(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】収容ユニット及びその動作方法
(51)【国際特許分類】
A63F 9/00 20060101AFI20240619BHJP
【FI】
A63F9/00 512B
(21)【出願番号】P 2020045610
(22)【出願日】2020-03-16
【審査請求日】2023-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】591186888
【氏名又は名称】株式会社トッパンインフォメディア
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】野毛 誉之
(72)【発明者】
【氏名】駒木根 造
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 幸男
【審査官】安田 明央
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-157605(JP,A)
【文献】特開2016-054936(JP,A)
【文献】特開平10-063933(JP,A)
【文献】特開平09-223264(JP,A)
【文献】特開2009-199282(JP,A)
【文献】米国特許第04839505(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/00
A63F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の物品(1)を収容するための収容ユニット(100)であって、
前記物品(1)を保持するポケット(51)が配列された主収容部(5)と、
前記物品(1)の積層物を保持する少なくとも一つの副収容部(6)と、
前記副収容部(6)から前記主収容部(5)のポケット(51)へ前記物品(1)を受け渡すように構成された受け渡し機構(7)を備え、
前記受け渡し機構(7)は、前記副収容部(6)における前記物品(1)の姿勢とは異なる姿勢で前記物品(1)が前記ポケット(51)に導入されるように前記物品(1)の姿勢を変換するように構成され
、
前記物品(1)は、前記副収容部(6)において倒伏姿勢を取り、前記主収容部(5)の前記ポケット(51)において倒立姿勢を取る、収容ユニット。
【請求項2】
前記受け渡し機構(7)は、前記物品(1)が鉛直方向に沿って落下することを許容するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の収容ユニット。
【請求項3】
前記受け渡し機構(7)は、前記副収容部(6)から取り出された少なくとも一つの前記物品(1)を受ける回転可能な受け具(71)と、前記受け具(71)の回転に応じて前記受け具(71)から放出される前記物品(1)を前記ポケット(51)に導入されるように案内するシュート(73)を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の収容ユニット。
【請求項4】
前記シュート(73)は、前記物品(1)の厚み方向において前記物品(1)を挟むように設けられた一対のシュート板(74,75)を含むことを特徴とする請求項3に記載の収容ユニット。
【請求項5】
前記一対のシュート板(74,75)の一方は、前記副収容部(6)と前記受け具(71)の間において前記物品(1)が移動するための面を有することを特徴とする請求項4に記載の収容ユニット。
【請求項6】
前記物品(1)が突出部(1m,1n)を有するように前記受け具(71)上に置かれ、前記一対のシュート板(74,75)の少なくとも一方は、前記突出部(1m,1n)を案内するように構成されることを特徴とする請求項4又は5に記載の収容ユニット。
【請求項7】
前記一対のシュート板(74,75)それぞれには前記受け具(71)との干渉を回避するための開口又は切り欠き(76,77)が設けられることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載の収容ユニット。
【請求項8】
前記副収容部(6)に収容された前記物品(1)を押し出すべく動かされる押し出し具(81)を更に備え、
前記押し出し具(81)は、当該押し出し具(81)により押し出されるべき前記物品(1)の直上にある前記物品(1)の下面(1b)に接触するように設けられた少なくとも一つの回転子(82)を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の収容ユニット。
