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特許7506496情報処理システム、情報処理方法、および、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法、および、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/12 20120101AFI20240619BHJP
【FI】
G06Q50/12
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020045799
(22)【出願日】2020-03-16
(65)【公開番号】P2021149218
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル・アイピー東京
(72)【発明者】
【氏名】坂上 充敏
【審査官】橘 均憲
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-350841(JP,A)
【文献】特開2017-138773(JP,A)
【文献】特開2016-096399(JP,A)
【文献】特開2018-060522(JP,A)
【文献】特開2017-225003(JP,A)
【文献】特開2019-164933(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0138518(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エリア内の着座用具に取り付けられ、固有のタグ識別情報を記憶し、周囲の電波からエネルギーを得て動作する無線タグであって、前記着座用具への荷重、前記着座用具の動き、および、前記着座用具の周囲温度のうち少なくともいずれかのデータを検出するための無線タグと、
前記エリア内の着座用具の位置情報を、前記着座用具に取り付けられた無線タグのタグ識別情報と対応付けて記憶する記憶部を有する情報処理装置と、
を備え、
前記情報処理装置は、
前記無線タグと通信可能なユーザ端末を介して取得した前記無線タグから得られた前記データに所定の変化がある場合、前記ユーザ端末のユーザ識別情報と前記無線タグのタグ識別情報に対応する着座用具の位置情報とを対応付ける、
情報処理システム。
【請求項2】
エリア内の着座用具に取り付けられ、固有のタグ識別情報を記憶し、周囲の電波からエネルギーを得て動作する無線タグであって、前記着座用具への荷重、前記着座用具の動き、および、前記着座用具の周囲温度のうち少なくともいずれかのデータを検出するための無線タグと、
前記エリア内の着座用具の位置情報を、前記着座用具に取り付けられた無線タグのタグ識別情報と対応付けて記憶する記憶部を有する情報処理装置と、
前記エリア内のユーザ端末の位置情報を特定する位置特定装置と、
を備え、
前記情報処理装置は、
前記無線タグから得られた前記データに所定の変化がある場合、前記無線タグのタグ識別情報に対応する着座用具の位置情報と、前記位置特定装置により特定されたユーザ端末の位置情報とに基づいて、前記ユーザ端末のユーザ識別情報と前記無線タグのタグ識別情報に対応する着座用具の位置情報とを対応付ける、
情報処理システム。
【請求項3】
前記情報処理装置は、
前記データに所定の変化がある前記無線タグのタグ識別情報に対応する着座用具の位置情報が示す位置と前記位置特定装置により特定されたユーザ端末の位置情報が示す位置とが所定距離以下の場合、前記ユーザ端末のユーザ識別情報と前記無線タグのタグ識別情報に対応する着座用具の位置情報とを対応付ける、
請求項2に記載された情報処理システム。
【請求項4】
前記情報処理装置は、
前記ユーザ端末から取得した前記無線タグから得られる受信信号強度に基づいて、前記ユーザ端末のユーザ識別情報と前記無線タグのタグ識別情報に対応する着座用具の位置情報とを対応付ける、
請求項1から3のいずれか一項に記載された情報処理システム。
【請求項5】
前記情報処理装置と通信可能な端末装置を備え、
前記端末装置は、
前記エリア内における前記ユーザ端末のユーザ識別情報に対応付けられている着座用具の位置情報、又は、対応付けられていない着座用具の位置情報を前記情報処理装置を介して取得し表示する、
請求項1から4のいずれか一項に記載された情報処理システム。
【請求項6】
前記情報処理装置と通信可能な端末装置を備え、
前記端末装置は、
前記着座用具の位置情報に対応付けられたユーザ端末のユーザ識別情報及び前記ユーザ端末から取得した要求データを前記情報処理装置を介して取得し表示する、
請求項1から4のいずれか一項に記載された情報処理システム。
【請求項7】
前記情報処理装置と通信可能であって、前記着座用具の位置情報に対応付けられたユーザ端末のユーザ識別情報及び前記ユーザ端末から取得した要求データを前記情報処理装置を介して取得し表示する端末装置と、
前記要求データに対応する内容物を含む容器に取り付けられ、固有のタグ識別情報を記憶し、周囲の電波からエネルギーを得て動作する第2無線タグ、を備え、
前記位置特定装置は、前記第2無線タグの位置情報を特定し、
前記情報処理装置は、
前記ユーザ端末の位置情報と前記位置特定装置により特定された前記第2無線タグの位置情報とに基づき、前記要求データに対応する要求が実行されたか判断する、
請求項2又は3に記載された情報処理システム。
【請求項8】
前記情報処理装置と通信可能な端末装置と、
前記着座用具の位置情報に対応付けられたユーザ端末から取得した要求データに対応する内容物を含む容器に取り付けられ、固有のタグ識別情報を記憶し、周囲の電波からエネルギーを得て動作する第3無線タグであって、前記容器への荷重、前記容器の動き、および、前記容器の周囲温度のうち少なくともいずれかのデータを検出するための第3無線タグと、を備え、
前記情報処理装置は、前記第3無線タグの前記データに所定の変化がある場合に、前記ユーザ端末に対応付けられた前記着座用具の位置情報とともに、前記ユーザ端末から取得した要求データに対応する要求を実行するための要求を前記端末装置に通知する、
請求項1から4のいずれか一項に記載された情報処理システム。
【請求項9】
前記情報処理装置は、
前記着座用具の位置情報に対応付けられたユーザ端末から取得する要求データに基づいて、前記ユーザ端末に対して電子決済の実行を要求する、
請求項1から8のいずれか一項に記載された情報処理システム。
【請求項10】
エリア内の着座用具に取り付けられ、固有のタグ識別情報を記憶し、周囲の電波からエネルギーを得て動作する無線タグが、前記着座用具への荷重、前記着座用具の動き、および、前記着座用具の周囲温度のうち少なくともいずれかのデータを検出し、
情報処理装置が、前記エリア内の着座用具の位置情報を、前記着座用具に取り付けられた無線タグのタグ識別情報と対応付けて記憶し、
前記情報処理装置が、前記無線タグと通信可能なユーザ端末を介して前記無線タグから得られた前記データを取得し、
前記情報処理装置が、取得した前記データに所定の変化がある場合、前記ユーザ端末のユーザ識別情報と前記無線タグのタグ識別情報に対応する着座用具の位置情報とを対応付ける、
情報処理方法。
【請求項11】
エリア内の着座用具に取り付けられ、固有のタグ識別情報を記憶し、周囲の電波からエネルギーを得て動作する無線タグが、前記着座用具への荷重、前記着座用具の動き、および、前記着座用具の周囲温度のうち少なくともいずれかのデータを検出し、
情報処理装置が、前記エリア内の着座用具の位置情報を、前記着座用具に取り付けられた無線タグのタグ識別情報と対応付けて記憶し、
位置特定装置が、前記エリア内のユーザ端末の位置情報を特定し、
前記情報処理装置が、前記無線タグから得られた前記データに所定の変化がある場合、前記無線タグのタグ識別情報に対応する着座用具の位置情報と、前記位置特定装置により特定されたユーザ端末の位置情報とに基づいて、前記ユーザ端末のユーザ識別情報と前記無線タグのタグ識別情報に対応する着座用具の位置情報とを対応付ける、
情報処理方法。
【請求項12】
エリア内の着座用具に取り付けられ、固有のタグ識別情報を記憶し、周囲の電波からエネルギーを得て動作する無線タグであって、前記着座用具への荷重、前記着座用具の動き、および、前記着座用具の周囲温度のうち少なくともいずれかのデータを検出するための無線タグ、と通信可能であって、
前記エリア内の着座用具の位置情報を、前記着座用具に取り付けられた無線タグのタグ識別情報と対応付けて記憶する記憶部を有するコンピュータにおいて、
前記コンピュータに、
前記無線タグと通信可能なユーザ端末からタグ識別情報を取得する手順、
当該タグ識別情報に対応する無線タグを介して取得した前記無線タグから得られた前記データに所定の変化があるか判断する手順と、
前記データに前記所定の変化がある場合に、前記ユーザ端末のユーザ識別情報と前記無線タグのタグ識別情報に対応する着座用具の位置情報とを対応付ける手順、
を実行させるプログラム。
【請求項13】
エリア内の着座用具に取り付けられ、固有のタグ識別情報を記憶し、周囲の電波からエネルギーを得て動作する無線タグであって、前記着座用具への荷重、前記着座用具の動き、および、前記着座用具の周囲温度のうち少なくともいずれかのデータを検出するための無線タグと、
前記エリア内のユーザ端末の位置情報を特定する位置特定装置と通信可能であって、
前記エリア内の着座用具の位置情報を、前記着座用具に取り付けられた無線タグのタグ識別情報と対応付けて記憶する記憶部を有するコンピュータにおいて、
前記コンピュータに、
前記位置特定装置によって特定された前記ユーザ端末の位置情報を取得する手順、
前記データに所定の変化がある無線タグのタグ識別情報に対応する着座用具の位置情報を取得する手順、
