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特許7506160教示装置、教示システム、及び教示プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】教示装置、教示システム、及び教示プログラム
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/22 20060101AFI20240618BHJP
   G05B 19/42 20060101ALI20240618BHJP
   G05B 19/409 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
B25J9/22 A
G05B19/42 P
G05B19/409 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022540298
(86)(22)【出願日】2021-07-26
(86)【国際出願番号】 JP2021027569
(87)【国際公開番号】W WO2022025001
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2023-02-07
(31)【優先権主張番号】P 2020127302
(32)【優先日】2020-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】星山 哲平
【審査官】杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/110601(WO,A1)
【文献】特開2019-089201(JP,A)
【文献】特開平9-85655(JP,A)
【文献】特開平6-270082(JP,A)
【文献】特開2006-331188(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 ~ 21/02
G05B 19/18 ~ 19/416
19/42 ~ 19/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットプログラムの作成画面を表示可能なユーザインタフェース部と、
以前教示した教示点を前記作成画面上に表示する制御を行う教示点表示制御部と、
表示した前記教示点の中から特定の教示点を選択する教示点選択部と、
選択した前記教示点を作成中の前記ロボットプログラムの新たな教示点に流用する教示点流用部と、
以前教示した前記教示点と前記新たな教示点を関連付ける教示点関連付け部と、
前記教示点の教示位置を修正した場合に、前記教示点に関連付けられている残りの教示点の教示位置にも前記修正を反映する関連教示点修正部と、を備え、
以前教示した前記教示点は、作成中の前記ロボットプログラムで以前教示した教示点と、前記ロボットプログラムとは異なる他のロボットプログラムで以前教示した教示点と、のうちの少なくとも一方を含む、教示装置。
【請求項2】
前記教示点表示制御部は、以前教示した前記教示点を特定位置の近傍で探索して前記作成画面上に表示する、請求項1に記載の教示装置。
【請求項3】
前記関連教示点修正部は、前記教示点の教示位置を修正した場合、前記教示点における教示姿勢と、前記教示点に関連付けられている前記教示点における教示姿勢と、を纏めて修正する、請求項に記載の教示装置。
【請求項4】
前記教示点流用部は、選択した前記教示点の教示位置及び教示姿勢の少なくとも一方を前記新たな教示点の教示位置及び教示姿勢の少なくとも一方に複製する、請求項1から3のいずれか一項に記載の教示装置。
【請求項5】
前記教示点流用部は、選択した前記教示点をそのまま前記新たな教示点として使用する、請求項1又は2に記載の教示装置。
【請求項6】
ロボットプログラムの作成画面を表示可能な教示装置と、
以前教示した教示点を前記作成画面上に表示する制御を行い、表示した前記教示点の中から特定の教示点を選択し、選択した前記教示点を作成中の前記ロボットプログラムの新たな教示点に流用し、以前教示した前記教示点と前記新たな教示点を関連付け、前記教示点の教示位置を修正した場合に、前記教示点に関連付けられている残りの教示点の教示位置にも前記修正を反映するロボット制御装置と、を備え、
以前教示した前記教示点は、作成中の前記ロボットプログラムで以前教示した教示点と、前記ロボットプログラムとは異なる他のロボットプログラムで以前教示した教示点と、のうちの少なくとも一方を含む、教示システム。
【請求項7】
以前教示した教示点をロボットプログラムの作成画面上に表示する制御を行う手順と、
表示した前記教示点の中から特定の教示点を選択する手順と、
選択した前記教示点を作成中の前記ロボットプログラムの新たな教示点に流用する手順と、
