(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】物品リジェクト装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/82 20060101AFI20240619BHJP
B07C 5/36 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
B65G47/82 C
B07C5/36
(21)【出願番号】P 2020094246
(22)【出願日】2020-05-29
【審査請求日】2023-04-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】大久保 光正
(72)【発明者】
【氏名】辻田 和彦
(72)【発明者】
【氏名】細木 大輔
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-057217(JP,A)
【文献】特開2008-081294(JP,A)
【文献】特開昭54-159971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/82
B07C 5/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を1列で搬送する搬送コンベヤと、
前記搬送コンベヤ
上に所定間隔で設けられ、前記搬送コンベヤ上を搬送される物品の搬送方向前後を把持する開閉可能な把持部材と、
前記把持部材を開閉させる開閉機構と、
複数の項目について、前記搬送コンベヤで搬送される物品の良否を判定する検査手段と、
前記搬送コンベヤに沿って配置され、物品を個別に前記搬送コンベヤからリジェクト可能な前記複数の項目に対応する複数のリジェクト機構と、
前記検査手段からの信号を受け、前記複数のリジェクト機構の動作を制御する制御手段とを備え、
前記リジェクト機構の各々が、前記搬送コンベヤの側方から物品を押し出すプッシャを備え、
前記制御手段は、前記複数のリジェクト機構が設けられたリジェクト区間において、
前記開閉機構が前記検査手段によって前記複数の項目の何れかについて不良と判定された物品の前記把持部材による把持を開放
することにより、物品が解放された後、不良と判定された項目に対応するリジェクト機構
の前記プッシャに、前記不良と判定された物品を押し出させることにより前記搬送コンベヤから項目別にリジェクトする
ことを特徴とする物品リジェクト装置。
【請求項2】
前記把持部材は、回動可能に構成されたフィンガを有し、前記開閉機構は、前記フィンガを開方向に回動させることで前記把持部材を開放させることを特徴とする請求項1記載の物品リジェクト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査で不良と判定された物品をラインから排除する物品リジェクト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物品の製造ラインでは、コンベヤにより搬送される物品の良否を検査し、不良と判定された物品は下流側においてラインから排除される。例えば、処理装置において容器が搬送されている間に検査手段によって良否判定が行われ、不良と判定された容器を下流側の排出箇所でプッシャーの前進作動によってコンベヤから排出するリジェクト装置が知られている(特許文献1)。ところで、自立搬送が困難な容器の場合は容器をキャリアに収容して搬送したり(特許文献2)、搬送コンベヤに容器を把持する把持部材を設けて容器を把持しながら搬送している(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6192011号公報
【文献】特許第5831020号公報
【文献】特許第3023464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献2のようにキャリアに容器を収容して搬送する場合、キャリアのリターンコンベヤが必要となり、装置の設置面積が大きくなる。また、特許文献3のように容器を把持部材により把持しながら搬送する場合、検査で不良と判定された容器を側方からプッシャ―により押圧してリジェクトすることができない。さらに、飲料品、化粧品、トイレタリー製品などの製造ラインでは、通常、重量、印字、ラベルなど複数の項目に対して、それぞれの良否が検査される。検査項目の何れか1つにでも不良があれば、製品としては何れも不良品なので、特許文献1や特許文献2では、同一の機構を通してラインからリジェクトしており、不良品の発生原因を把握し、あるいは発生原因毎にリジェクト後の処理を行うことはできない。