取得した前記ユーザ端末の位置情報と、前記データに所定の変化がある無線タグのタグ識別情報に対応する着座用具の位置情報と、に基づいて、前記ユーザ端末のユーザ識別情報と前記無線タグのタグ識別情報に対応する着座用具の位置情報とを対応付ける手順、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲食店に来店する顧客の通信端末を利用して注文あるいは決済を行うサービスが提案されている(例えば、引用文献1)。
引用文献1に記載されたシステムでは、携帯端末は、飲食物のメニューデータの取得要求および顧客から受け付けた飲食物の注文要求をサーバに送信する注文要求部と、注文要求した飲食物に対する決済要求が現金決済であると判定した場合、売上端末に対して顧客が現金決済するための準備処理の実行を要求する決済要求部と、を備える。サーバは、携帯端末からの要求に基づいてメニューデータを携帯端末に送信するメニュー提供部と、携帯端末から受信した注文要求に基づいて、飲食物をオーダーする注文処理部と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-049721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来は、通信端末を利用して注文あるいは決済を行うことが可能であるものの、例えば、顧客の飲食店における着席位置を把握することが困難であったため、顧客が通信端末により注文した飲食物を顧客の席まで配膳するサービスを行うことが難しかった。
【0005】
そこで、本発明は、エリア内の着座用具の位置と顧客とを対応付けることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、エリア内の着座用具に取り付けられ、固有のタグ識別情報を記憶し、周囲の電波からエネルギーを得て動作する無線タグであって、前記着座用具への荷重、前記着座用具の動き、および、前記着座用具の周囲温度のうち少なくともいずれかのデータを検出するための無線タグと、前記エリア内の着座用具の位置情報を、前記着座用具に取り付けられた無線タグのタグ識別情報と対応付けて記憶する記憶部を有する情報処理装置と、を備え、前記情報処理装置は、前記無線タグと通信可能なユーザ端末を介して取得した前記タグから得られた前記データに所定の変化がある場合、前記ユーザ端末のユーザ識別情報と前記無線タグのタグ識別情報に対応する着座用具の位置情報とを対応付ける、情報処理システムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のある態様によれば、エリア内の着座用具の位置と顧客とを対応付けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態の店舗運営システムのシステム構成を概略的に示す図である。
図2】第1の実施形態の店舗運営システムの各装置の内部構成を示すブロック図である。
図3】IoTタグから送信されるアドバタイジングパケットの構成を示す図である。
図4】店舗レイアウトデータベースのデータ構成例を示す図である。
図5】注文データセットのデータ構成例を示す図である。
図6】精算データベースのデータ構成例を示す図である。
図7】第1の実施形態の店舗運営システムの動作を示すシーケンスチャートである。
図8】店舗端末に表示される画像の一例を示す図である。
図9】第2の実施形態の店舗運営システムのシステム構成を概略的に示す図である。
図10】第2の実施形態の店舗運営システムの各装置の内部構成を示すブロック図である。
図11】第2の実施形態の店舗運営システムの動作を示すシーケンスチャートである。
図12】店舗端末に表示される画像の一例を示す図である。
図13】ユーザ端末の測位方法について説明する図である。
図14】ユーザ端末の測位方法について説明する図である。
図15】第3の実施形態の店舗運営システムのシステム構成を概略的に示す図である。
図16】第3の実施形態の店舗運営システムの動作を示すシーケンスチャートである。
図17】第4の実施形態の店舗運営システムの動作を示すシーケンスチャートである。
図18】第5の実施形態の店舗運営システムのシステム構成を概略的に示す図である。
図19】第5の実施形態の店舗レイアウトデータベースのデータ構成例を示す図である。
図20】第5の実施形態の店舗運営システムの動作を示すシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の情報処理システムの実施形態である店舗運営システムについて、図面を参照しながら説明する。
なお、本開示におけるIoTタグ(無線タグの一例)の通信距離は一例に過ぎず、限定されない。IoTタグの通信距離は、IoTタグの用途に応じて適宜変更若しくは調整可能である。
本開示において「着座用具」は、人が着席するために店舗に設けられる備品であり、例えば椅子やソファ等が挙げられる。以下の説明において、椅子は、着座用具の一例である。また、着座用具は、一人用の椅子であるものとして説明するが、これには限定されない。
【0010】
(1)第1の実施形態
(1-1)本実施形態の店舗運営システムのシステム構成
先ず、図1を参照して本実施形態の店舗運営システム1のシステム構成について説明する。図1は、本実施形態の店舗運営システム1のシステム構成を概略的に示す図である。
図1において、本実施形態の店舗運営システム1は、レストラン等の飲食物を提供する店舗に実装されている。顧客のユーザ端末4には顧客用アプリケーションがインストールされている。顧客用アプリケーションを実行することで、顧客は、ユーザ端末4において表示されるメニューの中から飲食物を注文することができる。したがって、店舗の従業員が顧客のいる場所に来て注文を取る必要がない。
【0011】
本実施形態の店舗運営システム1では、飲食物の注文を行った顧客が着席した椅子の着席位置(着座用具の位置)を特定できるように構成されているため、店舗の従業員は、当該顧客が注文した飲食物を顧客に対して配膳することができる。着席位置を特定するために、店舗の各椅子の座面には、例えばIoTタグが取り付けられている。椅子に取り付けられているIoTタグを、以下の説明では適宜「椅子タグ」と表記する。
【0012】
本実施形態の店舗運営システム1では、アプリケーションサーバ5(情報処理装置の一例)は、顧客から注文を受け付けるとともに顧客の着席位置と顧客の注文内容とを店舗端末3に通知して、注文された飲食物の配膳を店舗に促し、さらに顧客の会計を自動的に行うクラウド型のシステムである。なお、アプリケーションサーバ5は、複数の店舗に対するサービスを行うことが可能であるが、図1では1つの店舗のみを示している。
【0013】
店舗端末3(端末装置の一例)は、店舗に設けられている情報処理端末であり、限定しない例として、例えばラップトップ型のパーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等が挙げられる。店舗端末3には、店舗用アプリケーションがインストールされている。店舗端末3の店舗用アプリケーションは、ネットワークNWを介してアプリケーションサーバ5と通信可能である。
ネットワークNWは限定しないが、例えばLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等である。
【0014】
後に詳述するが、椅子タグT1(IoTタグ)は、例えば周囲環境の電波に基づいて発電する環境発電型の通信デバイスであり、バッテリを備えていない。椅子タグT1には、例えば、重量、動き(ピックアップ等のモーション)、および、周囲温度等の変化を検出するセンサ等を内蔵することができる。アプリケーションサーバ5は、例えば椅子タグT1のセンサにより検出されたデータ(センサデータ)や、椅子タグT1から出力される電波の変化等(波形等)を取得して、椅子タグT1に対する重量(つまり、対応する椅子への荷重)、対応する椅子の動き、及び対応する椅子の周囲温度等を検出(判断)することで、椅子タグT1が取り付けられた椅子に対する着席の有無を判定することができる。
【0015】
椅子タグT1の通信距離は、例えば3~10メートルの範囲である。椅子タグT1は、低電力消費の無線通信を行うように構成されており、通信プロトコルの例としては、Bluetooth Low Energy(登録商標)(以下、BLE)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等が挙げられる。以下では、BLEによる通信を行う場合を例として説明する。
椅子タグT1は、BLEの規格に準拠する場合、周囲のBLE端末に対してアドバタイジングパケット(後述する)をブロードキャストする。椅子タグT1が送信するパケットには、タグを識別するためのタグID(タグ識別情報の一例)やセンサデータ等が含まれる。
【0016】
アプリケーションサーバ5が店舗内の各椅子タグT1のタグIDとセンサデータを収集するときの経路は特に限定するものではない。収集経路として、(i)図示しない店内のゲートウェイ装置およびネットワークNWを介した経路、(ii)顧客のユーザ端末4、図示しないゲートウェイ装置およびネットワークNWを介した経路、(iii)顧客のユーザ端末4、無線通信ネットワークおよびネットワークNWを介した経路等が想定される。
【0017】
(1-2)本実施形態の店舗運営システムの各装置の構成
次に、図2図6を参照して、本実施形態の店舗運営システム1の各装置の構成を説明する。
図2は、本実施形態の店舗運営システム1の各装置の内部構成を示すブロック図である。図3は、椅子タグT1から送信されるアドバタイジングパケットの構成を示す図である。図4は、店舗レイアウトデータベースのデータ構成例を示す図である。図5は、注文データセットのデータ構成例を示す図である。図6は、精算データベースのデータ構成例を示す図である。
【0018】
図2を参照すると、椅子タグT1は、例えば、制御部11、アンテナ12、ハーベスティング部13、電圧制御部14、RFトランシーバ15、および、センサ16を含む。
椅子タグT1の全体の形態は図示しないが、例えば、アンテナ12とセンサ16が形成される所定のパターンの導電性金属箔と、当該金属箔に接続されるICチップとが接続された薄膜状の部材である。ICチップ内に、制御部11、ハーベスティング部13、および、電圧制御部14、RFトランシーバ15が実装される。
