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特許7506236単線直上高架化工法及び鉄道区間高架化工法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】単線直上高架化工法及び鉄道区間高架化工法
(51)【国際特許分類】
   E01B 37/00 20060101AFI20240618BHJP
   E01D 21/00 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
E01B37/00 D
E01D21/00 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023141095
(22)【出願日】2023-08-31
【審査請求日】2023-09-01
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】303056368
【氏名又は名称】東急建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】相沢 啓司
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-072801(JP,A)
【文献】特開平10-226490(JP,A)
【文献】特開平11-336470(JP,A)
【文献】特開2011-093643(JP,A)
【文献】特開昭52-022207(JP,A)
【文献】米国特許第05778795(US,A)
【文献】特開2013-044126(JP,A)
【文献】特開平04-120301(JP,A)
【文献】特開昭52-137140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 27/00-37/00
E01D 1/00-24/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列する2本の軌道であり、互いの建築限界が近接又は重なり合う第一軌道と第二軌道を、軌道外に仮線用地を確保することなく、単線毎に各々の前記軌道の直上に高架化する、単線直上高架化工法であって、
(1)前記第一軌道の建築限界外であり、前記第二軌道と逆側に配置する、第一支柱の支持杭と、前記第二軌道の建築限界外であり、前記第一軌道と逆側に配置する、第二支柱の支持杭と、前記第一軌道の建築限界の下方であり、前記第二軌道の建築限界外の下方に配置する軌道支持杭と、を打設する支持杭打設工程と、
(2)前記第一支柱の支持杭に継ぎ足して立設する第一支柱と、前記第二支柱の支持杭に継ぎ足して立設する第二支柱と、前記第一支柱の上部と前記第二支柱の上部間に亘って配置する覆工桁と、を有する仮設構台を構築する、仮設構台構築工程と、
(3)前記第一軌道の上方に、上部に前記第一軌道の仮軌道である第一仮軌道を有する第一軌道ユニットを配置する、第一仮軌道構築工程と、
(4)前記第一軌道ユニットを前記仮設構台に吊り下げる、第一仮軌道吊り下げ工程と、
(5)前記軌道支持杭に継ぎ足して立設する軌道支持柱と、前記第一軌道の長さ方向に隣り合う前記軌道支持柱間に亘って配置する軌道支持桁と、からなる軌道支持材を設置し、前記仮設構台に吊り下げた前記第一軌道ユニットを降下し、前記第一支柱と前記軌道支持材により前記第一軌道ユニットの両側を支持し、前記第一軌道を前記第一軌道ユニットの上部の前記第一仮軌道に切り替える単線高架第一線構築工程と、
(6)前記第二軌道の上方に、上部に前記第二軌道の仮軌道である第二仮軌道を有する第二軌道ユニットを配置する、第二仮軌道構築工程と、
(7)前記第二軌道ユニットを前記仮設構台に吊り下げる、第二仮軌道吊り下げ工程と、
(8)前記第二軌道ユニットを降下し、前記第二支柱と前記軌道支持材により前記第二軌道ユニットの両側を支持し、前記第二軌道を前記第二軌道ユニットの上部の前記第二仮軌道に切り替える単線高架第二線構築工程と、を有する、
単線直上高架化工法。
【請求項2】
前記(4)工程において、前記覆工桁の上部に配置するジャッキと、前記ジャッキに挿通し、下端を前記第一軌道ユニットに固定する吊材を設け、
前記(5)工程において、前記ジャッキ及び前記吊材を介して、前記第一軌道ユニットを降下することを特徴とする、
請求項に記載の単線直上高架化工法。
【請求項3】
前記(7)工程において、前記覆工桁の上部に配置するジャッキと、前記ジャッキに挿通し、下端を前記第二軌道ユニットに固定する吊材を設け、
前記(8)工程において、前記ジャッキ及び前記吊材を介して、前記第二軌道ユニットを降下することを特徴とする、
請求項に記載の単線直上高架化工法。
【請求項4】
前記第一軌道ユニットは、前記第一軌道と直交する工事横桁を有し、
前記(3)工程において、前記第一軌道ユニットの前記工事横桁を前記仮設構台の前記第一支柱に連結して支持し、
前記(5)工程において、前記第一軌道ユニットの前記工事横桁を前記仮設構台の前記第一支柱と前記軌道支持材に連結して支持することを特徴とする、請求項に記載の単線直上高架化工法。
【請求項5】
前記第二軌道ユニットは、前記第二軌道と直交する工事横桁を有し、
前記(6)工程において、前記第二軌道ユニットの前記工事横桁を前記仮設構台の前記第二支柱に連結して支持し、
前記(8)工程において、前記第二軌道ユニットの前記工事横桁を前記仮設構台の前記第二支柱と前記軌道支持材に連結して支持することを特徴とする、請求項に記載の単線直上高架化工法。
【請求項6】
並列する2本の軌道であり、互いの建築限界が近接又は重なり合う第一軌道と第二軌道を、軌道外に仮線用地を確保することなく、単線毎に各々の前記軌道の直上に高架化する、単線直上高架化工法であって、
(1)前記第一軌道の建築限界外であり、前記第二軌道と逆側に配置する、第一支柱の支持杭と、前記第二軌道の建築限界外であり、前記第一軌道と逆側に配置する、第二支柱の支持杭と、前記第一軌道の建築限界の下方であり前記第二軌道の建築限界外の下方と、前記第二軌道の建築限界の下方と、にそれぞれ配置する軌道支持杭と、を打設する支持杭打設工程と、
(2)前記第一支柱の支持杭に継ぎ足して立設する第一支柱と、前記第二支柱の支持杭に継ぎ足して立設する第二支柱と、前記第一支柱の上部と前記第二支柱の上部間に亘って配置する覆工桁と、を有する仮設構台を構築する、仮設構台構築工程と、
(3)前記第一軌道の上方に、上部に前記第一軌道の仮軌道である第一仮軌道を有する、枕木抱き込み式工事桁からなる第一軌道ユニットを配置する、第一仮軌道構築工程と、
(4)前記第一軌道ユニットを前記仮設構台に吊り下げる、第一仮軌道吊り下げ工程と、
(5)前記仮設構台に吊り下げた前記第一軌道ユニットを降下し、前記第一軌道の下方に配置した前記軌道支持杭により前記第一軌道ユニットを支持し、前記第一軌道を前記第一軌道ユニットの上部の前記第一仮軌道に切り替える単線高架第一線構築工程と、
(6)前記第二軌道の上方に、上部に前記第二軌道の仮軌道である第二仮軌道を有する、枕木抱き込み式工事桁からなる第二軌道ユニットを配置する、第二仮軌道構築工程と、
(7)前記第二軌道ユニットを前記仮設構台に吊り下げる、第二仮軌道吊り下げ工程と、
(8)前記第二軌道ユニットを降下し、前記第二軌道の下方に配置した前記軌道支持杭により前記第二軌道ユニットを支持し、前記第二軌道を前記第二軌道ユニットの上部の前記第二仮軌道に切り替える単線高架第二線構築工程と、を有する、
単線直上高架化工法。
【請求項7】
並列する2本の軌道であり、互いの建築限界が近接又は重なり合う第一軌道と第二軌道を、軌道外に仮線用地を確保することなく、単線毎に各々の前記軌道の直上に高架化する、単線直上高架化工法であって、
(1)前記第一軌道の建築限界外であり、前記第二軌道と逆側に配置する、第一支柱の支持杭と、前記第二軌道の建築限界外であり、前記第一軌道と逆側に配置する、第二支柱の支持杭と、前記第一軌道の建築限界の下方であり、前記第二軌道の建築限界外の下方に配置する軌道支持杭と、を打設する支持杭打設工程と、
(2)前記第一支柱の支持杭に継ぎ足して立設する第一支柱と、前記第二支柱の支持杭に継ぎ足して立設する第二支柱と、前記第一支柱の上部と前記第二支柱の上部間に亘って配置する覆工桁と、を有する仮設構台を構築する、仮設構台構築工程と、
(3)前記第一軌道を撤去して、上部に前記第一軌道の仮軌道である第一仮軌道を有する第一軌道ユニットを前記第一軌道と同じ高さに設置して、前記第一軌道を前記第一軌道ユニット上の前記第一仮軌道に受け替える、第一仮軌道構築工程と、
(4)前記第一軌道ユニットを前記仮設構台に吊り下げる、第一仮軌道吊り下げ工程と、
(5)前記軌道支持杭に継ぎ足して軌道支持柱を立設し、前記第一軌道ユニットを扛上し、前記第一軌道の長さ方向に隣り合う前記軌道支持柱間に亘って配置する軌道支持桁を設置して前記軌道支持柱と前記軌道支持桁とからなる軌道支持材を設置し、前記第一支柱と前記軌道支持材により前記第一軌道ユニットの両側を支持する、単線高架第一線構築工程と、
(6)前記第二軌道の上方に、上部に前記第二軌道の仮軌道である第二仮軌道を有する第二軌道ユニットを配置する、第二仮軌道構築工程と、
(7)前記第二軌道ユニットを前記仮設構台に吊り下げる、第二仮軌道吊り下げ工程と、
