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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】レーザ装置
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/02251 20210101AFI20240618BHJP
   H01S 5/40 20060101ALI20240618BHJP
   H01S 5/02208 20210101ALI20240618BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20240618BHJP
   G02B 6/32 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
H01S5/02251
H01S5/40
H01S5/02208
G02B6/42
G02B6/32
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022557718
(86)(22)【出願日】2021-07-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-25
(86)【国際出願番号】 CN2021106107
(87)【国際公開番号】W WO2022012555
(87)【国際公開日】2022-01-20
【審査請求日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】102020118421.2
(32)【優先日】2020-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511309609
【氏名又は名称】西安炬光科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】FOCUSLIGHT TECHNOLOGIES INC.
【住所又は居所原語表記】56 Zhangba 6th Road,High-Tech Zone,Xi’an,Shaanxi,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミハイロフ アレクセイ
(72)【発明者】
【氏名】ザ チャン-エン
【審査官】右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108233182(CN,A)
【文献】特開2018-082047(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0252929(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107884885(CN,A)
【文献】国際公開第2016/203998(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第102590962(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109061802(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/02251
H01S 5/02208
H01S 5/40
G02B 6/30 - 6/64
G02B 6/43 - 6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ装置であり、
第1方向(X)に沿い少なくとも部分的に横並び配置されており、前記レーザ装置が動作しているときに光(21)がそのレーザダイオード(3)から放射される複数個のレーザダイオード(3)と、
前記レーザダイオード(3)から放射された光(21)をその内部に結合させうる光ファイバ(15)と、
複数個のレーザダイオード(3)からの光(21)を前記光ファイバ(15)内へと少なくとも部分的に一緒に結合させうるよう、前記レーザ装置の動作中に、前記レーザダイオード(3)から放射された光(21)同士を結合させる光学構造と、
を備えるレーザ装置であって、
前記レーザダイオード(3)が隣り合わせ配置されている方向に関する、それらレーザダイオード(3)のビームパラメタ積が、前記光ファイバ(15)のビームパラメタ積よりも大きく、