【0019】
制御部11は、マイクロプロセッサとメモリ111を有し、椅子タグT1の全体を制御する。メモリ111は、RAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)であり、マイクロプロセッサによって実行されるプログラムのほか、椅子タグT1に固有の識別情報であるタグID、センサ16が出力するセンサデータ等を記憶する。
【0020】
ハーベスティング部13は、周囲環境の電波(例えば周囲の無線通信による電波)に基づいて環境発電を行い、発電により得られた電力を内部のエネルギーストレージ131に貯蔵する。本実施形態では、ハーベスティング部13は、例えばアンテナ12が受信した無線信号を直流電圧に変換し、エネルギーストレージ131に貯蔵する。エネルギーストレージ131は、例えばキャパシタである。キャパシタの場合には、半導体チップ上に構成されたもの(つまりオンダイ(on-die)型のキャパシタ)でもよい。
【0021】
ハーベスティング部13が環境発電に使用する電波は、広範囲の周波数帯域において複数の異なる周波数帯の電波である。例えば、いわゆる3G~5G等の移動体通信システムで採用されている周波数帯の無線通信による電波、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等の通信規格で採用されている周波数帯の無線通信による電波、ZigBee(登録商標)やThread等の通信プロトコルに代表される2.4GHz帯の無線通信による電波、RFIDで採用されている周波数帯(例えば、900MHz帯、13.56MHz帯)の無線通信による電波等が挙げられる。
ここに例示したような電波は、一般に、ほとんどすべての店舗で適用可能である。そして、椅子タグT1は、周囲環境の電波に基づいてハーベスティング部13による環境発電で得られる電力で動作する。そのため、椅子タグT1にバッテリを搭載する必要がなく、システムコストを抑制することができる。また、バッテリを搭載する必要がないことから、バッテリの交換作業を行わずに済むため、タグが存在するにもかかわらずタグIDを取得できないという不具合が生じない。
【0022】
電圧制御部14は、制御部11およびRFトランシーバ15に動作電圧を供給するとともに、エネルギーストレージ131の電圧をモニタしており、モニタ結果に応じて電力モードを切り替える。エネルギーストレージ131の電圧が所定の閾値以下である場合には、電力モードを最小限の回路のみを動作させる第1モードとし、このとき制御部11およびRFトランシーバ15では、後述するパケットの生成や無線信号の送信等が行われない。エネルギーストレージ131の電圧が所定の閾値以上まで充電された場合には、電力モードを通常の処理ルーチンを実行する第2モードとし、このとき制御部11およびRFトランシーバ15ではパケットの生成、無線信号の送信を含む各種の処理が行われる。
【0023】
なお、制御部11は、例えば電力モードが第1モードの場合であってもエネルギーストレージ131の電圧が所定の閾値以上に充電された場合には、センサ16により検出されたセンサデータを、検出時刻のデータとともにメモリ111に格納してもよい。その場合、制御部11は、電力モードが第1モードから第2モードに切り替えられた時点で、メモリ111に格納していたセンサデータおよび検出時刻のデータを含むパケットを生成し、送信してもよい。
【0024】
センサ16は、例えば、椅子タグT1に加えられる荷重、椅子タグT1の動き、および、椅子タグT1の周囲温度等のデータ(つまり、センサデータ)を検出する。センサデータは、後述するパケットに含めるためにメモリ111に一時的に格納される。センサデータが動きの変化を示す場合、センサデータは、椅子タグT1の動きの程度を示す値であってもよく、椅子タグT1が動いたか否かを示す2値であってもよい。
【0025】
制御部11は、電力モードが第2モードの場合に、BLEのプロトコルに従ってアドバタイジングパケットを生成する。
アドバタイジングパケットは、BLEにおいてブロードキャスト通信を実現するためにアドバタイジングチャネルを利用して送信されるパケットであり、図3に示すパケット構成を有する。アドバタイジングパケットは、以下では適宜、単に「パケット」という。
【0026】
図3においてプリアンブル及びアドレスアクセスは、それぞれが所定の固定値である。CRCは巡回検査符号であり、パケットペイロード(つまり、アドバタイジングチャネルPDU(protocol data unit))を対象として所定の生成多項式を用いて算出される検査データである。
アドバタイジングチャネルPDU(以下、単に「PDU」という。)はヘッダとペイロードからなり、当該ペイロードは、ADVアドレスとADVデータとからなる。ADVアドレスはアドバタイザー(つまり、報知する主体である椅子タグT1)のアドレスであるが、送信元を特定しないように送信の都度に設定されるランダムな値でもよい。ADVデータはアドバタイザーのデータ(ブロードキャストデータ)であり、本実施形態では、タグID、および、センサ16によって出力されるセンサデータを含む。
【0027】
制御部11は、PDUを暗号化することが好ましい。暗号化方法は限定しないが、例えば鍵長128ビットのAES(Advanced Encryption Standard)を利用することができる。
【0028】
RFトランシーバ15は、送信するパケット(ベースバンド信号)に対して所定のデジタル変調(例えばGFSK(Gaussian Frequency Shift Keying))を行った後に直交変調を行い、高周波信号(BLEの場合、2.4GHzの周波数帯の信号)をアンテナ12に送出する。
【0029】
アンテナ12は、送信アンテナと発電用アンテナを含む。送信アンテナは、RFトランシーバ15によって送出される高周波の無線信号(パケット)を送信する。他方、発電用アンテナは、例えば周囲環境の電波を受信し、ハーベスティング部13と協働してレクテナとして機能する。
【0030】
図2に示すように、店舗端末3は、例えば、制御部31、ストレージ32、操作入力部33、表示部34、および、通信部35を備える。
制御部31は、マイクロプロセッサを主体として構成され、店舗端末3の全体を制御する。例えば、制御部31は、ストレージ32に格納する店舗用アプリケーションをロードして実行する。
店舗用アプリケーションは、例えば、アプリケーションサーバ5と通信することにより、アプリケーションサーバ5から顧客の注文に関する様々な情報を取得する。例えば、店舗用アプリケーションは、アプリケーションサーバ5から、顧客の着席位置と顧客の注文内容とを取得して表示するため、店舗の従業員は、顧客の席に注文を取りに行くことなく飲食物を顧客に対して配膳することができる。
ストレージ32は、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置であり、上述した店舗用アプリケーション等、制御部41によって実行される各種のプログラム等を格納する。
【0031】
操作入力部33は、各種のプログラムを実行するために店舗の従業員から操作入力を受け付ける入力インタフェースであり、表示部34の表示パネルに設けられるタッチパネル入力部であってもよい。
表示部34は、例えばLCD(Liquid Crystal Panel)等の表示パネルと、表示パネルの駆動回路とを含み、制御部31によるプログラムの実行結果を表示する。
通信部35は、ネットワークNWを介してアプリケーションサーバ5と通信を行うための通信インタフェースである。
【0032】
図2に示すように、ユーザ端末4は、例えば、制御部41、ストレージ42、操作入力部43、表示部44、第1通信部45、および、第2通信部46を備える。
【0033】
制御部41は、マイクロプロセッサを主体として構成され、ユーザ端末4の全体を制御する。例えば、制御部41は、ストレージ42に格納する顧客用アプリケーションをロードして実行する。
顧客用アプリケーションは、例えば、アプリケーションサーバ5と通信することにより、店舗の飲食物を注文する上で予めアプリケーションサーバ5にユーザ情報を登録するための処理を行う。ユーザ情報は、例えば、ユーザID、ユーザ端末4の端末ID、購入した商品を精算(決済)するときのユーザの口座情報等である。ユーザIDは、例えば、顧客用アプリケーションをユーザ端末4にインストールする際に、ユーザに付与される一意の識別情報である。端末IDは、例えば、ユーザ端末4の個体識別番号、契約者固有ID等である。
顧客用アプリケーションは、店舗が提供可能な飲食物のメニューを顧客が飲食物(注文対象)を選択可能となるように注文可能に表示部44に表示する。
ストレージ42は、SSD等の記憶装置であり、上述した顧客用アプリケーション等、制御部41によって実行される各種のプログラムを格納する。
【0034】
操作入力部43は、各種のプログラムを実行するためにユーザから操作入力を受け付ける入力インタフェースであり、表示部44の表示パネルに設けられるタッチパネル入力部であってもよい。
表示部44は、例えばLCD等の表示パネルと、表示パネルの駆動回路とを含み、制御部41によるプログラムの実行結果を表示する。
【0035】
第1通信部45は、例えば、第2通信部よりも狭い通信範囲で物体と無線通信を行うものであり、例えば、椅子タグT1がブロードキャストするパケットを受信するように構成されている。また、第1通信部45は、例えばBLEプロトコルに従ってビーコン信号を放射するように構成されている。ビーコン信号には、ユーザ端末4を識別する端末IDが含まれる。
【0036】
第2通信部46は、例えば図示しない無線通信ネットワークおよびネットワークNWを介してアプリケーションサーバ5と通信を行うための通信インタフェースである。
本実施形態では、制御部41は、第1通信部45を介して椅子タグT1からタグIDおよびセンサデータを取得する。制御部41はさらに、椅子タグT1から取得したタグIDおよびセンサデータと、自身のユーザIDとを、第2通信部46を介してアプリケーションサーバ5に送信する。
