。厚さ方向Zに垂直な一方向を、第1方向Xと称する。厚さ方向Zおよび第1方向Xの双方に直交する方向を、第2方向Yと称する。厚さ方向Zに沿って、下ケース20から上ケース10に向かう向きを、+Zの向きまたは上方と称する。+Zの向きとは反対の向きを、-Zの向きまたは下方と称する。第1方向Xに沿う一方の向きを、+Xの向きまたは右方と称する。+Xの向きとは反対の向きを、-Xの向きまたは左方と称する。第2方向Yに沿う一方の向きを、+Yの向き、奥側、または背面側と称する。+Yの向きとは反対の向きを、-Yの向き、手前側、または正面側と称する。
【0022】
本実施形態に係る下ケース20(筐体C)は、平面視において略長方形の形状を有する。なお、文言「略長方形」には、面取り、角取り、および製造誤差等を取り除けば長方形とみなせる場合も含まれる。本実施形態において、下ケース20(筐体C)の長辺は第1方向Xと平行に延びており、下ケース20(筐体C)の短辺は第2方向Yと平行に延びている(図1参照)。
【0023】
図1および図2に示すように、本実施形態に係る下ケース20は、平板部21と、湾曲部22と、周壁部23と、を有する。平板部21、湾曲部22、および周壁部23は、一体に形成されていてもよいし、別体に形成されていてもよい。図1に示すように、周壁部23は、上ケース10に接続される環状の部位である。平面視において、周壁部23は、下ケース20の外周縁に位置する。平板部21は、第1方向Xおよび第2方向Yに延在する平板状の形状を有する。平板部21は、上方に向く第1支持面21aを有する。
【0024】
湾曲部22は、下に凸の形状を有する。より具体的に、本実施形態に係る湾曲部22は、図2に示すように、背壁部22Aと、接続壁部22Bと、底壁部22Cと、を含む。背壁部22Aは、周壁部23の下端部に接続されて下方に向けて延びる部位である。接続壁部22Bは、平板部21の奥端部(+Y端部)に接続されて下方に向けて延びる部位である。底壁部22Cは、背壁部22Aの下端部と接続壁部22Bの下端部とを接続する部位である。つまり、湾曲部22は、第1方向Xに垂直な断面視においてU字状の形状を有する。また、図1に示すように、本実施形態に係る湾曲部22は、下ケース20の奥端部(+Y端部)に配置され、第1方向Xに延びている(図1も参照)。本実施形態に係る湾曲部22(底壁部22C)には、一対のねじ受け25が設けられている。図2に示すように、各ねじ受け25には、ねじSCが螺入されるねじ孔25aが形成されている。
【0025】
図1および図2に示すように、下ケース20の内周面には、収容凹部22aが形成されている。なお、本明細書において、文言「内周面」は、内部空間Iに面する面を意味する。収容凹部22aは、上ケース10とは反対側に向けて凹んでいる。つまり、収容凹部22aは、下方に向けて凹んでいる。本実施形態において、収容凹部22aは、湾曲部22の内周面に該当する。
【0026】
図1に示すように、本実施形態に係る湾曲部22の背面(+Y側の外周面)には、内部空間Iに連通する挿通孔24が開口している。本実施形態に係る挿通孔24は、第1方向Xに延びる長孔形状を有する(図3も参照)。つまり、挿通孔24の第1方向Xにおける寸法は、挿通孔24の厚さ方向Zにおける寸法よりも大きい。
【0027】
図1および図2に示すように、基板40は、収容凹部22aに収容されている。図2に示すように、基板40は、厚さ方向Zにおいてメンブレンシート30と重なっている。より具体的に、本実施形態に係る基板40は、メンブレンシート30の下方に位置する。本実施形態に係る基板40は、第1方向Xおよび第2方向Yに延在する板状の形状を有する。基板40は、多層基板(ビルドアップ基板)であってもよいし、単層基板であってもよい。なお、基板40の構成は特に限定されず、公知の構成から適宜選択される。
【0028】
図2に示すように、基板40の下面には、スイッチ素子41が実装されている。本実施形態に係るスイッチ素子41は、スイッチ基部41bおよび被係合部41aを含む。スイッチ基部41bは、基板40と電気的に接続されている。被係合部41aは、スイッチ基部41bから奥側(+Y側)に向けて突出する突起である。本実施形態に係るスイッチ素子41は、被係合部41aが第1方向Xに動かされると、キーボード1(基板40)の電源を、オンとオフとの間で切り替える。以下、スイッチ素子41および操作子50を総称して、スイッチ機構SWという場合がある。
