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特許7506337コンピューターシステム及びコンピューターシステムの製造方法
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  • 特許-コンピューターシステム及びコンピューターシステムの製造方法 図1
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  • 特許-コンピューターシステム及びコンピューターシステムの製造方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】コンピューターシステム及びコンピューターシステムの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/36 20060101AFI20240619BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
H01L23/36 D
H05K7/20 B
H05K7/20 F
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023014846
(22)【出願日】2023-02-02
(65)【公開番号】P2023114450
(43)【公開日】2023-08-17
【審査請求日】2023-02-22
(31)【優先権主張番号】10 2022 102 709.0
(32)【優先日】2022-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルヘルム ノイカム
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-258548(JP,A)
【文献】特開2020-096145(JP,A)
【文献】特開2014-036033(JP,A)
【文献】特開2015-142102(JP,A)
【文献】特開平09-298380(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/36
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピューターシステムであって、
少なくとも1つの筐体壁と、前記筐体壁の所定の取付けポイントに配置され、前記筐体壁から突出する締付ボルトであって、システムボードを締め付けるめねじを有する締付ボルトとを有する筐体シャーシ;
記筐体シャーシに収容され、前記締付ボルトにねじ留めされたシステムボードであって、少なくとも1つの発熱部材がその上に配置されたシステムボード;及び
前記筐体壁と前記システムボードとの間に挟まれるように配置された熱伝導手
を含み、
前記熱伝導手段は、前記締付ボルトに対応する固定穴を含み、前記締付ボルトにより前記筐体シャーシに脱着可能に取付けられ、前記固定穴の口径は、前記締付ボルトを緩く受容するように選択され、前記前記熱伝導手段は、前記発熱部材により発生された廃熱を前記筐体シャーシに放散するように構成されている
ことを特徴とするコンピューターシステム。
【請求項2】
前記熱伝導手段が前記筐体シャーシの所定の場所及び/又は所定の配置に、前記締付ボルトにより固定される、請求項に記載のコンピューターシステム。
【請求項3】
前記熱伝導手段が板金部を含み、前記板金部が特にパンチ及び/又はエンボス加工されたアルミニウム板である、請求項1に記載のコンピューターシステム。
【請求項4】
前記熱伝導手段が、前記板金部の第1の部分で形成された基板と、前記板金部の第2の部分で形成され、前記少なくとも1つの発熱部材と熱接続するため、前記システムボードの方向に対して前記基板から突出した第1接触部とを有し、前記第1接触部は前記システムボード上に配置された少なくとも1つの発熱部材の位置に対応する位置に設けられる、請求項3に記載のコンピューターシステム。
【請求項5】
前記熱伝導手段が更に、前記板金部の第3の部分により形成され、前記筐体壁に熱接続又は機械的に固定するために、前記筐体壁の方向に突出している第2接触部を有する、請求項に記載のコンピューターシステム。
【請求項6】
前記発熱部材が、前記筐体壁に対向する前記システムボードの面に配置され、前記熱伝導手段が、前記筐体壁と、前記発熱部材との間で挟まれるように配置される、請求項1に記載のコンピューターシステム。