(8)前記第二軌道ユニットを降下し、前記第二支柱と前記軌道支持材により前記第二軌道ユニットの両側を支持し、前記第二軌道を前記第二軌道ユニットの上部の前記第二仮軌道に切り替える単線高架第二線構築工程と、を有する、
単線直上高架化工法。
【請求項8】
2本の軌道が並列する既存用地を有する区間であり、いずれかの前記軌道の側方に少なくとも1線の仮線用地を確保できる仮線化区間と、前記仮線化区間と連続して前記区間の端部に位置して前記区間外の本線と連続する、仮線用地を確保できない仮線不可区間と、を有する区間の高架化を行う、鉄道区間高架化工法であって、
並列する前記軌道のうち、前記仮線用地から遠い側の軌道を第一線、前記仮線用地に近い側の軌道を第二線とし、
前記仮線用地に前記仮線化区間の既存の前記第二線の仮線である第二仮線を設置し、前記仮線化区間の既存の前記第二線を前記第二仮線へ切り替える、第二線仮線化工程と、
前記仮線化区間の既存の前記第二線を撤去し、前記既存用地内の前記仮線用地側に前記仮線化区間の既存の前記第一線の仮線である第一仮線を設置し、前記仮線化区間の既存の前記第一線を前記第一仮線へ切り替える、第一線仮線化工程と、
前記仮線化区間の既存の前記第一線上に、前記第一線の高架橋を構築する、第一線高架化工程と、
前記第一線の高架橋と、前記本線の第一線とを、前記仮線不可区間において既存の前記第一線を高架化して構築した単線高架第一線を介して連結する、第一線高架接続工程と、
撤去した前記仮線化区間の既存の前記第二線上に、前記第二線の高架橋を構築する、第二線高架化工程と、
前記第二線の高架橋と、前記本線の第二線とを、前記仮線不可区間において既存の前記第二線を高架化して構築した単線高架第二線を介して連結する、第二線高架接続工程と、を有し、
前記第一線高架接続工程において構築する単線高架第一線と、前記第二線高架接続工程において構築する単線高架第二線は、いずれも請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の単線直上高架化工法により構築する、
鉄道区間高架化工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道の営業線の直上に高架部分を構築する直上高架化工法に関し、特に、複線の軌道を単線毎に直上高架することができる、単線直上高架化工法と、それを用いた鉄道区間高架化工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道の線路は地上の平面に敷かれているため、踏切による交通渋滞や、歩行者や車両との衝突事故の危険性があった。特に都市部では、鉄道輸送量の増強に伴って踏切が閉じられる時間が長くなり、交通渋滞や通行の制約が生じ、地域の利便性の低下が問題となっている。
この問題を解消する方法の一つとして、鉄道の軌道を高架橋によって地上から離す高架化が行われている。
【0003】
鉄道を高架化する方法としては、特許文献1に記載のSTRUM(登録商標)工法が知られている。
STRUM工法は、仮線を設けずに営業線の直下又は直上に切換用の軌道を予め構築し、終電から初電までの短時間の間に軌道を切り替える工法である。高架化に際して、仮線を設けないことで仮線用地を確保するための交渉が不要であり、交渉による事業工期の遅延リスクが低く、早期に高架化が可能となるが、複線の鉄道の全区間で営業線の直上に高架部分を構築するため、工事費が高くなってしまう。
【0004】
また、特許文献2には、営業線の直上に高架を構築する場合の現在線から直上線へのアプローチ部分の構築工法が記載されている。
この工法は、高架部分にて組んだアプローチ部分の軌道を送り出す工法であるが、軌道を送り出す部分(降下部)において頑丈な構台(門構45)が必要であり、そのための大型のクレーンやその設置スペース、その他送り出される軌道を受ける際の作業ヤードが必要となる。
【0005】
一方、仮線用地を確保することができれば、工事費が安く、高架化後には仮線用地の跡地利用も可能な仮線工法を行うことができる。
特に既設の鉄道が複線であり、側方に少なくとも1線の仮線用地を確保できる場合には、単線毎に仮線工法による軌道の切り替えが可能となる。そのときの仮線工法は以下の工程で行われる。
(1)用地買収を行い、仮線用地を確保する(図44)。
(2)仮線用地に、仮線用地に近い側の軌道(第二線、例では上り線)の仮線である仮第二線を設置し切り替える(図45
(3)第二線を撤去して、第二線よりも仮線用地側に、仮線用地から遠い側の軌道(第一線、例では下り線)の仮線である仮第一線を設置し切り替える(図46)。
(4)第一線の高架化を行い、仮第一線から切り替える(図47)。
(5)仮第一線を撤去して第二線の高架化を行い、仮第二線から切り替える(図48)。
【0006】
この他、仮桁等により軌道を仮受けした後に線路を切り替える工法として、特許文献3、4に記載の方法がある。
特許文献3は、複線を囲うようにトラス梁(スーパーウィング)を設け、トラス梁により軌道を仮受けするものである。
また、特許文献4は、工事桁により軌道を維持した状態で軌道の下部を掘削して路盤と新たな軌道を設けておき、軌道を切り替える当日に工事桁を撤去するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開昭47-31187号公報
【文献】特開昭50-82709号公報
【文献】特開平04-120301号公報
【文献】特開2001-262501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の仮線工法は、高架化を行う区間の全てで仮線用地を確保する必要があり、図49のように仮線用地の一部に移転困難な建築物(以下、「支障建築物」とする)がある場合には、用地買収に時間を要し事業工期が遅延するおそれがある。また、STRUM工法は1回で切り替える軌道の両側の建築限界外に軌道の昇降設備を設けるため、2本の軌道の建築限界が接近又は重なり合うために複線間に昇降装置を設ける空間がない通常の複線区間であり、かつ、支障建築物がある区間において単線毎の仮線工法を補う工法として適用することは非常に困難である。
【0009】
特許文献3の工法は、STRUM工法と同様に複線の軌道をまとめて仮受けするものであるが、仮受けした軌道の高さを可変させるものではなく、用地買収が困難な区間において1線毎の仮線工法を補う工法として適用することはできない。
特許文献4の工法は、単線の軌道を工事桁により維持するが、新たな軌道は営業線の下部に設けるものであり、営業線の直上に高架を設ける工法に適用できるものではない。
【0010】
本発明は、仮線用地の一部に支障建築物がある場合に、単線毎の仮線工法と組み合わせて施工することができる、単線直上高架化工法と、単線毎の仮線工法と組み合わせた鉄道区間高架化工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、並列する2本の軌道であり、互いの建築限界が近接又は重なり合う第一軌道と第二軌道を、軌道外に仮線用地を確保することなく、単線毎に各々の前記軌道の直上に高架化する、単線直上高架化工法であって、(1)前記第一軌道の建築限界外であり、前記第二軌道と逆側に配置する、第一支柱の支持杭と、前記第二軌道の建築限界外であり、前記第一軌道と逆側に配置する、第二支柱の支持杭と、前記第一軌道の建築限界の下方であり、前記第二軌道の建築限界外の下方に配置する軌道支持杭と、を打設する支持杭打設工程と、(2)前記第一支柱の支持杭に継ぎ足して立設する第一支柱と、前記第二支柱の支持杭に継ぎ足して立設する第二支柱と、前記第一支柱の上部と前記第二支柱の上部間に亘って配置する覆工桁と、を有する仮設構台を構築する、仮設構台構築工程と、(3)前記第一軌道の上方に、上部に前記第一軌道の仮軌道である第一仮軌道を有する第一軌道ユニットを配置する、第一仮軌道構築工程と、(4)前記第一軌道ユニットを前記仮設構台に吊り下げる、第一仮軌道吊り下げ工程と、(5)前記軌道支持杭に継ぎ足して立設する軌道支持柱と、前記第一軌道の長さ方向に隣り合う前記軌道支持柱間に亘って配置する軌道支持桁と、からなる軌道支持材を設置し、前記仮設構台に吊り下げた前記第一軌道ユニットを降下し、前記第一支柱と前記軌道支持材により前記第一軌道ユニットの両側を支持し、前記第一軌道を前記第一軌道ユニットの上部の前記第一仮軌道に切り替える単線高架第一線構築工程と、(6)前記第二軌道の上方に、上部に前記第二軌道の仮軌道である第二仮軌道を有する第二軌道ユニットを配置する、第二仮軌道構築工程と、(7)前記第二軌道ユニットを前記仮設構台に吊り下げる、第二仮軌道吊り下げ工程と、(8)前記第二軌道ユニットを降下し、前記第二支柱と前記軌道支持材により前記第二軌道ユニットの両側を支持し、前記第二軌道を前記第二軌道ユニットの上部の前記第二仮軌道に切り替える単線高架第二線構築工程と、を有する、単線直上高架化工法を提供する
記(4)工程において、前記覆工桁の上部に配置するジャッキと、前記ジャッキに挿通し、下端を前記第一軌道ユニットに固定する吊材を設け、前記(5)工程において、前記ジャッキ及び前記吊材を介して、前記第一軌道ユニットを降下してもよい。
前記(7)工程において、前記覆工桁の上部に配置するジャッキと、前記ジャッキに挿通し、下端を前記第二軌道ユニットに固定する吊材を設け、前記(8)工程において、前記ジャッキ及び前記吊材を介して、前記第二軌道ユニットを降下してもよい。