【0029】
図1および図2に示すように、基板40には、ねじSCが各々挿通される一対のねじ孔42が形成されている。各ねじ孔42は、基板40を厚さ方向Zに貫通している。
【0030】
図1および図2に示すように、支持部材60は、収容凹部22aに収容されている。支持部材60の材質としては、例えば樹脂等を採用することができる。支持部材60は、厚さ方向Zにおいてメンブレンシート30と基板40との間に位置する。本実施形態に係る支持部材60は、基部61および一対の脚部62を有する。本実施形態に係る基部61は、第1方向Xおよび厚さ方向Zに延在する板状の形状を有する。基部61は、上方に向く第2支持面61aを有する。各脚部62は、基部61から下方にむけて突出している。図2に示すように、各脚部62の先端(下端)は、基板40の上面に接触している。
【0031】
図1および図2に示すように、支持部材60には、ねじSCが各々挿通される一対のねじ孔63が形成されている。各ねじ孔63は、基部61および脚部62を厚さ方向Zに貫通している。支持部材60および基板40は、一対のねじSCにより、下ケース20に対して螺着されている。つまり、支持部材60および基板40は、一対のねじSCにより、下ケース20に対して共締めされている。より具体的には、一対のねじSCがねじ孔63、42に挿通されてねじ受け25に螺入されることにより、支持部材60および基板40が下ケース20に対して固定されている。ただし、支持部材60を下ケース20に固定するねじSCと基板40を下ケース20に固定するねじSCとは異なっていてもよい。あるいは、支持部材60および基板40は、下ケース20に対してねじSC以外の機構によって固定されていてもよい。
【0032】
メンブレンシート30は、上ケース10に配置された各キー70に対して行われた操作を検知する。より具体的には、図2に示すように、厚さ方向Zにおける各キー70とメンブレンシート30との間には、各キー70と一対一に対応するように複数の伝達機構Mが配置されている(図1も参照)。各伝達機構Mは、キー70が押下された際に、当該押下圧力をメンブレンシート30に伝達する。メンブレンシート30は、当該押下圧力を検知し、検知結果(キー70に対して行わた操作)に応じた電気信号を出力する。なお、キー70に対して行われた操作をメンブレンシート30が検知可能であれば、伝達機構Mの構成は公知の構成から適宜選択可能である。例えば、伝達機構Mは、ラバードームまたはメタルドームを含んでいてもよい。
【0033】
図2に示すように、メンブレンシート30は、筐体Cの内部において、下ケース20(平板部21)および支持部材60によって支持されている。より具体的には、平板部21の第1支持面21aおよび支持部材60の第2支持面61aがメンブレンシート30の下面に接触し、メンブレンシート30を下方から支持している。第1支持面21aと第2支持面61aとは、略同一平面上にあってもよい。なお、文言「略同一平面上」には、製造誤差等を取り除けば同一平面上とみなせる場合も含まれる。
【0034】
図2に示すように、本実施形態に係る操作子50は、操作部51および係合部52を含んでいる。操作部51は、筐体Cの外部に露出する部位である。より具体的に、本実施形態に係る操作部51は、背壁部22Aに形成された挿通孔24に挿通され、湾曲部22の背面に露出している。図3に示すように、本実施形態に係る操作部51の奥側面(+Y面)には、突起51aが設けられている。
【0035】
図2に示すように、本実施形態に係る係合部52は、筐体Cに収容されている。係合部52は、操作部51に接続されている。なお、操作部51および係合部52は、一体に形成されていてもよいし、別体に形成されていてもよい。本実施形態に係る係合部52は、図2および図3に示すように、第1方向Xに垂直な断面視においてL字状の形状を有する。より具体的に、係合部52は、摺動部52Aおよび把持部52Bを有する。摺動部52Aは、第1方向Xおよび厚さ方向Zに延在する板状の形状を有する部位である。把持部52Bは、摺動部52Aの下端部から手前側(-Y側)に向けて延びる部位である。図3に示すように、把持部52Bには、スイッチ素子41の被係合部41aが内部に配置される凹部52aが形成されている。
【0036】
