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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】送液装置
(51)【国際特許分類】
   F17D 1/20 20060101AFI20240619BHJP
   F17D 1/14 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
F17D1/20
F17D1/14
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020072976
(22)【出願日】2020-04-15
(65)【公開番号】P2021169839
(43)【公開日】2021-10-28
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】小石 茂喜
(72)【発明者】
【氏名】高島 和己
(72)【発明者】
【氏名】今村 俊孝
(72)【発明者】
【氏名】枝 政彰
(72)【発明者】
【氏名】土田 俊治
(72)【発明者】
【氏名】加森 慎也
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-190922(JP,A)
【文献】特開2005-104531(JP,A)
【文献】中国実用新案第202686786(CN,U)
【文献】特表2007-522283(JP,A)
【文献】特開2015-223150(JP,A)
【文献】特許第5625132(JP,B1)
【文献】特開2013-103177(JP,A)
【文献】実開昭60-138075(JP,U)
【文献】特開2002-297021(JP,A)
【文献】実開平03-078200(JP,U)
【文献】特開2003-156197(JP,A)
【文献】実開昭52-099501(JP,U)
【文献】実開昭60-065388(JP,U)
【文献】国際公開第2019/220607(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0107683(US,A1)
【文献】中国実用新案第210319416(CN,U)
【文献】西独国実用新案公開第09207051(DE,U)
【文献】特開平10-338203(JP,A)
【文献】特開昭59-093691(JP,A)
【文献】特開2021-104826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留する第1タンクと、
前記第1タンク内を第1圧力に維持する第1加圧手段と、
前記第1タンクの下流に配置される第2タンクと、
前記第2タンク内を前記第1圧力以上の第2圧力に維持する第2加圧手段と、
前記第2タンクの下流に配置されて容器に液体を充填する充填手段と、
前記第1タンクと前記第2タンクとを連通する配管に設けられて前記第1タンク内の液体を前記第2タンクへと送液するポンプと、
前記ポンプと前記第2タンクの間の配管に設けられた開閉可能な第1バルブと、
前記ポンプの上流と下流の配管とを連通するバイパス通路と、
前記バイパス通路の流通を制御する第2バルブと、
前記ポンプの駆動および前記第1、第2バルブの動作を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段が、前記ポンプを停止する際、前記第1バルブを閉鎖するともに前記第2バルブを開放して前記バイパス通路を流通可能とする
ことを特徴とする送液装置。
【請求項2】
前記第2タンク内の液面高さを検出するレベル検出手段を更に備え、前記制御手段が、前記レベル検出手段からの信号に基づき前記ポンプの駆動を制御することを特徴とする請求項1に記載の送液装置。
【請求項3】
前記充填手段による容器への充填が開始されると、前記制御手段が、前記第1バルブを閉鎖するとともに前記第2バルブにより前記バイパス通路の流通を可能とした状態で前記ポンプを駆動し、前記ポンプの回転数が所定回転数以上に到達すると、前記第1バルブを開放するとともに、前記第2バルブにより前記バイパス通路の流通を遮断して前記第2タンクへ送液することを特徴とする請求項2に記載の送液装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送液用のポンプを備える送液装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば飲料などの充填において、微加圧タンクに貯留された飲料を送液ポンプが設けられた送液管を通して加圧タンクへと供給し、加圧タンク内の飲料を充填ノズルを通して容器に供給する充填装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4311789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、特許文献1の構成において充填部における充填作業を一定時間に亘り停止すると、加圧タンクへの液供給も停止する必要が発生する。