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特許7506121放射性医薬品、放射線造影剤及びそれらの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】放射性医薬品、放射線造影剤及びそれらの使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 5/065 20060101AFI20240618BHJP
   G01T 1/161 20060101ALN20240618BHJP
【FI】
C07K5/065
G01T1/161 D
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022146714
(22)【出願日】2022-09-15
(62)【分割の表示】P 2019565549の分割
【原出願日】2018-06-05
(65)【公開番号】P2022184952
(43)【公開日】2022-12-13
【審査請求日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】2017902151
(32)【優先日】2017-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】519156661
【氏名又は名称】クラリティー・ファーマシューティカルズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100206335
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 和宏
(74)【代理人】
【識別番号】100120857
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 聡
(72)【発明者】
【氏名】ジア ニコラス アラン
(72)【発明者】
【氏名】ドネリー ポール ステファン
【審査官】鳥居 敬司
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-510477(JP,A)
【文献】国際公開第2013/082656(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 5/00-5/12
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、その薬学的に許容される塩又はそれらの保護された形態であって、
【化1】
前記式(I)の化合物は、
【化2】
【化3】
のいずれかである化合物の製造方法であって、
下記化学式で表わされる化合物A又はその保護された形態
【化4】
(前記式A中、nは2である)
と下記化学式で表わされる化合物B又はその保護された形態
【化5】
(前記式B中、mは1である)
とをカップリングする工程を含む、前記製造方法。
【請求項2】
1以上の脱保護工程をさらに含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
HPLCによる精製工程をさらに含む、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
HPLCによる精製工程が逆相条件で行われる、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
下記化学式で表わされる化合物A又はその保護された形態
【化6】
(前記式A中、nは2である)
が、下記化学式で表わされる化合物C又はその保護された形態
【化7】
を1以上のペプチドカップリング工程に供することによって製造される、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
カップリングする工程が、固相又は液相ペプチド合成条件下で行われる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
カップリングする工程が、固相ペプチド合成条件下で行われる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
式(I)の化合物
【化8】
(前記式(I)中、
Xは、H、OH、ハロゲン、シアノ、NO、NH、任意に置換されたC-C12アルキル、任意に置換されたアミノ、任意に置換されたアミド及び任意に置換されたアリールから選択される基であり、
Yは、任意に置換されたC-C12アルキレン基であり、前記アルキレン基中の1以上のメチレン基は、アミド、カルボニル、尿素及びチオ尿素から選択される基で任意にさらに置換されていてもよく、
mは0、1又は2であり、
nは0、1又は2である)
の構造を有する配位子と銅イオンとを含む金属-配位子複合体の製造方法であって、式(I)の化合物を含む溶液と銅イオンを含む緩衝溶液とを混合させることを含む、前記製造方法。
【請求項9】
銅イオンが、60Cu、61Cu、62Cu、64Cu又は67Cuから選択される銅放射性同位元素である、請求項に記載の製造方法。
【請求項10】
銅イオンを含む溶液が塩酸の溶液である、請求項又は請求項に記載の製造方法。
【請求項11】
銅イオンを含む溶液が、さらにエタノールとゲンチジン酸若しくはその塩を含む、請求項から請求項10のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項12】
式(I)の化合物
【化9】
の構造を有し、前記式(I)の化合物は、
【化10】
【化11】
のいずれかである配位子と銅イオンとを含む金属-配位子複合体製造用キットであって、
i)式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む容器
ii)銅イオンの溶液を含む容器、及び
iii)金属-配位子複合体を製造するための説明書
を含む、前記キット。
【請求項13】
銅イオンが、60Cu、61Cu、62Cu、64Cu又は67Cuから選択される銅放射性同位元素である、請求項12に記載のキット。
【請求項14】
説明書は、式(I)の化合物を含む溶液を銅イオンを含む溶液に添加することを指示することを含む、請求項12又は請求項13に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性核種キレート剤を保有する放射性医薬品及び放射線造影剤として有用な化合物に関する。これらの配位化合物は放射線治療及び画像診断において有用である。本発明は、本発明の非配位化合物及び放射標識化合物を利用する診断方法、予後診断方法及び治療方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
前立腺癌は、男性における癌関連死原因の第1位であり、その死亡率は、その疾患の検出及びその後の処置の難しさのためであるとされることが多い。前立腺関連腫瘍は、前立腺特異的膜抗原(PSMA)の発現の増大を示すことが多い。このPSMAは、前立腺組織で典型的に発現される酵素であるが、一部の前立腺癌では上方制御されることが多い。これは、PSMAが撮像、診断、予後診断の目的の良好なバイオマーカー又は標的であるということを意味する。しかしながら、PSMAは正常であれ悪性であれ他の組織でも発現されるため、前立腺癌を成功裏に撮像するには困難がある。
【0003】
放射標識化合物が放射性医薬品又は放射線造影剤として使用されてもよいが、それは、その化合物が所望の部位に十分に結合することができ、かつ撮像又は治療の目的のために放射性核種をその同じ部位に送達することもできる場合に限られる。
【0004】
下記のグルタミン酸置換尿素等の尿素ベースのモチーフを含有する化合物又はリガンドは、PSMAの触媒部位に良好な親和性で結合することが知られている。
【化1】
【0005】
このモチーフ又は類似のモチーフを保有する化合物が合成されてきたが、インビボでのその安定性又は結合挙動に関する課題が認められている。化合物が放射線撮影又は放射線治療において有用であるためには、その化合物及びそれから得られる放射性核種を含む錯体がインビボで安定である必要がある。放射標識化合物に関連する公知の課題のうちの1つは、放射性核種を用いて形成される錯体が十分に強くはなく、放射性核種がその錯体から「漏出」して、意図された部位に送達されないということである。放射性核種の漏出から生じるさらなる課題としては、望まれない部位への放射性核種の拡散が挙げられる。これは、放射性核種の活性として健康な組織が損傷を受けることにつながる可能性がある。さらには、放射性核種の拡散は低品質の画像につながる可能性がある。というのも、(腫瘍の場所を示す)本来の結合部位と望まれない放射性核種を有する部位との間のコントラストが低下するからである。
【0006】
放射標識化合物に関連する他の課題としては、放射性同位体自体が化合物の破壊及びそれに続く放射性核種の拡散につながる放射線分解の可能性が挙げられる。放射線分解は放射性核種の自然崩壊の結果として起こり、放出されるエネルギーがリガンド中の結合の開裂及び錯体の破壊につながる。放射線分解は、望まれない部位への放射性核種の拡散にもつながり、これが、上記の課題にさらに寄与する。
【0007】