前述したように、椅子タグT1は、周囲環境の電波に基づいて環境発電を行うが、周囲環境の電波が少ない場合には、パケットの生成や無線信号の送信等の通常の動作が行われない(例えば、電力モードが第1モードの場合)。そこで、ユーザ端末4の制御部41は、椅子タグT1と通信できない状態(例えば、アドバタイジングパケットを受信できない状態)が所定時間以上継続する場合には、第1通信部45による無線送信を開始するか、又は、第1通信部45による送信電力を増加させるように第1通信部45を制御することが好ましい。それによって、椅子タグT1の周囲環境の電波が増加するために電力の貯蔵が可能となり、ユーザ端末4との無線通信を開始、あるいは再開することができるようになる。
【0037】
図2に示すように、アプリケーションサーバ5は、例えば、制御部51、ストレージ52、および、通信部53を備える。
【0038】
制御部51は、マイクロプロセッサを主体として構成され、アプリケーションサーバ5の全体を制御する。
ストレージ52(記憶部の一例)は、例えばHDDの大規模記憶装置を備え、店舗レイアウトデータベース(店舗L/O DB)、注文データセット(注文DS)、および、精算データベース(精算DB)等を記憶する。
通信部53は、店舗端末3やユーザ端末4との間で通信を行うための通信インタフェースとして機能する。
【0039】
図4の店舗レイアウトデータベースは、1つのレコードについて「タグID」、「椅子の位置情報」の各フィールドの値を有し、店舗内において椅子等の備品の配置を管理するためのデータベースである。図4の例では、1つのレコードが1つの椅子に対応しており、「タグID」フィールドの値は、当該椅子に取り付けられた椅子タグのタグIDであり、「椅子の位置情報」フィールドの値は、「椅子位置コード」と「座標」を含む。「椅子位置コード」は、椅子の位置を特定するための一意のコードである。「座標」は、店舗フロアの所定位置を原点としたときに、椅子位置コードに対応する座標を示している。
【0040】
図5の注文データセットは、店舗において顧客の注文を管理するためのデータである。注文データセットの1行のデータは、顧客の1個の飲食物の注文に対応している。具体的には、注文データセットの各行のデータは、椅子タグのタグID、ユーザID、注文データ、および、注文時刻の情報を含む。注文データ(要求データの一例)は、注文対象を特定する注文IDと、注文対象の数量との情報を含む。
注文データセットの各行のデータを作成するために、制御部51は、注文を行った顧客のユーザIDと、当該顧客の着席位置とを対応付ける処理を行う。
【0041】
図6の精算データベースは、各レコードが一人の顧客(ユーザ)に対応している。精算データベースは、例えば、各レコードについて「ユーザID」、「端末ID」、「注文日付」、「注文データ」、「精算金額」、「口座情報」の各フィールドの値を有する。精算データベースは、予め登録された顧客に対する注文履歴と注文した飲食物の精算を管理するためのデータベースである。上述したように、ユーザIDは、ユーザ(顧客)に対して予め付与される一意の識別情報である。端末IDおよび口座情報は、ユーザ端末4の顧客用アプリケーションからユーザごとに取得する情報である。
【0042】
制御部51のマイクロプロセッサは所定のプログラムを実行することで、例えば以下の(i)~(iii)の処理を行う。
【0043】
(i) 顧客の着席位置の特定処理
顧客の来店後において、アプリケーションサーバ5は、例えば顧客のユーザ端末4からユーザIDや、タグID、センサデータ等を逐次受信する。顧客が店内の椅子に着席した場合、顧客が着席した椅子の椅子タグから受信するセンサデータ等の所定の変化に基づいて、制御部51は、顧客が着席したことを検出する。顧客の着席検出は、様々な観点で行うことができる。
例えば、センサデータが温度センサのデータである場合、顧客の体温によりセンサデータが所定時間内の温度の上昇を示すときに、顧客の着席があったと判断してもよい。センサデータが重量センサのデータである場合、顧客の重量によりセンサデータが椅子タグに加えられる重量(荷重)の上昇を示すときに、顧客の着席を検出できる。センサデータが温度センサおよび重量センサの両方のデータを含む場合、センサデータの組み合わせに基づいて(例えば、温度データおよび重量データの両方の上昇および所定値以上の重量の検出結果を示す場合に)顧客の着席があったと判断してもよい。着席するときには椅子の動きがあるため、センサデータが椅子タグの動きのデータも含む場合には、重量の上昇及び/又は温度の上昇があり、例えば椅子タグの動きが検出された等の複数のセンサデータの組み合わせに基づいて、顧客の着席があったと判断してもよい。
なお、顧客の着席とともに椅子タグが発信する電波が顧客の体内に吸収されるため、ユーザ端末4が椅子タグから受信するときの受信信号強度(RSSI(Received Signal Strength Indicator))の値が低下する。そのため、RSSI値が低下したことを顧客の着席があったと判断するときの条件に加えてもよい。
【0044】
(ii)顧客の着席位置と顧客の注文内容の対応付け処理
制御部51は、顧客のユーザ端末4からユーザIDや、タグID、センサデータ等を逐次受信するため、例えばセンサデータ等に基づいて顧客の着席検出がなされると、注文データセットにおいて、顧客が着席した椅子に対応する椅子タグのタグIDと、ユーザIDとを対応付ける。椅子タグのタグIDと椅子の位置情報とは店舗レイアウトデータベースにおいて対応付けられているため、ユーザIDと椅子の位置情報とが対応付けられることになる。
また、制御部51は、顧客用アプリケーションからユーザIDと注文データを受信し、注文データセットにおいて、タグID、ユーザID、および、注文データ等を対応付ける。それによって、顧客の着席位置と顧客の注文内容とが対応付けられる。
【0045】
(iii)会計処理
制御部51は、顧客が注文した飲食物の配膳が完了したことが店舗端末3から通知されると、顧客の注文データに対する会計処理を行う。例えば、制御部51は、精算データベース(図6参照)において顧客のユーザIDに対応する新たなレコードを作成することで、精算データベースを更新する。精算データベースの更新内容は、例えば図示しない決済システムに提供される。例えば、精算データベース等で事前に登録されているクレジットカード等の情報も決済システムに提供され、キャッシュレスで決済が完了する。
【0046】
(1-3)本実施形態の店舗運営システムの動作
次に、本実施形態の店舗運営システム1の動作について、図7および図8を参照して説明する。
図7は、本実施形態の店舗運営システム1の動作を示すシーケンスチャートである。図8は、店舗端末3に表示される画像の一例を示す図である。
【0047】
図7のシーケンスチャートは、顧客が来店してから会計が完了するまでの間のイベントに対応付けて記載している。
先ず顧客が店舗に来店すると、顧客のユーザ端末4は、店内においてユーザ端末4が各椅子タグT1からタグIDおよびセンサデータ等を含むパケットを受信する(ステップS2)。ユーザ端末4は、椅子タグT1からパケットを受信する度に、ユーザID、受信したパケットに含まれるタグIDおよびセンサデータ等をアプリケーションサーバ5に送信する(ステップS3)。
アプリケーションサーバ5は、ユーザIDと、タグIDおよびセンサデータ等を受信する度に、センサデータ等に基づいて、顧客の着席があったか否か判断(検出)する。顧客が来店後に未だ着席していない状態では、アプリケーションサーバ5は、当該顧客のユーザ端末4から取得するセンサデータ等に基づいて顧客が着席したことが検出されないため、ユーザIDや、タグIDおよびセンサデータ等を破棄する。
【0048】
顧客がある椅子に着席すると、アプリケーションサーバ5は、センサデータ等に基づいて顧客の着席があったことを検出する(ステップS10)。アプリケーションサーバ5は、着席検出と判断したセンサデータに対応するタグIDと、当該タグIDとともに送信されたユーザIDとに基づいて、注文データセットを更新する(ステップS12)。すなわち、アプリケーションサーバ5は、注文データセットに新たなデータ行を追加し、追加したデータ行にタグIDとユーザIDとを対応付けて書き込む。それによって、ユーザIDと椅子の位置情報とが対応付けられることになる。
次いで、アプリケーションサーバ5は、店舗端末3の店舗用アプリケーションに対して、着席通知を送信してもよい(ステップS14)。
着席通知は、例えば、着席検出がなされた椅子の位置を特定する情報を含む。店舗端末3は、着席通知を受信すると、例えば、店舗マップにおいて着席検出がなされた椅子の位置を表示する(ステップS16)。それによって店舗の従業員は、新たな顧客の着席位置がわかるため、水を運ぶ等の所定のアクションを取ることができる。
【0049】
次に、顧客が椅子に着席してユーザ端末4の顧客用アプリケーションから飲食物等を注文するイベントが想定される。アプリケーションサーバ5は、顧客のユーザ端末4の顧客用アプリケーションからユーザIDおよび注文データを受信する(ステップS18)。
アプリケーションサーバ5は、受信したユーザIDおよび注文データに基づいて、注文データセットを更新する(ステップS20)。具体的には、ステップS12で追加した注文データセットの新たなデータ行(ステップS18で受信したユーザIDに対応するデータ行)に、ステップS18で受信した注文データを書き込む。
次いで、アプリケーションサーバ5は、ステップS12で追加した注文データセットの新たなデータ行に対応して、店舗端末3の店舗用アプリケーションに対して注文通知を送信する(ステップS22)。注文通知には、例えば、ユーザ名、注文内容、および、椅子位置コードを含む。ユーザ名は、ユーザIDに基づいて精算データベースを参照して特定することができる。注文内容は、注文IDと対応付けられている。椅子位置コードは、タグIDに基づいて店舗レイアウトデータベースを参照して特定される。店舗端末3の店舗用アプリケーションは、注文通知に基づいて表示内容を更新する(ステップS24)。
