(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】電池の筐体、電池、電力使用機器、電池を製造する方法と機器
(51)【国際特許分類】
H01M 50/204 20210101AFI20240618BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240618BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20240618BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20240618BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20240618BHJP
【FI】
H01M50/204 201
H01M50/204 401H
H01M10/613
H01M50/249
H01M10/625
H01M50/209
(21)【出願番号】P 2022558524
(86)(22)【出願日】2021-07-30
(86)【国際出願番号】 CN2021109456
(87)【国際公開番号】W WO2023004726
(87)【国際公開日】2023-02-02
【審査請求日】2022-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】唐 ▲ユ▼
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ ▲海▼奇
(72)【発明者】
【氏名】▲曾▼ 智▲敏▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 旭
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲鵬▼
(72)【発明者】
【氏名】黄 小▲騰▼
【審査官】窪田 陸人
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第211719657(CN,U)
【文献】中国実用新案第207967074(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第109817842(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0252043(US,A1)
【文献】特開2022-110745(JP,A)
【文献】特表2023-542485(JP,A)
【文献】特表2023-535097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H01M 10/52-10/667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池の筐体であって、
冷却部品であって、前記冷却部品上に集液構造が設けられ、前記集液構造は前記冷却部品で発生した凝縮液を集めるためのものである冷却部品と、
第1の壁であって、前記第1の壁上に貯液構造が設けられ、前記貯液構造は前記集液構造に対応して設けられ、前記貯液構造は前記集液構造で集められた前記凝縮液を収集するためのものである第1の壁とを含
み、
前記冷却部品は、前記貯液構造に対応する位置において前記貯液構造に突出することで前記集液構造を形成し、前記集液構造は、尖状突起又は弧状突起である、電池の筐体。
【請求項2】
前記冷却部品は接続領域、遷移領域および本体領域を含み、前記接続領域は前記第1の壁を接続するためのものであり、前記接続領域と前記本体領域は異なる平面に位置し、前記遷移領域は前記接続領域と前記本体領域を接続して2つのコーナー構造を形成し、前記2つのコーナー構造のうち、前記貯液構造に近いコーナー構造は前記集液構造を形成する、請求項1に記載の筐体。
【請求項3】
前記冷却部品の前記第1の壁に近い領域は、前記第1の壁へ屈曲されて、前記接続領域及び前記接続領域と前記本体領域とを接続する前記遷移領域を形成する、請求項2に記載の筐体。
【請求項4】
前記接続領域が位置する平面は、前記本体領域が位置する平面よりも前記貯液構造に近く、前記遷移領域で前記接続領域を接続することによって形成された前記コーナー構造は、前記集液構造を形成する、請求項
3に記載の筐体。
【請求項5】
前記第1の壁は複数の副壁を含み、前記複数の副壁を連結して前記貯液構造のキャビティを形成し、前記キャビティの開口は前記集液構造に対応する、請求項1に記載の筐体。
【請求項6】
前記開口は、前記集液構造の重力方向に設けられる、請求項
5に記載の筐体。
【請求項7】
前記貯液構造と前記筐体の電気キャビティとは隔離され、前記電気キャビティは電池単体を収容するためのものである、請求項1に記載の筐体。
【請求項8】
前記貯液構造内に、前記凝縮液を吸着するための吸湿構造が設けられる、請求項1に記載の筐体。
【請求項9】
前記第1の壁内に、前記凝縮液を前記筐体から排出するための導流構造が設けられる、請求項1に記載の筐体。
【請求項10】
電池であって、
電池単体と、
請求項1~
9のいずれか1項に記載の筐体とを含み、ここで、前記電池単体は前記筐体内に収容される、電池。
【請求項11】
電力使用機器であって、電気エネルギーを提供するための、請求項
10に記載の電池を含む、電力使用機器。
【請求項12】
電池を製造する方法であって、
電池単体を提供することと、
筐体を提供することであって、前記筐体は、
冷却部品であって、前記冷却部品上に集液構造が設けられ、前記集液構造は前記冷却部品で発生した凝縮液を集めるためのものである冷却部品と、
第1の壁であって、前記第1の壁上に貯液構造が設けられ、前記貯液構造は前記集液構造に対応して設けられ、前記貯液構造は前記集液構造で集められた前記凝縮液を収集するためのものである第1の壁とを含
み、前記冷却部品は、前記貯液構造に対応する位置において前記貯液構造に突出することで前記集液構造を形成し、前記集液構造は、尖状突起又は弧状突起であることと、
前記電池単体を前記筐体内に収容することとを含む、電池を製造する方法。
【請求項13】
電池を製造する機器であって、
電池単体及び筐体を提供するための提供モジュールであって、前記筐体は、
