(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】フィルタ要素一体型シールプロファイル
(51)【国際特許分類】
F02M 35/024 20060101AFI20240618BHJP
B01D 27/00 20060101ALI20240618BHJP
B01D 46/24 20060101ALI20240618BHJP
F01M 11/03 20060101ALI20240618BHJP
F02M 37/32 20190101ALI20240618BHJP
F16J 15/10 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
F02M35/024 501E
B01D27/00
B01D46/24 B
F01M11/03 D
F01M11/03 E
F02M37/32
F16J15/10 N
F16J15/10 T
(21)【出願番号】P 2022563464
(86)(22)【出願日】2021-03-15
(86)【国際出願番号】 US2021022288
(87)【国際公開番号】W WO2021221802
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2022-10-26
(32)【優先日】2020-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イメル、ジョン ティー.
(72)【発明者】
【氏名】オーデヴァルト、スティーブン イー.
(72)【発明者】
【氏名】リース、ジェフリー アール.
(72)【発明者】
【氏名】ポッツ、グレゴリー オー.
(72)【発明者】
【氏名】クライン、ジェイ エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】エヴリー、ジョセフ ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】モアハウス 三世、ダレル エル.
【審査官】津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-511823(JP,A)
【文献】特表2011-504135(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01M 11/03
F02M 37/32
F16J 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分的に環状の構成を含み、長手方向軸(216)、半径方向(218)及び円周方向(217)を画定するフィルタ要素(200)であって、前記フィルタ要素(200)は、
中央通路(219)を画定する環状フィルタ媒体(202)と、
中央リザーバ(204)を画定する前記環状フィルタ媒体(202)の中央通路(219)内に配設されたセンターチューブ(206)(前記環状フィルタ媒体(202)は、前記センターチューブ(206)及び前記中央リザーバ(204)を取り囲む)と、
前記長手方向軸(216)に沿って配設された前記センターチューブ(206)に結合された頂部開放端部(220)であって、流体が前記中央リザーバ(204)から前記フィルタ要素(200)の外部に流れることを可能にする開口部(210)を含む、頂部開放端部(220)と、
前記長手方向軸(216)に沿って配設された前記頂部開放端部(220)の反対側の前記センターチューブ(206)に結合された底端部(222)と、
前記フィルタ要素(200)に取り付けられ、前記環状フィルタ媒体(202)から半径方向に離間し、前記頂部開放端部(220)と前記底端部(222)との間に軸方向に配設された密封部分(302)を含む一体型シール部材(300)と、を備え
、
前記一体型シール部材(300)は、前記フィルタ要素(200)の頂部開放端部(220)から半径方向外方及び軸方向下方に延びる接続部分(318)をさらに備え、前記接続部分(318)には開口がある(322)、フィルタ要素(200)。
【請求項2】
前記接続部分(318)は、一連の下方に延びる角度付き部材(326)と、前記一連の下方
に延びる角度付き部材(326)それぞれを円周方向に互いに接続させる複数の交差部材(330)と、を含む、請求項
1に記載のフィルタ要素(200)。
【請求項3】
前記一体型シール部材(300)は、頂部取り付けリング(324)を含む、請求項
2に記載のフィルタ要素(200)。
