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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】屋根ユニット構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 7/02 20060101AFI20240619BHJP
   E04B 1/348 20060101ALI20240619BHJP
   E04B 7/00 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
E04B7/02 521A
E04B1/348 L
E04B7/00 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020148281
(22)【出願日】2020-09-03
(65)【公開番号】P2022042723
(43)【公開日】2022-03-15
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】520279661
【氏名又は名称】株式会社アディックス都市建築設計事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100098936
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100098888
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 明子
(72)【発明者】
【氏名】城内 栄作
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-128334(JP,A)
【文献】特開2000-17766(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/00 - 1/36
E04B 7/00 - 7/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸材を組み込んでユニット化した複数のユニットの組立てにより勾配屋根が構築される建築物の屋根ユニット構造において、
妻側とその中間に互いに平行に複数配置された小屋組みパネルユニットと、前記小屋組みパネルユニットの頂部側で架け渡された棟ユニットで構成された骨組みユニットに、屋根パネルユニットが載置された状態で組立てられ、且つ、
前記ユニットには、上側にくるユニットの上側からの落とし込みで下側にくるユニットに対して係止される係止凹凸構造が備えられて、上記組立て状態で係止され
前記小屋組みパネルユニットは、
軸材どうしが接合されてなる三角枠を外枠とする骨組み構造が一対合板またはパネルを挟んで接合されて剛性化されると共に、妻側から見て小屋組みの外形に擬され、
前記三角枠の部分的な変形及び/または欠落により係止凹部が形成されていることを特徴とする屋根ユニット構造。
【請求項2】
請求項1に記載の屋根ユニット構造において、
小屋組みパネルユニットでは、
係止凹部は両側の三角枠に揃った状態でまたは一方側の三角枠に形成されており、前記係止凹部が形成されていない側は外壁側として利用されることを特徴とする屋根ユニット構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載の屋根ユニット構造において、
小屋組みパネルユニットでは、
三角枠の内部で軸材が垂直に渡設されて更に剛性化されていることを特徴とする屋根ユニット構造。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の屋根ユニット構造において、
小屋組みパネルユニットは、
小屋組みの半割り形に擬せられており、組立ての際には割面側が突き合わされることを特徴とする屋根ユニット構造。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の屋根ユニット構造において、
棟ユニットは、
水平面を底面部とし、軸方向垂直断面が五角形になっており、前記底面部側が係止凸部として利用されることを特徴とする屋根ユニット構造。
【請求項6】
請求項5に記載の屋根ユニット構造において、
棟ユニットでは、
複数の軸材が五角形の頂部及び/または辺上に保形された状態で、合板またはパネルで包まれて剛性化されていることを特徴とする屋根ユニット構造。
