(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】容器詰緑茶飲料の製造方法及び容器詰緑茶飲料のコク向上方法
(51)【国際特許分類】
A23F 3/20 20060101AFI20240618BHJP
A23F 3/18 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
A23F3/20
A23F3/18
(21)【出願番号】P 2024064435
(22)【出願日】2024-04-12
【審査請求日】2024-04-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591014972
【氏名又は名称】株式会社 伊藤園
(74)【代理人】
【識別番号】110000707
【氏名又は名称】弁理士法人市澤・川田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 俊貴
(72)【発明者】
【氏名】坂田 匡孝
(72)【発明者】
【氏名】水呉 太一
【審査官】中田 光祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-115788(JP,A)
【文献】特開2005-229918(JP,A)
【文献】特表2019-509168(JP,A)
【文献】国際公開第2012/029132(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/029131(WO,A1)
【文献】特開2019-176750(JP,A)
【文献】特開2009-060824(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23F 3/00- 3/42
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(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
緑茶葉を水性溶媒で抽出し、全窒素濃度20~60mg/100mLの茶抽出液を得、茶抽出液を、膨潤後の粒子径の累積分布(体積基準)におけるメジアン径(D50)が5~30μmである濾過助剤
としての珪藻土によって濾過することを特徴とする、容器詰緑茶飲料の製造方法。
【請求項2】
前記濾過助剤は、そのdarcyが0.11~0.25である、請求項
1に記載の容器詰緑茶飲料の製造方法。
【請求項3】
前記濾過助剤は、膨潤後粒子径の累積分布(体積基準)のD90が20~60μmである、請求項1又は2に記載の容器詰緑茶飲料の製造方法。
【請求項4】
前記濾過助剤は、膨潤後粒子径の累積分布(体積基準)のD50に対するD90の比率(D90/D50)が1.0~6.0である、請求項1又は2に記載の容器詰緑茶飲料の製造方法。
【請求項5】
前記茶抽出液は、液中に含まれる粒子の粒子径の累積分布(体積基準)のメジアン径(D50)が2~20μmである、請求項1又は2に記載の容器詰緑茶飲料の製造方法。
【請求項6】
前記茶抽出液は、カリウム含有量が25~70mg/100mLである、請求項1又は2に記載の容器詰緑茶飲料の製造方法。
【請求項7】
前記茶抽出液は、ガレート型カテキン含有量が30~200mg/100mLである、請求項1又は2に記載の容器詰緑茶飲料の製造方法。
【請求項8】
前記茶抽出液は、液中に含まれる粒子が、粒子径の累積分布(体積基準)のD50に対するD90の比率(D90/D50)が2.0~10.0である、請求項1又は2に記載の容器詰緑茶飲料の製造方法。
【請求項9】
茶葉を水性溶媒で抽出し、全窒素濃度20~60mg/100mLの茶抽出液を得、茶抽出液を、膨潤後の粒子径の累積分布(体積基準)におけるメジアン径(D50)が5~30μmである濾過助剤
としての珪藻土によって濾過することを特徴とする、容器詰緑茶飲料のコク向上方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緑茶から抽出された緑茶抽出液を主成分とする緑茶飲料であって、この緑茶飲料をプラスチックボトルなどの容器に充填した容器詰緑茶飲料を製造する方法、並びに、容器詰緑茶飲料のコクを向上させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
緑茶飲料は、多糖類、タンパク質などの水不溶性固形分や抽出残渣が含まれており、透明な容器に充填すると、これらが濁りとして出現するため、品質上は問題ないが外観上は好ましくはなかった。
容器充填後保存している間に生じる濁りは、浮遊物状、白濁状、フロック状(綿状)或いは沈殿物状などの形状を呈しており、まとめて「オリ」と言われている。
【0003】
緑茶飲料の製造方法において、このようなオリの原因物質を除去する方法として、例えば特許文献1には、茶を温水抽出し、得られた茶抽出液を冷却した後タンニン酸を添加静置し、次いで遠心分離等によって微細な茶粒子を除去し、その後珪藻土濾過により清澄化させる方法が開示されている。
特許文献2には、緑茶を抽出した茶抽出液にアスコルビン酸を加えて酸性にした後、急冷した上で遠心分離し、次いで珪藻土濾過を行って清澄化する方法が開示されている。
【0004】
特許文献3には、加温販売用の容器詰緑茶飲料に適した新たな製造方法として、緑茶葉を70~100℃の加温水にて抽出する抽出工程、得られた茶抽出液にシリカを添加して茶抽出液中のオリ成分を当該シリカに吸着させる吸着工程、当該シリカを茶抽出液から除去するシリカ除去工程、殺菌工程及び容器充填工程を含む容器詰緑茶飲料の製造方法が開示されている。
【0005】
特許文献4は、火香(こうばしい香り)が強く、香りの持続性があり、雑味が少なく、透明性を備えており、冷めた状態でもおいしく飲用できる容器詰緑茶飲料を提供するべく、緑茶飲料中の還元糖の濃度と非還元糖の濃度とを合わせた糖類濃度を50ppm~250ppmに調整し、還元糖の濃度に対する非還元糖の濃度の比率(非還元糖/還元糖)を8~24に調整し、且つ、シリカ分を含む濾剤又は多孔質媒体のどちらか一方又は両方を用いた濾滓濾過によって、90積算質量%の粒子径(D90)を3500μm以上に調整することを特徴とする容器詰緑茶飲料の製造方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平6-269246号公報
【文献】特公平7-97965号公報
【文献】特開2005-229918号公報
【文献】WO2012-29131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の清澄系緑茶飲料は主に「香り」に着目した商品設計、製造方法が検討されてきた。また、清澄系緑茶飲料の原料茶については、生産効率の観点から短時間の抽出で有用成分を溶出させる必要があるため、溶出性を高める検討が主に進められてきた。その一方で、オリの原因物質を除去して飲料の清澄性を維持するため、濾過等の製造工程を工夫することも検討されてきた。