【請求項4】
前記一体型シール部材(300)の密封部分(302)は、上方に面する矢印部分(332)と、少なくとも部分的に下方に面する波状部分(334)と、を含む、請求項
1に記載のフィルタ要素(200)。
【請求項5】
請求項1に記載の一体型シール部材(300)であって、
長手方向軸(328)、半径方向(330)、及び円周方向(332)を画定する少なくとも部分的に環状の本体(
335)であって、前記少なくとも部分的に環状の本体(
335)は、
取り付け部分(324a)と、
少なくとも1つの頂部密封特徴部(334)及び少なくとも1つの底部密封特徴部(336)を含む密封部分(302)と、
前記取り付け部分(324a)から前記密封部分(302)まで半径方向外方に延びる接続部分(318)と、を含む、少なくとも部分的に環状の本体(
335)を備える、一体型シール部材(300)。
【請求項6】
前記接続部分(318)はまた、前記取り付け部分(324a)から軸方向下方に延び、格子パターンを画定し、前記取り付け部分(324a)は、前記長手方向軸(328)に垂直であるリング(324)を含む、請求項
5に記載の一体型シール部材(300)。
【請求項7】
前記接続部分(318)は、前記リング(324)から前記密封部分(302)まで半径方向外方及び軸方向下方に延びる複数の部材(338)を含み、前記複数の部材(338)それぞれは、半径方向外方に面する表面(340)と、前記半径方向外方に面する表面(340)上に配設される溝(342)と、を含む、請求項
6に記載の一体型シール部材(300)。
【請求項8】
前記密封部分(302)の少なくとも1つの頂部密封特徴部(334)は、頂部凸状弓状密封表面(344)を含み、前記密封部分(302)の少なくとも1つの底部密封特徴部(336)は、最底部凸状弓状密封表面(346)と、前記最底部凸状弓状密封表面(346)に近接して半径方向外方に配設された半径方向最外側凸状弓状密封表面(348)と、を含み、それらの間には凹状弓状移行表面(350)が介在する、請求項
7に記載の一体型シール部材(300)。
【請求項9】
前記頂部凸状弓状密封表面(334)は、前記半径方向最外側凸状弓状密封表面(348)と前記最底部凸状弓状密封表面(346)との間に半径方向に少なくとも部分的に介在し、前記半径方向最外側凸状弓状密封表面(348)は、前記頂部凸状弓状密封表面(334)と前記最底部凸状弓状密封表面(346)との間に軸方向に少なくとも部分的に配設され、前記最底部凸状弓状密封表面(346)及び前記半径方向最外側凸状弓状密封表面(348)の両方に接する接線(352)を画定し、前記半径方向(330)及び前記長手方向軸(328)を包含する平面内で前記半径方向(330)と鋭角(354)を形成する、請求項
8に記載の一体型シール部材(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、フィルタシステムのベースとキャニスターとの間に介在する軸方向中間の半径方向外側シール部材(例えば、Oリング)を有する交換可能なフィルタ要素を採用するキャニスタースタイルのフィルタシステムに関する。より具体的には、本開示は、そのような別個のシールを、フィルタ要素と一体化されたシール部材と交換するようなフィルタシステムと共に使用するためのフィルタ要素に関する。
【背景技術】
【0002】
液体フィルタシステムは、ガス、オイル、ディーゼル燃料などの種々の流体を濾過して、これらの流体から汚染物質を除去するものとして知られている。例えば、ディーゼルエンジンでは、燃料ラインフィルタを使用して水及び破片を燃料から分離する。漏れを防止するための様々なシールが提供される。例えば、キャニスタースタイルのフィルタシステムでは、フィルタ要素とベースとの間に配設された頂部シール、フィルタ要素とキャニスターとの間に配設された底部シール(ハウジングとも呼ばれ得る)、及びベースとキャニスターとの間に介在するOリングなどの軸方向中間の半径方向外側シールが存在することが多い。このようなOリングを採用すると、少量の漏れが発生する場合があることが判明している。
【0003】
米国特許第9,970,394B2号は、ハウジング及びベースの取り付けフランジ及び密封フランジに対して軸方向密封ガスケットを半径方向に位置決めするための位置付け構造を開示している。ガスケットは、ハウジング及びベースの取り付けフランジ又は密封フランジに軸方向に固定することができる。蝶ナットを使用してハウジングをベースに固定し、必要な密封力を提供する。ただし、この密封ガスケットは、Oリングと同様に依然漏れる可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
