(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20240618BHJP
G01S 19/42 20100101ALI20240618BHJP
G01S 19/53 20100101ALI20240618BHJP
【FI】
G08G1/00 A
G01S19/42
G01S19/53
(21)【出願番号】P 2023158834
(22)【出願日】2023-09-22
【審査請求日】2023-12-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】大野 勝弘
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 学
【審査官】佐藤 吉信
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-055603(JP,A)
【文献】特開2008-216062(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109613585(CN,A)
【文献】米国特許第6671587(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G06T 7/00- 7/90
G01S 5/00- 5/14
G01S 19/00-19/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の第1の基準点に設けられた第1測位機器により測位された前記第1の基準点の
水平方向における二次元位置と、水平面に対する垂直方向の位置とを示す三次元位置である第1の三次元位置を示す第1位置情報と、前記車両の第2の基準点に設けられた第2測位機器により測位された前記第2の基準点の
水平方向における二次元位置と、水平面に対する垂直方向の位置とを示す三次元位置である第2の三次元位置を示す第2位置情報とを取得する取得部と、
前記第1位置情報が示す第1の三次元位置と前記第2位置情報が示す第2の三次元位置とを水平面に投影した場合における2つの投影点を結ぶ直線と、前記水平面における基準方向である第1基準方向とがなす角度である第1角度に基づいて、前記車両が向いている方向を特定する方向特定部と、
前記第1の三次元位置と前記第2の三次元位置とを前記方向特定部が特定した前記車両が向いている方向に平行かつ水平面に垂直な平面に投影した場合における2つの投影点を結ぶ直線と、前記平面における基準方向である第2基準方向とがなす角度である第2角度を特定するとともに、前記第1の三次元位置又は前記第2の三次元位置に含まれる水平方向の二次元位置と一致する二次元位置を含む道路の三次元位置を特定し、前記第2角度と、前記第1の三次元位置又は前記第2の三次元位置と前記道路の三次元位置との距離と、に基づいて、前記車両の傾斜角を特定する傾斜角特定部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
車両の第1の基準点に設けられた第1測位機器により測位された前記第1の基準点の
水平方向における二次元位置と、水平面に対する垂直方向の位置とを示す三次元位置である第1の三次元位置を示す第1位置情報と、前記車両の第2の基準点に設けられた第2測位機器により測位された前記第2の基準点の
水平方向における二次元位置と、水平面に対する垂直方向の位置とを示す三次元位置である第2の三次元位置を示す第2位置情報とを取得
し、前記第1の三次元位置に含まれる水平方向の二次元位置と一致する二次元位置を含む道路の三次元位置である第1道路位置と、前記第2の三次元位置に含まれる水平方向の二次元位置と一致する二次元位置を含む道路の三次元位置である第2道路位置とを取得する取得部と、
前記第1位置情報が示す第1の三次元位置と前記第2位置情報が示す第2の三次元位置とを水平面に投影した場合における2つの投影点を結ぶ直線と、前記水平面における基準方向である第1基準方向とがなす角度である第1角度に基づいて、前記車両が向いている方向を特定する方向特定部と、
前記第1の三次元位置と前記第2の三次元位置とを前記方向特定部が特定した前記車両が向いている方向に平行かつ水平面に垂直な平面に投影した場合における2つの投影点を結ぶ直線と、前記平面における基準方向としての第2基準方向であって、前記第1道路位置と前記第2道路位置とを、前記方向特定部が特定した前記車両が向いている方向に平行かつ水平面に垂直な平面に投影した場合における2つの投影点を結ぶ直線が示す方向である第2基準方向と、がなす角度である第2角度に基づいて、前記車両の傾斜角を特定する傾斜角特定部と、
を有する情報処理装置。
【請求項3】
前記傾斜角特定部は、水平面に車両が停車している場合に、前記第1の三次元位置と前記第2の三次元位置とを前記方向特定部が特定した前記車両の進行方向に平行かつ水平面に垂直な平面に投影した場合における2つの投影点を結ぶ直線が示す方向を、前記第2基準方向とする、
請求項
1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記取得部は、前記第1の基準点に対応する前記第1の三次元位置を示す第1位置情報と、前記車両において前記第1の基準点から所定距離以上離れた前記第2の基準点に対応する前記第2の三次元位置を示す前記第2位置情報とを取得する、
