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  • 特許-ブラスト装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】ブラスト装置
(51)【国際特許分類】
   B24C 3/16 20060101AFI20240619BHJP
   B24C 5/04 20060101ALI20240619BHJP
   B24C 3/32 20060101ALI20240619BHJP
   B24C 5/02 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
B24C3/16
B24C5/04 B
B24C3/32 C
B24C5/02 C
B24C5/04 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023184850
(22)【出願日】2023-10-27
【審査請求日】2023-11-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592148155
【氏名又は名称】株式会社サンポー
(74)【代理人】
【識別番号】100183380
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 裕司
(72)【発明者】
【氏名】谷川 準
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 幸三
【審査官】マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】特開昭49-043460(JP,A)
【文献】特開平07-088768(JP,A)
【文献】特開2006-007359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24C 3/16
B24C 5/04
B24C 3/32
B24C 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状であるワークの内部を研掃するためのブラスト装置であって、
ワークをその中心軸が水平方向に対する所定の傾斜角度で傾斜するように支持する支持部材と、
ワークをその中心軸を中心に回転させる第1回転機構と、
前記支持部材に対して斜め上方に設けられ、前記所定の傾斜角度で傾斜して延び、研掃材供給部から供給された研掃材を投射するノズルと、
前記ノズルをその軸方向に沿って移動させ、前記ノズルを前記支持部材に支持されたワーク内に挿入可能に構成されたノズル移動機構と、
ワークを通して前記ノズルの先端に接続される長尺状部材と、
前記長尺状部材を、前記支持部材に対して前記ノズルが位置する側とは反対側から引っ張る引張機構と、を備えるブラスト装置。
【請求項2】
前記支持部材を回転可能に支持する第2回転機構を更に備え、
前記支持部材は、両端部の間に位置する中間部を有し、
前記第2回転機構は、前記支持部材を、前記中間部に設けた中心軸を中心に回動させるように構成されている、請求項1に記載のブラスト装置。
【請求項3】
前記ノズルおよび前記ノズル移動機構を、水平方向に移動させる水平移動機構と、
前記ノズルおよび前記ノズル移動機構を、鉛直方向に昇降させる昇降機構と、を更に備える、請求項1または請求項2に記載のブラスト装置。
【請求項4】
前記ノズルおよび前記ノズル移動機構を支持するノズル架台と、
前記ノズル架台に連結されたホース保持部と、
前記ホース保持部に保持され、研掃材をノズルまで供給するホースと、を更に備え、
前記ホース保持部は、
前記ノズル架台に連結され、前記ノズル架台から離間するにつれて下方に傾斜するように延びる一対のガイドと、
前記一対のガイドの間に、前記一対のガイドに沿って移動可能に設けられ、自重により下方へ下がるように構成された台車と、を有し、
前記ホースは、研掃材供給部から前記ホース保持部まで延び、前記ホース保持部において、前記一対のガイドの間の空間の下側を斜め下側へ前記台車まで延び、前記台車で反転して、斜め上側へ前記ノズルまで延び、前記ノズルの端部に接続されている、請求項1または請求項2に記載のブラスト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒状の被研掃物(以下「ワーク」とする)を研掃するブラスト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、筒状ワークをその軸が鉛直方向を向くように保持し、研掃材を投射するノズルを筒状のワークの下側に固定し、ノズルから研掃材を投射して、筒状ワークの内周面を研掃する筒状ワークの研掃装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-007359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の研掃装置では、例えば全長が3mまでのワークの内周面を研掃することができるが、全長が3m以上のワークを研掃することができない。