図3に示すように、操作部51が挿通される挿通孔24は、第1方向Xに延びる長孔形状を有している。このため、ユーザによる操作(スライド操作)によって、操作部51、および操作部51に接続された係合部52は、第1方向Xにスライド移動することができる。ここで、スイッチ素子41の被係合部41aは、係合部52の凹部52aと係合し(当接し)、係合部52に追従するように第1方向Xにスライド移動する。これにより、スイッチ素子41が動作し、キーボード1(基板40)の電源が、オンとオフとの間で切り替わる。つまり、ユーザは、操作部51をスライド操作することにより、キーボード1の電源を、オンとオフとの間で切り替えることができる。
【0037】
ここで、図4に示すように、本実施形態に係る支持部材60は、操作子50(摺動部52A)を下ケース20(背壁部22A)に向けて付勢する付勢機構64を有する。本実施形態に係る付勢機構64は、一対のスリット64a、一対の弾性片64b、および一対の付勢突起64cを含む。本実施形態に係る一対のスリット64a、一対の弾性片64b、および一対の付勢突起64cは、第1方向Xにおいて線対称に配置されている。各スリット64aは、平面視においてL字状の形状を有する。各弾性片64bは、基部61から突出し、L字状のスリット64aによって囲まれる部位である。つまり、L字状のスリット64aの一端は支持部材60の外周縁Eに開口しており、スリット64aの他端は弾性片64bの基端部に位置する。各付勢突起64cは、弾性片64bの先端に位置し、弾性片64bから突出して摺動部52Aに当接している。弾性片64bは、手前側(-Y側)に向けて弾性的に屈曲している。当該屈曲に係る弾性片64bの弾性復元力により、弾性片64bの先端に設けられた付勢突起64cは、摺動部52Aを下ケース20の背壁部22Aに向けて付勢する。
【0038】
支持部材60が上記の付勢機構64を有していることにより、操作部51が挿通孔24から脱落することが抑制される。また、例えば操作子50が下ケース20の背壁部22Aと支持部材60の基部61との間で非弾性的に挟み込まれている場合と比較して、ユーザが操作子50を操作する際に操作子50と支持部材60との間で生じる摩擦力を低減することができる。これにより、ユーザが操作子50を操作する際に要する力を低減することができる。また、付勢機構64が操作子50を下ケース20に付勢する構成を採用することにより、操作子50、下ケース20、支持部材60等の製造公差に起因する操作子50のがたつきを抑制することができる。
【0039】
なお、操作子50を下ケース20に付勢可能であれば付勢機構64の構成は上記の例に限られない。例えば、付勢機構64はばねやゴムなどの弾性部材を含んでいてもよい。あるいは、支持部材60に付勢機構64が設けられていなくてもよい。
【0040】
次に、以上のように構成されたキーボード1の作用について説明する。
【0041】
従来、筐体およびスイッチ機構を備えるキーボードが知られている。スイッチ機構を備えるキーボードにおいては、筐体内に、スイッチ機構用の基板を収容するスペースを確保する必要がある。これにより、筐体のサイズが増大し、平面視におけるキーボードの占有面積(フットプリント)が増大してしまう場合があった。
【0042】
これに対し、本実施形態に係るキーボード1は、下ケース20に収容凹部22aが形成され、収容凹部22aに基板40が収容されている。さらに、メンブレンシート30と基板40とが厚さ方向Zにおいて重なっている。この構成により、例えばメンブレンシート30と基板40とが厚さ方向Zにおいて重なっていない場合と比較して、キーボード1のフットプリントを低減することができる。また、メンブレンシート30の少なくとも一部を支持する支持部材60が収容凹部22aに収容されているため、収容凹部22aにおいてメンブレンシート30が陥没することが防止される。これにより、収容凹部22aの周辺において、メンブレンシート30がキー70に対する操作を検知できなくなることが防止される。
【0043】
以上説明したように、本実施形態に係るキーボード1は、上ケース10および下ケース20を含み、上ケース10と下ケース20によって囲まれた内部空間Iを有する筐体Cと、上ケース10に配置される複数のキー70と、筐体Cに収容され、各キー70に対して行われた操作を検知するメンブレンシート30と、スイッチ素子41が実装された基板40と、筐体Cの外部に露出する操作部51と、操作部51に接続されるとともにスイッチ素子41と係合してスイッチ素子41を動作させる係合部52と、を有する操作子50と、メンブレンシート30の少なくとも一部を支持する支持部材60と、を備え、下ケース20の内周面には、上ケース10とは反対側に向けて凹む収容凹部22aが形成されており、メンブレンシート30および支持部材60は、収容凹部22aに収容されており、厚さ方向Zにおいて、基板40は、メンブレンシート30と重なっており、厚さ方向Zにおいて、メンブレンシート30と基板40との間に位置する。