前記レーザ装置が、2個のグループ(1,2)をなすレーザダイオード(3)を備え、各グループが複数個のレーザダイオード(3)を含んでおり、前記2個のグループ(1,2)のうち第1グループのレーザダイオード(3)が、前記第1方向(X)に沿い隣り合わせ配置されており、前記2個のグループ(1,2)のうち第2グループのレーザダイオード(3)が、第2方向(Y)に沿い隣り合わせ配置されており、その第2方向(Y)が前記第1方向(X)に対し垂直であって、
前記第1グループ(1)のレーザダイオード(3)により形成された、レーザダイオード(3)のローと、前記第2グループ(2)のレーザダイオード(3)により形成された、レーザダイオード(3)のローとが、互いに交差し、
変換装置(10)を備え、その変換装置(10)が、そのレーザ装置の動作中に、複数個のレーザダイオード(3)の結合光(21)を前記第1及び/又は第2方向(X,Y)に沿い少なくとも2個の部分に分岐させ、且つ前記第1及び/又は第2方向(X,Y)に対し垂直第3方向(Z)に沿いそれら2個の部分を隣り合わせに並ばせることを特徴とするレーザ装置
【請求項2】
請求項1に係るレーザ装置であって、前記変換装置(10)が、複数枚の平行平面板、及び/又は、少なくとも1個の望遠鏡(11,11a,11b)を備えることを特徴とするレーザ装置
【請求項3】
請求項に係るレーザ装置であって、前記レーザダイオード(3)が横並び配置されている方向に関する、それらレーザダイオード(3)のビームパラメタ積が、光ファイバのビームパラメタ積の少なくとも2倍の大きさであることを特徴とするレーザ装置
【請求項4】
請求項に係るレーザ装置であって、前記レーザダイオード(3)が横並び配置されている方向がそれらレーザダイオード(3)の遅軸方向に相当することを特徴とするレーザ装置
【請求項5】
請求項に係るレーザ装置であって、前記レーザダイオード(3)により放射された光(21)向けに遅軸平行光化レンズ(4)及び/又は速軸平行光化レンズを備えることを特徴とするレーザ装置
【請求項6】
請求項に係るレーザ装置であって、前記光学構造が複数個の鏡(7)を備え、個々のレーザダイオード(3)から放射された光(21)がそれに割り当てられている鏡(7)により前記レーザ装置の動作中に伝搬方向が90°変化するように反射されるよう、前記レーザダイオード(3)それぞれに鏡(7)が割り当てられていることを特徴とするレーザ装置
【請求項7】
請求項に係るレーザ装置であって、光(21)の入射エリアが、第3方向(Z)に沿い互いにずれるよう、ひいてはその第1及び/又は第2方向(X,Y)に沿い隣り合わせ配置されている別々のレーザダイオード(3)により放射された光(21)が、鏡(7)での反射後に前記第3方向(Z)に沿い隣り合わせに並ぶよう、前記レーザ装置が設計されていることを特徴とするレーザ装置
【請求項8】
請求項に係るレーザ装置であって、前記光学構造が、前記レーザ装置の動作中に前記2個のグループ(1,2)のレーザダイオード(3)により放射された光(21)同士を結合させるビーム結合器を、備えることを特徴とするレーザ装置
【請求項9】
請求項に係るレーザ装置であって、前記ビーム結合器が偏向キューブ(19)又は鏡(9)として形成されていることを特徴とするレーザ装置
【請求項10】
請求項に係るレーザ装置であって、前記第3方向(Z)に沿い横並び配置され複数個の第1グループ(1)をなしているレーザダイオード(3)を備え、及び/又は、前記第3方向(Z)に沿い横並び配置され複数個の第2グループ(2)をなしているレーザダイオード(3)を備えることを、特徴とするレーザ装置
【請求項11】
請求項に係るレーザ装置であって、前記第3方向(Z)に沿い横並び配置された複数個の光学装置を備えることを特徴とするレーザ装置
【請求項12】
請求項11に係るレーザ装置であって、その内部に前記レーザダイオード(3)及び前記光学装置が配置され且つその内部にて前記光ファイバ(15)が支持されるハウジングを備えることを、特徴とするレーザ装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に係るレーザ装置に関する。
【0002】