本開示の一実施形態によるフィルタ要素は、少なくとも部分的に環状の構成を含み、長手方向軸、半径方向及び円周方向を画定する。フィルタ要素は、中央通路を画定する環状フィルタ媒体、中央リザーバを画定する環状フィルタ媒体の中央通路内に配設されたセンターチューブを備え得、環状フィルタ媒体は、センターチューブ及び中央リザーバを取り囲む。頂部開放端部は、長手方向軸に沿って配設されたセンターチューブに結合され得、頂部開放端部は、流体が中央リザーバからフィルタ要素の外部に流れることを可能にする開口部を含む。底端部(開放又は閉塞のいずれでもよい)は、長手方向軸に沿って配設された頂部開放端部の反対側でセンターチューブに結合され得る。一体型シール部材は、フィルタ要素に取り付けられ得、環状フィルタ媒体から半径方向に離間し、頂部開放端部と底部開放端部との間に軸方向に配設された密封部分を含み得る。
【0005】
本開示の実施形態による一体型シール部材は、長手方向軸、半径方向及び円周方向を画定する少なくとも部分的に環状の本体を備えることができる。少なくとも部分的に環状の本体は、取り付け部分と、少なくとも1つの頂部密封特徴部及び少なくとも1つの底部密封特徴部を含む密封部分と、取り付け部分から密封部分まで半径方向外方に延びる接続部分とを含み得る。
【0006】
本開示の一実施形態によるキャニスターフィルタシステムは、少なくとも部分的に円筒形の構成を含み、長手方向軸及び半径方向を画定するフィルタ要素を備え得る。フィルタ要素は、中央通路を画定する環状フィルタ媒体、中央リザーバを画定する環状フィルタ媒体の中央通路内に配設されたセンターチューブを備え得、環状フィルタ媒体は、センターチューブ及び中央リザーバを取り囲む。頂部開放端部は、長手方向軸に沿って配設されたセンターチューブに結合され得、頂部開放端部は、流体が中央リザーバからフィルタ要素の外部に流れることを可能にする開口部を含み、底部開放端部は、長手方向軸に沿って配設された頂部開放端部の反対側のセンターチューブに結合される。頂部開放端部と、長手方向軸に沿って配設された底部開放端部又は底部閉塞端部と、頂部開放端部に近接して配設された密封フランジと、を含むキャニスターも提供され得る。頂部開放端部と、底部開放端部と、底部開放端部に近接して配設された少なくとも部分的に下方に面する密封溝と、を画定するベースを提供することもできる。一体型シール部材は、フィルタ要素に取り付けられてもよく、それは、ベースの密封溝内に配設され、キャニスターの密封フランジに接触する密封部分を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】フィルタベース、キャニスター、及びフィルタ要素を含むフィルタアセンブリの正面断面図であり、フィルタ要素は、本開示の一実施形態による一体型シール部材を含む。
【
図2】
図2の長方形2-2から取られたその一体型シールの密封部分の拡大詳細図であり、ベースとの頂部密封界面及びキャニスターとの底部密封界面を形成する密封部分を示している。
【
図3】
図1のフィルタ要素の斜視図であり、
図1のフィルタアセンブリから取り外された一体型シール部材を含む。
【
図4】
図3の一体型シール部材を備えたフィルタ要素の正面断面図である。
【
図5】
図3のフィルタ要素から取り外された一体型シール部材の斜視図である。
【
図6】
図5の一体型シール部材の正面断面図である。
【
図7】
図6の長方形7-7から取られたその一体型シール部材の周辺密封部分の拡大詳細図である。
【
図8】
図1及び
図3に関連付けられた組み立ての方法を包含するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ここで本開示の実施形態を詳細に参照し、その例を、添付の図面に示す。可能な限り、図面全体にかけて同一の参照番号が同一又は類似の部分を指すために使用されるであろう。幾つかの場合、参照番号が本明細書に表示され、図面は、後に文字が続く参照番号、例えば100a、100b、又はプライム表示、例えば100’、100’’などを示すであろう。参照番号のすぐ後に文字又はプライムを使用することは、これらの特徴が類似した形状であり、類似した機能を有し得ていることを示し、これは、幾何形状が対称面を中心に鏡像をなす場合によく行われることを理解されたい。本明細書では説明の便宜のために、文字又はプライムが本明細書に含まれない場合も多くあるが、記述された本明細書内で論じられる特徴の重複を表示するために図面に示す場合もある。
