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特許7506507流動性材料の調整用チャート及びそれを用いた流動性材料の調整方法
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  • 特許-流動性材料の調整用チャート及びそれを用いた流動性材料の調整方法 図1
  • 特許-流動性材料の調整用チャート及びそれを用いた流動性材料の調整方法 図2
  • 特許-流動性材料の調整用チャート及びそれを用いた流動性材料の調整方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】流動性材料の調整用チャート及びそれを用いた流動性材料の調整方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 23/02 20060101AFI20240619BHJP
   B44D 3/00 20060101ALN20240619BHJP
   G09B 11/10 20060101ALN20240619BHJP
【FI】
E04G23/02 A
B44D3/00 A
G09B11/10 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020060004
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021156126
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-03-20
(73)【特許権者】
【識別番号】503367376
【氏名又は名称】ケイミュー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 周一
(72)【発明者】
【氏名】小野 真依子
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-014200(JP,A)
【文献】特開2002-091321(JP,A)
【文献】実開平04-071133(JP,U)
【文献】登録実用新案第3207760(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G23/00-23/08
E04F13/02
B44B1/00-11/04
B44C1/00-1/14
1/18-7/08
B44D2/00-7/00
B44F1/00-99/00
G09F1/00-5/04
B42D1/00-19/00
G09B11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の流動性材料を混ぜ合わせて調整する際に用いられるチャートであって、
各種類の上記流動性材料の分量の大きさを視認可能な図表として表示する分量表示部を備え、
上記分量表示部が、
上記複数種類の流動性材料を調整して得られる調整結果物に関連する情報と、該調整結果物を得るための上記分量と、が対応付けられた対応情報を表示する対応情報表示部と、
少なくとも上記複数種類の数の目盛りが互いに離間して設けられた目盛り部と、
を有し、
上記対応情報表示部と上記目盛り部とが別々の部材に設けられ、
上記対応情報表示部は、表示機能を有する端末機器に表示される、
流動性材料の調整用チャート。
【請求項2】
上記対応情報表示部が、複数の調整結果物に関連する情報と、各調整結果物を得るための上記分量と、が対応付けられた上記対応情報を表示する、
請求項1の流動性材料の調整用チャート。
【請求項3】
請求項1又は2の流動性材料の調整用チャートを用いて上記複数種類の流動性材料を調整する調整方法であって、
上記分量表示部に、各流動性材料を対応する上記分量だけ別々に配設する工程と、
別々に配設された上記流動性材料を混ぜ合わせる工程と、を含む、
流動性材料の調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動性材料の調整用チャート及びそれを用いた流動性材料の調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
外装材を釘止めする際、釘頭の露出による美観低下を抑制するために、釘頭に補修塗料を塗布し、釘頭周囲の部分との差異を目立たせなくする。特許文献1には、釘頭と同程度のサイズの孔が設けられたテンプレートを用いて、この孔の広さで釘頭に補修塗料を塗布することにより、釘頭よりも広い範囲に塗布することによる美観低下を抑制する点が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-188911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、壁の美観を保つ要素として、上記の補修部分のサイズのほか、その色合いも重要となる。通常、補修時には、作業者が補修箇所やその周囲を確認し、複数色の補修塗料を混ぜ合わせて補修箇所とその周囲にマッチする色合いに調整し、塗布する。
【0005】
しかしながら、このような方法では、作業者の熟練度や主観によって色合いが微妙に変化し、安定した色合いに調整することが困難であった。
【0006】
本発明の目的は、塗料のような流動性材料を複数種類混ぜ合わせる際の調整品質の安定化である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、複数種類の流動性材料を混ぜ合わせて調整する際に用いられるチャートであって、各種類の上記流動性材料の分量の大きさを視認可能な図表として表示する分量表示部を備える。
【0008】