上記化合物は必要としている対象に投与されることになるため、その化合物は被験者に対して本質的に無毒である必要もある。診断、撮像及び治療のための放射標識化合物の使用に関連する別の課題は、結合親和性の問題である。標的、すなわちこの例ではPSMA、に対する結合親和性が低い場合、錯体は結合せず排泄される可能性があり、又は限定的な結合しか示さない可能性がある。錯体が直ちに排泄される場合は、これは、全体的な有効性が低下することにつながる。しかしながら、化合物が限定的な排泄及び限定的な結合を示す場合、その錯体は、被験者全身にわたって拡散して、上記の望まれない効果につながる可能性がある。さらには、錯体の限定的な結合は、腫瘍の許容できる撮像又は処置のために利用できる時間を減少させる可能性が高い。
【0008】
前立腺癌関連腫瘍に対する所望の結合親和性を提供することができ、必要な撮像特性を提供する能力も有する化合物に対するニーズがある。その化合物が十分に安定であり、使用中に分解を受けないという要求もある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、PSMAへの向上した結合親和性を示す新規な化合物に関する。本発明者らは、特定のリンカーを介して大環状サルコファジンに結合したアミノ酸置換尿素の使用が、PSMAに結合し、かつ放射性核種と錯体を形成したときに良好/向上した撮像特性をもたらす化合物を提供するということを見出した。
【0010】
1つの態様では、本発明は、式(I)の化合物、又はその塩、錯体、異性体、溶媒和物若しくはプロドラッグを提供する。
【化2】
上記式(I)中、
Xは、H、OH、ハロゲン、シアノ、NO、NH、任意に置換されたC-C12アルキル、任意に置換されたアミノ、任意に置換されたアミド及び任意に置換されたアリールから選択される基であり、
Yは、任意に置換されたC-C12アルキレン基であり、このアルキレン基中の1以上のメチレン基は、アミド、カルボニル、尿素及びチオ尿素から選択される基で任意にさらに置換されていてもよく、
mは0、1又は2であり、
nは0、1又は2である。
【0011】
一実施形態では、当該化合物、又はその塩、錯体、異性体、溶媒和物若しくはプロドラッグは、下記式を有する。
【化3】
【0012】
別の実施形態では、当該化合物、又はその塩、錯体、異性体、溶媒和物若しくはプロドラッグは、下記式を有する。
【化4】
【0013】
別の実施形態では、当該化合物、又はその塩、錯体、異性体、溶媒和物若しくはプロドラッグは、下記式を有する。
【化5】
【0014】
別の態様では、本発明は、上述の態様に係る化合物と、薬学的に許容できる賦形剤とを含む組成物を提供する。
【0015】
別の態様では、本発明は、上述の態様の化合物を含む非経口投与用水性組成物を提供し、この組成物は、エタノール、ゲンチジン酸又はその塩、及び塩化ナトリウムをさらに含む。
【0016】
別の態様では、本発明は、必要とする被験者における状態の処置方法又は予防方法であって、治療上有効量の上述の態様に係る化合物又は上述の態様に係る組成物を投与する工程を備える方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、64Cu-Sar-PSMAで30分間、2時間及び22時間処置されたLNCaP保有NSGマウスのPET画像である。
図2図2は、ともに22時間における、血液(右)中のレベル(濃度)に対するLNCaP保有NSGマウス(左)中の64Cu-Sar-PSMAの体内分布を示すグラフである。
図3図3は、64Cu-Sar-PSMAで1時間及び6時間処置されたLNCaP保有NSGマウスのPET画像である。
図4図4は、1時間及び6時間におけるLNCaP保有NSGマウス中の64Cu-Sar-PSMAの体内分布を示すグラフである。
図5図5は、1時間における腫瘍:腎臓の取り込み比として表された、LNCaP異種移植マウス中の種々の放射標識錯体の体内分布を示すグラフである。
図6図6は、1時間における腫瘍:腎臓の取り込み比として表された、LNCaP異種移植マウス中の64Cu-Sar-PSMA及び68Ga-標識錯体の前臨床体内分布を示すグラフである。
図7図7は、腫瘍:腎臓の取り込み比として表された、LNCaP異種移植マウス中の種々の放射標識錯体の体内分布を示すグラフである。
図8図8は、先行技術のPSMAリガンド標的の構造を示す。
図9図9は、220nmでのUV検出による、natCu-Sar-PSMA(R:12.38分)と比べた64Cu-Sar-PSMA(R:12.43分)のHPLCクロマトグラムである。
図10図10は、64Cu-CoSar(PSMA)(R:13.9分)のラジオHPLC(放射線HPLC)クロマトグラムである。
図11図11は、220nmでのUV検出によるCoSar(PSMA)(R:10.3分)の分析HPLCクロマトグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書に記載され示されるように、本発明者らは、リンカー基を介してサルコファジンケージに連結されたアミノ酸置換尿素を含む化合物がPSMAに結合することができることを見出した。理論に結び付けられることは望まないが、アミノ酸尿素フラグメント、リンカー及びサルコファジンケージの組み合わせが、以降で認識され論じられる利点をもたらすと考えられる。
【0019】
本明細書に記載される錯体は、自然崩壊する放射性核種又は放射性同位体で放射標識されており、崩壊のこれらの副生成物が種々の手段、例えばポジトロン放出断層撮影(PET)又は単一光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)によって検出される。得られる画像の質、及びその後にはこれらの画像に基づく診断があればその診断の信頼性は、前立腺癌部位に特異的に結合するこの放射標識錯体の能力に依存する。
【0020】
本明細書で使用する場合、用語「サルコファジン」は、式3,6,10,13,16,19-ヘキサアザビシクロ[6.6.0]イコサンを有する窒素含有大環状リガンドを指す。
【0021】
本明細書全体にわたって使用される用語「任意に置換された」は、その基が1以上の非水素置換基でさらに置換され又は(縮合した多環系を形成するように)縮合されていてもいなくてもよいことを表す。ある実施形態では、この置換基は、ハロゲン、=O、=S、-CN、-NO、-CF、-OCF、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル、シクロアルキルアルケニル、ヘテロシクロアルキルアルケニル、アリールアルケニル、ヘテロアリールアルケニル、シクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキルヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルキルオキシ、アルキルオキシアルキル、アルキルオキシシクロアルキル、アルキルオキシヘテロシクロアルキル、アルキルオキシアリール、アルキルオキシヘテロアリール、アルキルオキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキルオキシ、シクロアルケニルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルケニルオキシ、アリールオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールアルキルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、アミノアルキル、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、スルホニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、スルフィニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、アミノスルフィニルアミノアルキル、-C(=O)OH、-C(=O)R、-C(=O)OR、C(=O)NR、C(=NOH)R、C(=NR)NR、NR、NRC(=O)R、NRC(=O)OR、NRC(=O)NR、NRC(=NR)NR、NRSO、-SR、SONR、-OR OC(=O)NR、OC(=O)R及びアシルからなる群から独立に選択される1以上の基であり、上記式中、R、R、R及びRは、各々、H、C-C12アルキル、C-C12ハロアルキル、C-C12アルケニル、C-C12アルキニル、C-C10ヘテロアルキル、C-C12シクロアルキル、C-C12シクロアルケニル、C-C12ヘテロシクロアルキル、C-C12ヘテロシクロアルケニル、C-C18アリール、C-C18ヘテロアリール及びアシルからなる群から独立に選択されるか、又はR、R、R及びRのうちのいずれか2以上は、それらが結合する原子と一緒になって、3~12個の環原子を有する複素環系を形成する。
【0022】
いくつかの実施形態では、各任意の置換基は、ハロゲン、=O、=S、-CN、-NO、-CF、-OCF、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルキルオキシ、アルキルオキシアルキル、アルキルオキシアリール、アルキルオキシヘテロアリール、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキルオキシ、シクロアルケニルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルケニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、アミノアルキル、アリールアミノ、スルホニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、アミノアルキル、-COOH、-SH、及びアシルからなる群から独立に選択される。
【0023】