加圧タンクへの液供給を即時に停止するには、送液管の加圧タンク手前にバルブを設け、これを閉鎖することが考えられる。しかし、送液ポンプを完全に停止させるのには時間が掛かるため、バルブ閉鎖タイミングとポンプ停止のタイミングにずれが生じ、送液管内にウォーターハンマーが発生する。
【0005】
本発明は、送液用のポンプを備える送液装置において、送液停止時のウォーターハンマーの発生を防止することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の発明である送液装置は、液体を貯留する第1タンクと、前記第1タンク内を第1圧力に維持する第1加圧手段と、前記第1タンクの下流に配置される第2タンクと、前記第2タンク内を前記第1圧力以上の第2圧力に維持する第2加圧手段と、前記第2タンクの下流に配置されて容器に液体を充填する充填手段と、前記第1タンクと前記第2タンクとを連通する配管に設けられて前記第1タンク内の液体を前記第2タンクへと送液するポンプと、前記ポンプと前記第2タンクの間の配管に設けられた開閉可能な第1バルブと、前記ポンプの上流と下流の配管とを連通するバイパス通路と、前記バイパス通路の流通を制御する第2バルブと、前記ポンプの駆動および前記第1、第2バルブの動作を制御する制御手段とを備え、前記制御手段が、前記ポンプを停止する際、前記第1バルブを閉鎖するともに前記第2バルブを開放して前記バイパス通路を流通可能とすることを特徴としている。
【0007】
本発明の第2の発明である送液装置は、第1の発明において、前記第2タンク内の液面高さを検出するレベル検出手段を更に備え、前記制御手段が、前記レベル検出手段からの信号に基づき前記ポンプの駆動を制御することを特徴としている。
【0008】
本発明の第3の発明である送液装置は、第2の発明において、前記充填手段による容器への充填が開始されると、前記制御手段が、前記第1バルブを閉鎖するとともに前記第2バルブにより前記バイパス通路の流通を可能とした状態で前記ポンプを駆動し、前記ポンプの回転数が所定回転数以上に到達すると、前記第1バルブを開放するとともに、前記第2バルブにより前記バイパス通路の流通を遮断して前記第2タンクへ送液することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、送液用のポンプを備える送液装置において、送液停止時のウォーターハンマーの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態である送液装置(充填作業、送液作業時)の構成を示すブロック図である。
図2】本実施形態のロータリ式のポンプの構造を示す断面図である。
図3図2のロータリ式のポンプの送液動作を説明する断面図である。
図4】送液作業停止時の第1、第2バルブの状態を示す送液装置のブロック図である。
図5】ポンプ駆動周波数の下限値を設定しない場合における問題点を示すグラフである。
図6】ポンプ駆動周波数の下限値を設定した本実施形態の送液装置における送液作業停止のタイミングを示すグラフである。
図7】充填再開作業時においてポンプ駆動周波数が下限値以下の状態における第1、第2バルブの状態を示す送液装置のブロック図である。
図8】充填再開作業時においてポンプ駆動周波数が下限値以上の状態における第1、第2バルブの状態を示す送液装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態である送液装置の構成を示すブロック図である。
【0012】
本実施形態の送液装置10は、クッションタンク(第1タンク)12内に貯留された充填液Fを、フィラタンク(第2タンク)14へと送液し、フィラタンク14から充填機(充填手段)16へと供給する。充填機16は、例えば回転ホイールの外周に多数の充填ノズル16Aを備え、各充填ノズル16Aを通してボトルなどの容器にクッションタンク12から供給された充填液Fを充填する。なお、本実施形態において、充填液Fはナタデココやマスカット、パイン等の比較的大きな固形物が入れられた炭酸飲料である。