【請求項7】
請求項6に記載の屋根ユニット構造において、
棟ユニットでは、
複数の水平材が連結材を介して連結されており、軸方向断面から見ると前記水平材と前記連結材とが環状に連なっていることを特徴とする屋根ユニット構造。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の屋根ユニット構造において、
複数の屋根パネルユニットが隣り合う小屋組みパネルユニットの傾斜上面に架け渡されて載置されており、
最下段の屋根パネルユニットは小屋組みパネルユニットに係止されて傾斜状態で支持される係止凸部を有し、
傾斜方向で隣り合う上位側の屋根パネルユニットは下位側の屋根パネルユニットに対して傾斜方向での当接により滑落阻止されていることを特徴とする屋根ユニット構造。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の屋根ユニット構造において、
屋根パネルユニットでは、
傾斜方向で隣り合う上位側の屋根パネルユニットは下位側の屋根パネルユニットよりも厚みがあり、当接側では上面部の延出部分で前記下位側の屋根パネルユニットの上面に被さる水返しが構成されていることを特徴とする屋根ユニット構造。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の屋根ユニット構造において、
屋根パネルユニットでは、
枠部が合板またはパネルで包まれて内部に中空部を備えると共に、屋根仕上げ材が上面に施されていることを特徴とする屋根ユニット構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木造建築物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
木造建築における従来の屋根構造は、小屋束によって荷重を支持する和小屋方式であり、垂木で野地板を支持させているが、この屋根構造の構築についても、施工現場での作業を単純化することが求められている。
【0003】
これに対して、野地板や垂木の機能を備えた屋根パネルが提案されている。また、特許文献1では、屋根全体を一つのユニットにした屋根ユニットが提案されている。
しかしながら、前者では垂木の下側の骨組み構造は従来と同様に構築しなければならず、ユニット化による現場作業の単純化は中途半端に終わっている。一方、後者では、設計の自由度が低くなる。また、クレーンによる吊り上げに耐え得る過剰な強度を持たせるために製造コストの増大を招いてしまう恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-312052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、屋根を複数の適当なユニットに分けて構成し、各ユニットについて軸材を上手く組み込んで必要な剛性を担保すると共に、ユニットどうしの当接形状に工夫を凝らすことで、設計の自由度をある程度残しつつ、現場での作業を単純化できる、新規且つ有用な屋根ユニット構造を提供することを、その目的とする。
また、本発明は、ユニット化の利点を生かして外装仕上げ材まで工場生産を可能とすることでも、現場での作業を単純化できる、新規且つ有用な屋根ユニット構造を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための、[1]の発明は、軸材を組み込んでユニット化した複数のユニットの組立てにより勾配屋根が構築される建築物の屋根ユニット構造において、妻側とその中間に互いに平行に複数配置された小屋組みパネルユニットと、前記小屋組みパネルユニットの頂部側で架け渡された棟ユニットで構成された骨組みユニットに、屋根パネルユニットが載置された状態で組立てられ、且つ、前記ユニットには、上側にくるユニットの上側からの落とし込みで下側にくるユニットに対して係止される係止凹凸構造が備えられて、上記組立て状態で係止されることを特徴とする屋根ユニット構造である。
【0007】
[2]の発明は、[1]に記載の屋根ユニット構造において、小屋組みパネルユニットは、軸材どうしが接合されてなる三角枠を外枠とする骨組み構造が一対合板またはパネルを挟んで接合されて剛性化されると共に、妻側から見て小屋組みの外形に擬され、前記三角枠の部分的な変形及び/または欠落により係止凹部が形成されていることを特徴とする屋根ユニット構造である。
【0008】