請求項1
又は2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記取得部は、前記車両の前方又は後方の右側又は左側に設けられる前記第1の基準点に対応する前記第1の三次元位置を示す第1位置情報と、前記車両の中心に対して前記第1の基準点の位置と反対側の位置に設けられる前記第2の基準点に対応する前記第2の三次元位置を示す前記第2位置情報とを取得する、
請求項1
又は2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記取得部は、前記第1の基準点に対応する前記第1の三次元位置を示す第1位置情報と、前記車両が水平面に停車している場合において前記第1の基準点の高さと同じ高さに設けられている前記第2の基準点に対応する前記第2の三次元位置を示す前記第2位置情報とを取得する、
請求項1
又は2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記取得部は、前記車両の前後方向の中心線上に設けられる前記第1の基準点に対応する前記第1の三次元位置を示す第1位置情報と、前記中心線上に設けられる前記第2の基準点に対応する前記第2の三次元位置を示す前記第2位置情報とを取得する、
請求項1
又は2に記載の情報処理装置。
【請求項8】
コンピュータが実行する、
車両の第1の基準点に設けられた第1測位機器により測位された前記第1の基準点の
水平方向における二次元位置と、水平面に対する垂直方向の位置とを示す三次元位置である第1の三次元位置を示す第1位置情報と、前記車両の第2の基準点に設けられた第2測位機器により測位された前記第2の基準点の
水平方向における二次元位置と、水平面に対する垂直方向の位置とを示す三次元位置である第2の三次元位置を示す第2位置情報とを取得するステップと、
前記第1位置情報が示す第1の三次元位置と前記第2位置情報が示す第2の三次元位置とを水平面に投影した場合における2つの投影点を結ぶ直線と、前記水平面における基準方向である第1基準方向とがなす角度である第1角度に基づいて、前記車両が向いている方向を特定するステップと、
前記第1の三次元位置と前記第2の三次元位置とを、特定した前記車両が向いている方向に平行かつ水平面に垂直な平面に投影した場合における2つの投影点を結ぶ直線と、前記平面における基準方向である第2基準方向とがなす角度である第2角度を特定するとともに、前記第1の三次元位置又は前記第2の三次元位置に含まれる二次元位置と一致する二次元位置を含む道路の三次元位置を特定し、前記第2角度と、前記第1の三次元位置又は前記第2の三次元位置と前記道路の三次元位置との距離と、に基づいて、前記車両の傾斜角を特定するステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項9】
コンピュータが実行する、
車両の第1の基準点に設けられた第1測位機器により測位された前記第1の基準点の
水平方向における二次元位置と、水平面に対する垂直方向の位置とを示す三次元位置である第1の三次元位置を示す第1位置情報と、前記車両の第2の基準点に設けられた第2測位機器により測位された前記第2の基準点の
水平方向における二次元位置と、水平面に対する垂直方向の位置とを示す三次元位置である第2の三次元位置を示す第2位置情報とを取得
し、前記第1の三次元位置に含まれる水平方向の二次元位置と一致する二次元位置を含む道路の三次元位置である第1道路位置と、前記第2の三次元位置に含まれる水平方向の二次元位置と一致する二次元位置を含む道路の三次元位置である第2道路位置とを取得するステップと、
前記第1位置情報が示す第1の三次元位置と前記第2位置情報が示す第2の三次元位置とを水平面に投影した場合における2つの投影点を結ぶ直線と、前記水平面における基準方向である第1基準方向とがなす角度である第1角度に基づいて、前記車両が向いている方向を特定するステップと、
前記第1の三次元位置と前記第2の三次元位置とを、特定した前記車両が向いている方向に平行かつ水平面に垂直な平面に投影した場合における2つの投影点を結ぶ直線と、前記平面における基準方向としての第2基準方向であって、前記第1道路位置と前記第2道路位置とを、特定した前記車両が向いている方向に平行かつ水平面に垂直な平面に投影した場合における2つの投影点を結ぶ直線が示す方向である第2基準方向と、がなす角度である第2角度に基づいて、前記車両の傾斜角を特定するステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータを、
車両の第1の基準点に設けられた第1測位機器により測位された前記第1の基準点の
水平方向における二次元位置と、水平面に対する垂直方向の位置とを含む三次元位置である第1の三次元位置を示す第1位置情報と、前記車両の第2の基準点に設けられた第2測位機器により測位された前記第2の基準点の
水平方向における二次元位置と、水平面に対する垂直方向の位置とを含む三次元位置である第2の三次元位置を示す第2位置情報とを取得する取得部
、
前記第1位置情報が示す第1の三次元位置と前記第2位置情報が示す第2の三次元位置とを水平面に投影した場合における2つの投影点を結ぶ直線と、前記水平面における基準方向である第1基準方向とがなす角度である第1角度に基づいて、前記車両が向いている方向を特定する方向特定部、
