(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】液圧式の非人力・車両ブレーキ設備のハイドロリックユニットのためのハイドリックブロック
(51)【国際特許分類】
B60T 8/36 20060101AFI20240618BHJP
B60T 13/138 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
B60T8/36
B60T13/138 A
(21)【出願番号】P 2022548819
(86)(22)【出願日】2020-12-09
(86)【国際出願番号】 EP2020085221
(87)【国際公開番号】W WO2021164917
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】102020202048.5
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ヴェー,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】タンドラー,ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー,マティアス
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-088227(JP,A)
【文献】特表2019-503937(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0298675(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102014213732(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 7/12-8/1769
B60T 8/32-8/96
B60T 13/00-13/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液圧式の非人力・車両ブレーキ設備のハイドロリックユニットのためのハイドロリックブロックであって、マスタブレーキシリンダボア(6’)と非人力シリンダボア(12’)とを有し、前記ハイドロリックブロック(3)はブレーキ液備蓄容器(13)のための接続部(36)を前記ハイドロリックブロック(3)の上面(34)に有し、前記マスタブレーキシリンダボア(6’)は前記上面(34)に対して平行に前記ハイドロリックブロック(3)に配置され、および、前記マスタブレーキシリンダボア(6’4)をその他の車両ブレーキ設備から液圧的に分離可能である分離弁(15)のための収容部(15’)を有する、ハイドロリックブロックにおいて、前記分離弁(15)のための前記収容部(15’)は前記上面(34)と前記マスタブレーキシリンダボア(6’)との間で前記ハイドロリックブロック(3)に配置され
前記ブレーキ液備蓄容器(13)のための前記接続部(36)は前記ハイドロリックブロック(3)の前記上面(34)にある窪みとして構成され、前記窪みの底面に逆止め弁(19)が配置されることを特徴とする、ハイドロリックブロック。
【請求項2】
前記分離弁(15)のための前記収容部(15’)は
、バルブ面(31)またはモータ面(32)から見て、前記上面(34)に対して平行に前記ブレーキ液備蓄容器(13)のための前記接続部(36)に対して側方にオフセットされて前記ハイドロリックブロック(3)に配置されることを特徴とする、請求項1に記載のハイドロリックブロック。
【請求項3】
前記ハイドロリックブロック(3)は、前記ハイドロリックブロック(3)の前記上面(34)に接していて前記マスタブレーキシリンダボア(6’)に対して平行な前記ハイドロリックブロック(3)のモータ面(32)で前記上面(34)と前記マスタブレーキシリンダボア(6’)との間に、車両ブレーキ設備(1)の圧力制御モジュール(4)へのブレーキ液配管(14)のための接続部(16)としての窪みを有し、前記逆止め弁(19)は3つのボア(37,38,39)によって前記ブレーキ液配管(14)のための前記接続部(16)と接続され、そのうち第1のボア(37)は前記逆止め弁(19)のための前記収容部(19’)から前記ハイドロリックブロック(3)の前記上面(34)に対して平行に第2のボア(38)まで通じており、前記第2のボアは前記ハイドロリックブロック(3)の前記上面(34)に対して垂直に前記ハイドロリックブロック(3)の前記上面(34)の方向に延びて第3のボア(39)へと通じており、前記第3のボアは前記モータ面(32)に対して垂直に前記ハイドロリックブロック(3)の前記モータ面(32)にある前記圧力制御モジュール(4)への前記ブレーキ液配管(14)のための前記接続部(16)の底面へと連通することを特徴とする、請求項1に記載のハイドロリックブロック。
【請求項4】
前記ハイドロリックブロック(3)はマスタブレーキシリンダ(6)のための圧力センサ(22)のための収容部(22’)を有し、前記収容部は前記ハイドロリックブロック(3)のバルブ面(31)に配置されるとともに、前記収容部(22’)の底面から前記マスタブレーキシリンダボア(6’)へと通じるボアによって前記マスタブレーキシリンダボア(6’)と接続されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のハイドロリックブロック。