【0044】
この構成により、例えばメンブレンシート30と基板40とが厚さ方向Zにおいて重なっていない場合と比較して、キーボード1のフットプリントを低減することができる。また、メンブレンシート30の少なくとも一部を支持する支持部材60が収容凹部22aに収容されているため、収容凹部22aにおいてメンブレンシート30が陥没することが防止される。
【0045】
また、スイッチ素子41は、操作子50が第1方向Xに移動することにより動作する。この構成により、スイッチ機構SWの構成を単純にすることができる。
【0046】
また、支持部材60は、操作子50を筐体Cに向けて付勢する付勢機構64を有する。この構成により、例えば操作子50が筐体Cと支持部材60との間で非弾性的に挟み込まれている場合と比較して、ユーザが操作子50を操作する際に操作子50と支持部材60との間で生じる摩擦力を低減することができる。これにより、ユーザが操作子50を操作する際に要する力を低減することができる。
【0047】
また、付勢機構64は、平面視においてL字状の形状を有するスリット64aを含む。この構成により、付勢機構64の構成を単純にすることができる。
【0048】
また、基板40および支持部材60は、下ケース20に対して共締めされている。この構成により、下ケース20に対する支持部材60および基板40の固定強度を確保しつつ、下ケース20に対して支持部材60および基板40を固定する構成のサイズを抑制することができる。
【0049】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0050】
例えば、基板40にはスイッチ素子41以外の素子が実装されていてもよい。また、収容凹部22aには、支持部材60および基板40以外の部材が収容されていてもよい。
【0051】
また、前記実施形態において、スイッチ素子41は操作子50が第1方向Xにスライド移動することにより動作していたが、操作子50がスライド移動する向きは第1方向Xに限られない。操作子50がスライド移動する方向は、下ケース20の背面に略平行であれば適宜変更可能であり、例えば厚さ方向Zであってもよい。なお、文言「略平行」には、製造誤差等を取り除けば平行とみなせる場合も含まれる。あるいは、スイッチ素子41は、操作子50が下ケース20の背面に対し垂直に押し込まれることにより動作するように構成されていてもよい。ただし、操作子50が第1方向Xにスライド移動することによりスイッチ素子41が動作する構成は、キーボード1の厚さ(厚さ方向Zにおける寸法)を低減しやすいという点で好適である。
【0052】
また、前記実施形態において、操作子50の操作部51は下ケース20の背面(+Y面)に露出していたが、操作部51の位置は適宜変更可能である。例えば、操作部51は上ケース10の背面に露出していてもよい。あるいは、操作部51は、筐体Cの上面(+Z面)、下面(-Z面)、側面(+X面、-X面)、または手前側面(-Y面)等に露出していてもよい。また、操作子50が設けられる位置に応じて、収容凹部22aの位置が変更されてもよい。ただし、操作子50が筐体Cの背面に露出する構成は、ユーザがキーボード1を使用している際に操作部51がユーザから見えにくくなり、キーボード1の意匠性を高めることができるという点で好適である。また、収容凹部22a(湾曲部22)がキーボード1の+Y側に位置する構成は、キーボード1を机等に載置した際に上ケース10がユーザの顔に向けて傾き、ユーザがキー70の操作を行いやすくなるという点で好適である。
【0053】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1…キーボード C…筐体 I…内部空間 10…上ケース 20…下ケース 22a…収容凹部 30…メンブレンシート 40…基板 41…スイッチ素子 50…操作子 51…操作部 52…係合部 60…支持部材 64…付勢機構 64a…スリット 70…キー Z…厚さ方向
図1
図2
図3
図4