特に好適な任意の置換基の例としては、F、Cl、Br、I、CH、CHCH、OH、OCH、CF、OCF、NO、NH、COOH、COOCH及びCNが挙げられる。
【0024】
基又は基の一部としての「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有し、直鎖状であっても分枝状であってもよく、その直鎖の中に好ましくは2~12個の炭素原子、より好ましくは2~10個の炭素原子、最も好ましくは2~6個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基を表す。この基は、その直鎖の中に複数の二重結合を含有してもよく、その各々についての配向は独立にE又はZである。例示的なアルケニル基としては、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル及びノネニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
基又は基の一部としての「アルキル」は、直鎖状又は分枝状の脂肪族炭化水素基、好ましくは特に注記しない限りC-C12アルキル、より好ましくはC-C10アルキル、最も好ましくはC-Cを指す。好適な直鎖状及び分枝状のC-Cアルキル置換基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、2-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、ヘキシル等が挙げられる。
【0026】
基又は基の一部としての「アルキニル」は、炭素-炭素三重結合を含有し、直鎖状であっても分枝状でもよく、その直鎖の中に好ましくは2~12個の炭素原子、より好ましくは2~10個の炭素原子、より好ましくは2~6個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基を意味する。例示的な構造としては、エチニル及びプロピニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
基又は基の一部としての「アリール」は、(i)好ましくは1つの環あたり5~12原子を有する任意に置換された単環式、又は縮合多環式の芳香族炭素環(すべて炭素である環原子を有する環構造)を表し、アリール基の例としてはフェニル、ナフチル等が挙げられ、(ii)フェニル及びC5-7シクロアルキル基又はC5-7シクロアルケニル基が一緒に縮合して環状構造を形成する任意に置換された部分的に飽和の二環式芳香族炭素環式部分を表し、例えばテトラヒドロナフチル、インデニル又はインダニルが挙げられる。典型的には、アリール基はC-C18アリール基である。
【0028】
「シクロアルキル」は、好ましくは1つの環あたり3~9個の炭素を含有する飽和単環式又は縮合多環式若しくはスピロ多環式の炭素環、例えば特段の記載がない限りシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を指す。「シクロアルキル」は、シクロプロピル及びシクロヘキシル等の単環系、デカリン等の二環系、並びにアダマンタン等の多環系を包含する。シクロアルキル基は、典型的にはC-Cシクロアルキル基である。
【0029】
「ハロゲン」は、塩素、フッ素、臭素又はヨウ素を表す。
【0030】
「ヘテロアルキル」は、好ましくは鎖中に2~12個の炭素、より好ましくは2~6個の炭素を有する直鎖又は分枝鎖のアルキル基であって、その炭素原子(及び任意の付随する水素原子)のうちの1以上が、各々独立に、S、O、P及びNR’から選択されるヘテロ原子基によって置き換えられており、式中、R’がH、任意に置換されたC-C12アルキル、任意に置換されたC-C12シクロアルキル、任意に置換されたC-C18アリール、及び任意に置換されたC-C18ヘテロアリールからなる群から選択されるアルキル基を指す。例示的なヘテロアルキルとしては、アルキルエーテル、第二級及び第三級のアルキルアミン、アミド、アルキルスルフィド等が挙げられる。ヘテロアルキルの例としては、ヒドロキシC-Cアルキル、C-CアルキルオキシC-Cアルキル、アミノC-Cアルキル、C-CアルキルアミノC-Cアルキル、及びジ(C-Cアルキル)アミノC-Cアルキルも挙げられる。
【0031】
「ヘテロアリール」は、単独で又は基の一部として、環原子として1以上のヘテロ原子を有し残りの環原子が炭素原子である芳香環(好ましくは5員又は6員の芳香環)を含有する基を指す。好適なヘテロ原子としては、窒素、酸素及び硫黄が挙げられる。ヘテロアリールの例としては、チオフェン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイソチアゾール、ナフト[2,3-b]チオフェン、フラン、イソインドリジン、キサントレン(xantholene)、フェノキサチン(phenoxatine)、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、テトラゾール、インドール、イソインドール、1H-インダゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、シンノリン、カルバゾール、フェナントリジン、アクリジン、フェナジン、チアゾール、イソチアゾール、フェノチアジン、オキサゾール、イソオキサゾール、フラザン、フェノキサジン、2-、3-又は4-ピリジル、2-、3-、4-、5-、又は8-キノリル、1-、3-、4-、又は5-イソキノリニル、1-、2-、又は3-インドリル、及び2-、又は3-チエニルが挙げられる。ヘテロアリール基は、典型的にはC-C18ヘテロアリール基である。
【0032】
本明細書で使用する場合、用語「C-C12アルキレン」は、二価の直鎖状又は分枝状の鎖状脂肪族炭化水素基であって、鎖中に1~12個の炭素原子を有するものを指す。
【0033】
一実施形態では、Xは任意に置換されたC-C12アルキルである。
【0034】
一実施形態では、XはC-C12アルキルである。
【0035】
一実施形態では、Xは任意に置換されたC-Cアルキルである。
【0036】
一実施形態では、XはC-Cアルキルである。
【0037】
一実施形態では、Xはメチルである。
【0038】
一実施形態では、XはCHである。
【0039】
一実施形態では、Xは、任意に置換されたアミノ、例えば-NCHである。
【0040】
一実施形態では、Xはアミノである。
【0041】
一実施形態では、Xは任意に置換されたアミドである。本明細書で使用する場合、用語「アミド」は、窒素原子に結合したカルボニル基からなる官能基を指す。それゆえ、用語「任意に置換されたアミド」は、さらなる置換を受けたアミド官能基を指す。
【0042】
一実施形態では、Xは、任意に置換されたアミド、例えば、
【化6】
である。
【0043】
一実施形態では、Yは置換アルキレン基である。
【0044】
一実施形態では、Yは非置換アルキレン基である。
【0045】
一実施形態では、YはCHである。
【0046】
一実施形態では、Yはカルボニル基である。
【0047】
一実施形態では、Yは、1以上のメチレン基がアミド基でさらに置換された置換C-C12アルキレン基であり、例えば、
【化7】
である。
【0048】
一実施形態では、nは1である。
【0049】
一実施形態では、nは2である。
【0050】
一実施形態では、nは0である。
【0051】
一実施形態では、mは1である。
【0052】
一実施形態では、mは2である。
【0053】
一実施形態では、mは0である。
【0054】
一実施形態では、本発明は下記式の化合物を提供する。
【化8】
【0055】
別の実施形態では、本発明は下記式の化合物を提供する。
【化9】
上記式中、2つのフェニルアラニン残基はD-Pheであり、MeCOSar-D-Phe-D-Phe-AOC-Lys-尿素-Gluリガンドを与える。本発明者らは、特定のD-立体化学を有するフェニルアラニン残基の使用が向上した代謝安定性を有する化合物を与えうることを特定した。加えて、本発明者らは、このリガンド中での2つのD-Phe残基の使用が当該化合物の疎水性及びこのリガンドと標的酵素の結合ポケットとの潜在的なπ-π相互作用を高めうることも特定した。
【0056】
別の実施形態では、本発明は下記式の化合物を提供する。
【化10】
【0057】
別の実施形態では、本発明は下記式の化合物を提供する。
【化11】
【0058】
この化合物は、PSMAへの結合のために2つのリンカー及び2つの尿素モチーフを含む。理論に結び付けられることは望まないが、2つの尿素モチーフを保有するこの化合物はPSMAへのさらに向上した結合親和性を示す可能性があると思われる。このビス誘導体、すなわち2つのリンカー及び2つの尿素モチーフを有する化合物は、撮像目的で使用されるときに、1つのリンカー及び尿素モチーフを有する対応するモノ化合物と比べてより良好な信号対雑音比をもたらしうるということも考えられる。このビス化合物は、投与されたとき、腎臓からのクリアランスのさらなる向上も示す可能性がある。これは、モノ化合物及びビス化合物を比べた場合、全体的な電荷並びに電荷の分離及び分散の差による可能性がある。
【0059】
別の実施形態では、本発明は下記式の化合物を提供する。
【化12】
【0060】
別の実施形態では、本発明は下記式の化合物を提供する。
【化13】
【0061】
別の実施形態では、本発明は下記式の化合物を提供する。
【化14】
【0062】
一実施形態では、当該化合物は金属イオンと配位している。
【0063】