定義:レーザビーム、光ビーム、部分ビーム又はビームは、別様の明示がない限り、幾何光学系における理想化ビームではなく、無限小のビーム断面を有しておらず広がりのあるビーム断面を有している現実の光ビーム、例えばレーザビームを意味するものとする。
【背景技術】
【0003】
上述した種類のレーザ装置が特許文献1にて知られている。これに記載されているレーザ装置は、ロー(行)をなし横並び配置された複数個のレーザダイオードを備えている。それらレーザダイオードにより放射された光ビームが、光を90°方向転換させる鏡にぶつかっている。各例では、傾斜平行平面板がレーザダイオードのうちあるものとそのレーザダイオードに係る鏡との間に設けられていて、それによって、そのレーザダイオードから放射された光が上方又は下方へと方向転換されている。それら鏡を、反射光の進展方向に沿い互いに段差付で前後並び配置することで、後方に配置された鏡に発する光が、更に前方に配置されている鏡の上方を通れるようにしている。全体として、それら鏡及び平行平面板の配置を通じ、諸レーザダイオードから放射されたレーザビームが互いに上下に配置され、その態で結合(combine)されている。このレーザ装置は、更に、諸レーザダイオードからの結合光(combined light)がその内部に結合(couple)される光ファイバを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2018/0278008号明細書(A1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
提示される発明の下地をなす課題は、上述した種類のレーザ装置であり、より大きな出射パワーを有するレーザビームを同等程度の設置スペースにて生成しうるものを、創出することにある。上述した種類のレーザ装置の発明であり、請求項1の特徴的構成を有するものによって、これが達成される。従属形式請求項はその発明の好適実施形態に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1では、レーザダイオードが横並び配置されている方向におけるそれらレーザダイオードのビームパラメタ積が、光ファイバのビームパラメタ積よりも大きくされる。例えば、レーザダイオードが横並び配置されている方向におけるそれらレーザダイオードのビームパラメタ積を、その光ファイバのビームパラメタ積の少なくとも2倍の大きさとすることができよう。従来技術のレーザ装置では、遅軸方向におけるそれらレーザダイオードのビームパラメタ積が、通常、その光ファイバのビームパラメタ積に等しくなるよう選定される。大きめなビームパラメタ積を有するレーザダイオードではパワーが大きめになる。従って、より大きなビームパラメタ積を有するレーザダイオードを選ぶことで、レーザ装置出射パワーの増大を、同サイズのレーザ装置で達成することができる。或いは、既知レーザ装置と同じ出射パワーを、より少数のレーザダイオード及び小型のレーザ装置で以て、達成することができる。
【0007】
請求項に係るレーザ装置は、2個のグループをなすレーザダイオードを備え、各グループが複数個のレーザダイオードを含んでおり、それら2個のグループのうち第1グループのレーザダイオードが第1方向に沿い横並び配置されており、それら2個のグループのうち第2グループのレーザダイオードが第2方向に沿い横並び配置されており、その第2方向が第1方向とは異なっていて例えば第1方向に対し垂直なものである。2個のグループをなすレーザダイオードを設け、それらをロー状配置することで、それらレーザビームの出射パワーを、同等程度の設置スペースで以て増大させることができる。好ましくは、それらレーザダイオードが隣り合わせ配置されている方向を、それらレーザダイオードの遅軸方向に対応させる。更に好ましくは、本レーザ装置を、それらレーザダイオードにより放射されたビーム向けの、遅軸平行光化レンズ及び/又は速軸平行光化レンズを備えるものとする。例えば、ロー同士を向かい合わせるのではなく、それらローを互いに垂直に揃えることで、その遅軸平行光化レンズの有効焦点距離を長くすることができる。焦点距離を長くすることにより、遅軸方向に沿いそれらレーザダイオードにより放射された光ビームが、事実上、個々のレーザダイオードにより放射された光同士の結合中に発散しないように、することができる。この形態では結合中の損失が低減される。
【0008】