【請求項9】
前記少なくとも一つの副収容部(6)として複数の副収容部(6)が水平方向に配列され、前記複数の副収容部(6)は、前記受け渡し機構(7)に対して個別又は一ユニットとして水平方向に可動に設けられることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の収容ユニット。
【請求項10】
前記主収容部(5)には前記ポケット(51)を画定するべく隔壁(52)が放射状に設けられることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の収容ユニット。
【請求項11】
前記隔壁(52)は、前記主収容部(5)の回転に関する径方向において前記主収容部(5)の回転軸に向けて幅狭に形状付けられることを特徴とする請求項10に記載の収容ユニット。
【請求項12】
前記主収容部(5)の回転に関する径方向において前記ポケット(51)の開口から前記物品(1)が出ることを阻止する阻止部(53)を更に備えることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の収容ユニット。
【請求項13】
前記受け渡し機構(7)を介して前記副収容部(6)から前記主収容部(5)の前記ポケット(51)に前記物品(1)が導入される位置とは異なる位置において前記主収容部(5)の前記ポケット(51)から前記物品(1)を押し出すように設けられた押し出し機構(9)を更に備えることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の収容ユニット。
【請求項14】
前記押し出し機構(9)は、前記ポケット(51)から前記物品(1)を押し出すべく回転するフック状部材(91)と、前記ポケット(51)から前記物品(1)の排出を阻止するように設けられたシャッター(96)を備え、前記シャッター(96)は、前記フック状部材(91)の回転に連動して回転し、前記ポケット(51)からの前記物品(1)の排出を阻止する閉状態から前記ポケット(51)からの前記物品(1)の排出を許容する開状態に推移することを特徴とする請求項13に記載の収容ユニット。
【請求項15】
前記主収容部(5)の前記ポケット(51)に収容された状態の前記物品(1)から前記物品(1)に関する情報を取得するように設けられた情報取得部(3)を更に備えることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一項に記載の収容ユニット。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか一項に記載の収容ユニットを具備する払出機又はゲーム機。
【請求項17】
平板状の物品(1)を収容するための収容ユニット(100)の動作方法であって、
前記収容ユニット(100)は、
前記物品(1)を保持するポケット(51)が配列された主収容部(5)と、
前記物品(1)の積層物を保持する少なくとも一つの副収容部(6)と、
前記副収容部(6)から前記主収容部(5)の前記ポケット(51)へ前記物品(1)を受け渡すように構成された受け渡し機構(7)にして、前記副収容部(6)における前記物品(1)の姿勢とは異なる姿勢で前記物品(1)が前記ポケット(51)に導入されるように前記物品(1)の姿勢を変換するように構成された受け渡し機構(7)と、
前記副収容部(6)に収容された前記物品(1)を前記受け渡し機構(7)上まで押し出す押し出し機構(8)を備え、
前記押し出し機構(8)の作動に基づいて、前記物品(1)が前記副収容部(6)から前記受け渡し機構(7)上まで移動する工程と、
前記受け渡し機構(7)の作動に基づいて、前記受け渡し機構(7)上から前記主収容部(5)の前記ポケット(51)内へ前記物品(1)が移動する工程を含
み、
前記物品(1)は、前記副収容部(6)において倒伏姿勢を取り、前記主収容部(5)の前記ポケット(51)において倒立姿勢を取る、収容ユニットの動作方法。
【請求項18】
前記少なくとも一つの副収容部(6)として水平方向に配列された複数の副収容部(6)が設けられる、請求項17に記載の収容ユニットの動作方法であって、
前記副収容部(6)又は前記押し出し機構(8)を前記水平方向に沿って動かすことに基づいて、前記押し出し機構(8)により前記物品(1)が押し出されるべき前記副収容部(6)を変更する工程を更に含むことを特徴とする請求項17に記載の収容ユニットの動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、収容ユニット及びその動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示のようにゲーム結果に応じてパックが払い出されるゲーム機が知られている。パックは、例えば、キャラクター情報が付与された小判型のプラスチック製品である。パックは、リボルバーに収容される。パックの識別情報がカメラにより読み取られる(同文献の