【0050】
ステップS24では、店舗端末3の店舗用アプリケーションは、椅子の位置情報に対応付けられたユーザ端末4のユーザID若しくはユーザ名、及び、ユーザ端末4から取得した注文内容を示す注文データ(要求データの一例)を、アプリケーションサーバ5を介して取得し表示する。
図8は、注文通知に基づいて店舗用アプリケーションが店舗端末3の表示パネルに表示する画面G1を例示する。画面G1は、店舗マップ101と未配膳リスト102を含む。未配膳リスト102は、配膳が住んでいない注文のリスト(未配膳オーダーのリスト)であり、注文通知に基づいて作成される。未配膳リスト102は、スクロールバー103を操作することによりすべての未配膳オーダーを確認することができる。未配膳リスト102の中からいずれかの未配膳オーダー102aを選択すると、選択された未配膳オーダー102aに対応する配膳位置104(つまり、対応する顧客の着席位置)が店舗マップ101に表示されることが好ましい。それによって、店舗の従業員は、注文データに含まれる飲食物を顧客に対して配膳することができる。
図8の未配膳オーダーでは、対応するユーザ名が表示される例が示されるが、その限りではない。ユーザIDおよびユーザ名のいずれか一方、又は、その両方を表示してもよい。
【0051】
店舗の従業員は、顧客から注文された飲食物の配膳の準備が整うと、店舗端末3に表示される未配膳リストを参照して顧客の着席位置を確認し、飲食物の配膳を行う。
なお、アプリケーションサーバ5は、ステップS12においてタグIDとユーザIDを対応付けた後に所定のタイミングごとに、ユーザ端末4から受信するタグIDに変更がないか(すなわち、ステップS12においてユーザIDに対応付けられたタグIDに変更がないか)確認してもよい。所定時間以上、ユーザ端末4から受信するタグIDに変更がある場合には、アプリケーションサーバ5は、ユーザIDに対応する顧客が席を移動したと判断し、ユーザIDと変更後のタグIDとを対応付けるように注文データセットを更新し、店舗端末3に通知するとよい。それによって、店舗の従業員は、配膳先の顧客が着席している椅子が変更になったことを認識できる。
配膳完了後に、店舗端末3に対する所定の操作に基づいて、店舗用アプリケーションは、アプリケーションサーバ5に対して配膳完了通知を送信する(ステップS26)。配膳完了通知は、顧客が注文した飲食物の配膳が完了したことを示す通知であり、ユーザIDと、配膳が完了した注文データとを含む。
配膳完了通知を受信するとアプリケーションサーバ5は、配膳完了通知に含まれるユーザIDのユーザ端末4に対して注文データに基づく会計処理を行う(ステップS28)。すなわち、アプリケーションサーバ5は、椅子の位置情報に対応付けられたユーザ端末4から取得する注文データに基づいて、ユーザ端末4に対して電子決済の実行を要求する。
【0052】
会計処理では、アプリケーションサーバ5は、精算データベース(図6参照)において顧客のユーザIDに対応する新たなレコードを作成することで、精算データベースを更新する。精算データベースの更新内容は、例えば図示しない決済システムに提供される。例えば、精算データベース等で事前に登録されているクレジットカード等の情報も決済システムに提供され、キャッシュレスで決済が完了する。
なお、ステップS28では、アプリケーションサーバ5は、決済の確認又は承認要求のためにユーザ端末4に対して会計処理内容を送信してもよい。例えば、アプリケーションサーバ5は、注文データに基づき、ユーザが注文した飲食物の合計金額を計算し、計算した金額をユーザ端末4に表示させるとともに、ユーザのクレジット決済を行うか否か等の問い合わせを行う(つまり、ユーザ端末4に対して電子決済の実行を要求する)。アプリケーションサーバ5は、ユーザ端末4からクレジット決済を行う指示を受け付けると決済システムと連携して対応する金額の精算処理を実行する。これにより、アプリケーションサーバ5の会計処理によってキャッシュレスでの決済が完了する。
会計処理の後、アプリケーションサーバ5は、注文データセットを更新する(ステップS30)。この注文データセットの更新では、配膳が完了した注文データに対応するデータ行が注文データセットから削除される。
【0053】
以上説明したように、本実施形態の店舗運営システム1によれば、店舗において顧客の着席位置を把握できるため、店舗の従業員が顧客のいる場所に来て注文を取る必要がない。また、顧客の注文はアプリケーションサーバ5によって受け付けられ、キャッシュレスで会計処理が行われる。これにより、店舗を運営する際の人手不足等を解消することができる。
【0054】
(2)第2の実施形態
次に、第2の実施形態に係る店舗運営システム1Aについて説明する。なお、本実施形態の説明に際し、第1の実施形態の店舗運営システム1と共通する部分については、同一符号を付して重複説明を省略する。
【0055】
本実施形態の店舗運営システム1Aは、第1の実施形態の店舗運営システム1で得られる顧客の着席位置の検出精度を更に高めることができる。
第1の実施形態の店舗運営システム1では、顧客のユーザ端末4が椅子タグからのパケットを受信し、パケットに含まれるセンサデータに基づいてアプリケーションサーバ5が顧客の着席有無を検出する。しかし、顧客のユーザ端末4は、周囲の複数の椅子タグからもパケットを受信する場合があり、また、顧客が着席した椅子の椅子タグからのパケットのユーザ端末4における受信レベルは、電波が顧客の体内に吸収されることで低下する場合もある。
そこで、本実施形態の店舗運営システム1Aでは、第1の実施形態の店舗運営システム1に対して、更にロケータを用いた位置特定システムを組み合わせ、顧客の着席位置の検出精度をより高めるようにする。
【0056】
(2-1)第2の実施形態の店舗運営システムのシステム構成
先ず、本実施形態の店舗運営システム1Aのシステム構成について、図9を参照して説明する。図9は、本実施形態の店舗運営システム1Aのシステム構成を概略的に示す図である。
本実施形態の店舗運営システム1Aは、第1の実施形態の店舗運営システム1に対して、受信機6(ロケータ)および位置特定装置7を含む。本実施形態の店舗運営システム1Aは、店舗内にゲートウェイ装置2を有してもよい。
【0057】
ゲートウェイ装置2は、本実施形態の店舗運営システム1Aの任意的要素である。ゲートウェイ装置2は、店舗内の椅子タグT1のパケットを受信し、受信したパケットをアプリケーションサーバ5にネットワークNWを介して転送することができる。
前述したように、椅子タグT1は、周囲環境の電波に基づいて環境発電を行うが、周囲環境の電波が少ない場合には、パケットの生成や無線信号の送信等の通常の動作が行われない(例えば、電力モードが第1モードの場合)。そこで、ゲートウェイ装置2は、椅子タグT1と通信できない状態(例えば、アドバタイジングパケットを受信できない状態)が所定時間以上継続する場合には、無線送信を開始するか、又は、送信電力を増加させるように制御することが好ましい。それによって、椅子タグT1の周囲環境の電波が増加するために電力の貯蔵が可能となり、ゲートウェイ装置2との無線通信を開始、あるいは再開することができるようになる。
なお、第1の実施形態で説明したように、ユーザ端末4が椅子タグT1のパケットを受信し、ユーザIDと、タグIDおよびセンサデータとをアプリケーションサーバ5に送信する場合には、ゲートウェイ装置2は、設けなくてもよい。
アプリケーションサーバ5は、ゲートウェイ装置2を介して椅子タグT1のパケットを受信した場合には、受信したパケットからタグIDとセンサデータ等を抽出する。
【0058】
受信機6と位置特定装置7は、通信可能に接続されており、ユーザ端末4の店舗内での位置を特定する位置特定システムを構成する。受信機6は、例えば店舗の天井に設置され、店舗内を移動する来店者のユーザ端末4が放射する電波(ビーコン信号)を受信し、その電波の入射角を測定する。位置特定装置7は、受信機6が測定した入射角を基にユーザ端末4の店舗内の位置(平面上の位置)を特定するAOA(Angle of Arrival)方式によりユーザ端末4を測位する。
【0059】
1つの受信機6によってもユーザ端末4の位置を推定可能であるが、ユーザ端末4から送信されるビーコン信号の受信信号強度(RSSI)の大きさや店舗面積、店舗の電波環境に応じて、より多くの受信機6を設けることが好ましい。なお、ユーザ端末4の測位方法は、AOA方式に限定するものではなく、TOA(Time of Arrival)方式等の他の方法を利用してもよい。
【0060】
(2-2)本実施形態の店舗運営システムの各装置の構成
次に、図10を参照して、本実施形態の店舗運営システム1Aの各装置の構成を説明する。図10は、本実施形態の店舗運営システム1Aの各装置の内部構成を示すブロック図である。
【0061】
図10に示すように、受信機6は、電波受信部61、入射角測定部36、および、通信部63を備える。
電波受信部61は、ユーザ端末4から送信されるビーコン信号(電波)を受信するアンテナを含む。
入射角測定部62は、電波受信部61で受信したユーザ端末4からの電波の入射角を測定する。
通信部63は、ユーザ端末4および位置特定装置7と通信を行うためのインタフェースである。例えば、通信部63は、ユーザ端末4からの受信信号を復調する。また、通信部63は、受信機6と位置特定装置7との間の通信インタフェースとして機能し、入射角測定部62によって測定された入射角の情報を、端末IDと対応付けて位置特定装置7に送信する。なお、受信機6と位置特定装置7との通信は有線でも無線でもよい。
【0062】
図10に示すように、位置特定装置7は、制御部71および通信部72を備える。