【請求項5】
前記ハイドロリックブロック(3)は、前記ハイドロリックブロック(3)の下面(35)のほうを向く前記マスタブレーキシリンダボア(6’)の側で、前記上面(34)に接していて前記マスタブレーキシリンダボア(6’)に対して平行な前記ハイドロリックブロック(3)のモータ面(32)に非人力シリンダボア(12’)を有し、および、前記非人力シリンダボア(12’)に対して平行に前記ハイドロリックブロック(3)のバルブ面(31)に配置された非人力弁(17)のための収容部(17’)を有し、前記非人力弁によって前記非人力シリンダボア(12’)を前記車両ブレーキ設備(1)の圧力制御モジュール(4)への前記ブレーキ液配管(14)のための前記ハイドロリックブロック(3)の前記接続部(16)と接続可能であり、接線方向または割線方向で前記非人力シリンダボア(12’)へと連通する前記ハイドロリックブロック(3)にあるボア(42)が前記非人力弁(17)のための前記収容部(17’)を前記非人力シリンダボア(12’)と接続することを特徴とする、請求項3に記載のハイドロリックブロック。
【請求項6】
前記ハイドロリックブロック(3)は非人力シリンダ(12)のための圧力センサ(23)のための収容部(23’)を有し、前記収容部は前記マスタブレーキシリンダボア(6’)と前記バルブ面(31)との間で前記ハイドロリックブロック(3)の前記バルブ面(31)に配置されるとともに、前記非人力弁(17)のための前記収容部(17’)を前記非人力シリンダボア(12’)と接続する前記ボア(42)へと連通するボアによって前記非人力シリンダボア(12’)と接続されることを特徴とする、請求項5に記載のハイドロリックブロック。
【請求項7】
液圧式の非人力・車両ブレーキ設備のハイドロリックユニットのためのハイドロリックブロックであって、マスタブレーキシリンダボア(6’)と非人力シリンダボア(12’)とを有し、前記ハイドロリックブロック(3)はブレーキ液備蓄容器(13)のための接続部(36)を前記ハイドロリックブロック(3)の上面(34)に有し、前記マスタブレーキシリンダボア(6’)は前記上面(34)に対して平行に前記ハイドロリックブロック(3)に配置され、および、前記マスタブレーキシリンダボア(6’4)をその他の車両ブレーキ設備から液圧的に分離可能である分離弁(15)のための収容部(15’)を有する、ハイドロリックブロックにおいて、前記分離弁(15)のための前記収容部(15’)は前記上面(34)と前記マスタブレーキシリンダボア(6’)との間で前記ハイドロリックブロック(3)に配置され、
前記ハイドロリックブロック(3)は、前記ハイドロリックブロック(3)の下面(35)のほうを向く前記マスタブレーキシリンダボア(6’)の側で、前記上面(34)に接していて前記マスタブレーキシリンダボア(6’)に対して平行な前記ハイドロリックブロック(3)のモータ面(32)に非人力シリンダボア(12’)を有し、および、前記非人力シリンダボア(12’)に対して平行に前記ハイドロリックブロック(3)のバルブ面(31)に配置された圧力リリーフ弁(18)のための収容部(18’)を有し、前記圧力リリーフ弁によって前記非人力シリンダボア(12’)を前記ブレーキ液備蓄容器(13)のための前記ハイドロリックブロック(3)の接続部(36)と接続可能であり、接線方向または割線方向で前記非人力シリンダボア(12’)へと連通する前記ハイドロリックブロック(3)にあるボア(44)が前記圧力リリーフ弁(18)のための前記収容部(18’)を前記非人力シリンダボア(12’)と接続することを特徴とする、ハイドロリックブロック。
【請求項8】
液圧式の非人力・車両ブレーキ設備のハイドロリックユニットのためのハイドロリックブロックであって、マスタブレーキシリンダボア(6’)と非人力シリンダボア(12’)とを有し、前記ハイドロリックブロック(3)はブレーキ液備蓄容器(13)のための接続部(36)を前記ハイドロリックブロック(3)の上面(34)に有し、前記マスタブレーキシリンダボア(6’)は前記上面(34)に対して平行に前記ハイドロリックブロック(3)に配置され、および、前記マスタブレーキシリンダボア(6’4)をその他の車両ブレーキ設備から液圧的に分離可能である分離弁(15)のための収容部(15’)を有する、ハイドロリックブロックにおいて、前記分離弁(15)のための前記収容部(15’)は前記上面(34)と前記マスタブレーキシリンダボア(6’)との間で前記ハイドロリックブロック(3)に配置され、
前記ハイドロリックブロック(3)は、前記ハイドロリックブロック(3)の下面(35)のほうを向く前記マスタブレーキシリンダボア(6’)の側で、前記上面(34)に接していて前記マスタブレーキシリンダボア(6’)に対して平行な前記ハイドロリックブロック(3)のバルブ面(31)にペダルストロークシミュレータシリンダボア(20’)を有し、および、前記バルブ面(31)と向かい合う前記ハイドロリックブロック(3)の前記バルブ面(31)に前記ペダルストロークシミュレータシリンダボア(20’)と前記マスタブレーキシリンダボア(6’)との間にシミュレータ弁(21)のための収容部(21’)を有することを特徴とする、ハイドロリックブロック。
【請求項9】