前記第一軌道ユニットは、前記第一軌道と直交する工事横桁を有し、前記(3)工程において、前記第一軌道ユニットの前記工事横桁を前記仮設構台の前記第一支柱に連結して支持し、前記(5)工程において、前記第一軌道ユニットの前記工事横桁を前記仮設構台の前記第一支柱と前記軌道支持材に連結して支持してもよい。
前記第二軌道ユニットは、前記第二軌道と直交する工事横桁を有し、前記(6)工程において、前記第二軌道ユニットの前記工事横桁を前記仮設構台の前記第二支柱に連結して支持し、前記(8)工程において、前記第二軌道ユニットの前記工事横桁を前記仮設構台の前記第二支柱と前記軌道支持材に連結して支持してもよい。
また、本発明は、並列する2本の軌道であり、互いの建築限界が近接又は重なり合う第一軌道と第二軌道を、軌道外に仮線用地を確保することなく、単線毎に各々の前記軌道の直上に高架化する、単線直上高架化工法であって、(1)前記第一軌道の建築限界外であり、前記第二軌道と逆側に配置する、第一支柱の支持杭と、前記第二軌道の建築限界外であり、前記第一軌道と逆側に配置する、第二支柱の支持杭と、前記第一軌道の建築限界の下方であり前記第二軌道の建築限界外の下方と、前記第二軌道の建築限界の下方と、にそれぞれ配置する軌道支持杭と、を打設する支持杭打設工程と、(2)前記第一支柱の支持杭に継ぎ足して立設する第一支柱と、前記第二支柱の支持杭に継ぎ足して立設する第二支柱と、前記第一支柱の上部と前記第二支柱の上部間に亘って配置する覆工桁と、を有する仮設構台を構築する、仮設構台構築工程と、(3)前記第一軌道の上方に、上部に前記第一軌道の仮軌道である第一仮軌道を有する、枕木抱き込み式工事桁からなる第一軌道ユニットを配置する、第一仮軌道構築工程と、(4)前記第一軌道ユニットを前記仮設構台に吊り下げる、第一仮軌道吊り下げ工程と、(5)前記仮設構台に吊り下げた前記第一軌道ユニットを降下し、前記第一軌道の下方に配置した前記軌道支持杭により前記第一軌道ユニットを支持し、前記第一軌道を前記第一軌道ユニットの上部の前記第一仮軌道に切り替える単線高架第一線構築工程と、(6)前記第二軌道の上方に、上部に前記第二軌道の仮軌道である第二仮軌道を有する、枕木抱き込み式工事桁からなる第二軌道ユニットを配置する、第二仮軌道構築工程と、(7)前記第二軌道ユニットを前記仮設構台に吊り下げる、第二仮軌道吊り下げ工程と、(8)前記第二軌道ユニットを降下し、前記第二軌道の下方に配置した前記軌道支持杭により前記第二軌道ユニットを支持し、前記第二軌道を前記第二軌道ユニットの上部の前記第二仮軌道に切り替える単線高架第二線構築工程と、を有する、単線直上高架化工法を提供する。
その他、本発明は、並列する2本の軌道であり、互いの建築限界が近接又は重なり合う第一軌道と第二軌道を、軌道外に仮線用地を確保することなく、単線毎に各々の前記軌道の直上に高架化する、単線直上高架化工法であって、(1)前記第一軌道の建築限界外であり、前記第二軌道と逆側に配置する、第一支柱の支持杭と、前記第二軌道の建築限界外であり、前記第一軌道と逆側に配置する、第二支柱の支持杭と、前記第一軌道の建築限界の下方であり、前記第二軌道の建築限界外の下方に配置する軌道支持杭と、を打設する支持杭打設工程と、(2)前記第一支柱の支持杭に継ぎ足して立設する第一支柱と、前記第二支柱の支持杭に継ぎ足して立設する第二支柱と、前記第一支柱の上部と前記第二支柱の上部間に亘って配置する覆工桁と、を有する仮設構台を構築する、仮設構台構築工程と、 (3)前記第一軌道を撤去して、上部に前記第一軌道の仮軌道である第一仮軌道を有する第一軌道ユニットを前記第一軌道と同じ高さに設置して、前記第一軌道を前記第一軌道ユニット上の前記第一仮軌道に受け替える、第一仮軌道構築工程と、(4)前記第一軌道ユニットを前記仮設構台に吊り下げる、第一仮軌道吊り下げ工程と、(5)前記軌道支持杭に継ぎ足して軌道支持柱を立設し、前記第一軌道ユニットを扛上し、前記第一軌道の長さ方向に隣り合う前記軌道支持柱間に亘って配置する軌道支持桁を設置して前記軌道支持柱と前記軌道支持桁とからなる軌道支持材を設置し、前記第一支柱と前記軌道支持材により前記第一軌道ユニットの両側を支持する、単線高架第一線構築工程と、(6)前記第二軌道の上方に、上部に前記第二軌道の仮軌道である第二仮軌道を有する第二軌道ユニットを配置する、第二仮軌道構築工程と、(7)前記第二軌道ユニットを前記仮設構台に吊り下げる、第二仮軌道吊り下げ工程と、(8)前記第二軌道ユニットを降下し、前記第二支柱と前記軌道支持材により前記第二軌道ユニットの両側を支持し、前記第二軌道を前記第二軌道ユニットの上部の前記第二仮軌道に切り替える単線高架第二線構築工程と、を有する、単線直上高架化工法を提供する。
【0012】
また、本発明は、2本の軌道が並列する既存用地を有する区間であり、いずれかの前記軌道の側方に少なくとも1線の仮線用地を確保できる仮線化区間と、前記仮線化区間と連続して前記区間の端部に位置して前記区間外の本線と連続する、仮線用地を確保できない仮線不可区間と、を有する区間の高架化を行う、鉄道区間高架化工法であって、並列する前記軌道のうち、前記仮線用地から遠い側の軌道を第一線、前記仮線用地に近い側の軌道を第二線とし、前記仮線用地に前記仮線化区間の既存の前記第二線の仮線である第二仮線を設置し、前記仮線化区間の既存の前記第二線を前記第二仮線へ切り替える、第二線仮線化工程と、前記仮線化区間の既存の前記第二線を撤去し、前記既存用地内の前記仮線用地側に前記仮線化区間の既存の前記第一線の仮線である第一仮線を設置し、前記仮線化区間の既存の前記第一線を前記第一仮線へ切り替える、第一線仮線化工程と、前記仮線化区間の既存の前記第一線上に、前記第一線の高架橋を構築する、第一線高架化工程と、前記第一線の高架橋と、前記本線の第一線とを、前記仮線不可区間において既存の前記第一線を高架化して構築した単線高架第一線を介して連結する、第一線高架接続工程と、撤去した前記仮化区間の既存の前記第二線上に、前記第二線の高架橋を構築する、第二線高架化工程と、前記第二線の高架橋と、前記本線の第二線とを、前記仮不可区間において既存の前記第二線を高架化して構築した単線高架第二線を介して連結する、第二線高架接続工程と、を有し、前記第一線高架接続工程において構築する単線高架第一線と、前記第二線高架接続工程において構築する単線高架第二線は、いずれも上述の単線直上高架化工法により構築する、鉄道区間高架化工法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、上記した課題を解決するための手段により、次のような効果の少なくとも一つを得ることができる。
(1)特許文献1及び特許文献2のSTRUM工法のように、複線の軌道をまとめて切り替える工法ではなく、単線毎に高架化を行うことができる。
(2)2本の軌道を門形に囲う仮設構台の上方に単線毎に軌道ユニットを構築し、降下させることで単線毎に高架化を行うことができる。
(3)予め軌道支持杭を打設しておくことで、軌道を切り替える当夜に軌道支持杭341を打設する作業が省略される。
(4)支障建築物がある部分のみを単線で直上高架することで、仮線工法と組み合わせることができるため、全区間の直上に高架部分を構築する場合と比べて工事費を削減できる。
(5)支障建築物部分の用地買収を待たずに工事を開始できるため、早期に高架化事業を完了させることができる。
(6)特許文献3の工法と異なり、複線の軌道をまとめて仮受けすることなく、単線毎に高架化を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】単線直上高架化工法の説明図(1)
図2】単線直上高架化工法の説明図(2)
図3】実施例1における単線直上高架化工法のステップ1の説明図(1)
図4】実施例1における単線直上高架化工法のステップ1の説明図(2)
図5】実施例1における単線直上高架化工法のステップ1の説明図(3)
図6】実施例1における単線直上高架化工法のステップ2の説明図(1)
図7】実施例1における単線直上高架化工法のステップ2の説明図(2)
図8】実施例1における単線直上高架化工法のステップ3の説明図(1)
図9】実施例1における第一軌道ユニットの説明図(1)
図10】実施例1における第一軌道ユニットの説明図(2)
図11】桁吊り具の説明図
図12】実施例1における単線直上高架化工法のステップ4の説明図(1)
図13】実施例1における単線直上高架化工法のステップ4の説明図(2)
図14】実施例1における単線直上高架化工法のステップ5の説明図(1)
図15】実施例1における単線直上高架化工法のステップ5の説明図(2)
図16】実施例1における軌道支持材の説明図
図17】単線直上高架化工法を用いる区間と仮設構台の高さの説明図
図18】実施例1における単線直上高架化工法のステップ6の説明図(1)
図19】実施例1における単線直上高架化工法のステップ6の説明図(2)
図20】実施例1における単線直上高架化工法のステップ8の説明図(1)
図21】実施例1における単線直上高架化工法のステップ8の説明図(2)
図22】実施例1における単線直上高架化工法のステップ9の説明図
図23】実施例2における単線直上高架化工法のステップ1の説明図
図24】実施例2における単線直上高架化工法のステップ2の説明図
図25】実施例2における単線直上高架化工法のステップ3の説明図
図26】実施例2における単線直上高架化工法のステップ4の説明図
図27】実施例2における単線直上高架化工法のステップ5の説明図