【請求項7】
前記熱伝導手段が発熱部材と直接熱伝導接触している、請求項6に記載のコンピューターシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの発熱部材が前記筐体壁に対向する前記システムボードの第2の側に配置され、前記発熱部材により発生した熱エネルギーが前記システムボードを通じた熱伝導により間接的に前記熱伝導手段に放散される、請求項1ないし5いずれか一項に記載のコンピューターシステム。
【請求項9】
前記発熱部材が、チップセット、電圧レギュレータ、プロセッサ、及びグラフィックスコンポーネントのうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載のコンピューターシステム。
【請求項10】
コンピューターシステムの製造方法であって、
少なくとも1つの筐体壁と、前記筐体壁の所定の取付けポイントに配置され、前記筐体壁から突出する複数の締付ボルトであって、システムボードを締め付けるめねじを有する複数の締付ボルトとを有する筐体シャーシを設ける工程;
伝導手段を前記筐体シャーシに緩く挿入する工程であって、前記熱伝導手段が、前記複数の締付ボルトの第1のサブセットに含まれる締付ボルトに対応する固定穴を含み、前記複数の締付ボルトの少なくとも前記第1のサブセットに含まれる締付ボルトにより前記筐体壁の所定位置にあり、前記固定穴の口径は前記複数の締付ボルトを緩く受容するように選択される、緩く挿入する工程;及び
少なくとも1つの発熱部材を有するシステムボードを前記複数の締付ボルトの少なくとも第2サブセットに含まれる締付ボルトにねじ留めして、それにより前記発熱部材と前記筐体シャーシとの間に熱伝導接続が形成されるように、前記システムボードを前記筐体壁に固定する工程
を含むことを特徴とする、コンピューターシステムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの筐体壁を有する筐体シャーシと、少なくとも1つの発熱部材を有し、且つ、前記筐体シャーシに収容されたシステムボードであって、前記発熱部材がシステムボード上に配置されたシステムボードとを含むコンピューターシステムに関する。更に、本発明は、コンピューターシステムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上述のタイプのコンピューターシステム及びその製造方法は、従来技術として知られている。例えば、チップセットやプロセッサ等のシステムボードの能動素子は、しばしば、前記コンピューターシステムの操作中に発生された熱を放散するための特有な手段を必要とする。通常ファンを必要とする従来の空気冷却システムに加え、熱伝導系、好ましくは、受動放熱手段の使用が増加している。
【0003】
例えば、DE102019103071A1により、複数の側壁を有するコンピューター筐体と、少なくとも1つの発熱部材を有し、且つ、前記コンピューター筐体に配置されたマザーボードとを含むコンピューターシステムであって、前記発熱部材が前記マザーボード上に配置されているコンピューターシステムが開示されている。前記発熱部材に対向する前記コンピューター筐体の側壁は、前記発熱部材に対して突出している熱伝導体を含んでいる。前記熱伝導体は、ダイカスト製法により製造され、所定の操作中に熱伝導により発生された前記発熱部材の熱エネルギーを吸収するように設計されており、熱伝導により前記熱エネルギーを対応する側壁に放散する。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、コンピューターシステムのための柔軟な冷却構想と、それらを実施するための装置及び製造方法を説明することである。好ましくは、開示された冷却構想は、様々な異なる構造のコンピューターシステムに好適であり、特に、簡易な製造を可能とすることを意図している。
【0005】
上述の課題は、少なくとも1つの筐体壁と前記筐体壁に配置された締付要素とを有する筐体シャーシ、少なくとも1つの発熱部材を有し、且つ、前記筐体シャーシに収容されたシステムボードであって、前記発熱部材がシステムボード上に配置されたシステムボード、及び、前記筐体壁と前記システムボードとの間で挟まれるように配置された熱伝導手段を含むコンピューターシステムにより達成することができる。前記熱伝導手段は、前記締付要素により脱着可能に前記筐体シャーシに取付けられており、前記発熱部材により発生された廃熱を前記筐体シャーシに放散するように設計されている。