以前教示した前記教示点と前記新たな教示点を関連付ける手順と、
前記教示点の教示位置を修正した場合に、前記教示点に関連付けられている残りの教示点の教示位置にも前記修正を反映する手順と、
をコンピュータに実行させ、
以前教示した前記教示点は、作成中の前記ロボットプログラムで以前教示した教示点と、前記ロボットプログラムとは異なる他のロボットプログラムで以前教示した教示点と、のうちの少なくとも一方を含む、教示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットの教示技術に関し、特に教示点流用機能を備えた教示装置、教示システム、及び教示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般にロボットの教示又は状態の確認は表示装置付きの教示操作盤から行われる。例えばハンドリングを行うロボットであれば、教示点と呼ばれるロボットの目標位置を教示し、続いてハンドの開閉を教示することで、ロボットプログラムを作成し、作成したロボットプログラムを実行することでハンドリングを実現する。
【0003】
既に教示済みの教示点に近い位置又は同じ位置を新たな教示点として教示する際、教示済みの教示点をどのロボットプログラムで教示したかを探す必要があり、教示作業の効率が低下する。また、同じ教示位置の教示点が複数あり、各教示点が別のものとして教示されていると、これら教示点のうちいずれか一つの教示点の教示位置を修正した場合に、元々同じ教示位置であった別の教示点へも修正を行う必要が生じる。しかし、修正を忘れてロボットを動作させると事故が発生する可能性がある。教示点に関するロボットプログラミング技術としては、例えば後述の文献が公知である。
【0004】
特許文献1には、グラフィック表示装置の表示画面上にタッチパネルが設けられ、画面上の任意の場所を指先で触れることによりその場所を表す画面上の位置情報がロボット教示操作盤に入力され、表示画面上に教示点を立体的にグラフィック表示し、必要ならロボットの現在位置を同時に表示させ、さらに教示点を指で触れて指定し、その教示点を予め規定した平面内で移動させることができるロボットの教示操作盤が記載されている。
【0005】
特許文献2には、ロボットの手先及び補軸の現在の位置から既に教示済みの複数の教示点までの距離を算出する手段と、算出した複数の教示点の中から距離が最も近い教示点を選択する手段と、ロボット及び補軸について選択された教示点が異なる場合は、それぞれ異なった教示点に移動させる手段と、を備えた補軸を有するロボットの制御方法が記載されている。
【0006】
特許文献3には、作業プログラムに含まれる予め教示した複数の異なる教示点に関し、いずれかの教示点の位置データが修正されたか否かを判断する判断部と、判断部が複数の異なる教示点のうち第1教示点の位置データが修正されたと判断したときに、複数の異なる教示点の相対位置関係を予め規定した教示点ルールに従い、第1教示点に対して相対位置関係を有する相関教示点の位置データを修正するデータ修正部と、を具備する、教示点修正装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平9-85655号公報
【文献】特開平6-270082号公報
【文献】特開2006-331188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来の問題点に鑑み、ロボットに対する教示作業の効率を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様は、ロボットプログラムの作成画面を表示可能なユーザインタフェース部と、以前教示した教示点を作成画面上に表示する制御を行う教示点表示制御部と、表示した教示点の中から特定の教示点を選択する教示点選択部と、選択した教示点を作成中のロボットプログラムの新たな教示点に流用する教示点流用部と、以前教示した教示点と新たな教示点を関連付ける教示点関連付け部と、教示点の教示位置を修正した場合に、教示点に関連付けられている残りの教示点の教示位置にも修正を反映する関連教示点修正部と、を備え、以前教示した教示点は、作成中のロボットプログラムで以前教示した教示点と、そのロボットプログラムとは異なる他のロボットプログラムで以前教示した教示点と、のうちの少なくとも一方を含む、教示装置を提供する。
本開示の他の態様は、ロボットプログラムの作成画面を表示可能な教示装置と、以前教示した教示点を作成画面上に表示する制御を行い、表示した教示点の中から特定の教示点を選択し、選択した教示点を作成中のロボットプログラムの新たな教示点に流用し、以前教示した教示点と新たな教示点を関連付け、教示点の教示位置を修正した場合に、教示点に関連付けられている残りの教示点の教示位置にも修正を反映するロボット制御装置と、を備え、以前教示した教示点は、作成中のロボットプログラムで以前教示した教示点と、そのロボットプログラムとは異なる他のロボットプログラムで以前教示した教示点と、のうちの少なくとも一方を含む、教示システムを提供する。