図28】実施例2における単線直上高架化工法のステップ6、7の説明図
図29】実施例2における軌道支持プレート、仮軌道継材の説明図
図30】実施例2における単線直上高架化工法のステップ8の説明図
図31】実施例3における単線直上高架化工法のステップ1の説明図
図32】実施例3における単線直上高架化工法のステップ2の説明図
図33】実施例3における単線直上高架化工法のステップ3、4の説明図
図34】実施例3における単線直上高架化工法のステップ5の説明図
図35】実施例3における単線直上高架化工法のステップ6の説明図
図36】実施例3における単線直上高架化工法のステップ8の説明図
図37】実施例4における鉄道区間高架工法の説明図(1)
図38】実施例4における鉄道区間高架工法の工程の説明図(1)
図39】実施例4における鉄道区間高架工法の工程の説明図(2)
図40】実施例4における鉄道区間高架工法の工程の説明図(3)
図41】実施例4における鉄道区間高架工法の工程の説明図(4)
図42】実施例4における鉄道区間高架工法の工程の説明図(5)
図43】実施例4における鉄道区間高架工法の工程の説明図(6)
図44】従来の仮線工法の説明図(1)
図45】従来の仮線工法の説明図(2)
図46】従来の仮線工法の説明図(3)
図47】従来の仮線工法の説明図(4)
図48】従来の仮線工法の説明図(5)
図49】従来の仮線工法の説明図(6)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の単線直上高架化工法と鉄道区間高架化工法を詳細に説明する。
【0016】
[実施例1]
(1)単線直上高架化工法の概要
本発明の単線直上高架化工法は、複線等の並列する2本の既設の軌道(第一軌道1、第二軌道2)を単線毎に高架化する工法である(図1)。
本実施例における単線直上高架化工法は、仮設構台3を構築し、仮設構台3内に配置した新たな軌道ユニット4を下降して第一軌道1及び第二軌道2の高架化を行うものであり、先に第一軌道1単線を高架化し、その後第二軌道2単線を高架化する。
【0017】
(2)仮設構台
仮設構台3は、並列する2本の第一軌道1、第二軌道2を、軌道の長さ方向から見て門形に囲うものであり、第一軌道1側に立設する第一支柱31と、第二軌道2側に立設する第二支柱32と、第一支柱31と第二支柱32の上部間に亘って配置する覆工桁33を有する。
門形を構成する第一支柱31、第二支柱32及び覆工桁33は、既設の軌道の長さ方向に所定の間隔で配置する。
【0018】
(3)支柱
第一支柱31と第二支柱32はそれぞれ第一軌道1と第二軌道2の建築限界11、21の外側に配置する(図2)。
第一支柱31と第二支柱32は、地面に打設した支持杭34に連結して立設する。
第一支柱31と第二支柱32の本数は、現場の用地条件や、仮設構台3の設計に合わせて決定するが、本実施例においては、第一支柱31は第一軌道1を直交する方向(横断方向)に並べて2本配置し、横断方向に並列する2本の第一支柱31間には、所定の高さに横断水平材311を固定する。
【0019】
(4)覆工桁、覆工板、その他の水平材
第一支柱31と第二支柱32の上端には、軌道の長さ方向に連続する連続水平材312、322をそれぞれ固定する。そして、第一支柱31側の連続水平材312と第二支柱32側の連続水平材322間に亘って覆工桁33を配置する。
そして、覆工桁33の上には足場となる覆工板35を設置する。
また、仮設構台3には、地震時の水平力や作業時にかかる荷重に耐えるため、軌道の長さ方向に並列する第一支柱31と第二支柱32には、隣り合う第一支柱31、第二支柱32間を連結する水平材313、323を高さ方向に複数段配置して補強する。このうち、高架化した第一軌道1及び第二軌道2を支える高さには、補強と軌道の支持を兼ねる軌道支持水平材314、324を配置する。
この他、仮設構台3を補強するために斜材315等を適宜配置してもよい。
【0020】
(5)単線直上高架化工法の各工程
本実施例における本発明の単線直上高架化工法は、以下の各工程からなる。
【0021】
(5.1)ステップ1:支持杭打設工程(図3、4、5)
最初の工程では、仮設構台3を支持する支持杭34と、高架化する際に新たな軌道ユニット4を支持する軌道支持杭341を打設する。
本実施例の支持杭34と軌道支持杭341はいずれもH形鋼であり、仮設構台3の支持杭34はH300×300×10×15以上とし、軌道ユニット4を支持する軌道支持杭341もH300×300×10×15以上とする。
仮設構台3用の支持杭34は、第一軌道1と第二軌道2の建築限界11、21の両外側に打設する。
軌道支持杭341は、先に単線高架化を行う第一軌道1の建築限界11の下方であり、第二軌道2の建築限界21外に打設する。このとき、軌道支持杭341施工時に第一軌道1の枕木12が干渉する場合には、軌道支持杭341の施工に支障のない長さに短縮した木製の仮枕木13に予め交換しておく。
支持杭34と軌道支持杭341は、予め600mmのケーシングを設置した上で、低振動の工法であり、かつ、電化区間においては打設時に架線に触れることのない低空頭であるBH杭工法やTBH杭工法、PIP杭工法等の従来知られている工法により打設する。
支持杭34と軌道支持杭341の打設に際しては、支持杭34と軌道支持杭341用の杭打機が打設個所まで走行し、かつ反力を確保できるように、事前に杭打機の走行範囲に木製覆工を行い、その上を重機を走行させ、又は木製覆工を介して地盤からの反力を確保する。また、軌陸車で杭打機を搬入したり、軌陸車に装備された杭打機で打設を行ったりしてもよい。
予め軌道支持杭341を打設しておくことで、軌道を切り替える当夜に軌道支持杭341を打設する作業が省略される。
【0022】
(5.2)ステップ2:仮設構台構築工程(図6、7)
次の工程では、先の工程で打設した支持杭34に第一支柱31及び第二支柱32を継ぎ足して、仮設構台3を構築する。本実施例における第一支柱31及び第二支柱32は、支持杭34と同じくH形鋼とする。また、第一支柱31及び第二支柱32の継ぎ足しについては、従来用いられている添接板を用いた方法等を適宜使用する。
そして、第一支柱31と第二支柱32の上端に、軌道の長さ方向に連続する連続水平材312、322をそれぞれ固定し、第一支柱31側の連続水平材312と第二支柱32側の連続水平材322間に亘って覆工桁33を固定するとともに、その他の横断水平材311や水平材313、323、軌道支持水平材314、324、斜材315等を固定する。連続水平材312、322や覆工桁33、横断水平材311、水平材313、323、軌道支持水平材314、324、斜材315等は、H型鋼やアングル、チャンネル等の鋼材からなり、ボルトを介して接合して固定する。
本実施例において、覆工桁33は軌道の長さ方向に3mの間隔で連続水平材312、322の上に配置する。第二軌道2上の覆工桁33の上には、この後の工程に用いる資機材の揚重に必要な揚重機の足場として、覆工板35を設置し、幅5mの作業ヤード351を構築する。
覆工板35設置後は、転落防止のために作業ヤード351となる覆工板35の側端部に転落防止のフェンス(図示せず)を設置する。
【0023】
(5.3)ステップ3:第一仮軌道構築工程
仮設構台3を構築した後、第一軌道1の仮軌道である第一仮軌道41aを有する第一軌道ユニット4aを仮設構台3に固定する。第一軌道ユニット4aは、第一支柱31に複数段配置する水平材313のうち、第一支柱31の上端の連続水平材312の直下に位置する水平材313aによって、第一軌道1の建築限界11よりも上方で支持する(図1、8)。
【0024】
(5.3.1)第一軌道ユニット(図9図10
第一軌道ユニット4aは、第一軌道1の仮軌道である第一仮軌道41aと、第一仮軌道41aを支持する工事桁42aからなる。
第一仮軌道41aは、2本のレール411aと、レール411aを支持する枕木412aと、からなる。
工事桁42aは、レール411aに直交し、レール411aの長さ方向に所定の間隔を設けて配置する工事横桁421aと、隣り合う工事横桁421a間の2本のレール411a下部にそれぞれ配置し、上面間に亘って枕木412aを配置する工事縦桁422aと、を組み合わせて構成する。枕木412aの下面と工事縦桁422aの上面との間には、列車通過時の振動の発生を防止するために、厚さ10mm程度の防振ゴム43aを配置してもよい。
本実施例の工事桁42aを構成する工事横桁421aと工事縦桁422aはいずれもH形鋼であり、工事横桁421aはH400×400×13×20とし、工事縦桁422aはH300×300×10×15とする。また、工事横桁421aは6m間隔で配置する。
枕木412aは、下方からフックボルト44aを挿通し、フックボルト44aを工事縦桁422aの上フランジ423aに係合して固定する。
レール411aは従来用いられているレール締結装置(図示せず)により、枕木412aに固定する。
第一仮軌道41aを有する第一軌道ユニット4aは、以下の手順により構築する。
【0025】
(5.3.2)手順3.1:第一軌道ユニットの仮組
まず、地上にて、第一仮軌道41aとそれを支持する工事桁42aからなる第一軌道ユニット4aを仮組して、組み立てが可能かを確認する。
また、工事縦桁422aと枕木412aはフックボルト44aを介して地上にて一体とする。
【0026】
(5.3.3)手順3.2:揚重機の搬入