及び、
前記第1の三次元位置と前記第2の三次元位置とを前記方向特定部が特定した前記車両が向いている方向に平行かつ水平面に垂直な平面に投影した場合における2つの投影点を結ぶ直線と、前記平面における基準方向である第2基準方向とがなす角度である第2角度を特定するとともに、前記第1の三次元位置又は前記第2の三次元位置に含まれる二次元位置と一致する二次元位置を含む道路の三次元位置を特定し、前記第2角度と、前記第1の三次元位置又は前記第2の三次元位置と前記道路の三次元位置との距離と、に基づいて、前記車両の傾斜角を特定する傾斜角特定部、
として機能させるプログラム。
【請求項11】
コンピュータを、
車両の第1の基準点に設けられた第1測位機器により測位された前記第1の基準点の
水平方向における二次元位置と、水平面に対する垂直方向の位置とを示す三次元位置である第1の三次元位置を示す第1位置情報と、前記車両の第2の基準点に設けられた第2測位機器により測位された前記第2の基準点の
水平方向における二次元位置と、水平面に対する垂直方向の位置とを示す三次元位置である第2の三次元位置を示す第2位置情報とを取得
し、前記第1の三次元位置に含まれる水平方向の二次元位置と一致する二次元位置を含む道路の三次元位置である第1道路位置と、前記第2の三次元位置に含まれる水平方向の二次元位置と一致する二次元位置を含む道路の三次元位置である第2道路位置とを取得する取得部
、
前記第1位置情報が示す第1の三次元位置と前記第2位置情報が示す第2の三次元位置とを水平面に投影した場合における2つの投影点を結ぶ直線と、前記水平面における基準方向である第1基準方向とがなす角度である第1角度に基づいて、前記車両が向いている方向を特定する方向特定部、
及び、
前記第1の三次元位置と前記第2の三次元位置とを前記方向特定部が特定した前記車両が向いている方向に平行かつ水平面に垂直な平面に投影した場合における2つの投影点を結ぶ直線と、前記平面における基準方向としての第2基準方向であって、前記第1道路位置と前記第2道路位置とを、前記方向特定部が特定した前記車両が向いている方向に平行かつ水平面に垂直な平面に投影した場合における2つの投影点を結ぶ直線が示す方向である第2基準方向と、がなす角度である第2角度に基づいて、前記車両の傾斜角を特定する傾斜角特定部、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現実世界を模擬した模擬データを構築し、構築した模擬データを用いて現実世界と同じ環境を仮想空間で再現する技術であるデジタルツインが知られている。例えば、特許文献1では、走行車両の走行データを生成し、生成した走行データに基づいて当該走行車両の走行を仮想空間で再現する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
走行データを示す情報が車両に設けられた1台の測位装置により測定された位置情報である場合、位置情報に基づいて走行中の車両の位置を再現することができるものの、走行中における車両の向きや傾きといった車両の姿勢を表現することができない。このため、仮想空間に再現した車両の姿勢が不自然な状態となってしまう。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、車両を三次元仮想空間で再現する場合に車両の姿勢を再現できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る情報処理装置は、車両の第1の基準点に設けられた第1測位機器により測位された前記第1の基準点の三次元位置である第1の三次元位置を示す第1位置情報と、前記車両の第2の基準点に設けられた第2測位機器により測位された前記第2の基準点の三次元位置である第2の三次元位置を示す第2位置情報とを取得する取得部と、前記第1位置情報が示す第1の三次元位置と前記第2位置情報が示す第2の三次元位置とを水平面に投影した場合における2つの投影点を結ぶ直線と、前記水平面における基準方向である第1基準方向とがなす角度である第1角度に基づいて、前記車両が向いている方向を特定する方向特定部と、を有する。
【0007】
前記情報処理装置は、前記第1位置情報が示す第1の三次元位置と前記第2位置情報が示す第2の三次元位置とを前記方向特定部が特定した前記車両が向いている方向に平行かつ水平面に垂直な平面に投影した場合における2つの投影点を結ぶ直線と、前記平面における基準方向である第2基準方向とがなす角度である第2角度に基づいて、前記車両の傾斜角を特定する傾斜角特定部を有してもよい。
【0008】
前記傾斜角特定部は、前記第1の三次元位置又は前記第2の三次元位置に対応する道路の三次元位置を特定し、前記第1の三次元位置又は前記第2の三次元位置と、前記道路の三次元位置との距離と、前記第2角度とに基づいて、前記車両の傾斜角を特定してもよい。
【0009】
前記傾斜角特定部は、水平面に車両が停車している場合に、前記第1の三次元位置と前記第2の三次元位置とを前記方向特定部が特定した前記車両の進行方向に平行かつ水平面に垂直な平面に投影した場合における2つの投影点を結ぶ直線が示す方向を、前記第2基準方向としてもよい。
【0010】