図1,3参照)。リボルバーがステッピングモーターにより駆動される(同文献の段落0036参照)。したがって、リボルバー上における位置とその位置に置かれたパックの識別情報が対応付けて記憶される。ゲーム結果に応じて、(ゲームにおいて捕獲されたキャラクターに対応する)特定種類のパックが排出される(同文献の段落0041参照)。リボルバー上に特定種類のパックがない場合、ランダムにパックが排出される(同文献の段落0041参照)。特許文献2にも特許文献1に関連した技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-157605号公報
【文献】特開2015-221220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
装置の大型化を回避又は抑制しつつ、装置の収容部に収容される物品の種類及び数の増加に対応することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る収容ユニットは、平板状の物品を収容するための収容ユニットであって、物品を保持するポケットが配列された主収容部と、物品の積層物を保持する少なくとも一つの副収容部と、副収容部から主収容部のポケットへ物品を受け渡すように構成された受け渡し機構を含む。受け渡し機構は、副収容部における物品の姿勢とは異なる姿勢で物品がポケットに導入されるように物品の姿勢を変換するように構成される。
【0006】
幾つかの実施形態においては、受け渡し機構は、物品が鉛直方向に沿って落下することを許容するように構成される。
【0007】
幾つかの実施形態においては、受け渡し機構は、副収容部から取り出された少なくとも一つの物品を受ける回転可能な受け具と、受け具の回転に応じて受け具から放出される物品をポケットに導入されるように案内するシュートを含む。シュートは、物品の厚み方向において物品を挟むように設けられた一対のシュート板を含み得る。一対のシュート板の一方は、副収容部と受け具の間において物品が移動するための面を有し得る。物品が突出部を有するように受け具上に置かれ、一対のシュート板の少なくとも一方は、突出部を案内するように構成され得る。一対のシュート板それぞれには受け具との干渉を回避するための開口又は切り欠きが設けられ得る。
【0008】
幾つかの実施形態においては、収容ユニットは、副収容部に収容された物品を押し出すべく動かされる押し出し具を更に含み得る。押し出し具は、当該押し出し具により押し出されるべき物品の直上にある物品の下面に接触するように設けられた少なくとも一つの回転子を有し得る。
【0009】
幾つかの実施形態においては、少なくとも一つの副収容部として複数の副収容部が水平方向に配列される。複数の副収容部は、受け渡し機構に対して個別又は一ユニットとして水平方向に可動に設けられ得る。
【0010】
幾つかの実施形態においては、主収容部にはポケットを画定するべく隔壁が放射状に設けられる。
【0011】
幾つかの実施形態においては、隔壁は、主収容部の回転に関する径方向において主収容部の回転軸に向けて幅狭に形状付けられる。
【0012】
幾つかの実施形態においては、収容ユニットは、主収容部の回転に関する径方向においてポケットの開口から物品が出ることを阻止する阻止部を更に含む。
【0013】
幾つかの実施形態においては、収容ユニットは、受け渡し機構を介して副収容部から主収容部のポケットに物品が導入される位置とは異なる位置において主収容部のポケットから物品を押し出すように設けられた押し出し機構を更に含む。
【0014】
幾つかの実施形態においては、押し出し機構は、ポケットから物品を押し出すべく回転するフック状部材と、ポケットから物品の排出を阻止するように設けられたシャッターを含む。シャッターは、フック状部材の回転に連動して回転し、ポケットからの物品の排出を阻止する閉状態からポケットからの物品の排出を許容する開状態に推移し得る。
【0015】
幾つかの実施形態においては、収容ユニットは、主収容部のポケットに収容された状態の物品から物品に関する情報を取得するように設けられた情報取得部を更に含む。
【0016】
