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  • 特許-滑走路照明灯の検査装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】滑走路照明灯の検査装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/125 20200101AFI20240619BHJP
   G01N 21/84 20060101ALI20240619BHJP
   G01N 21/88 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
H05B47/125
G01N21/84 B
G01N21/88 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022199982
(22)【出願日】2022-12-15
(62)【分割の表示】P 2021117849の分割
【原出願日】2016-09-23
(65)【公開番号】P2023040007
(43)【公開日】2023-03-22
【審査請求日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】P 2015200433
(32)【優先日】2015-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】519147348
【氏名又は名称】株式会社ホタルクス
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201732
【弁理士】
【氏名又は名称】松縄 正登
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(72)【発明者】
【氏名】溝邊 憲政
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-275723(JP,A)
【文献】特開平7-329895(JP,A)
【文献】特開平11-72327(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/125
G01N 21/84
G01N 21/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明灯を検知する照明灯検知手段と、
前記照明灯検知手段が前記照明灯を検知したときに、前記照明灯の画像を取得する画像取得手段と、
前記画像取得手段により取得された前記照明灯の画像を送信する通信手段と、
前記通信手段から送信された前記画像と、正常な状態の照明灯の画像とを比較し、両画像の差異の有無により、前記照明灯の異常の有無を判定する判定手段とを含む、滑走路照明灯の検査装置。
【請求項2】
前記正常な状態の照明灯の画像は、前記判定手段において、モデルとして保存しておいたものである、請求項1に記載された滑走路照明灯の検査装置。
【請求項3】
前記正常な状態の照明灯の画像は、前回の検査で異常無しと判定された際の画像である、請求項1に記載された滑走路照明灯の検査装置。
【請求項4】
前記照明灯の画像は、三次元データを含むものである、請求項1から3のいずれか一項に記載された滑走路照明灯の検査装置。
【請求項5】
前記照明灯検知手段は、金属センサである、請求項1から4のいずれか一項に記載された滑走路照明灯の検査装置。
【請求項6】
前記画像取得手段は、前記照明灯の画像を取得可能なカメラである、
請求項1から5のいずれか一項に記載された滑走路照明灯の検査装置。
【請求項7】
前記判定手段は、サーバである、請求項1から6のいずれか一項に記載された滑走路照明灯の検査装置。
【請求項8】
前記照明灯検知手段及び前記画像取得手段を搭載する移動体をさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載された滑走路照明灯の検査装置。
【請求項9】
前記移動体の速度を検知し、且つ、前記移動体が前記照明灯を通過する時間を計算する移動体速度計算手段をさらに含む、請求項8に記載された滑走路照明灯の検査装置。
【請求項10】
前記移動体は、自律運転プログラムが搭載されたものである、請求項8または9に記載された滑走路照明灯の検査装置。
【請求項11】
前記移動体は前記照明灯の位置情報を取得するGPSを搭載する、請求項8から10のいずれか一項に記載された滑走路照明灯の検査装置。
【請求項12】
前記検査装置は、前記移動体に搭載された前記照明灯の汚れ除去手段を含む、請求項8から11のいずれか一項に記載された滑走路照明灯の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、滑走路照明灯の検査装置及び滑走路照明灯の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空港等の滑走路には、多くの照明灯が埋め込まれている。この滑走路照明灯を構成するネジが緩み、外れると、航空機に当たり、大事故となるおそれがある。また、前記滑走路照明灯に汚れが付着すると、照明灯としての機能が損なわれる。
【0003】
従来から、前記滑走路照明灯のネジが緩んでいないか、前記滑走路照明灯が汚れていないか等の検査は、航空機の発着が行われていない時間に、1つ1つ、ネジのトルクチェックや目視で実施されているが、照明灯の数が多いため、検査頻度が高く、負担が大きい。
【0004】