【0006】
挟むことによる前記熱伝導手段と筐体の締付要素との間の脱着可能な接続により、特に、前記熱伝導手段の前記筐体シャーシへの一体化が容易となり、特定のシステムボードに対する前記筐体シャーシの適応化が容易となる。これにより、特に、異なる場所に配置された発熱部材を有する様々なシステムボードに対して用いられる同型の筐体シャーシを提供することができる。各システムボードに対して、又は異なる部品製造業者による多様な熱設計に対して前記筐体シャーシを適応させるためには、対応する熱伝導手段を設計し、前記熱伝導手段を前記筐体シャーシに挿入することだけが必要となる。前記コンピューターシステムの製造の簡略化に加え、多数の異なる筐体シャーシを入手可能な状態を維持するのに必要な労力も回避、又は少なくとも顕著に削減することができる。
【0007】
例えば、前記締付要素は、前記筐体壁又は前記熱伝導手段から突出するボルトとして設計されていてもよい。特に、前記締付要素は、前記システムボードを締付けるため、前記筐体壁の所定の取付けポイントに配置された締付ボルトであってもよい。このような締付ボルトは、通常、規定された場所に既に設けられており、よって、前記コンピューターシステムの製造において、更なる労力を必要としない。
【0008】
少なくとも1つの態様では、前記熱伝導手段は板金部、特に、パンチ加工及び/又はエンボス加工されたアルミニウム板を含む。このような板金部は、大変容易に、且つ、低価で製造できる。更に、特にアルミニウム板は高い熱伝導率を有し、よって、前記システムボードと前記筐体壁との熱接続を形成するのに大変好適である。
【0009】
少なくとも1つの態様では、前記発熱部材は、前記筐体壁に対向する前記システムボードの面に配置され、前記熱伝導手段は、前記筐体壁と、前記発熱部材との間で挟まれるように配置される。このように、前記発熱部材と前記筐体壁との間に直接的な熱伝導の経路が形成される。
【0010】
本発明の第2の実施形態によると、コンピューターシステムの製造方法が開示されている。前記方法は、
-少なくとも1つの筐体壁と、前記筐体壁に配置された締付要素とを有する筐体シャーシを設ける工程;
-熱伝導手段を前記筐体シャーシに挿入する工程であって、前記熱伝導手段が前記締付要素の少なくとも第1サブセットにより前記筐体壁に固定される工程;及び
-システムボード上に配置された少なくとも1つの発熱部材と前記筐体シャーシとの熱伝導接続を形成するように、前記発熱部材を有するシステムボードを前記締付要素の少なくとも第2サブセットにより前記筐体壁に固定する工程
を含む。
【0011】
このような製造方法は特に簡易に実施される。公知の製造方法と比較し、前記筐体シャーシに熱伝導手段を緩く挿入することのみが必要とされる。必要により、例えば、配置ロボットを用いて自動的に行うこともできる。前記熱伝導手段は、後続する前記システムボードの締付けにより、しっかりと前記筐体シャーシに固定されるため、前記筐体シャーシへの前記熱伝導手段の直接のねじ込み、溶接、又は他の締付けは行われない。
【0012】
本発明の更なる有利な態様は、添付の請求項及び下記実施形態の詳細な説明において開示される。
以下、添付図を参照しながら、本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、筐体壁に溶接された熱伝導手段を有する第1コンピューターシステムを示す。
図2図2は、追加的な位置決めボルトにより保持された熱伝導手段を有する第2コンピューターシステムを示す。
図3図3は、既存の締付ボルトにより保持された熱伝導手段を有する第3コンピューターシステムを示す。
図4図4は、前記コンピューターシステムのうちの1つの概略断面図を示す。
図5図5は、コンピューターシステムの製造方法の工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、システムボードの発熱部材から放熱するための手段を有するコンピューターシステムの1つの態様を示す。
【0015】
前記コンピューターシステム1は筐体シャーシ2を含み、例示的態様において、前記筐体シャーシ2はスチール板筐体の下部シェルとして設計されている。前記筐体シャーシ2は、他のあらゆるものの中から、基板又は下板状の第1筐体壁3と、更に、前記第1筐体壁3上に形成された又は取付けられた筐体壁4、5とを有し、筐体壁4、5は前記コンピューターシステム1の側壁を形成する。
【0016】