制御部71は、マイクロプロセッサを主体として構成され、位置特定装置7の全体を制御する。例えば、制御部71のマイクロプロセッサは、位置特定モジュール(ソフトウェア)を実行し、ユーザ端末4から送信され、かつユーザ端末4の端末IDを含むビーコン信号に基づいて、ユーザ端末4の位置を特定する。制御部71は、受信機6がユーザ端末4から受信するビーコン信号の入射角の情報を基にユーザ端末4の位置を特定する。より具体的には、AOA方式を利用する場合、前述したように、受信機6の店舗内での既知の位置(店舗の所定の位置を基準とした3次元座標の位置)と、受信機6から逐次取得するユーザ端末4の入射角(電波の到来方向)の情報とに基づいて、時刻の経過に応じたユーザ端末4の店舗のエリア内の位置(店舗フロアのXY座標の位置)を特定(測位)する。
制御部71は、ユーザ端末4の端末IDと対応付けて、特定されたユーザ端末4の位置の情報(位置情報)を逐次、通信部72を介してアプリケーションサーバ5に送信する。
ユーザ端末4の測位間隔は、任意に設定してよいが、ユーザ端末4の位置を正確に把握するために必要な時間(例えば、数100ms以下)に設定される。
【0063】
通信部72は、受信機6との通信、および、ネットワークNWを介したアプリケーションサーバ5と通信を行うための通信インタフェースである。
なお、以下の説明では、適宜、受信機6と位置特定装置7を総称して「位置特定システム」と表記する場合がある。
【0064】
本実施形態のアプリケーションサーバ5の制御部51は、位置特定装置7によって特定されたユーザ端末4の位置情報と、センサデータ等に所定の変化がある椅子タグのタグIDに対応する椅子の位置情報と、に基づいて、ユーザ端末4から受信するユーザIDと、椅子タグのタグIDとを対応付ける。椅子タグのタグIDと椅子の位置情報とは店舗レイアウトデータベースにおいて対応付けられているため、ユーザIDと椅子の位置情報とが対応付けられることになる。
例えば、位置特定装置7によって特定されたユーザ端末4の位置と、センサデータ等に所定の変化がある椅子タグのタグIDに対応する椅子の位置とが、所定距離以下である場合には、ユーザ端末4のユーザが当該椅子に着席したと判断し、ユーザ端末4のユーザIDと椅子タグのタグIDに対応する椅子の位置情報とが対応付けられる。なお、センサデータ等の所定の変化については、第1の実施形態で説明したとおりである。
すなわち、位置特定装置7によってユーザ端末4が位置する概略の範囲が特定され、その範囲の中でセンサデータに所定の変化がある椅子タグに対応する椅子が、ユーザ端末4のユーザの着席位置であると判断することができる。
なお、タグIDをゲートウェイ装置2が受信する場合には、アプリケーションサーバ5の制御部51は、位置特定装置7によって特定されたユーザ端末4の位置情報と、ユーザ端末4の位置から所定範囲内に設けられたゲートウェイ装置2から受信したタグIDのうちセンサデータ等に所定の変化があるタグIDに対応する椅子の位置情報とに基づいて、ユーザ端末のユーザIDと椅子の位置情報とを対応付けてもよい。
【0065】
(2-3)本実施形態の店舗運営システムの動作
次に、本実施形態の店舗運営システム1の動作について、図11を参照して説明する。
図11は、本実施形態の店舗運営システム1Aの動作を示すシーケンスチャートである。図11のシーケンスチャートは、図7のシーケンスチャートと比較して、顧客の来店イベントから着席イベントまでの間の処理のみが異なるため、来店イベントから着席イベントまでの間に着目して説明する。
【0066】
店舗内の各椅子タグT1は、ゲートウェイ装置2(GW)又は店内の顧客のユーザ端末4を介してアプリケーションサーバ5に、タグIDとセンサデータ等を含むパケットを送信する(ステップS2)。新たに顧客が来店した場合、各椅子タグT1は、当該顧客のユーザ端末4を介してアプリケーションサーバ5に送信してもよい。
顧客が来店した後、当該顧客のユーザ端末4がビーコン信号を送信し(ステップS4)、当該ビーコン信号が位置特定システムに受信される。ビーコン信号には、ユーザ端末4の端末IDが含まれる。位置特定システムは、受信したビーコン信号に基づいて位置特定処理を行い、ユーザ端末4の位置を特定する(ステップS6)。位置特定システムは、位置データを端末IDと対応付けてアプリケーションサーバ5に送信する(ステップS8)。ユーザIDと端末IDとは対応付けられているため(図6参照)、アプリケーションサーバ5では、ユーザIDに対応するユーザの概略の位置がわかる。
ステップS4~S8の処理は、少なくともユーザが着席するまで繰り返し行われる。
【0067】
アプリケーションサーバ5は、各椅子タグT1からタグIDおよびセンサデータを受信する度に、センサデータに基づいて、顧客の着席があったか否か判断(検出)する。顧客が来店後に未だ着席していない状態では、アプリケーションサーバ5は、当該顧客のユーザ端末4から取得するセンサデータに基づいて顧客が着席したことが検出されないため、タグIDおよびセンサデータを破棄する。
【0068】
顧客がある椅子に着席すると、アプリケーションサーバ5は、センサデータ等に基づいて顧客の着席があったことを検出する。また、着席を検出したタイミングにおいて、アプリケーションサーバ5は、位置特定システムにより特定されたユーザIDに対応するユーザの概略の位置を取得する。アプリケーションサーバ5は、顧客の着席が検出されたタイミングでセンサデータ等に基づき特定した椅子の位置と、ユーザIDに対応するユーザの概略の位置とが所定距離以内である場合に、当該ユーザが当該椅子に着席したと判断する(ステップS10)。
図11においてステップS12以降の処理は、図7と同じである。
【0069】
以上説明したように、本実施形態の店舗運営システム1Aによれば、位置特定システムと椅子タグのセンサデータ等を併用することで、顧客の着席位置の特定精度を高めることができる。
【0070】
(2-4)変形例
次に、本実施形態の店舗運営システム1Aの変形例について説明する。なお、いずれの変形例についても第1の実施形態の店舗運営システム1に適用可能である。
【0071】
(2-4-1)変形例1
変形例1について図12を参照して説明する。図12は、店舗端末3に表示される画像の一例を示す図である。
上述した実施形態では、店舗端末3は、未配膳リスト等、店舗の従業員が閲覧する情報を表示する例について示したが、その限りではない。店舗端末3を店舗の入口等に配置し、来店者が店内の空席についての情報を閲覧できるようにしてもよい。
図12は、店舗端末3によって表示される空席案内情報を含む画面G2を示している。画面G2では、店舗マップ101において、空きとなっている椅子が占有されている椅子とは異なる表示態様で表示される。逆に、店舗マップ101において、占有されている椅子を空きとなっている椅子とは異なる表示態様で表示するようにしてもよい。
この変形例では、アプリケーションサーバ5は、店内の各椅子タグから取得するセンサデータ等に基づいて対応する椅子が着席されているか逐次判断しており、その判断結果を店舗端末3に送信する。店舗端末3は、判断結果として店舗内におけるユーザ端末4のユーザIDに対応付けられている椅子(つまり、占有されている椅子)の位置情報、又は、対応付けられていない椅子(つまり、空きとなっている椅子)の位置情報を、アプリケーションサーバ5を介して取得し表示する。なお、アプリケーションサーバ5は、所定期間、上述したユーザIDと対応付けができず着席を検知できないタグIDが取り付けられている椅子や、例えばセンサデータ等に変化がなく、着席を検知できないタグIDが取り付けられている椅子は、空きとなっていると判断してもよい。
店舗端末3は、アプリケーションサーバ5の判断結果を基に空席案内情報を表示する。空席案内情報を表示することで、店舗の来店者は、入店後に席を素早く選択できるようになる。
【0072】
(2-4-2)変形例2
変形例2について図13を参照して説明する。図13は、ユーザ端末4の測位方法について説明する図である。
変形例2は、椅子タグを利用してユーザ端末4の位置の検出精度を更に高めるようにした例である。本変形例では、アプリケーションサーバ5は、ユーザ端末4から取得した椅子タグから得られるRSSI値に基づいて、ユーザ端末4のユーザIDと椅子タグのタグIDに対応する椅子の位置情報とを対応付ける。例えば、複数の椅子タグから得られるRSSI値のうち最も大きいRSSI値を示す椅子タグに対応する椅子に顧客が着席していると判断し、ユーザIDと当該椅子タグに対応する椅子の位置情報とを対応付けてもよい。
また、アプリケーションサーバ5は、店舗エリア内の少なくとも3以上の椅子タグのユーザ端末4におけるRSSI値をユーザ端末4から取得し、当該RSSI値に基づいてユーザ端末4の位置を特定してもよい。この変形例では、アプリケーションサーバ5が位置特定装置の一例である。
【0073】
図13は、店内の6席の椅子と2台のテーブルの平面図を概略的に示している。顧客U1~U3が着席している。ここで、例えば顧客U1のユーザ端末4の位置を特定するために、顧客U1の着席位置以外の他の椅子の椅子タグT1-1,T1-2,T1-3を利用することができる。具体的には、距離に応じた電波の減衰特性を利用し、ユーザ端末4での複数の椅子タグからの受信信号のRSSI値に基づいて各椅子タグとユーザ端末4との距離を推定し、三角測量法によりユーザ端末4を測位する。
【0074】
図13に示す例において、ユーザ端末4が椅子タグT1-1,T1-2,T1-3から受信する受信信号(パケット)のRSSI値をそれぞれSR1,SR2,SR3とする。アプリケーションサーバ5は、ユーザ端末4から各椅子タグからの受信信号のRSSI値(SR1,SR2,SR3)を取得した後、当該RSSI値と、各椅子タグに対応する椅子の既知の位置情報(図4参照)とに基づいて、三角測量法によりユーザ端末4を測位することができる。
【0075】
なお、店舗内の電波の伝播環境は一般に理想的な自由空間ではないため、4個以上の任意の数の椅子タグをユーザ端末4の測位に利用することで、さらにユーザ端末4の測位精度を高めることもできる。例えば、ユーザ端末4は、4個以上の複数の椅子タグからパケットを受信したときには、複数の椅子タグの中からRSSI値が大きい順に3個の椅子タグを、ユーザ端末4の測位に利用することができる。
