(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】変形機構およびグリッパ
(51)【国際特許分類】
F16F 3/02 20060101AFI20240619BHJP
B25J 15/12 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
F16F3/02
B25J15/12
(21)【出願番号】P 2021082469
(22)【出願日】2021-05-14
【審査請求日】2023-12-27
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ・刊行物 ロボティクス・メカトロニクス講演会2020 講演予稿集 発行日 2020年(令和2年)5月27日 ・集会名 ロボティクス・メカトロニクス講演会2020 開催日 2020年(令和2年)5月27日~30日
(73)【特許権者】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(74)【代理人】
【識別番号】100143834
【氏名又は名称】楠 修二
(72)【発明者】
【氏名】高橋 知也
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 将広
(72)【発明者】
【氏名】多田隈 建二郎
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼根 英里
(72)【発明者】
【氏名】昆陽 雅司
(72)【発明者】
【氏名】田所 諭
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-185576(JP,A)
【文献】特開2010-110846(JP,A)
【文献】特開2019-202376(JP,A)
【文献】特開2020-163531(JP,A)
【文献】特開平01-046041(JP,A)
【文献】特表2018-535005(JP,A)
【文献】国際公開第2010/101132(WO,A1)
【文献】特開2022-123192(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 1/00- 3/12
B25J 15/08-15/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長い板状を成し、少なくとも厚み方向に撓む弾性および長さ方向に沿った軸周りに捻れる弾性を有し、一方の端部が互いに回転可能に連結された1対の変形体と、
各変形体の他方の端部を支持すると共に、各変形体を変形可能に設けられた操作支持部とを有し、
各変形体は、一方の表面を同じ方向に向けた状態で、前記一方の端部を厚み方向に重ねて、前記一方の表面に対して垂直な軸を中心として互いに回転可能に連結されており、
前記操作支持部は、各変形体を前記他方の端部が前記一方の表面に沿って並んで配置されるよう支持しており、各変形体を前記一方の表面に沿って平行を成す第1の状態から、前記一方の端部が前記一方の表面側に撓む第2の状態に変形させるよう、各変形体の前記他方の端部を、前記一方の表面が互いに内側に向く方向に傾けると共に、前記一方の端部側が互いに開く方向に回転させるよう構成されていることを
特徴とする変形機構。
【請求項2】
前記操作支持部は、各変形体の前記他方の端部を、前記一方の表面側で、前記一方の表面に対して垂直方向から所定の方向に傾いた回転軸を中心として回転可能に支持しており、前記所定の方向は、各変形体の前記一方の端部の方向から、他方の変形体の前記他方の端部の方向までの間の方向であり、各変形体を、前記回転軸を中心として前記一方の端部側が互いに開く方向に回転させることにより、前記第1の状態から前記第2の状態に変形可能に構成されていることを特徴とする請求項1記載の変形機構。
【請求項3】
前記操作支持部は、各変形体を前記第1の状態から前記第2の状態に変形させるときとは逆方向に動かすことにより、各変形体を前記第2の状態から前記第1の状態に変形可能に構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の変形機構。
【請求項4】
グリッパ本体と、複数の請求項1乃至3のいずれか1項に記載の変形機構とを有し、
各変形機構は、前記第2の状態で各変形体の前記一方の端部が撓む方向を向かい合わせるよう、前記グリッパ本体に取り付けられていることを
特徴とするグリッパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変形機構およびグリッパに関する。
【背景技術】
【0002】
変形部分の厚みが薄い、いわゆる薄型の変形機構は、薄型であることにより可動域が広がるだけでなく、狭隘な環境に挿入する際に、周りの物体に接触せずに動作が可能であるという特徴を有している。例えば、薄型の変形機構をグリッパに利用した場合、