冷却部品であって、前記冷却部品上に集液構造が設けられ、前記集液構造は前記冷却部品で発生した凝縮液を集めるためのものである冷却部品と、
第1の壁であって、前記第1の壁上に貯液構造が設けられ、前記貯液構造は前記集液構造に対応して設けられ、前記貯液構造は前記集液構造で集められた前記凝縮液を収集するためのものである第1の壁とを含
み、前記冷却部品は、前記貯液構造に対応する位置において前記貯液構造に突出することで前記集液構造を形成し、前記集液構造は、尖状突起又は弧状突起である、提供モジュールと、
前記電池単体を前記筐体内に収容するための取り付けモジュールとを含む、電池を製造
する機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、電池技術分野に関し、特に電池の筐体、電池、電力使用機器、電池を製造する方法と機器に関する。
【背景技術】
【0002】
環境汚染の日々の深刻化に伴い、新エネルギー産業はますます人々の注目を集めている。新エネルギー産業において、電池技術は、その発展に係る重要な要素である。
【0003】
電池技術の発展において、安全性の問題が無視できない問題となっている。電池の安全性を確保できなければ、その電池を使用することはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電池は高温高湿な環境において、その電池の筐体内で凝縮液が発生しやすく、安全上の潜在的なリスクをおたらし、電池の安全性に影響を及ぼす。そのため、どのように電池の安全性を向上させるかは、電池技術において早急な解決が待たれる技術課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願の実施例は、電池の安全性を向上させることができる電池の筐体、電池、電力使用機器、電池を製造する方法と機器を提供する。
【0006】
第1の態様によれば、電池の筐体を提供する。この筐体は、冷却部品であって、前記冷却部品上に集液構造が設けられ、前記集液構造は前記冷却部品で発生した凝縮液を集めるためのものである冷却部品と、第1の壁であって、前記第1の壁上に貯液構造が設けられ、前記貯液構造は前記集液構造に対応して設けられ、前記貯液構造は前記集液構造で集められた前記凝縮液を収集するためのものである第1の壁とを含む。
【0007】
本出願の実施例において、冷却部品上に集液構造を設け、集液構造を利用して冷却部品で発生した凝縮液を集めるとともに、筐体の第1の壁上に、集液構造に対応する貯液構造を設け、貯液構造を利用して集液構造で集められた凝縮液を収集する。このように、凝縮液が筐体内の電気的接続領域から遠ざかるようにすることができるため、電池の安全性を向上させることができる。
【0008】
一可能な実現形態では、冷却部品は、占有する空間を縮小するために、筐体の上蓋に集積されてもよい。
【0009】
一可能な実現形態では、前記冷却部品は、前記貯液構造に対応する位置において前記貯液構造に突出することで前記集液構造を形成する。突出する領域は、冷却部品の他の平面領域に比べて、比較的に大きい曲率を有し、凝縮液を集めやすいため、凝縮液をこの領域に集めることができる。
【0010】
一可能な実現形態では、前記集液構造は、尖状突起又は弧状突起である。尖状突起又は弧状突起はいずれも比較的に大きい曲率を有するため、凝縮液を集めることができる。
【0011】
一可能な実現形態では、前記冷却部品は接続領域、遷移領域と本体領域を含み、前記接続領域は前記第1の壁を接続するためのものであり、前記接続領域と前記本体領域は異なる平面に位置し、前記遷移領域は前記接続領域と前記本体領域を接続して2つのコーナー構造を形成し、前記2つのコーナー構造のうち、前記貯液構造に近いコーナー構造は前記集液構造を形成する。コーナー構造は、冷却部品の他の平面領域に比べて、比較的に大きい曲率を有し、凝縮液を集めやすいため、凝縮液をこのコーナー構造の位置に集めることができる。
【0012】
一可能な実現形態では、前記接続領域が位置する平面は、前記本体領域が位置する平面よりも前記貯液構造に近く、前記遷移領域で前記接続領域を接続することによって形成されたコーナー構造は、前記集液構造を形成する。このような状況で、貯液構造から比較的に遠いコーナー構造の位置における凝縮液も、遷移領域に沿って、貯液構造に近いコーナー構造、即ち集液構造に流れることができる。そのため、上記設置を用いることで、より多くの凝縮液は、集液構造に集められて貯液構造に入ることになる。
【0013】
一可能な実現形態では、前記第1の壁は複数の副壁を含み、前記複数の副壁を連結して前記貯液構造のキャビティを形成し、前記キャビティの開口は前記集液構造に対応する。集液構造に対応する位置において、キャビティは開口を有し、貯液構造を形成する。それにより、集液構造で集められた凝縮液は、開口を介して貯液構造に入ることができる。
【0014】
一可能な実現形態では、前記開口は、前記集液構造の重力方向に設けられる。このように、集液構造で集められた凝縮液は、開口を介して貯液構造に滴下することができる。
【0015】
一可能な実現形態では、前記貯液構造と前記筐体の電気キャビティとは隔離され、前記電気キャビティは電池単体を収容するためのものである。貯液構造と電気キャビティを隔離することで、凝縮液が電気キャビティに入って電気キャビティ内の電気的接続と接触することを回避することができる。
【0016】
一可能な実現形態では、前記貯液構造内に、前記凝縮液を吸着するための吸湿構造が設けられる。吸湿構造で凝縮液を吸着することによって、凝縮液の拡散を回避し、安全上の潜在的なリスクを減少させることができる。
【0017】
一可能な実現形態では、前記第1の壁内に、前記凝縮液を前記筐体から排出するための導流構造が設けられる。導流構造によって、凝縮液を筐体から排出し、安全上の潜在的なリスクを減少させることができる。それにより、電池の安全性を確保する。
【0018】
第2の態様によれば、電池を提供する。この電池は、電池単体と、第1の態様による筐体とを含み、ここで、前記電池単体は前記筐体内に収容される。
【0019】
第3の態様によれば、電力使用機器を提供する。この電力使用機器は、電気エネルギーを提供するための、第2の態様による電池を含む。
【0020】