第一軌道ユニット4aを吊り上げる揚重機として、例えば4.9tクレーンを覆工桁33の上に覆工板35を設置して形成した作業ヤード351にクレーン等を用いて地上から吊り上げて設置する。
手順3.1と手順3.2については、順序を問わず、同時に行う事もできる。
【0027】
(5.3.4)手順3.3:第一軌道ユニットの架設
まず、揚重機にて軌道ユニット4の工事横桁421aを所定の高さ、位置に設置する。工事横桁421aは、仮設構台3の第一支柱31の上端の連続水平材312の直下に位置する水平材313aに固定する。
次に、地上にて一体とした工事縦桁422aと枕木412aを揚重機で吊り上げ、先に吊り上げて固定した工事横桁421aに工事縦桁422aを連結する。工事横桁421aと工事縦桁422aの連結は、ボルトや添接板を用いて適宜固定する。
そして、レール411aを揚重機で吊り上げて枕木412a上に固定して、第一仮軌道41aとそれを支持する工事桁42aからなる軌道ユニット4が仮設構台3内において、第一軌道1の直上に構築する。
【0028】
(5.3.5)手順3.4:第一軌道ユニットの第二軌道側の固定
上記の架設工程により、第一軌道ユニット4aの一方の第一軌道1側は、工事横桁421aを第一支柱31側の水平材313aに固定して支持している。
第一軌道ユニット4aの他方の第二軌道2側(複線の中心側)は、覆工桁33に固定した桁吊り具36に連結して固定する。
本実施例の桁吊り具36は、覆工桁33の下面に軌道の長さ方向に亘って配置して固定した桁吊り金具361と、桁吊り金具361から下垂する吊りボルト362からなり、吊りボルト362の下端を工事横桁421aと連結する(図11)。吊りボルト362の下端は、工事横桁421aの上面に設けた吊り金具363に固定してもよいし、直接、工事横桁421aと連結して固定してもよい。
【0029】
(5.3.6)手順3.5:仮仮架線の吊架
第一軌道ユニット4aは、第一軌道1の建築限界11よりも上方に固定するが、第一軌道1の現在の架線に支障する場合には、工事横桁421aの下面に第一軌道1の現在の架線の仮架線(仮仮架線14)を取り付けて、現在の架線から切り替えてもよい(図8)。
なお、仮仮架線14の吊架を行わない場合には、軌道ユニット4の第二軌道2側の固定を行わなくてもよい。
【0030】
(5.4)ステップ4:第一仮軌道吊り下げ工程(図12、13)
第一軌道ユニット4aは、降下させて所定の高さで固定することで、第一軌道1を高架に切り替える。
本実施例において、第一軌道ユニット4aは覆工桁33上に配置したジャッキ7を用いて降下するため、本工程でジャッキ7に第一軌道ユニット4aを吊り下げる。ジャッキ7はセンターホールジャッキ(登録商標)でありPC鋼棒やワイヤー等を吊材71として挿通する。吊材71の下端は第一軌道ユニット4aの工事桁42aと連結する。
【0031】
(5.4.1)手順4.1:資材搬入/足場板・覆工板設置
本工程で用いる資機材を、第二軌道2上の作業ヤード351上にクレーン等を用いて地上から吊り上げて搬入する。
そして、作業が安全に行えるよう、また、仮設構台3の開口部からの資機材の落下防止を兼ねて、第一軌道ユニット4aの工事桁の上に足場板37を敷き詰める。
その後、第一軌道ユニット4aを降下させるためのジャッキ7とその受け台72の足場となる覆工板35を第一軌道1上の覆工桁33の上に設置する。
【0032】
(5.4.2)手順4.2:ジャッキ設置
第一軌道1上の覆工桁33及び覆工板35上に、第一軌道ユニット4aを降下させるためのジャッキ7とその受け台72を設置する。
本実施例では、受け台72は鋼材を平面視井桁状に組んで構成する。
受け台72及びジャッキ7の設置位置は、第一軌道ユニット4aの工事桁に吊材71の下端を連結する位置に合わせて設置する。
受け台72の一段目鋼材721には、仮設構台3の2本の覆工桁33の間に2本のチャンネル(380x100x13x20)を第一軌道1の長さ方向に設置する。手順4.1で覆工板35は、一段目鋼材721を設置できる隙間を確保して設置する。そして、一段目鋼材721上に、二段目鋼材722として、2本のH形鋼(H300x300x10x15)を第一軌道1と直交する方向に設置して、ジャッキ7の受け台72を構築し、その上にジャッキ7を設置する。
【0033】
(5.4.3)手順4.3:第一軌道ユニット吊り下げ
ジャッキ7を設置した後、吊材71をジャッキ7の上方から第一軌道ユニット4aの工事桁42aに向かって挿入し、工事横桁421aと吊材71の下端を連結して固定する。
これにより、第一軌道ユニット4aは、吊材71を介して仮設構台3上のジャッキ7に吊られて連結された状態となる。
【0034】
(5.4.4)手順4.4:仮設架線設置
仮設構台3の覆工桁33の下部に、切り替え後の高架第一線の架線となる仮設架線45aを設置する(図12)。
この手順4.4までは、第一軌道ユニット4aを降下して高架第一線に切り替える当夜までに行っておく。仮設架線45aを事前に設置することで、高架第一線への切り替え当夜の架線作業が降下作業箇所外の地上側の切換のみに削減することが可能であり、また、軌道の切り替え工事と、架線の切り替えの電気工事の上下同時作業を削減できることから、安全性が向上する。
【0035】
(5.5)ステップ5:単線高架第一線構築工程(図14、15)
第一軌道1の線路閉鎖後、仮設構台3に吊り下げた第一軌道ユニット4aを降下させて所定の高さで固定することで、複線のうち、第一軌道1の単線を高架に切り替える。
高架第一線は第一軌道1を高架に切り替えたものであり、構築工程は以下の手順で行われる。
【0036】
(5.5.1)手順5.1:軌道支持材設置
線路閉鎖後、予め打設していた軌道支持杭341に、軌道支持杭341から突設する軌道支持柱381と、軌道支持柱381の上部に第一軌道1の長さ方向に配置して第一軌道ユニット4aを直接受ける軌道支持桁382からなる軌道支持材38を設置する(図16)。軌道支持桁382の高さは、軌道支持水平材314の高さと同一とする。
軌道支持材38は、第一軌道1の建築限界11内に入ってしまうため、予め地上で一体化させておき、例えば第二軌道2上から2tユニック等を用いて搬入・設置する。
【0037】
(5.5.2)手順5.2:水平材撤去
第一軌道ユニット4aは、ステップ4で吊材71を介して仮設構台3上のジャッキ7に連結されている。
第一軌道ユニット4aを軌道支持水平材314の高さまで下降させるために、ジャッキ7により吊り下げた第一軌道ユニット4aを最上段の水平材313aから切り離し、この水平材313aと軌道支持水平材314までの間の水平材313bを撤去する。水平材313の撤去に当たってチェーンブロックや足場等が必要となる場合には、本手順より前に予め設置しておく。
また、第一軌道ユニット4aの第二軌道2側を固定している場合には、固定している吊りボルト362を撤去する。
手順5.1と手順5.2については、順序を問わず、同時に行う事もできる。
【0038】
(5.5.3)手順5.3:き電停止、架線撤去
き電を停止し、その確認ができたら、第一軌道ユニット4aの降下に支障する第一軌道1の仮仮架線14、又は仮仮架線14の吊架を行っていない場合は現在の架線を撤去する。仮仮架線14、又は現在の架線の撤去は、手順5.1、5.2の作業中にも行う事ができる。
【0039】
(5.5.4)手順5.4:第一軌道ユニット降下・固定
手順5.1~5.3が完了した後、ジャッキ7を操作して第一軌道ユニット4aを降下する。
第一軌道ユニット4aが所定の位置に納まったら、第一軌道ユニット4aの工事横桁421aを、仮設構台3の第一支柱31側の軌道支持水平材324と、手順5.1で設置した軌道支持材38に固定する。
【0040】
(5.5.5)手順5.5:復旧作業
第一軌道ユニット4aが固定されたら、以下の復旧作業を行う。
(i)軌道の接続
本実施例においては、第一軌道ユニット4aの一方を、仮線工法により構築した高架橋5の軌道に接続し、他方は従来の本線6に接続する(図17)。このとき、従来の本線6は地上にあるため、地上側の軌道は扛上を行い、第一軌道ユニット4aと接続する。
【0041】
(ii)吊材の撤去
第一軌道ユニット4aの降下に用いた吊材71が切り替え後の高架第一線の軌道の建築限界15に支障する場合には、その吊材71を撤去する。吊材71を吊り下げていたジャッキは必要に応じて撤去する。
【0042】
(iii)水平材の復旧
仮設構台3の手順5.2で撤去した水平材313を下から順に復旧していく。
【0043】
(iv)作業終了まで
上述の復旧作業が終了後、片付け、点検を行った後、停電終了、線路閉鎖解除、初電確認を行い、
第一軌道ユニット4aを降下して高架第一線に切り替える当夜の作業が終了する。
なお、高架第一線の架線となる仮設架線45aはステップ4にて予め設置されているため、本工程での架線復旧作業は発生しない。
【0044】
(5.6)ステップ6:第二仮軌道構築工程(図18、19)
高架第一線を構築した後、第二軌道2の仮軌道である第二仮軌道41bを有する第二軌道ユニット4bを仮設構台3に固定する。第二軌道ユニット4bは、第二支柱32に複数段配置する水平材323のうち、第二支柱32の上端の連続水平材322の直下に位置する水平材323aによって、第二軌道2の建築限界21及び高架第一線の軌道の建築限界15よりも上方で支持する。
本実施例における第二軌道ユニット4bは、第一軌道ユニット4aと同形状に構成する。
第二軌道ユニット4bは、以下の手順により構築する。