請求項に係るレーザ装置は、変換装置を備え、その変換装置が、本レーザ装置の動作中に、複数個のレーザダイオード例えば全レーザダイオードの結合光を第1及び/又は第2方向に沿い少なくとも2個の部分に分岐させ、それら2個の部分を第3方向、例えばその第1及び/又は第2方向に対し垂直に揃えられた方向に沿い、隣り合わせ配置させる。こうした設計により、一方では、遅軸方向におけるそれらレーザダイオードのレーザビームのビームパラメタ積を小さくすることができ、例えば2部分分割時には半分にすることができる。結果として、そのレーザビームを、そもそも大きめなビームパラメタ積であるにもかかわらず、その光ファイバ内へと極力完全に結合させることができる。更に、長い有効焦点距離を有する速軸平行光化レンズをこうした設計において用いることで、それらレーザダイオードにより放射された光ビームが、事実上、速軸方向においても発散しないようにすることができる。この形態では損失が更に低減される。
【0009】
その変換装置を、複数枚の平行平面板を備え、及び/又は、少なくとも1個の望遠鏡例えば少なくとも1個のガリレイ望遠鏡を備えるものと、することができる。少なくとも1個の望遠鏡を用いることで、その結合レーザ輻射の遅軸方向・速軸方向間角度比又はサイズ比を好適なものとすることができ、ひいては光ファイバの入射面上における最適合焦が可能となる。
【0010】
第1グループのレーザダイオードにより形成されたレーザダイオードローと、第2グループのレーザダイオードにより形成されたレーザダイオードローとを、互いに交差させてもよい。ある種の設計のレーザ装置では、レーザダイオードロー同士を交差させうる可能性もあり、それによりレーザ装置設計に際する設計自由度が増加する。諸レーザダイオードローからその光学装置までの距離は、そのレーザ装置の光学的デザインが最適化されうるように選ぶことができる。これは、そのレーザ装置で以て達成可能な出射パワーを理論的最大値に近付けられることにつながる。これは、更に、通常は最適結合が必要となる低コスト光ファイバをも用いうることにつながる。低コスト光ファイバを用いることで、そのレーザ装置の製造コストを顕著に低減することができる。
【0011】
その光学構造を複数個の鏡が備わるものとし、個々のレーザダイオードにより放射された光が反射されるよう各レーザダイオードに鏡を割り当てること、またその反射を、それに割り当てられている鏡により本レーザ装置の動作中にそのビームの放射方向を例えば約90°変化させる要領のものとすることができる。この場合、そのレーザ装置を、第1及び/又は第2方向に沿い隣り合わせ配置されている個々のレーザダイオード、例えば全レーザダイオードからの光の入射エリアを第3方向に沿い相互にずらすよう設計することで、第1及び/又は第2方向に沿い隣り合わせ配置されている別々のレーザダイオードから放射された光が、それらレーザダイオードに割り当てられている鏡での反射後、第3方向に沿い隣り合わせに並ぶようにすることができる。ローをなす個々のレーザダイオードから放射されたレーザビームが、こうして、その光学装置の働きで第3方向、例えば使用状態での鉛直方向に相当する方向に沿い互いに上下に並ぶこととなる。第3方向に沿ったこの鏡上光ずれは、例えば、傾斜平行平面板等の好適な光学素子をレーザダイオード・鏡間に設けることで達成することができる。これに代え、そうしたずれを、個々のレーザダイオードに係る速軸平行光化レンズの適切な位置決めにより達成することもできる。これに代え、第3方向に沿いグループ1のうち一つをなすレーザダイオードを、互いにずれた光出射領域を有するものとしてもよい。これは、例えば、第3方向に沿い別々な位置にそれらレーザダイオードを配置することで達成することができる。
【0012】
その光学装置を、本レーザ装置の動作中に2個のグループのレーザダイオードにより放射された光同士を結合させるビーム結合器が、備わるものとすることができる。そのビーム結合器を、例えば偏向キューブ又は鏡として設計することができる。そのレーザ装置を、第3方向に沿い横並び配置されており複数個の第1グループをなすレーザダイオードを備え、及び/又は、第3方向に沿い横並び配置されており複数個の第2グループをなすレーザダイオードを備えるものと、することができる。更に、そのレーザ装置を、第3方向に沿い横並び配置された複数個の光学装置を備えるものとしてもよい。この形態では、2本の個別レーザダイオードローからのレーザビーム同士を上下に並ぶ複数個の平面内で結合させることができ、且つ、全てのレーザダイオードからの放射レーザビームを光ファイバ内に一緒に結合させうるよう別々の平面からのレーザビーム同士を結合させることもできる。