第4の態様によれば、電池を製造する方法を提供する。この方法は、電池単体を提供することと、筐体を提供することであって、前記筐体は、冷却部品であって、前記冷却部品上に集液構造が設けられ、前記集液構造は前記冷却部品で発生した凝縮液を集めるためのものである冷却部品と、第1の壁であって、前記第1の壁上に貯液構造が設けられ、前記貯液構造は前記集液構造に対応して設けられ、前記貯液構造は前記集液構造で集められた前記凝縮液を収集するためのものである第1の壁とを含むことと、前記電池単体を前記筐体内に収容することとを含む。
【0021】
第5の態様によれば、電池を製造する機器を提供する。この機器は、上記第4の態様による方法を実行するモジュールを含む。
【0022】
本出願の実施例による技術案は、冷却部品上に集液構造を設け、集液構造を利用して冷却部品で発生した凝縮液を集めるとともに、筐体の第1の壁上に、集液構造に対応する貯液構造を設け、貯液構造を利用して集液構造で集められた凝縮液を収集する。このように、凝縮液が筐体内の電気的接続領域から遠ざかるようにすることができるため、電池の安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本出願の実施例の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下では、本出願の実施例で使用する必要がある図面を簡単に説明するが、明らかなことに、以下に説明する図面は、本出願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとっては、創造的な労力を支払うことなく、図面に基づいて他の図面を入手することができる。
【0024】
【
図1】本出願の一実施例による車両の概略図である。
【
図2】本出願の一実施例による電池の概略図である。
【
図3】本出願の一実施例による電池の概略図である。
【
図4】本出願の一実施例による電池単体の概略図である。
【
図5】本出願の一実施例による電池の筐体の概略図である。
【
図6】本出願の一実施例による電池の筐体の概略図である。
【
図7】本出願の一実施例による電池の筐体の概略図である。
【
図8】本出願の一実施例による電池の概略図である。
【
図9】本出願の一実施例による、電池を製造する方法の概略フローチャートである。
【
図10】本出願の一実施例による、電池を製造する機器の概略ブロック図である。
【0025】
添付図面において、添付図面は、実際の縮尺通りに描かれてはいない。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、添付図面と実施例を結び付けながら本出願の実施形態をさらに詳細に説明する。以下の実施例についての詳細な説明及び添付図面は、本出願の原理を例示的に説明するために用いられるが、本出願の範囲を制限するものではなく、即ち本出願は、記述された実施例に限らない。
【0027】
本出願の記述において、説明すべきことは、特に指摘しない限り、使用される全ての技術と科学用語は、当業者に一般に理解される意味と同じである。使用される用語は、具体的な実施例を説明することを目的とし、本出願を制限することを意図していない。本出願の明細書と特許請求の範囲及び上記図面の説明における「含む」、「有する」という用語及びそれらの任意の変形は、非排他的な「含む」を意図的にカバーするものである。「複数」は2つ以上を意味する。用語「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」などで指示される方位又は位置関係は、本出願を容易に説明し、かつその説明を簡略化するためのものであり、示された装置又は素子が特定の方位を有し、特定の方位で構造と操作されなければならないことを指示又は示唆するものではないため、本出願を制限するものとして理解すべきではない。なお、用語「第1」、「第2」、「第3」などは、説明するためのものに過ぎず、相対的な重要性を指示又は示唆するものとして理解すべきではない。「垂直」は、厳密な意味での垂直ではなく、誤差の許容範囲内にあるものである。「平行」は、厳密な意味での平行ではなく、誤差の許容範囲内にあるものである。
【0028】
本出願において「実施例」と言及する場合、実施例で説明された特定の特徴、構造又は特性が本出願の少なくとも1つの実施例に含まれてもよいことを意味する。本明細書の様々な箇所におけるこの語句は、必ずしも同じ実施例を指すというわけではなく、他の実施例を排斥する、独立した又は代替的な実施例でもない。当業者に明白又は非明示的に理解されるように、本出願に説明された実施例は、他の実施例と組み合わせてもよい。
【0029】
以下の記述における方位用語はいずれも図示されている方向であり、本出願の具体的な構造を限定するものではない。本出願の記述において、さらに説明すべきことは、明確な規定と限定がない限り、用語「取り付け」、「連結」、「接続」は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定的に接続してもよく、取り外し可能に接続するか又は一体的に接続してもよく、直接に接続してもよく、中間媒体を介して間接に接続してもよく、2つの素子の内部を連通させてもよい。当業者であれば、具体的な状況を踏まえて、上記用語の本出願での具体的な意味を理解することができる。
【0030】
本出願における「及び/又は」という用語は、関連対象の関連関係を記述するものに過ぎず、3つの関係が存在してもよいことを表し、例えば、A及び/又はBは、単独のA、AとBとの組み合わせ、単独のBという3つのケースを表すことができる。また、本出願におけるキャラクタ「/」は、一般的には前後関連対象が「又は」という関係であることを表す。
【0031】
本出願において、電池単体は、リチウムイオン二次電池、リチウムイオン一次電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池などを含んでもよいが、本出願の実施例では、それを限定しない。電池単体は、円柱体、扁平体、直方体又は他の形状などであってもよく、本出願の実施例では、それを限定しない。電池単体は、パッケージングの形態によって、一般的には、柱形電池単体、直方体角形電池単体とパウチ電池単体の3つの種類に分けられ、本出願の実施例では、それを限定しない。
【0032】
