(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】香りの持続性を向上させる化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/87 20060101AFI20240619BHJP
A61Q 13/00 20060101ALI20240619BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20240619BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
A61K8/87
A61Q13/00 102
A61K8/06
A61K8/891
(21)【出願番号】P 2021526342
(86)(22)【出願日】2019-11-15
(86)【国際出願番号】 KR2019015698
(87)【国際公開番号】W WO2020101446
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2021-05-13
(31)【優先権主張番号】10-2018-0141102
(32)【優先日】2018-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0062010
(32)【優先日】2019-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514112488
【氏名又は名称】エルジー・エイチアンドエイチ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ナキュン・ハン
(72)【発明者】
【氏名】スンミン・ハン
(72)【発明者】
【氏名】イルグ・キム
(72)【発明者】
【氏名】スン・ギョ・パク
【審査官】駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-513369(JP,A)
【文献】特表2018-528190(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0043194(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0367965(US,A1)
【文献】Signature Special Set,(ID#):5414709,Mintel GNPD[online],2018年02月,<URL:https://www.portal.mintel.com>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
Japio-GPG/FX
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料組成物の香り持続性を向上させるための、化粧料組成物における、両末端に疎水性置換基を有するノニオン性ポリマー、シリコーンオイル、及び香料の組みあわせの使用方法であって、前記の両末端に疎水性置換基を有するノニオン性ポリマー、シリコーンオイル、及び香料が、前記ノニオン性ポリマーの疎水性置換基によってシリコーンオイル及び香料が捕集されることによって、化粧料組成物中にフラワーミセル(flower micelle)構造を形成
し、
前記シリコーンオイルが、ジメチコンであり、かつ、前記シリコーンオイルの含有量が、化粧料組成物の全重量に対して1%~10%であり、
前記ノニオン性ポリマーが、疎水性に転換されたエトキシル化ウレタンから選択される、両末端に疎水性置換基を有するトリブロックコポリマーであり、その量が化粧料組成物の全質量に対して0.5%~10%であり、かつ
前記香料が、前記シリコーンオイルに対して相溶性のある香料である、
使用方法。
【請求項2】
上記シリコーンオイルは、化粧料組成物の全重量に対して1%~5%である、請求項1に記載の使用方法。
【請求項3】
上記両末端の疎水性置換基は、互いに異なるノニオン性ポリマー分子の疎水性置換基同士がエンタングル構造(entangle structure)を形成することを特徴とする、請求項1に記載の使用方法。
【請求項4】
上記フラワーミセル構造は、両末端の疎水性置換基及びシリコーンオイルを含むコア;及び疎水性置換基を除いたノニオン性ポリマーのループを含むことを特徴とする、請求項1に記載の使用方法。
【請求項5】