一実施形態では、上記金属イオンは、Cu、Tc、Gd、Ga、In、Co、Re、Fe、Au、Mg、Ca、Ag、Rh、Pt、Bi、Cr、W、Ni、V、Ir、Zn、Cd、Mn、Ru、Pd、Hg、Ti、Lu、Sc、Zr、Pb、Ac及びYのイオンである。
【0064】
一実施形態では、上記金属イオンは放射性核種である。
【0065】
いくつかの実施形態では、上記金属イオンの金属は、Cu、Tc、Ga、Co、In、Fe、及びTiからなる群から選択される放射性核種である。本発明の化合物は、銅イオンを結合することに特に適用可能で有用であることが見出されている。いくつかの実施形態では、上記金属イオンの金属は、60Cu、61Cu、62Cu、64Cu及び67Cuからなる群から選択される放射性核種である。いくつかの実施形態では、上記金属イオンの金属は60Cuである。いくつかの実施形態では、上記金属イオンの金属は61Cuである。いくつかの実施形態では、上記金属イオンの金属は62Cuである。いくつかの実施形態では、上記金属イオンの金属は64Cuである。いくつかの実施形態では、上記金属イオンの金属は67Cuである。
【0066】
式(I)の化合物は、サルコファジン大環状リガンドと、PSMAを標的にするLys-尿素-Glu部分とを含む。当該化合物は、サルコファジン及びPSMA標的指向部分をつなぐ介在部分をも含む。式(I)では、これらは、2つのアミド基、2つのフェニルアラニン残基及びアミノオクタン酸(AOC)基が結合したプロピルリンカーを備える。このプロピルリンカー、フェニルアラニン残基及びアミノオクタン酸基は、一緒に、サルコファジン及びPSMA標的指向部分を隔てるスペーサ基として作用する。サルコファジンとPSMA標的指向部分の活性が互いに干渉しないことを確実にするように、これらの2つの基の間に分離度が存在することが望ましいが、しかしながら、サルコファジンが結合した放射性核種を含有する場合、その放射性核種錯体がPSMA標的指向部分によって特定される作用部位に送達されるように、これらの2つの基がそれほど離れていないことも重要である。このPSMA標的指向部分は、全体としての負電荷をもたらし亜鉛結合領域に寄与する3つのカルボキシ官能基を有するLys-尿素-Glu部分を含む。PSMA標的指向部分に隣接したアミノオクタン酸基は、PSMA標的指向部分とこの分子の残部との間で電荷を分離するために、長さがおよそ20Åのリンカー基を与えるように設計されている。上記2つのD-フェニルアラニン残基は、性質としては疎水性であり、活性部位とのπ-π結合相互作用を可能にする。これらの残基は、当該化合物の代謝安定性にも寄与する。2つのアミド官能基の間に置かれたプロピレン基は、(正に帯電したCuイオンにキレートする)大環状リガンドとPSMA標的指向部分との間の必要な距離を与えるようにも働く。本発明者らは、本発明に係る化合物は、種々の断片(すなわち大環状リガンド、リンカー及びPSMA標的指向部分)を含み、これらが一緒になって、必要な安定性及び結合親和性を有するPSMA結合リガンドを提供することを見出した。
【0067】
一実施形態では、本発明は、薬学的に許容できる賦形剤と共に上記の化合物を含む組成物を提供する。
【0068】
さらなる態様では、本発明は、必要とする被験者における状態の処置方法又は予防方法であって、治療上有効量の上記の化合物又はその組成物を投与する工程を備える方法を提供する。
【0069】
一実施形態では、上記状態は癌である。
【0070】
一実施形態では、上記状態は、乳癌、結腸癌、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、頭部癌及び/又は頸部癌、又は腎臓癌、胃癌、膵臓癌、脳癌、リンパ腫又は白血病等の血液悪性腫瘍である。
【0071】
一実施形態では、上記状態は前立腺癌である。
【0072】
さらなる態様では、本発明は、被験者の放射線撮影(放射線撮像)方法であって、有効量の上記の化合物又はその組成物を投与する工程を備える方法を提供する。
【0073】
理想的には、放射性医薬品は、意図された標的で保持され、他のすべての部位では保持されず、そして結合していない放射性医薬品はすべて循環系から除去(クリア)される。こうなれば、十分なコントラストを有する画像を得ることが可能になり、これにより、ひいてはより正確な分析及び診断を実施することが可能になる。これが起こるために、放射標識錯体は、結合した錯体は必要な撮像のために十分な時間所望の部位に結合したままでいるが、しかしながら、結合していない錯体から発せられる何らかのバックグラウンド放射線が得られる画像のコントラストを妨害し低下させるのを防ぐために、結合していない錯体はすべて被験者から十分に除去される必要があるという物理特性及び化学特性を有する必要がある。
【0074】
本発明の化合物は、より好適な分布プロファイルをインビボで示す。図2及び図4は、腫瘍保有マウスへの64Cu-Sar-PSMAの投与が、いずれの主要臓器でも血液でもなく腫瘍での当該化合物の偏在につながることを示す。他の組織への当該放射標識錯体の結合を最少にすることで、健康な組織への傷害が低減される。この錯体は、比較的わずかな血流中への蓄積を示し、これも、PSMAを発現する腫瘍へのSar-PSMA錯体の結合親和性が高いことを示す。
【0075】
他の公知の放射標識錯体(図5を参照)、例えば68Ga-PSMA-617、177Lu-PSMA-I&T及び68Ga-DOTAGA-ffk(PSMA)との比較で、上記64Cu-Sar-PSMA錯体は、腫瘍へのより高い取り込みを示す。加えて、この化合物の排泄を意味する腎臓への取り込みを考えると、64Cu-Sar-PSMAは、腫瘍部位への同様の結合を示す他の化合物と比べて、腎臓への著しく少ない取り込みを示す。64Cu-Sar-PSMA錯体及び種々の68Ga錯体との間の同様の比較が図6に示されるが、この図は、64Cu放射性核種の使用が、68Ga放射性核種を使用する錯体と同程度に、又はより良好に腫瘍に結合することを示す。さらには、この64Cu-Sar-PSMA錯体は、68Ga放射性核種を有する錯体よりも少ない腎臓への取り込みを示す。
【0076】
その後、本発明者らは、Sar-PSMAリガンド及び64Cu放射性核種の使用は、腫瘍部位に対するより良好な親和性及び投与後の腎臓からのより良好なクリアランスを示すことを見出した。これらの利点は、より良好な撮像結果が得られることを可能にする、すなわち腫瘍部位に対する親和性が高いほど、より良好なコントラストを有する画像を与え(上記放射性核種は主に標的部位に位置するからである)及び循環系からの結合していないリガンドのより良好な除去をもたらし、これによりバックグラウンド蓄積が減少する。次にこれは、前立腺癌等の腫瘍の診断の向上を可能にする。腫瘍結合部位に対する親和性の向上は、他の組織へのこの放射性核種の拡散がより少なく、これが得られる画像の質を向上させるということも示唆する。さらには、腫瘍部位ではない領域への放射性核種の拡散を最少にすることは、より少ない放射標識錯体しか投与に必要とされず、放射性錯体由来の有害作用があるとしてもそれは限局的であり、その結果、健康な組織が影響を受けないということを意味する。
【0077】
本発明者らは、本発明の化合物がセラノスティックな化合物として使用されてもよいことを見出した。このセラノスティックなアプローチは、同じ化合物が適応症の診断及び処置に使われることを可能にし、これは、1つの化合物を診断に、そして異なる化合物を処置に使用することに勝る利点をもたらす。全体として、これにより特定の疾患の診断及び処置におけるより高い効率が可能になる。これは、特定の同位体を有するリガンドは疾患を診断することには好適かもしれないが、しかしながらリガンド及び同位体の同じ組み合わせはその疾患を処置することには好適ではないかもしれない従来の方法とは対照的である。このことは、次に、その疾患を処置するためにリガンド、同位体又はリガンド及び同位体の両方が改変されるということを必要とする。
【0078】
図7は、腫瘍及び腎臓における当該放射標識錯体の蓄積を経時的に示す。64Cu-Sar-PSMA錯体が投与される場合、腫瘍に存在する錯体に対する腫瘍に存在する錯体の比は24時間まで上昇する。図7は、1時間後の腫瘍部位での64Cu-Sar-PSMA錯体の取り込みは、他の放射標識錯体より大きいことを示し、これは、64Cu-Sar-PSMA錯体が他の比較対象の錯体よりも早く取り込まれることを示唆する。さらには、腎臓に対する腫瘍中の錯体の比は24時間まで上昇し、これは、次にこの錯体が腫瘍に対する良好な結合親和性を有することを示唆する。これよりもたらされる利点は、この錯体はより長時間結合したまま留まり、この時間にわたって被験者の撮像を実施することができ、より良好な質及びより高いコントラストの画像を得ることができるということである。次に、これにより、疾患のより正確な診断をすることが可能になる。
【0079】
上記64Cu-Sar-PSMA錯体は、他の放射標識錯体に勝る向上した結合親和性を示し、これは、同じ錯体が治療のために有用である可能性があるということも示唆する。この錯体の治療性は標的部位、すなわち腫瘍への放射性核種の送達に依るため、腫瘍部位に対する良好な特異性及び親和性が必要である。これは、放射性核種が放射線治療効果を所望の部位に送達し、そして他の組織への傷害を防ぐことを可能にする。さらには、放射標識錯体が標的部位に結合したまま留まる能力は、長期の治療効果が送達されることを可能にし、このことは処置方法の効率を高める。
【0080】
本発明者らは、今回、64Cu-Sar-PSMA放射標識錯体が標的PSMA部位に対する十分な結合特異性及び親和性を有し、その結果、治療上有効量の当該放射標識錯体の投与が前立腺癌の処置を可能にしうることを示した。
【0081】