本出願の実施例で言及した電池は、より高い電圧と容量を提供するために1つ又は複数の電池単体を含む単一の物理的モジュールを指す。例えば、本出願で言及した電池は、電池パックなどを含んでもよい。電池は、一般的には、1つ又は複数の電池単体をパッケージングするための筐体を含む。筐体は、液体又は他の異物による電池単体の充電又は放電への影響を回避することができる。
【0033】
電池単体は電極アセンブリと電解液を含み、電極アセンブリは正極板、負極板とセパレータによって構成される。電池単体は、主に、金属イオンが正極板と負極板との間で移動することによって作動する。正極板は正極集電体と正極活物質層を含み、正極活物質層は正極集電体の表面に塗布され、正極活物質層を塗布していない集電体は、正極活物質層を塗布した集電体から突出し、正極活物質層を塗布していない集電体を正極タブとする。リチウムイオン電池を例にし、正極集電体の材料はアルミニウムであってもよく、正極活物質はコバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元系リチウム又はマンガン酸リチウムなどであってもよい。負極板は負極集電体と負極活物質層を含み、負極活物質層は負極集電体の表面に塗布され、負極活物質層を塗布していない集電体は、負極活物質層を塗布した集電体から突出し、負極活物質層を塗布していない集電体を負極タブとする。負極集電体の材料は銅であってもよく、負極活物質は炭素又はケイ素などであってもよい。大電流を流しても溶断しないよう確保するために、正極タブの数は複数であり、かつ積層され、負極タブの数は複数であり、かつ積層される。セパレータの材質は、ポリプロピレン(PP)又はポリエチレン(PE)などであってもよい。なお、電極アセンブリは捲回型構造であってもよく、積層型構造であってもよく、本出願の実施例では、それを限定しない。
【0034】
異なる電力需要を満たすために、電池は複数の電池単体を含んでもよく、ここで、複数の電池単体の間は、直列接続又は並列接続又は直並列接続されてもよく、直並列接続は、直列接続と並列接続との混合を指す。任意選択的に、複数の電池単体をまず直列接続又は並列接続又は直並列接続して電池モジュールを構成し、複数の電池モジュールを直列接続又は並列接続又は直並列接続して電池を構成する。つまり、複数の電池単体は直接的に電池を構成してもよく、又は、まず電池モジュールを構成し、さらに電池モジュールで電池を構成してもよい。電池はさらに電力使用機器に設けられ、電力使用機器のために電気エネルギーを提供する。
【0035】
電池技術の発展は、多岐にわたる設計因子、例えば、エネルギー密度、サイクル寿命、放電容量、充放電レートなどの性能パラメータを同時に考慮しなければならず、また、電池の安全性を考慮する必要もある。
【0036】
電池単体に対し、安全上の主なリスクは充電と放電する過程にあり、適切な温度設計が必要とされる。電池単体を適切な温度に制御するために、電池内に冷却システムを設けてもよい。冷却システムは、冷媒を収容して電池単体の温度を低減させるためのものである。冷却システムは冷却部品又は冷却パネルなどと呼ばれてもよく、冷媒は冷却流体と呼ばれてもよく、さらに具体的には、冷却液又は冷却ガスと呼ばれてもよい。冷却流体は、循環して流れることによって、より高い温度調節効果を達成する。任意選択的に、冷媒は水、水とエチレングリコールの混合液、又は空気などであってもよい。冷媒が水である場合、冷却システムは、水冷パネルと呼ばれてもよい。
【0037】
電池は高温高湿な環境において、その電池の筐体内で凝縮液が発生しやすく、安全上の潜在的なリスクをおたらし、電池の安全性に影響を及ぼす。具体的には、電池内の高温高湿なガスが電池の筐体内の冷却部品に当たると、凝縮液が発生し、この凝縮液が電池内の電気的接続領域に滴下すると、電池の安全性に影響を与えるおそれがある。
【0038】
これに鑑みて、本出願は技術案を提供する。冷却部品上に集液構造を設け、集液構造を利用して冷却部品で発生した凝縮液を集めるとともに、電池の筐体の壁上に、集液構造に対応する貯液構造を設け、貯液構造を利用して集液構造で集められた凝縮液を収集する。このように、凝縮液が電池の電気的接続領域から遠ざかるようにすることができるため、電池の安全性を向上させることができる。
【0039】
電池の筐体において、以上で言及した電池単体及び冷却部品の他、バスバー部品及び電池の他の部品を含んでもよい。いくつかの実施例において、筐体には、電池単体を固定するための構造を設けてもよい。筐体の形状は、収容される複数の電池単体に基づいて決定されればよい。いくつかの実施例において、筐体は、6つの壁を有する直方体であってもよい。任意選択的に、筐体の底壁と天井壁に冷却部品を集積することによって、筐体の底部と最上部において電池単体に対して冷却を行ってもよい。筐体の側壁に梁を設け、梁は複数の副壁を含み、複数の副壁は中空の梁構造を形成し、即ち梁内部はキャビティを有する。任意選択的に、筐体の底部と最上部の他、筐体の中間部に冷却部品を設けて冷却効果をさらに向上させてもよい。
【0040】
本出願の実施例において、集液構造は、筐体最上部の冷却部品、例えば、筐体の天井壁/上蓋に集積される冷却部品に設けられてもよい。貯液構造は、筐体の梁に設けられてもよい。このように、集液構造は、冷却部品で発生した凝縮液を梁における貯液構造の上方に集めて凝縮液を貯液構造に収集することによって、凝縮液が電池内の電気的接続領域、例えばバスバー部品から遠ざかるようにすることができる。
【0041】
バスバー部品は、複数の電池単体間の電気的接続、例えば、直列接続又は並列接続又は直並列接続を実現するためのものである。バスバー部品は、電池単体の電極端子を接続することによって電池単体間の電気的接続を実現することができる。いくつかの実施例において、バスバー部品は、溶接によって電池単体の電極端子に固定することができる。バスバー部品は電池単体の電圧を伝送し、複数の電池単体を直列接続すると、より高い電圧を得るが、これに応じて、バスバー部品で形成された電気的接続は「高圧接続」と呼ばれてもよい。
【0042】
バスバー部品の他、電池内にセンサデバイスをさらに設けてもよく、センサデバイスは、電池単体の状態を検知するためのものであり、例えば、電池単体の温度、荷電状態などを検知する。本出願の実施例において、電池内の電気的接続領域は、バスバー部品で形成された電気的接続領域及び/又はセンサデバイスにおける電気的接続領域を含むことができる。
【0043】