近年、香味のバリエーションとして、清澄系の緑茶飲料においても「香り」だけでなく「コク」が求められる傾向がある(濃度系)。さらには、時間が経過しても沈殿せず、先味における香り立ちが求められる傾向もある。しかし、上述のように、オリの原因物質を除去して緑茶飲料の清澄性を維持しつつ、緑茶飲料のコクを高めることは簡単なことではなかった。
【0008】
本発明の第1の目的は、オリの原因物質を除去して緑茶飲料の清澄性を維持しつつ、後味における旨味及び香りによるコクを感じることができる容器詰緑茶飲料を製造することができる容器詰緑茶飲料の製造方法及び容器詰緑茶飲料のコク向上方法を提案することにあり、本発明の第2の目的は、第1の目的に加えてさらに、経時後であっても飲料を口中に含んだ直後に感じる香味、及び飲料を口中に含んだ直後に感じる香味の持続性が良好である容器詰め緑茶飲料、或いは、製造直後及び経時後において、酸化劣化臭が生じず、オリの発生も生じない容器詰緑茶飲料の製造方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するため、本発明は次のような態様を提案するものである。
【0010】
[1]本発明の第1の態様は、緑茶葉を水性溶媒で抽出し、全窒素濃度20~60mg/100mLの茶抽出液を得、茶抽出液を、膨潤後の粒子径の累積分布(体積基準)におけるメジアン径(D50)が5~30μmである濾過助剤によって濾過することを特徴とする、容器詰緑茶飲料の製造方法である。
【0011】
[2]本発明の第2の態様は、前記第1の態様において、前記濾過助剤は、鉱物質由来である、容器詰緑茶飲料の製造方法である。
[3]本発明の第3の態様は、前記第1又は第2の態様において、前記濾過助剤は、そのdarcyが0.11~0.25である、容器詰緑茶飲料の製造方法である。
[4]本発明の第4の態様は、前記第1~第3の何れか一の態様において、前記濾過助剤は、膨潤後粒子径の累積分布(体積基準)のD90が20~60μmである、容器詰緑茶飲料の製造方法である。
[5]本発明の第5の態様は、前記第1~第4の何れか一の態様において、前記濾過助剤は、膨潤後粒子径の累積分布(体積基準)のD50に対するD90の比率(D90/D50)が1.0~6.0である、容器詰緑茶飲料の製造方法である。
【0012】
[6]本発明の第6の態様は、前記第1~第5の何れか一の態様において、前記茶抽出液は、液中に含まれる粒子の粒子径の累積分布(体積基準)のメジアン径(D50)が2~20μmである、容器詰緑茶飲料の製造方法である。
[7]本発明の第7の態様は、前記第1~第6の何れか一の態様において、前記茶抽出液は、カリウム含有量が25~70mg/100mLである、容器詰緑茶飲料の製造方法である。
[8]本発明の第8の態様は、前記第1~第7の何れか一の態様において、前記茶抽出液は、ガレート型カテキン含有量が30~200mg/100mLである、容器詰緑茶飲料の製造方法である。
[9]本発明の第9の態様は、前記第1~第8の何れか一の態様において、前記茶抽出液は、液中に含まれる粒子が、粒子径の累積分布(体積基準)のD50に対するD90の比率(D90/D50)が2.0~10.0である、容器詰緑茶飲料の製造方法である。
【0013】
[10]本発明の第10の態様は、茶葉を水性溶媒で抽出し、全窒素濃度20~60mg/100mLの茶抽出液を得、茶抽出液を、膨潤後の粒子径の累積分布(体積基準)におけるメジアン径(D50)が5~30μmである濾過助剤によって濾過することを特徴とする、容器詰緑茶飲料のコク向上方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明が提案する容器詰緑茶飲料の製造方法及び容器詰緑茶飲料のコク向上方法によれば、オリの原因物質を除去して緑茶飲料の清澄性を維持しつつ、後味における旨味及び香りによるコクを感じることができる容器詰緑茶飲料を提供することができる。飲料を口中に含んだ直後に感じる香味、および飲料を口中に含んだ直後に感じる香味の持続性が良好である容器詰め緑茶飲料、或いは、製造直後及び経時後において、酸化劣化臭が生じず、オリの発生も生じない容器詰緑茶飲料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態の一例について説明する。ただし、本発明が、次に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0016】
<<本発明製造方法>>
本発明の実施形態の一例に係る容器詰緑茶飲料の製造方法(「本発明製造方法」とも称する)は、緑茶葉を水性溶媒で抽出して、全窒素濃度20~60mg/100mLの茶抽出液を得(抽出工程)、必要に応じて当該茶抽出液から抽出残渣を取り除き(粗濾過工程)、必要に応じて茶抽出液に対して遠心分離を行い(遠心分離工程)、茶抽出液に対して所定の濾過助剤を用いて濾過を行い(濾過工程)、その後、調合工程、殺菌・容器充填工程を経て容器詰緑茶飲料を製造する方法である。
【0017】
ただし、当該製造工程はあくまでも一例である。各工程の順序を入れ替えることも可能であるし、また各工程間に別の工程を挿入することも可能である。
【0018】
本発明製造方法によれば、後味における旨味及び香りによるコクを感じることができる容器詰緑茶飲料を製造することができるから、本発明製造方法は、容器詰緑茶飲料のコク向上方法としても利用することができる。
【0019】
<原料茶>
緑茶葉、すなわち原料茶葉としては、茶樹(学名:Camellia sinensis)から摘採した葉であればその品種、産地、摘採時期、摘採方法、栽培方法などを限らず、どのような茶種も対象とすることができる。
生茶葉等(葉や茎を含む)を原料茶葉とすることも可能である。更に、これらの生茶葉等を蒸すか或いは炒るかなどの手段で酵素活性を停止させる荒茶加工を施した荒茶を原料茶葉とすることも可能である。
荒茶としては、例えば、煎茶、釜炒り茶、かぶせ茶、玉露、てん茶、抹茶、番茶、焙じ茶、蒸製玉緑茶、釜炒製玉緑茶、嬉野茶、青柳茶等のいずれの種類も原料茶葉として用いることができる。また、これらの荒茶を二種類以上組合わせてもよいし、香料を入れて作製してもよい。
【0020】
中でも、本発明製造方法の原料茶葉としては、全窒素濃度20~60mg/100mLの茶抽出液を得る観点から、茶葉における全窒素濃度が4g/100g以上である基準を満足する原料茶葉を使用するのが好ましい。このような原料茶葉としては、例えばアミノ酸を豊富に含む茶、例えば一番茶、玉露、かぶせ茶などを挙げることができる。中でも、全窒素濃度20~60mg/100mLの茶抽出液をより調製し易い観点から、茶葉における全窒素濃度が5g/100g以上或いは7g/100g以下、その中でも6.4g/100g以下である基準を満足する原料茶葉を使用するのがさらに好ましい。