また、図13の顧客U1~U3が着席している椅子のように、顧客が着席している椅子の椅子タグからの電波は顧客の体内に電波が吸収されて、ユーザ端末4での受信信号レベルが低下するため、ユーザ端末4との距離に応じたRSSI値がユーザ端末4において観測されない場合がある。そのため、ユーザ端末4の測位のために椅子タグを利用する際には、着席されていない椅子タグを利用することが好ましい。
【0076】
(2-4-3)変形例3
変形例3について図14を参照して説明する。図14は、ユーザ端末4の測位方法について説明する図である。
変形例3は、複数のゲートウェイ装置2を利用してユーザ端末4の位置の特定精度を高めるようにした例である。店内に配置される位置が既知の複数のゲートウェイ装置2がユーザ端末4からビーコン信号を受信するときのRSSI値を利用して、ユーザ端末4が測位される。
ゲートウェイ装置2が配置される位置については限定しないが、図14に示す例では、店舗の天井にマトリクス状に等間隔で各ゲートウェイ装置2が配置される例が示される。
【0077】
この方法では、各ゲートウェイ装置2は、ユーザ端末4からパケットを受信すると、自身の装置を識別するための装置IDと、ユーザ端末4からビーコン信号を受信したときのRSSI値とをアプリケーションサーバ5に送信する。例えば、図14において、ユーザ端末4からビーコン信号を受信したときのRSSI値は、ゲートウェイ装置2-1,2-2,2-4,2-5においてそれぞれ、SR1,SR2,SR4,SR5である。なお、この例では、ゲートウェイ装置2-3,2-6でのRSSI値は微小であると仮定して無視している。
【0078】
ここで、変形例2と同様に距離に応じた電波の減衰特性を利用し、各ゲートウェイ装置でのRSSI値に基づいてユーザ端末4と各ゲートウェイ装置との距離を推定し、三角測量法によりユーザ端末4を測位する。
例えば図14において、アプリケーションサーバ5は、各ゲートウェイ装置のRSSI値を取得した後、大きい順に3個のRSSI値(例えば、SR1,SR2,SR5)と各RSSI値に対応するゲートウェイ装置の既知の位置情報とに基づいて、三角測量法によりユーザ端末4を測位することができる。また、店舗内の電波の伝播環境は一般に理想的な自由空間ではないため、4個以上の任意の数のゲートウェイ装置をユーザ端末4の測位に利用することで、さらにユーザ端末4の測位精度を高めることもできる。
【0079】
(3)第3の実施形態
次に、第3の実施形態に係る店舗運営システム1Bについて説明する。なお、本実施形態の説明に際し、第1および第2の実施形態の店舗運営システムと共通する部分については、同一符号を付して重複説明を省略する。
【0080】
(3-1)第3の実施形態の店舗運営システムのシステム構成
先ず、本実施形態の店舗運営システム1Bのシステム構成について、図15を参照して説明する。図15は、本実施形態の店舗運営システム1Bのシステム構成を概略的に示す図である。
本実施形態の店舗運営システム1Bが第1および第2の実施形態と異なるのは、顧客に提供される飲食物の食器TW1にIoTタグとして食器タグT2(第2無線タグの一例)が取り付けられている点である。食器タグT2は、例えば食器TW1の底部に取り付けられる。
【0081】
本実施形態の店舗運営システム1Bでは、顧客に配膳すべき飲食物がすべて配膳されたか否か確認するために、食器タグT2を利用する。店舗では、顧客に食器TW1を配膳する前に、店舗端末3の店舗用アプリケーションにおいて、顧客のユーザID若しくは注文データと、食器タグT2のタグIDとを対応付ける処理を行う。
アプリケーションサーバ5は、ユーザ端末4の位置情報と位置特定装置7により特定された食器タグT2の位置情報とに基づき、注文データ(要求データの一例)に対応する注文が実行されたか判断する。より具体的には、顧客に対する飲食物の配膳が行われた後、アプリケーションサーバ5は、顧客が着席したときに検出された椅子の位置と食器タグT2の位置とが所定距離以下であるか判定することで、顧客に注文通りの飲食物が配膳されたか否か確認する。
【0082】
食器タグT2の構成は、図2に示した椅子タグT1の構成と同一である。食器タグT2は、例えば食器タグT2に加えられる重量(荷重)、食器タグT2の動き、および、食器タグT2の周囲温度等のうち少なくともいずれかのデータ(センサデータ)と、タグIDとを含むパケットをブロードキャストする。なお、本実施形態では、センサデータは、特に利用しなくても構わない。
【0083】
(3-2)本実施形態の店舗運営システムの動作
次に、本実施形態の店舗運営システム1Bの動作について、図16を参照して説明する。
図16は、本実施形態の店舗運営システム1Bの動作を示すシーケンスチャートである。図16のシーケンスチャートは、配膳イベントの前後の部分のみを示しており、それ以外の部分については図7および図11のシーケンスチャートの処理を適用可能である。
【0084】
図16において、顧客に飲食物を配膳する前に、店舗端末3の店舗用アプリケーションは、配膳予定の食器タグT2のタグIDを含むパケットを受信し、当該タグIDと顧客のユーザID及び/又は注文データとを対応付ける(ステップS38)。顧客のユーザIDおよび注文データは、未配膳リスト(図8参照)に含まれており、これらのデータが食器タグT2のタグIDと対応付けられる。なお、後述するステップS46の確認処理を行うために、食器タグT2のタグIDと、顧客のユーザID及び/又は注文データとを対応付けた情報は、店舗端末3からアプリケーションサーバ5に送信され、アプリケーションサーバ5において保持されていてもよい。
【0085】
配膳の準備が整い、配膳イベントでは、食器が顧客の着席位置に配膳される。なお、この時点では、顧客の着席位置は特定済みである。
位置特定システムは、配膳された食器に取り付けられた食器タグT2からパケットを受信し(ステップS40)、この受信信号を基に食器の位置を特定する処理を行い(ステップS42)、食器タグT2のタグIDと位置データをアプリケーションサーバ5に送信する(ステップS44)。
アプリケーションサーバ5は、ステップS44で取得した食器の位置と、顧客の着席位置(ユーザ位置)とが所定距離以下であるか確認する(ステップS46)。アプリケーションサーバ5は、所定距離以下である場合、正しく配膳されていると判断する。所定距離を超えている場合には、正しく配膳されていないと判断し、店舗端末3に通知することができる。また、アプリケーションサーバ5は、配膳を開始してから所定時間経過後に、顧客の注文データを参照し、注文通りに配膳が完了したか判断する。アプリケーションサーバ5は、ステップS46の確認結果を含む確認結果通知を店舗端末3の店舗用アプリケーションに送信する(ステップS48)。店舗端末3は、受信した確認結果通知を基に、食器が顧客に適切に配膳されたか否かを示す画像を表示する(ステップS50)。
【0086】
以上説明したように、本実施形態の店舗運営システム1Bによれば、食器タグT2を利用することで、顧客に注文通りの飲食物が配膳されたか否かについて、店舗の従業員が確認することができる。
【0087】
(4)第4の実施形態
次に、第4の実施形態に係る店舗運営システム1Bについて説明する。なお、本実施形態の店舗運営システム1Bの構成は、第3の実施形態と同様でよい。本実施形態の説明に際し、第1および第2の実施形態の店舗運営システムと共通する部分については、同一符号を付して重複説明を省略する。
【0088】
本実施形態の店舗運営システム1Bでは、顧客に配膳された飲食物の取り替え、あるいは、お代わりのタイミングを店舗の従業員が適切に判断できるように、食器タグT2(第3無線タグの一例)が、店内の椅子の位置情報に対応付けられたユーザ端末4から取得した注文データに対応する飲食物を含む容器に取り付けられる。アプリケーションサーバ5は、食器に取り付けらえた食器タグT2から、当該食器への荷重(若しくは重量)、食器の動き、食器の周囲温度、あるいは食器内の残量等のうち少なくともいずれかの検出結果であるセンサデータを取得する。
アプリケーションサーバ5は、食器タグT2のセンサデータ所定の変化がある場合、飲食物の取り替え条件、あるいは、飲食物のお代わり条件を満たすと判断し、店舗端末3に通知を行う。店舗の従業員は、当該通知を基に、顧客に対して飲食物の取り替えサービス、又は、飲食物のお代わりサービスを提供する。アプリケーションサーバ5から店舗端末3に送信される通知は、ユーザ端末4から取得した注文データに対応する注文を実行するための要求の一例である。
【0089】
飲食物の取り替え条件は、限定するものではないが、例えば、食器タグT2のセンサデータ等が温度や重量等に関するデータを含む場合、例えば所定温度以下で、重量が所定以上であることとしてもよい。例えば、飲食物が珈琲である場合、珈琲が十分に食器内に残っているにも関わらず冷めてしまったときに、珈琲の取り替えを促すように店舗端末3に通知される。
【0090】
飲食物のお代わり条件は、限定するものではないが、例えば、食器タグT2のセンサデータ等が重量等に関するデータを含む場合、例えば重量が所定未満であることとしてもよい。例えば、飲食物が珈琲である場合、食器内が空である場合には、珈琲のお代わりを促すように店舗端末3に通知される。飲食物のお代わり条件は、例えば、食器タグT2のセンサデータ等が食器タグT2の動きのデータを含む場合、食器タグT2に対する所定の動きが所定回数を超えることを条件としてもよい。顧客が頻繁に食器を動かす場合には、食器内の内容物が十分に少なくなっていると考えられるからである。
【0091】
次に、本実施形態の店舗運営システム1Bの動作について、図17を参照して説明する。
図17は、本実施形態の店舗運営システム1Bの動作を示すシーケンスチャートである。図17のシーケンスチャートは、配膳イベントの前後の部分のみを示しており、それ以外の部分については図7および図11のシーケンスチャートの処理を適用可能である。
【0092】