【0005】
本発明は、物品を把持しながらコンベヤ上を搬送しつつリジェクト可能とするとともに、不良項目に応じて物品をリジェクト可能な物品リジェクト装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の発明である物品リジェクト装置は、物品を1列で搬送する搬送コンベヤと、前記搬送コンベヤ上に所定間隔で設けられ、前記搬送コンベヤ上を搬送される物品の搬送方向前後を把持する開閉可能な把持部材と、前記把持部材を開閉させる開閉機構と、複数の項目について、前記搬送コンベヤで搬送される物品の良否を判定する検査手段と、前記搬送コンベヤに沿って配置され、物品を個別に前記搬送コンベヤからリジェクト可能な前記複数の項目に対応する複数のリジェクト機構と、前記検査手段からの信号を受け、前記複数のリジェクト機構の動作を制御する制御手段とを備え、前記リジェクト機構の各々が、前記搬送コンベヤの側方から物品を押し出すプッシャを備え、前記制御手段は、前記複数のリジェクト機構が設けられたリジェクト区間において、前記開閉機構が前記検査手段によって前記複数の項目の何れかについて不良と判定された物品の前記把持部材による把持を開放することにより、物品が解放された後、不良と判定された項目に対応するリジェクト機構の前記プッシャに、前記不良と判定された物品を押し出させることにより前記搬送コンベヤから項目別にリジェクトすることを特徴としている。
【0007】
本発明の第2の発明である物品リジェクト装置は、第1の発明において、前記把持部材は、回動可能に構成されたフィンガを有し、前記開閉機構は、前記フィンガを開方向に回動させることで前記把持部材を開放させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、物品を把持しながらコンベヤ上を搬送しつつリジェクト可能とするとともに、不良項目に応じて物品をリジェクト可能な物品リジェクト装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態である物品リジェクト装置の配置を示す平面図である。
【
図2】上流側リジェクト機構の位置における第2搬送コンベヤの幅方向に沿った断面図である。
【
図3】上流側2つのプッシャを中心とする第2搬送コンベヤの平面図である。
【
図4】グリッパの動作機構を
図3の上側から見た縦断面図である。
【
図5】上流側フィンガの動作機構を搬送方向下流側からみた縦断面図である。
【
図6】下流側フィンガの動作機構を搬送方向下流側からみた縦断面図である。
【
図7】第2搬送コンベヤを駆動するチェーンおよび上流側フィンガ、下流側フィンガを移動する第1、第2チェーンの原動部の構成を示す水平断面図である。
【
図8】第2搬送コンベヤを駆動するチェーンおよび上流側フィンガ、下流側フィンガを移動する第1、第2チェーンの原動部の構成を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、物品搬送ラインに設けられる本発明の一実施形態である物品リジェクト装置の配置を示す平面図である。
【0011】
本実施形態の物品搬送ライン10は、物品Mを1列で搬送する第1、第2搬送コンベヤ12、14を備え、ロボットなどの移載装置16により、受渡区間Aにおいて、第1搬送コンベヤ12の下流部から第2搬送コンベヤ14の上流部に物品Mを受け渡す。第1搬送コンベヤ12の受渡区間Aよりも上流側には、複数の項目に対して各物品Mの良否を検査する検査装置18が配置され、第2搬送コンベヤ14の受渡区間Aよりも下流側のリジェクト区間Bには、検査装置18での検査項目に対応した複数のリジェクト機構20A~20Dが配置される。
【0012】
本実施形態の物品Mは、例えば液体が充填されキャップが装着された容器であり、第1搬送コンベヤ12に設けられる検査装置18は、例えば、キャップの有無を検査するキャップ検査装置18A、液中の異物を検出する異物検査装置18B、容器Mの重量を計測する重量検査装置18C、容器Mに施された印字の適否を検査する印字検査装置18Dを備える。
【0013】
一方、第2搬送コンベヤ14に設けられるリジェクト機構20A~20Dは、搬送方向に沿って配置され、第1搬送コンベヤ12に設けられた4つの検査装置18A~18Dに対応する。リジェクト機構20A~20Dは、それぞれプッシャ21A~21Dおよびエアシリンダ22A~22Dを備える。各プッシャ21A~21Dはエアシリンダ22A~22Dにより、各々第2搬送コンベヤ14の側方から搬送面を横切って容器Mを反対側に押し出すように駆動可能である。また、各プッシャ21A~21Dの第2搬送コンベヤ14の反対側には、各々回収箱24A~24Dが配置され、プッシャ21A~21Dにより第2搬送コンベヤ14から側方に押し出され、リジェクトされた容器Mは、各々リジェクトしたプッシャ21A~21Dに対応する回収箱24A~24Dによって回収される。