【0021】
<抽出工程>
緑茶葉の抽出は、70~100℃の水溶性溶媒にて抽出するのが好ましい。
抽出方法は、現在知られている抽出方法を適宜採用することができる。例えば、常法に従ってニーダーと呼ばれる抽出装置を用いて、原料茶に対して20~100倍量、70~100℃の水溶性溶媒で約1分~10分間、必要に応じて1回~数回攪拌して、常圧で抽出を行えばよい。但し、抽出方法及び抽出条件等を特に限定するものではなく、例えばドリッパーによるドリップ抽出や加圧抽出を行うこともできる。
【0022】
抽出に用いる水溶性溶媒としては、純水(硬水、軟水、イオン交換水を含む)のほか、アスコルビン酸含有水溶液及びpH調整水等を例示することができる。
原料茶に接触させる水溶性溶媒の量は、全窒素濃度20~60mg/100mLの茶抽出液を得る観点からは、原料茶に対して20~60倍量、中でも25倍以上或いは50倍以下、その中でも30倍以上或いは45倍以下であるのが好ましい。
抽出温度すなわち抽出する温水の温度は70~100℃で調整すればよいが、全窒素濃度20~60mg/100mLの茶抽出液を得る観点からは、72℃以上或いは99℃以下、中でも75℃以上或いは98℃以下、その中でも78℃以上或いは97℃以下の温度で抽出するのがさらに好ましい。
抽出時間すなわち茶葉を水溶性溶媒に接触させる時間は、全窒素濃度20~60mg/100mLの茶抽出液を得る観点からは、1分~9分、中でも2分以上或いは8分以下、その中でも3分以上或いは7分以下の時間抽出するのがさらに好ましい。
【0023】
[全窒素濃度]
上述のように、抽出して得られる茶抽出液は、全窒素濃度20~60mg/100mLに調整するのが好ましい。
カフェイン、アミノ酸など、茶飲料のコクに影響する成分には窒素が含まれるため、茶抽出液の全窒素濃度は、コクに影響する成分含有量の指標となる。
茶抽出液の全窒素濃度が20mg/100mL以上であれば、後味の旨みによるコクを付与できるから、好ましい。他方、60mg/100mL以下であれば、雑味を感じ難いから、好ましい。
かかる観点から、抽出して得られる茶抽出液は、全窒素濃度20mg/100mL以上となるように調整するのが好ましく、中でも22mg/100mL以上、その中でも24mg/100mL以上、その中でも26mg/100mL以上となるように調整するのがさらに好ましい。他方、全窒素濃度60mg/100mL以下となるように調整するのが好ましく、中でも50mg/100mL以下、その中でも40mg/100mL以下、その中でも35mg/100mL以下となるように調整するのがさらに好ましい。
【0024】
茶抽出液中の全窒素濃度を調整するには、原料茶の茶種、茶期、施肥方法などを選択したり、抽出条件を調整したりする手段を挙げることができる。但し、これらに限定するものではない。
玉露、一番茶などは、アミノ酸を多く含んでいるため、全窒素濃度を高めることができ、抽出温度を高めたり、抽出時間を長くしたりしても、全窒素濃度を高めることができる。
【0025】
<粗濾過工程>
粗濾過工程は、茶葉や大きな微粉などの抽出残渣を除去する工程である。例えばステンレスフィルターやネル布、ストレーナー、その他抽出残渣を除去するために現在採用されている濾過方法を任意に採用することができる。
【0026】
粗濾過工程を経た茶抽出液は、必要に応じて5~40℃程度に冷却し、同時に又はその前後に、必要に応じて、茶抽出液にアスコルビン酸やアスコルビン酸ナトリウムなどを加えて酸性(pH4~5)に調整してもよい。茶抽出液の冷却或いは酸性調整によって抽出成分の酸化を防ぐことができると共に、一次オリ原因成分を沈殿させて後工程の遠心分離の効率を高めることができる。
【0027】
<遠心分離工程>
粗濾過工程を経た茶抽出液は、必要に応じて、遠心分離するのが好ましい。
遠心分離は、例えば流速:200~500L/h、回転数:5000~20000rpmの条件で行えばよく、この際、流速、回転数、遠心沈降面積(Σ)などを変えることで最終的に得られる容器詰緑茶飲料の清澄度(T%)を調整することができる。
遠心分離するに当たっては、前述したように予め5~40℃程度に茶抽出液を冷却しておくのが好ましいが、必ずしも冷却しなくてもよい。
【0028】
遠心分離により、微粉を取り除くことができるが、他に微粉を除去し得る工程があれば遠心分離は必ずしも必要ではない。
濾過工程の前に遠心分離を行うことによって濾過工程での負担を軽減することができる。例えば透過流量の増加及び透過圧の低下により濾過時間を短縮することができる。ただし、濾過工程でも微粉を取り除くことができるため、負担は多少大きくなるが、濾過工程を実施する場合には遠心分離を省略することも可能である。
【0029】
また、遠心分離の代わりに、ネル布を使った濾過(ネル濾過)、80~200メッシュのステンレスフィルターでの濾過、目開き1~100μmのバックフィルターでの濾過、PVPPによるカテキン含有量低減処理を行ってもよい。
なお、上記PVPPによるカテキン含有量低減処理とは、架橋構造を有するPVPP(ポリビニルポリピロリドン)を茶抽出液と接触させることで、ポリフェノール(主にカテキン)をPVPPに吸着させ、フィルターや珪藻土などで濾過する方法である。この際、PVPPの添加量や接触条件によって、カテキン等の低減量を調整することができる。
【0030】
(濾過工程に供給する茶抽出液)
次の濾過工程に供する茶抽出液は、液中に含まれる粒子の粒子径の累積分布(体積基準)のメジアン径(D50)が2~20μmであるように調整するのが好ましい。
濾過工程に供給する茶抽出液中に含まれる粒子の粒子径の累積分布(体積基準)のメジアン径(D50)が2μm以上であれば、経時後であっても香味の中盤に、すなわち飲料を口中に含んだ直後から持続して、香りによるコク感じることができるから好ましい。他方、20μm以下であれば、経時後であっても香味の前半に、すなわち飲料を口中に含んだ直後に、香り立ちを感じるから好ましい。
かかる観点から、濾過工程に供する茶抽出液は、液中に含まれる粒子の粒子径の累積分布(体積基準)のメジアン径(D50)が2μm以上であるように調整するのが好ましく、中でも3μm以上、その中でも4μm以上、その中でも5μm以上であるように調整するのがさらに好ましい。他方、20μm以下であるように調整するのが好ましく、中でも16μm以下、その中でも13μm以下、その中でも10μm以下であるように調整するのがさらに好ましい。
濾過工程に供する茶抽出液中に含まれる粒子の粒子径の累積分布(体積基準)のメジアン径(D50)が上記範囲となるように調整するには、例えば抽出工程の攪拌速度および回数を調整して必要な微細粒子を得た上で、濾過工程においてステンレスフィルターを用い粗大粒子を除去することが好ましい。但し、かかる方法に限定するものではない。
【0031】
また、次の濾過工程に供する茶抽出液は、液中に含まれる粒子が、粒子径の累積分布(体積基準)のD50に対するD90の比率(D90/D50)が2.0~10.0であるように調整するのが好ましい。