本発明者らは、今回、銅同位体で放射標識されたSar-PSMA錯体が診断目的及び治療目的の両方で使用されてもよいことも示した。例えば、上記64Cu-Sar-PSMA放射標識錯体は診断目的及び治療目的の両方で使用されてもよい。上記67Cu-Sar-PSMA放射標識錯体も診断目的及び治療目的の両方で使用されてもよい。
【0082】
用語「薬学的に許容できる塩」は、上記の化合物の所望の生物活性を保持する塩を指し、薬学的に許容できる酸付加塩及び塩基付加塩を含む。式(I)の化合物の好適な薬学的に許容できる酸付加塩は、無機酸から又は有機酸から調製されてよい。このような無機酸の例は、塩酸(塩化水素酸)、硫酸、及びリン酸である。適切な有機酸は、脂肪族、脂環式、芳香族、複素環式のカルボン酸及びスルホン酸の種類の有機酸から選択されてよく、この有機酸の例はギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、アルキルスルホン酸及びアリールスルホン酸である。薬学的に許容できる塩に関するさらなる情報は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第19版、Mack Publishing Co.、イーストン(Easton)、ペンシルベニア州、1995年に見出すことができる。固体である薬剤の場合には、本発明の化合物、薬剤及び塩が異なる結晶形又は多形で存在してよく、これらのすべては本発明及び特定された式の範囲内にあることが意図されていることは当業者に理解される。
【0083】
用語「治療上有効量」又は「有効量」は、有益又は所望の臨床成績をもたらすのに十分な量である。有効量を1回以上の投与で投与することができる。有効量は、通常、病状の進行を緩和、改善、安定化、逆転、緩慢化又は遅延するのに十分なものである。放射線撮影についての有効量は、通常、被験者において放射性核種を特定するのに十分なものである。
【0084】
放射標識された物質の場所について被験者をモニタリング(監視)することは、通常、分析者に、放射標識された物質の場所、ひいてはその分子認識部位によって標的にされる何らかの物質(癌性組織等)の場所に関する情報を提供することになる。本発明の化合物の有効量は、いくつかの要因に依存することになり、必然的に、所望の放射線撮像効果を達成するために必要とされる放射能の量と、被験者(または被験者の組織又は臓器)を何らの不必要なレベルの、有害である可能性がある放射線にも曝露させないという一般的な関心との間のバランスを伴うことになる。
【0085】
本発明の処置方法は、放射性核種とすでに錯化された(錯体形成した)式(I)の化合物の投与を伴う。式(I)の化合物は、その放射性核種をその作用機序が所望される体内の所望の場所に送達することができる。
【0086】
治療上有効量は、従来の技法の使用により、及び類似の状況下で得られた結果を観察することにより、担当臨床医によって容易に決定されうる。治療上有効量を決定する際には、いくつかの要因が考慮される必要があり、その要因としては、限定はされないが、動物の種、そのサイズ(体格)、年齢及び全般的な健康状態、関与する具体的な状態、その状態の重症度、処置に対する患者の応答、投与される特定の放射標識化合物、投与方法、投与される調剤のバイオアベイラビリティー、選択された用量レジメン、他の薬物の使用及び他の関係する状況が挙げられる。
【0087】
加えて、処置レジメンは、通常、数サイクルの放射線処置を伴い、このサイクルは上記状態が改善されるまでの時間継続される。ここでも、最適数のサイクル及び各処置サイクル間の間隔は、処置されている状態の重症度、処置されている被験者の健康(又は健康の欠如)及び放射線治療に対する反応等のいくつかの要因に依存することになる。一般に、最適の投薬量及び最適の処置レジメンは、周知の技法を使用して当該技術分野の熟練した対応者により、容易に決定することができる。
【0088】
本発明の化合物を使用する際には、本発明の化合物は、当該化合物を所望の適用(撮像又は放射線治療)のために利用可能であるようにするいずれの形態又は様式で投与することができる。この種の処方物を調製する当業者は、選択された化合物の特定の特徴、治療されるべき状態、治療されるべき状態の段階及び他の関係する状況に応じて、適正な投与の形態及び様式を容易に選択することができる。さらなる情報については、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第19版、Mack Publishing Co.(1995)を参照されたい。
【0089】
本発明の化合物は、単独で、又は薬学的に許容できる担体、希釈剤若しくは賦形剤と組み合わせた医薬組成物の形態で投与することができる。本発明の化合物は、それ自体で有効であるが、通常その薬学的に許容できる塩の形態で配合及び投与される。というのも、これらの形態は、通常より安定であり、より簡単に結晶化され、そして高められた溶解性を有するからである。
【0090】
当該化合物は、しかしながら、通常、所望の投与方法に応じて処方される医薬組成物の形態で使用される。この組成物は、当該技術分野で周知のようにして調製される。
【0091】
本発明は、他の実施形態では、本発明の医薬組成物の構成要素のうちの1以上を充填した1以上の容器を含む医薬パック又はキットを提供する。そのようなパック又はキットの中には、当該薬剤(1又は複数)の単位投薬量を有する少なくとも1つの容器を見出すことができる。便利には、このキットでは、1回分の投薬量を無菌のバイアルの中に提供することができ、その結果、臨床医は直接そのバイアルを用いることができ、その場合、そのバイアルは、使用に先立って混合されてもよい所望の量及び濃度の化合物及び放射性ヌクレオチドを有することになる。そのような容器(1又は複数)に随伴して、使用説明書等の種々の書面、又は医薬品、造影剤若しくはバイオ製品の製造、使用若しくは販売を規制する政府機関によって規定された形式の注意書きがあってもよく、この注意書きは、上記機関によるヒトへの投与のための製造、使用又は販売の承認を反映する。
【0092】
本発明の化合物は、抗癌剤である1種以上のさらなる薬物及び/若しくは上記の障害/疾患の処置のための手順(例えば外科手術、放射線治療)と組み合わせて使用又は投与されてもよい。これらの成分は、同じ処方物において又は別個の処方物において投与することができる。別個の処方物において投与される場合、本発明の化合物は、他の薬物(1又は複数)と逐次的に又は同時に投与されてもよい。
【0093】
抗癌剤を含む1種以上のさらなる薬物と組み合わせて投与できることに加えて、本発明の化合物は、併用療法において使用されてもよい。これが行われる場合、当該化合物は、通常は互いに組み合わせて投与される。従って、所望の効果を成し遂げるために、1以上の本発明の化合物が、同時に(複合製剤として)又は逐次的に投与されてもよい。これは、各化合物の治療プロファイルが異なり、その結果、その2種の薬物の複合効果が向上した治療効果を提供する場合にとりわけ望ましい。
【0094】
非経口注射用の本発明の医薬組成物は、薬学的に許容できる無菌の水性又は非水性の液剤、分散剤、懸濁剤又は乳剤、及び使用の直前に無菌の注射剤又は分散剤へと再構成するための無菌粉末を含む。好適な水性及び非水性の担体、希釈剤、溶媒又はビヒクルの例としては、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)、及び好適なこれらの混合物、植物油(オリーブ油等)、並びに注射用の有機エステル、例えばオレイン酸エチルが挙げられる。適正な流動性は、例えば、レシチン等のコーティング材料の使用により、分散剤の場合には必要とされる粒径の維持により、及び界面活性剤の使用により維持することができる。
【0095】
これらの組成物は、防腐剤、湿潤剤、乳化剤及び分散化剤(分散させるための薬剤)等の佐剤(アジュバント)も含有してよい。微生物の作用の予防は、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸等の種々の抗菌剤及び抗真菌剤を含めることにより確保されてもよい。糖類、塩化ナトリウム等の等張剤を含むことも望ましい場合がある。注射用医薬品形態の長期の吸収が、アルミニウムモノステアレート及びゼラチン等の吸収を遅延させる薬剤の含有によりもたらされてもよい。
【0096】
所望に応じて、及びより効果的な分散のために、当該化合物を、ポリマーマトリクス、リポソーム及びミクロスフェア等の徐放送達システム又は標的送達システムの中に組み込むことができる。
【0097】
上記注射用処方物は、例えば、細菌保持フィルターを通す濾過により、又は使用の直前に滅菌水又は他の滅菌注射用媒体に溶解又は分散されることができる無菌の固体組成物の形態の殺菌剤を組み込むことにより、滅菌することができる。
【0098】
一実施形態では、本発明は、式(I)の化合物又はその塩の水性組成物を提供する。
【化15】
上記式(I)中、
Xは、H、OH、ハロゲン、シアノ、NO、NH、任意に置換されたC-C12アルキル、任意に置換されたアミノ、任意に置換されたアミド及び任意に置換されたアリールから選択される基であり、
Yは、任意に置換されたC-C12アルキレン基であり、このアルキレン基中の1以上のメチレン基は、アミド、カルボニル、尿素及びチオ尿素から選択される基で任意に置換されており、
mは0、1又は2であり、
nは0、1又は2であり、
上記式(I)の化合物はCuイオンと錯化しており、
当該組成物は、エタノール、ゲンチジン酸又はその塩、及び塩化ナトリウムをさらに含む。
【0099】