図12に示すように、狭い隙間に変形部を挿入させた後、対象物の形状に馴染むように変形させることにより、対象物を容易に把持することができる。
【0003】
従来、手元で操作可能な薄型の変形機構としては、様々なものが開発されている。例えば、薄い板材を湾曲変形させるものとして、重ね合わせた2枚の板の内、内側の板を長手方向に前後させることによって湾曲および曲率を変化させるものが、本発明者等により開発されている(例えば、非特許文献1参照)。この変形機構は、根本の入力のみで板材を湾曲させることができるため、動物の解剖などに用いられる湾曲可能なメスとして使用されている。また、ループ状に形成されたワイヤに、弾性を有するチューブを被せ、ワイヤの根元にねじり方向の回転を加えて操作することにより、構造全体を湾曲させるものもある(例えば、非特許文献2または3参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】渡辺将広、林聡輔、清水杜織、郡司芽久、多田隈建二郎、昆陽雅司、田所諭、「組織を三次元曲面に切離可能な能動湾曲式超薄型メス機構」、日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会2019 広島、2019年6月5~8日、1P2-G01
【文献】A. Yamada, S. Naka, N. Nitta, S. Morikawa, and T. Tani, “A Loop-Shaped Flexible Mechanism for Robotic Needle Steering”, IEEE Robot. Autom. Lett., Apr. 2018, vol. 3, no. 2, p. 648-655
【文献】A. Yamada, S. Naka, S. Morikawa, and T. Tani, “MR compatible continuum robot based on closed elastica with bending and twisting”, IROS2014, Sep. 2014, Chicago, IL, USA, p. 3187-3192
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
物体の剛性は、その断面二次モーメントおよび材料のヤング率の2つに依存している。例えば、湾曲する変形機構では、一定断面を保ったまま湾曲するため、断面二次モーメントは初期状態の断面形状に依存する。非特許文献1に記載の変形機構では、板の厚み方向の剛性が板厚に依存しているため、たとえヤング率が高い金属板を用いたとしても、曲げに対する剛性が低いという課題があった。また、非特許文献2および3に記載の変形機構でも同様に、ワイヤの曲げ方向の剛性がワイヤの径に依存しているため、曲げに対する剛性が低いという課題があった。剛性を高めるために板を厚くしたり、径などを太くして、曲げ方向のワイヤの厚みを大きくしたりすると、湾曲時の板やワイヤの伸び量が大きくなるため、湾曲可能範囲が小さくなってしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、薄型のままで剛性を高めることができる変形機構およびグリッパを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る変形機構は、細長い板状を成し、少なくとも厚み方向に撓む弾性および長さ方向に沿った軸周りに捻れる弾性を有し、一方の端部が互いに回転可能に連結された1対の変形体と、各変形体の他方の端部を支持すると共に、各変形体を変形可能に設けられた操作支持部とを有し、各変形体は、一方の表面を同じ方向に向けた状態で、前記一方の端部を厚み方向に重ねて、前記一方の表面に対して垂直な軸を中心として互いに回転可能に連結されており、前記操作支持部は、各変形体を前記他方の端部が前記一方の表面に沿って並んで配置されるよう支持しており、各変形体を前記一方の表面に沿って平行を成す第1の状態から、前記一方の端部が前記一方の表面側に撓む第2の状態に変形させるよう、各変形体の前記他方の端部を、前記一方の表面が互いに内側に向く方向に傾けると共に、前記一方の端部側が互いに開く方向に回転させるよう構成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る変形機構は、以下の原理に従って、1対の変形体を第1の状態から第2の状態に変形させることができる。すなわち、
図1に示すように、1対の変形体11が矩形板から成るものと仮定する。このとき、各変形体11は、一方の表面11aを同じ方向に向けた状態で、一方の端部11cが一方の表面11aに対して垂直な軸11eを中心として互いに回転可能に連結され、他方の端部11dが一方の表面11aに沿って並んで配置されている。第1の状態は、各変形体11が、一方の表面11aに沿って平行を成している状態である。この第1の状態から、操作支持部により、各変形体11の他方の端部11dを、一方の表面11aが互いに内側に向く方向に傾けると共に、一方の端部11c側が互いに開く方向に回転させる(