【0045】
(5.6.1)手順6.1:作業ヤード盛り替え
高架第一線の構築までに用いられた第二軌道2上の作業ヤード351は、第二軌道ユニット4bの揚重作業の妨げとなるため、高架第一線上の覆工桁33上に覆工板35を移動することで、作業ヤード351を盛り替えて構築する。覆工板35設置後は、ステップ2と同様に、転落防止のために作業ヤード351となる覆工板35の側端部に転落防止のフェンス(図示せず)を設置する。
【0046】
(5.6.2)手順6.2:第二軌道ユニットの仮組~第二軌道ユニットの架設
ステップ3の手順3.1~3.3の手順と同様の手順を第二軌道2側及び第二軌道ユニット4bに対して行い、第二軌道ユニット4bを第二支柱32の水平材323aに固定して仮設構台3に架設する。
【0047】
(5.6.3)手順6.3:高架第一線本受け
手順6.1、6.2と平行して、高架第一線下部に位置する第一軌道1を撤去し、本設の構造物となる第一線側の高架橋8の躯体を構築し、第一軌道ユニット4aに合わせてスラブコンクリートを打設して第一仮軌道41aを本受けする。このとき、第一軌道ユニット4aの工事横桁421aは、高架橋8の高欄の位置にあたるため、その部分を箱抜きして躯体を構築して第一仮軌道41aを本受けした後に工事横桁421aを撤去して箱抜き部分を埋めてもよいし、工事横桁421aは埋め殺しとして後から切断してもよい。
【0048】
(5.7)ステップ7:第二仮軌道吊り下げ工程
第二仮軌道41bを有する第二軌道ユニット4bは、降下させて所定の高さで固定することで、第二軌道2を高架に切り替える。
本実施例においては、ステップ4で行った第一軌道ユニット4aをジャッキ7で吊り下げる工程と同様の工程を行い、第二軌道2上の作業ヤード351に設けたジャッキ7に第二軌道ユニット4bを吊り下げる。
【0049】
(5.8)ステップ8:単線高架第二線構築工程(図20、21)
第二軌道2の線路閉鎖後、仮設構台3に吊り下げた第二軌道ユニット4bを降下させて所定の高さで固定することで、複線のうち、第二軌道2の単線を高架に切り替える。
高架第二線は第二軌道2を高架に切り替えたものであり、高架第一線を構築したステップ5と同様の工程で構築する。
ただし、第二軌道ユニット4bの第一軌道1側を支持する軌道支持材38は、ステップ5の手順5.1にて設置されているため、軌道支持材38の設置工程はステップ8には含まれない。
【0050】
(5.9)ステップ9:高架第二線本受け(図22
高架第二線構築後、高架第二線下部に位置する第二軌道2を撤去し、本設の構造物となる第二線側の高架橋8の躯体を構築し、第二軌道ユニット4bに合わせてスラブコンクリートを打設して第二仮軌道41bを本受けする。このとき、第二軌道ユニット4bの工事横桁421bは、高架橋8の高欄の位置にあたるため、その部分を箱抜きして躯体を構築して第二仮軌道41bを本受けした後に工事横桁421bを撤去して箱抜き部分を埋めてもよいし、工事横桁421bは埋め殺しとして後から切断してもよい。
なお、上述のステップ6の手順6.3の高架第一線本受けは、本工程で高架第二線の本受けと同時に行うこともできる。
【0051】
(5.10)ステップ10:本設架線設置、仮設構台撤去
第一軌道1、第二軌道2ともに、本設の構造物となる高架橋8に受け替えが完了したら、本設の架線柱を立てて本設の架線を設置して、仮設構台3を撤去する。
ステップ9終了後、仮設構台3の覆工桁33には、高架第一線と高架第二線の仮設架線45aが設置されているため、まずはこれらの仮設架線45aの支持に必要な第一支柱31、第二支柱32等を除いて、仮設構台3の一部を撤去する。
その後、本設の架線柱を立てて本設の架線を設置し、仮設架線45aを撤去し、仮設架線45aを受けていた仮設構台3を撤去し、工事は完了する。
【0052】
(6)単線直上高架化工法の適用区間と仮設構台の高さ(図17
本実施例の単線直上高架化工法は、仮線工法を行うことができる区間と、本線区間の間で、仮線工法を行うことができない区間に適用する。
単線直上高架化工法により扛上する高さは、仮線工法で構築される高架橋5に近づくにつれて高くなるため、仮設構台3の高さも高くなる。一方、本線6に近づくにつれて扛上する高さは低くなる。本実施例においては、降下させた軌道ユニット4を軌道支持材38により支持したが、扛上する高さが低い場合には、当夜に道床や路盤を扛上して軌道ユニット4を支持することもできる。なお、扛上する高さが低くなる(例えば300mm以下)区間においては、仮設構台3に吊り下げた軌道ユニット4を降下させる方法に代えて、予め軌道(第一軌道1)を撤去して当夜の内に軌道ユニット4(第一軌道ユニット4a)を軌道(第一軌道1)と同じ高さに設置し、扛上を行う(ステップ5)当夜に、設置した軌道ユニット4(第一軌道ユニット4a)を扛上してもよい。
【0053】
[実施例2]
(1)枕木抱き込み式工事桁を用いた単線直上高架化工法
実施例1の単線直上高架化工法は、第一軌道ユニット4aの第一仮軌道41aを受ける工事桁を、第一支柱31に固定する工事横桁421aと、工事横桁421a間の2本のレール411aの下部にそれぞれ配置する工事縦桁422aを組み合わせて構成したが、枕木抱き込み式工事桁により構成することもできる。
このときの第一軌道ユニット4aは、2本のレール411aと、レール411aに沿って配置する工事縦桁422aと、工事縦桁422a間にレール411aと直交するように配置し、レール411aを支持する枕木412aを含む枕木横桁424aからなる。なお、第一軌道ユニット4aは、この形態に限らず、従来用いられている枕木抱き込み式工事桁を適宜用いることができる。
【0054】
(2)枕木抱き込み式工事桁を用いた単線直上高架化工法の各工程
本実施例における本発明の単線直上高架化工法は、以下の各工程からなる。なお、特別に記載する場合を除き、各ステップは実施例1の単線直上高架化工法に準ずる。
【0055】
(2.1)ステップ1:支持杭打設工程(図23
実施例1と同様に、最初の工程では、仮設構台3を支持する支持杭34と、高架化する際に新たな軌道ユニット4を支持する軌道支持杭341を打設する。
仮設構台3用の支持杭34は、第一軌道1と第二軌道2の建築限界11、21の両外側に打設する。
本実施例の第一軌道ユニット4aは、枕木抱き込み式工事桁となるため、第一軌道ユニット4aのレール411aに直交する方向の両側を軌道支持杭341にて支持する。このため、軌道支持杭341は、先に単線高架化を行う第一軌道1の建築限界11の下方であり、かつ、第二軌道2の建築限界21外に、第一軌道1の一対のレールの中心線を対称に第一軌道1の両側に対になるように、第一軌道1の線路方向に所定の間隔で打設する。なお、本実施例では、後の工程で本設の高架橋8の柱を線路方向に6m間隔で施工するため、その間に線路方向に2列と線路直角方向に2列、計4本の軌道支持杭341を打設する。
また、第二軌道ユニット4bも枕木抱き込み式工事桁とする場合には、第二軌道2の建築限界21の下方にも、軌道支持杭341を打設する。
このとき、軌道ユニット4を支持する軌道支持杭341と干渉する枕木12、22については、実施例1と同様に予め仮枕木13、23に置き換えておく。また、軌道支持杭341は建築限界に干渉しないよう、枕木天端付近で切断しておく。
なお、高架第一線本受けを、ステップ9の高架第二線本受けよりも前に行う場合、本設の高架橋8の構築に必要な掘削作業を、第二軌道2の仮受を待たずに第一軌道1側を先行して行うため、掘削後の地表高に差が出る。この状態で第二軌道2の沈下を防止して安全に列車を通過させるため、第一軌道1と第二軌道2の間に土止めを設置できるよう、土止め杭39も同時に施工しておくこともできる。
【0056】
(2.2)ステップ2:仮設構台構築工程(図24
次の工程では、先の工程で打設した支持杭34に第一支柱31及び第二支柱32を継ぎ足して、仮設構台3を構築する。なお、本実施例においては、高架化した第一軌道1及び第二軌道2を第一支柱31や第二支柱32では支持しないが、仮設構台3には、補強と軌道の支持を兼ねる軌道支持水平材314、424を施工時又は地震時等の荷重に対して必要であれば配置してもよい。
また、本実施例においては、軌道ユニット4は軌道支持杭34によって直接支持するため、軌道支持杭34の上端に軌道支持プレート383を固定する。
【0057】
(2.3)ステップ3:第一仮軌道構築工程
仮設構台3を構築した後、第一軌道1の仮軌道である第一仮軌道41aを有する第一軌道ユニット4aを構築する。
第一軌道ユニット4aは、地上にて構築する。
また、第一軌道ユニット4aを吊り上げる揚重機を作業ヤード351に設置する。
第一軌道ユニット4aは、仮設構台3にて第一軌道1の直上から覆工桁33の直下まで吊り上げて、桁吊り金具361を介して覆工桁33に固定する(図25)。
第一軌道ユニット4aは、第一軌道1の建築限界11よりも上方に固定するが、第一軌道1の現在の架線に支障する場合には、第一軌道ユニット4aの下面に第一軌道1の現在の架線の仮架線(仮仮架線14)を取り付けて、現在の架線から切り替えてもよい。
【0058】
(2.4)ステップ4:第一仮軌道吊り下げ工程(図26
地上にて構築した、第一仮軌道41aを有する第一軌道ユニット4aは、仮設構台3にて第一軌道1の直上に吊り下げ、その後降下させて所定の高さで固定することで、第一軌道1を高架に切り替える。
【0059】