バスバー部品とセンサデバイスは、絶縁層にパッケージングして信号伝送アセンブリを形成することができる。それに応じて、信号伝送アセンブリは、電池単体の電圧及び/又はセンシング信号を伝送するために用いることができる。信号伝送アセンブリは電池単体の電極端子との接続位置に絶縁層がなく、即ち、絶縁層がここで開孔を有することによって、電池単体の電極端子と接続する。
【0044】
電池の筐体上に圧力バランス機構をさらに設けてもよく、筐体内外の圧力のバランスを取るために用いられる。例えば、筐体内の圧力が筐体外より高い時、筐体内部のガスは圧力バランス機構を介して筐体外へ流れることができ、筐体内の圧力が筐体外より低い時、筐体外部のガスは圧力バランス機構を介して筐体内部に流れることができる。任意選択的に、圧力バランス機構は筐体の放圧機構であってもよく、放圧機構は、筐体内部の圧力が閾値に達する時に作動して内部の圧力を放出するためのものである。
【0045】
以上で説明された電池の筐体における各部品は、本出願の実施例を限定するものとして理解すべきではなく、つまり、本出願の実施例における電池用の筐体は、上記部品を含んでもよく、上記部品を含まなくてもよいことを理解されたい。
【0046】
本出願の実施例で説明された技術案はいずれも電池を使用する様々な機器、例えば、携帯電話、携帯型デバイス、ノートパソコン、電動スクーター、電動玩具、電動工具、電動車両、船舶及び宇宙機などに適用でき、宇宙機は飛行機、ロケット、スペースシャトル及び宇宙船などを含む。
【0047】
理解すべきこととして、本出願の実施例で説明された技術案は、上記で説明された機器のみに適用できるというわけではなく、電池を使用する全ての機器に適用できるが、説明を簡潔にするために、下記実施例では、電動車両を例にして説明する。
【0048】
例えば、
図1では、本出願の一実施例による車両1の構造概略図が示されている。車両1は、燃料油自動車、ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は、純電気自動車、ハイブリッド自動車やレンジエクステンダー自動車などであってもよい。車両1の内部に、モータ40、コントローラ30及び電池10を設けてもよく、コントローラ30は、モータ40に給電するように電池10を制御するためのものである。例えば、車両1の底部又は先端又は後端に電池10を設けることができる。電池10は、車両1への給電に使用できる。例えば、電池10は、車両1の操作電源として車両1の回路システムに用いられてもよく、例えば、車両1の起動、ナビゲーション及び走行時の作動用電力需要に用いられる。本出願の別の実施例において、電池10は、車両1の操作電源だけでなく、車両1の駆動電源として、燃料油又は天然ガスを替えて又はその一部を替えて車両1のために駆動動力を提供することもできる。
【0049】
様々な電力使用の需要を満たすために、電池10は複数の電池単体を含んでもよい。例えば、
図2は、本出願の一実施例による電池10の構造概略図である。電池10は、複数の電池単体20を含んでもよい。電池10は筐体11をさらに含んでもよく、筐体11の内部は中空構造であり、複数の電池単体20は筐体11内に収容される。
図2に示すように、筐体11は2つの部分を含んでもよく、ここでそれぞれ第1の部分111(上筐体)と第2の部分112(下筐体)と呼び、第1の部分111と第2の部分112は一体に係合される。第1の部分111と第2の部分112の形状は、複数の電池単体20を組み合わせた形状に基づいて決定されてもよく、第1の部分111と第2の部分112はいずれも1つの開口を有してもよい。例えば、第1の部分111と第2の部分112はいずれも中空の直方体であってもよく、かつそれぞれ1つの面のみが開口面であり、第1の部分111の開口と第2の部分112の開口は対向して設けられ、かつ第1の部分111と第2の部分112は互いに係合されて、密閉室を有する筐体11を形成する。複数の電池単体20を互いに並列接続又は直列接続又は直並列接続して組み立てた後に、第1の部分111と第2の部分112を係合して形成された筐体11内に置く。
【0050】
任意選択的に、電池10は他の構造をさらに含んでもよいが、ここでは説明を省略する。例えば、この電池10はバスバー部品をさらに含んでもよく、バスバー部品は、複数の電池単体20間の電気的接続、例えば、直列接続又は並列接続又は直並列接続を実現するためのものである。具体的には、バスバー部品は、電池単体20の電極端子を接続することによって電池単体20間の電気的接続を実現することができる。さらに、バスバー部品は、溶接によって電池単体20の電極端子に固定することができる。複数の電池単体20の電力はさらに、導電機構により筐体11を貫通して引き出されてもよい。任意選択的に、導電機構はバスバー部品に属してもよい。
【0051】
様々な電力需要に応じて、電池単体20の数は、任意の数値に設定されてもよい。複数の電池単体20を直列接続、並列接続又は直並列接続の方式で接続することによって、比較的大きな容量又はパワーを実現することができる。各電池10に含まれる電池単体20の数は比較的に多い可能性があるが、取り付けやすくするために、電池単体20を群に分けて設けてもよく、各群の電池単体20は電池モジュールを構成する。電池モジュールに含まれる電池単体20の数には制限がないが、需要に応じて設定すればよい。電池は複数の電池モジュールを含んでもよく、これらの電池モジュールは、直列接続、並列接続又は直並列接続の方式によって接続されてもよい。
【0052】
任意選択的に、
図3に示すように、筐体11の第1の部分111は、開口のない上蓋であってもよく、即ち、第1の部分111は、平板状の上蓋である。この上蓋に冷却部品を集積することによって、筐体11の最上部において電池単体20に対して冷却を行うことができる。筐体11の第2の部分112は、開口を有するキャビティであり、底壁と側壁を含む。底壁に冷却部品を集積することによって、筐体11の底部において電池単体20に対して冷却を行うことができる。側壁に梁を設けてもよく、梁は複数の副壁を含み、複数の副壁は中空の梁構造を形成し、即ち梁内部はキャビティを有する。
【0053】
任意選択的に、筐体11の底部と最上部の他、筐体11の中間部に冷却部品を設けてもよい。例えば、上下2列の電池単体20の間に冷却部品を設けることによって、冷却効果をさらに向上させることができる。
【0054】