図1(a)のA方向の回転)。このとき、各変形体は、一方の端部11cが厚み方向に重ねて連結されており、
図1(a)のA方向には曲がりにくいため、一方の端部11cの軸11eを中心として回転しながら、B方向の曲げと、C方向の捻りとを組み合わせた変形が発生する。このC方向の捻りにより、
図1(b)に示すように、各変形体11は、断面視で、互いに平行ではなく、角度がついた状態になる。こうして、各変形体11の一方の端部11cが一方の表面11a側に撓んで湾曲した第2の状態に変形させることができる。
【0009】
本発明に係る変形機構は、
図1に示すように、1対の変形体を湾曲させると共に、互いに角度がついた状態に変形させることにより、断面二次モーメントを増加させることができ、各変形体が薄型のままで剛性を高めることができる。例えば、
図1(a)に示す2方向(A方向およびB方向)への曲げを1枚の板1で実現しようとすると、
図2(a)に示すように、まず、板1をハーフパイプ状に変形させることにより、曲げ剛性を大きく増加させることができるが、さらに、その変形の内側方向に湾曲させようとすると、一箇所で局所的に座屈が発生してしまう。このため、1枚の板1では、2方向の曲げを実現するのは困難である。これに対し、本発明に係る変形機構は、
図2(b)に示すように、1対の変形体11のなす角度を変化させることにより、断面二次モーメントが大きい高剛性形状にすることができ、さらに、各変形体11を別々に湾曲させることができるため、2方向の曲げを実現し、全体を湾曲させることができる。
【0010】
本発明に係る変形機構は、
図1に示すような第2の状態のとき、各変形体11が、互いに角度がついた状態で、一方の端部11cが一方の表面11a側に撓んで湾曲しているため、一方の端部11cをさらに一方の表面11a側に曲げるのは容易であるが、他方の表面11b側には曲がりにくい。このため、第2の状態で、各変形体に湾曲の外側から力が加わっても、柔軟に変形して破損するのを防ぐことができる。また、各変形体の湾曲の内側の物体を把持したり持ち上げたりする際などには、変形することなくその機能を発揮することができる。このため、例えば、グリッパの指などとして使用したとき、
図12に示すような狭い隙間に第1の状態の各変形体を挿入させた後、各変形体を第2の状態に変形させることにより、対象物を把持したり持ち上げたりすることができる。
【0011】
本発明に係る変形機構で、各変形体は、例えば、平面形状が矩形状や楕円形状のものなど、細長い板状であれば、いかなる形状を成していてもよい。また、各変形体は、少なくとも厚み方向に撓む弾性および長さ方向に沿った軸周りに捻れる弾性を有していれば、いかなるものから成っていてもよい。各変形体は、金属や樹脂、木、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)など、板状にしたときに、厚み方向には変形しやすく、幅方向には曲がりにくい素材から成ることが特に好ましい。
【0012】
本発明に係る変形機構で、前記操作支持部は、各変形体の前記他方の端部を、前記一方の表面側で、前記一方の表面に対して垂直方向から所定の方向に傾いた回転軸を中心として回転可能に支持しており、前記所定の方向は、各変形体の前記一方の端部の方向から、他方の変形体の前記他方の端部の方向までの間の方向であり、各変形体を、前記回転軸を中心として前記一方の端部側が互いに開く方向に回転させることにより、前記第1の状態から前記第2の状態に変形可能に構成されていることが好ましい。この場合、所定の方向に傾いた回転軸を中心とした、1自由度の回転入力のみで、各変形体を第1の状態から第2の状態に変形させることができる。
【0013】
本発明に係る変形機構で、前記操作支持部は、各変形体を前記第1の状態から前記第2の状態に変形させるときとは逆方向に動かすことにより、各変形体を前記第2の状態から前記第1の状態に変形可能に構成されていることが好ましい。この場合、各変形体を第2の状態から第1の状態に戻すことができるため、各変形体を第1の状態と第2の状態との間で繰り返し変形させることができる。
【0014】
本発明に係るグリッパは、グリッパ本体と、複数の本発明に係る変形機構とを有し、各変形機構は、前記第2の状態で各変形体の前記一方の端部が撓む方向を向かい合わせるよう、前記グリッパ本体に取り付けられていることを特徴とする。
【0015】
本発明に係るグリッパは、複数の本発明に係る変形機構を、グリッパの指として利用することができる。本発明に係る変形機構は、グリッパに限らず、物体をすくい上げる装置や、車輪用のグローサ(段差乗り越え用の表面突起)、配管点検ロボットのような狭隘環境への進入装置の屈曲動作用の構造、刃の部分を湾曲させることができる刃物などとしても利用することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、薄型のままで剛性を高めることができる変形機構およびグリッパを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施の形態の変形機構の原理を示す(a)斜視図、(b)各変形体の厚み方向に沿った断面図である。