【0009】
まず、ここで、本開示の様々な実施形態がどのように使用されるかを理解するための適切な文脈を読者に与えるために、フィルタシステムについて説明する。この説明は例示として与えられており、限定的な意味ではないことを理解されたい。本明細書に記載の装置又は方法の任意の実施形態は、任意のフィルタシステムと併用することができる。
【0010】
次に、様々な実施形態による一体型シール部材を含み得るフィルタ要素について論じる。幾つかの実施形態では、一体型シール部材は、フィルタシステムの組み立てを容易にする一方、漏れを防止するのに役立つ密封の冗長性を提供すると同時に、汚れた流体が一体型シール部材の接続部分の開口を通って流れることを可能にし、その結果、汚れた液体は、濾過のために環状フィルタ媒体に到達し得る。また、交換部品として、又はフィルタ要素を製造するための構成要素として提供され得る一体型シール部材が次に論じられる。
【0011】
図1は、本開示の様々な実施形態によるフィルタ要素200及び一体型シール部材300を使用し得るキャニスターフィルタシステム100を示す。
【0012】
キャニスターフィルタシステム100は、ベース102と、キャニスター104と、一体型シール部材300を備えたフィルタ要素200と、を有することを含み得る。キャニスターフィルタシステム100は、ディーゼル又はガソリンあるいは他の液体燃料、潤滑油、油圧動力システム用の油圧作動油、トランスミッション液、あるいはおそらくエンジン用の吸入空気などの流体を濾過するために使用することができる。キャニスターフィルタシステム100はまた、燃料/水分離器フィルタとして使用され得る。本明細書に記載の特徴を備えたキャニスターフィルタシステム100は、多くの異なる目的を果たし、他の多くの用途に適合するように、当業者によって適合させることができるであろう。
【0013】
ベース102は、流体がキャニスターフィルタシステム100に入る流入口チャネル106と、流体がキャニスターフィルタシステム100から出る流出口チャネル108と、を含む。クリップ(図示せず)は、キャニスター104をベース102に取り付けるために提供される。例えば、ねじ、様々なファスナーなどの他の取り付け構造が使用され得る。
【0014】
キャニスター104は、
図1に示すように、頂部開放端部112及び底部開放端部114、又は本開示の他の実施形態における底部閉塞端部を含む。
【0015】
フィルタ要素200は、特定の用途に合わせるために多くの異なる形態をとることができる。例示の実施形態において、フィルタ要素200は、燃料又は潤滑油を濾過するのに非常に適している。フィルタ要素200は、センターチューブ206によって画定される中央リザーバ204を円周方向に取り囲む環状フィルタ媒体202を含み得る。環状フィルタ媒体202の軸方向端部は、頂端部キャップ208及び底端部キャップ212によって密封されるように示されている。
【0016】
頂端部キャップ208は、フィルタ要素200の軸方向の開放端部を画定し得る。頂端部キャップ208は、流体の通過を可能にする開口部210を含むので、「開放」と称される。
【0017】
一方では、底端部キャップ212は、フィルタ要素200の軸方向の開放端部を画定する。底端部キャップ212は、ペデスタル110をセンターチューブ206などに挿入できるようにするので、「開放」と称される。
【0018】
頂端部キャップ208及び底端部キャップ212はそれぞれ、溶接、接着剤、センターチューブ上への成形などを介してセンターチューブ206に結合され得る。代替的に、センターチューブ206、頂端部キャップ208、及び底端部キャップ212のいくつか又はすべては、単片の構成要素として構築され得る。逆に、底端部キャップ212及び/又は頂端部キャップ208は、センターチューブ206などとは別個の構成要素であり得る。キャニスターフィルタシステム100及びフィルタ要素200の底部の閉塞構成のさらなる詳細を、本明細書で後述する。
【0019】
動作中、濾過される流体は、流入口チャネル106に入り、キャニスター104と環状フィルタ媒体202との間の環状キャビティ118に流れる。次に、流体は、フィルタ媒体202内を貫通した後、センターチューブ206内に、
図1中のその内部に示されている穿孔214を通って流入する。
【0020】