【0014】
すなわち、各検査装置18A~18Dで検出された信号は、制御装置26に送られ、各検査項目に対する良否が判定されるとともに、不良と判定された容器Mの第1搬送コンベヤ12上の位置が特定される。また、制御装置26には、第1搬送コンベヤ12と同期駆動される第2搬送コンベヤ14のエンコーダ28から信号が入力され、不良と判定された容器Mが、プッシャ21A~21Dのうち、不良と判定された検査項目に対応するプッシャの前を通るタイミングで、対応するエアシリンダが駆動され、容器Mが対応する回収箱に排出される。
【0015】
なお、本実施形態では、キャップ検査で不良と判定された容器Mはプッシャ21Aによってリジェクトされて回収箱24Aに回収され、異物検査で不良と判定された容器Mはプッシャ21Bによってリジェクトされて回収箱24Bに回収され、重量検査で不良と判定された容器Mはプッシャ21Cによってリジェクトされて回収箱24Cに回収され、印字検査で不良と判定された容器Mはプッシャ21Dによってリジェクトされて回収箱24Dに回収される。
【0016】
図2は、リジェクト機構20Aの位置における第2搬送コンベヤ14の幅方向に沿った断面図である。また、
図3は、プッシャ21A、21Bを中心とする第2搬送コンベヤ14の平面図である。なお、プッシャ21B~21D周りの構成も、本図と同様であり、その説明を省略する。
【0017】
第2搬送コンベヤ14は、例えばチェーン14Aにより駆動されるトップチェーンコンベヤであり、容器Mは、例えば直立した状態で第2搬送コンベヤ14の搬送面(トッププレート)14B上に載置される。また、本実施形態では、第2搬送コンベヤ14に並走する多数のグリッパ(把持部材)30が設けられ、容器Mは、転倒を防止するため、各グリッパ30によって把持された状態で各々搬送される。
【0018】
一方、プッシャ21A~21Dおよび回収箱24A~24Dが配置されたリジェクト区間Bにおいて、容器Mは、何れかのプッシャにより回収箱に廃棄される可能性がある。そのため、リジェクト区間Bにあるグリッパ30は全て開放され、何れかの検査項目で不良と判定された容器Mは、対応するプッシャにより対応する回収箱に排出される。
【0019】
また、本実施形態において、グリッパ30は、左右のフィンガ30A、30Bから構成され(上流側から30A、30B)、フィンガ30A、30Bは個別に回動可能(開閉動作可能)とされる。
図2~
図6を参照して、本実施形態のグリッパ30の構成について説明する。なお、
図4は、1つのグリッパ30の動作機構を
図3の上側から見た縦断面図である。また、
図5は、上流側のフィンガ30Aの動作機構を搬送方向下流側からみた縦断面図であり、
図6は、下流側のフィンガ30Bの動作機構を搬送方向下流側からみた縦断面図である。
【0020】
フィンガ30A、30Bは、第2搬送コンベヤ14のチェーン14Aに並列に掛け回される第1チェーン32A、第2チェーン32Bにより、それぞれ第2搬送コンベヤ14に沿って同期して移送される。上流側フィンガ30Aは、第1チェーン32Aに取り付けられたトッププレート34Aに設けられた垂直な軸36Aの周りに揺動自在に支持される。上流側フィンガ30Aは、軸36Aに回転自在に取り付けられ、径方向へ延出するレバー38Aにより回動され、レバー38Aの先端には第1カム40Aと係合するカムフォロワ42Aが設けられる。レバー38Aには、一端がトッププレート34Aに固定された付勢部材44Aの他端が取り付けられ、上流側フィンガ30Aを閉じる方向に付勢する。
【0021】
一方、下流側フィンガ30Bは、第2チェーン32Bに取り付けられたトッププレート34Bに設けられた垂直な軸36Bの周りに揺動自在に支持される。下流側フィンガ30Bは、軸36Bに回転自在に取り付けられ、径方向へ延出するレバー38Bにより回動され、レバー38Bの先端には、第2カム40Bと係合するカムフォロワ42Bが設けられる。レバー38Bには、一端がトッププレート34Bに固定された付勢部材44Bの他端が取り付けられ、上流側フィンガ30Bを閉じる方向に付勢する。
【0022】