液圧式の非人力・車両ブレーキ設備のハイドロリックユニットのためのハイドロリックブロックであって、マスタブレーキシリンダボア(6’)と非人力シリンダボア(12’)とを有し、前記ハイドロリックブロック(3)はブレーキ液備蓄容器(13)のための接続部(36)を前記ハイドロリックブロック(3)の上面(34)に有し、前記マスタブレーキシリンダボア(6’)は前記上面(34)に対して平行に前記ハイドロリックブロック(3)に配置され、および、前記マスタブレーキシリンダボア(6’4)をその他の車両ブレーキ設備から液圧的に分離可能である分離弁(15)のための収容部(15’)を有する、ハイドロリックブロックにおいて、前記分離弁(15)のための前記収容部(15’)は前記上面(34)と前記マスタブレーキシリンダボア(6’)との間で前記ハイドロリックブロック(3)に配置され、
前記ハイドロリックブロック(3)は、前記非人力シリンダボア(12’)と前記ハイドロリックブロック(3)の下面(35)との間に、非人力ブレーキ圧生成器(7)の電気モータ(10)への電気的な電流供給のための1つまたは複数のモータ接続ボア(33)を有し、および/または前記非人力シリンダボア(12’)と前記ハイドロリックブロック(3)の角との間に信号ボア(40)を有することを特徴とする、ハイドロリックブロック。
【請求項10】
前記ハイドロリックブロック(3)は前記マスタブレーキシリンダボア(6’)に対して平行に前記マスタブレーキシリンダボア(6’)の近傍に位置検出器ボア(46)を有することを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載のハイドロリックブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提項の構成要件を有する、液圧式の非人力・車両ブレーキ設備のハイドロリックユニットのためのハイドロリックブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、スリップコントロールされる液圧式の非人力・車両ブレーキ設備のハイドロリックユニットのための細長い直方体のハイドロリックブロックを開示しており、該ハイドロリックブロックには、1つの幅狭面からこれと向かい合う幅狭面へと連続するようにマスタブレーキシリンダボアが設けられるとともに、ハイドロリックブロックの2つの向かい合う幅広の面を通って同じく連続するように非人力シリンダボアがマスタブレーキシリンダボアに対して垂直に設けられている。さらに、この公知のハイドロリックブロックは、ペダルストロークシミュレータのための収容部としての止まり穴を有している。非人力によるブレーキ圧の生成のために、非人力ピストンが非人力シリンダボアの中で電気モータによりボールねじを介してスライド可能である。電気モータは、ハイドロリックブロックの外側で非人力シリンダボアに対して同軸に配置されており、ボールねじは-同じく電気モータおよび非人力シリンダボアに対して同軸に-、電気モータと非人力ピストンとの間にある。電気モータとボールねじは非人力駆動装置を形成するとともに、非人力ピストンおよび非人力シリンダボアと共同で、液圧車両ブレーキ設備のための非人力ブレーキ圧生成器を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】独国特許出願公開第102016202113号明細書
【発明の概要】
【0004】
請求項1の構成要件を有する本発明のハイドロリックブロックは、液圧式の非人力・車両ブレーキ設備のハイドロリックユニットのために意図される。ハイドロリックユニットは、エンジンルームのそれぞれ異なる個所に、または自動車のその他の個所に格納することができる、それぞれ1つのハイドロリックブロックを有する複数のモジュールに下位区分されるのが好ましい。通常は直方体であるハイドロリックブロックがブレーキ配管によって相互に結合され、ハイドロリックブロックのうちの1つに液圧ホイールブレーキがブレーキ配管によって接続される。
【0005】
ハイドロリックブロックは、車両ブレーキ設備の液圧コンポーネントの機械的な取付、および液圧的な配管の役目を果たす。このような液圧コンポーネントは、特に、電磁弁、逆止め弁、ハイドロリックリザーバ、ダンパチャンバ、および圧力センサである。液圧コンポーネントは、多くの場合に円筒状の窪み、止まり穴、または貫通孔として部分的に直径段差を有するように構成される、ハイドロリックブロックの収容部に取り付けられる。「配管」とは、収容部ないしその中に取り付けられた液圧コンポーネントがハイドロリックブロックのパイプを通して、車両ブレーキ設備の液圧配線図に即して接続されることを意味する。ただしパイプは、典型的には、必ずしもハイドロリックブロックに穿孔されるのではない。
【0006】
ハイドロリックブロックは、車両ブレーキ設備ないしそのスリップコントロールの液圧コンポーネントが実装されてハイドロリックユニットを構成し、ここで「実装される」とは、液圧コンポーネントが、そのためにそれぞれ意図されるハイドロリックブロックの収容部に取り付けられることを意味する。
【0007】
本発明は、特に、ハイドロリックブロックにおける液圧コンポーネントないしその収容部の配置とそれらの液圧接続に照準を定める。
【0008】