【0005】
そこで、本発明は、長尺状のワークを研掃することができるブラスト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一実施形態におけるブラスト装置は、円筒状であるワークの内部を研掃するためのブラスト装置であって、ワークをその中心軸が水平方向に対する所定の傾斜角度で傾斜するように支持する支持部材と、ワークをその中心軸を中心に回転させる第1回転機構と、前記支持部材に対して斜め上方に設けられ、前記所定の傾斜角度で傾斜して延び、研掃材供給部から供給された研掃材を投射するノズルと、前記ノズルをその軸方向に沿って移動させ、前記ノズルを前記支持部材に支持されたワーク内に挿入可能に構成されたノズル移動機構と、を備える。
【0007】
前記支持部材を回転可能に支持する第2回転機構を更に備え、前記支持部材は、両端部の間に位置する中間部を有し、前記第2回転機構は、前記支持部材を、前記中間部に設けた中心軸を中心に回動させるように構成されてもよい。
【0008】
前記ノズルおよび前記ノズル移動機構を、水平方向に移動させる水平移動機構と、前記ノズルおよび前記ノズル移動機構を、鉛直方向に昇降させる昇降機構と、を更に備えてもよい。
【0009】
前記ノズルおよび前記ノズル移動機構を支持するノズル架台と、前記ノズル架台に連結されたホース保持部と、前記ホース保持部に保持され、研掃材をノズルまで供給するホースと、を更に備え、前記ホース保持部は、前記ノズル架台に連結され、前記ノズル架台から離間するにつれて下方に傾斜するように延びる一対のガイドと、前記一対のガイドの間に、前記一対のガイドに沿って移動可能に設けられ、自重により下方へ下がるように構成された台車と、を有し、前記ホースは、研掃材供給部から前記ホース保持部まで延び、前記ホース保持部において、前記一対のガイドの間の空間の下側を斜め下側へ前記台車まで延び、前記台車で反転して、斜め上側へ前記ノズルまで延び、前記ノズルの端部に接続されてもよい。
【0010】
前記ノズルの先端に接続される長尺状部材と、前記長尺状部材を、前記支持部材に対して前記ノズルが位置する側とは反対側から引っ張る引張機構と、を更に備えてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、長尺状のワークを研掃することができるブラスト装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係るブラスト装置の正面図である。
図2図1のブラスト装置の上面図である。
図3】ワーク支持部を後端支持部材側から見た側面図である。
図4】ノズル支持部20の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態に係るブラスト装置について図面を参照して説明する。
【0014】
<全体構成>
はじめに本実施形態に係るブラスト装置1の全体構成について説明する。本実施形態のブラスト装置1は、ワークの内面処理に適したブラスト装置である。ワークとしては、両口のシームレスボンベである。
【0015】
図1、2は、ブラスト装置1の正面図および上面図である。図3は、ワーク支持部10を後端支持部材13側から見た側面図である。図4は、ノズル支持部20の側面図である。図2では、ワークW、凸部14A、ワーク受け部14B、および排出パイプ14Cの図示を省略し、図4では、ホース保持部24の図示を省略している。
【0016】
ブラスト装置1は、設置穴2aが形成された床面2上に設置される。設置穴2aは、浅穴部2bと、浅穴部2bよりも深い深穴部2cとを有する。ブラスト装置1は、ワーク支持部10と、ノズル支持部20と、研掃材回収・供給部30と、制御部40とを備える。制御部40は、演算部、記憶部等により構成された制御コンピュータを有し、ワーク支持部10、ノズル支持部20、および研掃材回収・供給部30の動作を制御する。なお、この明細書では、ブラスト装置1の長手方向をブラスト装置1の「長さ方向」とし、ノズル支持部20側を「前側」とし、研掃材回収・供給部30側を「後側」とし、「長さ方向」に直交する方向を「幅方向」(図3、4の左右方向)として説明する。
【0017】
ワーク支持部10は、支持台11と、2本のエアーシリンダ12と、2本の前端支持柱13と、2本の支持パイプ14と、モータ15と、シャフト16と、複数の駆動ローラ17と、複数の従動ローラ18とを有する。支持台11は、浅穴部2bの底面上に設けられ、水平部材11Aと、2本の柱部材11Bとを主に有する。2本の柱部材11Bの上端には、シャフト11Cが架設されている。2本のエアーシリンダ12は、水平部材11A上に設置されている。2本の前端支持柱13は、支持台11の前側に位置し、床面2上に設置されている。支持台11、シャフト11C、および2本のエアーシリンダ12は、第2回転機構に相当する。