前記取得部は、前記第1の三次元位置に対応する道路の三次元位置である第1道路位置と、前記第2の三次元位置とに対応する道路の三次元位置である第2道路位置とを取得し、前記傾斜角特定部は、前記第1道路位置と、前記第2道路位置とを、前記方向特定部が特定した前記車両の進行方向に平行かつ水平面に垂直な平面に投影した場合における2つの投影点を結ぶ直線が示す方向を、前記第2基準方向としてもよい。
【0011】
前記取得部は、前記第1の基準点に対応する前記第1の三次元位置を示す第1位置情報と、前記車両において前記第1の基準点から所定距離以上離れた前記第2の基準点に対応する前記第2の三次元位置を示す前記第2位置情報とを取得してもよい。
【0012】
前記取得部は、前記車両の前方又は後方の右側又は左側に設けられる前記第1の基準点に対応する前記第1の三次元位置を示す第1位置情報と、前記車両の中心に対して前記第1の基準点の位置と反対側の位置に設けられる前記第2の基準点に対応する前記第2の三次元位置を示す前記第2位置情報とを取得してもよい。
【0013】
前記取得部は、前記第1の基準点に対応する前記第1の三次元位置を示す第1位置情報と、前記車両が水平面に停車している場合において前記第1の基準点の高さと同じ高さに設けられている前記第2の基準点に対応する前記第2の三次元位置を示す前記第2位置情報とを取得してもよい。
【0014】
前記取得部は、前記車両の前後方向の中心線上に設けられる前記第1の基準点に対応する前記第1の三次元位置を示す第1位置情報と、前記中心線上に設けられる前記第2の基準点に対応する前記第2の三次元位置を示す前記第2位置情報とを取得してもよい。
【0015】
本発明の第2の態様に係る情報処理方法は、コンピュータが実行する、車両の第1の基準点に設けられた第1測位機器により測位された前記第1の基準点の三次元位置である第1の三次元位置を示す第1位置情報と、前記車両の第2の基準点に設けられた第2測位機器により測位された前記第2の基準点の三次元位置である第2の三次元位置を示す第2位置情報とを取得するステップと、前記第1位置情報が示す第1の三次元位置と前記第2位置情報が示す第2の三次元位置とを水平面に投影した場合における2つの投影点を結ぶ直線と、前記水平面における基準方向である第1基準方向とがなす角度である第1角度に基づいて、前記車両が向いている方向を特定するステップと、を有する。
【0016】
本発明の第3の態様に係るプログラムは、コンピュータを、車両の第1の基準点に設けられた第1測位機器により測位された前記第1の基準点の三次元位置である第1の三次元位置を示す第1位置情報と、前記車両の第2の基準点に設けられた第2測位機器により測位された前記第2の基準点の三次元位置である第2の三次元位置を示す第2位置情報とを取得する取得部、及び、前記第1位置情報が示す第1の三次元位置と前記第2位置情報が示す第2の三次元位置とを水平面に投影した場合における2つの投影点を結ぶ直線と、前記水平面における基準方向である第1基準方向とがなす角度である第1角度に基づいて、前記車両が向いている方向を特定する方向特定部、として機能させてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、車両を三次元仮想空間で再現する場合に車両の姿勢を再現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図7】車両が取り得る回転状態の一例を示す図である。
【
図8】情報処理装置における車両オブジェクトの配置に係る処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[情報処理装置1の概要]
図1は、情報処理装置1の概要を説明する図である。情報処理装置1は、車両Vの走行履歴情報に基づいて、当該車両Vの走行を仮想空間で再現する装置である。
【0020】
まず、情報処理装置1が車両Vの走行を仮想空間で再現するにあたり、車両Vの走行履歴情報が記憶部に記憶されているとともに、車両Vが走行した実空間に存在する道路を含む現実空間を再現した三次元仮想空間が予め設けられている。
【0021】
走行履歴情報は、例えば、車両Vが走行を開始してからの経過時間と、当該経過時間における車両Vの第1の基準点の三次元位置を示す第1位置情報と、当該経過時間における車両Vの第2の基準点の三次元位置を示す第2位置情報とを関連付けた情報である。
【0022】
第1位置情報は、車両Vの第1の基準点に設けられたデバイスであって、GNSS(Global Navigation Satellite System)を用いて測位可能な測位デバイスが測位した三次元位置である第1の三次元位置を示す情報である。第2位置情報は、車両Vの第2の基準点に設けられた、GNSSを用いて測位可能な測位デバイスが測位した三次元位置である第2の三次元位置を示す情報である。第1位置情報及び第2位置情報のそれぞれは、基準点における水平方向の二次元位置である車両二次元位置と、垂直方向の車両の位置である車両高さ位置とを示す三次元位置を示すものとする。
【0023】
情報処理装置1は、ある経過時間に対応して車両Vを仮想空間上に再現するにあたり、当該経過時間に対応する車両Vの第1位置情報と第2位置情報とを取得する(