本発明によるハイドロリックブロックは、ブレーキ液備蓄容器のための1つまたは複数の接続部をハイドロリックブロックの上面に有する。上面とは、特に、ハイドロリックブロックが意図される組付・使用位置にあるときに上側にある、ブレーキ液備蓄容器が上に配置されるハイドロリックブロックの幅狭面である。ブレーキ液備蓄容器のための接続部は、特に、ブレーキ液備蓄容器の底面から下方に突出する接続ニップルが液密に中に差し込まれた、または差し込まれる、窪みである。ブレーキ液備蓄容器が複数の接続ニップルを有し、本発明によるハイドロリックブロックの上面が、これらに適合するように配置された接続部を有するのが好ましい。
【0009】
さらに本発明によるハイドロリックブロックは、特にハイドロリックブロックの上面に対して平行にハイドロリックブロックに配置される、特に上面に接するハイドロリックブロックの幅狭面に連通するマスタブレーキシリンダボアを有する。マスタブレーキシリンダボアの中に、1つまたは複数のマスタブレーキシリンダピストンを、ブレーキ圧生成のために軸方向へスライド可能なように配置可能である。マスタブレーキシリンダピストンは、マスタブレーキシリンダボアの中で直接的に、またはマスタブレーキシリンダボアに配置されるシリンダブッシュの中で間接的に、案内されていてよい。マスタブレーキシリンダピストンのうちの1つはピストンロッドを介してフットブレーキペダルまたはハンドブレーキレバーと枢着結合され、そのようにして、筋力によりマスタブレーキシリンダボアの中でスライドさせることができる。ブレーキブースタによって、筋力を増強することができる。このマスタブレーキシリンダピストンは、一次ピストンまたはロッドピストンとも呼ばれる。1つまたは複数のその他のマスタブレーキシリンダピストンは、一次ピストンまたはロッドピストンにより生成されるブレーキ圧によってマスタブレーキシリンダボアの中でスライドする。これらのマスタブレーキシリンダピストンは、二次ピストンまたはフロートピストンとも呼ばれる。
【0010】
車両ブレーキ設備は分離弁を有し、該分離弁は特に電磁弁であり、これによってマスタブレーキシリンダボアをその他の車両ブレーキ設備から、特にブレーキ回路ないしホイールブレーキから、液圧的に分離可能である。分離弁のための収容部は、本発明によると、上面とマスタブレーキシリンダとの間でハイドロリックブロックに配置される。
【0011】
ここで弁または一般に液圧コンポーネントという用語を用いるときには、ハイドロリックブロックにおけるその収容部も意味されており、ハイドロリックブロックが実装されているか否かを問わず、すなわち、弁または液圧コンポーネントがその収容部に配置されているか否かを問わない。
【0012】
従属請求項は、独立請求項に記載されている発明の発展例や好ましい実施形態を対象としている。
【0013】
本発明の1つの実施形態は、ホイールブレーキ、ブレーキ回路、または車両ブレーキ設備の別のハイドロリックブロックをブレーキ配管と接続するための窪みを意図する。この接続は、たとえばねじ止めニップルまたは押込みニップルによって行われる。ブレーキ配管のための接続部を形成する窪みは、上面に接するとともにマスタブレーキシリンダに対して平行であるハイドロリックブロックの面に、上面とマスタブレーキシリンダとの間で設けられる。この面をここではモータ面と呼ぶ。
【0014】
逆止め弁のための収容部は、ブレーキ液備蓄容器のための接続部を形成する窪みの底面で省スペースに配置されていてよい。本発明の1つの実施形態は、ハイドロリックブロックにある3つのボアが、逆止め弁ないし逆止め弁のための収容部をブレーキ液配管のための接続部と接続することを意図する。第1のボアは、逆止め弁のための収容部からハイドロリックブロックの上面に対して平行に第2のボアへと通じ、この第2のボアは、ハイドロリックブロックの上面に対して垂直に上面の方向に延びる。第2のボアは第3のボアへと通じ、この第3のボアは、ブレーキ液配管のための接続部の底面へと垂直に連通する。
【0015】
非人力によるブレーキ圧生成のために、本発明の1つの実施形態は、非人力ピストンがたとえば電気モータによりねじ伝動装置を介して、またはその他の回転/並進・変換伝動装置によって中でスライド可能であるハイドロリックブロックの非人力シリンダボアを有する、非人力ブレーキ圧生成器を意図する。電気モータとねじ伝動装置の間に、機械式の減速ギヤが設けられていてよい。電気モータとねじ伝動装置が非人力ピストンのための電気機械式の非人力駆動装置を形成し、非人力ピストンおよび非人力シリンダーボアと共に電気機械式の非人力ブレーキ圧生成器を形成するが、本発明は、電気機械式とは異なる非人力ブレーキ圧生成器を排除するものではない。非人力ピストンは直接的に、またはたとえばシリンダブッシュの中で間接的に、非人力シリンダボアの中でスライド可能なように案内されていてよい。非人力シリンダボアは、特にモータ面に配置された、かつそれに伴ってマスタブレーキシリンダに対して垂直に配置された、ハイドロリックブロックにあるボアである。非人力シリンダボアは、特に、ハイドロリックブロックの上面と反対を向くほうのマスタブレーキシリンダの側で、ハイドロリックブロックに配置される。
【0016】
ここで「ボア」ないし「シリンダボア」と呼んでいる貫通孔または止まり穴は、穿孔とは違うやり方で製作されていてもよい。
【0017】
分離弁を有さない、または上記とは異なる個所でハイドロリックブロックに配置される分離弁を有する、本発明の実施形態も可能である。
【0018】