上述の任意の組み合わせに係る収容ユニットを具備する払出機又はゲーム機も開示される。収容ユニットがゲーム機に内蔵される場合、収容ユニットに収容される物品は、ゲーム関連の物品であり得る。幾つかの場合、物品は、ゲーム機により読み取り可能なコードが付与されたものであり得る。
【0017】
本開示の一態様に係る収容ユニットの動作方法は、平板状の物品を収容するための収容ユニットの動作方法であって、
収容ユニットは、
物品を保持するポケットが配列された主収容部と、
物品の積層物を保持する少なくとも一つの副収容部と、
副収容部から主収容部のポケットへ物品を受け渡すように構成された受け渡し機構にして、副収容部における物品の姿勢とは異なる姿勢で物品がポケットに導入されるように物品の姿勢を変換するように構成された受け渡し機構と、
副収容部に収容された物品を受け渡し機構上まで押し出す押し出し機構を備え、
押し出し機構の作動に基づいて、物品が副収容部から受け渡し機構上まで移動する工程と、
受け渡し機構の作動に基づいて、受け渡し機構上から主収容部のポケット内へ物品が移動する工程を含む。
【0018】
幾つかの実施形態においては、収容ユニットの動作方法は、少なくとも一つの副収容部として水平方向に配列された複数の副収容部が設けられる。副収容部又は押し出し機構を水平方向に沿って動かすことに基づいて、押し出し機構により物品が押し出されるべき副収容部を変更する工程を更に含む。
【発明の効果】
【0019】
本開示の一態様によれば、装置の大型化を回避又は抑制しつつ、装置の収容部に収容される物品の種類及び数の増加に対応することが促進される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本開示の一態様に係る収容ユニットの概略的な斜視図である。
【
図3】副収容部に収容された状態のパックの積層物の概略的な斜視図である。
【
図4】副収容部の水平移動によってパックが押し出される副収容部が変更されることを示す概略図である。副収容部の選択は、
図4(a)~(e)に示す順番に限られない。
【
図5】押し出し機構、副収容部、及び受け渡し機構の位置関係を示す概略的な斜視図である。受け具の回転軸が一点鎖線により示される。
【
図6】押し出し機構の押し出し具の前進に基づいて副収容部から受け渡し機構上にパックが移動することを示す概略的な上面図である。
【
図7】押し出し機構の押し出し具の前進に基づいて副収容部から受け渡し機構上にパックが移動することを示す概略的な側面図である。
【
図8】受け渡し機構の受け具の回転に基づいて受け渡し機構から主収容部のポケット内にパックが移動することを示す概略的な側面図である。
【
図9】主収容部からパックを押し出すように構成された押し出し機構の構成及び動作を示す概略図である。
【
図10】収容ユニットの制御系の概略的な構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、
図1乃至
図10を参照しつつ、様々な実施形態及び特徴について説明する。当業者は、過剰説明を要せず、各実施形態及び/又は各特徴を組み合わせることができ、この組み合わせによる相乗効果も理解可能である。実施形態間の重複説明は、原則的に省略する。参照図面は、発明の記述を主たる目的とするものであり、作図の便宜のために簡略化されている。各特徴は、本願に開示された収容ユニットにのみ有効であるものではなく、本明細書に開示されていない他の様々な収容ユニットにも通用する普遍的な特徴として理解される。
【0022】
図1に示す収容ユニット100は、例えば、ゲーム機に内蔵され、ゲーム機のコントローラー(例えば、メイン又はサブコントローラー)により制御される。収容ユニット100には多数及び多品種のパック1が収容され、図示例では、主収容部5と副収容部6に分けてパック1が収容される。主収容部5には、(例えば、ゲーム機の)コントローラーにより選択されて収容ユニット100外に払い出し可能なパック1が収容され、従って、「払出候補収容部」と呼ぶこともできる。主収容部5からパック1が払い出されるに応じて主収容部5に新たなパック1を補充することが必要になる。この目的のために副収容部6が設けられ、多数及び多品種のパック1が収容されている。かかる観点から、副収容部6を「払出候補の在庫部」と呼ぶこともできる。なお、副収容部6に収容されたパック1の減少に応じて人手(例えば、ゲームセンターの従業員等)によって副収容部6にパック1を補充することができる。典型的には、副収容部6に収容されるパック1の個数は、主収容部5に収容されるパック1の個数よりも多いが、必ずしもこの限りではない。補充作業負担の低減のために副収容部6の大容量化が望ましい。なお、ある空間(例えば、ゲーム機の内部空間)において収容ユニット100に割り当てることができる広さには制限があることが多い。従って、限られた設置スペースにおいて、多数のパック1を高密度に収容することが望ましい。