(2.4.1)手順4.1:資材搬入/覆工板設置
本工程で用いる資機材を、第二軌道2上の作業ヤード351上にクレーン等を用いて地上から吊り上げて搬入する。
【0060】
(2.4.2)手順4.2:ジャッキ設置
第一軌道1上の覆工桁33及び覆工板35上に、第一軌道ユニット4aを吊り下げて降下させるためのジャッキ7とその受け台72を設置する。
【0061】
(2.4.3)手順4.3:第一軌道ユニット吊り下げ
吊材71をジャッキ7の上方から第一軌道ユニット4aに向かって挿入し、第一軌道ユニット4aの工事縦桁422aと吊材71の下端を連結して固定する。
これにより、第一軌道ユニット4aは、吊材71を介して仮設構台3上のジャッキ7に吊られて連結された状態となる。
【0062】
(2.4.4)手順4.4:仮設架線設置
仮設構台3の覆工桁33の下部に、切り替え後の高架第一線の架線となる仮設架線45aを設置する。
この手順4.4までは、第一軌道ユニット4aを降下して高架第一線に切り替える当夜までに行っておく。
【0063】
(2.5)ステップ5:単線高架第一線構築工程(図27
第一軌道1の線路閉鎖後、仮設構台3に吊り下げた第一軌道ユニット4aを降下させて所定の高さで固定することで、複線のうち、第一軌道1の単線を高架に切り替える。
【0064】
(2.5.1)手順5.1:軌道支持材設置
線路閉鎖後、予め打設していた軌道支持杭341に、軌道支持杭341から突設する軌道支持柱381を設置する。
ただし、現在の第一軌道1から、構築する高架第一線の扛上量が低い場合には、第一軌道1の建築限界11外に収まる軌道支持杭341で第一軌道ユニット4aを支持すればよい場合があり、このときには軌道支持柱381の設置は不要となる。
また、第一軌道ユニット4aは第一支柱31に固定しないため、降下させる際に水平材313が干渉しないため、実施例1の水平材撤去工程は不要である。
【0065】
(2.5.2)手順5.2:き電停止、架線、レール撤去
き電を停止し、その確認ができたら、第一軌道ユニット4aの降下に支障する第一軌道1の仮仮架線14、又は仮仮架線14の吊架を行っていない場合は現在の架線を撤去する。仮仮架線14、又は現在の架線の撤去は、手順5.1の作業中にも行う事ができる。
また、第一軌道ユニット4aを降下する前に第一軌道1のレールを撤去する。
【0066】
(2.5.3)手順5.3:第一軌道ユニット降下・固定
手順5.1、5.2が完了した後、ジャッキ7を操作して全区間で第一軌道ユニット4aを降下して、軌道支持杭341上の軌道支持プレート383に固定する。
【0067】
(2.5.4)手順5.4:復旧作業
第一軌道ユニット4aが固定されたら、実施例1と同様に復旧作業を行う。
なお、本実施例においては、仮設構台3の水平材313の撤去を行わないため、水平材313の復旧も行う必要がない。
【0068】
(2.6)ステップ6:第二仮軌道構築工程(図28
高架第一線を構築した後、第二軌道2の仮軌道である第二仮軌道41bを有する第二軌道ユニット4bを、第一軌道ユニット4aと同様に構築する。
第二軌道ユニット4bは地上で構築し、次のステップで仮設構台3に吊り下げるが、それまでに実施例1と同様に、高架第一線の構築までに用いられた第二軌道2上の作業ヤード351を1線目の上に盛り替えて整備する。それと同時に、高架第一線下部に位置する第一軌道1を撤去し、本設の構造物となる第一線側の高架橋8の躯体を構築し、第一軌道ユニット4aに合わせてスラブコンクリートを打設して第一仮軌道41aを本受けする。本実施例の第一軌道ユニット4aには工事横桁421aがないため、本設の高架橋8の躯体を構築するにあたり、箱抜きや埋め殺した後に工事横桁421aを切断する工程は発生しない。
一方で、第一仮軌道41a直下の第一軌道1とその道床・路盤を撤去することにより軌道支持杭34が露出するため、軌道支持杭34の有効細長比が長くなり、杭頭に作用する曲げモーメントも増大する。このため、必要に応じて、これに抵抗するために線路方向に縦仮軌道継材384を2列ずつ計4本、線路横断方向に横仮軌道継材385を1本ずつ計2本、用いて杭を連結する(図29)。さらに、対角に位置する軌道支持杭34を山形鋼等により連結してもよい。
【0069】
(2.7)ステップ7:第二仮軌道吊り下げ工程(図28
地上にて構築した、第二仮軌道41bを有する第二軌道ユニット4bは、仮設構台3にて第二軌道2の直上に吊り下げ、その後降下させて所定の高さで固定することで、第二軌道2を高架に切り替える。
本実施例においては、ステップ3、4で行った第一軌道ユニット4aの固定、及びジャッキ7で吊り下げる工程と同様の工程を行い、第二軌道2上の作業ヤード351に設けたジャッキ7に第二軌道ユニット4bを吊り下げる。
【0070】
(2.8)ステップ8:単線高架第二線構築工程(図30
第二軌道2の線路閉鎖後、仮設構台3に吊り下げた第二軌道ユニット4bを降下させて所定の高さで固定することで、複線のうち、第二軌道2の単線を高架に切り替える。
高架第二線は、高架第一線を構築したステップ5と同様の工程で構築する。
【0071】
(2.9)ステップ9:高架第二線本受け
高架第二線構築後、高架第二線下部に位置する第二軌道2を撤去し、本設の構造物となる第二線側の高架橋8の躯体を構築し、第二軌道ユニット4bに合わせてスラブコンクリートを打設して第二仮軌道41bを本受けする。本実施例の第二軌道ユニット4bには工事横桁421bがないため、本設の高架橋8の躯体を構築するにあたり、箱抜きや埋め殺した後に工事横桁421aを切断する工程は発生しない。
また、ステップ9と同様に、必要に応じて軌道支持杭34間に縦仮軌道継材384、横仮軌道継材385等を設ける。
なお、上述のステップ6の高架第一線本受けは、本工程で高架第二線の本受けと同時に行うこともできる。
【0072】
(2.10)ステップ10:本設架線設置、仮設構台撤去
第一軌道1、第二軌道2ともに、本設の構造物となる高架橋8に受け替えが完了したら、本設の架線柱を立てて本設の架線を設置して、仮設構台3を撤去し、工事は完了する。
【0073】
[実施例3]
(1)軌道の扛上による単線直上高架化工法
実施例1、2の単線直上高架化工法はいずれも、仮設構台3内の上部に配置した新たな軌道ユニット4を下降して高架化を行うものであるが、本実施例においては、第一軌道1側については現在の第一軌道1を扛上して高架化を行うものである。
【0074】
(2)軌道の扛上による単線直上高架化工法の各工程
本実施例における本発明の単線直上高架化工法は、以下の各工程からなる。なお、特別に記載する場合を除き、各ステップは実施例1、2の単線直上高架化工法に準ずる。
【0075】
(2.1)ステップ1:支持杭打設工程(図31
実施例1、2と同様に、最初の工程では、仮設構台3を支持する支持杭34と、高架化する際に軌道を支持する軌道支持杭341及び、第一軌道1側を掘削するために必要な土止め杭39を打設する。
仮設構台3用の支持杭34は、第一軌道1と第二軌道2の建築限界11、21の両外側に打設する。
軌道支持杭341は、先に単線高架化を行う第一軌道1の建築限界11の下方であり、第二軌道2の建築限界21外に打設する。
土止め杭39は第一軌道ユニット4aの設置の支障とならない位置まで掘削できるよう、第一軌道1と第二軌道2が近接している場合は、第二軌道2の建築限界12下部に設置してもよい。
【0076】
(2.2)ステップ2:仮設構台構築工程
次の工程では、先の工程で打設した支持杭34に第一支柱31及び第二支柱32を継ぎ足して、仮設構台3を構築する。
また、第一軌道1の架線の支持を、架線柱から仮設構台3の覆工桁33の下部に設置するブラケット331に受け替えて、扛上までの仮仮架線14を設けてもよい。
【0077】
(2.3)ステップ3:第一仮軌道構築工程(図33
第一軌道1をレール、レール締結装置(図示せず)、枕木の順に撤去した後に、道床・路盤を掘削・撤去する。
その後、第一支柱31直下の支持杭34、及び、軌道支持杭341に、軌道支持水平材314を設置する。そして、軌道支持水平材314に第一軌道ユニット4aを設置する。第一軌道ユニットの設置は工事桁42aを先に軌道支持水平材314の上に載せてから枕木412aとレール411aを順に設置してもよいし、工事桁42a、枕木412a、及び、レール411aを先に組み立てて第一軌道ユニット4aを構築した後に軌道支持水平材314の上に設置してもよい。
【0078】
(2.4)ステップ4:第一仮軌道吊り下げ工程(図33
第一軌道1を受け替えて構成した第一軌道ユニット4aは、仮設構台3に吊り下げた後、扛上して所定の高さで固定することで、第一軌道1を高架に切り替える。
第一軌道ユニット4aは覆工桁33上に配置したジャッキ7を用いて吊り下げた後に扛上するため、まず本工程でジャッキ7に第一軌道ユニット4aを吊り下げる。
【0079】
(2.4.1)手順4.1:資材搬入/足場板・覆工板設置
本工程で用いる資機材を、第二軌道2上の作業ヤード351上にクレーン等を用いて地上から吊り上げて搬入する。
そして、第一軌道ユニット4aを吊り下げて扛上するためのジャッキ7とその受け台72の足場となる覆工板35を第一軌道1上の覆工桁33の上に設置する。
【0080】
(2.4.2)手順4.2:ジャッキ設置
第一軌道1上の覆工桁33及び覆工板35上に、第一軌道ユニット4aを吊り下げて扛上するためのジャッキ7とその受け台72を設置する。
【0081】
(2.4.3)手順4.3:仮設架線設置