濾過工程に供給する茶抽出液に含まれる粒子の比率(D90/D50)が2.0~10.0であれば、経時後であっても香味の前半から後半までバランス良く、香りによるコクを感じることができるから好ましい。
かかる観点から、濾過工程に供する茶抽出液は、液中に含まれる粒子の比率(D90/D50)が2.0以上であるように調整するのが好ましく、中でも2.5以上、その中でも3.0以上、その中でも3.5以上であるように調整するのがさらに好ましい。他方、10.0以下であるように調整するのが好ましく、中でも6.0以下、その中でも5.0以下、その中でも4.0以下であるように調整するのがさらに好ましい。
濾過工程に供する茶抽出液の粒子径を上記範囲に調整するには、例えば粗濾過工程におけるフィルターの目開きを適宜選択するのが好ましい。但し、かかる方法に限定するものではない。
【0032】
また、次の濾過工程に供する茶抽出液は、液中に含まれるカリウム含有量が25~70mg/100mLであるように調整するのが好ましい。
液中に含まれるカリウム含有量は、ミネラル成分量の指標であり、液中に含まれるカリウム含有量が25mg/100mL以上であれば、経時後であっても香味の中盤に旨みと相俟ったコクを感じるから好ましい。他方、70mg/100mL以下であれば、経時後であっても香味の前半の塩味を伴う苦味が抑えられるから好ましい。
かかる観点から、濾過工程に供する茶抽出液は、液中に含まれるカリウム含有量が25mg/100mL以上であるように調整するのが好ましく、中で27mg/100mL以上、その中でも29mg/100mL以上、その中でも31mg/100mL以上であるように調整するのがさらに好ましい。他方、70mg/100mL以下であるように調整するのが好ましく、中でも69mg/100mL以下、その中でも67mg/100mL以下であるように調整するのがさらに好ましい。
濾過工程に供する茶抽出液中に含まれるカリウム含有量を上記範囲に調整するには、例えば抽出に用いる茶葉を選択または適宜混合するのが好ましい。但し、かかる方法に限定するものではない。
【0033】
また、次の濾過工程に供する茶抽出液は、液中に含まれるガレート型カテキン含有量が30~200mg/100mLであるように調整するのが好ましい。
ここで、ガレート型カテキン含有量は、エピガロカテキンガレート(EGCg)、エピカテキンガレート(ECg)、ガロカテキンガレート(GCg)及びカテキンガレート(Cg)の含有量の合計量若しくは合計濃度の意味である。
液中に含まれるガレート型カテキン含有量は、濃度感の指標であるから、茶抽出液中に含まれるカテキン含有量が30mg/100mL以上であれば、経時後であっても香味の中盤に茶飲料に相応しい渋みを感じるから好ましい。他方、200mg/100mL以下であれば、経時後であっても香味の前半の渋みが抑えられ、香味にまろやかさを感じるから好ましい。
かかる観点から、濾過工程に供する茶抽出液は、液中に含まれるガレート型カテキン含有量が30mg/100mL以上であるように調整するのが好ましく、中で40mg/100mL以上、その中でも45mg/100mL以上、その中でも50mg/100mL以上であるように調整するのがさらに好ましい。他方、200mg/100mL以下であるように調整するのが好ましく、中でも170mg/100mL以下、その中でも150mg/100mL以下であるように調整するのがさらに好ましい。
濾過工程に供する茶抽出液中に含まれるガレート型カテキン含有量を上記範囲に調整するには、例えば抽出に用いる水溶性溶媒の温度を調整するのが好ましい。但し、かかる方法に限定するものではない。
【0034】
また本発明の効果を損なわない限りにおいて、濾過工程に供する茶抽出液中には、下記成分が含まれていてもよい。
すなわち、茶抽出液には、タンニンが100mg/100mL以上含まれていてもよく、中でも150mg/100mL以上含まれていることが好ましい。他方、400mg/100mL以下含まれていてもよく、中でも300mg/100mL以下含まれていることが好ましい。
茶抽出液には、カフェインが10mg/100mL以上含まれていてもよく、中でも20mg/100mL以上含まれていることが好ましい。他方、100mg/100mL以下含まれていてもよく、中でも80mg/100mL以下含まれていることが好ましい。
茶抽出液には、アミノ酸が1mg/100mL以上含まれていてもよく、中でも5mg/100mL以上含まれていることが好ましい。他方、80mg/100mL以下含まれていてもよく、中でも50mg/100mL以下含まれていることが好ましい。
【0035】
茶抽出液には、カテキン類が50mg/100mL以上含まれていてもよく、中でも100mg/100mL以上含まれていることが好ましい。他方、300mg/100mL以下含まれていてもよく、中でも250mg/100mL以下含まれていることが好ましい。
なお、カテキン類の量は、カテキン8種((エピカテキン(EC)、エピカテキンガレート(ECg)、エピガロカテキン(EGC)、エピガロカテキンガレート(EGCg)、カテキン(C)、ガロカテキン(GC)、カテキンガレート(Cg)、ガロカテキンガレート(GCg))の総量である。
【0036】
また、茶抽出液における可用性固形分(Brix)は0.5以上であるのが良く、中でも0.6以上であることが好ましい。他方、2.0以下であるのが良く、中でも1.5以下であることが好ましい。
【0037】
<濾過工程>
濾過工程では、茶抽出液に対して所定の濾過助剤を用いて濾過を行う。
この際、濾過助剤としては、緑茶飲料の香味への影響の観点から、鉱物質由来の助剤を使用するのが好ましい。
鉱物質由来の濾過助剤としては、化石鉱物由来の珪藻土、火山岩由来のパーライトなどを挙げることができる。中でも、通液性の点で珪藻土が好ましい。
【0038】
珪藻土は、珪藻類と呼ばれる植物プランクトンが長年にわたり海底や湖底に堆積して化石化し、微細な珪藻殻が集積した土である。直径は数~数十μmで、表面に0.1~1.0μmの無数の微細な穴が存在するため、金網、濾布に緻密な濾過助剤のケーク層を形成することにより、濾過時に清澄な液が得られる。
珪藻土の主成分はシリカ(SiO2)、特に非結晶シリカであり、濾過助剤の用途には、焼成によって精製されたものを用いるのが一般的である。
【0039】
珪藻土濾過は、濾過助剤として珪藻土を使用する濾滓濾過である。
珪藻土濾過の方法としては、濾過担体表面に珪藻土からなる助剤層(プリコート)を形成させ、必要に応じて珪藻土濾過剤を原液(未濾過液としての茶抽出液)に注入(ボディフィード)しながら、原液(未濾過液としての茶抽出液)を前記助剤層に送るようにすればよい。