発明の詳細な説明および図面に開示されている一切の構成要件は、それ自体として単独で、または基本的に任意の組合せとして、本発明の実施形態で具体化されていてよい。本発明の1つの請求項または1つの実施形態のすべての構成要件ではなく、1つまたは複数の構成要件だけを有している本発明の実施形態も、原則として可能である。
【0019】
次に、図面に示されている実施形態を参照しながら本発明について詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】液圧式の非人力・車両ブレーキ設備の液圧回路図である。
【
図2】
図1の非人力・車両ブレーキ設備の本発明によるハイドロリックブロックを示す斜視図である。
【
図3】
図2のハイドロリックブロックを向かい合う側への視線で見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図2および3ではハイドロリックブロックが、その穿孔部を図示するために透明に描かれている。
【0022】
図1は、第1のハイドロリックブロック3に格納された圧力生成モジュール2と、第2のハイドロリックブロックに格納された圧力制御モジュール4とを有する、液圧式の2回路・非人力・車両ブレーキ設備1を示している。
図2および3は、本発明による第1のハイドロリックブロック3を、ハイドロリックブロック3の向かい合う側への視線方向で見た斜視図として示している。その穿孔部を見ることができるようにハイドロリックブロック3は透明に描かれている。第2のハイドロリックブロックは図示していない。
【0023】
車両ブレーキ設備1は、フットブレーキペダル5によって筋力で操作可能な2回路マスタブレーキシリンダ6と、ピストン・シリンダ・ユニット8を備えた非人力ブレーキ圧生成器7とを有しており、そのピストン9がブレーキ圧の生成のために電気モータ10によってねじ伝動装置11を介してピストン・シリンダ・ユニット8のシリンダ12の中でスライド可能である。ピストン・シリンダ・ユニット8ないし非人力ブレーキ圧生成器7の全体をプランジャユニットと呼ぶこともでき、そのピストン9をプランジャピストン、そのシリンダ12をプランジャシリンダと呼ぶこともできる。
【0024】
ハイドロリックブロック3の上にブレーキ液備蓄容器13が載っていて、これにマスタブレーキシリンダ6の両方のチャンバが接続されている。
【0025】
圧力制御モジュール4は、各々のブレーキ回路についてのブレーキ配管14を介して、圧力生成モジュール2と接続されている。マスタブレーキシリンダ6の各々のチャンバは分離弁15により、圧力制御モジュール4のためのブレーキ配管14が接続された第1のハイドロリックブロック3の接続部16と接続されている。
【0026】
非人力ブレーキ圧生成器7のシリンダ12は、非人力弁17により、圧力制御モジュール4のための接続部16と接続されている。さらに非人力ブレーキ圧生成器7のシリンダ12は、直接的かつ追加的に圧力リリーフ弁18によってブレーキ液備蓄容器13と接続されている。
【0027】
ブレーキ液備蓄容器13は、ブレーキ液備蓄容器13から圧力制御モジュール4へと向かう方向に貫流可能である逆止め弁19により、圧力制御モジュール4のための接続部16と接続されている。
【0028】
マスタブレーキシリンダ6の第1のチャンバには、シミュレータ弁21によってペダルストロークシミュレータ20が接続されている。ペダルストロークシミュレータ20は、ばね付勢されるピストンを有するピストン・シリンダ・ユニットであり、車両ブレーキ設備1の非人力操作のもとで分離弁15が閉じているとき、フットブレーキペダル5を動かせるようにするために、シミュレータ弁21が開いたときに該ピストン・シリンダ・ユニットの中へブレーキ液をマスタブレーキシリンダ6から押除け可能である。
【0029】
マスタブレーキシリンダ6の第2のチャンバには圧力センサ22が接続されており、非人力ブレーキ圧生成器7のシリンダ12には圧力センサ23が接続されている。
【0030】
以上に説明した車両ブレーキ設備1の各コンポーネントは圧力生成モジュール2の部品であり、第1のハイドロリックブロック3に格納されている。
図2および3では、これらのコンポーネントのための収容部に”’”を付加した符号が付されている。
【0031】
常用ブレーキは、非人力ブレーキ圧生成器7によってブレーキ圧が生成される非人力ブレーキングとして行われる。そのために非人力弁17が開き、分離弁15が閉じられる。マスタブレーキシリンダ6は、生成されるべきブレーキ圧についての目標値発生器としての役目を果たす。非人力ブレーキ圧生成器7が故障した場合の補助ブレーキングがマスタブレーキシリンダ6によって可能である。
【0032】
圧力制御モジュール4の図示しないハイドロリックブロックには、各々のホイールブレーキ24について取込弁25と排出弁26とが配置されている。車両ブレーキ設備1の以下に説明する各コンポーネントも、圧力制御モジュール4の図示しないハイドロリックブロックに格納される。ホイールブレーキ24はブレーキ配管を介して、圧力制御モジュール4のハイドロリックブロックに接続されている。図示した実施例では、車両ブレーキ設備1は各々のブレーキ回路に2つの、すなわち全部で4つの、ホイールブレーキ24を有しており、同じく4つの取込弁25と4つの排出弁26を有している。取込弁25は、各々のブレーキ回路で接続弁27およびブレーキ配管14を介して、圧力生成モジュール2の第1のハイドロリックブロック3のそれぞれの接続部16に接続される。
【0033】