本開示の別の態様は、以前教示した教示点をロボットプログラムの作成画面上に表示する制御を行う手順と、表示した教示点の中から特定の教示点を選択する手順と、選択した教示点を作成中のロボットプログラムの新たな教示点に流用する手順と、以前教示した教示点と新たな教示点を関連付ける手順と、教示点の教示位置を修正した場合に、教示点に関連付けられている残りの教示点の教示位置にも修正を反映する手順と、をコンピュータに実行させ、以前教示した教示点は、作成中のロボットプログラムで以前教示した教示点と、そのロボットプログラムとは異なる他のロボットプログラムで以前教示した教示点と、のうちの少なくとも一方を含む、教示プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一態様によれば、作成中のロボットプログラムで以前教示した教示点に加え、そのロボットプログラムとは異なる他のロボットプログラムで以前教示した教示点を新たな教示点に流用できるため、ロボットに対する教示作業の効率を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態のロボットシステムの概略図である。
図2】一実施形態の教示装置のブロック図である。
図3】教示装置の変形例を示すブロック図である。
図4】一実施形態の教示点表示画面のグラフィック図である。
図5】一実施形態のロボットプログラム作成画面のグラフィック図である。
図6】一実施形態の教示点表示画面のグラフィック図である。
図7】一実施形態のロボットプログラム作成画面のグラフィック図である。
図8】一実施形態の教示姿勢修正画面のグラフィック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本開示の実施形態を詳細に説明する。各図面において、同一又は類似の構成要素には同一又は類似の符号が付与されている。また、以下に記載する実施形態は、特許請求の範囲に記載される発明の技術的範囲及び用語の意義を限定するものではない。
【0013】
図1は一実施形態のロボットシステム1の概略図である。ロボットシステム1は、ロボット2と、ロボット2を制御可能なロボット制御装置3と、ロボット制御装置3で実行されるロボットプログラムを作成可能な教示装置4と、を備えている。ロボット2は、例えば多関節ロボットであるが、パラレルリンク型ロボット、ヒューマノイド等の他の形態のロボットでもよい。ロボット制御装置3は、例えばCPU(central processing unit)、ASIC(application specific integrated circuit)、FPGA(field-programmable gate array)等のプロセッサ、集積回路等を備えたコンピュータ装置である。教示装置4は、例えばプロセッサ、集積回路等を備えたタブレット等の携帯端末であるが、ロボット制御装置3の教示操作盤でもよい。教示装置4は、ロボットプログラムの作成画面を表示可能なユーザインタフェース部5(以下では単に「UI部」という)を少なくとも備えている。UI部5は、種々の情報を表示する表示機能と、種々の情報を入力する入力機能と、を少なくとも備えた装置であればよい。例えばUI部5は、表示部の表示画面上にタッチパネルを設けたタッチパネル装置でよい。ロボット2、ロボット制御装置3、及び教示装置4は、有線又は無線を介して通信可能に相互接続される。
【0014】
図2は一実施形態の教示装置4のブロック図である。教示装置4は、上記UI部5に加え、以前教示した教示点を作成中のロボットプログラムの作成画面上に表示する制御を行う教示点表示制御部6と、表示した教示点の中から特定の教示点を選択する教示点選択部7と、選択した教示点を作成中のロボットプログラムの新たな教示点に流用する教示点流用部8と、を備えている。なお、本書において「教示点」とは、ロボット2の動作経路上の通過点を意味し、例えばハンドリングを行うロボットでは、ツール中心点(TCP)、つまりハンドの把持中心点である。或いは、「教示点」は、ロボット2の先端点、つまりハンド等のツールを取付けるフランジ中心点でもよい。
【0015】
また、教示装置4は、以前教示した教示点と新たな教示点を関連付ける教示点関連付け部9を備えているとよい。さらに、教示装置4は、教示点の教示位置を修正した場合に、教示点に関連付けられている残りの教示点の教示位置にもその修正を反映する関連教示点修正部10を備えているとよい。これら「~部」という構成要素(教示点表示制御部6、教示点選択部7、教示点流用部8、教示点関連付け部9、及び関連教示点修正部10)の一部又は全部は、CPU、ASIC、FPGA等のプロセッサ、集積回路等で実装されてもよいし、又はプロセッサで実行可能な教示プログラムとして実装されてもよい。