次に、流体は、センターチューブ206から出て、頂端部キャップ208及び開口部210を通って流出口チャネル108に入る。フィルタ要素200の頂部及び底部の密封構成は、環状フィルタ媒体202に出入りする流体チャネルを画定するのに役立ち、任意の流体が流出口チャネル108に直接流れることと、環状フィルタ媒体202をバイパスすることと、を防ぐ。そのために、本明細書の後半で詳細に論じる密封特徴部(丸い、尖った、平坦など)を提供することができる。さらに、フィルタ要素の底部とキャニスターの底部との間にチャンバー(例えば、燃料-水分離器内の水ボウル、ドレインリザーバなど)を生成することが望ましい場合がある。したがって、ペデスタルによって位置決め特徴部を提供することができる。本開示の他の実施形態では、フィルタ要素200の他の構成も可能である。
【0021】
ここで、
図1及び
図2を参照しながら、一体型シール部材300を含む、本開示の様々な実施形態によるキャニスターフィルタシステム100について論じる。
【0022】
図1から始めると、キャニスターフィルタシステム100は、少なくとも部分的に円筒形の構成(又は環状構成、したがって、フィルタ要素及び一体型シール部材の様々な表面は、円周方向に一貫した回転の表面であり得る)を含み、長手方向軸216、円周方向217、及び半径方向218を画定するフィルタ要素200を備え得る。フィルタ要素200は、中央通路219を画定する環状フィルタ媒体202と、中央リザーバ204を画定する環状フィルタ媒体220の中央通路219内に配設されたセンターチューブ206と、を備え得る。したがって、環状フィルタ媒体202は、センターチューブ206及び中央リザーバ204を取り囲む。
【0023】
図1で最もよく見られるように、フィルタ要素200は、長手方向軸216に沿って配設されたセンターチューブ206に結合された頂部開放端部220をさらに含み得る。頂部開放端部220は、流体が中央リザーバ204からフィルタ要素200の外部に流れることを可能にする(頂部ペデスタル110aの挿入も可能にし得る)開口部210を含む。
【0024】
同様に、フィルタ要素200は、長手方向軸216に沿っても配設された頂部開放端部220の反対側のセンターチューブ206に結合された底部開放端部222を含み得る。したがって、底部開放端部222は、底部ペデスタル110の挿入を可能にする。
【0025】
キャニスターフィルタシステム100はまた、長手方向軸216に対して頂部開放端部112及び底部開放端部114を含むキャニスター104と、キャニスター104の底部開放端部114上に載置されている底部ペデスタル110と、を含み得る。これは、ペデスタル110が、キャニスター104と一体型に成形されている
図1などの本開示の他の実施形態には当てはまらない可能性がある。
【0026】
図1及び
図2を参照すると、キャニスター104は、キャニスター104(ハウジングとも呼ばれ得る)の頂部開放端部112に近接して配設された密封フランジ120を含む一方、ベース102は、ベース102の底部開放端部114に近接して配設された下方に面する密封溝122(シール受容溝とも呼ばれ得る)を含むことが分かる。一体型シール部材300は、フィルタ要素200に取り付けられてもよく、ベース102の密封溝122内に配設され、キャニスター104の密封フランジ120に接触する密封部分302を含み得る。
【0027】
図2で最もよく見られるように、ベース102の密封溝122は、半径方向218及び長手方向軸216を包含する平面(すなわち、
図2の区切られた平面)内で、少なくとも部分的に長方形のプロファイル124又は少なくとも部分的に台形のプロファイル126を含む。より具体的には、少なくとも部分的に長方形のプロファイル124は、長手方向軸216に垂直な頂部環状表面128と、頂部環状表面120から延びる半径方向外側円筒面130と、によって画定され得る。一方、少なくとも部分的に台形のプロファイル126は、長手方向軸216に垂直な頂部環状表面128と、頂部環状表面128から延びる半径方向内側角度付き面132(組み立て中にリードイン(lead-in)を提供するために約5°の平面内で長手方向軸216に対して角度を付けている、円錐形と呼ばれ得る)と、によって画定され得る。
【0028】
図2では、キャニスター104の密封フランジ120が、キャニスター104の円筒壁134から軸方向上方及び半径方向外方に(例えば、
図2の平面内で半径方向に対して約20°の角度で)延び得ることも分かる。これは、本開示の他の実施形態においては当てはまらない場合がある。すなわち、キャニスターは、別の構成にすることができる。