任意選択的に、筐体11内の電池単体20の、電極端子が設けられた壁は、筐体11の底壁に垂直であってもよい。つまり、電池単体20は、横方向に(「横臥」)配置されてもよい。このように、筐体11の底壁に垂直な方向に、2列ごとの電池単体20の間にいずれも冷却部品を設けてもよい。それに応じて、各電池単体20の両側にいずれも冷却部品が設けられている。任意選択的に、各電池単体20の面積が最大となる側壁に冷却部品を接続することによって、電池単体20に対する比較的に高い程度の冷却を実現する。
【0055】
図4では、本出願の一実施例による電池単体20の構造概略図が示されている。電池単体20は、1つ又は複数の電極アセンブリ22と、ケース211と、カバープレート212とを含む。ケース211とカバープレート212は、ハウジング又は電池ボックス21を形成する。ケース211の壁及びカバープレート212はいずれも電池単体20の壁と呼ばれ、ここで、直方体型の電池単体20に対し、ケース211の壁は、底壁と4つの側壁を含む。ケース211は、1つ又は複数の電極アセンブリ22を組み立てた後の形状に基づいて決定され、例えば、ケース211は、中空の直方体又は立方体又は円柱体であってもよく、かつケース211における1つの面は、1つ又は複数の電極アセンブリ22がケース211内に置くことが可能であるように、開口を有する。例えば、ケース211が中空の直方体又は立方体である場合、ケース211における1つの平面が開口面であり、即ち、この平面は壁体を有しておらず、ケース211の内外を連通させる。ケース211が中空の円柱体である場合、ケース211の端面が開口面であり、即ち、この端面は壁体を有しておらず、ケース211の内外を連通させる。カバープレート212は開口を覆い、かつケース211に接続されることによって、電極アセンブリ22を配置するための密閉のキャビティを形成する。ケース211内に、電解質、例えば電解液が充填される。
【0056】
この電池単体20は2つの電極端子214をさらに含んでもよく、2つの電極端子214はカバープレート212上に設けられてもよい。カバープレート212は、一般的には平板形状であり、2つの電極端子214は、カバープレート212の平板表面上に固定され、2つの電極端子214は、それぞれ正極端子214aと負極端子214bである。各電極端子214に対応してそれぞれ1つの接続部材23が設けられ、又は集電部材23と呼ばれてもよいが、それはカバープレート212と電極アセンブリ22との間に位置し、電極アセンブリ22と電極端子214との電気的接続を実現するためのものである。
【0057】
図4に示すように、各電極アセンブリ22は、第1のタブ221aと第2のタブ222aを有する。第1のタブ221aと第2のタブ222aとは、極性が逆である。例えば、第1のタブ221aが正極タブであれば、第2のタブ222aは負極タブである。1つ又は複数の電極アセンブリ22の第1のタブ221aは1つの接続部材23を介して1つの電極端子に接続され、1つ又は複数の電極アセンブリ22の第2のタブ222aはもう1つの接続部材23を介してもう1つの電極端子に接続される。例えば、正極端子214aは1つの接続部材23を介して正極タブに接続され、負極端子214bはもう1つの接続部材23を介して負極タブに接続される。
【0058】
この電池単体20において、実際の使用上の需要に応じて、電極アセンブリ22は1つ又は複数設けられてもよいが、
図4に示すように、電池単体20内に4つの独立した電極アセンブリ22が設けられている。
【0059】
電池単体20上に、放圧機構213をさらに設けてもよい。放圧機構213は、電池単体20の内部圧力又は温度が閾値に達する時に作動して内部の圧力又は温度を放出するためのものである。
【0060】
放圧機構213はいかなる可能な放圧構造であってもよいが、本出願の実施例では、それを限定しない。例えば、放圧機構213は、放圧機構213を設けた電池単体20の内部温度が閾値に達する時に溶融できるように配置されている感温性放圧機構であってもよく、及び/又は、放圧機構213は、放圧機構213を設けた電池単体20の内部気圧が閾値に達する時に破裂できるように配置されている感圧性放圧機構であってもよい。
【0061】
図5では、本出願の一実施例による電池の筐体11の構造概略図が示されている。
図5に示すように、筐体11は、冷却部品13及び第1の壁110を含んでもよい。
【0062】
冷却部品13は、冷媒を収容して電池単体20の温度を低減させるためのものである。冷媒は、循環して流れることによって、より高い温度調節効果を達成することができる。任意選択的に、冷媒は水、水とエチレングリコールの混合液、又は空気などであってもよいが、本出願の実施例では、それを限定しない。
【0063】
冷却部品13上に集液構造130が設けられ、集液構造130は冷却部品13で発生した凝縮液を集めるためのものである。電池10内は高温高湿の環境であり、電池10内の高温高湿のガスが冷却部品13に当たると、凝縮液が発生する。本出願の実施例において、冷却部品13上に集液構造130を設けることによって、凝縮液を集液構造130に集める。任意選択的に、集液構造130は、曲率が比較的に大きい構造、例えば、先鋭な構造であってもよい。このように、冷却部品13の他の平面領域に対して、曲率の比較的に大きい集液構造130は、より容易に凝縮液を集めることによって、凝縮液を特定の位置に集めることができる。
【0064】
第1の壁110上に貯液構造115が設けられ、貯液構造115は集液構造130に対応して設けられ、貯液構造115は集液構造130で集められた凝縮液を収集するためのものである。貯液構造115は、集液構造130で集められた凝縮液が滴下する位置に設けられてもよく、例えば、貯液構造115は、集液構造130の重力方向に設けられてもよい。このように、集液構造130で集められた凝縮液が貯液構造115内に滴下することによって、冷却部品13で発生した凝縮液に対する収集を実現することができる。
【0065】
本出願の実施例において、冷却部品13上に集液構造130を設け、集液構造130を利用して冷却部品13で発生した凝縮液を集めるとともに、筐体11の第1の壁110上に、集液構造130に対応する貯液構造115を設け、貯液構造115を利用して集液構造130で集められた凝縮液を収集する。このように、凝縮液が筐体11内の電気的接続領域から遠ざかるようにすることができるため、電池10の安全性を向上させることができる。