[3]の発明は、[2]に記載の屋根ユニット構造において、小屋組みパネルユニットでは、係止凹部は両側の三角枠に揃った状態でまたは一方側の三角枠に形成されており、前記係止凹部が形成されていない側は外壁側として利用されることを特徴とする屋根ユニット構造である。
【0009】
[4]の発明は、[2]または[3]に記載の屋根ユニット構造において、小屋組みパネルユニットでは、三角枠の内部で軸材が垂直に渡設されて更に剛性化されていることを特徴とする屋根ユニット構造である。
【0010】
[5]の発明は、[2]から[4]のいずれかに記載の屋根ユニット構造において、小屋組みパネルユニットは、小屋組みの半割り形に擬せられており、組立ての際には割面側が突き合わされることを特徴とする屋根ユニット構造である。
【0011】
[6]の発明は、[2]から[5]のいずれかに記載の屋根ユニット構造において、棟ユニットは、水平面を底面部とし、軸方向垂直断面が五角形になっており、前記底面部側が係止凸部として利用されることを特徴とする屋根ユニット構造である。
【0012】
[7]の発明は、[6]に記載の屋根ユニット構造において、棟ユニットでは、複数の軸材が五角形の頂部及び/または辺上に保形された状態で、合板またはパネルで包まれて剛性化されていることを特徴とする屋根ユニット構造である。
【0013】
[8]の発明は、[7]に記載の屋根ユニット構造において、棟ユニットでは、複数の水平材が連結材を介して連結されており、軸方向断面から見ると前記水平材と前記連結材とが環状に連なっていることを特徴とする屋根ユニット構造である。
【0014】
[9]の発明は、[1]から[8]のいずれかに記載の屋根ユニット構造において、複数の屋根パネルユニットが隣り合う小屋組みパネルユニットの傾斜上面に架け渡されて載置されており、最下段の屋根パネルユニットは小屋組みパネルユニットに係止されて傾斜状態で支持される係止凸部を有し、傾斜方向で隣り合う上位側の屋根パネルユニットは下位側の屋根パネルユニットに対して傾斜方向での当接により滑落阻止されていることを特徴とする屋根ユニット構造である。
【0015】
[10]の発明は、[1]から[9]のいずれかに記載の屋根ユニット構造において、屋根パネルユニットでは、傾斜方向で隣り合う上位側の屋根パネルユニットは下位側の屋根パネルユニットよりも厚みがあり、当接側では上面部の延出部分で前記下位側の屋根パネルユニットの上面に被さる水返しが構成されていることを特徴とする屋根ユニット構造である。
【0016】
[11]の発明は、[1]から[10]のいずれかに記載の屋根ユニット構造において、屋根パネルユニットでは、枠部が合板またはパネルで包まれて内部に中空部を備えると共に、屋根仕上げ材が上面に施されていることを特徴とする屋根ユニット構造である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の屋根ユニット構造によれば、設計の自由度をある程度残しつつ、現場での作業を単純化できる。
また、本発明の屋根ユニット構造によれば、外装仕上げ材まで工場生産を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態に係る屋根ユニット構造が採用された木造建築物の斜視図である。
図2】第1例の小屋組みパネルユニットの斜視図である。
図3図2の側面図である。
図4】第2例の外壁側の小屋組みパネルユニットの斜視図である。
図5図4の側面図である。
図6】棟ユニットの斜視図である。
図7図6の骨組み構造の斜視図である。
図8】第1例の屋根パネルユニットの斜視図である。
図9図8の骨組み構造の斜視図である。
図10図8の断面図である。
図11】第2例の屋根パネルユニットの斜視図である。
図12図11の断面図である。
図13】第3例の屋根パネルユニットの斜視図である。
図14図13の断面図である。
図15】小屋梁に図2、4の小屋組みパネルユニットを載置した状態を示す斜視図である。
図16図15の小屋組みパネルユニットに図6の棟ユニットを載置した状態を示す斜視図である。
図17図16の小屋組みパネルユニットに図8、11、13の屋根パネルユニットを載置した状態を示す斜視図である。
図18図17の断面図である。
図19図17の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態に係る建築物の屋根ユニット構造1は、軸材を組み込んでユニット化した複数のユニットの組立てにより、勾配屋根が構築されたものであり、木造屋根に適用される。
先ず、第1例の小屋組みパネルユニット3について、説明する。