複数の締付要素が前記第1筐体壁3上に配置されており、前記締付要素は、図1に図示されていないシステムボードを締付けるのに用いられている。特に、前記締付要素は、前記第1筐体壁3にねじ込まれる、めねじを有する締付ボルト6である。
【0017】
前記システムボードにある、1つ以上の、所謂、サーマルホットスポットを冷却するため、図1のコンピューターシステム1において熱伝導手段7が提供されており、前記例示的態様において、前記熱伝導手段7はエンボス加工されたアルミニウム板として設計されている。例えば、ホットスポットは、チップセット等の発熱部材が配置されている前記システムボード上の位置であってもよい。
【0018】
前記熱伝導手段7は、第1突出部8と、全部で4つの第2下降部9とを有し、前記第2下降部9は前記第1筐体壁3の方向に対して下降している。前記熱伝導手段7は、前記下降部3において、例えば、スポット溶接により、前記第1筐体壁3に直接溶接される。
【0019】
上述のような配置により、領域8におけるサーマルホットスポットと前記筐体シャーシ2との間での熱伝導が良好となる。したがって、上述のような配置は、電圧レギュレータ及び/又はチップセット等の部品を受動冷却するのに好適である。しかしながら、そのために前記熱伝導手段が前記筐体シャーシ2に溶接されるため、筐体シャーシ2は、それぞれ、使用されるシステムボードに対して特異的に設計される必要がある。したがって、本来使用されることを意図されたシステムボード以外のシステムボードを、例えば、他の場所にチップセットを有するシステムボードを、続に、筐体シャーシ2に挿入することは不可能である。
【0020】
図2は、システムボードの他の場所での1つ以上のホットスポットに特に容易に適応できるコンピューターシステム10の他の態様を示す。前記コンピューターシステム10は、図1に示されたコンピューターシステム1と同様のデザインを有している。したがって、既に説明された部材については、ここでは、更に説明をしない。
【0021】
前記コンピューターシステム1とは異なり、前記コンピューターシステム10の第1筐体壁3は、更に2つの位置決めボルト11を有しており、前記位置決めボルト11は脱着可能な熱伝導手段12を前記筐体シャーシ11に固定するのに用いられる。このため、前記脱着可能な熱伝導手段12は、上述の溶接された熱伝導手段7と同様の構成を有する。特に、前記熱伝導手段12も、第1突出部8と、4つの第2下降部9とを有する。
【0022】
上述の溶接された熱伝導手段7とは異なり、前記熱伝導手段12の下降部9のうち2つの下降部9にはそれぞれ固定穴13が設けられ、前記固定穴13により、前記熱伝導手段12は、例えば所定の位置に、前記位置決めボルト11で固定することができる。このように、前記筐体シャーシ2と前記熱伝導手段12とを脱着可能に接続することができる。
【0023】
前記取付穴13と共に、前記位置決めピン11により機械コードが設けられ、前記機械コードにより、前記熱伝導手段12が前記筐体シャーシ2の所定の場所に特異的に固定されることが確実となる。
【0024】
図示された態様において、機能を阻害することなしに前記熱伝導手段12を180°回転して設置できるように、前記熱伝導手段12は、前記突出部8の中心に対して点対称となるように設計されている。
【0025】
図示されていない他の態様では、非対称に設計された位置決めボルト11及び/又は熱伝導手段12が設けられ、前記熱伝導手段12の配置は前記位置決めボルト11及び/又は前記固定穴13により特定される。例えば、前記4つの下降部9のうち3つに、任意に配置された3つの位置決めボルト11と、3つの固定穴13とが設けられていてもよい。
【0026】
図1の配置とは異なり、図2の熱伝導手段12は前記第1筐体壁3にしっかりと固定されていない。その代わり、前記熱伝導手段12は、図5を参照して後述されるように、前記筐体シャーシ2において、後続して行われるシステムボードの前記締付ボルト6での締付けにより、挟められるように保持される。実験により、前記熱伝導手段12の挟むことによる脱着可能な接続が、前記熱伝導手段7のスポット溶接による接続と比較し、約20%高い熱伝導率をもたらすことが示されている。
【0027】
図3は、他のコンピューターシステム20を示す。図4に示されたコンピューターシステム20では、図2で示されたような、追加的な位置決めボルト11の設置が省略されている。その代わり、図3に示される脱着可能なヒートシンク21は2つの取付ラグ22、23を有しており、前記取付ラグ22、23は、それぞれ、前記システムボードを取付けるために設けられた締付ボルト6まで延在している。