【0066】
本出願の実施例の技術案は、冷却部品13を有する電池10に用いることができる。任意選択的に、本出願の一実施例において、冷却部品13は筐体11の最上部に設けられてもよい。例えば、冷却部品13は、占有する空間を縮小するために、筐体11の上蓋に集積されてもよい。第1の壁110は、筐体11の側壁であってもよい。それに応じて、集液構造130は冷却部品13の端部、即ち、第1の壁110に近い領域に設けられてもよい。それによって、凝縮液は、冷却部品13の端部で凝縮し、かつ筐体11の側壁内の貯液構造115に収集されて筐体11内の電気的接続領域から遠ざかる。
【0067】
任意選択的に、本出願の一実施例において、冷却部品13は、筐体11の上蓋に集積されなくてもよい。
図6に示すように、冷却部品13は、筐体11の最上部に設けられ、かつ電池単体20の表面に接続され、筐体11の上蓋111は、冷却部品13の上方を覆うことによって、冷却部品13を保護する。
【0068】
任意選択的に、本出願の一実施例において、冷却部品13は、接続領域131、遷移領域132と本体領域133をさらに含んでもよい。接続領域131は第1の壁110を接続するためのものであり、接続領域131と本体領域133は異なる平面に位置し、遷移領域132は接続領域131と本体領域133を接続して2つのコーナー構造を形成し、2つのコーナー構造のうち、貯液構造115に近いコーナー構造は集液構造130を形成する。
【0069】
例えば、冷却部品13の第1の壁110に近い領域が第1の壁110へ屈曲して、接続領域131及び接続領域131と本体領域133を接続する遷移領域132を形成する。接続領域131と遷移領域132との接続位置、及び遷移領域132と本体領域133との接続位置において、2つのコーナー構造が形成され、ここで、第1の壁110に近いコーナー構造は集液構造130を形成する。コーナー構造は、冷却部品13の他の平面領域に比べて、比較的に大きい曲率を有し、凝縮液を集めやすいため、凝縮液をこのコーナー構造の位置に集めることができる。
【0070】
任意選択的に、本出願の一実施例において、接続領域131が位置する平面は、本体領域133が位置する平面よりも貯液構造115に近い。例えば、接続領域131は、本体領域133よりも筐体11の底壁に近く、即ち、さらに下である。遷移領域132で接続領域131を接続することによって形成されたコーナー構造は、集液構造130を形成する。このような状況で、上方のコーナー構造における凝縮液も、遷移領域132に沿って、下方のコーナー構造、即ち集液構造130に流れることができる。つまり、上記設置を用いることで、より多くの凝縮液は、集液構造130に集められて貯液構造115に入るようになる。
【0071】
任意選択的に、本出願の一実施例において、
図7に示すように、冷却部品13は、貯液構造115に対応する位置において、貯液構造115に突出することで集液構造130を形成する。突出する領域は、冷却部品13の他の平面領域に比べて、比較的に大きい曲率を有し、凝縮液を集めやすいため、凝縮液をこの領域に集めることができる。上記実施例において、冷却部品13は第1の壁110へ屈曲して集液構造130を形成する。本実施例において、冷却部品13は屈曲しないが、第1の壁110に近い領域が貯液構造115に突出することによって貯液構造115に対応する集液構造130を形成する。このような形態では、冷却部品13を折り曲げることはなく、プロセスの難易度を低減させることができる。
【0072】
任意選択的に、集液構造130は尖状突起、即ち先細り部であってもよく、又は弧状突起、即ち凸包であってもよい。尖状突起又は弧状突起はいずれも比較的に大きい曲率を有するため、凝縮液を集めることができる。
【0073】
理解すべきこととして、集液構造130は、曲率が比較的に大きい他の構造を用いてもよいが、本出願の実施例では、それを限定しない。
【0074】
任意選択的に、本出願の一実施例において、貯液構造115と筐体11の電気キャビティ117とは隔離される。電気キャビティ117は、筐体11内の、電池単体20を収容するためのキャビティである。貯液構造115と電気キャビティ117を隔離することで、凝縮液が電気キャビティ117に入って電気キャビティ117内の電気的接続と接触することを回避することができる。
【0075】
任意選択的に、本出願の一実施例において、第1の壁110は複数の副壁を含み、複数の副壁を連結して貯液構造115のキャビティを形成し、キャビティの開口116は集液構造130に対応する。
図5~7に示すように、第1の壁110の複数の副壁は中空の梁構造を形成し、即ち梁内部はキャビティを有する。このように、筐体11の強度を確保できるとともに、筐体11の重量を減少させることもでき、さらに梁内部に他のアセンブリを設けることによって、特定の需要を満たすこともできる。本実施例では、集液構造130に対応する位置において、キャビティは開口116を有し、貯液構造115を形成する。それにより、集液構造130で集められた凝縮液は、開口116を介して貯液構造115に入ることができる。
【0076】
任意選択的に、本出願の一実施例において、開口116は集液構造130の重力方向に設けられる。このように、集液構造130で集められた凝縮液は、開口116を介して貯液構造115に滴下することができる。
【0077】
任意選択的に、本出願の一実施例において、貯液構造115内に、凝縮液を吸着するための吸湿構造を設けてもよい。吸湿構造で凝縮液を吸着することによって、凝縮液の拡散を回避し、安全上の潜在的なリスクを減少させることができる。
【0078】
任意選択的に、本出願の一実施例において、第1の壁110内に、凝縮液を筐体11から排出するための導流構造を設けてもよい。具体的に言えば、第1の壁110内に流路を設けてもよい。この流路は、貯液構造115に接続され、凝縮液を排出するためのものである。
【0079】
例えば、流路の他端に一方向重力弁を接続してもよく、一方向重力弁は、流路内の凝縮液の重力が閾値に達する時に流路内の凝縮液を筐体11から排出するためのものである。
【0080】
一方向重力弁は、流路内の液体の重力が閾値に達する時に開き、液体を下へ排出するが、外部のガスは逆方向に入ることができない。任意選択的に、一方向重力弁を開く重力にマッチするために、流路は、重力方向に比較的に長く設けられてもよい。
【0081】