【0018】
各支持パイプ14は、シャフト11Cが貫通し、シャフト11Cにより回転可能に支持されている。シャフト11Cは、各支持パイプ14の中間部14Dにおいて、前後方向における中央よりも後側部分を貫通している。各支持パイプ14の前端は、各前端支持柱13により支持されている。各前端支持柱13の上端は、シャフト11Cよりも上側に位置している。よって、各支持パイプ14は、前端よりも後端が下がるように水平方向に対し傾斜している。各支持パイプ14の傾斜角度としては、例えば、2°~7°である。
【0019】
2本の支持パイプ14の後端には、上側に突出する凸部14Aが設けられ、凸部14Aには、ワーク受け部14Bが回転可能に装着されている。ワーク受け部14Bは、ボンベWの後端部を支持可能に構成されており、図示せぬ貫通孔が形成されている。ワーク受け部14Bには、排出パイプ14Cが取付けられている。エアーシリンダ12のピストンロッドが伸びると、シャフト11Cを中心に支持パイプ14が回転され、支持パイプ14の後側部が下がるように構成されている。この時の支持パイプ14の傾斜角度は例えば65°~75°である。支持パイプ14は、支持部材に相当する。
【0020】
モータ15は、一方の支持パイプ14に設けられている。シャフト16は、一方の支持パイプ14上に設けられ、モータ15により回転駆動される。複数の駆動ローラ17は、シャフト16に設けられ、モータ15によりシャフト16が回転すると回転するように構成されている。複数の従動ローラ18は、他方の支持パイプ14上に設けられている。複数の駆動ローラ17と複数の従動ローラ18との間に、ボンベWが載置される。複数の駆動ローラ17がモータ15により回転されると、ボンベWがその中心軸を中心に回転し、ボンベWの回転により複数の従動ローラ18が回転する。ボンベWは、支持パイプ14の傾斜角度と略等しい傾斜角度(所定の傾斜角度に相当)で複数の駆動ローラ17および複数の従動ローラ18により支持される。モータ15、シャフト16、複数の駆動ローラ17、および複数の従動ローラ18は、第1回転機構に相当する。
【0021】
ノズル支持部20は、ノズル21と、ノズル架台22と、ノズル移動機構23と、ホース保持部24と、昇降機構25と、水平移動機構26とを有する。
【0022】
ノズル21は、ステンレス鋼により構成されたパイプであり、直径が約20mmである。ノズル21の長さは、約0.6mであり、ノズル架台22により支持パイプ14の傾斜角度と略等しい傾斜角度となるように支持されている。
【0023】
ノズル架台22は、一対の前後フレーム22Aと、一対の前縦フレーム22Bと、一対の後縦フレーム22Cと、一対の傾斜フレーム22Dと、一対の内側フレーム22Eと、一対のガイドフレーム22Fと、受け部22Gとを有する。一対の前後フレーム22Aは、長さ方向に延び幅方向に離間して設けられている。各前縦フレーム22Bは、前後フレーム22Aの中央部より前側部分から上方に延びている。各後縦フレーム22Cは、前後フレーム22Aの後端から上方に延びている。各傾斜フレーム22Dは、前縦フレーム22Bと後縦フレーム22Cとの上端を連結するように設けられている。各傾斜フレーム22Dの傾斜角度は、支持パイプ14の傾斜角度と略等しい。各傾斜フレーム22Dは、内側に開口するチャンネルを有し、レールとして機能する。一対の内側フレーム22Eは、一対の前縦フレーム22Bの上端の内側に設けられている。一対のガイドフレーム22Fは、一対の内側フレーム22Eの内端から後側に向かって傾斜して延びている。各ガイドフレーム22Fの傾斜角度は、支持パイプ14の傾斜角度と略等しい。受け部22Gは、一対の内側フレーム22Eの内端から下側に向かって突出するように設けられ、略V字状をなしている。
【0024】
ノズル移動機構23は、台車23Aと、モータ23Bと、スプロケット23Cと、チェーン23Dとを有する。台車23Aは、一対のガイドフレーム22Fの間に位置する架台23A1と、一対の傾斜フレーム22Dのチャンネル内に位置する複数のローラ23A2とを有する。モータ23Bは台車23Aに設けられている。スプロケット23Cはモータ23Bの出力軸に連結されている。チェーン23Dは、一方のガイドフレーム22Fの上面に沿って設けられている。スプロケット23Cは、チェーン23Dに噛み合っている。台車23Aの下側には連結シャフト23Eが下方へ延び、その下端にノズル21が接続されている。
【0025】