この問題を解決するものとして、検査車両に搭載したハイスピードカメラで滑走路を連続撮影する検査システムが検討されている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】James Ng、“Accreditation of ISO 55001 / PAS 55 for AGL System in Hong Kong International Airport”、[online]、INTERNATIONAL CIVIL AVIATION ORGANIZATION、[平成27年9月8日検索]、インターネット<URL : http://www.icao.int/APAC/Meetings/2015%20VisualAids/ICAO%20Regional%20Workshop%20with%20CCD%20comment%20rev18%20ICAO%20Adi.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述の検査システムでは、照明灯が設置されていない場所も含めた滑走路の連続撮影であるため、データ量が膨大となり、照明灯の異常の有無の判定に時間を要する。
【0007】
そこで、本発明は、データ量が必要最低限であり、短時間で照明灯の異常の有無を判定可能な滑走路照明灯の検査装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の滑走路照明灯の検査装置は、
滑走路に埋め込まれた照明灯を検知する照明灯検知手段と、
前記照明灯検知手段が前記照明灯を検知したときに、前記照明灯の画像を取得する画像取得手段と、
取得された前記画像と、正常な状態の照明灯の画像とを比較し、両画像の差異の有無により、前記照明灯の異常の有無を判定する判定手段とを含むことを特徴とする。
【0009】
本発明の滑走路照明灯の検査装置は、
照明灯を検知する照明灯検知手段と、
前記照明灯検知手段が前記照明灯を検知したときに、前記照明灯の画像を取得する画像取得手段と、
前記画像取得手段により取得された前記照明灯の画像を送信する通信手段と、
前記通信手段から送信された前記画像と、正常な状態の照明灯の画像とを比較し、両画像の差異の有無により、前記照明灯の異常の有無を判定する判定手段とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、データ量が必要最低限であり、短時間で照明灯の異常の有無を判定可能な滑走路照明灯の検査装置及び滑走路照明灯の検査方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1(A)は、実施形態1の滑走路照明灯の検査装置の構成の一例を示す模式ブロック図であり、図1(B)は、実施形態1の滑走路照明灯の検査方法の一例を示すフローチャートである。
図2図2は、実施形態1の滑走路照明灯の検査装置の構成の別の例を示す模式図である。
図3図3は、実施形態2の滑走路照明灯の検査装置の構成の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の滑走路照明灯の検査装置及び滑走路照明灯の検査方法について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の説明に限定されない。なお、以下の図1から図3において、同一部分には、同一符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、図面においては、説明の便宜上、各部の構造は適宜簡略化して示す場合があり、各部の寸法比等は、実際とは異なり、模式的に示す場合がある。
【0013】
[実施形態1]
図1(A)は、本実施形態の滑走路照明灯の検査装置の構成の一例を示す模式ブロック図である。図示のように、この滑走路照明灯の検査装置10は、照明灯検知手段11と、画像取得手段12と、判定手段13とを含む。本実施形態の検査装置10は、例えば、図2に示すように、さらに、移動体14を含み、照明灯検知手段11及び画像取得手段12は、移動体14に搭載されていてもよい。図2では、移動体14として、車両を例示しているが、移動体14は、滑走路20を移動可能であれば、いかなるものであってもよい。また、移動体14は、例えば、人が乗り込んで運転、操縦することで滑走路20を移動するものであってもよいし、人の遠隔操作により滑走路20を移動するものであってもよいし、自律運転プログラムが搭載され、自律的に滑走路20を移動するものであってもよい。照明灯検知手段11は、滑走路20に埋め込まれた照明灯21を検知する。画像取得手段12は、照明灯検知手段11が照明灯21を検知したときに、照明灯21の画像を取得する。判定手段13は、照明灯21の取得画像から、照明灯21の異常の有無を判定する。
【0014】
照明灯検知手段11は、照明灯21を検知可能であればいかなるものであってもよいが、照明灯21が金属部材を多く含むことから、例えば、金属センサが好適である。
【0015】
画像取得手段12も、照明灯21の画像を取得可能であればいかなるものであってもよいが、例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラ、ハイスピードカメラ等があげられ、これらの中でも、ハイスピードカメラが好ましい。
【0016】
判定手段13は、照明灯21の取得画像から、照明灯21の異常の有無を判定可能であればいかなるものであってもよいが、例えば、サーバ等があげられる。本実施形態の検査装置10では、図2に示すように、判定手段13は、移動体14に搭載されている。
【0017】
つぎに、図1(B)を用いて、本実施形態の滑走路照明灯の検査方法について説明する。本実施形態の検査方法は、図1(A)及び図2に示す本実施形態の検査装置10を用いて実施可能である。
【0018】
図1(B)は、本実施形態の滑走路照明灯の検査方法の一例を示すフローチャートである。本実施形態の検査方法では、まず、照明灯検知手段11により、滑走路20に埋め込まれた照明灯21を検知する(ステップS1)。
【0019】
つぎに、照明灯検知手段11により照明灯21が検知されたときに、画像取得手段12により、照明灯21の画像を取得する(ステップS2)。本工程において、画像取得手段12は、複数方向からの照明灯21の画像を取得することが好ましい。複数方向からの照明灯21の画像を取得すれば、照明灯21の三次元データを作製することが可能となり、照明灯21の異常の有無の判定精度を高めることができる。
【0020】
つぎに、画像取得手段12により取得された照明灯21の取得画像から、判定手段13により、照明灯21の異常の有無を判定する(ステップS3)。本工程における異常の有無の判定は、例えば、つぎのようにして実施できる。すなわち、予め、正常な状態の照明灯21の画像を取得しておき、それと、検査時に画像取得手段12により取得された照明灯21の取得画像とを比較し、検査時の画像において、ネジが緩む又は外れていたり、汚れが付着する等して両者に差が生じていれば、異常有りと判定し、両者に差が無ければ、異常無しと判定する。正常な状態の照明灯21の画像としては、例えば、予め、モデルとして判定手段13に保存しておいた画像を用いてもよいし、前回の検査で異常無しと判定された際の画像を用いてもよい。また、特に重大な事故を引き起こすおそれのあるネジの緩みについては、予め、緩みのない状態のときにネジに目印をつけておき、その目印のズレの有無により、異常の有無を判定することも可能であるし、ネジが緩めば、ネジの頭の位置が正常時より高くなることから、ネジの頭の高さにより、異常の有無を判定することも可能である。
【0021】
本実施形態の検査装置及び検査方法によれば、照明灯検知手段により照明灯が検知されたときのみに、画像取得手段により照明灯の画像を取得することで、照明灯が設置されていない場所も含めた滑走路の連続撮影の場合と比べて、データ量を必要最小限に留めることができ、その結果、判定手段による異常の有無の判定を、短時間で処理可能である。
【0022】
本実施形態の検査装置10は、さらに、移動体速度計算手段を含んでもよい。前記移動体速度計算手段は、移動体14の速度を検知し、且つ、移動体14が照明灯21を通過する時間を計算する。照明灯21は、滑走路20に規則的に埋め込まれていることが多いため、前記移動体速度計算手段を含めば、照明灯検知手段11で照明灯21が検知される時間を予測し、画像取得手段12による照明灯21の画像の取得を、より正確に実施可能である。前記移動体速度計算手段は、移動体14に搭載されていてもよいし、移動体14外部に設置され、移動体14外部から移動体14の速度の検知、及び、移動体14が照明灯21を通過する時間を計算してもよい。
【0023】
本実施形態の検査装置10は、さらに、閃光灯を含んでもよい。前記閃光灯は、照明灯検知手段11が照明灯21を検知したときに、照明灯21に閃光を照射する。照明灯21の検査は、航空機の発着が行われない深夜等に実施されることが多いが、前記閃光灯を含めば、深夜等の暗い環境下でも、画像取得手段12により、照明灯21の画像を取得することが可能である。前記閃光灯は、例えば、移動体14に搭載可能な小型なものであってもよい。この場合、前記閃光灯は、フラッシュ等として画像取得手段12に搭載されていてもよいし、画像取得手段12とは別の独立したものであってもよい。また、前記閃光灯は、例えば、照明灯21に閃光を照射可能なように、照明灯21の検査用に、空港等に設置されたものであってもよい。
【0024】
本実施形態の検査装置10は、さらに、移動体14に搭載されたGPS(Global Positioning System)を含んでいてもよい。滑走路20に埋め込まれた照明灯21は多数あるが、GPSを含み、位置情報を取得可能であれば、画像取得手段12で取得された画像が、滑走路20のどの位置に埋め込まれた照明灯21のものであるかを明確に把握可能である。
【0025】
本実施形態の検査装置10は、さらに、移動体14に搭載された照明灯21の汚れ除去手段を含んでもよい。前記汚れ除去手段を含めば、照明灯21の検査時に、照明灯21の汚れを除去可能である。前記汚れ除去手段としては、例えば、照明灯21の汚れを吹き飛ばす送風手段、照明灯21の汚れを掃き取る手段、照明灯21の汚れを拭き取る手段等があげられる。
【0026】
[実施形態2]
図3に、本実施形態の滑走路照明灯の検査装置の構成の一例を示す。図3に示すとおり、本実施形態の検査装置は、移動体14に搭載された通信手段15を含み、通信手段15は、サーバである判定手段13に、照明灯21の取得画像を送信すること以外、図2に示す実施形態1の検査装置と同じである。
【0027】
本実施形態の検査装置を用いた滑走路照明灯の検査方法は、画像取得手段12により照明灯21の画像を取得する画像取得工程と、判定手段13により照明灯21の異常の有無を判定する判定工程との間に、通信手段15による照明灯21の取得画像の判定手段13への送信を実施すること以外は、実施形態1の検査方法と同様にして実施できる。
【0028】
本実施形態の検査装置及び検査方法によっても、実施形態1の検査装置及び検査方法と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態の検査装置及び検査方法によれば、移動体14外部において、照明灯21の異常の有無の判定結果を、把握可能である。
【0029】
本発明の滑走路照明灯の検査装置は、滑走路照明灯の検査システムであってもよい。
【0030】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【0031】
この出願は、2015年10月8日に出願された日本出願特願2015-200433を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明によれば、データ量が必要最低限であり、短時間で照明灯の異常の有無を判定可能な滑走路照明灯の検査装置及び滑走路照明灯の検査方法を提供することができる。本発明の検査装置及び検査方法は、滑走路に埋め込まれた照明灯の異常の有無の判定に、幅広く利用可能である。
【符号の説明】
【0033】
10 検査装置
11 照明灯検知手段
12 画像取得手段
13 判定手段
14 移動体
15 通信手段
20 滑走路
21 照明灯

図1
図2
図3