ここで、「プリコート」とは、濾過操作の前に、助剤を清澄な液体に分散させ、これを循環させて、濾過担体(例えば金属製の網(leaf)、厚手濾紙(filter pad)、積層金属環(candle)、セラミック筒(candle)など)の表面に厚さ数mmの助剤の層を形成することであり、これによって懸濁固形分が濾材に直接付着して汚染することを防ぐことができ、また、濾液の清澄度を向上させることができる。
なお、濾過方法としては、例えば限外濾過、微細濾過、精密濾過、逆浸透膜濾過、電気透析、生物機能性膜などの膜濾過、或いはこれらのいずれかを二つ以上を組合わせた濾過を採用することも可能ではある。しかし、茶飲料は酸素劣化の影響を受けやすいため、一般的にいわれる膜濾過・限外濾過で行われるクロスフロー方式よりも、濾過助剤を使用した濾滓濾過のような清澄濾過を採用するのが香味バランスの点から適している。
【0040】
なお、珪藻土にシリカゲル、パーライト、セルロース等の他の濾過助剤を混合して用いてもよい。
【0041】
濾過工程では、濾過助剤として、膨潤後の粒子径の累積分布(体積基準)におけるメジアン径(D50)が5~30μmであるものを使用するのが好ましい。
膨潤後のD50が5μm以上である濾過助剤を使用すれば、後味の香りによるコク感じることができるから好ましい。他方、30μm以下の濾過助剤を使用すれば、舌にざらつきを感じることなく飲用できるから好ましい。
かかる観点から、使用する濾過助剤は、膨潤後の粒子径の累積分布(体積基準)におけるメジアン径(D50)が5μm以上であるのが好ましく、中でも7μm以上、その中でも10μm以上であるのがさらに好ましい。他方、30μm以下であるのが好ましく、中でも25μm以下、その中で20μm以下であるのがさらに好ましい。
なお、濾過助剤の膨潤後の粒子径の累積分布(体積基準)を測定する際の膨潤条件は、各濾過助剤10gを50倍量の純水に分散させ、15分間浸漬して膨潤させるようにすればよい。
【0042】
また、使用する濾過助剤は、darcyが0.11~0.25であるのが好ましい。
濾過助剤のdarcyが0.11以上であれば、経時後であっても茶成分による全体的な濃度感を感じるから好ましい。他方、0.25以下であれば、経時的なオリの発生を抑制できるから好ましい。
かかる観点から、使用する濾過助剤は、darcyが0.11以上であるのが好ましく、中でも0.13以上、その中でも0.15以上であるのがさらに好ましい。他方、0.25以下であるのが好ましく、中でも0.23以下、その中でも0.20以下であるのがさらに好ましい。
なお、「darcyが0.11~0.25の濾過助剤」とは、darcyの透過率Kが0.11~0.25の範囲内にある濾過助剤の意である。「darcyの透過率K」は濾過助剤の透過性を示す指標の一つであり、水透過法或いは空気透過法により求めることができる。現在、「darcy」はこの値を指定して濾過助剤を購入できる程一般的に用いられている。
【0043】
また、濾過工程では、濾過助剤として、膨潤後の粒子径の累積分布(体積基準)におけるD90が20~60μmであるものを使用するのが好ましい。
膨潤後のD90が20μm以上である濾過助剤を使用すれば、経時後であっても香味の鮮度を損なうことなく製造できるから好ましい。他方、60μm以下の濾過助剤を使用すれば、鮮度のある香味を経時的に維持できるから好ましい。
かかる観点から、使用する濾過助剤は、膨潤後の粒子径の累積分布(体積基準)におけるD90が20μm以上であるのが好ましく、中でも25μm以上、中でも30μm以上、その中でも35μm以上であるのがさらに好ましい。他方、60μm以下であるのが好ましく、中でも55μm以下、中でも50μm以下、その中でも45μm以下であるのがさらに好ましい。
【0044】
濾過助剤として、膨潤後粒子径の累積分布(体積基準)のD50に対するD90の比率(D90/D50)が1.0~6.0であるものを使用するのが好ましい。
膨潤後の比率(D90/D50)が1.0~6.0の濾過助剤を使用すれば、後味の香り立ちによるコクを製造時から経時的に安定して維持できるから好ましい。
かかる観点から、使用する濾過助剤は、膨潤後の粒子径の累積分布(体積基準)における比率(D90/D50)が1.0以上であるのが好ましく、中でも1.5以上、中でも2.0以上、その中でも2.5以上であるのがさらに好ましい。他方、6.0以下であるのが好ましく、中でも5.0以下、中でも4.5以下、その中でも4.0以下であるのがさらに好ましい。
【0045】
濾過助剤として、膨潤後粒子径の累積分布(体積基準)のD90とD10の差の値(D90-D10)が25.0~80.0μmであるものを使用するのが好ましい。
膨潤後のD90とD10の差の値(D90-D10)が25.0~80.0μmの濾過助剤を使用すれば、香味の前半から後半の香りによるコクを、製造時から経時的に安定して維持できるから好ましい。
かかる観点から、使用する濾過助剤は、膨潤後の粒子径の累積分布(体積基準)のD90とD10の差の値(D90-D10)が25.0μm以上であるのが好ましく、中でも30.0μm以上、中でも35.0μm以上、その中でも40.0μm以上であるのがさらに好ましい。他方、80.0μm以下であるのが好ましく、中でも70.0μm以下、中でも60.0μm以下、その中でも50.0μm以下であるのがさらに好ましい。
【0046】
<調合工程>
調合では、水(硬水、軟水、イオン交換水、天然水その他)、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、重曹、糖類、デキストリン、香料、乳化剤、安定剤、或いはその他の呈味原料などのいずれか或いはこれらのうち二種以上の組合わせを添加し、主にpH調整、濃度調整、味の調整を行うようにすればよい。例えば、pHを6前後に調整すると共にBrixを0.3前後に調整する例を挙げることができる。
【0047】
<殺菌・容器充填工程>
加熱殺菌は、缶飲料であれば、必要に応じて再加熱(ホットパック)した後充填し、レトルト殺菌(例えば、適宜加圧下(1.2mmHgなど)、121℃で7分間加熱殺菌する。)を行い、プラスチックボトル飲料の場合にはUHT殺菌(調合液を120~150℃で1秒~数十秒保持する。)を行うようにすればよい。
【0048】
なお、上記の製造工程、すなわち抽出工程、粗濾過工程、遠心分離工程、濾過工程、調合工程、殺菌・容器充填工程を経て緑茶飲料を製造する製造工程は本発明のあくまで一例であり、これに限定するものではない。例えば、工程の順序を入れ替えたり、別工程を付加したりすることもできる。
【0049】
充填後の容器詰緑茶飲料における飲料液のT%(660nm)は90.0%以上であることが好ましい。T%(660nm)が90.0%以上であれば、清澄度が高く、すっきりとした味わいが得られる。かかる観点から、充填後の容器詰緑茶飲料における飲料液のT%(660nm)は、93.0%以上であるのがさらに好ましい。
他方、上限値としては、99.0%以下、その中でも98.0%以下を想定することができる。
【0050】
<<語句の説明>>