【0013】
本レーザ装置を、その内部にレーザダイオード及び光学装置が配置され且つその内部にて光ファイバが保持されるハウジングを備えるものと、することができる。とりわけ、そのハウジングを、その上にそれらレーザダイオード及び光学系が実装されるベースプレートが、備わるものとするとよい。第3方向の向きをそのベースプレートに対し垂直にすることで、その第3方向が、そのレーザ装置の動作時における鉛直方向に概ね相当することとなる。本発明の更なる特徴及び長所は、好適実施形態についての後掲の記述及び添付図面を参照することで明らかとなろう。図には以下が示されている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るレーザ装置の第1実施形態の模式的上面図である。
図2】本発明に係るレーザ装置の第2実施形態の模式的上面図であり光ビーム経路が示されている。
図3図2に係るレーザ装置の側面図である。
図4図2に係るレーザ装置に備わる望遠鏡の詳細図である。
図5】本発明に係るレーザ装置の第3実施形態の模式的上面図である。
図6図5に係るレーザ装置の斜視図である。
図7図6の詳細図である。
図8】本発明に係るレーザ装置の第1実施形態に備わる変換装置の手前におけるレーザ装置内光分布の断面図である。
図9】本発明に係るレーザ装置の第1実施形態に備わる変換装置の第1部材を通過した後におけるレーザ装置内光分布の断面図である。
図10】本発明に係るレーザ装置の第1実施形態に備わる変換装置を通過した後におけるレーザ装置内光分布の断面図である。
図11】本発明に係るレーザ装置の第1実施形態の光ファイバ入射面上におけるレーザ装置内光分布の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図中、同一及び機能同一部材には同一参照符号で以てマーキングしてある。向きをわかりやすくするため、それら図面のうち幾枚かにデカルト座標系を描いてある。
【0016】
図1に示されている実施形態のレーザ装置は、専ら模式的に示されており且つそのレーザ装置の動作中に光を放射するレーザダイオード3をベースとした、2個のグループ1,2を備えている。第1グループ1をなすレーザダイオード3は第1方向Xに沿い横並び配置、第2グループ2をなすレーザダイオード3は第2方向Yに沿い横並び配置されており、その第2方向Yは第1方向Xに対し垂直に揃えられている。
【0017】
図1に描かれている例示的実施形態では、第1グループ1が、互いに等距離配置された3個のレーザダイオード3を含んでいる。更に、第2グループ2も、互いに等距離配置された3個のレーザダイオード3を含んでおり、第1グループ1におけるレーザダイオード3間距離と第2グループ2におけるレーザダイオード3間距離とが等しくなっている。
【0018】
明白な通り、グループ1,2当たり3個超又は3個未満のレーザダイオード3を設けることもできる。更に、第2グループ2内とは異なる個数のレーザダイオード3を第1グループ1内に設けることもできる。
【0019】
この場合、第1グループ1のレーザダイオード3の遅軸方向が第1方向X、即ち第1グループ1のレーザダイオード3が隣り合わせ配置されている方向Xに対し、平行となっている。更に、第2グループ2のレーザダイオード3の遅軸方向が第2方向Y、即ち第2グループ2のレーザダイオード3が隣り合わせ配置されている方向Yに対し、平行となっている。それらレーザダイオード3の速軸方向は第3方向Z、即ち第1,第2方向X,Yに対しそれぞれ垂直に揃えられた方向Zに対し平行となっている。
【0020】
本レーザ装置は、第3方向Zに関し、レーザダイオード3により放射された光の少なくとも部分的な平行光化用に、不図示の速軸平行光化レンズを備えている。このレーザ装置は、更に、第1方向Xに関し且つ第2方向Yに関し、レーザダイオード3により放射された光の少なくとも部分的な平行光化用に、遅軸平行光化レンズ4を備えている。このレーザ装置は、レーザダイオード3により放射された光がまず速軸平行光化レンズ内を通り、その上で遅軸平行光化レンズ4内を通るように、設計されている。
【0021】