【0016】
教示装置4の上記構成は一例であり、他の形態を採用してもよいし又は他の構成要素を追加してもよい。例えば図3は教示装置4の変形例を示すブロック図である。教示装置4はロボット制御装置3に付随した教示操作盤でもよく、この場合、教示装置4はロボットプログラムの作成画面を表示可能なUI部5のみを備える。他の構成要素(教示点表示制御部6、教示点選択部7、教示点流用部8、教示点関連付け部9、及び関連教示点修正部10)の一部又は全部は、ロボット制御装置3側で実装される。このようなロボット制御装置3及び教示装置4で構成された教示システム11は、ホストコンピュータのような集中システムの形態や、クラウドコンピューティングのような分散システムの形態を採用してもよい。
【0017】
以下、教示装置4又は教示システム11の動作について詳述する。図4は一実施形態の教示点表示画面のグラフィック図である。例えばハンドリングをロボット2に実行させるロボットプログラムAを作成中であるとする。教示点a1~a3、b1~b3、及びc1~c3は、ロボットプログラムA、B、Cで既に教示済みの教示点である。本例では、ロボットプログラムA、B、Cの教示点が表示されているが、作成中のロボットプログラムAの教示点のみが表示されてもよいし、又はロボットプログラムB、Cの教示点が表示されてもよいし、又は他のロボットプログラム(図示せず)の教示点が表示されることもある。例えばロボットプログラムAを実行すると、ロボット2は、教示点a1からa3へ、つまり教示点の符号の小さい番号から大きい番号へ移動する。他のプログラムB、Cについても同様である。また、点Pはロボット2の現在位置である。なお、本書において「ロボットの現在位置」とは、ツール中心点(TCP)、例えばハンドの把持中心点であるが、ロボット2の先端点、例えばツールを取付けるフランジ中心点でもよい。
【0018】
このような状況で、ロボットプログラムAの一つの教示点a3から次の教示点a4を追加するとする。例えばロボットプログラムBの教示点b2に配置したワークをロボットプログラムAの教示点a4で回収したい場合、ロボットプログラムBで以前教示した教示点b2の教示位置と同じ位置で教示点a4を教示できれば、教示作業の効率を改善できる。そこで、以下の手順を踏むことで、教示点b2の教示位置を容易に流用できる。
【0019】
図5は一実施形態のロボットプログラム作成画面12(以下では単に「作成画面」という)のグラフィック図である。ロボットプログラムAの4行目に教示点a4を追加する場合、以下の手順で教示点b2の教示位置を流用する。
<1>ロボットプログラムAの4行目にカーソルを合わせる。
<2>教示点a4を追加する命令である「ポイント」ボタンを押下する。
<3>ポップアップ表示された教示点追加方法一覧から「3:現在位置から探す」を選択する。これにより、教示点表示制御部6がロボット2の現在位置Pの周囲にある教示点を作成画面12上にポップアップ表示する。
【0020】
図6は一実施形態の教示点表示画面のグラフィック図である。教示点表示制御部6は、現在位置Pの周囲にある教示点全てを作成画面12上にポップアップ表示してもよいが、教示点が膨大で表示処理が遅くなる可能性があるため、ロボット2の現在位置Pに近い教示点を探索し、現在位置Pの近傍の教示点a1~a3、b1~b3、及びc1~c3のみを作成画面12上に表示するとよい。また、教示点表示制御部6は、ロボット2の現在位置Pの周囲にある教示点ではなく、ユーザが選択した教示点の周囲にある教示点や、ユーザが望んだ位置の周囲にある教示点を作成画面12上に表示してもよい。つまり、教示点表示制御部6は、以前教示した教示点を、現在位置Pや、ユーザが選択した教示点や、ユーザが望んだ位置といった特定位置の近傍で探索し、作成画面12上に表示する。なお、本書において「近傍」とは、特定位置から所定距離内にあることを意味する。
【0021】
続いて、以下の手順を行い、教示点b2の教示位置を流用する。
<4>ポップアップ表示された教示点グラフィック図13や、ポップアップ表示された教示点一覧表14等の図表から、教示点b2を選択する。この選択機能は、教示点選択部7によって実現される。教示点選択部7は、ユーザが手動で教示点b2を選択する手動選択機能を提供するが、近傍の教示点を探索した場合は、コンピュータが最も近い教示点b2を自動的に選択する自動選択機能を提供してもよい。
【0022】