本明細書において「X~Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
【実施例】
【0051】
以下、本発明を下記実施例及び比較例に基づいてさらに詳述する。
【0052】
<実施例1>
緑茶原料(静岡産やぶきた品種の一番茶、全窒素濃度5.1g/100g)30gを、ニーダーを用いて70℃の熱水900mLで5分間抽出し、抽出液Aを得た。得られた茶抽出液Aの全窒素濃度を測定した。
次に、得られた茶抽出液Aを80メッシュのステンレスフィルターで粗濾過し、粗濾過済みの茶抽出液を30℃になるように強制冷却し、静置した後、目開き50μmのネル布による濾過を行った。
【0053】
次いで、ネル濾過後の濾過液を、濾過助剤Aを用いて珪藻土濾過を行い、珪藻土濾過処理液を得た。この際、前記珪藻土濾過は、濾過担体表面に珪藻土からなる助剤層(プリコート)を形成させ、茶抽出液を前記助剤層に送るようにして行った。
また、濾過助剤Aは、darcyが0.16、D50が15.0μm、D90が40.0μm、D90/D50が2.7である珪藻土であった(表1、3、4参照)。
【0054】
次に、珪藻土濾過処理液と純水を1:1の比率で混合し、アスコルビン酸を300ppm添加し重曹にてpH6に調整した後、UHT殺菌(135℃、30秒)を行い、プレート内で冷却し、85℃にて透明プラスチック容器(PETボトル)に充填し容器詰緑茶飲料を得た。その後キャップ部を30秒間転倒殺菌し、ただちに冷却した。
【0055】
なお、濾過助剤のD50及びD90は、各濾過助剤10gを50倍量の純水に分散させ、15分間浸漬して膨潤させた後の粒子径の累積分布(体積基準)におけるメジアン径(D50)及びD90である。これらの測定は、島津製作所製のレーザ回折式粒子径分布測定装置SALD-2300を使用して行った。
【0056】
<実施例2>
実施例1と同原料60gを、ニーダーを用いて70℃の熱水900mLで5分間抽出して抽出液Bを得た。
また、ネル濾過後の濾過液を、濾過助剤B(粒度分布及びdarcyは表を参照、他の濾過助剤も同様)を用いて珪藻土濾過を行い、珪藻土濾過処理液を得た以外、実施例1と同様にして容器詰緑茶飲料を得た。
【0057】
<実施例3>
抽出液Bのネル濾過後の濾過液を、濾過助剤Cを用いて珪藻土濾過を行い、珪藻土濾過処理液を得た以外、実施例1と同様にして容器詰緑茶飲料を得た。
【0058】
<実施例4>
緑茶原料を、静岡産やぶきた品種の一番茶と秋冬番茶を1:1で混合したものに変更し、緑茶原料30gを、ニーダーを用いて70℃の熱水900mLで5分間抽出して抽出液Cを得た。
また、ネル濾過後の濾過液を、濾過助剤Bを用いて珪藻土濾過を行い、珪藻土濾過処理液を得た以外、実施例1と同様にして容器詰緑茶飲料を得た。
【0059】
<実施例5>
抽出液Cのネル濾過後の濾過液を、濾過助剤Cを用いて珪藻土濾過を行い、珪藻土濾過処理液を得た以外、実施例1と同様にして容器詰緑茶飲料を得た。
【0060】
<比較例1>
緑茶原料を福岡産玉露(全窒素濃度6.5g/100g)に変更し、緑茶原料60gを、ニーダーを用いて70℃の熱水900mLで10分間抽出して抽出液Jを得た以外、実施例1と同様にして容器詰緑茶飲料を得た。
【0061】
<比較例2>
緑茶原料を静岡産やぶきた品種の秋冬番茶(全窒素濃度3.8g/100g)に変更し、緑茶原料30gを、ニーダーを用いて70℃の熱水900mLで5分間抽出して抽出液Kを得た以外、実施例1と同様にして容器詰緑茶飲料を得た。
【0062】
<比較例3>
抽出液Aのネル濾過後の濾過液を、濾過助剤Dを用いて珪藻土濾過を行い、珪藻土濾過処理液を得た以外、実施例1と同様にして容器詰緑茶飲料を得た。
【0063】
<比較例4>
抽出液Aのネル濾過後の濾過液を、濾過助剤Eを用いて珪藻土濾過を行い、珪藻土濾過処理液を得た以外、実施例1と同様にして容器詰緑茶飲料を得た。
【0064】
<抽出液の分析>
(全窒素濃度)
抽出液中の全窒素濃度の測定は、フォス・ジャパン株式会社製Kjeltec8400を使用し、ケルダール法にて行った。
【0065】
<飲料液T%>
実施例・比較例で得た容器詰緑茶飲料をよく振り、標準ガラスセルに4.0mLサンプリングし、測定装置:島津紫外可視分光光度計UV-1800で透過率(660nm)を測定して清澄度(T%)として示した。
【0066】
<官能評価試験>
実施例・比較例で得た容器詰緑茶飲料について、茶飲料の製造に従事する11人のパネラーを選出し、以下の評価方法に基づいて実施し、合議の結果、最も多かった評価を採用することとし、総合評価については、先述の評価を得点化し、総合得点として算出し、本件の課題を解決しているか評価した。
【0067】
それぞれの官能評価における評価項目は以下の通りである。
「後味における旨みによるコク」は、容器詰緑茶飲料を飲み込んだ後に舌に残る旨みの余韻を評価し、「後味における香りによるコク」は、飲み込んだ後に口中から鼻孔に抜ける香りの余韻を評価した。
【0068】
(後味における旨味によるコク)
4:後味に旨みによるコクを強く感じる、非常に良好
3:後味に旨みによるコクを感じる、良好
2:後味の旨みによるコクをやや弱く感じる、あるいは強く感じる一方、やや雑味を感じ好ましくない
1:後味の旨みによるコクを弱く感じる、あるいは強く感じる一方、雑味が目立ち不適
【0069】
(後味における香りによるコク)
4:後味に香りによるコクを強く感じる、非常に良好
3:後味に香りによるコクを感じる、良好
2:後味の香りによるコクをやや弱く感じる、あるいは強く感じるものの、舌にざらつきを感じ好ましくない
1:後味の香りによるコクを弱く感じる、あるいは強く感じる一方、舌のざらつきが目立ち不適
【0070】
【0071】
(考察)
上記実施例・比較例の結果、並びに、これまで本発明者が行ってきた試験結果から、緑茶葉の種類や茶期、抽出条件などを調整して、全窒素濃度20~60mg/100mLの茶抽出液を得、得られた茶抽出液を、膨潤後の粒子径の累積分布(体積基準)におけるメジアン径(D50)が5~30μmである濾過助剤によって濾過することにより、後味における旨味及び香りによるコクを感じることができる容器詰緑茶飲料を製造できることが分かった。
この際、抽出液の全窒素濃度を調整するだけでは、所望の容器詰緑茶飲料を製造することはできず、また、濾過助剤のD50を調整しただけでは、所望の容器詰緑茶飲料を製造することはできないことが分かった。所望の容器詰緑茶飲料を製造するためには、これら両者を調整する必要があることが分かった。
【0072】
なお、比較例1では緑茶原料の全窒素濃度が高い上、緑茶原料の量も多かったため、抽出液Jの全窒素濃度が高くなり、容器詰緑茶飲料は後味の旨みによるコクおよび香りによるコクを強く感じるものの、やや雑味を感じまた舌にざらつきを感じ好ましくなかったため、コクの評価が悪くなったと考えられる。
比較例2では緑茶原料の全窒素濃度が少なかったため、抽出液Kの全窒素濃度が低くなり、容器詰緑茶飲料は後味の旨みによるコクおよび香りによるコクをやや弱く感じため、コクの評価が悪くなったと考えられる。