【0023】
主収容部5には、パック1を保持するポケット51が配列される。
図2に示す場合、主収容部5は、ポケット51が周方向D5に配置された回転可能な部材であり、ポケット51を画定するべく隔壁52が放射状に設けられる。オプションとして、隔壁52は、主収容部5の回転に関する径方向において主収容部5の回転軸に向けて幅狭に形状付けられ、パック1の高密度配置が促進される。オプションとして、径方向においてポケット51の開口からパック1が出ることを阻止する阻止壁(阻止部)53が設けられ、ポケット51からパック1が脱落してしまうことが回避又は抑制される。阻止壁53は、周方向に連続又は断続的に設けられ得る。所定位置(後述の押し出し機構9によってパック1が押し出し可能な位置)にあるパック1は、阻止壁53間の開口54を介してポケット51外に移動し得る。
【0024】
パック1は、平板状の物品であり、例えば、キャラクター情報が付与された小判型のプラスチック製品である(
図1及び
図3参照)。パック1は、カードよりも厚みが大きいため主収容部5に収容される個数に制約が生じやすい。パック1は、一方向において長尺であり、短幅W1と長幅W2を有する(
図3参照)。パック1は、上下面1t,1bと側面1sを有する。パック1の厚みは、パック1の上下面1t,1bの短幅W1未満である。副収容部6において鉛直方向D1に沿ってパック1が積層される。
【0025】
パック1(例えば、その側面1s)には特定のキャラクターに応じた識別情報が付与されており、情報取得部3により取得される。識別情報は、例えば、2次元又は3次元コードであり、CCD又はCMOSカメラといった情報取得部3により取得される。半導体チップに識別情報が記憶され、情報取得部3により読みだされる形態(例えば、RFID)も想定される。情報取得部3は、識別情報の形態に応じて適切なものが選択される。なお、主収容部5と副収容部6に収容される物品は、図示のパック1に限られないことに留意されたい。
【0026】
主収容部5のポケット51(又は主収容部5の回転位置)と、ポケット51に収容されたパック1の識別情報が対応付けて制御系の記憶領域(例えば、ルックアップテーブル)に記憶される。ステッピングモーターの360°の角度範囲をポケット51の総数で除算してステッピングモーターの単位角を決定することができる。ステッピングモーターの回転角度毎にパック1から識別情報を読み出すことによりポケット51(又は主収容部5の回転角(回転位置))と、ポケット51に収容されたパック1の識別情報を対応づけることができる。ゲーム機は、この対応づけられた情報に基づいて、ゲーム機により選択された特定種類のパック1が主収容部5に収容されているか否か判断し、及び、主収容部5のどのポケット51にその特定種類のパック1が収容されているのか特定することができる。ポケット51とパック1の対応付けのためにエンコーダーを採用することもできる。
【0027】
幾つかの場合、副収容部6として複数の副収容部6a~6eが設けられる(説明の便宜上5つの副収容部6を示すが、この数に限られない)。各副収容部6a~6eは、
図3に示すパック1の積層物を収容する鉛直方向D1に沿って延びる筒体であり、個別に又は一ユニットとして、鉛直方向D1に直交する水平方向D2に沿って移動可能である。副収容部6の筒内にパック1が積層され、下層のパック1の上面1t上に上層のパック1の下面1bが載置される。なお、副収容部6は、後述の押し出し機構8の押し出し具81と干渉しないように構成され、例えば、押し出し具81の通路の両隣に設けられた底板64を有する。この底板64の上にパック1の積層体が配置される。
【0028】
副収容部6の水平移動のためにラック21、ピニオン22、及びモーター23の組み合わせが採用されるが、シリンダーといった別種の駆動装置又は機構を採用することもできる。図示例では、副収容部6a~6eが一ユニットとして連結され、副収容部6a~6eのユニットがラック21に連結される。モーター23の出力シャフトに固定されたピニオン22の回転に応じてラック21及びユニットが水平方向D2に移動する。ピニオン22の回転による水平方向D2における副収容部6の送り量は、副収容部6の配置ピッチに対応し得る。
【0029】
図4に示すように、水平方向D2に沿う副収容部6a~6eの移動によって後述の押し出し機構8によりパック1が押し出される対象の副収容部6が変更される。