モータ23Bを駆動させてスプロケット23Cが回転すると、スプロケット23Cはチェーン23Dに噛み合っているので、台車23Aは後方へ移動する。これにより、台車23Aに連結シャフト23Eを介して連結されたノズル21は後方へ移動する。台車23Aのローラ23A2は、一対のガイドフレーム22F内に位置しているので、台車23Aは一対のガイドフレーム22Fに沿って移動する。一対のガイドフレーム22Fとノズル21の傾斜角度は略等しいため、ノズル21はその傾斜角度を維持したまま、その軸方向に沿って後方へ移動可能である。モータ23Bによりスプロケット23Cを逆方向は回転させることにより、ノズル21は前方へ移動する。ノズル21が最も前側に位置する状態では、ノズル21の前端部は受け部22Gに保持される。
【0026】
ホース保持部24は、一対のガイド24Aと、台車24Bとを有する。一対のガイド24Aは、内側に開口するチャンネルを有し、レールとして機能する。各ガイド24Aは、ノズル架台22の前縦フレーム22Bに連結されている。各ガイド24Aの後端の高さは、ノズル21が最も前側に位置した状態におけるノズル21の前端の高さよりも少し低く構成されている。各ガイド24Aは、前縦フレーム22Bから離間するにつれて(前方へ行くにつれて)下方へ傾斜するように延びている。各ガイド24Aの中央部は、前後フレーム22Aの前端に支持されている。台車24Bは、一対のガイド24Aの間に位置する架台と、一対のガイド24Aのチャンネル内に位置する複数のローラと、ホース36をガイドするガイドローラとを有する。台車24Bは、一対のガイド24Aに沿って移動可能であり、その自重により下方(右斜め下)へ下がるように構成されている。
【0027】
昇降機構25は、ノズル架台22の一対の前後フレーム22Aの下側に設けられている。昇降機構25は、一対のXリンク機構25Aと、図示せぬモータとを有する。各Xリンク機構25Aは、棒状の第1リンク25Bと第2リンク25Cを有し、第1リンク25Bと第2リンク25Cは、それぞれの長さ方向の中点にて、回転軸25Dにより相互に回転可能に軸結合される。第1リンク25Bの上端は、前後フレーム22Aに回動可能に固定され、第1リンク25Bの下端は、水平移動機構26の台車26Bの架台に回転・摺動移動可能に接続されている。第2リンク25Cの上端は、前後フレーム22Aに回転・摺動移動可能に接続されに、第2リンク25Cの下端は、水平移動機構26の台車26Bの架台に回動可能に固定されている。図示せぬモータにより、Xリンク機構25Aが作動し、ノズル架台22が鉛直方向に昇降する。
【0028】
水平移動機構26は、一対のレール26Aと、台車26Bと、モータ26Cと、スプロケット26D、チェーンレール26Eとを有する。一対のレール26Aは、床面2上において、長さ方向に延び幅方向に離間して設置されている。台車26Bは、架台と、架台に取付けられ一対のレール26A上に位置する複数のローラとを有する。架台は、その幅方向の両端において昇降機構25を支持している。モータ26Cは台車26Bに設けられている。スプロケット26Dはモータ26Cの出力軸に連結されている。チェーンレール26Eは、床面2上において一対のレール26Aの間に設けられ、長さ方向に延びている。スプロケット26Dは、チェーンレール26Eのチェーンに噛み合っている。
【0029】
モータ26Cを駆動させてスプロケット26Dが回転すると、スプロケット26Dはチェーンレール26Eに噛み合っているので、台車26Bは後方へ移動する。これにより、台車26B上の昇降機構25およびノズル架台22も後方へ移動する。この結果、ノズル21も後方へ移動する。モータ26Cによりスプロケット26Dを逆方向は回転させることにより、台車26Bは前方へ移動する。
【0030】
研掃材回収・供給部30は、回収箱31と、スクリューコンベア32と、エレベータ33と、タンク34と、エアーブラスト機35と、ホース36と、集塵機37とを有する。回収箱31は、深穴部2cの底面上に設置されている。回収箱31は、前側に円弧状部31Aを有する。円弧状部31Aは、シャフト11Cの軸を中心とする円周方向に沿って延びる円弧面を有する。円弧状部31Aには、シャフト11Cの円周方向に沿って隙間31bが形成されている。隙間31bには、ワーク受け部14Bの排出パイプ14Cが挿入されている。支持パイプ14の回転時には、排出パイプ14Cは隙間31bに沿って移動する。スクリューコンベア32は、回収箱31の底部に設けられ、排出パイプ14Cから落下してくる研掃材をエレベータ33まで搬送し、エレベータ33は当該研掃材を、床面2の上方に設けられたタンク34まで搬送する。エアーブラスト機35は、タンク34からの研掃材を、エアーによりホース36を介してノズル21まで供給する。
【0031】