任意選択的に、流路の他端は一方向重力弁に接続せず、直接的に筐体11の外部に連通してもよく、例えば、第1の壁110上の貫通孔を介して筐体11の外部に連通する。
【0082】
任意選択的に、本出願の一実施例において、凝縮液を容易に流路にガイドするために、貯液構造115の底部は弧状に設けられてもよい。例えば、貯液構造115は、上部が広く下部が狭い弧状構造を採用してもよく、上部の比較的に大きい開口116によって凝縮液の収集がしやすくなり、下部の比較的に狭い設計によって凝縮液をより容易に流路にガイドすることができる。
【0083】
任意選択的に、本出願の一実施例において、貯液構造115の底部に直接的に一方向重力弁を接続してもよい。このような状況で、貯液構造115の底部は筐体11の底部まで延伸してもよく、一方向重力弁は筐体11の底部に設けられる。
【0084】
導流構造、例えば流路及び/又は一方向重力弁によって、凝縮液を筐体11から排出し、安全上の潜在的なリスクを減少させることができる。それにより、電池10の安全性を確保する。
【0085】
本出願の実施例は、電池10をさらに提供する。この電池10は、電池単体20と、上記各実施例で説明された筐体11とを含んでもよく、ここで、電池単体20は筐体11内に収容される。
【0086】
任意選択的に、この電池10は、他の部品、例えばバスバー部品、センサデバイスなどをさらに含んでもよいが、本出願の実施例では、それを限定しない。
【0087】
図8は、本出願の一実施例による電池10の概略図である。
図8に示すように、この電池10は、筐体11と複数の電池単体20を含んでもよい。
【0088】
筐体11は、上記各実施例で説明された筐体11であってもよい。例えば、筐体11は冷却部品13を含み、冷却部品13上に集液構造130が設けられ、集液構造130は冷却部品13で発生した凝縮液を集めるためのものである。筐体11の第1の壁110上に貯液構造115が設けられ、貯液構造115は集液構造130に対応して設けられ、貯液構造115は集液構造130で集められた凝縮液を収集するためのものである。
【0089】
電池単体20は、上記各実施例で説明された電池単体20であってもよく、例えば、電池単体20は、
図4における電池単体20であってもよい。
【0090】
電池10は、複数の電池単体20の電気的接続を実現するためのバスバー部品をさらに含んでもよい。電池10は、電池単体20の状態を検知するためのセンサデバイスをさらに含んでもよい。
【0091】
任意選択的に、電池単体20の、電極端子が設けられた壁は、筐体11の底壁に垂直であってもよい。つまり、電池単体20は、横方向に(「横臥」)配置されてもよい。任意選択的に、電池単体20の面積最大である側壁に冷却部品を接続することによって、電池単体20に対する比較的に高い程度の冷却を実現する。
【0092】
電池10における各部品の具体的な説明については、上記各実施例を参照されたい。簡潔のために、これ以上説明しない。
【0093】
本出願の一実施例は、電力使用機器をさらに提供する。この電力使用機器は上記各実施例における電池10を含んでもよく、電池10はこの電力使用機器に電気エネルギーを提供するためのものである。任意選択的に、電力使用機器は、車両1、船舶又は宇宙機であってもよい。
【0094】
以上は、本出願実施例の電池の筐体11、電池10と電力使用機器について説明したが、以下は、本出願実施例の、電池を製造する方法と機器について説明する。詳細に説明していない部分は、上記各実施例を参照されたい。
【0095】
図9では、本出願の一実施例による、電池を製造する方法300の概略フローチャートが示されている。
図9に示すように、この方法300は、
310、電池単体20を提供することと、
320、筐体11を提供することであって、筐体11は、
冷却部品13であって、冷却部品13上に集液構造130が設けられ、集液構造130は冷却部品13で発生した凝縮液を集めるためのものである冷却部品13と、第1の壁110であって、第1の壁110上に貯液構造115が設けられ、貯液構造115は集液構造130に対応して設けられ、貯液構造115は集液構造130で集められた凝縮液を収集するためのものである第1の壁110とを含むことと、
330、電池単体20を筐体11内に収容することとを含んでもよい。
【0096】
図10では、本出願の一実施例による、電池を製造する機器400の概略ブロック図が示されている。
図10に示すように、電池を製造する機器400は、提供モジュール410と取り付けモジュール420とを含んでもよい。
【0097】
提供モジュール410は、電池単体20及び筐体11を提供するためのものであり、筐体11は、冷却部品13であって、冷却部品13上に集液構造130が設けられ、集液構造130は冷却部品13で発生した凝縮液を集めるためのものである冷却部品13と、第1の壁110であって、第1の壁110上に貯液構造115が設けられ、貯液構造115は集液構造130に対応して設けられ、貯液構造115は集液構造130で集められた凝縮液を収集するためのものである第1の壁110とを含む。
【0098】
取り付けモジュール420は、電池単体20を筐体11内に収容するためのものである。
【0099】
好ましい実施例を結び付けながら本出願を説明したが、本出願の範囲から逸脱することなく、それに対していろいろな改良を行ってもよく、その中の部品を同等の物で置き換えてもよい。特に、構造的矛盾が存在しない限り、各実施例で言及した各技術的特徴を、任意の方式で組み合わせてもよい。本出願は、本明細書に開示された特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内の全ての技術案を含むものである。
【符号の説明】
【0100】
1 車両
10 電池
11 筐体
13 冷却部品
20 電池単体
21 ハウジング
22 電極アセンブリ
23 接続部材
30 コントローラ
40 モータ
110 第1の壁
111 第1の部分
112 第2の部分
115 貯液構造
116 開口
117 電気キャビティ
130 集液構造
131 接続領域
132 遷移領域
133 本体領域
211 ケース
212 カバープレート
213 放圧機構
214 電極端子
214a 正極端子
214b 負極端子
221 第1のタブ
222 第2のタブ
400 機器
410 提供モジュール
420 取り付けモジュール