本発明者らは、錯化するCuイオンを伴う式(I)の化合物の組成物中でゲンチジン酸及びエタノールを使用することが、その放射標識錯体の放射線分解を防止又は最少化することに役立つ可能性があるということを特定した。
【0100】
上記の実施形態において、本発明の組成物は、エタノールを成分として含む。当該組成物で使用されるエタノールは、無水エタノールであってもよい。あるいは、当該組成物で使用されるエタノールは、前もって乾燥プロセスに供されたものでなくてもよく、水和されていても(含水であっても)よい。このエタノールは、好ましくは医薬品等級エタノールである。この組成物に存在するエタノールは、式(I)の放射標識錯体の放射線分解を防止することに役立つ可能性がある。
【0101】
上記の実施形態において、本発明の組成物は、塩化ナトリウムも成分として含む。本発明の処方物の中の塩化ナトリウムは、食塩水として提供されてもよい。食塩水は、塩化ナトリウムの水溶液として定義される。例えば、生理食塩水は、0.9%(w/v)の濃度の塩化ナトリウムの水溶液として定義される。本発明の一実施形態では、処方物の塩化ナトリウムは食塩水によって提供される。
【0102】
上記の実施形態において、本発明の組成物は、ゲンチジン酸、又はその薬学的に許容できる塩及び/若しくは水和物を成分として含む。ゲンチジン酸は、2,5-ジヒドロキシ安息香酸、5-ヒドロキシサリチル酸又はヒドロキノンカルボン酸としても知られる。ゲンチジン酸の塩は、ナトリウム塩及びナトリウム塩水和物を含んでもよい。ゲンチジン酸に言及することは、関係する場合には、その塩への言及を含んでもよい。当該組成物内のゲンチジン酸、又はその塩は、式(I)の放射標識錯体の放射線分解を防止又は最少化するのに役立つ可能性があるということが、本発明者らによって特定された。
【0103】
経口投与用の固体剤形としては、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤及び顆粒剤が挙げられる。そのような固体剤形では、上記活性化合物は、少なくとも1種の不活性な、薬学的に許容できる賦形剤又は担体、例えばクエン酸ナトリウム若しくはリン酸二カルシウム及び/又はa)充填剤又は増量剤、例えばデンプン、ラクトース(乳糖)、スクロース(ショ糖)、グルコース、マンニトール、及びケイ酸、b)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩(アルギネート)、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース(ショ糖)、及びアラビアゴム(アカシア)等、c)保水剤、例えばグリセロール、d)崩壊剤、例えば寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプン又はタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、及び炭酸ナトリウム、e)溶解遅延剤、例えばパラフィン、f)吸収促進剤、例えば第四級アンモニウム化合物、g)湿潤剤、例えば、セチルアルコール及びモノステアリン酸グリセロール等、h)吸収剤、例えばカオリン及びベントナイトクレイ、及びi)滑沢剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、及びこれらの混合物と混合される。カプセル剤、錠剤及び丸剤の場合には、その剤形は緩衝剤も含んでよい。
【0104】
類似のタイプの固体組成物は、ラクトース又は乳糖及び高分子量ポリエチレングリコール等の賦形剤を使用する軟ゼラチンカプセル及び硬ゼラチンカプセルにおいて充填剤として用いられてもよい。
【0105】
錠剤、ドラジェ(糖衣錠)、カプセル剤、丸剤及び顆粒の固体剤形は、腸溶性コーティング及び医薬品処方技術分野において周知の他のコーティング等のコーティング及び殻(シェル)を用いて調製することができる。それらは、任意に乳白剤を含有してよく、有効成分(1又は複数)のみを、より好ましくは、腸管の特定部分で、任意にゆっくりと放出する組成物であることもできる。使用することができる包埋組成物の例としては、ポリマー物質及びワックスが挙げられる。
【0106】
所望に応じて、及びより効果的な分散のために、当該化合物は、ポリマーマトリクス、リポソーム及びミクロスフェア等の徐放送達システム又は標的化送達システムに組み込むことができる。
【0107】
上記活性化合物は、適宜、上記の賦形剤の1種以上を用いたマイクロカプセル化された形態にあってもよい。
【0108】
経口投与用液体剤形としては、薬学的に許容できる乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ及びエリキシル剤が挙げられる。当該活性化合物に加えて、この液体剤形は、当該技術分野で一般に使用される不活性な希釈剤、例えば、水又は他の溶媒、溶解補助剤及び乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ、ヒマシ油、及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタンの脂肪酸エステル、並びにこれらの混合物を含有してよい。
【0109】
不活性な希釈剤に加えて、上記経口用組成物は、湿潤剤、乳化剤及び懸濁化剤(懸濁させる薬剤)、甘味料、着香料及び芳香剤等の佐剤も含むことができる。
【0110】
懸濁剤は、当該活性化合物に加えて、懸濁させる薬剤、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微結晶セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天及びトラガント、並びにこれらの混合物を含有してよい。
【0111】
上で論じたように、上記実施形態の化合物は、増殖性疾患を処置及び/又は検出するために有用である可能性がある。このような細胞増殖性の疾患又は状態の例としては、癌(あらゆる転移を含む)、乾癬、及び平滑筋細胞増殖性障害、例えば再狭窄が挙げられる。本発明の化合物は、乳癌、結腸癌、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、頭部癌及び/又は頸部癌、又は腎臓癌、胃癌、膵臓癌及び脳癌並びにリンパ腫及び白血病等の血液の悪性腫瘍などの腫瘍を処置及び/又は検出するために特に有用である可能性がある。加えて、本発明の化合物は、他の抗癌剤を用いて処置及び/又は検出することに抵抗性がある増殖性疾患を処置及び/又は検出するために有用である可能性があり、白血病、乾癬及び再狭窄等の過剰増殖性の状態を処置及び/又は検出するために有用である可能性がある。他の実施形態では、本発明の化合物は、家族性大腸腺腫症、結腸腺腫性ポリープ、骨髄異形成症、子宮内膜異形成、非定型性子宮内膜増殖症、子宮頸部異形成、膣上皮内新生物、良性前立腺肥大症、咽頭乳頭腫、日光角化症、脂漏性角化症及び角化棘細胞腫を含めた前癌状態又は過形成を処置及び/又は検出するために使用することができる。
【実施例
【0112】
本発明の化合物の合成
種々の実施形態の薬剤は、後述する反応経路及び合成スキームを使用して、当該技術分野で利用できる技術を用いて、容易に入手できる出発物質を使用して調製されてよい。実施形態の特定の化合物の調製を、以下の実施例に詳細に記載するが、当業者は、記載する化学反応は、種々の実施形態のいくつかの他の薬剤を調製するために容易に適合させてもよいことを認識する。例えば、例示されていない化合物の合成は、当業者に明らかな改変により、例えば干渉する基を適切に保護することにより、当該技術分野で公知の他の好適な試薬に変更することにより、又は反応条件の日常的な改変を行うことにより成功裏に実施されてよい。有機合成における好適な保護基の一覧は、T.W.GreeneのProtective Groups in Organic Synthesis、第3版、John Wiley & Sons、1991年に見出すことができる。あるいは、本明細書に開示されるか又は当該技術分野で公知の他の反応は、種々の実施形態の他の化合物を調製するための適用性を有すると認識されるであろう。化合物を合成するために有用な試薬は、当該技術分野で公知の技術に従って入手又は調製してよい。
【0113】
実施例1
Sar-PSMAの合成
スキーム1は、Sar-PSMA1の化合物の合成のために採用した経路の概略を示す。
【0114】
MeCOSar-D-Phe-D-Phe-Aoc-Lys-尿素-Gluリガンド1(式中、Aoc=8-アミノオクタン酸(すなわちSar-PSMA))を固相ペプチド合成により調製した。このグルタミン酸-尿素-リジン結合モチーフを、イミダゾールで活性化しそして保護したグルタミン酸を、前もってWang樹脂に固定化した保護したL-リジンと反応させることにより合成した。ペプチドリンカーは、標準的なFmocプロトコルを使用して固相ペプチド合成によりリジンのε-アミンに結合した。キレート薬の結合を、(tBoc)4-5MeCOSarを固体支持体上の側鎖保護リンカー-尿素と反応させることにより実施した。Sar-PSMAを樹脂から切り離し、同時に脱保護した(TFA/TIPS/HO)。
【0115】
64CuIIを用いたSar-PSMAの放射標識
Sar-PSMAリガンド1を、64CuIIを用いて水溶液(0.1M NHOAc、pH8、1~10nmol Sar-PSMA)中、室温で放射標識した。固相カートリッジ(Phenomenex Strata-X RP 60mg/mL)からの溶出により64Cu-Sar-PSMAを>94%収率(n.d.c.)及び>97%放射化学収率(7.95~21.9GBq/μmol)で得た。
【0116】
【化16】
【0117】
活性化Glu中間体3の合成