【
図2】本発明の実施の形態の変形機構の原理に関し、(a)変形体が1枚のときの変形状態を示す斜視図、(b)変形体が1対のときの変形状態を示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施の形態の変形機構の、(a)第1の状態のときの斜視図、(b)平面図、(c)側面図、および(d)背面図、(e)第2の状態のときの斜視図、(f)平面図、(g)側面図、および(h)背面図である。
【
図4】本発明の実施の形態の変形機構の、第2の状態のときに、(a)各変形体の湾曲の外側の方向に荷重が加わったときの斜視図、および(b)側面図、(c)各変形体の湾曲の内側の方向に荷重が加わったときの斜視図、および(d)側面図である。
【
図5】本発明の実施の形態の変形機構の、各回転リンクの回転軸の角度α
iごとの、各変形体のY軸周りの回転角度βと、Z軸周りの回転角度γとの関係を示すグラフである。
【
図6】本発明の実施の形態の変形機構の、各回転リンクを回転させたときの、各変形体の変形および剛性の変化を測定する実験の実験装置を示す斜視図である。
【
図7】本発明の実施の形態の変形機構の、各回転リンクの回転角度θと、各変形体の変形角度ψとの関係を示すグラフである。
【
図8】本発明の実施の形態の変形機構の、α
i=45°、θ=15°のときの、各変形体の湾曲の内側方向(柔軟方向)および外側方向(固い方向)への引張量と張力との関係を示すグラフである。
【
図9】本発明の実施の形態の変形機構の、(a)各回転リンクの回転角度θと、柔軟方向および固い方向での各変形体の剛性との関係、(b)各回転リンクの回転角度θと、固い方向での座屈時の力との関係を示すグラフである。
【
図10】本発明の実施の形態の変形機構の、各回転リンクの回転軸が、(a)Z軸方向からX軸方向に傾いているもの(X軸方向傾斜)、(b)Z軸方向からY軸方向に傾いているもの(Y軸方向傾斜)を示す、支持台および各回転リンクを拡大した斜視図である。
【
図11】
図10に示す各変形機構の、各変形体を湾曲の外側方向に変形させたときの、曲げ方向のバネ定数と、各変形体の一方の端部の軸の引き上げ量との関係を示すグラフである。
【
図12】薄型の変形機構をグリッパに利用したときの、狭隘な環境に挿入して対象物を把持する様子を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。
図3乃至
図11は、本発明の実施の形態の変形機構を示している。
図3に示すように、変形機構10は、1対の変形体11と操作支持部12とを有している。なお、1対の変形体11は、
図1と同じ構成を有しているため、
図1と同じ符号を使用する。
【0019】
図3(a)~(d)に示すように、各変形体11は、薄く細長い金属板から成り、厚み方向に撓む弾性および長さ方向に沿った軸周りに捻れる弾性を有している。各変形体11は、一方の表面11aを同じ方向に向けた状態で、一方の端部11cを厚み方向に重ねた状態で連結されている。各変形体11は、一方の端部11cが、一方の表面11aに対して垂直な軸11eを中心として互いに回転可能に連結されている。
【0020】
操作支持部12は、支持台21と1対の回転リンク22と操作手段(図示せず)とを有している。支持台21は、表面に、所定の間隔をあけて、同じ方向に突出して設けられた1対の突出部21aを有している。各突出部21aは、先端に平坦な載置面21bを有している。各載置面21bは、各突出部21aの突出方向に対して垂直な面を、各突出部21aの並び方向に沿った軸を中心として、所定の角度回転させた面に対して平行に設けられている。各載置面21bは、一つの平面上に配置されるよう設けられている。
【0021】
各回転リンク22は、円柱状を成し、一方の表面22aを各突出部21aの載置面21bに接触させて、載置面21bに対して垂直な回転軸22cを中心として回転可能に取り付けられている。各回転リンク22は、載置面21bに対して回転させたとき、所定の回転位置で、他方の表面22bが、各突出部21aの突出方向に対して垂直な面に平行を成すよう設けられている。また、各回転リンク22は、その所定の回転位置のとき、他方の表面22bが一つの平面上に配置されるよう設けられている。
【0022】
操作手段は、各回転リンク22を、互いに反対回りに、同じ回転量で回転させるよう構成されている。操作手段は、各回転リンク22の他方の表面22bが一つの平面上に配置される所定の回転位置のときを起点として、各回転リンク22を、他方の表面22bが互いに向き合う方向に回転させると共に、それとは逆方向に回転させて起点まで戻すよう構成されている。操作手段は、各回転リンク22を回転操作可能であれば、いかなる構成であってもよく、例えば、各回転リンク22にそれぞれ逆方向に巻き付けた1対のワイヤなどから成っている。