図1における(1))。情報処理装置1は、取得した第1位置情報が示す第1の三次元位置と第2位置情報が示す第2の三次元位置とを水平面に投影した場合における2つの投影点を特定する。そして、情報処理装置1は、特定した2つの投影点を結ぶ直線と、水平面における基準方向である第1基準方向とがなす角度を算出し、当該角度に基づいて、車両Vが向いている方向を特定する(
図1における(2))。
【0024】
また、情報処理装置1は、第1位置情報が示す第1の三次元位置と第2位置情報が示す第2の三次元位置とを、車両Vが向いている方向に平行かつ水平面に垂直な平面に投影した場合における2つの投影点を特定する。そして、情報処理装置1は、特定した2つの投影点を結ぶ直線と、当該平面における基準方向である第2基準方向とがなす角度を算出し、当該角度に基づいて、車両Vの傾斜角を特定する(
図1における(3))。
【0025】
そして、情報処理装置1は、三次元仮想空間において、第1の基準点又は第2の基準点の車両二次元位置を基準位置として、車両Vを示す車両オブジェクトを配置する(
図1における(4))。情報処理装置1は、車両オブジェクトの向いている方向及び傾斜角が、特定した車両Vの向いている方向及び車両Vの傾斜角となるように車両オブジェクトを配置する。
【0026】
情報処理装置1は、車両オブジェクトが配置された三次元仮想空間において仮想カメラを配置し、当該仮想カメラにより車両オブジェクトを撮影したときの映像データを生成し(
図1における(5))、当該映像データが示す映像を視聴するユーザの端末2に当該映像データを出力する(
図1における(6))。このようにすることで、情報処理装置1は、車両Vを三次元仮想空間で再現する場合に車両Vの姿勢を再現することができる。
【0027】
[情報処理装置1の機能構成]
続いて、情報処理装置1の構成について説明する。
図2は、情報処理装置1の機能構成を示す図である。情報処理装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを有する。
【0028】
通信部11は、携帯電話回線、インターネット、無線LAN等の通信ネットワークを介して端末2等の外部装置とデータを送受信するための通信インターフェースである。
【0029】
記憶部12は、各種のデータを記憶する記憶媒体であり、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及びハードディスク等を有する。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを記憶する。記憶部12は、制御部13を、計時部131、取得部132、方向特定部133、傾斜角特定部134、配置部135、及び表示制御部136として機能させるプログラムを記憶する。
【0030】
また、記憶部12は、車両Vの走行履歴を示す走行履歴情報を記憶する。
図3は、走行履歴情報の一例を示す図である。
図3に示すように、走行履歴情報は、例えば、車両Vが走行を開始した時刻からの経過時間と、当該経過時間における車両Vの第1の基準点の三次元位置を示す第1位置情報と、当該経過時間における車両Vの第2の基準点の三次元位置を示す第2位置情報とを関連付けた情報である。ここで、三次元位置(x,y,z)におけるxは、第1の基準方向の絶対位置(例えば緯度)、yは、第1の基準方向に直交する第2の基準方向の絶対位置(例えば経度)、zは、第1の基準方向及び第2の基準方向に直交する第3の基準方向の絶対位置(例えば標高)を示すものとする。なお、車両Vのエンジンの近傍にマイク等の集音装置を設けておき、走行履歴情報に、集音装置が集音した音を示す音情報が関連付けられていてもよい。
【0031】
また、記憶部12は、車両Vが走行した実空間を示す実空間情報が記憶されている。実空間情報は、例えば、測量機器を用いて実空間を測量することにより生成された点群データである。点群データは、実空間を示す複数の特徴点それぞれにおける三次元位置情報と、当該特徴点における実空間を示すオブジェクトの色とを関連付けた情報である。情報処理装置1は、実空間情報に基づいて、道路オブジェクト等の各種オブジェクトを配置した三次元仮想空間を生成することにより、現実空間を再現することができる。なお、点群データには、アスファルト、砂利、砂、凍結路面等の道路面の種別を示す情報が含まれていてもよい。
【0032】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、計時部131、取得部132、方向特定部133、傾斜角特定部134、配置部135、及び表示制御部136として機能する。
【0033】
[第1の基準点と第2の基準点との説明]
制御部13が有する各機能を説明する前に、車両Vの第1の基準点と第2の基準点との関係について説明する。
図4は、車両Vの側面図及び上面図の一例である。
図4(a)は、車両Vの側面図を示し、
図4(b)は、車両Vの上面図を示している。
図4(a)に示すように、第1の基準点BP1と、第2の基準点BP2とは、車両Vが水平面に停車している場合において、同じ高さとなるように車両Vに設けられている。
【0034】
また、