第1の発明において、上記分量表示部が、上記複数種類の流動性材料を調整して得られる調整結果物に関連する情報と、該調整結果物を得るための上記分量と、が対応付けられた対応情報を表示する対応情報表示部と、少なくとも上記複数種類の数の目盛りが互いに離間して設けられた目盛り部と、を有する。
【0009】
第1の発明において、上記対応情報表示部と上記目盛り部とが別々の部材に設けられている。上記対応情報表示部は、表示機能を有する端末機器に上記対応情報を表示する。
【0010】
の発明は、第1の発明において、上記対応情報表示部が、複数の調整結果物に関連する情報と、各調整結果物に得るための上記分量と、が対応付けられた上記対応情報を表示する。
【0011】
第3の発明は、第1又は2の発明に係るチャートを用いて上記複数種類の流動性材料を調整する調整方法であって、上記分量表示部に、各流動性材料を対応する上記分量だけ別々に配設する工程と、別々に配設された上記流動性材料を混ぜ合わせる工程と、を含む。
【発明の効果】
【0012】
第1の発明によれば、チャートの分量表示部に表示された図表に分量の大きさに応じた各種流動性材料を配設し、これらを混ぜ合わせる。これにより、分量の大きさが視認可能な図表で表されているので、安定した品質の調整結果物を得ることができる。また、各流動性材料の分量を計器を用いて計量するという煩雑さが軽減される。
【0013】
の発明によれば、所望の調整結果物を得るための分量を対応情報表示部で確認し、確認した分量の各種流動性材料を目盛りに配設することで、容易に安定した品質の調整結果物を得ることができる。
【0014】
の発明によれば、対応情報表示部と、目盛り部とが別々の部材に設けられているので、対応情報表示部をカタログ等の紙媒体、表示機能を有する端末機器等に表示させ、これらを確認しながら、目盛り部で流動性材料を調整することができる。このため、調整結果物毎に両部を設けたチャートを用意する必要が無い。
【0015】
の発明によれば、対応情報表示部に複数の調整結果物とそれに対応する分量情報が表示されているため、使い勝手がよい。
【0016】
の発明によれば、第1の発明と同様に、分量の大きさが視認可能な図表で表されているので、安定した品質の調整結果物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係るチャートの一例を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係るチャートを用いた補修塗料の調整作業を説明するための図である。
図3】本発明のその他の実施形態に係るチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
《第1の実施形態》
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は本質的に例示にすぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0019】
本発明の実施形態に係る調整用チャート1(以下、単に「チャート」という)は、窯業系サイディング、セメント製屋根材などの外装材の意匠面のキズ等、又は、釘打ち施工の際の釘頭を隠蔽するための補修に用いられる。
【0020】
上記チャート1は、外装材の商品A,Bの意匠面を補修する際に用いられるものである。商品A,Bの各意匠面は、複数の部分に区画されており、当該部分同士は互いに異なる色彩を有している。商品A,Bは、それぞれ、ベース色を呈する部分(以下、「ベース部分」という)とアクセント色を呈する部分(以下、「アクセント部分」という)とを有している。両商品のベース部分は、互いに異なる色を呈している。また、両商品のアクセント部分も、互いに異なる色を呈している。
【0021】
ベース部分は、例えばセメント色であって、商品A,Bの材料配合の違いにより、両商品のベース部分は互いに異なる色を呈する。また、アクセント部分は、例えばセメント基材から発生する白華(エフロレッセンス)であり、両商品のアクセント部分はベース部分の色の違いにより、互いに若干異なる色を呈する。
【0022】
なお、各商品の意匠面が複数色で塗装され、ベース部分とアクセント部分との色が互いに異なるものであってもよい。
【0023】
上記チャート1は、図1に示すように、各商品の各部分に対応する補修色に調整するための各色の塗料の分量を視認可能な図表で表示する分量表示部2を備える。
【0024】
この分量表示部2は、各商品の各補修箇所を示す補修箇所情報31と、各補修箇所を補修するための補修塗料を調整するための各色の塗料の分量を示す分量情報32と、を対応付ける対応情報を表示する対応情報表示部3、及び、各色の塗料の分量を把握するための複数(本実施形態では3つ)の目盛り部4を備える。
【0025】
上記対応情報表示部3は、4行4列の表からなり、1行目から2行目の3列目から4列目に商品情報31a、3行目から4行目の1列目から2列目に補修箇所情報31b、3行目から4行目の3列目から4列目に各色の塗料の分量情報32、のそれぞれが示され、各商品の各補修箇所と、それに対応する各色の原塗料5の分量と、が対応付けて示されている。例えば、商品Aのベース部分の補修に用いる補修塗料を得るためには、表の3行目の3列目の分量情報32aを確認して、カラーX,Y,Zの原塗料51,52,53を、X:Y:Z=1:3:5の分量で混ぜ合わせることがわかる。
【0026】
なお、上記対応情報表示部3には、原塗料の品番が掲載されていてもよい。これにより、塗料の粘度等の性状によって分量の相違が生じるのを防ぐことができる。
【0027】
次に、目盛り部4は、上下に延びる3本の目盛り41を備え、これら目盛り41は、左右に互いに間隔を空けて離間して設けられている。各目盛り41には、上下に等間隔に10本の横線が設けられている。なお、目盛り41は、3本に限定されず、少なくとも上記原塗料5の種類の数だけ設けられていればよい。
【0028】