【0023】
各変形体11は、他方の端部11dの他方の表面11bを、それぞれ各回転リンク22の他方の表面22bに載せた状態で、他方の端部11dが各回転リンク22に固定されて支持されている。各変形体11は、各回転リンク22の他方の表面22bが一つの平面上に配置される所定の回転位置のとき、その平面に対して平行、かつ、一方の端部11cが各突出部21aの載置面21bが向いた方向に伸びるよう、各回転リンク22に固定されている。これにより、各変形体11は、他方の端部11dが一方の表面11aに沿って並んで配置されるよう、操作支持部12で支持されている。また、各変形体11は、各回転リンク22の回転と共に他方の端部11dが回転し、その回転と共に変形するよう構成されている。
【0024】
これにより、各回転リンク22は、各変形体11の一方の表面11aに対して垂直方向から、各変形体11の一方の端部11cの方向に傾いた回転軸22cを中心として回転可能になっている。各回転リンク22の回転軸22cは、互いに平行を成している。
【0025】
変形機構10は、各回転リンク22を、他方の表面22bが互いに向き合う方向に回転させることにより、各変形体11の他方の端部11dを、一方の表面11aが互いに内側に向く方向に傾けると共に、一方の端部11c側が互いに開く方向に回転させるよう構成されている。これにより、
図1に示す原理に従って、
図3(a)~(d)に示す、各変形体11を一方の表面11aに沿って平行を成す第1の状態から、
図3(e)~(h)に示す、一方の端部11cが一方の表面11a側に撓む第2の状態に変形可能になっている。また、変形機構10は、各回転リンク22を逆向きに回転させることにより、各変形体11を、
図3(e)~(h)に示す第2の状態から、
図3(a)~(d)に示す第1の状態に変形可能になっている。
【0026】
次に、作用について説明する。
変形機構10は、各変形体11を、
図3(a)~(d)に示す第1の状態と、
図3(e)~(h)に示す第2の状態との間で繰り返し変形させることができる。このとき、変形機構10は、各回転リンク22の回転軸22cを中心とした、1自由度の回転入力のみで、各変形体11を第1の状態と第2の状態との間で変形させることができる。第2の状態は、各変形体11が湾曲すると共に、互いに角度がついた状態であるため、断面二次モーメントを増加させることができ、各変形体11が薄型のままで剛性を高めることができる。このように、変形機構10は、各変形体11のなす角度を変化させることにより、断面二次モーメントが大きい高剛性形状にすることができ、さらに、各変形体11を別々に湾曲させることにより、2方向の曲げを実現し、全体を湾曲させることができる。
【0027】
変形機構10は、第2の状態のとき、各変形体11が、互いに角度がついた状態で、一方の端部11cが一方の表面11a側に撓んで湾曲しているため、一方の端部11cをさらに一方の表面11a側に曲げるのは容易であるが、他方の表面11b側には曲がりにくい。これは、第2の状態のとき、曲げ方向によって、各変形体11にかかる荷重が圧縮方向と引張方向とで逆転することが原因である。例えば、
図4(a)および(b)に示すように、Aの方向(各変形体11の湾曲の外側の方向)に曲げモーメントが発生するような荷重が加わった場合、各変形体11には引張方向の力が発生するため、変形しにくい。このため、各変形体11の湾曲の内側の物体を把持したり持ち上げたりする際に、変形することなくその機能を発揮することができる。一方、
図4(c)および(d)に示すように、Bの方向(各変形体11の湾曲の内側の方向)に曲げモーメントが発生するような荷重が加わった場合、各変形体11に圧縮力が加わるため、容易に座屈して全体の曲げ曲率が大きくなるように変形する。このため、各変形体11に湾曲の外側に何かが衝突したり何かに接触したりして力が加わっても、柔軟に変形して破損するのを防ぐことができる。
【0028】
変形機構10は、各変形体11を第1の状態と第2の状態との間で変形させるためには、
図3に示すY軸周りおよびZ軸周りの両方の回転を行う必要がある。変形機構10は、Z軸周りの回転に加えて、Y軸回りの回転を行うことにより、第1の状態から滑らかに回転を始めることができると共に、各変形体11の湾曲方向を制御することもできる。また、Y軸回りの回転により、第2の状態のときの各変形体11の高剛性化が可能である。
【0029】
なお、変形機構10で、各変形体11は、矩形板状のものに限らず、平面形状が楕円形状のものなど、細長い板状であれば、いかなる形状を成していてもよい。また、各変形体11は、金属に限らず、板状にしたときに、少なくとも厚み方向に撓む弾性および長さ方向に沿った軸周りに捻れる弾性を有し、厚み方向には変形しやすく、幅方向には曲がりにくい素材であれば、樹脂、木、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)など、いかなるものから成っていてもよい。