図4(b)に示すように、第1の基準点BP1は車両Vの前方の右側に設けられ、第2の基準点BP2は、車両Vを上から視認した場合の中心位置Pcに対して第1の基準点BP1の位置と反対側の位置、すなわち車両Vの後方の左側に設けられている。また、第1の基準点BP1と、第2の基準点BP2とは、測位デバイスの誤差範囲(例えば数センチ~数十センチ)よりも大きい距離である所定距離以上離れて設けられている。このようにすることで、2つの基準点に基づいて特定される車両Vの向き及び傾斜角の精度を高めることができる。
【0035】
なお、第1の基準点BP1は、車両Vの前方の左側に設けられ、第2の基準点BP2は、車両Vの後方の右側に設けられていてもよい。また、第1の基準点BP1と第2の基準点BP2とは、車両Vの前後方向の中心線CL上に設けられるようにしてもよい。このようにすることで、2つの基準点を通る直線が示す向きを車両Vの向きとして算出することができる。
【0036】
[車両Vが向いている方向及び車両Vの傾斜角の特定]
続いて、車両Vが向いている方向及び車両Vの傾斜角を特定するための処理について説明する。
計時部131は、例えば、通信部11を介して、端末2から、現実空間を再現した三次元仮想空間における車両Vの走行再現要求を受け付けることにより、計時を行う。なお、計時部131は、端末2から任意の時間を受け付け、受け付けた時間から計時を行うようにしてもよい。
【0037】
取得部132は、車両Vの第1の基準点BP1に設けられた第1測位機器により測位された第1の基準点BPの三次元位置である第1の三次元位置を示す第1位置情報と、車両の第2の基準点BPに設けられた第2測位機器により測位された第2の基準点BPの三次元位置である第2の三次元位置を示す第2位置情報とを取得する。例えば、取得部132は、所定時間おきに、記憶部12に記憶されている走行履歴情報を参照し、計時部131が計時を開始してからの計時時間に関連付けられている第1位置情報及び第2位置情報を取得する。所定時間は、例えば、一般的なディスプレイ装置のフレームレート(例えば、60Hz)に基づく画面の書き換え間隔に基づいて設定されるものとする。
【0038】
なお、取得部132は、所定時間おきに、記憶部12に記憶されている走行履歴情報を参照し、計時部131が計時を開始してからの計時時間に関連付けられている第1位置情報及び第2位置情報を取得したが、これに限らない。取得部132は、記憶部12に記憶されている走行履歴情報を参照し、所定時間おきに、直前に取得した三次元位置情報に関連付けられている時刻の直後の時刻に関連付けられている第1位置情報及び第2位置情報を取得してもよい。この場合、情報処理装置1は、計時部131を有していなくてもよい。
【0039】
方向特定部133は、取得部132が取得した第1位置情報が示す第1の三次元位置と取得部132が取得した第2位置情報が示す第2の三次元位置とを水平面に投影した場合における2つの投影点を特定する。方向特定部133は、特定した2つの投影点を結ぶ直線と、水平面における基準方向である第1基準方向とがなす角度である第1角度に基づいて、車両Vが向いている方向を特定する。
【0040】
図5は、第1角度の算出を説明する図である。例えば、第1位置情報が示す第1の三次元位置P1であり、第2位置情報が示す第2の三次元位置がP2であり、水平面における基準方向が北方向Nであるとする。方向特定部133は、例えば、これらの2つの三次元位置P1、P2のz軸方向の値を0として2つの投影点P11、P21を特定し、2つの投影点P11、P21を通る直線の傾きを算出する。方向特定部133は、算出した傾きのアークタンジェントを算出することにより、東方向に対する角度を算出する。そして、方向特定部133は、算出した角度に基づいて、北方向を0°とした場合の方位角を第1角度θ1として算出する。ここで、方向特定部133は、第1位置情報のy軸方向の値が第2位置情報のy軸方向の値よりも大きい場合、第1角度θ1を鋭角とし、第1位置情報のy軸方向の値が第2位置情報のy軸方向の値よりも小さい場合、第1角度θ1を鈍角とする。
【0041】
そして、方向特定部133は、車両Vの前後方向の中心線と、第1の基準点と第2の基準点とを結ぶ直線とのずれ角θsと、第1角度θ1とに基づいて、車両Vが向いている方向を示す、車両Vの方位角を特定する。ここで、ずれ角θsは、車両Vが停車している場合における、車両Vの前後方向の中心線と、第1の基準点と第2の基準点とを水平面に投影した2つの投影点を結ぶ直線とのなす角度であるものとする。
【0042】
傾斜角特定部134は、取得部132が取得した第1位置情報が示す第1の三次元位置P1と、取得部132が取得した第2位置情報が示す第2の三次元位置P2とを、方向特定部133が特定した車両Vが向いている方向に平行かつ水平面に垂直な平面に投影した場合における2つの投影点を特定する。そして、傾斜角特定部134は、特定した2つの投影点を結ぶ直線と、当該平面における基準方向である第2基準方向とがなす角度である第2角度に基づいて、車両Vの傾斜角を特定する。
【0043】
図6は、第2角度の算出を説明する図である。
図6に示す平面αは、車両Vが向いている方向に平行かつ水平面に垂直な平面であるとする。また、当該平面αにおける基準方向、すなわち、第2基準方向を、水平面と並行な方向Hであるものとする。
【0044】
傾斜角特定部134は、例えば、これらの2つの三次元位置P1、P2を平面αに投影したときの、2つの投影点P12、P22を特定し、2つの投影点P12、P22を通る直線の、方向Hに対する傾きを算出する。そして、傾斜角特定部134は、算出した傾きのアークタンジェントを算出することにより、車両Vの傾斜角を特定する。