本レーザ装置は、更に第1グループ5及び第2グループ6をなす鏡7を備えており、第1グループ5をなす鏡7が第1グループ1のレーザダイオード3に関連付けられ、また第2グループ6をなす鏡7が第2グループ2のレーザダイオード3に関連付けられている。具体的には、ある1個のレーザダイオード3により放射された光が厳密に1個の鏡7により反射されるよう、各鏡7が配置されている。
【0022】
この場合、速軸平行光化レンズ及びその後段の遅軸平行光化レンズ4が、レーザダイオード3・鏡7間に配置されている。
【0023】
第1グループ5の鏡7は、Z方向(図示せず)に沿い互いにずらされている。更に、個々のレーザダイオード3から放射された第1グループ1のレーザビームが第1グループ5の鏡7上で占める入射エリアが、Z方向に沿い互いにずれている。
【0024】
この形態では、例えば、図1中の第1グループ5のうち左側の鏡7を、中間の鏡7よりもZ方向に沿い更に下方に配置することができ、更に、図1中の中間鏡7を右側の鏡7よりもZ方向に沿い更に下方に配置することができる。同時に、個々のレーザダイオード3から放射された第1グループ1のレーザビームが第1グループ5の鏡7上で占める入射エリアが、Z方向に沿い互いに応分だけずらし配置されていれば、図1中で左側にある鏡7からの反射光を、中間鏡のZ方向下方を経て図1中の右側に通すことができる。同様に、図1中の左側鏡7により放射された光と、図1中の中央鏡7により放射された光とを、右側鏡7のZ方向下方を経て図1中の右側に通すことができる。鏡7により反射されたレーザビームは、こうして、図1中の右側鏡7より後段ではZ方向に沿い互いに上下に並ぶこととなる。
【0025】
同様に、第2グループ6の鏡7が、Z方向(図示せず)に沿い互いにずらされている。更に、個々のレーザダイオード3から放射された第2グループ2のレーザビームが第2グループ6の鏡7上で占める入射エリアが、Z方向に沿い互いにずれている。
【0026】
この形態では、例えば、図1中の第2グループ6のうち下側の鏡7を、中間の鏡7よりもZ方向に沿い更に下方に配置することができ、更に、図1中の中間鏡7を図1中の上側の鏡7よりもZ方向に沿い更に下方に配置することができる。同時に、個々のレーザダイオード3から放射された第2グループ1のレーザビームが第2グループ6の鏡7上で占める入射エリアが、Z方向に沿い互いに応分だけずらして配置されていれば、図1中の下側鏡7からの反射光を、中間鏡のZ方向下方を経て図1中の上側に通すことができる。同様に、図1中の下側鏡7により放射された光と、図1中の中間鏡7により放射された光とを、上側鏡7のZ方向下方を経て図1中の上側に通すことができる。
【0027】
グループ1,2のうち一方をなす個々のレーザダイオード3により放射された光が鏡7上で占める入射エリアのずれは、例えば、それらレーザダイオード3とそれに割り当てられている鏡7との間に平行平面板その他の光学素子を配置し、個々のレーザダイオード3により放射された光をそれらによりZ方向上方又は下方にずらすことによって、達成することができる。こうした設計は、例えば特許文献1に記載されている。
【0028】
これに代え、正又は負のZ方向におけるそうしたずれを、個々のレーザダイオード3に係る速軸平行光化レンズの相応な位置決めにより、達成することもできる。
【0029】
これに代え、グループ1の一員たるレーザダイオード3を、Z方向に沿い互いずれた光出射エリアを有するものにすることもできる。これは、例えば、それらレーザダイオードをZ方向沿いの別々の位置に配置することで達成することができる。
【0030】
図1に示されているレーザ装置構造は、更に、鏡9として設計されたビーム結合器を備えている。鏡9は、第2グループ6の各鏡からの(鏡7を始点とする)光を、図1中でX方向に沿い右側へと反射させるよう、設計及び配置されている。鏡9は、更に、第1グループ5の各鏡からの(鏡7を始点とする)光を遮らず、図1中でX方向に沿い右側へと自鏡越しに通すよう、設計及び配置されている。これにより、第1グループ5の各鏡から来る(鏡7を始点とする)光が、鏡9のZ方向上方又は下方を通ることとなる。これを可能にするため、第1グループ5の鏡並びに第1グループ1から来るレーザビームの入射エリアが、第2グループ6の鏡7並びに第2グループ2に発するレーザビームの入射エリアのZ方向上方又は下方に配置されている。
【0031】