【0029】
図1を振り返ると、密封部分302は、環状フィルタ媒体202から半径方向外方に、且つフィルタ要素200の頂部開放端部220の下に軸方向に配設され得ることが理解され得る。これは、他の実施形態においては当てはまらない場合がある。例えば、密封部分は、さらに頂部開放端部などと軸方向に位置決めされ得る。
【0030】
図2で最もよく見られるように、密封部分302は、ベース102の密封溝122の頂部環状表面128に接触する単一の頂部密封ローブ304と、キャニスター104の密封フランジ120に接触する一対の底部密封ローブ306と、を含み得る(これにより、密封の冗長性を提供する)。
【0031】
密封部分302をより詳細に見ると、一体型シール部材300の密封部分302は、頂部密封ローブ304から下に延びる半径方向内側角度付き面308(円錐形とも呼ばれ得る)と、頂部密封ローブ304から下に延びる半径方向外側円錐面310(表面308及び310は、組み立てのためのリードインを提供し得る)と、半径方向内側角度付き面308(円錐形と呼ばれ得る)から下に延びる半径方向内側円筒面312と、半径方向外側円錐面310から下に延びる半径方向外側円筒面314と、を含み得る。半径方向外側円筒面314及び半径方向内側円筒面312は、密封122溝の半径方向外側円筒面130及び密封溝122の半径方向内側角度付き面132にそれぞれ接触するように構成されている(例えば、反対側の半径方向に膨らむことによって)頂部密封ローブ304が圧縮されたとき(圧縮量については矢印136を参照)。この配置は、密封の冗長性を提供し得る。
【0032】
引き続き
図2を参照すると、ベース102は、密封溝122を少なくとも部分的に画定し、半径方向内方及び軸方向下方に面する底部凸状弓状ブレンド142を画定する自由端部140を含む半径方向内側壁138を含む。同様に、一体型シール部材300は、ベース102の底部凸状弓状ブレンド142と少なくとも部分的に一致するブリッジ凹状弓状ブレンド320を画定するブリッジ部分316(一体型シール部材300の接続部分318から密封部分302まで橋渡しする)を含む。
【0033】
キャニスター104は、密封フランジ120から軸方向上方に延びる外側位置付け壁144をさらに備えることができ、ベース102は、密封溝122を部分的に画定し、キャニスター104の密封フランジ120及び外側位置付け壁144と同時に接触するように構成される半径方向外側壁146をさらに備えることができる。この配置は、一体型シール部材300の密封部分302が過度に圧縮されるのを防止することができる。
【0034】
次に、交換部品として供給され得るフィルタ要素200について、
図3及び
図4を参照して説明する。
【0035】
フィルタ要素200は、本明細書で前述したように構築することができ、フィルタ要素200に取り付けられ、環状フィルタ媒体202から半径方向に離間し、フィルタ要素の頂部開放端部220と底部開放端部222との間に軸方向に配設された密封部分302を含む一体型シール部材300と、を備えるえることができる。
【0036】
取り付けは、様々な方式で達成することができる。例えば、頂端部キャップ208は、センターチューブ206及び一体型シール部材300上にオーバーモールドされてもよく、又はセンターチューブ206、頂端部キャップ208及び一体型シール部材300は、単片の材料として形成されてもよく、又は一体型シール部材300は、頂端部キャップ208に接着又は溶接されてもよく、その後、センターチューブ206などに接着又は溶接されてもよい。この取り付けを容易にするために、一体型シール部材300は、頂部取り付けリング324の頂部及び側面にわたって延びる頂端部キャップ208によって捕捉されたり他の方式で保持されたりする頂部取り付けリング324(
図5も参照)を含み得る。この構造324は、端部キャップをオーバーモールドしている間、媒体をオフセットする「スタンドオフタブ(stand-off tab)」としても機能し得、したがって媒体はカプセル化される。
【0037】
本明細書で先に示唆したように、一体型シール部材300は、フィルタ要素200の頂部開放端部220から半径方向外方及び軸方向下方に延びる接続部分318をさらに備える。また、一体型シール部材300の接続部分318には開口があり(開口322を参照)、これにより、汚れた流体が、濾過のために一体型シール部材300を通り越して環状フィルタ媒体202へ流れることが可能になる。その目的のために、接続部分318は、一連の下方に延びる角度付き部材326(