【0013】
炭酸飲料を取り扱う本実施形態では、クッションタンク12内の気相が図示しない加圧装置(第1加圧手段)により圧力P1に加圧され同圧力に維持されるともに、フィラタンク14内の気相が図示しない加圧装置(第2加圧手段)により圧力P1よりも高い圧力P2に加圧されるが、例えば炭酸を含まない充填液を取り扱う場合には、両タンク12、14を同圧に維持してもよい。
【0014】
クッションタンク12の底部には送液管18の上流端が接続され、送液管18の下流端は、フィラタンク14の側壁の所定の高さに接続される。また、フィラタンク14の底部には、充填機16にタンク内の充填液Fを供給する供給管20が接続される。供給管20は充填機16において多数に分岐され、各充填ノズル16Aに充填液Fを供給する。なお、充填ノズル16Aの各々は、バルブ機能を備え、ノズルが容器に挿入されている間に充填液Fが容器に充填される。
【0015】
送液管18には、途中に充填液Fを送液するためのポンプ22が設けられる。本実施形態においてポンプ22は、例えばロータリーポンプである。また、送液管18のポンプ22よりも下流側にあって、フィラタンク14の手前には、送液管18の流通を制御する第1バルブ24が設けられる。
【0016】
また、送液管18には、ポンプ22をバイパスするバイパス通路26が設けられる。すなわち、バイパス通路26は、その一端がクッションタンク12とポンプ22の間のポンプ22の吸込口近くの送液管18に接続され、他端がポンプ22と第1バルブ24の間のポンプ22の吐出口近くの送液管18に接続され、ポンプ22の上流と下流の配管とを連通する。バイパス通路26には、その流通を制御する第2バルブ28が設けられ、本実施形態では第2バルブ28として開閉バルブが用いられる。
【0017】
また、フィラタンク14には、タンク内の液面高さHを検知するレベルセンサ30が設けられ、レベルセンサ30の信号は制御部32へと送られる。制御部32は、レベルセンサ30からの信号に基づき、第1、第2バルブ24、28の動作およびポンプ22の駆動(ロータ回転数)を制御可能である。
【0018】
充填作業時には、第1バルブ24は開放され、第2バルブ28は閉じられた状態でポンプ22が駆動される。これにより、クッションタンク12内の充填液Fは、送液管18を通してフィラタンク14へと供給される。フィラタンク14に貯留された充填液Fは、供給管20により充填機16へ送られ、各充填ノズル16Aを通して各容器に充填される。
【0019】
なお、充填作業時、ポンプ22は、フィラタンク14内の液面が所定高さH0に維持されるようにロータ回転数(周波数)がフィードバック制御され、送液管18を通してフィラタンク14へ供給される充填液Fの供給量が、充填機16による容器への単位時間当たりの充填量と釣り合うように制御される。なお、図では、閉塞されたバルブが黒塗で描かれ、開放されたバルブが白抜きで描かれる。
【0020】
図2は、ロータリ式のポンプ22の構造を示す断面図であり、図3(a)~図3(c)は、図2のポンプ22により送液される充填液Fの時系列の移動を示す断面図である。なお、図2では、ポンプ22の外殻22Aと、ロータ22Bの突出部22Cに斜線が施され、白抜き部は流路を示す。図3では、送液される充填液Fが斜線で示され、ポンプ22の断面は白抜き部として示される。
【0021】
図2に示されるように、本実施形態のロータリポンプ22は、外殻22Aの内側に一対のロータ22Bを備える。各ロータ22Bは、径方向外側に向けて互いに反対向きに延出する扇型の一対の突出部22Cを備え、各突出部22Cは、ロータ22Bの1/4周分よりも僅かに狭い扇形形状を呈する。
【0022】
一対のロータ22Bの回転軸は外殻22A内に平行に配置され、両ロータ22Bは反対向きに同じ速度で回転される。両ロータ22Bは、ロータ22B間に位置する一方のロータ22Bの突出部22Cが、他方のロータ22Bの一対の突出部22Cの間に位置するとともに、一方のロータ22Bの突出部22Cの外周面が他方のロータ22Bの本体(円筒部)の外周面に略接するように配置される。
【0023】
外殻22Aは、両ロータ22Bの外周を取り囲む長円形断面を有する。ポンプ22の吸込口と吐出口は、長円形の外殻22Aの両直線部中央に各々設けられ、両ロータ22Bの中間部に向けて開口する。また、長円形の外殻22Aの半円部の内周面は、回転する両ロータ22Bの突出部22Cの外周部が半円部の内周面とわずかな間隔を維持しつつ移動するように構成される。