これら対応情報表示部3と目盛り部4とは、図1中に並んで図示されているが、これら両部は別々の部材に設けられており、例えば、上記対応情報表示部3は、商品カタログ等に掲載されている一方、上記目盛り部4は、アート紙等に掲載されている。
【0029】
なお、目盛り41には、図示しないが、配設する塗料の幅を示すガイドが設けられていてもよい。これにより、例えば作業者がチューブから塗料を押し出す際、作業者の熟練度に関係なく押出量が安定し、ひいては調整品質を更に安定化することができる。
【0030】
次に、上記チャート1を用いて補修塗料の色合いを調整する方法について図2を参照して説明する。
【0031】
まず、作業者は、補修対象の商品とその補修箇所を確認し、チャート1の対応情報表示部3を用いて、その補修箇所に応じた原塗料5の分量を確認する。例えば、補修箇所が商品Aのベース部分である場合、対応情報表示部3の3行目の3列目を確認し、原塗料51,52,53の分量がX:Y:Z=1:3:5であることを確認する。
【0032】
次に、作業者は、目盛り部4に上記分量に応じて原塗料5を配設する。例えば、作業者は、図2Aに示すように、目盛り部4の左側の目盛り41に1単位分の長さのカラーXの原塗料51を、中央の目盛り41に3単位分の長さのカラーYの原塗料52を、右側の目盛り41に5単位分の長さのカラーZの原塗料53を配設する。そして、作業者は、図2Bに示すように、目盛り部4に配設された原塗料51,52,53を混ぜ合わせる。これにより、補修箇所に対応した補修塗料6を作製することができる。
【0033】
-本発明の実施形態の効果-
上記実施形態によれば、チャート1の分量表示部2に表示された対応情報表示部3に分量の大きさに応じた各原塗料を配設し、これらを混ぜ合わせる。これにより、分量の大きさが視認可能な図表で表されているので、安定した品質の補修塗料6を得ることができる。また、各流動性材料の分量を計器を用いて計量するという煩雑さが軽減される。
【0034】
また、上記実施形態によれば、所望の補修塗料6を得るための分量を対応情報表示部3で確認し、確認した分量の各色原塗料5を目盛りに配設することで、容易に安定した品質の補修塗料6を得ることができる。
【0035】
また、上記実施形態によれば、対応情報表示部3と、目盛り部4とが別々の部材に設けられているので、対応情報表示部3をカタログ等の紙媒体、表示機能を有する端末機器等に表示させ、これらを確認しながら、目盛り部4で補修塗料6を調整することができる。このため、補修塗料6毎に両部2,3を設けたチャート1を用意する必要が無い。
【0036】
更に、上記実施形態によれば、対応情報表示部3に複数の補修塗料6とそれに対応する分量情報が表示されているため、使い勝手がよい。
【0037】
《第2の実施形態》
本実施形態について図3Aを参照して説明する。本実施形態のチャート200は、対応情報表示部3(31,32)と目盛り部4とが一体に設けられている。具体的には、上部に補修箇所情報31、その下部に目盛り部4が設けられ、この目盛り部4の上部に原塗料5のカラーX,Y,Zが記載され、各原塗料5の分量が、各目盛り41において横線が他の横線よりも長く表示されて表されている。これにより、一見して各原塗料5の分量を把握できるため、作業効率が良い。
【0038】
《第3の実施形態》
本実施形態について図3Bを参照して説明する。本実施形態のチャート300は、対応情報表示部3(31,32)と目盛り部4とが一体に設けられ、目盛り部4の目盛り41が円の大きさとして表示されている。これにより、円と同じ大きさだけ原塗料5を配設するだけでよく、作業効率が良い。
【0039】
《第4の実施形態》
本実施形態について図3Cを参照して説明する。本実施形態は、目盛り部の他の実施形態を示す。目盛り部400は、上記実施形態の如く線状の目盛りではなく、円状の目盛りである。各目盛り410は、例えば、3重の同心円状をなし、最も内側の小円が分量1を、この小円のすぐ外側の円が分量3を、さらに外側の大円が分量5を示している。これにより、例えば、或る程度粘度のある塗料を線状に引き延ばすことなく、円中心に押し出すだけでよく、作業効率が良い。
【0040】
(変形例)
上記実施形態では、チャート1が外装材の補修等に用いられる例を示したが、これに限定されず、例えば、他の部材の補修等に用いられてもよい。
【0041】
また、上記実施形態では、流動性材料として有色塗料を例示したが、これに限定されない。例えば、クリア塗料のような無色塗料用、または、接着剤用であってもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、対応情報表示部3と目盛り部4とが別々の部材に設けられている例を示したが、これに限定されず、両部とも同一部材に設けられてもよい。
【0043】
また、上記実施形態では、チャート1を紙面に掲載した例を示したが、これに限定されず、チャート1を他の手段で表示してもよい。例えば、ウェブサイトに掲載してもよく、チャートを印刷し、出力したチャートを使用してもよい。また、例えば、対象物(上記実施形態では商品A,B)とそれに対応するチャートとを示す情報が格納されたアプリケーションプログラムであってもよく、例えば携帯端末(ノートパソコン、タブレット、スマートフォンなど)でアプリケーションプログラムを起動して対象物を選択し、選択した対象物に対応するチャートを表示して使用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上説明したように、本発明に係る流動性材料の調整用チャート及びそれを用いた流動性材料の調整方法は、塗料のような流動性材料を複数種類混ぜ合わせる用途に適用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 調整用チャート
2 分量表示部
3 対応情報表示部
31 補修箇所情報
32 分量情報
4 目盛り部
41 目盛り
図1
図2
図3