図2図3に示すように、この小屋組みパネルユニット3は、ほぼ直角三角形の平板状をしており、長い方の隣辺側を底面部3aとした状態で設置される。この小屋組みパネルユニット3は、合板5を背当てにその両板面に軸材の軸方向に平行な側面が当接され適宜な金物による緊結により接合され、且つ軸材どうしも当接した部位で接合されている。軸材は、軸方向に垂直な断面がほぼ正方形になっており、配置位置に応じて水平材、垂直材、傾斜材になっている。また、軸材どうしが当接するのでその当接の向きに応じてそれぞれの端面は垂直面になったり傾斜面になったりしている。そして、合板5の三角形の縁に沿って当接された軸材によって三角枠7が形成されている。
なお、視認の便宜のため、三角枠7を構成する複数の軸材どうしの当接側の端面は図示省略されている。
【0020】
軸材は合板5の両板面に同じように配置されている。
三角枠7は、直角の角部が欠落して係止凹部9になっており、この係止凹部9の凹天面9aと凹側面9bは後述の小屋梁と凹凸係止するようになっている。また、鋭角側が垂直に切頭されて係止凹部11の係止側面11bが構成されている。
三角枠7の頂角は凹んだように変形しており、この変形で係止凹部13が形成されている。この係止凹部13は水平な凹底面13aと傾斜した凹側面13bで凹縁が構成されており、凹側面13bは係止凹部13を上方に向かって広げる方向に傾斜している。
合板5は両側に形成された係止凹部9、9、係止凹部11、11、係止凹部13、13に揃えて切り欠かれており、これらは合板5で仕切られずに連なっている。
【0021】
小屋組みパネルユニット3の上面部3bをなす斜辺に沿った軸材は底面部3a寄りの位置で短い間隔ではあるが欠落しており、この欠落で係止凹部15が形成されている。そして、一方の欠落端からは底面部3aに沿った軸材に向かって垂直に軸材がリブ17として渡設されている。この係止凹部15は三角枠7側の水平な凹底面15aとリブ17側の垂直な凹側面15bと、他方の欠落端側の凹側面15cで凹縁が構成されており、凹側面15b、15cは垂直面になっている。
また、小屋組みパネルユニット3は、直角側には、三角枠7の内部に更にリブ19として軸材が垂直に渡設されている。
【0022】
小屋組みパネルユニット3は、上記のように構成されて剛性化されており、垂直に立ち上がった三角枠7の垂直材7a、リブ17、19が屋根束、三角枠7の傾斜材7bが垂木としての機能を担っている。
小屋組みパネルユニット3は、妻側から見て小屋組みの半割り形に擬せられており、組立ての際には、垂直材7a側が割面となって突き合わされて一つの小屋組みの外形をなしている。
【0023】
次に、第2例の小屋組みパネルユニット21について、説明する。
図4図5に示すように、この小屋組みパネルユニット21は、小屋組みパネルユニット3とほぼ同様な形状になっており、同じ構成の箇所は同じ符号を付すことで説明を省略する。
小屋組みパネルユニット21も、三角形状の合板5を挟んで両板面に軸材が当接され適宜な金物により緊結されて接合されているが、一方の三角枠7には係止凹部9、11、13、15は形成されていない。そして、この一方の三角枠7側の背当て用に、合板5は切欠きの無い完全な三角形になっている。
この一方の三角枠7側は更に合板5が張られて合板5の間にサンドイッチされており、外を向く側の合板5には更に外壁材に準じて防水シート22、外装仕上げ材23が貼着されて複層構造になっている。
【0024】
図15に示すように、小屋組みパネルユニット3、21はそれぞれの板面部を間隔をあけて互いに平行になるように複数設置されており、妻側には小屋組みパネルユニット21が外装仕上げ材23を外に向けて設置され、中間には、小屋組みパネルユニット3が設置される。
【0025】
次に、棟ユニット25について、説明する。
図6図7に示すように、この棟ユニット25は、軸方向に細長く直状に延びて棟木に擬せられており、軸方向に垂直な断面は水平な底面部を有する扁平な五角形になっている。
この棟ユニット25は、上記の小屋組みパネルユニット3、21に組み込まれた軸材よりも細い軸材が複数種類に分けて組み込まれて構成されている。
5本の主材27a、27b、27b、27c、27cが高いに間隔をあけて上記した五角形の角部または辺上に位置するように配置されている。扁平な連結材29が五角形の辺側で隣り合う主材27、27どうしの間に渡設されており、適宜な金物による緊結により連結されて上記の配置関係で固定されている。
そして、合板5に包まれて同様に緊結により接合されて剛性化されている。従って、長いスパンでの架け渡しが可能になっている。