【0030】
また、変形機構10で、各回転リンク22は、
図3に示すように、各変形体11の一方の表面11aに対して垂直方向から、各変形体11の一方の端部11cの方向に傾いた回転軸22cを中心として回転するものに限らず、各変形体11の一方の表面11aに対して垂直方向から、所定の方向に傾いた回転軸22c、すなわち、各変形体11の一方の端部11cの方向から、他方の変形体11の他方の端部11dの方向までの間の方向に傾いた回転軸22cを中心として回転するよう構成されていてもよい。
【0031】
変形機構10は、例えば、第2の状態で各変形体11の一方の端部11cが撓む方向を向かい合わせるよう、複数をグリッパ本体に取り付けることにより、グリッパの指として利用することができる。また、変形機構10は、グリッパに限らず、物体をすくい上げる装置や、車輪用のグローサ(段差乗り越え用の表面突起)、配管点検ロボットのような狭隘環境への進入装置の屈曲動作用の構造、刃の部分を湾曲させることができる刃物などとしても利用することができる。
【0032】
[各回転リンク22の回転軸22cの角度と、各変形体11の回転角度との関係について]
各回転リンク22の回転軸22cの角度と、各変形体11の回転角度との関係を、計算により求めた。計算では、
図3(c)に示すように、各回転リンク22の回転軸22cが、Y-Z平面に平行を成し、その回転軸22cと他方の表面22b(各変形体11の一方の表面11a;Y軸)との成す角をα
iとし、各回転リンク22の回転角度をθ、各変形体11のY軸周りおよびZ軸周りの回転角度を、それぞれβおよびγとした。α
iが30度、45度、60度のとき、それぞれθを5度~30度まで、5度間隔で回転させたときのβおよびγを求め、
図5に示す。
図5に示すように、α
iがいずれの角度であっても、βとγとは比例することが確認された。
【0033】
ここで、βを大きくすることにより、各変形体11同士の成す角が大きくなるため、断面二次モーメントを増加させて剛性を高めることができる。また、γを大きくすることにより、各変形体11の先端でのX軸方向への変位が大きくなるため、各変形体11の湾曲の変位量を大きくすることができる。また、
図5に示すように、α
iを大きくすることにより、γが大きくなっても、βの増加が小さく抑えられるため、各変形体11のねじれを大きくすることができる。また、第1の状態での、各変形体11のZ軸に対する角度γ
0を90度に近づけることにより(各変形体11の他方の端部11d側での間隔を狭くすることにより)、Z軸周りの回転に対するX軸方向の変位が大きくなるため、各変形体11の湾曲の変位量を大きくすることができる。
【実施例1】
【0034】
各回転リンク22を回転させたときの、各変形体11の変形および剛性の変化を測定する実験を行った。実験は、各回転リンク22の回転軸22cの角度αiが30度、45度、60度のときのそれぞれについて行った。実験では、各回転リンク22の回転角度θを5度~30度まで、5度間隔で回転させたときの各変形体11について、それぞれの回転角度のときの変形および剛性を測定した。
【0035】
[実験装置]
実験に用いた装置を、
図6に示す。
図6に示すように、実験装置は、1対のレール基台31と1対のプーリー32と固定部材33と回転ローラ34とを有している。各レール基台31は、互いに平行に配置されている。各プーリー32は、それぞれ各レール基台31の外側に配置され、対応するレール基台31を貫通して取り付けられている。各プーリー32は、各レール基台31の並び方向に沿った回転軸32aを中心として回転可能に、ベアリングを介して各レール基台31に取り付けられている。
【0036】
固定部材33は、各レール基台31に掛け渡されるよう、両端が各レール基台31の内側で各プーリー32に取り付けられている。固定部材33は、各プーリー32と共に回転し、各プーリー32に回転トルクのみを伝達可能に設けられている。固定部材33は、各変形体11が各レール基台31の伸張方向に沿って伸びるよう、各変形体11の他方の端部11dを固定するための1対の取付部33aを有している。固定部材33は、各回転リンク22の回転軸22cの角度α
iが異なるそれぞれの場合について、各取付部33aの形状が、θを5度~30度まで、5度間隔で回転させたときの各回転リンク22の他方の表面22bの形状を再現した、複数種類から成っている。固定部材33は、
図5に示す計算結果から各回転リンク22の形状を求め、その形状に基づいて、それぞれ3Dプリンタを用いて製造されている。
【0037】