図4(a)に示す時、押し出し機構8により副収容部6aに収容されたパック1が副収容部6a外(後述の受け渡し機構7上)に押し出される。
図4(b)に示す時、押し出し機構8により副収容部6bに収容されたパック1が副収容部6b外(後述の受け渡し機構7上)に押し出される。同様、
図4(c)~(e)の時、押し出し機構8により副収容部6c~6eに収容されたパック1が副収容部6c~6e外(後述の受け渡し機構7上)上に押し出される。このメカニズムの採用により副収容部6に新たなパック1を補充する頻度を少なくすることができる。
【0030】
図5に示すように、副収容部6の両隣に押し出し機構8と受け渡し機構7が配備される。押し出し機構8は、副収容部6に収容されたパック1のうち、所定位置にある(典型的には、一つの)パック1を副収容部6外に押し出すように構成される。受け渡し機構7は、副収容部6から主収容部5のポケット51へパック1を受け渡すように構成される。
【0031】
幾つかの場合、押し出し機構8は、副収容部6に収容されたパック1を押し出すべく動かされる押し出し具81を有する。押し出し具81は、パック1の厚み未満の厚みの先端部を有することができ、この場合、積層されたパック1から押し出し対象のパック1を上手く選択的に押し出すことができる。受け渡し機構7は、副収容部6から取り出されたパック1を受ける回転可能な受け具71と、受け具71の回転に応じて受け具71から放出されるパック1をポケット51に導入されるように案内するシュート73を有する。受け渡し機構7は、パック1が鉛直方向に沿って落下することを許容するように構成されるが、必ずしもこの形態に限られるべきではない。
【0032】
押し出し具81は、ベースプレート89上を水平方向D2に直交する別の水平方向D3に沿って移動することができ、オプションとして、その上面にローラー82が設けられる。
図6に示すように、押し出し具81の移動のためにラック83、ピニオン84及びモーター85を採用されるが、シリンダーといった別種の駆動装置又は機構を採用することもできる。モーター85の出力シャフトに固定されたピニオン84の回転に応じてラック83が水平方向D3沿いに移動する。ラック83に押し出し具81が連結されているため、押し出し具81もラック83と同方向に移動する。押し出し具81が副収容部6において最も下方に位置するパック1を押し、受け渡し機構7上まで動かす。副収容部6は、押し出し具81の通路の両隣に設けられた底板64を有する。パック1は、押し出し具81により押されて底板64上を摺動し、受け渡し機構7上まで安定して移動することができる。
図7に示すように押し出し具81の上面にローラー82が設けられる場合、押し出し対象のパック1jの上層にあるパック群1kから受ける荷重によって押し出し具81の円滑な移動が妨げられることが抑制される。ローラー82は、回転子の一例である。円柱状に限らず球状の回転子も採用可能である。
【0033】
図8に示すように、受け渡し機構7の受け具71は、パック1を受ける受け部71aと、モーターの出力シャフトに連結される連結部71bを有する。受け部71aは、パック1が置かれる載置面と、載置面に置かれたパック1を(例えば、その短幅W1に沿う水平方向D2において)挟むように設けられた壁面を有する。
図8(a)に示す時、受け具71は、パック1を受け部71aで受ける受け位置にある。
図8(b)に示す時、受け具71は、パック1を放出する放出位置にある。モーターの作動に基づいて、受け具71は、受け位置と放出位置の間で回転する。なお、パック1は、受け具71(受け部71aの載置面)上に置かれる時、受け具71(受け部71aの載置面)から突出した突出部1m,1nを有する(
図1参照)。図示例では、突出部1m,1nは、パック1の長手方向の両端部である。
【0034】
受け部71aから放出されるパック1は、シュート73を介して主収容部5のポケット51まで適切に搬送される。必ずしもこの限りではないが、シュート73は、パック1の厚み方向においてパック1を挟むように設けられたシュート板74,75を有する。シュート板74,75は、パック1が水平方向沿って移動し、続いて鉛直方向に落下することを上手く案内するべく湾曲した形状を有し、端的には、水平方向に沿う部分、鉛直方向に沿う部分、これらの間に設けられた湾曲部を有する。
【0035】
シュート板74,75は、受け具71との干渉を回避するための開口76及び切り欠き77が設けられる。図示例では、シュート板74には、受け具71の受け部71aとの干渉を回避するための閉じた開口76が設けられる。シュート板74は、開口76を周囲する閉じた枠部材である。シュート板75の切り欠き77は、受け位置側で開口する。シュート板75は、U字状の枠部材である。