【0024】
以上の構成により、ポンプ22の吸込口と吐出口は、常時ロータ22Bにより隔てられ、図3(a)~(c)に示されるように、充填液Fは、回転するロータ22Bの前後の突出部22Cと外殻22Aの半円部の内周面とにより画成される空間により、吸込口側から吐出口側へと所定量ずつ送り出される。
【0025】
充填機16の充填ノズル16Aを閉弁して容器への充填作業が停止された場合、フィラタンク14への送液作業を停止する必要があるため、第1バルブ24を閉じるとともにポンプ22の駆動を停止す必要がある。制御部32は、レベルセンサ30の信号に基づきフィラタンク14内の充填液Fの液面高さHが所定値H1を超える(達する)と、充填機16での充填作業が停止したと判断し、第1バルブ24を閉じるとともにポンプ22の駆動を停止する。
【0026】
しかし、第1バルブ24は、制御部32からの制御信号により即時に閉鎖されるものの、ポンプ22による送液は、ロータ22Bの回転慣性のため停止するまでにタイムラグが存在する。そのため、第1バルブ24を閉じ、これと略同時にポンプ22の駆動を停止すると、送液管18内にウォータハンマー現象が発生する。
【0027】
このような問題に対し、本実施形態の送液装置は、第1バルブ24を閉鎖し、ポンプ22の駆動を停止すると同時に、第2バルブ28を開放して、バイパス通路26を流通可能とする。これにより、制御部32がポンプ22の駆動を停止した後、ロータ22Bの慣性により吐出口側に送り出された充填液Fは吸込口側へと戻され、ウォータハンマー現象の発生が防止される。図4には、第1バルブ24を閉鎖するとともに、第2バルブ28を開放してバイパス通路26が流通可能とされた状態が示される。
【0028】
一方、本実施形態において、送液作業停止のタイミングは、フィラタンク14内の充填液Fの液面高さHが所定値H1に達したか否かにより判断されるが、充填作業を行っている間にも液面高さHはある程度変動する。そのため、送液作業停止のタイミングを検知するための液面高さの所定値H1は、充填作業時の液面変動よりも大きな値に設定される。しかし、送液作業停止のタイミングを液面高さH1で、検知する場合には、以下のような問題が発生する。
【0029】
図5は、上記問題を説明するためのグラフであり、横軸は時間、縦軸はフィラタンク14の液面高さ(左側縦軸)と、ポンプ22の駆動周波数(右側縦軸)を示す。なお、図5において、曲線Hは液面高さ、曲線fはポンプ駆動周波数を示す。
【0030】
充填作業中、ポンプ22の駆動周波数(回転数)fは、レベルセンサ30の信号に基づき、フィラタンク14内の液面高さHが所定値H0に維持されるように制御される。このとき、クッションタンク12、フィラタンクl4の液面高さが同レベルとすると、ポンプ22の吐出圧ΔPは、ΔP>(P2-P1)となる周波数(回転数)f0で駆動され、充填機16における充填量に対応する所定流量Qで、クッションタンク12から送液管18を通してフィラタンク14に充填液Fが供給される。
【0031】
何等かの理由で充填機16における充填作業が時点t0で停止されると、フィラタンク14から充填機16に充填液Fが供給されなくなり、フィラタンク14内の液面高さHは上昇する。制御部32は上昇する液面高さHをH0に維持しようとポンプ22の駆動周波数(回転数)fをf0から低下させるが、フィラタンク14内の充填液Fは排出されないので液面高さHは、緩やかに上昇を続ける。ポンプ22の駆動周波数fが一定周波数よりも下がると、ポンプ22の吐出圧ΔPが両タンクの圧力差(P2-P1)を下回り(ΔP<(P2-P1))、充填液Fは送液管18、ポンプ22内を逆流する。
【0032】
これにより、フィラタンク14の液面高さHは、送液作業停止する液面高さH1に達する前に下がり始め、制御部32は、液面高さHの下降とともにポンプ22の駆動周波数(回転数)fを再び上昇させる。このようなポンプ22の駆動周波数fの上昇下降がΔP=(P2-P1)を中心に小幅に繰り返され、最終的にポンプ22の吐出圧ΔPは、ΔP=(P2-P1)となる駆動周波数fs(<f0)で安定する。したがって、液面高さHは、送液作業停止のための所定高さH1に達することなく、一定の高さHs(H0<Hs<H1)に収束し平衡状態となる。平衡状態では、ポンプ22が周波数fsで駆動されているため、送液管18内の充填液Fは、ポンプ22により攪拌されることとなる。
【0033】