回転ローラ34は、円柱状のローラ本体34aと1対の軸部材34bとを有している。ローラ本体34aは、中心軸を通る平面で2つに分割可能になっており、その間に各変形体11の一方の端部11cを挟んで固定可能に設けられている。ローラ本体34aは、各変形体11の一方の端部11cを挟んだ状態で、各変形体11の一方の端部11cの軸11eを貫通するよう、外側からピン34cで自身と各変形体11とを固定するようになっている。これにより、各変形体11の一方の端部11cを固定すると共に、ピン34cを中心として各変形体11を互いに回転可能になっている。
【0038】
各軸部材34bは、ローラ本体34aの両端面の中心部から、ローラ本体34aの中心軸に沿って外側に伸びるよう設けられている。各軸部材34bは、ローラ本体34aとは独立してローラ本体34aの中心軸周りに回転するよう、ベアリングを介してローラ本体34aに取り付けられている。回転ローラ34は、各レール基台31に掛け渡されるよう、各軸部材34bをそれぞれ各レール基台31の上に載せた状態で取り付けられている。回転ローラ34は、各軸部材34bが回転することにより、各レール基台31の伸張方向に沿って、各レール基台31の上を移動可能になっている。また、その移動とは独立して、ローラ本体34aが回転可能になっている。
【0039】
[回転角度と変形量との関係]
まず、回転角度θと、各変形体11の一方の端部11cの変形量との関係を求める実験を行った。実験は、各変形体11の一方の端部11cをローラ本体34aに固定し、各変形体11の他方の端部11dを固定部材33の各取付部33aに固定した状態で行った。実験では、各変形体11として、厚みが0.1mm、一方の端部11cの軸11e(ピン34cの位置)から他方の端部11dの回転軸(各回転リンク22の回転軸22cに対応する位置)までの長さL(
図3参照)が50mm、長さLに垂直な方向の幅が12.7mmのステンレス製(SUS304H)の矩形板を用いた。実験では、各変形体11は、他方の端部11dの回転軸の間隔d(
図3参照)が20mmとなるよう固定部材33に固定した。また、実験は、各回転リンク22の回転軸22cの角度α
iが30度、45度、60度のときのそれぞれについて、各回転リンク22の回転角度θを5度~30度まで、5度間隔で回転させたときの各変形体11の形状を再現するために、固定部材33をそれらの角度に対応するものに取り替えながら行った。
【0040】
α
iおよびθを変えたときの、各変形体11の一方の端部11cの軸11e(ピン34cの位置)の、Y軸およびZ軸(
図3参照)での位置を測定した。その測定位置と、他方の端部11dの回転軸(各回転リンク22の回転軸22cに対応する位置)Y軸およびZ軸の位置との差を、それぞれΔyおよびΔzとし、(1)式により変形角度ψを求めた。
ψ=atan(Δz/Δy) (1)
【0041】
各回転角度θと、求められた変形角度ψとの関係を、
図7に示す。
図7に示すように、いずれのα
iでも、回転角度θが大きくなると共に、変形角度ψが大きくなることが確認された。また、回転角度θが小さいときには、変形角度ψの変化量が大きく、回転角度θが大きくなるに従って、変形角度ψの変化量が小さくなることも確認された。
【0042】
[回転角度と剛性との関係]
次に、回転角度θと、各形状での各変形体11の剛性との関係を求める実験を行った。実験では、
図6に示すように、各変形体11の一方の端部11cと他方の端部11dとを結ぶ線分に垂直な方向の力をかけるために、一方のプーリー32にワイヤ35を巻き付け、そのワイヤ35を引っ張って各プーリー32と共に固定部材33を回転させ、各変形体11を変形させた。各変形体11の変形方向は、湾曲の内側方向(以下、「柔軟方向」という)と外側方向(以下、「固い方向」という)の2方向とした。実験では、ワイヤ35を引張試験機で引張り、そのときのワイヤ35の引張量と張力との関係を記録した。また、初期状態での実験装置の組み立て誤差による静止摩擦力の影響によって発生するばらつきをなくすために、各条件で6回の測定を行い、最初の1回を除いた5回の測定値の平均値を測定結果とした。
【0043】
その測定結果のうち、α
i=45°、θ=15°のときの結果を、
図8に示す。
図8に示すように、柔軟方向では、引張量の増加と共に、徐々に張力も大きくなっていくことが確認された。これに対し、固い方向では、2つのピークが存在することが確認された。1つ目のピーク(図中のDの位置)は、各変形体11の他方の端部11d側で発生する局所的な座屈であると考えられる。2つ目のピーク(図中のEの位置)は、座屈後に各変形体11の曲げが大きくなり、塑性変形が始まったときの降伏点であると考えられる。また、2つ目のピーク後には、最終的に飛び移り座屈が発生し、板全体の湾曲形状が反転して、急激に荷重が0になると考えられる(図中のFの位置)。
【0044】
この引張量と張力との関係を示す測定結果から、以下の手順で剛性を評価した。まず、測定結果を、プーリー32の半径から、各変形体11に加わるモーメントと角度変位との関係に変換した。さらに、その関係を、
図7中に示すΔyおよびΔzの測定結果に基づいて、各変形体11の一方の端部11cに発生する力と変位との関係に変換した。このとき、実際には、各変形体11の一方の端部11cは変位していないが、角度変位によってその位置が移動したものと仮定した。