医薬部外品組成物の香り持続性を向上させるための、医薬部外品組成物における、両末端に疎水性置換基を有するノニオン性ポリマー、シリコーンオイル、及び香料の組みあわせの使用方法であって、前記の両末端に疎水性置換基を有するノニオン性ポリマー、シリコーンオイル、及び香料が、前記ノニオン性ポリマーの疎水性置換基によってシリコーンオイル及び香料が捕集されることによって、医薬部外品組成物中にフラワーミセル(flower micelle)構造を形成
し、
前記シリコーンオイルが、ジメチコンであり、かつ、前記シリコーンオイルの含有量が、化粧料組成物の全重量に対して1%~10%であり、
前記ノニオン性ポリマーが、疎水性に転換されたエトキシル化ウレタンから選択される、両末端に疎水性置換基を有するトリブロックコポリマーであり、その量が化粧料組成物の全質量に対して0.5%~10%であり、かつ
前記香料が、前記シリコーンオイルに対して相溶性のある香料である、
使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両末端に疎水性置換基を有するノニオン性ポリマー及びオイルを有効成分として含む、香り持続性化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、消費者インタビュー及び観察調査結果、既存の香りのよいスキンケアを超えて香水に取って代わるスキンケアに対する関心が次第に高まっている。現在、ボディミスト、パフュームボディウォッシュなど個人の香り関連の新製品が市場に投入され、香水ブランドが多様化し、芳香剤市場が大きく拡大される等、香りに対する全般的な関心が高くなりつつある。
【0003】
一般に、香りは、経時によって強度が弱くなるため、香りを持続させるための多様な試みがなされた。特に、香り持続剤形は、主に、wash offである洗浄、洗濯製品で集中的に研究された。しかし、スキンケア製品では剤形内の香りの安定性を高めたり、香り自体の持続性を高める方式の研究だけ進められ、実際に塗った時に皮膚に対する香りの持続力は看過されてきた。
【0004】
それでも進行された皮膚における香りの持続性研究も洗浄製品に限定されていた。そのうち、ポリクオタニウムを適用した洗浄製品であって、洗ってからの皮膚の香りの持続性を増加させた先行研究があるが(韓国公開特許10-2017-0063205(特許文献1):香り持続性組成物及びこれを含む化粧料組成物)、スキンケア製品の皮膚に対する香りの持続性は研究が十分でないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】韓国公開特許10-2017-0063205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従前に皮膚上における香りの持続性を高めるためには、主に2つの方法が用いられた。第一には、香り自体の持続性を高める方法である。香りを構成する物質の比率を調節したり、合成して持続性を高めた。しかし、香り自体の持続性を高めることは、香りの選択に制約が伴う。第二には、賦香率を高める方法である。剤形内の賦香率を高めて初めから強い香りが長く維持させることができるが、スキンケアの場合、あまりにも濃い香りは不快感と刺激を与える。
【0007】
2つの方法は、いずれも香りの持続性を高めるための組成物の開発というよりは、持続力の高い香りの開発に集中しており、他の製品に応用し難い。
【0008】
したがって、本発明では皮膚に対する香りの持続力を高める組成物を開発しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一つの目的は、両末端に疎水性置換基を有するノニオン性ポリマー及びオイルを有効成分として含む、香り持続性化粧料組成物を提供することにある。
【0010】
本発明のもう一つの目的は、両末端に疎水性置換基を有するノニオン性ポリマー及びオイルを有効成分として含む、香り持続性医薬部外品組成物を提供することにある。
【発明の効果】
【0011】
本発明の組成物は、両末端に疎水性置換基を有するノニオン性ポリマーは疎水性置換基部分にオイル及び香りを捕集し、フラワーミセル構造を形成して香りとオイルを安定的に維持し、香りの速い揮発を防いで香りの持続性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】両末端に疎水性置換基を有するノニオン性ポリマーがフラワーミセル構造を形成する過程を示したものである。
【
図2】香りの持続性の官能評価結果をグラフで示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