こうすることで、合計6本のレーザビーム、即ち鏡9により反射されたレーザビームと鏡9により通されたレーザビームとを、図1中の鏡9の右側にてZ方向に沿い互いに上下に並べることが、達成される。図8に示すのは鏡9より後段にて諸レーザビームを過る断面であり、それらレーザビームの6個の強度分布域がZ方向に沿い互いに上下に並んでいる。
【0032】
図1に示されているレーザ装置の構造内には更に変換構造10、即ち6個のレーザダイオード3の結合光を第2方向Yに沿い2個の部分に分岐させそれら2個の部分を第3方向Zに沿い互いに上下に並べる構造がある。
【0033】
変換構造10内にはその第1部材11、即ち6個のレーザダイオード3の結合光をY方向に沿い2個の部分に分岐させそれら部分をZ方向に沿い互いに上下に並べる部材がある。
【0034】
この目的のため、変換装置10に備わる第1部材11は、6個のレーザダイオード3の結合光をY方向に沿い2個の部分に分岐させ、それら部分をZ方向に沿い互いにずらしている。これを図9中で看取することができる。この図に示されている6個の強度分布域8は、それぞれ、Y方向に沿い2個の部分8a,8bに分割され、Z方向に沿い相互にずらされている。
【0035】
第1部材11は、例えば、図4に示されている2個の望遠鏡11a及び11bで構成されている。望遠鏡11a及び11bはガリレイ望遠鏡であり、実のところその望遠鏡11a又は11bは何らかの種類のアナモルフィック光学系の一部分となっている。望遠鏡11a,11bは、例えば、それらの上に射突する光の断面積を1.8なる縮小率で以て縮小させる縮小望遠鏡とすることができる。
【0036】
Z方向に沿い互いに上下に並ぶ6本のレーザビームは、望遠鏡11a,11b上に降りかかり、それら望遠鏡11a,11bにより12本のレーザビームへと変換される。それら12本のレーザビームはZ方向に沿い互いに上下に並んでいるが、そのうち6本が他の6本からY方向に沿いずれてもいる(図9も参照されたい)。
【0037】
望遠鏡11a,11bに限らず、第1部材11は、レーザダイオード3からの結合光をY方向に沿い2個の部分に分岐させそれら部分をZ方向に沿いずらす、その他の光学部材を備えるものにすることもできる。例えば、相応に配置された平行平面板をこの目的で想定することもできる。例えば、2枚の別様に配置された平行平面板を、Y方向に沿い隣り合わせ配置することができる。
【0038】
これに代え、望遠鏡及び平行平面板の双方を設け、望遠鏡にサイズ低減を担当させ且つ平行平面板に所望オフセットを担当させることもできる。
【0039】
変換構造10はその第2部材12、即ちZ方向に沿い互いにずらされY方向に沿い隣り合わせ配置されている2個の光部分をY方向に沿い相対的にずらすことでそれら部分をZ方向に沿い互いに上下に並ばせる部材をも、有している。これは図10に示されており、そこでは強度分布の12個の部分8a,8bがもはやY方向沿いでずれておらずZ方向に沿い互いに上下に並んでいる。
【0040】
第2部材12は、例えば2個の鏡12a,12bを有するものとすることができる。それら2個の鏡12a,12bのうち1個を、強度分布の2個の部分8a,8bのうち一方に割り当てることができる。例えば、鏡12aを鏡12bに対しZ方向上方にずらすことができ、ひいてはZ方向にて光を構成している第1部分8aが鏡12の随所で鏡12a上に射突するようにすることができる。
【0041】
本レーザ構造は更に集束光学系13を備えており、それにより、変換構造10から来る光を、同じくそのレーザ装置に備わる光ファイバ15の入射面14上へと、合焦させることができる。光ファイバ15は、ホルダ16により定位置に保持されている。
【0042】
ここで注記されるべきことに、遅軸方向におけるレーザダイオード3それぞれのビームパラメタ積は、光ファイバ15のビームパラメタ積の約2倍以上の大きさである。変換装置10にて遅軸方向におけるそれらレーザビームのビームパラメタ積が半減されるため、こうした比率であるにもかかわらず、それらレーザダイオード3により放射された光21を、光ファイバ15内へとほぼ完全に結合させることができる。
【0043】
図11は光ファイバ15の入射面14上に入射した光の強度分布の断面を示す図であり、ここではその入射面14の縁に参照符号17が付されている。
【0044】
本レーザ構造は更にハウジングを備えており、そのうちのベースプレート18、即ちその上に諸レーザダイオード3及び光学部材を実装しうるそれのみが示されている。ベースプレート18は、例えば、それら複数個のレーザダイオード用の除熱板として働かせることができる。