図4の区切られた平面内で、長手方向軸216と約15°の角度を形成するのでそう呼ばれる)と、一連の下方角度付き部材326それぞれを円周方向に互いに接続させる(ウェブ状構造を形成する)複数の交差部材330と、を含む。本開示の他の実施形態では、ウェブ状構造の他の構成も可能である。幾つかの実施形態では、交差部材330は省略されてもよい。
【0038】
図4で最もよく見られるように、一体型シール部材300の密封部分302は、上方に面する矢印部分332と、少なくとも部分的に下方に面する波状部分334(底部波状部分とも呼ばれ得る)と、を含み得る。本開示の他の実施形態では、密封部分302の他の構成も可能である。
【0039】
交換部品として、又は上述のフィルタ要素200を製造するために使用される構成要素として提供され得る一体型シール部材300について、ここで
図5~
図7を参照して論じる。
【0040】
図5及び
図6を見ると、一体型シール部材300は、長手方向軸337、半径方向339及び円周方向341を画定する少なくとも部分的に環状の本体335を備え得る。少なくとも部分的に環状の本体3335は、取り付け部分324aと、少なくとも1つの頂部密封特徴部343(弓状、平坦、尖った形状などを含む任意の適切な形状を有し得る)を含む密封部分302と、少なくとも1つの底部シール特徴部336(弓状、平坦、尖った形状などを含む任意の適切な形状を有し得る)と、を含み得る。また、接続部分318は、取り付け部分324aから密封部分302まで半径方向外方(例えば、純粋に半径方向外方、実質的に半径方向外方、半径方向外方及び軸方向下方など)に延び得る。
【0041】
幾つかの実施形態では、接続部分318はまた、取り付け部分324aから軸方向下方に延び、格子パターンを画定する。取り付け部分324aはまた、リング(例えば、長手方向軸328に垂直であるか、又はそれを画定する頂部取り付けリング324)を含み得る。
【0042】
格子パターンは、リング324から密封部分302まで半径方向外方及び軸方向下方に延びる複数の部材338によって少なくとも部分的に形成されてもよい。複数の部材338それぞれは、半径方向外方に面する表面340を含み得、溝342は、半径方向外方に面する表面340上に配設され得るが、必ずしもそうである必要はない。
【0043】
図7で最もよく見られるように、密封部分302の少なくとも1つの頂部密封特徴部334は、頂部凸状弓状密封表面344を含み得、密封部分302の少なくとも1つの底部密封特徴部336は、最底部凸状弓状密封表面346、及び半径方向最外側凸状弓状密封表面348を含み得る。この表面348は、最底部凸状弓状密封表面346に近接して半径方向外方に配設され得、それらの間には凹状弓状移行表面350が介在する。
【0044】
頂部凸状弓状密封表面344は、半径方向最外側凸状弓状密封表面348と最底部凸状弓状密封表面346との間に半径方向に少なくとも部分的に介在し得る。半径方向最外側凸状弓状密封表面348は、頂部凸状弓状密封表面344と最底部凸状弓状密封表面346との間に軸方向に少なくとも部分的に配設され得る。この配置は、最底部凸状弓状密封表面346及び半径方向最外側凸状弓状密封表面348の両方に接する接線352を画定し得、半径方向330及び長手方向軸328を包含する平面(すなわち、
図7の区切られた平面)内で半径方向330と鋭角354(キャニスターの密封フランジの角度と一致し得る)を形成し得る。これは、本開示の他の実施形態においては当てはまらない場合がある。
【0045】
一体型シール部材は、任意の適切な材料及び製造プロセスを使用して構築され得る。例えば、20~95ショアA(例えば、60ショアA)のデュロメータを有するウレタン材料を採用して、所定の形状に射出成形してもよい。
【0046】
前述の特徴部、構成要素、又はアセンブリのいずれも、本開示の他の実施形態において、本明細書で具体的に示され、説明されたものとは異なるように構成を変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
実際には、本明細書に開示した任意の実施形態によるフィルタ要素、一体型シール部材、又はキャニスターフィルタシステムは、OEM(相手先商標製造会社)又はアフターマーケットコンテキスト(aftermarket context)で取得又は提供され得る。前述の様々な特徴部を利用して、アセンブリを簡素化しながら、密封の冗長性を提供することが可能である。
【0048】