これを具体的に説明すると、次の通りである。一方、本発明で開示されたそれぞれの説明及び実施形態は、それぞれの他の説明及び実施形態にも適用され得る。即ち、本発明で開示された多様な要素の全ての組合わせが本発明の範疇に属する。また、下記記述された具体的な記述によって本発明の範疇が制限されるとは見られない。
【0014】
本発明では、両末端に疎水性置換基を有するノニオン性ポリマーがオイル及び香りを捕集してフラワーミセル構造を形成することにより塗布時に均一性とコーティング力に優れるだけでなく、発香力が高く、香り持続力が向上することを確認することができ、本発明は、これに基づく。
【0015】
以下、本発明の構成を詳細に説明する。
【0016】
本発明の一様態は、両末端に疎水性置換基を有するノニオン性ポリマー及びオイルを有効成分として含む、香り持続性化粧料組成物を提供するものである。
【0017】
本発明で用いられる用語「両末端に疎水性置換基を有するノニオン性ポリマー」または「ポリマー」は、親水性重合体の両末端が疎水性基であるトリブロック共重合体(Tri-block copolymer)が含まれる。当業界において公知となった化粧料組成物として用いられる両末端が疎水性基であるトリブロック共重合体(Tri-block copolymer)であれば、いずれも含まれ得るが、これに限定されない。具体的には、疎水性に転換されたノニオン性ポリオール(HNP:Hydrophobically-modified Nonionic Polyol)であるPEG-150ジステアレート(PEG-150 Distearate)、PEG-190ジステアレート、PEG-250ジステアレート及びPEG-800ジステアレートからなる群から選択される一つ以上が用いられ、疎水性に転換されたエトキシル化ウレタン(HEUR:Hydrophobically-modified Ethoylated Urethane)であるPEG-150/デシルアルコール/SMDIコポリマー及びPEG-150/ステアリルアルコール/SMDIコポリマーからなる群から選択される一つ以上が用いられる。特に、ウレタン結合を含む場合、構造に弾性を与えて結合する部位を広げ、剤形内に分散を安定化させる効果がある。
【0018】
[構造式]
A-B-AまたはA-B-C
A,C:疎水性置換基
B:親水性重合体
【0019】
本発明で用いられる用語「オイル」は、化粧料組成物に一般に用いられるオイルを全て含む概念である。
【0020】
本発明の1具体例として上記オイルは、シリコーンオイルであってもよいが、これに限定されない。
【0021】
上記シリコーンオイルは、香りまたは香臭を含み得る。シリコーンオイルは、香りとの相溶性がよいため、剤形内に香りを十分に捕集してポリマーが皮膚上にエンタングル構造(entangle structure)を形成した時、速い揮発を防いで発香力を高めるという長所がある。上記シリコーンオイルは、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルトリメチコン、フェニルトリメチコン、ジメチコン、シクロメチコンなどを挙げることができる。
【0022】
上記化粧料組成物は、フラワーミセル(flower micelle)構造を有することを特徴とすることができる。
【0023】
本発明に用いられる用語「フラワーミセル(flower micelle)構造」とは、
図1のように疎水性置換基を有するノニオン性ポリマーの両末端の疎水性置換基及びオイルまたは油状粒子で構成されるコア;及び疎水性置換基の部分を除いたノニオン性ポリマーのループが含まれた形態であり、ミセルが形成された構造を意味する(
図1)。
【0024】
本発明に用いられる用語「コア」とは、互いに異なる両末端ノニオン性ポリマー分子の疎水性置換基部分同士がエンタングル構造(entangle structure)を形成したフラワーミセル構造の中心部分を意味する。
【0025】
本発明に用いられる用語「ループ」とは、疎水性置換基部分を除いたノニオン性ポリマーがフラワーミセル構造を形成するために曲がった構造を有する部分を意味する。
【0026】
本発明に用いられる用語「ミセル」とは、界面活性剤が一定濃度以上で集まった集合体と類似の構造をいうもので、疎水性部分が核を形成し、親水性部分は水と接する表面を形成する形態を意味する概念であるが、これに限定されない。
【0027】