図2の一点鎖線で示すように、ホース36は、エアーブラスト機35からワーク支持部10および研掃材回収・供給部30の側方を前方へ延び、図1の一点鎖線で示すように、ノズル架台22の下側からノズル21の前端の下側まで延び、前縦フレーム22Bに設けられたローラの上側を通って、一対のガイド24Aの間の空間の下側を斜め下側へ台車24Bまで延びている。そして、ホース36は、台車24Bのガイドローラで反転して、斜め上側へノズル21まで延び、ノズル21の端部に接続されている。すなわち、ホース36は、上下方向において互いに重なった状態で、ホース保持部24に保持されている。
【0032】
<研掃方法>
次に、ブラスト装置1の研掃方法について説明する。
【0033】
支持台11に長尺(例えば約10m)のワークWを載置する。ワークWの前端側の口には挿入ガイドGが装着されている。ノズル移動機構23のモータ23Bを駆動させ、ノズル21をワークWに向かって移動させ、ノズル21の先端(後端)をワークWの口に挿入する。モータ15を駆動して複数の駆動ローラ17を回転させ、ワークWをその中心軸を中心に回転させる。ノズル21からエアーと共に研掃材を投射しながら、ノズル21をその軸方向に沿ってワークWの内部へ移動させる。これに伴い、ノズル21に接続されたホース36は引っ張られて、台車24Bと共に後側へ移動する。
【0034】
ノズル21が最も後端側へ移動した後、モータ23Bを逆回転させ、ノズル21をワークWから引き抜くように前側に移動させ、ノズル21の先端(後端)がワークWの口付近に来るまでノズル21を移動させる。研掃材の投射を停止して、ノズル21の先端(後端)をワークWから引き抜く。このようにして、ワークWの内周面が研掃される。ブラスト装置1によれば、長尺状のワークWを研掃することができる。
【0035】
また、ノズル21に接続されたホース36が押し戻され、かつ台車24Bの自重により、ホース36は元の状態に戻る。ホース36は、ホース保持部24において、上下方向で互いに重なるように折り畳まれた状態で保持され、一部が互いに重なった状態を保持しながらホース36の引き出しおよび押し戻しが行われるので、ホース保持部24によりホース36の設置領域をコンパクトにすることができる。また、研掃処理中において、投射された研掃材は、ワークWの後端側の口、貫通孔、および排出パイプ14Cを介して回収箱31内に排出され、スクリューコンベア32へ落下する。
【0036】
研掃処理終了後、ワークWをその中心軸を中心に回転させたまま、エアーシリンダ12のピストンロッドを伸ばし、シャフト11Cを中心に支持パイプ14を回転させ、支持パイプ14の後側部が下げる。これに伴い、ワークWの後側部も下がり、ワークWの研掃材が回収箱31内へ排出される。このように、容易に研掃材を回収することができる。
【0037】
長さが約7mのワークW’を研掃処理する場合には、昇降機構25および水平移動機構26を駆動させる。すなわち、ワークW’に対し研掃処理が可能な位置に、モータ26Cを駆動させて台車26Bを後方へ移動させ、昇降機構25およびノズル架台22を後方へ移動させる。さらに、昇降機構25の図示せぬモータを駆動させてXリンク機構25Aを作動させ、ノズル21をワークW’の中心軸の延長上に位置するまで下降させる。これにより、異なる長さのワークを研掃処理することができる。
【0038】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形は可能である。
【0039】
上記の実施形態では、ワークWは、両口のシームレスボンベであったが、両口を絞り加工する前の鋼管W’’であってもよい。長尺状部材(例えば、パイプ、丸棒、角棒、ワイヤ、リールの糸など)を、後端側からワークWを通してノズル21の先端に接続し、引張機構であるウインチにより長尺状部材を引っ張り、ノズル21に引張力を加えながら、研掃処理を行ってもよい。
【符号の説明】
【0040】
1:ブラスト装置、 11:支持台、 11C:シャフト、12:エアーシリンダ、 14:支持パイプ、 14D:中間部、 15:モータ、 16:シャフト、 17:駆動ローラ、 18:従動ローラ、 21:ノズル、 22:ノズル架台、 24:ホース保持部、 23:ノズル移動機構、 24A:ガイド、 24B:台車、 25:昇降機構、 26:水平移動機構、 30:研掃材回収・供給部、 36:ホース、 W、W’:ワーク、 W’’:鋼管
【要約】
【課題】長尺状のワークを研掃することができるブラスト装置を提供する。
【解決手段】ブラスト装置1は、円筒状であるワークWの内部を研掃する装置であって、ワークWをその中心軸が水平方向に対する所定の傾斜角度で傾斜するように支持する支持パイプ14と、ワークWをその中心軸を中心に回転させる第1回転機構と、支持パイプ14に対して斜め上方に設けられ、所定の傾斜角度で傾斜して延び、研掃材供給部から供給された研掃材を投射するノズル21と、ノズル21をその軸方向に沿って移動させ、ノズル21を支持パイプ14に支持されたワークW内に挿入可能に構成されたノズル移動機構23とを備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4