参考文献:Duspara,P.A.;Islam,M.S.;Lough,A.J.;Batey,R.A.,Synthesis and reactivity of N-alkyl carbamoylimidazoles:development of N-methyl carbamoylimidazole as a methyl isocyanate equivalent. J Org Chem 2012,77(22),10362-8。
【0118】
L-ビス(tBu)Glu HCl 2(3.56g、12.04mmol、1.0当量)及びカルボニルジイミダゾール(2.15g、13.24mmol、1.1当量)が入っているフラスコに、DMF/MeCNの1:5混合物(50mL)を加えた。この反応物を室温で一晩撹拌した。撹拌後、溶媒を真空中で除去し、残った粗製混合物を溶解し、フラッシュクロマトグラフィー(移動相:7:3:1 石油スピリット/クロロホルム/メタノール、R:約0.24、30:1 シリカ/粗製質量比)により精製し、生成物を白色半結晶性粉末として得た(2.25g、52.9%収率)。
【0119】
Fmoc-Lys(DDiv)-OHを用いるWang樹脂のローディング
Wang樹脂(1.028g、1.15mmol/g、1.18mmol)が入っている50mLファルコンチューブに、DMF中のFmoc-Lys(DDiv)-OH(2.038g、3.55mmol、3.0当量)、HCTU(1.33g、3.5mmol、2.96当量)、DIPEA(1.24mL、7.09mmol、6当量)、DMAP(43.3mg、0.355mmol、0.3当量)の予め活性化した混合物を加えた。この樹脂を振盪機上に2時間置き、反応させた。次に、樹脂の残りの官能基を塞ぐためにこの反応混合物に無水酢酸(223μL、2.36mmol、2当量)及びピリジン(190μL、2.36mmol、2当量)を加え、30分間撹拌した。次に、この樹脂を濾過し、DMFで3回、DCMで3回、MeOHで2回及びEtOで2回洗浄し、乾燥し、秤量して最終の樹脂ローディングを求めた(0.759mmol/g)。樹脂ローディングは、以下のとおり求めた。
【数1】
【0120】
樹脂上の保護されたKuE4の合成
Sar-PSMAリガンドを、標準的なFmoc固相ペプチド合成条件下で、上記樹脂上のKuEモチーフから合成した。
【0121】
一般的なFmoc脱保護プロトコル
樹脂に結合したペプチド4を、DMF中の20%ピペリジンの溶液で5分間処理し、これを3回繰り返した。次に、この樹脂をDMFで3回及びDCMで3回連続的に洗浄した。
【0122】
カップリング/脱保護反応の確認のためのTNBSA試験
TNBSA(トリニトロベンゼンスルホン酸)試験を使用して、各カップリング/脱保護工程に対して定性試験を実施した。少量の樹脂(約20ビーズ)をエッペンドルフ(Eppendorf)チューブの中に入れた。TNBSA(DMF中の5%溶液を10μL)及びDIPEA(DMF中の5%溶液を10μL)を加え、その混合物を2分間激しく撹拌した。樹脂の色変化が観察されなかった場合、その試験は、第一級アミンの不存在を示し、他方、樹脂の橙色は遊離の第一級アミンの存在を示した。
【0123】
脱保護のあと、DMF(5mL)中の活性化Glu中間体3(0.95g、2.69mmol、2.0当量)及びDIPEA(240μL、1.38mmol、1.0当量)の溶液を上記樹脂に加えた。この樹脂を24時間にわたって手動で撹拌し、DMFで3回及びDCMで3回洗浄した。TNBSA試験及び開裂/MSによるカップリングの確認のあと、3回のDMF中の2%ヒドラジン水和物を用いた処理によりDDiv基を脱保護し、5を得た。
【0124】
Fmoc-アミノ酸を樹脂とカップリングするための一般的プロトコル
Fmocアミノ酸(3当量)を、DMF中のHCTU(AAに対して0.96当量)及びDIPEA(AAに対して2当量)を使用して活性化した。5分後、この溶液を樹脂に加え、時折撹拌した。20分後、その樹脂を濾過し、DMFで1回、DCMで3回及びDMFで3回連続的に洗浄し、6を得た。
【0125】
樹脂上のPSMAリガンドへのMeCOSarのカップリングにより7を得る
BocMeCOSar(0.464g、0.5mmol、1.2当量)を、DMF中のHCTU(0.207g)、HOBt(67.6mg)、及びDIPEA(174μL)を使用して活性化した。5分後、この溶液を樹脂6(0.4mmol)に加え、時折撹拌した。24時間後、その樹脂を濾過し、DMFで1回、DCMで3回及びDMFで3回連続的に洗浄した。
【0126】
1を得るための樹脂開裂プロトコル
樹脂7をDCMで数回洗浄し、次いで50mLファルコンチューブに移した。95:2.5:2.5 TFA/TIPS/HO(15mL)を加え、この樹脂を室温で2時間激しく撹拌した。この樹脂を濾過し、3mL TFAで2回洗浄した。濾液を集め、N気流のもとでTFAを蒸発させた。この粗製ペプチドを過剰の冷EtOの添加により沈殿させ、遠心分離した。EtOを傾瀉し、この過程を3回繰り返した。沈殿した粗製ペプチドを乾燥し、秤量し、分取HPLCにより精製した。
【0127】
HPLC精製
上記粗製ペプチド(818mg)をHO中の22%MeCN(6.4mL)の中で再構成し、Kinetex 5μ 100Å AXIA充填C18 21.2×150mmセミ分取用カラムでの5mL/分のRP-HPLC(24%定組成で60分)により少しずつ精製した。生成物を含有する画分を分離し、凍結乾燥し、生成物1をふわふわした白色粉末として得た(58.5mg、使用した樹脂に対して16.1%)。
【0128】
放射標識
一定分量の64CuII(30~200MBq、0.1M NHOAc、pH6)を、MilliQ水中のSar-PSMA1(5μg、4.3×10-3μmol)、NHOAc、pH5(最終濃度:0.05M)、エタノール(10%)、及びMilliQ水中のゲンチジン酸(最終濃度:0.056%)を含有する溶液に加え、pHを測定した(pH:5)。この反応物を室温で30分間インキュベーションした。30分後、一定分量をRP-HPLCにより分析し、>98%放射化学的純度を有する生成物64Cu-Sar-PSMAを決定した。
【0129】
血漿中での安定性
37℃の新鮮なヒト血漿200μLに生理食塩水中の64Cu-Sar-PSMAの溶液(100μL、約8.8MBq、<10%EtOH)を加え、この混合物を37℃で24時間インキュベーションした。24時間後、冷アセトニトリル(600μL)を添加した。沈殿した血清タンパク質を遠心分離(13000rpm)により分離し、上清300μLを取り出し、エバポレーションにより濃縮した。この溶液を水(100μL)で希釈し、生成物をRP-HPLCにより分析した。
【0130】
LNCaP腫瘍保有マウスにおける腫瘍撮像
64CuSarPSMAのインビボ体内分布を、LNCaP腫瘍保有NSG(NOD SCID Gamma)マウスにおいて注射の1時間後、6時間後及び22時間後に調べた。1時間では、64CuSarPSMAは、腎臓で最高の取り込みを示し、低い腫瘍/腎臓比を生じた(図5)。しかしながら、この体内分布データは、迅速な腎臓クリアランス及びあとの時間点での適度な腫瘍での保持を明らかにした。腫瘍での64Cu-Sar-PSMAの適度な保持にもかかわらず、循環系からの迅速なクリアランス、及び6時間後には事実上バックグラウンド蓄積がないことに起因して、顕著なコントラストがあった。さらには、他のPSMA陽性組織(肺、脾臓)における低い取り込みにより、64Cu-Sar-PSMAについて高い腫瘍対バックグラウンド比が可能になった。
【0131】
実施例2
CoSar(PSMA)の合成
活性化Glu中間体の合成
参考文献:Duspara,P.A.;Islam,M.S.;Lough,A.J.;Batey,R.A.,Synthesis and reactivity of N-alkyl carbamoylimidazoles:development of N-methyl carbamoylimidazole as a methyl isocyanate equivalent. J Org Chem 2012,77(22),10362-8。
【0132】
L-ビス(tbu)Glu HCl(3.56g、12.04mmol、1.0当量)及びカルボニルジイミダゾール(2.15g、13.24mmol、1.1当量)が入っているフラスコに、DMF/MeCNの1:5混合物(50mL)を加えた。この反応物を室温で一晩撹拌した。撹拌後、溶媒を真空中で除去し、残った粗製混合物を溶解し、フラッシュクロマトグラフィー(移動相:7:3:1 石油スピリット/クロロホルム/メタノール、RF:約0.24、30:1 シリカ/粗製質量比)により精製し、生成物を白色半結晶性粉末として得た(2.25g、52.9%収率)。
【0133】
保護した尿素の合成
【化17】
H-Lys(Fmoc)-OtBu・HCl(4.84g、10.5mmol、1.0当量)が入っているフラスコに、DCM(30mL)中の活性化Glu中間体(3.71g、10.5mmol、1.0当量)及びDIPEA(1.83mL、10.5mmol、1当量)を加え、室温で一晩撹拌した。この反応混合物を水で3回及びブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、80gのReveleris HP Silicaカートリッジにロードし、Biotage Isolera自動フラッシュクロマトグラフィー精製システム(移動相:70:30:2.5 石油スピリット/クロロホルム/メタノール)により精製した。画分をTLC(移動相:7:3:1 石油スピリット/クロロホルム/メタノール、RF:約0.30)により分析し、合わせ、溶媒を真空中で除去し、生成物を黄色油状物として、5.06g、68%収率で得た。ESIMS[M+H]m/z 710.386(実験値)、m/z 710.401(計算値)。