本発明の組成物は、両末端に疎水性置換基を有するノニオン性ポリマーがオイル及び香りを捕集してフラワーミセル構造を形成することにより、香りの持続性を向上させることができる。上記両末端に疎水性置換基を有するノニオン性ポリマーの疎水性置換基の部分に香りとオイルを捕集して互いに異なるポリマーの疎水性置換基部分同士がエンタングル構造(entangle structure)を形成してフラワーミセル構造を有するようになるが、これを通じて香りを安定的に捕集することができる。
【0028】
上記フラワーミセル構造は、フラワーミセル構造間にも疎水性置換基によりブリッジ(bridge)を形成してフラワーミセル構造間にネットワークを形成することができる。
【0029】
また、上記フラワーミセル構造間に連結された構造は可逆的であり得る。
【0030】
上記可逆的な構造により香りとオイルを捕集しているうちに、外部力、例えば、温度または圧力などにより分子間の構造が切れるとしても、後に再度連結され得る性質を有しており、香りとオイルを安定的に維持することができる。
【0031】
また、上記フラワーミセル構造は、一般的なポリマーとは異なり、オイルまたは油状粒子と個別に連結され、塗布時に均一性とコーティング力に優れる。
【0032】
上記化粧料組成物は、エンタングル構造(entangle structure)を含み得る。
【0033】
本発明で用いられる用語「エンタングル構造(entangle structure)」とは、互いに異なるノニオン性ポリマー分子の疎水性置換基部分同士がからまった構造を意味し、上記エンタングル構造は、可逆的に疎水性置換基の部分に香りとオイルを捕集しているうちに、外部力が加えられて分子間の構造が一時的に切れても、再度加えられた外部力が消えれば、再度エンタングル構造で連結されて香りとオイルを安定的に維持する役割をする。
【0034】
本発明の化粧料組成物は、上記両末端に疎水性置換基を有するノニオン性ポリマー及びオイルを含むだけでなく、追加で化粧料組成物に通常用いられる香りまたは香臭成分または香料をさらに含んでもよい。
【0035】
本発明で用いられる用語「香り」または「香臭成分」または「香料」とは、化粧品、食料品などの生活用品に香りを加えるために添加する香りの強い有機物質であり、常温で揮発性に優れる。香料は、バラ、レモンなどから得る天然香料、天然香料またはコールタールなどの原料から分離または精製した単離香料、化学反応を経て合成させた合成香料などに区分することができる。単離香料と合成香料を合わせて人造香料とも言う。用途別には、化粧品香料と食品香料に大きく区分することができるが、化粧品香料は、香り付与を目的とするが、食品香料は香りに味を加味したフレーバー(flavor)を主体とすることができる。本発明の香りまたは香臭成分または香料は、両末端に疎水性置換基を有するノニオン性ポリマーと共に用いてフラワーミセル構造を形成することにより、香りの捕集力がよく、発香力に優れた効果がある。
【0036】
上記香りまたは香臭成分または香料は、植物由来、動物由来または合成成分であってもよく、由来植物または由来動物から香気成分が精製されたエッセンシャルオイルであってもよい。
【0037】
本発明による化粧料組成物は、溶液、外用軟膏、クリーム、フォーム、栄養化粧水、柔軟化粧水、パック、柔軟水、乳液、メイクアップベース、エッセンス、石鹸、液体洗浄料、入浴剤、サンスクリーンクリーム、サンオイル、懸濁液、乳濁液、ペースト、ゲル、ローション、パウダー、界面活性剤含有クレンジング、オイル、粉末ファウンデーション、乳濁液ファウンデーション、ワックスファウンデーション、パッチ及びスプレーで構成された群から選択される剤形に製造することができるが、これに制限されるものではない。
【0038】
また、本発明の化粧料組成物は、一般の皮膚化粧料に配合される化粧品学的に許容可能な担体を1種以上さらに含むことができ、通常の成分として、例えば、油分、水、界面活性剤、保湿剤、低級アルコール、増粘剤、キレート剤、色素、防腐剤、香料などを適宜配合することができるが、これに制限されるものではない。
【0039】
本発明の化粧料組成物に含まれる化粧品学的に許容可能な担体は、剤形に応じて多様である。
【0040】
本発明の剤形が軟膏、ペースト、クリームまたはゲルの場合には、担体成分として動物性油、植物性油、ワックス、パラフィン、澱粉、トラガント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、シリカ、タルク、酸化亜鉛またはこれらの混合物が用いられる。
【0041】