排出弁26はホイールブレーキ24を、リターンポンプとも呼ぶことができるハイドロポンプ28の吸込側と接続する。車両ブレーキ設備1は各々のブレーキ回路に、電気モータ29と共に駆動可能であるハイドロポンプ28を有している。ハイドロポンプ28の圧力側は、接続弁27と取込弁25の間に接続されている。
【0034】
ハイドロポンプ28、取込弁25、および排出弁26がブレーキ圧制御弁構造を形成し、これらによって、ロック防止コントロール、トラクションコントロール、およびビークルダイナミックコントロール/エレクトロニックスタビリティプログラムなどのホイール個別のスリップコントロールを実行可能である。これらのスリップコントロールは、通常、ABS、ASR、およびFDR/ESPと略される。このようなスリップコントロールは周知であり、ここでは詳しく説明しない。
【0035】
ハイドロポンプ28の吸込側は第2の吸込弁30によって、圧力制御モジュール4を圧力生成モジュール2のハイドロリックブロックと接続するブレーキ配管14に接続されている。
【0036】
図示しているものとは異なり、車両ブレーキ設備1がただ1つのハイドロリックブロックを有することもでき、あるいは、3つまたはそれ以上のハイドロリックブロックに格納された3つまたはそれ以上のモジュールに下位区分されていてもよい(図示せず)。互いに独立した少なくとも2つの電流供給部と、弁や電気モータ10,29を制御するための互いに独立した少なくとも2つの電子制御装置とが、車両ブレーキ設備1の冗長的な動作のために存在する。
【0037】
分離弁15、非人力弁17、圧力リリーフ弁18,30、シミュレータ弁20、取込弁25、排出弁26、接続弁27は2/2ウェイ電磁弁であり、分離弁15、取込弁25、および接続弁27はそれぞれの無通電の基本位置にあるときに開き、非人力弁17、圧力リリーフ弁18,30、シミュレータ弁20、および排出弁26はそれぞれの無通電の基本位置にあるときに閉じる。これらの電磁弁は弁のための収容部を形成するハイドロリックブロック3の窪みに配置されており、ないしは配置される。電磁弁の電機子を含むバルブドームがハイドロリックブロック3から屹立し、その上に電磁弁の操作のための磁気コイルが載置される。
【0038】
図2ではバルブ面31を見る視線で、
図3ではモータ面32を見る視線で、透明に描かれている、非人力・車両ブレーキ設備1の圧力生成モジュール2の本発明によるハイドロリックブロック3は、
図1に示す車両ブレーキ設備1の圧力生成モジュール2の各液圧コンポーネントの機械的な取付と液圧配管のための役目を果たす。各コンポーネントないしその収容部はハイドロリックブロック3の表面や内部に配置され、ハイドロリックブロック3が穿孔されることで、
図1の液圧回路図に準じて互いに液圧的に接続される。バルブ面31とモータ面32は、直方体状のハイドロリックブロック3の互いに向かい合う両方の幅広面である。
【0039】
図示して説明している本発明の実施形態では、ハイドロリックブロック3は、各コンポーネントを収容するためのボアを備える、車両ブレーキ設備の液圧回路図に即してスリップコントロールに穿孔された、たとえばアルミニウム合金からなる直方体状の平たい金属ブロックである。「穿孔された」とは、車両ブレーキ設備の液圧回路図に即して各収容部を互いに接続するボアをハイドロリックブロック3が備えていることを意味する。ボアは貫通孔、止まり穴、および窪みであり、ドリルによるのとは異なる方式で製作されていてもよく、図示していない直径段部や周回する溝を有することができる。
【0040】
ハイドロリックブロック3はマスタブレーキシリンダ6のために、バルブ面31とモータ面32との間の中央で上面34に対して平行にハイドロリックブロック3に配置されたマスタブレーキシリンダボア6’を有している。上面34は、ハイドロリックブロック3が意図される取付・使用位置にあるときに上側にある、ハイドロリックブロック3の幅狭面である。
【0041】
本実施例では、マスタブレーキシリンダボア6’は水平方向の中心面よりも上方で、すなわち中心面と上面34との間で、ハイドロリックブロック1に配置されている。本実施例では、マスタブレーキシリンダボア6’は中心面の近傍にある。水平方向の中心面は、ハイドロリックブロック1の上面34と、これに向かい合う下面35との間の中心にある。
【0042】
マスタブレーキシリンダボア6’と平行に、かつその近傍に、ハイドロリックブロック3は、マスタブレーキシリンダピストン(一次ピストンまたはロッドピストン)のための位置検出器ボア46としての著しく浅いボアを有している。位置検出器ボア46の中に、マスタブレーキシリンダピストンと接続されたピストンロッドにハイドロリックブロック3の外部で取り付けられた棒状の検出器ホルダが入り(図示せず)、それにより、検出器ホルダがマスタブレーキシリンダピストンと共に動く。検出器ホルダには、たとえば永久磁石が位置検出器ボア46の中に存在する信号検出器として取り付けられる。位置検出器ボア46は、本実施例では、マスタブレーキシリンダボア6’の仮想的な2つの接線面のほぼ交線にあり、そのうち一方の接線面はバルブ面31と平行であり、他方はハイドロリックブロック3の上面34と平行である。位置検出器ボア46は、マスタブレーキシリンダボア6’と同一のハイドロリックブロック3の幅狭面41で開いており、本実施例では後者のおよそ2/3から3/4の長さである。
【0043】
上面34には、