【0045】
こうして求めた力と変位との関係から、剛性として、以下の2つを評価した。1つ目は、変位が小さいときには、力と変位との関係が線形であると仮定して、変位と力の傾きを計算し、これを剛性として評価した。その傾きは、実験装置の摩擦の影響を取り除くために、ワイヤ35に張力が0.75Nかかったときから3mm変位したとき区間の傾きとした。なお、3mm変位する前に座屈したときには、1mm変位したときの区間の傾きとした。このときの、回転角度θと剛性との関係を、
図9(a)に示す。
【0046】
2つ目は、各変形体11にかけることができる力の最大値は、座屈時(
図8のDの位置)の力であるため、その座屈時の力を求め、これを剛性として評価した。このとき、回転角度θと座屈時の力との関係を、
図9(b)に示す。なお、座屈は固い方向でしか発生しないため、
図9(b)は、固い方向の結果のみとなっている。
【0047】
図9(a)に示すように、柔軟方向および固い方向のいずれでも、回転角度θが大きくなるに従って、剛性が高くなることが確認された。特に、固い方向では、各変形体11が変形していないとき(θ=0°のとき)と比べると、剛性が、最大で8.7倍(α
i=30°、θ=25°のとき)になっていることが確認された。また、同じ条件のときには、柔軟方向の剛性に比べて、固い方向の剛性が2倍~3倍程度に増加していることも確認された。また、
図9(b)に示すように、座屈時の力で評価しても、回転角度θが大きくなるに従って、剛性が高くなることが確認された。
【実施例2】
【0048】
各回転リンク22の回転軸22cの方向を変えたときの、剛性の変化を測定する実験を行った。実験は、各回転リンク22の回転軸22cが、
図10(a)に示すように、Z軸方向(各変形体11の一方の表面11aに対して垂直方向)から、X軸方向(他方の変形体11の他方の端部11dの方向)に傾いているもの、および、
図10(b)に示すように、Z軸方向から、Y軸方向(各変形体11の一方の端部11cの方向)に傾いているもの(
図3に示すものと同じ方向に傾いているもの)に対して行った。各回転リンク22の回転軸22cの傾きは、いずれもZ軸から45度とした。
【0049】
実験では、各変形体11として、厚みが0.1mm、一方の端部11cの軸11eから他方の端部11dの回転軸(各回転リンク22の回転軸22cに対応する位置)までの長さL(
図3参照)が50mm、長さLに垂直な方向の幅が12.7mmのステンレス製(SUS304H)の矩形板を用いた。実験では、各変形体11は、他方の端部11dの回転軸の間隔d(
図3参照)を20mmとした。また、実験では、操作手段として、各回転リンク22にそれぞれ逆方向に巻き付けた1対のワイヤ23を用いた。実験では、各ワイヤ23を引いて各回転リンク22の回転軸22cを中心として各変形体11を回転させ、各変形体11の一方の端部11cの軸11eの位置が、変形前から0mm(変形なし)、10mm、20mm、30mm引き上げられたときの剛性をそれぞれ測定した。実験では、各変形体11の一方の端部11cの軸11eに糸を通し、この糸に引張試験機で張力をかけて、各変形体11を湾曲の外側方向(湾曲とは反対方向)に5mm変形させ、そのときの引張荷重を測定した。その測定値から、各変形体11の変形量(5mm)と、各変形体11にかかる曲げモーメントとの関係に基づいて、曲げ方向のバネ定数を計算した。
【0050】
得られたバネ定数と、各変形体11の一方の端部11cの軸11eの引き上げ量との関係を、
図11に示す。
図11に示すように、
図10(a)のX軸方向傾斜の場合、および、
図10(b)のY軸方向傾斜の場合のいずれの場合でも、各変形体11の湾曲が大きくなるに従って、バネ定数も大きくなることが確認された。また、どの条件でも、Y軸方向傾斜の方が、X軸方向傾斜よりもバネ定数が大きくなっており、剛性が高くなっていることが確認された。しかし、湾曲が大きくなり、各変形体11の一方の端部11cの軸11eの位置が30mm程度になると、バネ定数はほぼ同じ程度になっており、剛性も同じ程度になるものと考えられる。この結果から、各回転リンク22の回転軸22cの傾き方向が、少なくとも
図10(b)に示すY軸方向傾斜から、
図10(a)に示すX軸方向傾斜までの間の方向であれば、バネ定数が
図11に示す2つの場合の間の値になり、各変形体11の剛性を高めることができると考えられる。
【符号の説明】
【0051】
10 変形機構
11 変形体
11a 一方の表面
11b 他方の表面
11c 一方の端部
11d 他方の端部
11e 軸
12 操作支持部
21 支持台
21a 突出部
21b 載置面
22 回転リンク
22a 一方の表面
22b 他方の表面
22c 回転軸
23 ワイヤ
31 レール基台
32 プーリー
32a 回転軸
33 固定部材
33a 取付部
34 回転ローラ
34a ローラ本体
34b 軸部材
34c ピン
35 ワイヤ