本発明の剤形がパウダーまたはスプレーの場合には、担体成分としてラクトース、タルク、シリカ、アルミニウムヒドロキシド、カルシウムシリケート、ポリアミドパウダーまたはこれらの混合物が用いられてもよく、特に、スプレーの場合には、追加でクロロフルオロヒドロカーボン、プロパン/ブタンまたはジメチルエーテルのような推進剤をさらに含んでもよい。
【0042】
本発明の剤形が溶液または乳濁液の場合には、担体成分として溶媒、溶解化剤または乳濁化剤が用いられ、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3-ブチルグリコールオイルが用いられ、特に、綿実油、ピーナッツオイル、トウモロコシ胚種オイル、オリーブオイル、ひましオイル及びゴマオイル、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレングリコールまたはソルビタンの脂肪酸エステルが用いられてもよい。
【0043】
本発明の剤形が懸濁液の場合には、担体成分として、水、エタノールまたはプロピレングリコールのような液状の希釈剤、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステル及びポリオキシエチレンソルビタンエステルのような懸濁剤、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、アガーまたはトラガントなどが用いられてもよい。
【0044】
本発明の剤形が石鹸の場合には、担体成分として脂肪酸のアルカリ金属塩、脂肪酸ヘミエステル塩、脂肪酸タンパク質加水分解物、イセチオネート、ラノリン誘導体、脂肪族アルコール、植物性油脂、グリセロール、糖などが用いられる。
【0045】
本発明の化粧料組成物は、上記両末端に疎水性置換基を有するノニオン性ポリマー及びオイルを含むだけでなく、追加で化粧料組成物に通常用いられる補助剤、例えば、親水性または親脂性ゲル化剤、親水性または親脂性活性剤、保存剤、抗酸化剤、溶媒、芳香剤、充填剤、遮断剤、顔料、吸臭剤及び染料などを含有し得る。
【0046】
具体的な一実施例によると、上記化粧料組成物は、両末端に疎水性置換基を有するノニオン性ポリマー;オイル;界面活性剤;精製水;グリセリン;防腐剤;増粘剤;香り;及び酸度調節剤を含む化粧料組成物であってもよいが、これに限定されない。
【0047】
本発明の上記両末端に疎水性置換基を有するノニオン性ポリマーは、化粧料組成物の全重量に対して0.1%~14%で含有され得、より具体的には0.5%~10%で含有され得るが、これに制限されない。
【0048】
具体的な一実施例によると、上記化粧料組成物の粘度を測定してみた結果、ポリマーが含まれた場合には、エマルジョンが形成され、ポリマーの含量が増えることにより粘度が上昇することが分かった。また、ポリマーの含量が0.5%~10%で含まれた場合、増粘効果に優れると共に化粧料組成物として用いるのに適することを確認した(表2)。
【0049】
また、他の具体的な一実施例によると、ポリマーが含まれた場合、組成物内にフラワーミセルを形成して高温(45,50℃)、室温(25℃)及び低温(4℃)でいずれも安定性が向上したことが見られた(表3)。
【0050】
本発明の上記オイルは、化粧料組成物の全重量に対して0.1%~10%で含有され得、より具体的には1%~5%で含有され得るが、これに制限されない。
【0051】
具体的な一実施例によると、上記化粧料組成物の両末端に疎水性置換基を有するノニオン性ポリマーは油性成分と架橋しながら増粘するため、油性成分であるオイルが1%以上存在してこそポリマー架橋が可能であることを確認した。
【0052】
本発明の他の様態は、両末端に疎水性置換基を有するノニオン性ポリマー及びオイルを有効成分として含む、香り持続性医薬部外品組成物を提供することである。
【0053】
本発明で用いられる用語「医薬部外品組成物」は必要に応じて薬学的に許容可能な担体、賦形剤または希釈剤をさらに含んでもよい。上記薬学的に許容可能な担体、賦形剤または希釈剤は本発明の効果を害しない限り制限されず、例えば、充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩解剤、界面活性剤、潤滑剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などを含んでもよい。
【0054】