図2および3には示さないブレーキ液備蓄容器13のための接続部36としての2つの窪みが配置されている。ブレーキ液備蓄容器13はハイドロリックブロック3の上面34の上に載置され、2つの接続ニップルを下面に有していて、ブレーキ液備蓄容器13がハイドロリックブロック3の上面34に載置されたときに、これらの接続ニップルがハイドロリックブロック3の接続部36に液密に差し込まれる。
【0044】
ブレーキ液備蓄容器13のための一方の接続部36と、マスタブレーキシリンダボア6’が開いている幅狭面41との間に、ハイドロリックブロック3は、信号検出器の位置およびこれに伴ってマスタブレーキシリンダピストンの位置を間接的に測定する、図示しない位置センサのための位置センサボア47を有している。位置センサは、たとえば信号検出器の磁束線の角度から位置を判定可能であるホールセンサである。本実施例では位置センサボア47は、ブレーキ液備蓄容器13のための接続部36の近傍で、かつ位置検出器ボア46の近傍で、ハイドロリックブロック3のバルブ面31に取り付けられている。
【0045】
ハイドロリックブロック3はバルブ面31に、ハイドロリックブロック3にある図示しないボアによってマスタブレーキシリンダないしマスタブレーキシリンダボア6’と接続された、および、圧力制御モジュール4の図示しないハイドロリックブロックの両方のブレーキ回路の両方の接続部16と接続された、分離弁15のための収容部15’としての2つの窪みを有している。圧力制御モジュール4のための接続部16は、ハイドロリックブロック3のモータ面32にある窪みとして製作されている。圧力制御モジュール4のための接続部16は、ハイドロリックブロック3の上面34の近傍に、かつブレーキ液備蓄容器13のためのそれぞれの接続部36の近傍かつ間にある。分離弁15のための収容部15’はマスタブレーキシリンダボア6’の近傍で、これとハイドロリックブロック3の上面34との間にあり、かつ、同じくブレーキ液備蓄容器13のためのそれぞれの接続部36の間にある。図示しないニップルにより、ブレーキ配管14を接続部16に接続することができる。ニップルは、たとえばねじ込みニップルまたは自動かしめ式の(セルフクリンチ)押込みニップルであってよい。
【0046】
ブレーキ液備蓄容器13のための接続部36を形成する窪みの底面にあるそれぞれの延長部19’に逆止め弁19のうちの1つが配置され、これによってブレーキ液がブレーキ液備蓄容器からハイドロリックブロック1の穿孔部へ、すなわち車両ブレーキ設備へ流れることができるが、その逆には流れることができない。
【0047】
逆止め弁19を収容するための窪み19’は、それぞれ3つのボア37,38,39によって圧力生成モジュール2のための接続部16と接続されており、そのうち第1のボア37は窪み19’からハイドロリックブロック3の上面34に対して平行に、3つのボアのうちの第2のボア38へと通じている。第2のボア38はハイドロリックブロック3の上面34に対して垂直に、第1のボア37から上面34の方向へと延びている。第3のボア39は第2のボア38からハイドロリックブロック3のモータ面32に対して垂直に、圧力制御モジュール4のための接続部16に通じている。
【0048】
ハイドロリックブロック3は、バルブ面31およびモータ面32に対して垂直に、非人力ブレーキ圧生成器7のシリンダ12を形成する、非人力シリンダボア12’としての貫通孔を有している。非人力ブレーキ圧生成器7の
図2および3には図示しない電気モータ10を、非人力シリンダボア12’に対して同軸に、ハイドロリックブロック3の外部でモータ面32に配置可能である。たとえばボールねじまたは一般に回転/並進・変換伝動装置などのねじ伝動装置11が、電気モータ10と非人力ブレーキ圧生成器7のピストンとの間に配置される。電気モータ10とねじ伝動装置11との間に、たとえばプラネタリギヤなどの機械式の減速ギヤが配置されていてよい。
【0049】
図示しない電気モータ10をハイドロリックブロック3に取り付けるために、ハイドロリックブロック3は、非人力シリンダボア12’の周囲で均等または不均等に配分されてハイドロリックブロック3のモータ面32に設けられた3つの取付穴43を有している。本実施例では、取付穴43は止まり穴であり、雌ねじを有することができる。互いに向かい合うように配置された2つだけの取付穴や、3つを超える取付穴も考えられる(図示せず)。
【0050】
図示しない電子制御装置を取り付けるために、ハイドロリックブロック3は取付穴45をバルブ面31に有している。電子制御装置のための取付穴45は、本実施例では同じく雌ねじを有することができる止まり穴である。本実施例では4つの取付穴45がハイドロリックブロック3のバルブ面31の角の近傍に配置されている。これ以外の個数および/または配置も可能である。
【0051】
本実施例では、非人力シリンダボア12’はモータ面32のほぼ中央に配置されており、マスタブレーキシリンダボア6’に対して接線方向にマスタブレーキシリンダボア6’の下に延びており、すなわち、ハイドロリックブロック3の下面35のほうを向くマスタブレーキシリンダボア6’の側でハイドロリックブロック3を貫いて延びている。本実施例では、非人力シリンダボア12’は、上面34に接するハイドロリックブロック3の2つの幅狭面41の間の中心部の近傍に配置されており、非人力シリンダボア12’がこの中心部を覆う。
【0052】