【0045】
なお、第2基準方向を、水平面と並行な方向Hであるものとしたが、これに限らない。例えば、傾斜角特定部134は、水平面に車両Vが停車している場合に、第1位置情報が示す第1の三次元位置P1と第2位置情報が示す第2の三次元位置P2とを、水平面に車両Vが停車している場合に方向特定部133が特定した車両Vの進行方向(車両Vの向き)に平行かつ水平面に垂直な平面に投影した場合における2つの投影点を結ぶ直線が示す方向を、第2基準方向としてもよい。このようにすることで、情報処理装置1は、車両Vの停車時の状態を基準として、車両Vの傾斜角を特定することができる。
【0046】
また、傾斜角特定部134は、車両Vの位置における道路に対する車両Vの傾斜角を特定するようにしてもよい。この場合、取得部132は、記憶部12に記憶されている実空間情報を参照し、第1位置情報が示す第1の三次元位置に対応する道路の三次元位置である第1道路位置と、第2位置情報が示す第2の三次元位置とに対応する道路の三次元位置である第2道路位置とを示す情報を取得してもよい。そして、傾斜角特定部134は、取得された情報が示す第1道路位置及び第2道路位置を、方向特定部133が特定した車両Vの進行方向に平行かつ水平面に垂直な平面に投影した場合における2つの投影点を結ぶ直線が示す方向を、第2基準方向とする。このようにすることで、情報処理装置1は、車両Vが位置する道路の路面を基準とした車両Vの傾きを特定することができる。
【0047】
また、車両Vにおいて第1の基準点と、第2の基準点との2つの基準点しか設けられていないことから、2つの基準点を通る直線を軸としたときの車両Vの回転状態(ロール状態)が定まらないという問題がある。
図7は、車両Vが取り得る回転状態の一例を示す図である。車両Vが通常走行を行っている場合には、
図7(a)に示すように、車両Vのタイヤが地面に接触している。
図7に示すように車両Vの傾斜角をθtとすると、傾斜角θtは鋭角となる。これに対し、車両Vが事故等を起こした場合には、
図7(b)に示すように、車両Vのタイヤが地面に接触していないことがあり、この場合の車両Vの傾斜角θtは鈍角となる。
【0048】
これに対し、傾斜角特定部134は、第1の三次元位置又は第2の三次元位置に対応する道路の三次元位置を特定してもよい。そして、傾斜角特定部134は、第1の三次元位置又は第2の三次元位置と、道路の三次元位置との距離と、算出した第2角度とに基づいて、車両Vの傾斜角を特定してもよい。
【0049】
この場合、例えば、車両Vのタイヤが地面に接触している場合における第1の三次元位置P1又は第2の三次元位置P2が示す高さ方向の位置と、道路の三次元位置が示す高さ方向の位置との距離を基準距離として予め算出しておく。傾斜角特定部134は、
図7に示すように、第1の三次元位置P1又は第2の三次元位置P2が示す高さ方向の位置と、当該三次元位置に対応する道路の三次元位置が示す高さ方向の位置との距離Dを算出する。傾斜角特定部134は、算出した距離Dと基準距離との差分が予め定めた閾値未満である場合には、車両Vの傾斜角θtが鋭角となるように当該傾斜角θtを特定する。また、傾斜角特定部134は、算出した距離Dと基準距離との差分が、予め定めた閾値を超える場合には、車両Vの傾斜角θtが鈍角となるように当該傾斜角θtを特定する。このようにすることで、傾斜角特定部134は、車両Vの状態に対応して傾斜角θtを特定することができる。
【0050】
配置部135は、三次元仮想空間において、取得部132が取得した第1の基準点に対応する第1位置情報が示す二次元位置に、車両オブジェクトを配置する。具体的には、配置部135は、三次元仮想空間において、取得部132が取得した第1位置情報が示す第1の三次元位置に対して、車両オブジェクトに対して設定された第1の基準点の三次元位置を一致するように車両オブジェクトを配置する。そして、配置部135は、車両オブジェクトの向いている方向が、方向特定部133が特定した車両Vの向いている方向となり、車両オブジェクトの傾斜角が、傾斜角特定部134が特定した傾斜角となるように、車両オブジェクトの向き及び傾斜角を調整する。
【0051】
表示制御部136は、車両オブジェクトが配置された三次元仮想空間に一以上の仮想カメラを配置し、当該一以上の仮想カメラそれぞれにより三次元仮想空間を撮影したときの映像データを生成する。そして、表示制御部136は、生成した映像データの少なくともいずれかを、映像を視聴するユーザの端末2に出力する。なお、表示制御部136は、仮想カメラの配置位置を端末2から受け付け、受け付けた配置位置から三次元仮想空間を撮影したときの映像データを生成してもよい。
【0052】
また、点群データに、道路面の種別を示す情報が含まれている場合、表示制御部136は、道路面の種別に基づいて映像表現を追加した映像データを生成してもよい。例えば、表示制御部136は、道路面の種別が砂利や砂である場合に、車両Vの走行に応じて、砂埃等を表現した映像データを生成してもよい。また、表示制御部136は、車両Vの三次元位置の変化に基づいて、車両Vがドリフト走行をしていると判断し、かつ、道路面の種別がアスファルトである場合には、タイヤから煙が発生していることを表現した映像データを生成してもよい。