【0028】
図4に示される例示的態様では、前記2つの取付ラグ22、23は、前記第1筐体壁3と直接、機械的接触及び熱接触する共通下降部24の一部を形成している。また、前記熱伝導手段21は更に2つの下降部25を有し、前記下降部25も前記第1筐体壁3と直接接触している。
【0029】
図2及び図3の設計とは異なり、前記下降部25には更なる固定穴は設けられていない。その代わり、前記締付ラグ22、23がそれぞれの端部付近に固定穴26を有する。前記固定穴26の口径は、前記締付ボルト6が前記固定穴26で緩く受容できるように選択される。したがって、図4に示されるコンピューターシステム20において、単に、熱伝導手段21を緩く前記筐体シャーシ2に挿入し、続いて、システムボードを設置することにより前記システムボードと前記第1筐体壁3とで前記熱伝導手段21を挟むように保持することも可能である。
【0030】
図4は、組み立てた状態の前記コンピューターシステム1,10、又は20の1つの断面図を概略的に示す。前記熱伝導手段7、12、又は21は発熱部材30と直接熱伝導接触していることがわかる。前記発熱部材30は、例えば、前記システムボード31のチップセットの部分と対応していてもよい。この例示的態様では、前記発熱部材30は、前記第1筐体壁3に対向する前記システムボード31の下面に配置されている。
【0031】
或いは、前記システムボード31の反対側の上面に前記発熱部材30を配置することもできる。この場合、前記発熱部材30により発生された熱エネルギーは、前記システムボード31を介して、熱伝導により間接的に放散される。現代の多層システムボード31は、特に、比較的高い銅含有量を有しており、よって、前記システムボード31を介する良好な熱伝導が確保される。
【0032】
図5は、前記コンピューターシステム10又は20の1つを製造する方法の工程を概略的に示す。
【0033】
第1工程S1では、第1筐体壁3を有する筐体シャーシ2が製造される。例えば、スチール板をパンチング及びスタンピングにより成形し、ハーフシェルを形成することができる。
【0034】
次の工程S2では、1つ以上の締付ボルト6が前記第1筐体壁3にねじ込まれる、又は挿入される。必要により、図2に示されたように、追加的な位置決めボルト11が前記筐体壁3に設けられてもよい。
【0035】
更なる工程S3では、前記熱伝導手段12又は21の1つが、前記筐体シャーシ2に緩く挿入される。この工程では、前記熱伝導手段12又は21は未だ最終的な締付けはされていない。
【0036】
工程S4では、システムボード31を挿入することにより、前記筐体シャーシ2に既に挿入された熱伝導手段12又は21が、上方向に覆われる。この前に、前記突出部9等の接触部にサーマルペーストを任意に付与し、冷却される発熱部材30との熱接触を向上させてもよい。
【0037】
製造されるコンピューターシステムが熱伝導により冷却される発熱部材を有していない場合、工程S3及びS4は省略される。例えば、比較的低パワーなシステムボード、又は他の冷却手段により冷却されるシステムボードは、熱伝導による冷却が必要なシステムボード31を実装するのに用いられるのと同様の筐体シャーシ2に同様に設置されてもよい。
【0038】
そして、前記挿入されたシステムボード31は、工程S5において、締付ボルト6でねじ込まれる。これにより、前記筐体シャーシ2に事前に挿入された熱伝導手段12又は21の密着性を確保する。
【0039】
上述の態様では単独のサーマルホットスポット又は突出部8のみが説明されたが、複数の発熱部材を冷却するために複数の突出部8を有する熱伝導手段、或いは、複数の熱伝導手段を設けることもできることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0040】
1 コンピューターシステム
2 筐体シャーシ
3 (第1)筐体壁
4 (第2)筐体壁
5 (第3)筐体壁
6 締付ボルト
7 (溶接された)熱伝導手段
8 突出部
9 下降部
10 コンピューターシステム
11 位置決めボルト
12 (脱着可能な)熱伝導手段
13 固定穴
20 コンピューターシステム
21 (脱着可能な)熱伝導手段
22 (第1)取付ラグ
23 (第2)取付ラグ
24 (共通)下降部
25 (更なる)下降部
26 固定穴
30 発熱部材
31 システムボード
S1~S5 実施工程
図1
図2
図3
図4
図5