【0036】
シュート板74は、受け具71の回転方向に沿って延びるガイド板74m,74nを有する。ガイド板74m,74nは、水平方向に延びる部分と鉛直方向に延びる部分を有するように湾曲している。ガイド板74mの水平方向に延びる部分は、副収容部6と(受け位置にある)受け具71の間においてパック1が移動するための面を提供する。副収容部6の底面上に置かれたパック1は、押し出し具81により押され、シュート板74の支持面上を摺動し、受け部71aの載置面に到達する。パック1は、突出部1m,1nを有するように受け具71上に置かれる。したがって、ガイド板74m,74nは、パック1の突出部1m,1nを案内するものと言える。ガイド板74m,74nは、水平方向D3に延びる連結板74e,74fにより連結される。
【0037】
シュート板75は、受け具71の回転方向に沿って延びるガイド板75m,75nと、これらを連結するように延びる連結板75eを有する。ガイド板75m,75nは、水平方向に延びる部分と鉛直方向に延びる部分を有するように湾曲している。ガイド板75mは、ガイド板74mに対向して配置される。ガイド板75nは、ガイド板74nに対向して配置される。ガイド板74m,74nとガイド板75m,75nの間隔は、パック1の円滑な移動を促進しつつ、最終的にパック1が鉛直方向に沿ってシュート73から放出されることを確保するように適切に決定される。パック1は、シュート73の放出口の下方に位置付けられた空のポケット51に向けてシュート73から鉛直方向下方に放出され、その空のポケット51に収容される。
【0038】
主収容部5のポケット51におけるパック1の姿勢は、副収容部6におけるパック1の姿勢とは異なる。パック1は、例えば、副収容部6において倒伏姿勢を取り、ポケット51において倒立姿勢を取る。倒立姿勢において、パック1の上下面(以下、主面と呼ぶ場合がある)1t,1bが水平方向よりも鉛直方向に沿って配向される。例えば、倒立姿勢において、パック1の主面1t,1bと鉛直方向のなす角は、0°以上であり、π/4°未満である。倒伏姿勢において、パック1の主面1t,1bが鉛直方向よりも水平方向に沿って配向される。例えば、倒伏姿勢において、パック1の主面1t,1bと水平方向のなす角は、0°以上であり、π/4°未満である。
【0039】
上述の説明から分かるように、本実施形態においては、受け渡し機構7は、副収容部6におけるパック1の姿勢とは異なる姿勢でパック1がポケット51に導入されるようにパック1の姿勢を変換するように構成される。これにより、副収容部6におけるパック1の高密度配置と主収容部5におけるパック1の高密度配置を同時に実現することが促進される。受け具71とシュート73といった複雑でない機構を採用することによりパック1の姿勢変換を安価に実現することができる。シュート73の構成を最適化することによって副収容部6から受け具71へのパックの安定した移動のために必要な部品点数を削減することができる。
【0040】
主収容部5のポケット51に収容されたパック1は、主収容部5の回転に関する周方向における所定位置において押し出し機構9によりポケット51からポケット51外に押し出される。押し出し機構9は、受け渡し機構7を介して副収容部6から主収容部5のポケット51にパック1が導入される位置とは異なる位置において主収容部5のポケット51かパック1を押し出すように設けられる。主収容部5におけるパック1の導入箇所の個数よりもパック1の放出箇所の個数を増加させることができる。例えば、一台のゲーム機で複数人がプレーし、各々のプレーヤーにポケット51を払い出すことが容易に実現できる。
【0041】
図9に示すように、押し出し機構9は、ポケット51からパック1を押し出すべく回転するフック状部材91と、ポケット51からパック1の排出を阻止するように設けられたシャッター96を有する。シャッター96は、フック状部材91の回転に連動して回転し、ポケット51からのパック1の排出を阻止する閉状態からポケット51からのパック1の排出を許容する開状態に推移する。
【0042】
フック状部材91は、モーターの出力シャフトに連結した基部91a、基部91aから(モーターの回転軸に関する)径方向に延びるフック部91bと、フック部91bとは異なる位置で基部91aから(モーターの回転軸に関する)径方向に延びる突部91cを有する。突部91cにボス91dが設けられる。シャッター96は、軸97周りに回転可能に設けられたシャッター主部96aと、シャッター主部96aからポケット51の開口を塞ぐように延びる閉鎖部96bを有する。シャッター主部96aにはフック状部材91のボス91dが挿入される横長のスロット96cが設けられる。