教示点b2を選択すると、教示点流用部8は、選択したロボットプログラムBの教示点b2をロボットプログラムAの新たな教示点a4に流用する。具体的には、教示点流用部8は、選択した教示点b2の教示位置を新たな教示点a4の教示位置に複製する。この場合、教示点a4と教示点b2の教示位置は同じであるが、教示点としては別の点としてメモリ(図示せず)に記憶される。或いは、教示点流用部8は、選択した教示点b2をそのまま新たな教示点として使用してもよい。この場合、教示点の数が削減され、ロボットプログラムが見やすくなるため、教示作業の効率がさらに改善される。
【0023】
教示点b2を別の点として教示点a4に流用する場合、教示点b2や教示点a4の教示位置を修正すると、元々同じ教示位置であった他の教示点にも修正を反映させる必要がある。そこで、以下の手順を行い、教示点a4と教示点b2を関連付けておくとよい。
<5>ポップアップ表示された教示点関連付け要否一覧15から「1:はい」を選択する。これにより、教示点関連付け部9は教示点a4と教示点b2を関連付ける。例えば教示点a4と教示点b2を関連付けてメモリ(図示せず)に記憶しておくとよい。
【0024】
その後、教示点a4の教示位置を修正した場合、以下の手順を行い、関連付けられている教示点b2の教示位置にも修正を反映する。図7はロボットプログラム作成画面12のグラフィック図である。
<6>教示点a4を修正するため、ロボットプログラムAの4行目にカーソルを合わせる。
<7>「イチ修正」ボタンを押下して教示点a4の教示位置を修正する。
<8>ポップアップ表示された関連教示点修正要否一覧16から「1:はい」を選択する。これにより、関連教示点修正部10は、教示点b2の教示位置にも教示点a4の教示位置の修正を反映する。逆に、教示点b2の教示位置を修正した場合、関連教示点修正部10は、教示点a4の教示位置にも教示点b2の教示位置の修正を反映する。また、関連付けられている教示点が3点以上あり、いずれか一つの教示点が修正されたときは、関連教示点修正部10は、残りの教示点全ての教示位置にもその修正を反映する。これにより、同一の教示位置の教示点の修正忘れを防止でき、ひいてはロボットの誤作動を防止できる。
【0025】
また教示点の教示位置を修正した場合、その教示点における教示姿勢と、その教示点に関連付けられている教示点における教示姿勢も纏めて修正するとよい。図8は一実施形態の教示姿勢修正画面17のグラフィック図である。ロボット2の教示位置Pが同一であっても、そこに到達した際のロボットの姿勢は、姿勢Aや姿勢Bのように異なる可能性がある。ロボット2の姿勢についても適した教示を行わなければ、ロボット2が不要な動作を行い、ロボット本体が障害物とぶつかる可能性がある。そこで、関連教示点修正部10は、教示点の教示位置Pを修正した場合、その教示点における教示姿勢と、その教示点に関連付けられている教示点における教示姿勢と、を纏めて修正する機能を提供するとよい。なお、関連教示点修正部10は、教示位置Pを修正した場合に限らず、教示点の教示姿勢を修正した場合には、その教示点に関連付けられている教示点における教示姿勢にも修正を反映するとよい。これにより、同一の教示姿勢の教示点の修正忘れを防止でき、ひいてはロボットの誤作動を防止できる。
【0026】
以上の実施形態によれば、ロボットに対する教示作業の効率を改善できる。なお、教示装置4又は教示システム11の上記動作は一例であり、他の動作を追加してもよいことに留意されたい。例えば教示点流用部8は、教示点選択部8が選択した教示点b2における教示姿勢を新たな教示点a4における教示姿勢に複製してもよい。
【0027】
また、前述のプロセッサ、集積回路等で実行されるプログラムは、コンピュータ読取り可能な非一時的記録媒体、例えばCD-ROM等に記録して提供してもよいし、或いは有線又は無線を介してWAN(wide area network)又はLAN(local area network)上のサーバ装置から配信して提供してもよい。
【0028】
本明細書において種々の実施形態について説明したが、本発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において種々の変更を行えることを認識されたい。
【符号の説明】
【0029】
1 ロボットシステム
2 ロボット
3 ロボット制御装置
4 教示装置
5 ユーザインタフェース部(UI部)
6 教示点表示制御部
7 教示点選択部
8 教示点流用部
9 教示点関連付け部
10 関連教示点修正部
11 教示システム
12 ロボットプログラミング作成画面
13 教示点グラフィック図
14 教示点一覧表
15 教示点関連付け要否一覧
16 関連教示点修正要否一覧
17 教示姿勢修正画面
a1~a4、b1~b3、c1~c3 教示点
P 現在位置(教示位置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8