仮設構台3の覆工桁33の下部に、切り替え後の高架第一線の架線となる仮設架線45aを設置する。
この手順4.3までは、第一軌道ユニット4aを扛上して高架第一線に切り替える当夜までに行っておく。
【0082】
(2.4.4)手順4.4:第一軌道ユニット4aの吊り下げ
線路閉鎖後、吊材71をジャッキ7の上方から第一軌道ユニット4aの工事桁に向かって挿入し、工事横桁421aと吊材71の下端を連結して固定する。なお、仮設構台3の第一支柱31側の吊り下げについては、線路閉鎖前に事前に行うこともできる。
【0083】
(2.5)ステップ5:単線高架第一線構築工程(図34
第一軌道1の線路閉鎖後、仮設構台3に吊り下げた第一軌道ユニット4aを扛上して所定の高さで固定することで、複線のうち、第一軌道1の単線を高架に切り替える。
高架第一線の構築工程は以下の手順で行われる。
【0084】
(2.5.1)手順5.1:き電停止、架線撤去
き電を停止し、その確認ができたら現在の架線を撤去する。
【0085】
(2.5.2)手順5.2:第一軌道ユニット扛上・固定
ジャッキ7を操作して第一軌道ユニット4aを扛上する。予め打設していた軌道支持杭341に、必要に応じて軌道支持杭341から突設する軌道支持柱381と、軌道支持柱381の上部に第一軌道1の長さ方向に配置して第一軌道ユニット4aを直接受ける軌道支持桁382からなる軌道支持材38を設置する。また仮設構台3の第一支柱31に、第一軌道ユニット4aを受ける軌道支持水平材314を設置する。なお、軌道支持桁382が第一軌道1の建築限界の下にある場合は、軌道支持桁382を直接、軌道支持杭341に設置してもよい。
そして、ジャッキ7により扛上した第一軌道ユニット4aを軌道支持水平材314と軌道支持桁382に固定する。
【0086】
(2.5.3)手順5.3:復旧作業
第一軌道ユニット4aが固定されたら、実施例1、2と同様に復旧作業を行う。
なお、本実施例においては、仮設構台3の水平材313の撤去を行わないため、水平材313の復旧も行う必要がない。
【0087】
(2.6)ステップ6:第二仮軌道構築工程(図35
高架第一線を構築した後、第二軌道2の仮軌道である第二仮軌道41bを有する第二軌道ユニット4bを実施例1のステップ6と同様の工程を行い、仮設構台3に固定する。また、実施例1のステップ6の手順6.3と同様に、高架第一線下部に位置する第一軌道1を撤去し、本設の構造物となる第一線側の高架橋8の躯体を構築して第一仮軌道41aを本受けする。
【0088】
(2.7)ステップ7:第二仮軌道吊り下げ工程
第二軌道ユニット4bは、降下させて所定の高さで固定することで、第二軌道2を高架に切り替える。
本実施例においては、実施例1のステップ7と同様の工程を行い、第二軌道2上の作業ヤード351に設けたジャッキ7に第二軌道ユニット4bを吊り下げる。
【0089】
(2.8)ステップ8:単線高架第二線構築工程(図36
第二軌道2の線路閉鎖後、仮設構台3に吊り下げた第二軌道ユニット4bを降下させて所定の高さで固定することで、複線のうち、第二軌道2の単線を高架に切り替える。
本実施例においては、実施例1のステップ8と同様の工程を行い、第二軌道2を高架に切り替えて、高架第二線を構築する。
【0090】
(2.9)ステップ9:高架第二線本受け
高架第二線構築後、高架第二線下部に本設の構造物となる第二線側の高架橋8の躯体を構築し、第二軌道ユニット4bに合わせてスラブコンクリートを打設して第二仮軌道41bを本受けする。なお、上述のステップ6の高架第一線本受けは、本工程で高架第二線の本受けと同時に行うこともできる。
【0091】
(2.10)ステップ10:本設架線設置、仮設構台撤去
第一軌道1、第二軌道2ともに、本設の構造物となる高架橋8に受け替えが完了したら、本設の架線柱を立てて本設の架線を設置して、仮設構台3を撤去し、工事は完了する。
【0092】
[実施例4]
上述の実施例1~3では本発明の単線直上高架化工法について説明したが、本実施例では単線直上高架化工法を用いた鉄道区間高架工法について説明する。
【0093】
(1)鉄道区間高架工法の概要(図37
本発明の鉄道区間高架工法は、複線である第一線91と第二線92の2本の軌道が並列する既存用地を有する区間の鉄道を高架化するものである。従来の仮線工法は、高架化する区間の全てで仮線用地93を確保する必要があるが、本実施例においては、第二線92の側方に仮線用地93を確保できる仮線化区間94と、支障建築物951があり仮線用地93を確保できない仮線不可区間95を合わせて高架化する。仮線不可区間95は本線96と繋がっている。
【0094】
(2)鉄道区間高架工法の各工程
本発明の鉄道区間高架工法は、以下の各工程からなる。
【0095】
(2.1)仮線化区間第二線仮線化工程(図38
用地買収等を行って確保した仮線用地93に、既存の第二線92の仮線である仮第二線921を設置し、仮線化区間94の既存の第二線92を仮第二線921へ切り替える。
【0096】
(2.2)仮線化区間第一線仮線化工程(図39
仮第二線921を設置した仮線化区間94の第二線92を撤去して、第二線92よりも仮線用地93側に、既存の第一線91の仮線である仮第一線911を設置し、仮線化区間94の既存の第一線91を仮第一線911へ切り替える。
【0097】
(2.3)仮線化区間第一線高架化工程(図40
仮第一線911を設置した仮線化区間94の第一線91を撤去し、第二線92を撤去した用地と合わせて、撤去した第一線91部分に本設となる第一線高架橋912を構築して、仮線化区間94の第一線91を高架化する。
【0098】
(2.4)第一線高架接続工程(図41
仮線不可区間95の第一線91を、本発明の単線直上高架化工法のうち、実施例1~3のステップ5までを行って高架化して第一線単線高架部913を構築し、仮線化区間94の第一線高架橋912と接続する。なお、ステップ1からステップ3までは、仮線化区間第一線高架化工程までの工程と同時に行うことができる。
【0099】
(2.5)仮線化区間第二線高架化工程(図42
仮第一線911を撤去し、撤去した第二線91部分に本設となる第二線高架橋922を構築して、仮線化区間94の第二線92を高架化する。
【0100】
(2.6)第二線高架接続工程(図43
仮線不可区間95の第二線92を、本発明の単線直上高架化工法のうち、実施例1~3のステップ6からステップ8までを行って高架化して第二線単線高架部923を構築し、仮線化区間94の第二線高架橋922と接続する。接続後、仮第二線921は撤去する。
【0101】
(2.7)仮線不可区間高架本設工程
仮線不可区間95において高架化した第一線単線高架部913と第二線単線高架部923の下部に、本設の構造物となる高架橋の躯体を構築し、仮線不可区間95の第一線単線高架部913と第二線単線高架部923を本受けする(実施例1~3におけるステップ9)。なお、仮線不可区間95の第一線単線高架部913の本受け(実施例1~3におけるステップ6の手順6.3)は、仮線化区間第二線高架化工程や、第二線高架接続工程と同時に行うことができる。
そして、仮線不可区間95において第一線単線高架部913と第二線単線高架部923ともに本設の高架橋への受け替えが完了したら、本設の架線柱を立てて本設の架線を設置して仮設構台3を撤去し、工事は完了する(実施例1~3におけるステップ10)。
【0102】
このように、支障建築物951が仮線不可区間95のみを単線で直上高架することで、仮線工法と組み合わせることができるため、全区間の直上に高架部分を構築する場合と比べて工事費を削減できる。
また、支障建築物951部分の用地買収を待たずに工事を開始できるため、早期に高架化事業を完了させることができる。
【符号の説明】
【0103】
1 第一軌道、11 建築限界、12 枕木、13 仮枕木、14 仮仮架線、
2 第二軌道、21 建築限界、22 枕木、23 仮枕木、24 仮仮架線、
3 仮設構台、31 第一支柱、32 第二支柱、33 覆工桁、34 支持杭、35 覆工板、36 桁吊り具、37 足場板、38 軌道支持材、
4 軌道ユニット、4a 第一軌道ユニット、41a 第一仮軌道、42a 工事桁、43a 防振ゴム、44a フックボルト、45a 仮設架線、4b 第二軌道ユニット、
5 高架橋、
6 本線、
7 ジャッキ、71 吊材、72 受け台、
8 高架橋
91 第一線、911 仮第一線、912 第一線高架橋、913 第一線単線高架部、
92 第二線、921 仮第二線、922 第二線高架橋、923 第二線単線高架部、
93 仮線用地、
94 仮線化区間、
95 仮線不可区間、951 支障建築物、
96 本線
【要約】      (修正有)
【課題】仮線用地の一部に支障建築物がある場合に、単線毎の仮線工法と組み合わせて施工することができる、単線直上高架化工法を提供する。
【解決手段】並列する2本の軌道を単線毎に高架化する、単線直上高架化工法であって、支持杭打設工程と、仮設構台構築工程と、第一仮軌道構築工程と、第一仮軌道吊り下げ工程と、単線高架第一線構築工程と、第二仮軌道構築工程と、第二仮軌道吊り下げ工程と、単線高架第二線構築工程と、を有する単線直上高架化工法。
【選択図】図1
図1
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図3
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