比較例3では濾過助剤DのD50が大きかったため、容器詰緑茶飲料は舌のざらつきが目立ち不適であったため、コクの評価が悪くなったと考えられる。
比較例4では濾過助剤EのD50が小さかったため、容器詰緑茶飲料は後味の香りによるコクを弱く感じ不適であったため、コクの評価が悪くなったと考えられる。
【0073】
次に、上記のようにして、後味における旨み及び香りによるコクを感じることができる容器詰緑茶飲料の製造方法の中で、さらに、経時後においても前半および中盤の香味が良好である容器詰緑茶飲料、より具体的には、経時後であっても飲料を口中に含んだ直後に感じる香味、および飲料を口中に含んだ直後に感じる香味の持続性が良好な容器詰緑茶飲料を製造するため、さらなる試験を行った。
【0074】
<実施例6>
緑茶原料(福岡県産玉露)34gを、ニーダーを用いて70℃の熱水900mLで10分間抽出し、抽出液Dを得た。得られた抽出液Dの全窒素濃度を測定した。
次に、得られた抽出液Dを80メッシュのステンレスフィルターで粗濾過し、粗濾過済みの茶抽出液を30℃になるように強制冷却し、静置した後、ネル布による濾過を行った。
ネル濾過後の濾過液について、液中に含まれるカリウム、アルミニウム、ガレート型カテキンの含有量を測定すると共に、液中に含まれる粒子の粒度分布を測定し、D50及びD90を求めた。
【0075】
次いで、ネル濾過後の濾過液を、濾過助剤Aを用いて珪藻土濾過を行い、珪藻土濾過処理液を得た。
ここで、濾過助剤Aは、darcyが0.16、D50が15.0μm、D90が40.0μm、D90/D50が2.7である珪藻土であった。
【0076】
次に、珪藻土濾過処理液と純水を1:1の比率で混合し、アスコルビン酸を300ppm添加し重曹にてpH6に調整した後、UHT殺菌(135℃、30秒)を行い、プレート内で冷却し、85℃にて透明プラスチック容器(PETボトル)に充填し容器詰緑茶飲料とした。その後キャップ部を30秒間転倒殺菌し、ただちに冷却した。
【0077】
<実施例7>
緑茶原料を静岡産やぶきた品種の一番茶に変更し、緑茶原料22.5gを、ニーダーを用いて70℃の熱水900mLで5分間抽出して抽出液Eを得た以外、実施例6と同様にして容器詰緑茶飲料を得た。
【0078】
<実施例8>
緑茶原料を鹿児島産やぶきた品種の二番茶に変更し、緑茶原料56gを、ニーダーを用いて95℃の熱水1160mLで8分間抽出して抽出液Fを得た以外、実施例6と同様にして容器詰緑茶飲料を得た。
【0079】
<実施例9>
実施例1と同様にして抽出液Aを得、80メッシュのステンレスフィルターで粗濾過後、30℃になるように強制冷却し、静置した抽出液AにPVPP12gを30分間接触させ、ネル布で濾過することで、PVPPによるガレート型カテキン含有量の低減処理を実施し抽出液Gを得た以外、実施例6と同様にして容器詰緑茶飲料を得た。
【0080】
<実施例10>
実施例1と同様にして抽出液Aを得、80メッシュのステンレスフィルターで粗濾過後、30℃になるように強制冷却し、静置した抽出液Aを、200メッシュのステンレスフィルターで濾過し抽出液Hを得た以外、実施例6と同様にして容器詰緑茶飲料を得た。
【0081】
<実施例11>
実施例1と同様にして抽出液Aを得、80メッシュのステンレスフィルターで粗濾過後、30℃になるように強制冷却し、静置した抽出液Aを、目開き1μmのバッグフィルターで濾過し抽出液Iを得た以外、実施例6と同様にして容器詰緑茶飲料を得た。
【0082】
<抽出液の分析>
実施例で得られた抽出液D~I中の成分について下記のように分析を行った。下記実施例についても同様である。
【0083】
(全窒素濃度)
抽出液中の全窒素濃度の測定は、フォス・ジャパン株式会社製Kjeltec8400を使用し、ケルダール法にて行った。
【0084】
(カリウム含有量)
試料を1%塩酸で振とう抽出したものを試験溶液として、試験溶液を原子吸光光度計に導入し、カリウム含量を測定した。
測定装置: AA240FS(アジレント・テクノロジー社(旧バリアン))
フレーム: 空気-アセチレン
測定波長: 766.5nm
【0085】
(アルミニウム含有量)
試料を1%硝酸で希釈したものを試験溶液として、試験溶液をICP発光分析装置に導入し、アルミニウムを測定した。
測定装置: VISTA-PRO(アジレント・テクノロジー社(旧バリアン))
測定波長: 396.152nm
【0086】
(ガレート型カテキン含有量)
抽出液中のガレート型カテキン量は、高速液体クロマトグラフィ(HPLC、株式会社島津製作所製 i-Series)を以下の条件で操作し、検量線法により定量して測定した。
カラム:wakosil3C18HGφ3.0×100mm(和光純薬工業株式会社製)
カラム温度:40℃
移動相:A相5%アセトニトリル(リン酸0.1%含有)
B相50%アセトニトリル(リン酸0.1%含有)
流速:0.43mL/min
注入量:5μL
検出:UV230nm
カテキン標準液: (-)-エピガロカテキンガレート(EGCg)、(-)-エピカテキンガレート(ECg)、(-)-ガロカテキンガレート(GCg)、(-)-カテキンガレート(Cg)
グラジエントプログラム: 表2
【0087】
【0088】
(粒度分布)
抽出液中に含まれる粒子の粒子径累積分布(体積基準)におけるメジアン径(D50)及びD90の測定は、島津製作所製のレーザ回折式粒子径分布測定装置SALD-2300を使用して行った。
【0089】
<飲料液T%>
実施例・比較例で得た容器詰緑茶飲料をよく振り、標準ガラスセルに4.0mLサンプリングし、測定装置:島津紫外可視分光光度計UV-1800で透過率(660nm)を測定して清澄度(T%)として示した。
【0090】
<官能評価試験>
実施例・比較例で得た容器詰緑茶飲料を、ヒートサイクル(40℃12時間と-2℃12時間とを繰り返し、計14日経過後)に暴露した後、茶飲料の製造に従事する11人のパネラーを選出し、以下の評価方法に基づいて実施し、合議の結果、最も多かった評価を採用することとし、総合評価については、先述の評価を得点化し、総合得点として算出し、本件の第2の課題を解決しているか評価した。
【0091】
それぞれの官能評価における評価項目は以下の通りである。
「前半の香味」は、口中に含んだ直後の苦み、渋み、香り立ちを評価し、「中盤の香味」は、その持続性を評価した。
【0092】
(前半の香味)
◎:非常に良好(苦み、渋み、香り立ちが最適)
〇:良好
△:好ましくない
【0093】
(中盤の香味)
◎:非常に良好(前半の香味を維持できている)
〇:良好
△:好ましくない
【0094】
【0095】
(考察)
上記実施例・比較例の結果、並びに、これまで本発明者が行ってきた試験結果から、抽出液、言い換えれば、濾過工程に供する茶抽出液の成分および粒度を調整することにより、経時後においても前半および中盤の香味が良好である容器詰緑茶飲料、より具体的には、経時後であっても飲料を口中に含んだ直後に感じる香味、および飲料を口中に含んだ直後に感じる香味の持続性が良好な容器詰緑茶飲を製造できることが分かった。