前述に照らして、本出願の実施形態によるキャニスターフィルタシステムの組み立て方法は、
図8に示されるように採用され得、これにより、密封の冗長性を提供しながら、3つ以下のステップで組み立てることが可能である。
【0049】
方法400は、シールがベース及びキャニスターの半径方向内側部分の一方に接触するまで、及び別のシールがベース及びキャニスターの半径方向外側部分の一方に接触するまで、フィルタ要素をベース及びキャニスターのうち一方に挿入することを含み得る(ステップ402)。例えば、ベースの半径方向内側部分でのシール接触は、402aで
図1に示されている一方、キャニスターの半径方向内側部分でのシール接触は、402bで
図1に示されている。同様に、ベースの半径方向外側部分でのシール接触は、402cで
図1に示されている一方、キャニスターの半径方向外側部分でのシール接触は、402dで
図1に示されている。
【0050】
次に、方法は、シールがベース及びキャニスターの半径方向内側部分の他方に接触するまで、及び別のシールがベース及びキャニスターの半径方向外側部分の他方に接触するまで、フィルタ要素をベース及びキャニスターのうち他方に挿入することをさらに含み得る(ステップ404)。
【0051】
例えば、ステップ402は、
図1に示すようにフィルタ要素をキャニスターに挿入して、同時又は実質的に同時に402b及び402dでシール接触を生成することを伴い得る一方、ステップ404は、フィルタ要素をベースに挿入して、402a及び402cでシール接触を生成すること伴い得る(又は逆もまた同様である)。ステップ402及び404は、同時に又は異なる時間に達成され得る。
【0052】
ベース及びキャニスターは、ねじ、クリップ、他のファスナーなどを介して互いに連結され得る(ステップ406)。ステップ406は、ステップ402及び404の後、又はステップ402及び404の中などで達成され得る。
【0053】
一体型シール部材は、フィルタ要素の底部に(例えば、底端部キャップにおいて)取り付けられ、キャニスターの底壁及び/又は側壁の一部に沿って延び、キャニスターなどの密封フランジに近接して密封部分で終端することがさらに企図される。
【0054】
上述の説明は、開示されたアセンブリ及び技法の例を提供するということが理解されよう。しかしながら、本開示の他の実装は、前述の例とは細部において異なる可能性があることが考慮される。本開示又はその例へのすべての参照は、その時点で論じられている特定の例を参照することを意図しており、より一般的に本開示の範囲に関する任意の制限を暗示することを意図していない。特定の特徴に関する区別及び非難のすべての文言は、それらの特徴に対する好みの欠如を示すことを意図しているが、別段の指示がない限り、そのような特徴を本開示の範囲から完全に除外するものではない。
【0055】
本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書に別段の記載がない限り、範囲内にある各別々の値を個別的に参照する略記法として機能することを単に意図し、各別々の値は、本明細書に個別的に列挙されているかのように本明細書に組み込まれている。
【0056】
本発明(単数又は複数)の範囲又は精神から逸脱することなく、本明細書で論じられるような装置及び組み立て方法の実施形態に対して様々な変更及び変形が行われ得ることは、当業者には明らかであろう。本開示の他の実施形態は、本明細書、及び本明細書に開示した様々の実施形態の実施を考慮することから、当業者には明らかになるであろう。例えば、一部の装備は、本明細書で説明されたものとは異なるように構築され、且つ機能する場合があり、任意の方法の特定のステップが省略されたり、具体的に述べたものとは異なる順序で実行されたり、場合によっては同時に又はサブステップで実行されたりする場合がある。さらに、様々な実施形態の特定の態様又は特徴に対する変形又は変更が行われて、さらなる実施形態を生成し得、さらなる実施形態を提供するために、様々な実施形態の特徴及び態様が、他の実施形態の他の特徴又は態様に追加又は置換され得る。
【0057】
したがって、本開示は、適用法によって許可されるように、本明細書に添付された特許請求の範囲に列挙された主題のすべての変形及び同等物を含む。さらに、すべての可能な変形における上記の要素の任意の組み合わせは、本明細書に別段の指示がない限り、又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、本開示に包含される。