【0045】
図2に係る第2構造では、諸レーザダイオード3により放射された光21が明瞭化のため描かれている。この第2構造は、一方で、各グループ1,2が6個のレーザダイオード3を有している点で、図1に係るそれと異なっている。他方で、レーザダイオード3のグループ1,2をX方向沿い及びY方向沿いで互いに幾ばくかずらすことで、レーザダイオード3により形成されたローを互いに交差させている。
【0046】
レーザダイオード3のロー同士のこうした変位又はずれにより、例えば、本レーザ装置を設計する際にレンズ及び鏡により形成される光学システムのパラメタに対する、より良好な適合化が可能となる。例えば、鏡7からレーザダイオード3のローまでの距離の適切な選択により、遅軸平行光化レンズ4の所要焦点距離に影響を及ぼすことができる。その遅軸平行光化レンズ4の焦点距離が更にそのレーザ装置のサイズに関与する。
【0047】
更に、図2に示されている第2構造は、そのビーム結合器の設計が、図1に示されている構造とは異なっている。この構造でのビーム結合器は、鏡としてではなく偏向カプラ19として設計されている。偏向カプラ19は、ある第1偏向方向を有する光を遮らず、それ自体既知な要領で通す一方、それに対し垂直な偏向方向を有する光を反射させる。この目的を踏まえ、2個のグループ1,2から来る光の2本の経路のうち1本に沿い、その偏向カプラ19よりも前段に、偏向回転子例えば半波長板を設けることができる。
【0048】
偏向カプラ19を用いることで、第1グループ1のレーザダイオード3により放射されたレーザビームが、第2グループ2のレーザダイオード3により放射されたレーザビームに対し、Z方向に沿い同じ高さに配置されるようにすることができる。即ち、第1グループ1のレーザダイオード3のうちある1個と、第2グループ2のレーザダイオード3のうちある1個とが、共に、図8中の各強度分布域8に寄与することとなる。
【0049】
第1及び第2構造例とは対照的に、図5に係る第3構造例は、Z方向に沿い互いに上下に並ぶ6個の平面22a,22b,22c,22d,22e,22f(図6参照)を有している。それら6個の平面のうち1個のみが図5に示されている。6個超又は6個未満の平面を設けることも全く可能である。
【0050】
これらの平面22a,22b,22c,22d,22e,22fは、それぞれ、図5に示されている平面22aと同様に構成することができる。図5に示されているレーザ装置の平面22aの場合、それぞれ8個のレーザダイオード3からなる2個のグループ1,2が設けられている。この構造では、レーザダイオード3のグループ1,2が、図2に係る第2構造におけるそれよりも多少とも多く、互いに、X方向沿い及びY方向沿いでずらされている。
【0051】
図5に示されている平面22aにも、偏向カプラ19がビーム結合器として設けられている。
【0052】
各平面22a,22b,22c,22d,22e,22fの変換装置は、例えば第1望遠鏡11aを備えている。全平面22a,22b,22c,22d,22e,22fにまとめて第2望遠鏡11bを設け、合体したレーザビームが好適に整形されるようにすることができる。この変換装置は、更に、少なくとも1個の共通鏡12(図6及び図7参照)を備えている。
【0053】
本レーザ構造は、更に、Z方向に沿い互いに上下並び配置された6個の鏡20a,20b,20c,20d,20e,20fを備えており、そのそれぞれにより、平面22a,22b,22c,22d,22e,22fのレーザビームが、それらがもはや正のX方向即ち図5中の右側には伝搬せずZ方向上方に伝搬するような要領で反射される。鏡20a,20b,20c,20d,20e,20fは、図5中の平面外観や、図6及び図7中に明瞭化のため付記されている投影20a’,20b’,20c’,20d’,20e’,20f’から看取しうる通り、X方向沿い及びY方向沿いでも互いにずらされている。
【0054】
Z方向上方に伝搬するレーザ輻射は、共通鏡12により負のY方向、即ち図5中の下方へと方向転換される。その後は第2望遠鏡11bを通り、集束光学系13により光ファイバ15の入射面14上に合焦される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10-11】