【0043】
図9(a)に示す時、シャッター96は、(例えば、遠心力によって)ポケット51からパック1が放出されることを阻止する閉位置にある。
図9(b)に示す時、シャッター96は、ポケット51からパック1が放出されることを許容する開位置にある。
図9(a)に示す時、フック状部材91は、フック部91bがポケット51から退避した待機位置にある。
図9(b)に示す時、フック状部材91は、フック部91bがポケット51内に進入した作動位置にある。
図9(a)に示す時、ボス91dは、スロット96cの一端又は一端寄りに位置し、
図9(b)に示す時、ボス91dは、スロット96cの他端又は他端寄りに位置する。
【0044】
図9(a)から
図9(b)に示すようにフック状部材91が反時計周りに回転すると、フック状部材91のボス91dから受ける力に応じてシャッター96が軸97周りに反時計周りに回転し、ポケット51が閉状態から開状態になる。ポケット51内のパック1は、フック部91bに押され、(阻止壁53が設けられるならば、阻止壁53間の開口54を介して)ポケット51からシュート99へ放出される。パック1は、シュート99を介してゲーム機の払出口に到達し、ゲーム機のプレーヤーにより取得される。
【0045】
図10は、収容ユニット100の制御系の概略的な構成を示すブロック図である。収容ユニット100の意図された動作のため、モーターといった駆動部のオン・オフが適切なタイミングで制御される。収容ユニット100の制御系は、メインコントローラーに通信可能に設けられたサブコントローラーを含み得る。メインコントローラーは、例えば、ゲーム機のゲームを実行するCPUと、このCPUによるプログラムの実行及びデータ処理のために用いられるメモリーを含む。サブコントローラーは、メインコントローラーからの指令、独自のプログラム指令、又は予め設定されたロジックに基づいて複数の駆動部を制御する。サブコントローラーは、ASIC、マイコン、プログラマブル・ロジックといった制御素子を含んで構成され得る。
【0046】
サブコントローラーにより制御される駆動部は、副収容部6の水平移動用の駆動部、押し出し機構8の押し出し具81の移動用の駆動部、受け渡し機構7の受け具71の回転用の駆動部、主収容部5の回転用の駆動部、及び押し出し機構9のフック状部材91の回転用の駆動部を含み得る。駆動部は、モーターと、モーター駆動用のドライバーを含み得る。モーターは、例えば、DCモーター、ステッピングモーター等である。主収容部5の回転のためにはステッピングモーターが用いられ得る。勿論、ステッピングモーターが用いられる場合、回転位置を指定する入力に応じたパルス数のパルス信号を生成するパルス生成器が用いられる。幾つかの場合、押し出し機構8の作動、受け渡し機構7の作動が連動して行われ、副収容部6から主収容部5にパック1を円滑に補充することができる。
【0047】
幾つかの実施形態においては、収容ユニット100の動作方法は、(a)押し出し機構8の作動に基づいて、物品1が副収容部6から受け渡し機構7上まで移動する工程と、(b)受け渡し機構7の作動に基づいて、受け渡し機構7上から主収容部5のポケット51内へ物品1が移動する工程を含む。同方法は、更に、副収容部6又は押し出し機構8を水平方向に沿って動かすことに基づいて、押し出し機構8により物品1が押し出されるべき副収容部6を変更する工程を含む。これらの動作方法の有利な効果は、上述の説明から明らかであろう。
【0048】
上述の教示を踏まえると、当業者をすれば、各実施形態に対して様々な変更を加えることができる。請求の範囲に盛り込まれた符号は、参考のためであり、請求の範囲を限定解釈する目的で参照されるべきものではない。
【符号の説明】
【0049】
1 :パック
1m :突出部
1n :突出部
3 :情報取得部
5 :主収容部
6 :副収容部
7 :受け渡し機構
8 :押し出し機構
9 :押し出し機構
51 :ポケット
52 :隔壁
53 :阻止壁
54 :開口
64 :底板
71 :受け具
71a :受け部
71b :連結部
73 :シュート
74 :シュート板
74e :連結板
74f :連結板
74m :ガイド板
74n :ガイド板
75 :シュート板
75e :連結板
75m :ガイド板
75n :ガイド板
76 :開口
77 :切り欠き
81 :押し出し具
82 :ローラー
83 :ラック
84 :ピニオン
85 :モーター
89 :ベースプレート
91 :フック状部材
96 :シャッター
100 :収容ユニット