本発明の上記医薬部外品組成物は、消毒清潔剤、シャワーフォーム、軟膏液、ウェットティッシュ、コーティング剤などを例示することができ、望ましくは、外用軟膏、ローションなどのような半固形製剤に製造され得るが、これに制限されない。上記医薬部外品の製剤化方法、用量、利用方法、構成成分等は、技術分野において公知となった通常の技術から適宜選択され得る。
【0055】
本発明の上記両末端に疎水性置換基を有するノニオン性ポリマー及びオイルを有効成分として含む組成物は、パーソナルケア製品に含まれ得る。
【0056】
本発明でおいて、「パーソナルケア製品」は、ヒト及び動物の皮膚、毛髪、頭皮、及びつめを含む身体に適用される化粧品、ヘアケア製品、洗面用品、コスメシューティカル(cosmeceuticals)、ビューティー補助用品、防虫剤、個人衛生及びクレンジング製品を含むが、これに制限されず、香りが投入されるパーソナルケア組成物にいずれも適用され得る。
【0057】
具体的には、デオドラント、発汗抑制剤、スプレー、スティック及びロールオン製品、シェービング剤、スキンローション、モイスチャライザー、トナー、入浴剤、クレンジング剤、シャンプー、コンディショナー、組み合わせられたシャンプー/コンディショナー、ムース、スタイリングゲル、ヘアスプレー、毛髪染色剤、毛発色剤、毛髪漂白剤、ウェイビング剤、ヘアストレートナー、ネイルポリッシュ、ネイルポリッシュリムーバー、ネイルクリーム及びローション、角質軟化剤、サンスクリーン、防虫剤、老化防止剤、リップスティック、ファウンデーション、フェイスパウダー、アイライナー、アイシャドウ、ブラシ(blushes)、メイクアップ、マスカラ、モイスチャライジング助剤、ボディ及びハンド助剤、スキンケア助剤、フェイス及びネック助剤、トニック、ドレッシング、ヘアグルーミングエイド、エアロゾルフィクサティブ、香り助剤、アフターシェーブ、メイクアップ助剤、ソフトフォーカス用品、夜及び昼スキンケア助剤、非着色毛髪助剤、ターニング助剤、合成及び非合成石鹸バー、ハンドリキッド、ノーズストリップ、パーソナルケア用不織布用品、ベビーローション、ベビーバス及びシャンプー、ベビーコンディショナー、シェービング助剤、キューカンバスライス、スキンパッド、メイクアップリムーバ、フェイシャルクレンジング剤、コールドクリーム、サンスクリーン剤、ムース、スプリッツ、ペーストマスク及びマッド、フェイスマスク、コロン及び化粧水、ヘアキューティクルコート、シャワーゲル、フェイス及びボディウォッシュ、パーソナルケアリンスオフ剤、ゲル、フォームバス、スクラビングクレンザー、アストリンゼント、ネイルコンディショナー、アイシャドウスティック、フェイスまたはアイ用パウダー、リップバーム、リップグロス、ヘアケアポンプスプレー及びその他非エアロゾルスプレー、ヘアフリーズコントロールゲル、ヘアリーブインコンディショナー、ヘアポマード、ヘアデタングリング剤、毛髪固定剤、ヘアブリーチ剤、スキンローション、プレシェーブ及びプレエレクトリックシェーブ、無水クリーム及びローション、油/水型、水/油型、マルチプルマクロ及びマイクロエマルジョン、耐水性クリーム及びローション、にきび皮膚用助剤、口腔洗浄剤、マッサージオイル、歯磨き粉、クリアゲル及びスティック、軟膏ベース、局部傷治癒剤、エアロゾルタルク、バリアスプレー、ビタミン及び老化防止助剤、ハーブ抽出物助剤、バスソルト、バス及びボディミルク、ヘアスタイリングエイド(hair styling aids)、ヘア-、アイ-、ネイル-及びスキン-ソフト用品、放出調節パーソナルケア剤、ヘアコンディショニングミスト、スキンケアモイスチャライジングミスト、スキンワイプ、ポアスキンワイプ、ポアクレンザー、ブレミシュ・リデューサー、スキンエクスフォリエーター、剥皮改善剤、スキンタオルレット及びクロース、除毛剤、パーソナルケア潤滑剤及びネイル着色助剤を含むが、これに制限されない。
【0058】
実施例1:両末端に疎水性置換基を有するノニオン性ポリマーを含む化粧料組成物の製造
ジメチコン、ヘキシルデシルエチルヘキサノエート、スクワラン、ネオペンチルグリコールジカプレート、PEG-40ステアレート、ソルビタンステアレート、グリセリルステアレート、PEG-100ステアレート、セテアリルアルコールを計量後に高温で溶解、分散させた。その後、精製水、グリセリン、トリソジウムEDTA、1,2-ヘキサンジオール、カルボマー、アクリレート/C10-30アルキルアクリレートクロスポリマー、PEG-150/デシルアルコール/SMDIコポリマーを計量後にディスパー(disper)で、常温で攪拌した後、混合して高温で攪拌した。その後、上記高温で溶解及び分散させた材料を入れて乳化させた後に香りを入れてトロメタミンで中和した。