【0134】
尿素のFmoc開裂
【化18】
上記保護した尿素(5.06g、7.13mmol、1当量)が入っているフラスコに、MeCN中の20%ジエチルアミン(100mL)を加え、この反応物を室温で7時間撹拌した。一定分量を定期的に取り出し、MSにより反応の完結について分析した。7時間後、ジエチルアミン及びMeCNを真空中で5mLまで減量し、さらなる50mLのMeCNを加え、ロータリー・エバポレーターによりジエチルアミンを共沸させ、これを3回繰り返した。反応混合物を再び5mLまで減量し、200mLの50/50水/MeCNを加え、この反応混合物を凍結乾燥した。ジベンゾフルベン部分の不完全な捕捉から生じる不純物に起因して、この最終生成物をさらに精製することなく使用した。(推定70%純度)ESIMS[M+H] m/z 488.329(実験値)、m/z 488.333(計算値)。
【0135】
樹脂上の8-Aoc-ffリンカーの合成
8-Aoc-ffリンカーを、以下のFmocプロトコルを使用して調製した。
【0136】
一般的なFmoc脱保護プロトコル
上記樹脂に結合したペプチドをDMF中の20%ピペリジンの溶液で15分間処理し、これを3回繰り返した。次に、この樹脂をDMFで3回及びDCMで3回連続的に洗浄した。
【0137】
Fmoc-アミノオクタン酸(Fmoc-8-Aoc-OH)を2-CT樹脂にロードするためのプロトコル
80mLのDCM中のFmoc-8-Aoc-OH(5.00g、13.1mmol、1.75当量)及びDIPEA(2当量AAに対して)を2-CT樹脂(7.50g、1mmol/g、1当量)に加え、撹拌した。2時間後、8mLのMeOHを加え、この樹脂をさらに30分間撹拌した。その樹脂を濾過し、DCMで3回、DMFで3回、DCMで3回,MeOHで2回及びEtOで2回連続的に洗浄し、乾燥した。樹脂ローディングを下記等式を使用して算出し、0.628mmol/g(全部で6.16mmol)であることが判明した。
【数2】
【0138】
Fmoc-D-Phe-OHを樹脂とカップリングするためのプロトコル
Fmoc-D-Phe-OH(2当量)を、NMP中のHATU(AAに対して0.96当量)及びDIPEA(AAに対して2当量)を使用して活性化した。5分後、この溶液を樹脂に加え、12時間以上撹拌した。その樹脂を濾過し、DMFで1回、DCMで3回及びDMFで3回連続的に洗浄した。次に、このカップリングを上記のように12時間以上繰り返し、その後、濾過し、DMFで1回、DCMで3回及びDMFで3回連続的に洗浄した。
【0139】
樹脂開裂プロトコル
上記樹脂をDCMで数回洗浄し、次いで2つの50mLファルコンチューブに移した。DCM中の5%TFA(75mL)を加え、この樹脂を室温で2時間激しく撹拌した。その樹脂を濾過し、DCM中の5%TFA15mLで2回洗浄した。濾液を集め、N気流のもとで溶媒を減量した。この粗製ペプチドを50/50 水/MeCNに再溶解させ、凍結乾燥し、粗製ペプチドを得た。この粗製ペプチドをさらに精製することなく使用した。
【0140】
トリフルオロアセトアミド保護
【化19】
上記粗製ペプチドリンカー(1.35g、純粋だとすれば2.98mmol、1当量)が入っているフラスコに、MeOH(10mL)中のトリフルオロ酢酸エチル(0.532mL、4.47mmol、1.5当量)及びDIPEA(1.04mL、5.96mmol、2当量)を加えた。この反応物を室温で一晩撹拌し、出発物質の完全変換についてMS及び分析用HPLCによりモニタリングした。MeOHを真空中で減量し、EtOAc/0.01M HClをこの反応物に加えた。有機層を分離し、0.01M HClで3回及びブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、溶媒を真空中で除去し、乾燥して粗生成物(0.985g)を得て、これをさらに精製することなく使用した。Orbitrap-MS[M+H] m/z 550.253(実験値)、m/z 550.252(計算値),[2M+H] m/z 1099.498(実験値)、m/z 1099.497(計算値)。
【0141】
尿素-リンカーカップリング
【化20】
上記粗製TFA保護リンカー(0.985g、純粋だとすれば1.79mmol、1当量)が入っているフラスコに、DMF(5mL)中のHATU(0.608g、1.6mmol、0.89当量)及びDIPEA(0.56mL、3.2mmol、1.79当量)を加え、室温で撹拌した。5分後、上記脱保護した尿素(約1.5mmol)を加え、この反応物をMS及び分析用HPLCにより一晩モニタリングした。24時間後、水中のKCOを加え、この反応物を60℃に一晩加熱し、トリフルオロアセトアミド保護基の除去についてモニタリングした。この反応物を水(150mL)で希釈し、EtOで3回抽出した。このエーテル画分を合わせ、水、0.01M HClで3回及びブラインで洗浄し、MgSOで乾燥した。水層は、0.1M HClを用いて酸性にし、EtOで抽出し、水、0.01M HCl、及びブラインで洗浄し、MgSOで乾燥した。このエーテル層を合わせ、溶媒を真空中で除去し、粗生成物を水中の80%MeCNに溶解させ、Phenomenex Luna 5μ 100Å C18 21.2×250mmセミ分取用カラムでの8mL/分のRP-HPLC(35分にわたって60~77%)により精製した。生成物を含有する画分を集め、凍結乾燥し、生成物をふわふわした白色粉末として得た(49.6mg、98%+純度)。Orbitrap-MS[M+H] m/z 923.586(実験値)、m/z 923.585(計算値),[M+2H] m/z 462.297(実験値)、m/z 462.296(計算値)。
【0142】
(tBoc)4-5CoSar-Plusの合成
(tBoc)4-5CoSar-Plusは、Ma,M.T.;Cooper,M.S.;Paul,R.L.;Shaw,K.P.;Karas,J.A.;Scanlon,D.;White,J.M.;Blower,P.J.;Donnelly,P.S. Inorg Chem 2011,50,6701にある手順に従って調製できる。
【0143】
CoSar-(PSMA)の合成
【化21】
エッペンドルフチューブに、NMP(500μL)中の(tBoc)4-5COSar-Plus(25.3mg、0.027mmol、1当量)、HATU(20.4mg、0.054mmol、2当量)、及びDIPEA(18.7μL、0.107mmol、4当量)を加えた。この混合物を10分間振盪して活性化させ、次いでNMP(400μL)中の純粋な上記PSMAリンカー-尿素(49.6mg、0.054mmol、2当量)が入っている2mLマイクロ波バイアルに加えた。この反応物をマイクロ波反応器の中で、60℃で10分間撹拌し、冷却し、出発物質の完全消費を示すためにMS及び分析用HPLCにより分析した。この反応物に水中の72%MeCN1.8mLを加え、Phenomenex Luna 5μ 100Å C18 21.2×250mmセミ分取用カラムでの8mL/分のRP-HPLC(60分にわたって60~90%)により精製した。生成物を含有する画分を集め、凍結乾燥し、保護された生成物をふわふわした白色粉末として得た(14.0mg、5.08μmol、18.9%収率)。この保護された生成物を水中の95%TFAに一晩溶解させ、50/50 MeCN/水で希釈し、凍結乾燥し、生成物を白色粉末として、三トリフルオロ酢酸塩一水和物として得た(12.1mg、5.08μmol)(rt:10.3分、96.4%純度)。Orbitrap-MS[M+2H] m/z 1009.065(実験値)、m/z 1009.066(計算値),[M+3H] m/z 673.046(実験値)、m/z 673.046(計算値)。
【0144】
放射標識
一定分量の64CuII(100~400MBq、0.01M HCl)を、0.1M NHOAc、pH5.5(500μL)、エタノール(100μL)、MilliQ水(300μL)、及びゲンチジン酸(1.2mg、MilliQ水中10mg/mL)を含有する溶液に加え、pHを測定した(pH:5)。この溶液に、CoSar-(PSMA)(20μg、8.4×10-3μmol、MilliQ中1mg/mL)を加え、この反応物を室温で30分間インキュベーションした。30分後、一定分量をRP-HPLCにより分析し、>97%放射化学的純度を有する生成物、64Cu-CoSar(PSMA)を決定した(rt:13.9分)。
【0145】
本明細書及び添付の特許請求の範囲の全体にわたって、文脈と矛盾する場合を除いて、語句「comprise(…を含む、備える)」並びに「comprises」及び「comprising」等の派生語は、記載された整数若しくは工程又は一群の整数若しくは工程の包含を含意し、他の整数若しくは工程又は一群の整数若しくは工程の排除を何ら含意するものではないことは理解されよう。
【0146】
本明細書中のあらゆる先行刊行物(若しくはそれから導かれる情報)への言及、又は公知であるあらゆる事項への言及は、先行刊行物(若しくはそれから導かれる情報)又は公知の事項が本明細書が関連する分野の共通一般知識の一部を構成するということを認めることでもなく、承認するものでもないし、何らかの形で示唆するものではないし、そのように解釈されるべきでもない。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11