充填液Fが炭酸などのガスを含む液体の場合、充填液Fの送液管18やポンプ22内の逆流、および上記平衡状態でのポンプ22の駆動により、クッションタンク12、フィラタンク14、送液管18内には泡が発生するとともに、液体中の固形物にも負荷がかかり、つぶれや傷付きが発生する。そのため、図5に示される制御を行うと、充填機作業を再開時に容器内に泡立った充填液Fが充填され、正常な充填が行えない。
【0034】
以上のことから本実施形態では、図6のグラフに示されるように、ポンプ22の駆動周波数fに下限値f1を設けている。なお、図6図5に対応し、図6を参照して本実施形態における送液作業停止の手順を説明する。
【0035】
図6に示されるように、充填装置16での充填作業が停止される時点t0までは、ポンプ22の駆動周波数fとフィラタンク14の液面高さHは図5と同様に推移する。本実施形態において、駆動周波数fの下限値f1は、平衡状態での駆動周波数fsよりも僅かに高く、逆流が発生しない周波数に設定される(fs<f1<f0)。そのため、充填作業が停止され(時点t0)、液面高さHが上昇して、ポンプ22の駆動周波数fが下限値f1に達すると、駆動周波数fは、下限値f1に固定される。下限値f1は、平衡状態での駆動周波数fsより高いので、ΔP>(P1-P2)となり、フィラタンク14内の液面高さHは上昇を続け、送液作業停止する所定値H1にまで達する。制御部32は、レベルセンサ30からの信号により、液面高さH=H1となると、送液作業を停止する(時点t1)。すなわち、前述したように、ポンプ22の駆動を停止するとともに、第1バルブ24を閉鎖すると同時に第2バルブ28を開放する。
【0036】
図7図8は、充填再開作業の手順を示すブロック図である。以下、図7図8を参照して、本実施形態における充填再開作業の手順について説明する。
【0037】
充填作業および送液作業が停止された状態では、ポンプ22が停止され、第1バルブ24が閉鎖られ、第2バルブ28が開放された状態にある(図7)。充填再開作業では、まず図7の状態においてポンプ22が始動される。始動直後、ポンプ22の駆動周波数fは上記下限値f1よりも低いが、徐々に駆動周波数fは増大される。ポンプ22の駆動周波数fが下限値f1に到達すると、第1バルブ24が開放されるとともに第2バルブ28が閉鎖され、図8の状態となる。以後、前述したレベルセンサ30の信号に基づくフィードバック制御を用いた通常の送液作業が開始されるとともに、充填機16での充填作業が開始される。
【0038】
以上のように、本実施形態によれば、送液作業停止時のウォータハンマー現象の発生を防止できる。これにより例えば充填液に含まれる固形物の破損や、炭酸液などにおける泡の発生を防止できる。
【0039】
また、本実施形態では、ポンプ制御の下限値を設けることで、タンク内の液面レベルを被制御量としてポンプをフィードバック制御する場合にも、液面レベルに基づきポンプ停止のタイミングを計ることができる。
【0040】
また、本実施形態では、ロータリーポンプを用いているため、充填液内に固形物が含まれる場合にも、ポンプにおいて固形物を傷つけることなく送液できる。
【0041】
なお、本実施形態では、フィラタンクの液面高さが所定値に達したときにポンプの駆動を停止する構成としたが、送液作業の停止のタイミングを液面高さによらず、例えばポンプの駆動周波数が下限値f1に到達した時点で停止する構成とすることもできる。また、炭酸飲料の場合、ΔP=(P2-P1)となる駆動周波数fsは液体の種類によって変動するので、液体の種類ごとに平衡状態での駆動周波数fsを求めて駆動周波数fの下限値f1を設定しておくことにより、複数の液体に対応することが可能となる。
【0042】
また、本実施形態では、第2バルブとしてバイパス通路に開閉バルブを設けたが、第2バルブとして送液管とバイパス通路の分岐部に3方向バルブを用い、ポンプ吐出口を送液作業中は送液管側に接続し、ポンプ停止時にはバイパス通路に接続する構成としてもよい。
【0043】
本実施形態では、炭酸飲料を例に説明したため、第2タンク(フィラタンク)内は第1タンク(クッションタンク)内よりも高い圧力に維持されたが、充填液の種類などによっては、両タンク内を同圧に維持することも可能である。
【符号の説明】
【0044】
10 送液装置
12 クッションタンク(第1タンク)
14 フィラタンク(第2タンク)
16 充填機(充填手段)
18 送液管
22 ポンプ
24 第1バルブ
26 バイパス通路
28 第2バルブ
30 レベルセンサ
32 制御部(制御手段)
F 充填液
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8