【0026】
主材27は合板5で包まれた状態で外形が五角形になるように、軸方向に垂直な断面については、主材27aはほぼ正方形で上面が三角凸面、下面が三角凹面になっており、主材27bは長方形、主材27cは正方形になっている。
棟ユニット25は水平面を凸底面31aとしており、この凸底面31aを挟んだ両側の凸側面31b、31bが上方に向かってテーパ状に広がっている。この凸底面31aと両側の凸側面31b、31bとで係止凸部31が構成されている。
【0027】
この係止凸部31は上記した小屋組みパネルユニット3、21の係止凹部13に上側から落とし込まれると嵌合する凹凸係止関係になっている。
なお、この凹凸係止で露出する外面には、図示省略するが、後述する屋根パネルユニット33に準じた仕上げが施されて複層構造になっている。
【0028】
次に、第1例の屋根パネルユニット33について、説明する。
図8図9に示すように、この屋根パネルユニット33のパネル本体35は矩形の平板状になっている。内部は、軸材が縦横に並列されると共に互いに適宜な金物により緊結されており、配置場所に応じて、断面サイズや長さが調整されて、外枠37、リブ39になっている。これが合板5に包まれて更に適宜な金物による緊結により接合されて剛性化されている。
内部は軸材どうしの間は中空になっているが、図10に示すように、グラスウール等の断熱材41が充填されている。また、天面をなす合板5の外面には防水シート43が貼着され、更に屋根仕上げ材45が接合されて複層構造になっている。屋根仕上げ材には、金属系、陶器瓦等があるが、いずれも利用可能であり、仕上げ材の種類に応じて、遮音シートや断熱ボード等の下地材を追加することも可能である。
屋根パネルユニット33は上記した構造により十分な耐力を有し、野地板と垂木の機能を併せ持つ。
【0029】
屋根パネルユニット33には係止凸部47、49が備えられており、この係止凸部47、49を介して傾斜状態で静置されるようになっている。
係止凸部47は、軸材で凸条に構成されており、軸方向に垂直な断面が直角三角形になっている。係止凸部47の傾斜上面47aにパネル本体35の下面が当接され、適宜な金物により緊結されて接合されている。長い方の隣辺側が水平な底面47bを構成している。
係止凸部47はパネル本体35の中間に備えられており、傾斜方向上位側には別の係止凸部49が備えられている。
【0030】
この係止凸部49は複数の軸材が組み込まれて構成されており、パネル本体35側に対して主材51が複数の扁平な連結材53を介して連結されて一体化されている。そして、更に合板5で包まれており、適宜な金物による緊結により連結されて上記の配置関係が固定されている。
係止凸部49の傾斜上面49aにパネル本体35の下面が当接され、係止凸部47と同様に接合されている。
係止凸部49の傾斜上面49aの傾斜角度は、傾斜上面47aの傾斜角度と同じに設定されており、且つ、傾斜の向きが揃えられているので、これらの当接により、パネル本体35の勾配が決定される。係止凸部49側がパネル本体35を高く持ち上げた状態になる。
【0031】
係止凸部49は上記した小屋組みパネルユニット3、21の係止凹部15に上側から落とし込まれると嵌合する凹凸係止関係になっている。
一方、係止凸部47は小屋組みパネルユニット3、21の係止凹部11の凹側面11bに当接する。屋根を構築するときには小屋組みパネルユニット3、21を小屋梁の上面に設置するので、小屋梁の上面が露出するが、この上面を凹底面11aとした係止凹部11に係止凸部47が上側から落とし込まれると嵌合する凹凸係止関係になっている。
【0032】
次に、第2例、第3例の屋根パネルユニット55、61について、説明する。
屋根パネルユニット33と同様な構成の箇所は同じ符号を付すことで説明を省略する。
図11図12に示すように、この屋根パネルユニット55のパネル本体57は、屋根パネルユニット33のパネル本体35とほぼ同様な形状になっているが、パネルの厚みが増やされている。また、傾斜状態に設置されたときに下位側にくる縁には水返し59が設けられている。この水返し59はパネル本体57の上面部の縁から延出している。
図13図14に示すように、この屋根パネルユニット61のパネル本体63は、屋根パネルユニット55のパネル本体57よりも小屋組みパネルユニット3、21に載せる部分の長さ寸法が短くなっている一方、更にパネルの厚みが増やされている。また、同様に水返し65が設けられている。反対の上位側にくる縁は垂直の突合せ面61aになっている。