図17において、顧客に飲食物を配膳する前に、店舗端末3の店舗用アプリケーションは、配膳予定の食器タグT2のタグIDを含むパケットを受信し、当該タグIDと顧客のユーザID及び/又は注文データとを対応付ける(ステップS38)。顧客のユーザIDおよび注文データは、未配膳リスト(図8参照)に含まれており、これらのデータが食器タグT2のタグIDと対応付けられる。なお、後述するステップS62の判断を行うために、食器タグT2のタグIDと、顧客のユーザID及び/又は注文データとを対応付けた情報は、店舗端末3からアプリケーションサーバ5に送信され、アプリケーションサーバ5において保持されていてもよい。
【0093】
配膳の準備が整い、配膳イベントでは、食器が顧客の着席位置に配膳される。なお、この時点では、顧客の着席位置は特定済みである。
アプリケーションサーバ5は、ユーザ端末4又はゲートウェイ装置2(GW)を介して、顧客に配膳された食器の食器タグT2から、タグIDとセンサデータを含むパケットを逐次受信している(ステップS60)。そして、アプリケーションサーバ5は、パケットを受信する度に、パケットに含まれるセンサデータ等や顧客のユーザIDや顧客の注文データ等に基づいて、取り替え条件又はお代わり条件を満たすか否か判断する(ステップS62)。取り替え条件やお代わり条件を満たす場合には(ステップS62:YES)、アプリケーションサーバ5は、飲食物の取り替えサービス又は飲食物のお代わりサービスを促すための通知を店舗端末3に送信する(ステップS64)。
【0094】
本実施形態の店舗運営システム1Bによれば、食器タグT2を利用することで、顧客の着席位置まで従業員が来て顧客の食器を確認することなく、顧客に提供した飲食物の取り替えサービス又はお代わりサービスを適切なタイミングで行うことができる。
【0095】
なお、本実施形態の店舗運営システム1Bは、コース料理を提供する場合にも適用することができる。例えば、コース料理において、A品、B品、C品が順番に顧客に提供される場合に、A品、B品、C品をそれぞれ異なる食器タグが取り付けられた食器に盛り付け、各食器タグのタグIDとA品、B品、C品の各々に対応する注文IDとを予め対応付ける。そして、アプリケーションサーバ5が、食器タグのセンサデータを基にA品の内容物が空若しくは少量になったと判断したときに、店舗端末3に対してB品の配膳を指示する通知を送信する。同様に、アプリケーションサーバ5は、B品の内容物が空若しくは少量になったと判断したときに、店舗端末3に対してC品の配膳を指示する通知を送信する。
【0096】
(5)第5の実施形態
次に、第3の実施形態に係る店舗運営システム1Cについて、図18図20を参照して説明する。なお、本実施形態の説明に際し、第1~第4の実施形態の店舗運営システムと共通する部分については、同一符号を付して重複説明を省略する。
図18は、本実施形態の店舗運営システム1Cのシステム構成を概略的に示す図である。図19は、本実施形態の店舗レイアウトデータベースのデータ構成例を示す図である。図20は、本実施形態の店舗運営システム1Cの動作を示すシーケンスチャートである。
【0097】
本実施形態の店舗運営システム1Cは、顧客が注文した飲食物の配膳ミスを防止するために、店内の各テーブルTBにIoTタグとしてテーブルタグT3が取り付けられている。テーブルタグT3は、例えば、テーブルの食器が配膳される面に配置される。なお、テーブルの配膳される面には、テーブルタグT3を所定間隔ごとに配置してもよい。
テーブルタグT3の構成は、図2に示した椅子タグT1の構成と同様であり、例えば重量(テーブルへの荷重)、テーブルの動き、および、テーブルの周囲温度等のうち少なくともいずれかのセンサデータを検出する。テーブルに食器が配膳された場合には、食器によってテーブルTBに加えられる重量の増加や食器内の内容物の熱伝導による放射熱があるため、テーブルタグT3のセンサデータが示す温度や重量が上昇を示す。そのため、テーブルタグT3のセンサデータ等に基づいて、対応するテーブルTBに配膳されたか否かを判断することができる。
【0098】
図19に示すように、本実施形態の店舗レイアウトデータベースでは、テーブルタグのタグIDが椅子タグのタグIDと関連づけられている。タグIDが関連づけられているテーブルタグと椅子タグとは、対応するテーブルと椅子とが店内で組み合わされてレイアウトされていることを意味している。
【0099】
次に、図20を参照して、本実施形態の店舗運営システム1Cの動作について説明する。図20のシーケンスチャートは、配膳イベントの前後の部分のみを示しており、それ以外の部分については図7および図11のシーケンスチャートの処理を適用可能である。
店内の各テーブルタグT3は、タグIDとセンサデータを含むパケットを、ユーザ端末4又はゲートウェイ装置2(GW)を経由してアプリケーションサーバ5に、逐次送信している(ステップS70)。アプリケーションサーバ5は、パケットを受信する度に、パケットに含まれるセンサデータ等や顧客のユーザID、顧客の注文データ等に基づいて、対応するテーブルに配膳されたか否か判断する(ステップS72)。配膳されていない場合には、アプリケーションサーバ5は、対応するパケットを破棄する。
【0100】
配膳イベントの後に、顧客のテーブルに食器が配膳されると、アプリケーションサーバ5は、テーブルタグT3から取得するセンサデータ等の変化に基づいて、食器が配膳されたと判断する(ステップS72:YES)。次いで、アプリケーションサーバ5は、配膳されたと判断したテーブルのテーブルタグのタグIDと、着席検出がなされた椅子の椅子タグのタグIDとが、店舗レイアウトデータベース(図19参照)において対応づけられているか否か確認する(ステップS74)。アプリケーションサーバ5のステップS74の確認結果を含む確認結果通知を店舗端末3に送信する(ステップS76)。確認結果通知を受けて店舗端末3は、表示内容を更新する(ステップS78)。
【0101】
本実施形態の店舗運営システム1Cによれば、テーブルタグT3のセンサデータ等を利用して、顧客が注文した飲食物が、対応するテーブルに配膳されたか否かを検証することができる。
【0102】
以上、本発明の情報処理装置、情報処理システム、および、プログラムの実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更、上記の各実施形態の組み合わせが可能である。
【0103】
上述した実施形態では、IoTタグ(椅子タグT1、食器タグT2、テーブルタグT3)がセンサを内蔵して、センサデータを含むパケットを送信する場合について例示したが、その限りではない。上述した椅子や、食器、テーブル等に取り付けられているIoTタグが、例えば取り付け対象物への荷重(若しくは重量)、取り付け対象物の動き、取り付け対象物の周囲温度等に応じて変化する波形の無線信号を送信し、例えば、ネットワークに接続されたタグ管理サーバや端末装置等が、IoTタグから送信される無線信号の波形を分析し、分析の結果、重量、動き、周囲温度等を検知し、例えばアプリケーションサーバ5等に提供してもよい。
また、タグ管理サーバは、各タグから送信されるパケットに含まれるタグIDの認証を行ってもよい。また、上述した実施形態では、位置特定システムが、食器タグT2のパケットを受信することで、食器タグT2の位置を特定していたが、椅子タグT1、食器タグT2、テーブルタグT3のセンサデータ等を受信して、アプリケーションサーバ5が各タグにおける所定の変化を検出してもよい。
【0104】
上述した実施形態では、例えば椅子の位置が固定されている例について記載したが、その限りではなく、椅子の位置が固定されていない場合についても適用可能である。椅子の位置が固定されない場合でも、例えば以下の方法でユーザIDと椅子の位置情報とを対応付けることができる。いずれの方法でも、椅子の位置情報は、対応するタグIDを含むパケットの受信信号に基づいて位置特定装置7等により特定される。
(i) ユーザ端末4の位置情報と、センサデータ等に所定の変化がある椅子タグのタグIDに対応する椅子の位置情報とを位置特定装置7等が特定し、ユーザ端末4の位置情報と当該椅子の位置情報とに基づいて、ユーザ端末4に対応するユーザIDと椅子の位置情報とを対応付ける。例えば、ユーザ端末4の位置情報が示す位置と、椅子の位置情報が示す位置とが所定距離内である場合、ユーザ端末4のユーザIDと椅子の位置情報とが対応付けられる。
(ii) ユーザ端末4の位置情報と、当該ユーザ端末4の位置から所定範囲内に設けられたゲートウェイ装置2から受信したタグIDのうちセンサデータ等に所定の変化があるタグIDに対応する椅子の位置情報とを位置特定装置7等が特定し、特定した位置情報に基づいて、ユーザ端末のユーザIDと椅子の位置情報とを対応付けてもよい。
(iii) 図13に示したように、位置が特定済みの複数の椅子タグから送信されるパケットのユーザ端末4における受信信号のRSSI値に基づいて、ユーザ端末4のユーザが着席する椅子の位置情報を特定してもよい。それによって、ユーザ端末4に対応するユーザIDと椅子の位置情報が対応付けられる。
【符号の説明】
【0105】
1,1A,1B,1C…店舗運営システム
T1…椅子タグ
T2…食器タグ
T3…テーブルタグ
11…制御部
111…メモリ
12…アンテナ
13…ハーベスティング部
131…エネルギーストレージ
14…電圧制御部
15…RFトランシーバ
16…センサ
2…ゲートウェイ装置
3…店舗端末
31…制御部
32…ストレージ
33…操作入力部
34…表示部
35…通信部
4…ユーザ端末
41…制御部
42…ストレージ
43…操作入力部
44…表示部
45…第1通信部
46…第2通信部
5…アプリケーションサーバ
51…制御部
52…ストレージ
53…通信部
6…受信機
61…電波受信部
62…入射角算出部
63…通信部
7…位置特定装置
71…制御部
72…通信部
101…店舗マップ
102…未配膳リスト
102a…未配膳オーダー
103…スクロールバー
104…配膳位置
NW…ネットワーク
TW1…食器
TB…テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20