【0053】
また、走行履歴情報に車両Vのエンジンの音を示す音情報が含まれている場合には、映像データを生成して端末2に出力するとともに、計時部131が計時した時刻に対応する音データを端末2に出力してもよい。このようにすることで、情報処理装置1は、車両Vのエンジン音についても再現して、臨場感を演出することができる。
【0054】
[動作フロー]
続いて、情報処理装置1における車両オブジェクトの配置に係る処理の流れについて説明する。
図8は、情報処理装置1における車両オブジェクトの配置に係る処理の流れを示すフローチャートである。
図8に示すフローチャートは、計時部131が計時を開始したことに応じて、所定時間おきごとに実行されるものとする。
【0055】
まず、取得部132は、走行履歴情報を参照し、計時部131が計時した時間に関連付けられている第1位置情報及び第2位置情報を取得する(S1)。
続いて、方向特定部133は、S1において取得された第1位置情報が示す第1の三次元位置及び第2位置情報が示す第2の三次元位置の水平面に対する投影点を特定する(S2)。
【0056】
続いて、方向特定部133は、特定した2つの投影点を結ぶ直線と、水平面における基準方向である第1基準方向とがなす角度である第1角度を特定し(S3)、車両Vの前後方向の中心線と、第1の基準点と第2の基準点とを結ぶ直線とのずれ角と、特定した第1角度とに基づいて、車両Vの方位角を特定する(S4)。
【0057】
続いて、傾斜角特定部134は、車両Vの方位角が示す車両Vの向きに平行、かつ、水平面に垂直な平面を設定する(S5)。そして、傾斜角特定部134は、S1において取得された第1位置情報が示す第1の三次元位置及び第2位置情報が示す第2の三次元位置の、設定した平面に対する投影点を特定する(S6)。そして、傾斜角特定部134は、特定した2つの投影点を通る直線と、設定した平面における基準方向である第2基準方向とがなす角度である第2角度に基づいて、車両Vの傾斜角を特定する(S7)。
【0058】
続いて、配置部135は、取得部132が取得した第1位置情報が示す車両二次元位置に対し、S4において特定された車両Vの方位角及びS7において特定された車両Vの傾斜角に基づいて、三次元仮想空間に車両オブジェクトを配置する(S8)。
【0059】
[変形例]
上述の実施の形態では、走行履歴情報を記憶部12に記憶させておき、取得部132が、記憶部12に記憶されている走行履歴情報を所定時間おきに参照し、計時部131が計時を開始してからの計時時間に関連付けられている三次元位置情報を取得したが、これに限らない。走行履歴情報は記憶部12に記憶されていなくてもよく、取得部132は、車両Vに設けられた測位デバイスが測定した三次元位置を示す三次元位置情報を、通信部11を介してリアルタイムに取得してもよい。このようにすることで、情報処理装置1は、車両Vが実際に走行しているときの車両Vの三次元位置情報に基づいて、三次元仮想空間に車両Vの車両オブジェクトをリアルタイムに再現することができる。なお、この場合、情報処理装置1は、計時部131を有していなくてもよい。
【0060】
[情報処理装置1による効果]
以上説明したように、本実施の形態に係る情報処理装置1は、車両Vの第1の基準点に設けられた第1測位機器により測位された第1の基準点の三次元位置である第1の三次元位置を示す第1位置情報と、車両Vの第2の基準点に設けられた第2測位機器により測位された第2の基準点の三次元位置である第2の三次元位置を示す第2位置情報とを取得する。そして、情報処理装置1は、第1位置情報が示す第1の三次元位置と第2位置情報が示す第2の三次元位置とを水平面に投影した場合における2つの投影点を結ぶ直線と、水平面における基準方向である第1基準方向とがなす角度である第1角度に基づいて、車両Vが向いている方向を特定する。このようにすることで、情報処理装置1は、車両Vを三次元仮想空間で再現する場合に車両Vの姿勢を再現できることができる。
【0061】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0062】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0063】
1 情報処理装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 計時部
132 取得部
133 方向特定部
134 傾斜角特定部
135 配置部
136 表示制御部
2 端末
V 車両
【要約】
【課題】車両を三次元仮想空間で再現する場合に車両の姿勢を再現できるようにする。
【解決手段】情報処理装置1は、車両Vの第1の基準点に設けられた第1測位機器により測位された第1の基準点の三次元位置である第1の三次元位置を示す第1位置情報と、車両Vの第2の基準点に設けられた第2測位機器により測位された第2の基準点の三次元位置である第2の三次元位置を示す第2位置情報とを取得する取得部132と、第1位置情報が示す第1の三次元位置と第2位置情報が示す第2の三次元位置とを水平面に投影した場合における2つの投影点を結ぶ直線と、水平面における基準方向である第1基準方向とがなす角度である第1角度に基づいて、車両が向いている方向を特定する方向特定部133と、を有する。
【選択図】
図2