【0033】
上記したように各ユニットが構成されており、これを木造建築物の木造屋根に適用する場合の屋根ユニット構造1の構築方法について説明する。
図15に示すように、小屋梁67の上に、小屋組みパネルユニット21、21が妻側として、小屋組みパネルユニット3はその間に平行に設置される。小屋梁67aは直交方向に並べられて、上面は平面になっているが、一方の小屋梁67aの上には別の小屋梁67bが更に載置されてその端面側に段差が形成されている。この段差が係止凹部9に係止する係止凸部として利用されている。
小屋梁67側とだけでなく、突き合わされて一つの小屋組みの外形をなしている一対の小屋組みパネルユニット3、3どうし、一対の小屋組みパネルユニット21、21も、適宜な金物による緊結により接合される。これらの接合により、係止凹部13、13が連なって1つの係止凹部になる。
【0034】
次に、図16に示すように、一対の棟ユニット25、25が小屋組みパネルユニット3、21の頂部の上側から落とし込まれ、係止凸部31が小屋組みパネルユニット3、21側の係止凹部13、13にそれぞれ係止される。これにより、棟ユニット25は両端部が架け渡された状態になり、更に、適宜な金物による緊結により接合されると、骨組みユニットが完成する。
【0035】
次に、図17に示すように、先ず、傾斜下位側に屋根パネルユニット33が上側から落とし込まれ、係止凸部47が係止凹部11に係止され、係止凸部49が係止凹部15に係止される。続いて、屋根パネルユニット55が上側から落とし込まれ、屋根パネルユニット33側に寄せられてパネル本体57がパネル本体35に当接する。このとき、水返し59はパネル本体35の上側に被さる。最後に、屋根パネルユニット61が上側から落とし込まれ、屋根パネルユニット55側に寄せられてパネル本体63がパネル本体57に当接する。このとき、水返し65はパネル本体57の上側に被さる。
【0036】
屋根パネルユニット55、61は係止凹部を有さないが、傾斜方向下位側に当接することで滑落が阻止されている。
図18図19に示すように、棟ユニット25、屋根パネルユニット33、55、61は係止されており、それぞれ適宜な金物による緊結により凹凸係止側に対して接合される。
【0037】
上記したように、上側から順次落とし込んで載置していくだけで組み立てられるので、屋根束、垂木、野地板等の面倒な組立を行う必要がなく、簡単、かつ、迅速に、図1に示すような屋根を構築することができる。しかも、各ユニットはそれぞれ十分な剛性を有し、且つユニットどうしの結合箇所が工夫されているので、従来のような面倒な作業を必要としない。
【0038】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。
例えば、建築物の下部構造は木造に限定されず、例えば、RC造や鉄骨造でもよい。また、二階建てにも限定されない。
各部材を構成する素材の種類や金具の種類は現在使用され、または将来案出されるものを使用できる。
また、緊結の際のボルト等の金物の通し方向は上側からには限定されない。
更に、屋根パネルユニット33は二箇所で係止されているが、サイズによっては鋭角部側を省略して一箇所にすることもある。合板5に代えてパネルを使用してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1…屋根ユニット構造
3…小屋組みパネルユニット 3a…底面部 3b…上面部 5…合板
7…三角枠 7a…垂直材 7b…傾斜材 9…係止凹部 9a…凹天面
9b…凹側面 11…係止凹部 11a…凹底面 11b…凹側面 13…係止凹部
13a…凹底面 13b…凹側面 15…係止凹部 15a…凹底面 15b…凹側面
15c…凹側面 17…リブ 19…リブ 21…小屋組みパネルユニット
22…防水シート 23…外装仕上げ材 25…棟ユニット
27a、27b、27c…主材 29…連結材 31…係止凸部 31a…凸底面
31b…凸側面 33…屋根パネルユニット 35…パネル本体
37…外枠 39…リブ 41…断熱材 43…防水シート
45…屋根仕上げ材 47…係止凸部 47a…傾斜上面
47b…底面 49…係止凸部 49a…傾斜上面 49b…底面
51…主材 53…連結材 55…屋根パネルユニット 57…パネル本体
59…水返し 61…屋根パネルユニット 61a…突合せ面
63…パネル本体 65…水返し 67…小屋梁

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19