【0059】
上記化粧料組成物の材料中、両末端に疎水性置換基を有するノニオン性ポリマー(PEG-150/デシルアルコール/SMDIコポリマー)の量を異にして実験例1~4及び比較例1~2のグループに分けて比較実験した。各化粧料組成物の含量は表1に表示した。
【0060】
【0061】
実施例2:両末端に疎水性置換基を有するノニオン性ポリマーの含量による粘度測定
両末端に疎水性置換基を有するノニオン性ポリマー中の一つであるHEUR Polymer(Hydrophobically modified Ethoxylated Urethane)中のPEG-150/デシルアルコール/SMDIコポリマーを用いて実験した。PEG-150/デシルアルコール/SMDIコポリマーの含量は実験例1~4で総化粧料組成物質量比それぞれ0.5、2、5、10%で添加し、比較例1の場合、PEG-150/デシルアルコール/SMDIコポリマーを入れず、比較例2の場合には、15%添加した。
【0062】
その結果、上記ポリマーを入れない比較例1は低粘度のエマルジョンが形成され、15%以上入れた比較例2の場合には、含量が高くてクリーム状に変わり、粘度を測定することができなかった。
【0063】
実験例1~4では、いずれもエマルジョンが形成されることが分かり、含量が増えるにつれて粘度が上昇する結果を見ることができた(表2)。
【0064】
上記実験を通じてポリマーの含量が少なくとも0.5%以上になってこそポリマーが油性成分であるオイルと架橋しながら増粘して増粘効果があるということが分かり、ポリマーの含量が0.5%~10%である時、増粘効果が存在しながらも化粧料として用いるのに適した使用感を有することを確認した。
【0065】
【0066】
実施例3.両末端に疎水性置換基を有するノニオン性ポリマーの含量による剤形安定性の測定
ポリマーの含量が剤形安定性に如何なる影響を及ぼすかを調べるために、室温(25℃)と高温(45℃、50℃、CYC)、低温(0℃)で安定性テストを行った。
【0067】
ポリマーを入れない比較例1では、高温で安定性が多少不安定であった。しかし、ポリマーを追加した実験例1では50℃を除いた温度で安定性が向上することが認められ、実験例2、3、4は全温度で安定性が向上することが認められた。ただし、高含量のポリマーを追加した比較例2では低温で弾性のあるゲルが形成されたが、むしろ弾性がなくなりながらぷつぷつ切れる現象が示され、安定性が減少する結果を示した。上記実験を通じてポリマーを用いない場合よりポリマーの使用時には安定性が上昇するが、15%以上の使用時には、むしろ安定性が低下することを確認することができた(表3)。
【0068】
【0069】
実施例4:香りの持続性官能評価
男女11人を対象にして対照群と実験群に分けていずれも両腕内側部位に上記化粧料組成物をそれぞれ塗布後に時間別に香り強度の官能評価を行った。対照群の場合には上記ポリマーを入れない比較例1の組成物を用い、実験群の場合にはポリマーを2%添加した実験例2の組成物を用いた(表1を参照)。
【0070】
上記化粧料組成物を、塗布直後、0.25時間、0.5時間、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間後に香りの強度を0~5点で評価し、その結果は
図2の通りである。
【0071】
実験の結果、塗布直後の香りの強度は類似したが、1時間以後、対照群は香りの強度が急激に減少した。ただし、実験群の場合には、経時につれて香りの強度が緩やかに減少した。特に、対照群の2時間後の香りの強度は1.73と実験群の4時間経過後の数値と類似した。8時間後には実験群と対照群はいずれも平均値は0に近かったが、実験群の場合、実験対象の半分以上が、残香があると(>0)評価した。
【0072】
上記実験により両末端に疎水性置換基を有するノニオン性ポリマーを用いた実験群で香りの持続性がさらに高いことを確認することができた。
【0073】
以上の説明から、本発明が属する技術分野の当業者であれば、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施されうることが理解できるだろう。これに関連し、以上で記述した実施例はあくまで例示的なものであり、限定的なものでないことを理解すべきである。本発明の範囲は上記詳細な説明よりは、後述する特許請求の範囲の意味及び範囲、そしてその等価概念から導かれるあらゆる変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈すべきである。