(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】製氷機
(51)【国際特許分類】
F25C 1/25 20180101AFI20240619BHJP
F25C 1/04 20180101ALI20240619BHJP
F25C 1/22 20180101ALI20240619BHJP
【FI】
F25C1/25 B
F25C1/25 D
F25C1/25 303B
F25C1/25 303Z
F25C1/04 302Z
F25C1/22 301B
(21)【出願番号】P 2018147002
(22)【出願日】2018-08-03
【審査請求日】2021-07-19
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【氏名又は名称】永井 裕輔
(72)【発明者】
【氏名】原 輝道
(72)【発明者】
【氏名】淺野 勝宏
(72)【発明者】
【氏名】稲田 雅司
(72)【発明者】
【氏名】上野 俊一
(72)【発明者】
【氏名】土江 秀樹
【合議体】
【審判長】鈴木 充
【審判官】村山 美保
【審判官】間中 耕治
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-287356(JP,A)
【文献】実開昭64-35375号(JP,U)
【文献】特開2013-245923(JP,A)
【文献】特開平10-306963(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0032041(KR,A)
【文献】登録実用新案第3180115(JP,U)
【文献】特開2005-274020(JP,A)
【文献】特開2000-220929(JP,A)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング内にて製氷水を凍結させて氷を製造する製氷機構と、
前記ハウジングの外側から内側に延びて前記製氷機構に製氷水を供給する給水経路とを備え、
前記製氷機構は、下向きに開口する複数の製氷小室を有した製氷部と、前記製氷部を冷却する冷凍装置と、前記製氷部の下側にて前記製氷小室の開口を塞ぐ閉止位置と斜めに傾斜させて開放する開放位置とで水平軸線回りに回動可能に設けられて前記製氷小室の開口を開閉自在に塞ぐ水皿と、前記水皿の下側に一体的に設けられて前記製氷部へ供給する製氷水を貯える製氷水タンクと、前記製氷水タンク内の製氷水を前記製氷小室に噴射送出させる送水ポンプとを備え、
製氷運転を実行するときには、前記水皿を前記閉止位置とすることで前記製氷小室の開口を塞いだ状態として前記冷凍装置により前記製氷部を冷却し、前記製氷水タンク内の製氷水を前記送水ポンプによって前記製氷部との間で循環させて冷却させ、製氷水を前記製氷小室内で凍結させて氷を製造するようにし、
前記製氷運転後の除氷運転をするときには、前記水皿を前記製氷部の下側で前記開放位置に回動させて、前記製氷小室内で製氷された氷を離脱させるようにした製氷機であって、
前記製氷水タンクの回動軸側の側壁部には前記製氷水タンク内の製氷水に紫外線を照射して殺菌する紫外線照射器を設けたことを特徴とする製氷機。
【請求項2】
ハウジング内にて製氷水を凍結させて氷を製造する製氷機構と、
前記ハウジングの外側から内側に延びて前記製氷機構に製氷水を供給する給水経路とを備えた製氷機であって、
前記給水経路の製氷水の導出端部には複数の散水孔から前記製氷機構に製氷水を散水して送り出す散水パイプが設けられており、
前記散水パイプの複数の散水孔に紫外線を照射するための紫外線照射器を設け
、
前記散水パイプの内側にて前記散水孔に対向する位置に前記紫外線照射器を配置して、前記散水パイプの内側から前記散水孔に向けて紫外線を照射するようにしたことを特徴とする製氷機。
【請求項3】
ハウジング内にて製氷水を凍結させて氷を製造する製氷機構と、
前記ハウジングの外側から内側に延びて前記製氷機構に製氷水を供給する給水経路とを備えた製氷機であって、
前記給水経路の製氷水の導出端部には複数の散水孔から前記製氷機構に製氷水を散水して送り出す散水パイプが設けられており、
前記散水パイプの複数の散水孔に紫外線を照射するための紫外線照射器を設け、
前記散水パイプの外側にて前記散水孔に対向する位置に前記紫外線照射器を配置して、前記散水パイプの外側から前記散水孔に向けて紫外線を照射するようにしたことを特徴とする製氷機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジング内にて製氷水を凍結させて氷を製造する製氷機構と、ハウジングの外側から内側に延びて製氷機構に製氷水を供給する給水経路とを備えた製氷機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ハウジング内にて製氷水を凍結させて氷を製造する製氷機構と、ハウジングの外側から内側に延びて製氷機構に製氷水を供給する給水経路とを備えた製氷機が開示されている。この製氷機は所謂クローズドセルタイプの製氷機であり、製氷機構は、下向きに開口する複数の製氷小室を有した製氷部と、製氷部を冷却する冷凍装置と、製氷部の下側にて製氷小室の開口を塞ぐ閉止位置と斜めに傾斜させて開放する開放位置とで水平軸線回りに回動可能に設けられて製氷小室の開口を開閉自在に塞ぐ水皿と、製氷部へ供給する製氷水を貯える製氷水タンクと、製氷水タンク内の製氷水を製氷小室に噴射送出させる送水ポンプとを備えている。この製氷機で製氷運転を実行したときに、製氷部が冷凍装置によって冷却されるとともに、製氷部の各製氷小室は閉止位置にある水皿により開口が塞がれた状態となっていて、製氷水タンク内の製氷水を送水ポンプによって製氷部と循環させて冷却させ、製氷水を製氷小室内で凍結させて氷を製造するようにしている。製氷運転後の除氷運転をするときには、水皿を開放位置となるように回動させて製氷部から離間させ、製氷部の製氷小室で製氷された氷を離脱させて下側の貯氷庫に落下させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1の製氷機においては、貯氷庫内の氷が満杯となって製氷運転を待機させたときに、製氷水が給水経路で滞留したり、製氷機構の製氷小室の表面、水皿の上面及び製氷水タンクの内周面に製氷水が付着した状態で残り、給水経路や製氷機構で細菌が繁殖するおそれがあった。特に、給水経路を構成する管材の内周面や、製氷機構を構成する各部品の内周面に菌膜が付着するおそれがあるものの、給水経路や製氷機構の各部品は分解しにくい構造となっているため、給水経路及び製氷機構の各部品を分解洗浄できず、給水経路及び製氷機構を清潔に保つことが困難であった。本発明は、製氷機の給水経路及び製氷機構の細菌の繁殖を抑えて清潔に保てるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するため、ハウジング内にて製氷水を凍結させて氷を製造する製氷機構と、ハウジングの外側から内側に延びて製氷機構に製氷水を供給する給水経路とを備え、製氷機構は、下向きに開口する複数の製氷小室を有した製氷部と、製氷部を冷却する冷凍装置と、製氷部の下側にて製氷小室の開口を塞ぐ閉止位置と斜めに傾斜させて開放する開放位置とで水平軸線回りに回動可能に設けられて製氷小室の開口を開閉自在に塞ぐ水皿と、水皿の下側に一体的に設けられて製氷部へ供給する製氷水を貯える製氷水タンクと、製氷水タンク内の製氷水を製氷小室に噴射送出させる送水ポンプとを備え、製氷運転を実行するときには、水皿を閉止位置とすることで製氷小室の開口を塞いだ状態として冷凍装置により製氷部を冷却し、製氷水タンク内の製氷水を送水ポンプによって製氷部との間で循環させて冷却させ、製氷水を製氷小室内で凍結させて氷を製造するようにし、製氷運転後の除氷運転をするときには、水皿を製氷部の下側で開放位置に回動させて、製氷小室内で製氷された氷を離脱させるようにした製氷機であって、製氷水タンクの回動軸側の側壁部には製氷水タンク内の製氷水に紫外線を照射して殺菌する紫外線照射器を設けたことを特徴とする製氷機を提供するものである。
【0006】
上記のように構成した製氷機においては、製氷水タンクの回動軸側の側壁部には製氷水タンク内の製氷水に紫外線を照射して殺菌する紫外線照射器を設けたので、製氷水タンク内の製氷水を紫外線照射器によって照射される紫外線により殺菌することができ、製氷水タンク内の製氷水を清潔に保つことができる。
【0009】
本発明は上記課題を解決するための他の実施形態において、ハウジング内にて製氷水を凍結させて氷を製造する製氷機構と、ハウジングの外側から内側に延びて製氷機構に製氷水を供給する給水経路とを備えた製氷機であって、給水経路の製氷水の導出端部には複数の散水孔から製氷機構に製氷水を散水して送り出す散水パイプが設けられており、散水パイプの複数の散水孔に紫外線を照射するための紫外線照射器を設け、散水パイプの内側にて散水孔に対向する位置に前記紫外線照射器を配置して、散水パイプの内側から散水孔に向けて紫外線を照射するようにしたことを特徴とする製氷機を提供するものである。上記のように構成した製氷機においては、給水経路の製氷水の導出端部には複数の散水孔から製氷機構に製氷水を散水して送り出す散水パイプが設けられており、散水パイプの複数の散水孔に紫外線を照射するための紫外線照射器を設けたので、散水パイプの複数の散水孔に表面張力により残る製氷水を紫外線照射器によって照射される紫外線により殺菌することができ、散水パイプを清潔に保つことができる。
【0010】
本発明は上記課題を解決するための他の実施形態において、ハウジング内にて製氷水を凍結させて氷を製造する製氷機構と、ハウジングの外側から内側に延びて製氷機構に製氷水を供給する給水経路とを備えた製氷機であって、給水経路の製氷水の導出端部には複数の散水孔から製氷機構に製氷水を散水して送り出す散水パイプが設けられており、散水パイプの複数の散水孔に紫外線を照射するための紫外線照射器を設け、散水パイプの外側にて散水孔に対向する位置に紫外線照射器を配置して、散水パイプの外側から散水孔に向けて紫外線を照射するようにしたことを特徴とする製氷機を提供するものである。上記のように構成した製氷機においては、給水経路の製氷水の導出端部には複数の散水孔から製氷機構に製氷水を散水して送り出す散水パイプが設けられており、散水パイプの複数の散水孔に紫外線を照射するための紫外線照射器を設けたので、散水パイプの複数の散水孔に表面張力により残る製氷水を紫外線照射器によって照射される紫外線により殺菌することができ、散水パイプを清潔に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図3】第1実施例の給水経路の第1給水管の概略図である。
【
図4】第2実施例の給水経路の第1給水管の概略図である。
【
図5】第3実施例の給水経路の第1給水管の概略図である。
【
図6】第4実施例の給水経路の散水器の概略図である。
【
図7】第5実施例の給水経路の散水器の概略図である。
【
図8】第6実施例の給水経路の散水器の概略図である。
【
図11】第9実施例の製氷機構の概略図であり、水皿が水平姿勢の閉止位置にあるときの概略図(a)と、水皿が傾斜姿勢の開放位置にあるときの概略図である(b)。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の製氷機の一実施形態を図面を用いて説明する。
図1に示したように、製氷機10は、所謂クローズドセルタイプの製氷機であり、ハウジング11内にて製氷水を凍結させて氷を製造する製氷機構20と、ハウジング11の外側から内側に延びて製氷機構20に製氷水を供給する給水経路30とを備えている。
【0014】
図1に示したように、製氷機構20は、下向きに開口する複数の製氷小室21bを有した製氷部21と、製氷部21を冷却する冷凍装置22と、製氷部21の下側で水平姿勢となって製氷小室21bの開口を塞ぐ閉止位置と斜めに傾斜させて開放する開放位置とで水平軸線回りに回動可能に設けられて製氷小室21bの開口を開閉自在に塞ぐ水皿24と、製氷部21へ供給する製氷水を貯える製氷水タンク25と、製氷水タンク25内の製氷水を製氷小室21bに噴射送出させる送水ポンプ26とを備えている。
【0015】
製氷部21は水平に配置されて下側が開口した浅い箱形をし、仕切り部材21aにより下向きに開口する複数の製氷小室21bが形成されている。ハウジング11内には製氷部21の下側に貯氷庫12が設けられており、製氷小室21bで製氷した氷は貯氷庫12に貯えられる。また、貯氷庫12内には氷量検知センサ13が設けられており、氷量検知センサ13は貯氷庫12内に貯えられた氷が満杯となったことを検知する。
【0016】
製氷部21の上面には冷凍装置22を構成する蒸発器22dが配設されている。冷凍装置22は、製氷運転を実行するときに製氷部21を冷却するとともに、除氷運転をするときに製氷部21を加温するものである。冷凍装置22は、冷媒を圧縮する圧縮機22aと、圧縮機22aから圧送された冷媒を冷却して液化させる凝縮器22bと、凝縮器22bにて液化させた液化冷媒を膨張させて低圧の液化冷媒とする膨張弁22cと、膨張弁22cにより膨張させた液化冷媒を気化させて製氷部21を冷却する蒸発器22dとを備えている。冷凍装置22は圧縮機22a、凝縮器22b、膨張弁22c及び蒸発器22dを冷媒管によって環状に接続して冷凍回路が構成されている。製氷部21は冷凍装置22を循環する冷媒が蒸発器22dで蒸発することによって冷却されている。
【0017】
冷凍装置22は除氷運転をするときに蒸発器22dにホットガスを供給するホットガス管(ホットガス経路)22eを備えている。ホットガス管22eは圧縮機22aの下流と蒸発器22dの上流とを接続して、圧縮機22aからのホットガスを蒸発器22dに導くようにしている。ホットガス管22eにはホットガス弁22fが介装されており、圧縮機22aから送られるホットガスはホットガス弁22fの開放によってホットガス管22eを通って蒸発器22dに導かれる。除氷運転時に、ホットガスがホットガス弁22fの開放によって蒸発器22dに導かれると、製氷部21の製氷小室21b内はホットガスにより加温され、製氷小室21b内で凍結した氷が離脱して除氷される。製氷部21には温度センサ23が設けられており、温度センサ23は主として除氷運転を実行したときの製氷小室21bからの氷の離脱を検知するのに用いられる。
【0018】
製氷部21の下側には水皿24と製氷水タンク25と送水ポンプ26が設けられている。水皿24は製氷部21の下側にて水平軸線回りに回動可能に設けられており、製氷部21の下側で水平姿勢となることで製氷小室21bの開口を塞ぐ閉止位置(
図1の実線で示した)と、製氷部21の下側で斜めに傾斜姿勢となることで製氷小室21bの開口を開放する開放位置(
図1の二点鎖線で示した)とで回動可能に支持されている。水皿24には製氷水タンク25内の製氷水を各製氷小室21bに製氷水を噴射送出させるための製氷水通路24aが設けられており、水皿24の上面には各製氷水通路24aから製氷小室21bに製氷水を噴出させる噴射孔24bが形成されている(
図9,10及び
図11に示した)。
【0019】
水皿24の下側には製氷水タンク25が一体的に設けられており、製氷水タンク25は製氷部21に噴射送出する所定量の製氷水を貯えるものである。製氷水タンク25の下部には送水ポンプ26が取り付けられており、送水ポンプ26は送水管26aによって水皿24の製氷水通路24aに接続されている。製氷水タンク25内の製氷水は送水ポンプ26の作動によって製氷水通路24aに送られ、製氷水通路24aから各噴射孔24bを通って各製氷小室21bに噴射送出される。
【0020】
水皿24には閉止位置と開放位置との間で傾動させる開閉機構27が設けられており、水皿24は開閉機構27によって製氷小室21bの開口を開閉している。開閉機構27はアクチュエータモータ27aを備え、アクチュエータモータ27aの駆動により水皿24を閉止位置と開放位置との間で傾動させている。製氷水タンク25の下側にはドレンパン28が設けられており、ドレンパン28は製氷運転後に製氷水タンク25に残る製氷水を受けるようにしたものである。ドレンパン28には排水管(排水経路)29が接続されており、ドレンパン28で受けた製氷水は排水管29を通ってハウジング11の外側に排出される。排水管29には略Z字形に屈曲させて90°傾けるようにしたトラップ部29aが設けられている。トラップ部29aは排水管29内にて製氷水を一時的に溜めるようにして、ハウジング11外の空気が排水管29を通ってハウジング11内に流入するのを防ぐようにしている。
【0021】
図1に示したように、製氷機10はハウジング11の外側から内側に延びて製氷機構20に製氷水を供給する給水経路30を備えている。給水経路30は水道等の給水源から供給される水(製氷水)を製氷機構20に供給するものであり、給水経路30はハウジング11の外側に配置される第1給水管31と、ハウジング11の内側にされる第2給水管33と、第2給水管33から供給される製氷水を水皿24の上側に散水する散水パイプ35とを備えている。第1給水管31はハウジング11に設けた継手部材によって第2給水管33に接続されている。第1給水管31には浄水器32が介装されており、浄水器32は水道等の給水源から供給される水に含まれる塩素や金属イオン等の成分を除去するためのものである。浄水器32はフィルタ32aを備えており、給水源から送られる水はフィルタ32aを通過するときに塩素等の成分が除去される。
【0022】
第2給水管33はハウジング11内にて第1給水管31により送られる給水源の水を製氷機構20に送出するものである。第2給水管33には給水弁34が介装されており、第1給水管31により送られる給水源の水は給水弁34の開放により第2給水管33を通って製氷機構20に送られる。第2給水管33の導出端部には散水パイプ35が取付られており、散水パイプ35は水皿24の上側に配設されている。散水パイプ35には複数の散水孔35aが形成されており、給水源の水は第1及び第2給水管31,33を通って散水パイプ35の散水孔35aから水皿24の上側に散水される(
図6~
図8に示した)。散水パイプ35の散水孔35aから水皿24の上側に散水された水は下側の製氷水タンク25に落下するようになっている。
【0023】
この製氷機10は、製氷機構20と給水経路30との少なくとも1つに紫外線を照射して殺菌するための紫外線照射器40を備えており、紫外線照射器40の配置については下記の各実施例にて詳述する。紫外線照射器40には紫外線発光ダイオードが用いられ、細菌に対する殺菌能力として200nm~300nmの波長の紫外線を発光する紫外線発光ダイオード、さらに好ましくは、220nm~280nmの波長の紫外線(深紫外線)を発光する深紫外線発光ダイオードが用いられている。紫外線照射器40は製氷機構20と給水経路30の少なくとも1つに紫外線を照射するように配置され、特に製氷水が滞留しやすい位置に配置するのが好ましい。
【0024】
製氷機10は制御装置50を備えており、
図2に示したように、この制御装置50は、冷凍装置22の圧縮機22aと、ホットガス弁22f、温度センサ23、送水ポンプ26、開閉機構27のアクチュエータモータ27a、給水弁34及び紫外線照射器40に接続されている。制御装置50はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続されたCPU、RAM、ROM及びタイマ(いずれも図示省略)を備えている。制御装置50は製氷部21にて製氷水を凍結させて氷を製造する製氷運転と、製氷運転により製氷部21で凍結させた氷を除氷する除氷運転とを繰り返し実行する製氷プログラムを有している。また、制御装置50は紫外線照射器40によって製氷機構20と給水経路30の少なくとも1つを殺菌するように制御している。
【0025】
次に、製氷機10の製氷プログラムについて説明する。制御装置50は、製氷プログラムを実行したときに製氷部21にて製氷運転と除氷運転とを交互に繰り返し実行する。制御装置50は、製氷運転を実行させたときに、冷凍装置22を作動させるとともに、開閉機構27のアクチュエータモータ27aにより水皿24を閉止位置に傾動させてから、給水弁34を所定時間開放する。給水弁34を所定時間開放することで、給水源の水は給水経路30を通って製氷水タンク25に供給される。また、製氷運転での冷凍装置22では、圧縮機22aから圧送された冷媒が凝縮器22bにより液化されて液化冷媒となり、液化冷媒は膨張弁22cにより膨張して低圧の液化冷媒となり、低圧の液化冷媒は蒸発器22dで気化することにより製氷部21を冷却する。
【0026】
制御装置50は、給水開始から所定時間経過後に給水弁34を閉止させて給水を終了する。製氷水タンク25内の製氷水は送水ポンプ26の作動によって製氷部21の各製氷小室21bに噴射送出され、製氷部21との間で循環することで冷却される。製氷水は製氷小室21b内で徐々に凍結して氷となり、製氷水タンク25内の製氷水は徐々に減少し、制御装置50は製氷小室21b内でブロック形氷が製氷されると製氷運転を終了させる。
【0027】
製氷運転後の除氷運転では、制御装置50は、圧縮機22aを作動させた状態でホットガス弁22fを開放するとともに、開閉機構27のアクチュエータモータ27aにより水皿24を開放位置に傾動させる。除氷運転での冷凍装置22では、圧縮機22aから送出されるホットガスは、ホットガス管22eを通って蒸発器22dに導かれて製氷部21の各製氷小室21bを加温する。製氷部21の温度は徐々に上昇して、製氷小室21b内で凍結した氷が離脱して貯氷庫12に落下する。温度センサ23の検出温度が除氷が完了したことを検知する所定温度以上となると、制御装置50は、製氷部21の製氷小室21bに氷が残ってない、即ち除氷が完了していると検知して、ホットガス弁22fを閉止させて除氷運転を終了する。制御装置50は、除氷運転後に氷量検知センサ13により貯氷庫12内に氷が満杯となったことを検知していなければ再び上述した製氷運転を実行させる。このように、制御装置50は、貯氷庫12内の氷が満杯となるまで、製氷運転と除氷運転とを繰り返し実行するように制御している。
【0028】
上記のように構成した製氷機10においては、紫外線照射器40は製氷機構20または給水経路30に配設され、紫外線照射器40を製氷機構20または給水経路30に配置したときの位置等について下記の各実施例に基づいて説明する。
【0029】
先ず、給水経路30を紫外線照射器40により紫外線を照射して殺菌するようにした第1~第6実施例について説明する。第1~第6実施例に示したように、給水経路30を紫外線照射器40により紫外線を照射して殺菌するようにしたときには、製氷機構20に供給される製氷水を殺菌して清潔に保つことができるようになる。
【0030】
(第1実施例)
上述したように、製氷機10の給水経路30は、ハウジング11の外側に配置される第1給水管31と、ハウジング11の内側にされる第2給水管33と、第2給水管33から供給される製氷水を水皿24の上側に散水する散水パイプ35とを備えている。
図3に示したように、第1実施例の製氷機10では、ハウジング11の外側に配置される第1給水管31には浄水器32が介装されており、第1給水管31には浄水器32よりも上流側(上流)31aに紫外線照射器40が配置されている。紫外線照射器40は浄水器32に流入する前の第1給水管31を通過する製氷水を殺菌するものである。紫外線照射器40は、製氷水が通過する筒部41と紫外線を照射するLED照射部42とを備え、筒部41内を通過する製氷水にLED照射部42から紫外線を照射するようにしたものである。紫外線照射器40の筒部41は第1給水管31の浄水器32よりも上流側31aに連通接続されており、給水経路30の第1給水管31を通過する製氷水は筒部41の内部でLED照射部42から照射される紫外線によって殺菌される。これによって、給水源から給水経路30を通って製氷機構20に送られる製氷水を清潔に保つことができるようになった。特に、給水源の水に含まれる塩素の濃度が低い環境下で製氷機10を使用したときに、給水経路30内の製氷水が製氷運転の待機中に滞留するようになっても、第1給水管31の製氷水は筒部41内でLED照射部42から照射される紫外線によって殺菌され、浄水器32に細菌を含んだ水が流入するのを防ぐことができた。
【0031】
(第2実施例)
第2実施例の製氷機10は、第1実施例の製氷機10における紫外線照射器40の配置を変えたものである。
図4に示したように、第2実施例の製氷機10の給水経路30では、浄水器32の内部に紫外線照射器40が設けられており、紫外線照射器40は浄水器32内の製氷水を殺菌している。この製氷機10では、紫外線照射器40はフィルタ32aにより塩素成分を除去した後の製氷水に紫外線を照射する位置に配置されている。浄水器32の内部に紫外線照射器40を設けたことにより、浄水器32内を通過する製氷水は紫外線照射器40から照射される紫外線により殺菌され、浄水器32内を常に清潔に保つことができた。これにより、給水源から給水経路30を通って製氷機構20に送られる製氷水を清潔に保つことができるようになった。特に、浄水器32内の製氷水はフィルタ32aにより塩素成分が除去されて細菌が繁殖しやすくなっているが、浄水器32内の製氷水は紫外線照射器40から照射される紫外線により殺菌され、製氷機構20に細菌を含んだ製氷水が送出されるのを防ぐことができた。
【0032】
(第3実施例)
第3実施例の製氷機10は、第1実施例の製氷機10における紫外線照射器40の配置を変えたものである。
図5に示したように、第3実施例の製氷機10の給水経路30では、第1給水管31の浄水器32よりも下流側31bに紫外線照射器40が配置されており、紫外線照射器40は浄水器32を通過した後の第1給水管31を通過する製氷水を殺菌している。紫外線照射器40は、製氷水が通過する筒部41と紫外線を照射するLED照射部42とを備え、筒部41内を通過する製氷水にLED照射部42から紫外線を照射するようにしたものである。紫外線照射器40の筒部41は第1給水管31の浄水器32より下流側31bに連通接続されており、第1給水管31を通過する製氷水は筒部41の内部でLED照射部42から照射される紫外線によって殺菌される。これによって、給水源から給水経路30を通って製氷機構20に送られる製氷水を清潔に保つことができるようになった。特に、浄水器32を通過した製氷水は塩素成分が除去されて細菌が繁殖しやすくなっており、浄水器32を通過した製氷水が浄水器32より下流側31bで滞留するようになっても、浄水器32より下流側31bの製氷水は筒部41内でLED照射部42から照射される紫外線によって殺菌され、製氷機構20に細菌を含んだ水が流入するのを防ぐことができた。なお、第2給水管33も浄水器32の下流側であり、第2給水管33に紫外線照射器40を配置したものであってもよい。
【0033】
(第4実施例)
第4実施例の製氷機10は、第1実施例の製氷機10における紫外線照射器40の配置を変えたものである。
図6に示したように、第4実施例の製氷機10の給水経路30では、散水パイプ35に紫外線照射器40が配置されており、紫外線照射器40は散水パイプ35を通過する製氷水を殺菌している。紫外線照射器40は、製氷水が通過する筒部41と紫外線を照射するLED照射部42とを備え、筒部41内を通過する製氷水にLED照射部42から紫外線を照射するようにしたものである。紫外線照射器40の筒部41は散水パイプ35に連通接続されており、散水パイプ35を通過する製氷水は筒部41の内部でLED照射部42から照射される紫外線によって殺菌される。これにより、給水源から給水経路30を通って製氷機構20に送られる製氷水を清潔に保つことができるようになった。特に、浄水器32を通過した製氷水は塩素成分が除去されて細菌が繁殖しやすくなっており、浄水器32を通過した製氷水が散水パイプ35で滞留するようになっても、散水パイプ35で滞留する製氷水は紫外線照射器40からから照射される紫外線により殺菌され、製氷機構20に送られる製氷水を清潔に保つことができるようになった。
【0034】
(第5実施例)
第5実施例の製氷機10は、第4実施例の製氷機10における紫外線照射器40の配置を変えたものである。
図7に示したように、第5実施例の製氷機10の給水経路30では、散水パイプ35内の散水孔35aと対向する位置に紫外線照射器40が配置されており、紫外線照射器40は散水パイプ35の散水孔35aを通過する製氷水を殺菌している。これにより、給水源から給水経路30を通って製氷機構20に送られる製氷水を清潔に保つことができるようになった。特に、浄水器32を通過した製氷水は塩素成分が除去されて細菌が繁殖しやすくなっているだけでなく、浄水器32を通過した製氷水が散水パイプ35の散水孔35aに表面張力によって残りやすくなっており、散水パイプ35の散水孔35aに残る製氷水は紫外線照射器40からから照射される紫外線により殺菌されるため、製氷機構20に送られる製氷水を清潔に保つことができるようになった。
【0035】
(第6実施例)
第6実施例の製氷機10は、第4実施例の製氷機10における紫外線照射器40の配置を変えたものである。
図8に示したように、第6実施例の製氷機10では、水皿24の散水パイプ35の散水孔35aと対向する位置に紫外線照射器40が配置されており、紫外線照射器40は散水パイプ35の散水孔35aを通過する製氷水を殺菌している。これにより、給水源から給水経路30を通って製氷機構20に送られる製氷水を清潔に保つことができるようになった。特に、浄水器32を通過した製氷水は塩素成分が除去されて細菌が繁殖しやすくなっているだけでなく、浄水器32を通過した製氷水が散水パイプ35の散水孔35aに表面張力によって残りやすくなっており、散水パイプ35の散水孔35aに残る製氷水は紫外線照射器40からから照射される紫外線により殺菌されるため、製氷機構20に送られる製氷水を清潔に保つことができるようになった。
【0036】
次に、製氷機構20に紫外線照射器40の紫外線を照射して殺菌するようにした第7~第12実施例について説明する。第7~第12実施例に示したように、製氷機構20を紫外線照射器40により紫外線を照射して殺菌するようにしたときには、製氷機構20で凍結させる製氷水または製氷された氷を清潔に保つことができるようになる。
【0037】
(第7実施例)
上述したように、製氷機10の製氷機構20は、下向きに開口する複数の製氷小室21bを有した製氷部21と、製氷部21を冷却する冷凍装置22と、製氷部21の下側にて製氷小室21bの開口を塞ぐ閉止位置と斜めに傾斜させて開放する開放位置とで水平軸線回りに回動可能に設けられて、製氷小室21bの開口を開閉自在に塞ぐ水皿24と、製氷部21へ供給する製氷水を貯える製氷水タンク25と、製氷水タンク25内の製氷水を製氷小室21bに噴射送出させる送水ポンプ26とを備えている。
図9に示したように、第7実施例の製氷機10では、水皿24の上部には紫外線を透過可能な紫外線透過部24cが設けられ、紫外線透過部24cの下側に紫外線照射器40が配置されている。紫外線透過部24cは紫外線照射器40から照射される紫外線を上側の製氷部21に透過させた状態で紫外線照射器40を防水する機能を有している。紫外線照射器40は紫外線透過部24cを介して製氷小室21bと対向する位置に配置されており、水皿24の上側の製氷部21の製氷小室21bに紫外線を照射するものである。紫外線照射器40は製氷小室21b内に紫外線を照射して殺菌するだけでなく、水皿24の上面となる紫外線透過部24cの上面の製氷水に紫外線を照射して殺菌している。また、製氷運転後の製氷小室21b内には製氷水を凍結させた氷が製造されていて、製氷小室21b内の氷は紫外線照射器40から照射される紫外線によって殺菌される。第7実施例の製氷機10では、紫外線照射器40は水皿24の上面に残る製氷水を殺菌することができるだけでなく、製氷小室21b内の氷を殺菌できるようになり、製氷機構20で清潔な氷を製造することができるようになった。
【0038】
(第8実施例)
第8実施例の製氷機10は、第7実施例の製氷機10における紫外線照射器40の配置を変えたものである。
図10に示したように、第8実施例の製氷機10では、水皿24には製氷水通路24aと対向する上側位置に紫外線透過部24cが設けられており、紫外線透過部24cの上側に紫外線照射器40が配置されている。紫外線透過部24cは紫外線照射器40から照射される紫外線を下側の製氷水通路24aに透過させた状態で紫外線照射器40を防水する機能を有している。紫外線照射器40は紫外線透過部24cを介して製氷水通路24aと対向しており、水皿24の製氷水通路24aに紫外線を照射するものである。第8実施例の製氷機10では、水皿24の製氷水通路24a内の製氷水は紫外線照射器40から紫外線が照射されて殺菌されるようになり、製氷機構20で清潔な氷を製造することができるようになった。
【0039】
(第9実施例)
第9実施例の製氷機10は、第7実施例の製氷機10における紫外線照射器40の配置を変えたものである。
図11に示したように、第9実施例の製氷機10では、水皿24の下部には紫外線を透過可能な紫外線透過部24cが設けられ、紫外線透過部24cの上側に紫外線照射器40が配置されている。紫外線透過部24cは紫外線照射器40から照射される紫外線を下側の製氷水タンク25に透過させた状態で紫外線照射器40を防水する機能を有している。紫外線照射器40は紫外線透過部24cを介して製氷水タンク5と対向しており、下側の製氷水タンク25内に紫外線を照射するものである。第9実施例の製氷機10では、製氷水タンク25内の製氷水は紫外線照射器40から紫外線が照射されて殺菌されるようになり、製氷機構20で清潔な氷を製造することができるようになった。
【0040】
(第10実施例)
第10実施例の製氷機10は、第7実施例の製氷機10における紫外線照射器40の配置を変えたものである。
図12に示したように、第10実施例の製氷機10では、製氷機構20の製氷水タンク25に紫外線照射器40が配置されている。紫外線照射器40は製氷水タンク25内に紫外線を照射するものであり、製氷水タンク25内の製氷水は紫外線照射器40から照射される紫外線によって殺菌される。第10実施例の製氷機10では、、製氷水タンク25内の製氷水は紫外線照射器40から紫外線が照射されて殺菌されるようになり、製氷機構20で清潔な氷を製造することができるようになった。なお、製氷水タンク25の周壁の少なくとも一部に紫外線を透過可能な部材を用いた紫外線透過部を設け、紫外線照射器40から照射される紫外線を紫外線透過部を通して製氷水タンク25の内側に照射するようにしてもよい。
【0041】
(第11実施例)
第11実施例の製氷機10は、第7実施例の製氷機10における紫外線照射器40の配置を変えたものである。
図13に示したように、第11実施例の製氷機10では、製氷機構20の送水ポンプ26に紫外線照射器40が設けられている。紫外線照射器40は送水ポンプ26内に紫外線を照射するものであり、送水ポンプ26から送出される製氷水は紫外線照射器40から照射される紫外線によって殺菌される。第11実施例の製氷機10では、送水ポンプ26から送出される製氷水は紫外線照射器40から紫外線が照射されて殺菌されるようになり、製氷機構20で清潔な氷を製造することができるようになった。
【0042】
(第12実施例)
第12実施例の製氷機10は、第7実施例の製氷機10における紫外線照射器40の配置を変えたものである。
図14に示したように、第12実施例の製氷機10では、製氷機構20の製氷運転後に製氷水タンク25に残る製氷水を排水する排水管29のトラップ部29aに紫外線照射器40が配置されている。紫外線照射器40は排水管29のトラップ部29aに溜まる水に紫外線を照射するものであり、トラップ部29aに溜まる水は紫外線照射器40から照射される紫外線によって殺菌される。排水管29の少なくともトラップ部29aを紫外線を透過可能な部材を用いることですることで、トラップ部29aの外側から内側に紫外線照射器40から紫外線を照射することができる。第12実施例の製氷機10では、トラップ部29aに溜まる水は紫外線照射器40から紫外線が照射されて殺菌されるようになるため、製氷機10を清潔な状態に保つことができるようになった。
【0043】
上記の第1~第11実施例の製氷機10では、製氷機構20によって製氷水を凍結させて氷を製造する製氷運転と製氷機構20で製氷された氷を除氷する除氷運転を実行しているときに、各部に配置された紫外線照射器40により紫外線を連続的に照射するように制御したときには、製氷機構20または給水経路30を殺菌して常に清潔に保つことができる。また、除氷運転中及び氷量検知センサ13により貯氷庫12内に貯えられた氷が満杯状態となって製氷運転を待機させているときに、紫外線照射器40により紫外線を連続的に照射するように制御したときには、製氷機構20に残る製氷水及び給水経路30に滞留している製氷水を殺菌して常に清潔に保つことができる。
【0044】
また、第1~第6実施例の製氷機10のように、給水経路30に紫外線照射器40から紫外線を照射するようにしたものでは、製氷運転を待機させているときに、水皿24を傾斜姿勢とした開放位置で維持させ、紫外線照射器40により紫外線を照射して殺菌した製氷水を給水経路30から開放位置に維持させた水皿24の上面に送出する水皿洗浄運転を実行するように制御してもよい。
【0045】
具体的には、氷量検知センサ13により貯氷庫12内の氷が満杯状態であると検知した後で、除氷運転後に製氷運転を待機させてから所定時間経過したときに、紫外線照射器40により紫外線を照射させるように制御するとともに、給水弁34を所定時間開放するように制御する。給水源の製氷水は給水弁34の開放によって給水経路30を通るときに紫外線照射器40から照射される紫外線によって殺菌された状態で散水パイプ35から傾斜姿勢の水皿24の上面に散水され、散水された殺菌後の製氷水は水皿24の上面を流れてドレンパン28で受けられ、ドレンパン28から排水管29を通って排水される。これにより、給水経路30を紫外線照射器40により照射される紫外線により殺菌することができるだけでなく、傾斜姿勢の水皿24の上面に殺菌された製氷水を流して、水皿24の上面を清潔に保つことができるようになった。
【0046】
これらの第1~第6実施例では、除氷運転後に製氷運転を待機させてから所定時間経過したときに水皿洗浄運転を実行させるように制御しているが、これに限られるものでなく、除氷運転後に製氷運転を待機させてから所定時間経過毎に水皿洗浄運転を実行させるように制御してもよい。
【0047】
また、この第1~第6実施例の製氷機10においては、除氷運転後に製氷運転を待機させているときには、ハウジング11内にて製氷機構20の温度が高くなるおそれがあり、製氷機構20で細菌が繁殖するおそれがある。このため、製氷部21の温度を検出する温度センサ23の検出温度が所定温度以上となったときに、水皿洗浄運転を実行させるように制御してもよい。
【0048】
第7~第11実施例の製氷機10のように、製氷機構20に紫外線照射器40から紫外線を照射するようにしたものでは、除氷運転後に製氷運転を待機させているときに、給水経路30から製氷水タンク25に製氷水を供給するとともに、水皿24を閉止位置とすることで製氷小室21bの開口を塞いだ状態とし、送水ポンプ26によって製氷水を製氷水タンク25内と製氷部21との間で循環させながら紫外線照射器40から紫外線を照射して殺菌し、製氷水タンク25と製氷部21とを殺菌した製氷水を循環させながら洗浄する循環洗浄運転を実行するように制御してもよい。
【0049】
具体的には、氷量検知センサ13により貯氷庫12内の氷が満杯状態であると検知した後で、除氷運転後に製氷運転を待機させてから所定時間経過したときに、開閉機構27のアクチュエータモータ27aにより水皿24を閉止位置に傾動させるように制御することで、水皿24を製氷部21の下側で各製氷小室21bの開口を塞ぐ閉止位置とする。また、給水弁34を所定時間開放するように制御することで、給水源の製氷水は給水経路30を通って散水パイプ35から水平姿勢の水皿24の上面に散水され、水皿24の上面から製氷水タンク25に流れ落ちる。冷凍装置22を作動させない状態で送水ポンプ26を作動するように制御することで、製氷水タンク25内の製氷水は送水管26aを通って製氷水通路24aに送られ、製氷水通路24aから各噴射孔24bを通って製氷小室21b内に噴射送出される。製氷小室21b内に噴射送出された製氷水は再び製氷水タンク25に戻り、製氷水は送水ポンプ26によって製氷水タンク25と製氷部21との間で循環する。製氷水を製氷水タンク25と製氷部21との間で循環させながら、紫外線照射器40により製氷機構20に紫外線を照射するように制御することにより、循環する製氷水は紫外線照射器40により照射される紫外線によって殺菌され、製氷機構20は殺菌された洗浄水が循環することによって洗浄されるようになった。なお、製氷機構20を殺菌した洗浄水によって洗浄した洗浄水は洗浄後に水皿24を開放位置とすることで排水されている。
【0050】
これらの第7~第11実施例の製氷機10においては、除氷運転後に製氷運転を待機させてから所定時間経過したときに循環洗浄運転を実行させるように制御しているが、これに限られるものでなく、除氷運転後に製氷運転を待機させてから所定時間経過毎に循環洗浄運転を実行させるように制御してもよい。
【0051】
また、この第7~第11実施例の製氷機10においては、除氷運転後に製氷運転を待機させているときに、ハウジング11内にて製氷機構20の温度が高くなるおそれがあり、製氷機構20で細菌が繁殖するおそれがある。このため、製氷部21の温度を検出する温度センサ23の検出温度が所定温度以上となったときに、循環洗浄運転を実行させるように制御してもよい。
【0052】
さらに、この第7~第11実施例の製氷機10においては、氷量検知センサ13により貯氷庫12内の氷が満杯状態であると検知した後で、除氷運転後に製氷運転を待機させているときに、製氷運転を実行する前に循環洗浄運転を実行するように制御してもよい。製氷運転を再び実行する前に循環洗浄運転を実行することで、製氷機構20で清潔な氷を製氷することができるようになった。
【0053】
この実施形態の製氷機は、所謂クローズドセルタイプの製氷機であるが、本発明はこれに限られるものでなく、製氷水を凍結させて氷を製造する製氷機構20と、製氷機構20に供給する給水経路30とを備えていれば、他の形式の製氷機にも適用されるものである。
【0054】
上記の各実施例では、給水経路30または製氷機構20に紫外線照射器40から紫外線を照射して殺菌するものであるが、これに限られるものでなく、給水経路30と製氷機構20の少なくとも1つに紫外線照射器40から紫外線を照射して殺菌するようにしたものであってもよい。また、各実施例の紫外線照射器40を適宜組み合わせて配置したものであってもよい。
【符号の説明】
【0055】
10…製氷機、11…ハウジング、20…製氷機構、21…製氷部、21b…製氷小室、22…冷凍装置、23…温度センサ、24…水皿、24a…製氷水通路、25…製氷水タンク、26…送水ポンプ、29…排水経路(排水管)、29a…トラップ部、30…給水経路、32…浄水器、35…散水パイプ、35a…散水孔、40…紫外線照射器。