非人力シリンダボア12’と下面35との間に、バルブ面31からモータ面32へと貫通する3つの貫通孔が、非人力ブレーキ圧生成器7の電気モータ10へ電流供給をするためのモータ接続ボア33としてハイドロリックブロック3に設けられている。モータ接続ボア33は、非人力シリンダボア12’を囲む仮想的な円弧上に、これと下面35との間でハイドロリックブロック3に設けられている。
【0053】
さらにハイドロリックブロック3は、電気モータ10への、またはこれからの制御回線または信号回線のための信号ボア40を有している。信号ボア40により、たとえば電気モータ10の回転角センサを、ハイドロリックブロック3のバルブ面31に配置された電子制御装置と接続することができる。信号ボア40はバルブ面31からモータ面32へと貫通しており、非人力シリンダボア12’とハイドロリックブロック3の角との間で、幅狭面41とハイドロリックブロック3の下面35との間に配置されている。
【0054】
ハイドロリックブロック3はバルブ面31に、非人力シリンダボア12’の両側に並んでマスタブレーキシリンダボア6’に対して接線方向に、そのハイドロリックブロック3の下面35のほうを向く側に配置された、非人力弁17のための収容部17’としての2つの窪みを有している。
【0055】
非人力弁17のための収容部17’を非人力シリンダボア12’と接続するために、ハイドロリックブロック3は、非人力シリンダボア12’に接線方向または割線方向で連通する、非人力シリンダボア12’の両方の側で非人力弁17のための収容部17’へと通じるボア42を有している。本実施例では、ボア42はマスタブレーキシリンダボア6’に対して平行に、そのハイドロリックブロック3の下面35と反対を向く側の近傍に延びている。
【0056】
マスタブレーキシリンダ6の圧力センサ22のための収容部22’としての浅い窪みが、ハイドロリックブロック3のバルブ面31に配置されている。その底面からボアがマスタブレーキシリンダボア6’に連通している。
【0057】
非人力シリンダボア12’のための圧力センサ23のための収容部23’としての浅い窪みが、ハイドロリックブロック3のバルブ面31に、マスタブレーキシリンダボア6’に対して径方向またはほぼ径方向でハイドロリックブロック3に配置されている。この窪みは、非人力弁17のための収容部17’を非人力シリンダボア12’と接続するボア42に連通するボアによって、非人力シリンダボア12’と接続されている。
【0058】
圧力リリーフ弁18のための収容部18’としての窪みが、ハイドロリックブロック3のバルブ面31で非人力シリンダボア12’の横に配置されている。本実施例では、圧力リリーフ弁18のための収容部18’は下側にあり、すなわち、非人力弁17のための両方の収容部17’のうちの一方の、ハイドロリックブロック3の下面35のほうを向く側でこれから間隔をおいている。非人力シリンダボア12’に接線方向または割線方向で連通するボア44が、圧力リリーフ弁18のための収容部18’を非人力シリンダないし非人力シリンダボア12’と接続する。両方の非人力弁17のうちの一方のための収容部17’と、非人力シリンダボア12’の側の圧力リリーフ弁18のための収容部18’とを入れ替えることが可能であり、すなわち、圧力リリーフ弁18のための収容部18’が上面34のさらに近くに配置され、一方の非人力弁17のための収容部17’がハイドロリックブロック3の下面35のさらに近くに配置される(図示せず)。ハイドロリックブロック3の穿孔が適合化されなければならない。
【0059】
さらにハイドロリックブロック3は、ペダルストロークシミュレータ20のためのペダルストロークシミュレータシリンダボア20’を有している。ペダルストロークシミュレータシリンダボア20’は、本実施例では、マスタブレーキシリンダボア6’とハイドロリックブロック3の下面35との間で非人力シリンダボア12’の横に、非人力シリンダボア12’ に対して若干下面35の方向でハイドロリックブロック3のバルブ面31に配置された止まり穴である。
【0060】
シミュレータ弁21のための収容部21’としての窪みがハイドロリックブロック3のバルブ側31に、マスタブレーキシリンダボア6’とペダルストロークシミュレータシリンダボア20’との間で、上面34に接するハイドロリックブロック3の垂直方向の幅狭面41の近傍に配置されている。
【符号の説明】
【0061】
1 車両ブレーキ設備
3 ハイドロリックブロック
4 圧力制御モジュール
6 マスタブレーキシリンダ
6’ マスタブレーキシリンダボア
7 非人力ブレーキ圧生成器
10 電気モータ
12 非人力シリンダ
12’ 非人力シリンダボア
13 ブレーキ液備蓄容器
14 ブレーキ液配管
15 分離弁
15’ 分離弁のための収容部
16 ブレーキ配管のための接続部
17 非人力弁
17’ 非人力弁のための収容部
18 圧力リリーフ弁
18’ 圧力リリーフ弁18のための収容部
19 逆止め弁
19’ 逆止め弁のための収容部
20 ペダルストロークシミュレータシリンダ
20’ ペダルストロークシミュレータシリンダボア
21 シミュレータ弁
21’ シミュレータ弁のための収容部
22 圧力センサ
22’ 圧力センサのための収容部
23 圧力センサ
23’ 圧力センサのための収容部
31 バルブ面
32 モータ面
33 モータ接続ボア
34 上面
35 下面
36 ブレーキ液備蓄容器のための接続部
37,38,39 ボア
40 信号ボア
42 ボア
44 ボア
46 位置検出器ボア