フィンガ30A、30Bは、第2搬送コンベヤ14のチェーン14Aと同期駆動される第1、第2チェーン32A、32Bの移動により、容器Mとともに搬送方向へと移動され、カムフォロワ42A、42Bが係合する第1、第2カム40A、40Bの形状に応じて軸36A、36Bを中心に各々回転される。本実施形態では、受渡区間Aにおいて第1カム、第2カム40A、40Bが配置されており、フィンガ30Aのカムフォロア42A、フィンガ30Bのカムフォロア42Bが第1カム、第2カム40A、40Bに当接することによってフィンガ30A、30Bを開放させた状態において、容器Mをフィンガ30A、30Bの間に受渡す。その後、カムフォロア42A、カムフォロア42Bと第1カム40A、第2カム40Bとの係合が外れると各フィンガ30A、30Bが閉方向に回動され、グリッパ30により容器Mの搬送方向の前後が把持される。また、リジェクト区間Bにおいても第1カム、第2カム40A、40Bが配置されており、各フィンガ30A、30Bは開方向に回動され、グリッパ30はリジェクト区間Bにおいて容器Mを解放する。
【0023】
第1搬送コンベヤ12における検査装置18A~18Dによる良否判定において、何れかの検査項目において不良と判定された容器Mがリジェクト区間Bに到達すると、リジェクト機構20A~20Dのうち、不良と判定された検査項目に対応するエアシリンダが駆動され、対応するプッシャが当該容器Mを対応する回収箱へと排出する。検査項目には優先順位が付けられており、1つの容器Mが複数の検査項目において不良と判定された場合は、優先順位に基づき容器Mがプッシャ21A~21Dの何れかによりリジェクトされる。
【0024】
本実施形態では、優先順位を重量検査>異物検査>印字検査>キャップ検査と設定しており、例えば、重量検査と異物検査の2つの項目で不良と判定された場合は、重量検査で不良と判定された容器Mをリジェクトするプッシャ21Cによってリジェクトされて回収箱24Cに回収され、異物検査と印字検査とキャップ検査の3つの項目で不良と判定された場合は、異物検査で不良と判定された容器Mをリジェクトするプッシャ21Bによってリジェクトされて回収箱24Bに回収されることになる。
【0025】
図7、
図8は、第2搬送コンベヤ14を駆動するチェーン14Aおよびフィンガ30A、30Bを移動する第1、第2チェーン32A、32Bの原動部の構成を示す水平断面図および縦断面図である。なお、
図7において、各チェーン14A、32A、32Bは、
図7の上側に向けて架設され、
図8は、
図7において原動部を下側から見た断面図である。
【0026】
第2搬送コンベヤの無端チェーン14Aは、原動スプロケット46に掛け回され、原動スプロケット46は第2搬送コンベヤ用モータ48の回転軸に取り付けられたシャフト50と一体的に回転される。一方、第1、第2チェーン32A、32Bは、各々原動スプロケット52A、52Bに掛け回され、原動スプロケット52A、52Bは、ベアリングを介してシャフト50に回転自在に支持される。原動スプロケット52A、52Bには、それぞれギア54A、54Bが一体的に設けられ、ギア54A、54Bは、それぞれ第1チェーン用モータ56A、第2チェーン用モータ56Bの回転軸に取り付けられたギア58A、58Bと噛み合う。
【0027】
第1、第2チェーン用モータ56A、56Bは、第1、第2チェーン32A、32Bが、第2搬送コンベヤ14のチェーン14Aと同じ速度で移動するように、ギア比やスプロケット径を考慮して第2搬送コンベヤ用モータ48と同期して駆動される。
【0028】
以上のように、本実施形態によれば、不良と判断された検査項目に応じて物品を搬送ラインからリジェクトでき、物品を不良項目ごとに回収することができる。これにより、回収された物品に対して、不良とされた項目ごとの処理や、分析を行うことが可能となる。
【0029】
なお、本実施形態では、第1搬送コンベヤにおいて検査が行われ、第2搬送コンベヤにおいてリジェクトが行われたが、同じ搬送コンベヤにおいて検査とリジェクトを行ってもよいし、3以上の搬送コンベヤを用いる搬送ラインにおいて検査とリジェクトを行ってもよい。また、本実施形態では、リジェクト区間Bにおいて全てのグリッパ30を開放しているが、第1、第2カム40A、40Bを各リジェクト機構に対応して独立して進退動可能に配置し、不良と判定された容器Mがリジェクトされる位置でグリッパ30を開放するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0030】
10 物品搬送ライン
12 第1搬送コンベヤ
14 第2搬送コンベヤ
16 移載装置
18A~18D 検査装置
20A~20D リジェクト機構
21A~21D プッシャ
24A~24D 回収箱
30 グリッパ(把持部材)
A 受渡区間
B リジェクト区間
M 物品(容器)