茶抽出液の成分については、カリウム含有量が多い茶抽出液による容器詰緑茶飲料は香味の前半に苦味を感じ、カリウム含有量が少ない茶抽出液による容器詰緑茶飲料は中盤の香味が希薄であった。また、ガレート型カテキン含有量が多い茶抽出液による容器詰緑茶飲料は香味の前半に渋みを感じ、ガレート型カテキン含有が少ない茶抽出液による容器詰緑茶飲料は、香味の中盤の渋みによる濃度感が希薄であった。
茶抽出液の粒度については、D50が大きい茶抽出液による容器詰緑茶飲料は香味の前半を希薄に感じ、D50が小さい茶抽出液による容器詰緑茶飲料は舌ざわりによる中盤の香味が希薄であった。
【0096】
次に、上記のようにして、後味における旨み及び香りによるコクを感じることができ、経時後であっても前半および中盤の香味が良好である容器詰め緑茶飲料の製造方法の中で、さらに内質・外観共に製造中および経時的な劣化が抑えられた容器詰め緑茶飲料、より具体的には、製造直後及び経時後において、酸化劣化臭が生じず、オリの発生も生じない容器詰め緑茶飲料を製造するため、さらなる試験を行った。
【0097】
<実施例12>
緑茶原料(静岡産やぶきた品種の一番茶)30gを、ニーダーを用いて70℃の熱水900mLで5分間抽出し、抽出液Aを得た。得られた抽出液Aの全窒素濃度を測定した。
次に、得られた抽出液Aを80メッシュのステンレスフィルターで粗濾過し、粗濾過済みの茶抽出液を30℃になるように強制冷却し、静置した後、ネル布による濾過を行った。
ネル濾過後の濾過液について、液中に含まれるカリウム、アルミニウム、ガレート型カテキンの含有量を測定すると共に、液中に含まれる粒子の粒度分布を測定し、D50及びD90を求めた。
【0098】
次いで、ネル濾過後の濾過液を、濾過助剤Fを用いて珪藻土濾過を行い、珪藻土濾過処理液を得た。
ここで、濾過助剤Fは、darcyが0.17、D50が25.0μm、D90が65.0μm、D90/D50が2.6である珪藻土であった。
【0099】
次に、珪藻土濾過処理液と純水を1:1の比率で混合し、アスコルビン酸を300ppm添加し重曹にてpH6に調整した後、UHT殺菌(135℃、30秒)を行い、プレート内で冷却し、85℃にて透明プラスチック容器(PETボトル)に充填し容器詰緑茶飲料とした。その後キャップ部を30秒間転倒殺菌し、ただちに冷却した。
【0100】
<実施例13>
ネル濾過後の濾過液を、濾過助剤Gを用いて珪藻土濾過を行い、珪藻土濾過処理液を得た以外、実施例12と同様にして容器詰緑茶飲料を得た。
ここで、濾過助剤Gは、darcyが0.15、D50が15.0μm、D90が19.0μm、D90/D50が1.3である珪藻土であった。
【0101】
<実施例14>
ネル濾過後の濾過液を、濾過助剤Hを用いて珪藻土濾過を行い、珪藻土濾過処理液を得た以外、実施例12と同様にして容器詰緑茶飲料を得た。
ここで、濾過助剤Hは、darcyが1.3、D50が25.0μm、D90が60.0μm、D90/D50が2.4である珪藻土であった。
【0102】
<実施例15>
ネル濾過後の濾過液を、濾過助剤Iを用いて珪藻土濾過を行い、珪藻土濾過処理液を得た以外、実施例12と同様にして容器詰緑茶飲料を得た。
ここで、濾過助剤Hはdarcyが0.03、D50が12.0μm、D90が58.0μm、D90/D50が4.8である珪藻土であった。
【0103】
<飲料液T%>
実施例・比較例で得た容器詰緑茶飲料をよく振り、標準ガラスセルに4.0mLサンプリングし、測定装置:島津紫外可視分光光度計UV-1800で透過率(660nm)を測定して清澄度(T%)として示した。
【0104】
<官能評価試験>
実施例・比較例で得た容器詰緑茶飲料を、製造直後および37℃暗室の条件下で2週間保管したものについて、茶飲料の製造に従事する11人のパネラーを選出し、以下の評価方法に基づいて実施し、合議の結果、最も多かった評価を採用することとし、総合評価については、先述の評価を得点化し、総合得点として算出し、本件の第2の課題を解決しているか評価した。
【0105】
それぞれの官能評価における評価項目は以下の通りである。
「製造直後の内質」は、珪藻土濾過に時間を要し液の滞留が発生した等に起因する製造段階における酸化劣化度合を、コントロールと比べて酸化劣化臭(より具体的には、金属味を帯びた酸味を伴う香味)が認められるか否かで評価した。コントロールとして、ネル濾過後の抽出液Aを珪藻土濾過を行わず、それ以外は実施例1と同様にして得られた容器詰緑茶飲料を採用した。
「経時後の外観および内質」は、ヒートサイクル(40℃12時間と-2℃12時間とを繰り返し、計14日経過後)に暴露した後、外観についてはオリの発生度合、内質については加熱劣化および酸化劣化の度合を、コントロールと比べて評価した。コントロールとして、実施例12~15で得られた容器詰緑茶飲料を同期間5℃の暗室で冷蔵保管したサンプルを各々採用した。
【0106】
(製造直後の内質)
◎:非常に良好(コントロールと同等またはその差がわずかである)
〇:良好(コントロールとの差が小さい)
△:好ましくない(コントロールと差がある)
【0107】
(経時後の外観および内質)
◎:非常に良好(コントロールとの差がわずかである)
〇:良好(コントロールとの差が小さい)
△:好ましくない(コントロールと差がある)
【0108】
【0109】
(考察)
上記実施例・比較例の結果、並びに、これまで本発明者が行ってきた試験結果から、好適な範囲の粒度、darcyを有する濾過助剤を使用することで、さらに内質・外観共に製造中および経時的な劣化が抑えられた容器詰め緑茶飲料、より具体的には、製造直後及び経時後において、酸化劣化臭が生じず、オリの発生も生じない容器詰め緑茶飲料を製造できることが分かった。
濾過助剤の粒度については、D90が大きい濾過助剤を用いた珪藻土濾過による容器詰緑茶飲料は経時的な酸化劣化臭が確認され、D90が小さい濾過助剤を用いた珪藻土濾過による容器詰緑茶飲料は製造工程中における酸化劣化が確認された。
またdarcyが高い濾過助剤を用いた珪藻土濾過による容器詰緑茶飲料は、経時で二次オリの発生が確認され、darcyが低い濾過助剤を用いた珪藻土濾過による容器詰緑茶飲料は緑茶飲料としての濃度感が全体的に欠けているものであった。
【要約】
【課題】濃度感やコクを感じることができ、さらに好ましくは、時間が経過しても沈殿せず、先味における香り立ちを感じることができる容器詰め緑茶飲料を製造する。
【解決手段】緑茶葉を水性溶媒で抽出し、全窒素濃度20~60mg/100mLの茶抽出液を得、得られた茶抽出液を、膨潤後の粒子径の累積分布(体積基準)におけるメジアン径(D50)が5~30μmである濾過助剤によって濾過することを特徴とする、容器詰緑茶飲料の製造方法である。
【選択図】なし