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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】調整器一体型ガスメータ及び圧力調整器
(51)【国際特許分類】
   G01F 3/22 20060101AFI20240619BHJP
   G01F 1/00 20220101ALI20240619BHJP
   G01M 3/26 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
G01F3/22 B
G01F1/00 G
G01M3/26 D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020114741
(22)【出願日】2020-07-02
(65)【公開番号】P2022012713
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】迫 江美
【審査官】藤澤 和浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-189568(JP,A)
【文献】実開平02-118833(JP,U)
【文献】特開2001-147724(JP,A)
【文献】実開平02-009908(JP,U)
【文献】特開平11-160124(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 3/22
G01F 1/00
G01M 3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス容器からの高圧ガスを減圧する圧力調整器と、前記圧力調整器の出口流路に接続されるガスメータと、を備えた調整器一体型ガスメータであって、
前記圧力調整器は、
他面が大気室からの圧力を受け、一面が燃料ガス側となるガス室からの圧力を受けるダイヤフラムと、
前記ダイヤフラムの一面側及び他面側への変位に応じて前記ガス室への燃料ガスの導入量を制御する減圧弁と、
前記ガス室の圧力が所定圧力を超える場合に前記ガス室内と前記大気室とを連通させて前記ガス室の圧力を前記大気室側に逃がす安全弁吹き出し機構と、
前記大気室と前記圧力調整器の外部とを接続する貫通孔に設けられ、操作部への操作がされていない状態において前記貫通孔を開放し、前記操作部への操作がされた状態において前記貫通孔を閉塞する弁機構と、を備える
ことを特徴とする調整器一体型ガスメータ。
【請求項2】
前記弁機構は、前記安全弁吹き出し機構により前記ガス室と前記大気室とが連通し前記大気室が大気圧を超える規定圧力以上となる状態において、前記操作部への操作がなくとも前記大気室の圧力によって前記貫通孔を閉塞した状態を維持する
ことを特徴とする請求項1に記載の調整器一体型ガスメータ。
【請求項3】
ガス容器からの高圧ガスを減圧すると共に出口流路がガスメータに接続される圧力調整器であって、
他面が大気室からの圧力を受け、一面が燃料ガス側となるガス室からの圧力を受けるダイヤフラムと、
前記ダイヤフラムの一面側及び他面側への変位に応じて前記ガス室への燃料ガスの導入量を制御する減圧弁と、
前記ガス室の圧力が所定圧力を超える場合に前記ガス室内と前記大気室とを連通させて前記ガス室の圧力を前記大気室側に逃がす安全弁吹き出し機構と、
前記大気室と前記圧力調整器の外部とを接続する貫通孔に設けられ、操作部への操作がされていない状態において前記貫通孔を開放し、前記操作部への操作がされた状態において前記貫通孔を閉塞する弁機構と、
を備えることを特徴とする圧力調整器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調整器一体型ガスメータ及び圧力調整器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高圧ガスボンベからの燃料ガスを需要者側まで供給するガス供給システムは、完成検査として気密試験が実施される(特許文献1参照)。気密試験では圧力調整器の下流側となる低圧部に8.4kPa以上の圧力をかける。一方で調整器の安全弁吹き出し圧力は5.6kPa以上8.4kPa以下であり、低圧部に気密試験の圧力をかけることができない。そこで、従来のガス供給システムでは、ガスメータと圧力調整器との間に設けられたガス栓を閉栓することで、低圧部のうちガス栓下流側の部位の気密試験を行って試験圧力が圧力調整器にかからないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-174916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、圧力調整器とガスメータとを近接させた調整器一体型ガスメータについては、圧力調整器とガスメータとの間にガス栓を有しない構成となっている。このため、従来のようにガス栓を閉じることができないことから、気密試験用に新たにガス栓を設けることが考えられる。
【0005】
しかし、圧力調整器とガスメータとの近接関係を保つ観点から、例えば圧力調整器とガスメータとの間ではなくガスメータの出口側にガス栓を設けた場合には、気密試験時には圧力調整器の安全弁が動作して低圧部(ガスメータの出口側のガス栓よりも下流側を除く)を試験圧力まで高めることができなくなってしまう。そこで、圧力調整器とガスメータとの間にガス栓を設けることが考えられるが、この場合には、折角圧力調整器とガスメータとを近接させたにもかかわらず、両者を離すこととなり、調整器一体型ガスメータの全長が延びる結果となってしまう。
【0006】
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、全長が延びてしまう事態を抑制すると共に、低圧部を試験圧力まで高めることができる調整器一体型ガスメータ及び圧力調整器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る調整器一体型ガスメータは、ガス容器からの高圧ガスを減圧する圧力調整器と、前記圧力調整器の出口流路に接続されるガスメータと、を備えた調整器一体型ガスメータであって、前記圧力調整器は、他面が大気室からの圧力を受け、一面が燃料ガス側となるガス室からの圧力を受けるダイヤフラムと、前記ダイヤフラムの一面側及び他面側への変位に応じて前記ガス室への燃料ガスの導入量を制御する減圧弁と、前記ガス室の圧力が所定圧力を超える場合に前記ガス室内と前記大気室とを連通させて前記ガス室の圧力を前記大気室側に逃がす安全弁吹き出し機構と、前記大気室と前記圧力調整器の外部とを接続する貫通孔に設けられ、操作部への操作がされていない状態において前記貫通孔を開放し、前記操作部への操作がされた状態において前記貫通孔を閉塞する弁機構と、を備える。
【0008】
本発明に係る圧力調整器は、ガス容器からの高圧ガスを減圧すると共に出口流路がガスメータに接続される圧力調整器であって、他面が大気室からの圧力を受け、一面が燃料ガス側となるガス室からの圧力を受けるダイヤフラムと、前記ダイヤフラムの一面側及び他面側への変位に応じて前記ガス室への燃料ガスの導入量を制御する減圧弁と、前記ガス室の圧力が所定圧力を超える場合に前記ガス室内と前記大気室とを連通させて前記ガス室の圧力を前記大気室側に逃がす安全弁吹き出し機構と、前記大気室と前記圧力調整器の外部とを接続する貫通孔に設けられ、操作部への操作がされていない状態において前記貫通孔を開放し、前記操作部への操作がされた状態において前記貫通孔を閉塞する弁機構と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、全長が延びてしまう事態を抑制すると共に、低圧部を試験圧力まで高めることができる調整器一体型ガスメータ及び圧力調整器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る調整器一体型ガスメータを示す斜視図である。
図2図1に示した圧力調整器の二次調整器の要部構成を示す断面図である。
図3図2に示した弁機構の拡大図であり、(a)は弁開状態を示し、(b)は弁閉状態を示している。
図4】本実施形態に係る調整器一体型ガスメータの気密試験方法を示す第1の工程図である。
図5】本実施形態に係る調整器一体型ガスメータの気密試験方法を示す第2の工程図である。
図6】本実施形態に係る調整器一体型ガスメータの気密試験方法を示す第3の工程図である。
図7】本実施形態に係る調整器一体型ガスメータの気密試験方法を示す第4の工程図である。
図8】本実施形態に係る調整器一体型ガスメータの気密試験方法を示す第5の工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用されていることはいうまでもない。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る調整器一体型ガスメータを示す斜視図である。図1に示すように、調整器一体型ガスメータ1は、圧力調整器2と、ガスメータ3とを備えて構成されている。圧力調整器2は、一次調整器10と、二次調整器20とを備えている。
【0013】
一次調整器10は、いわゆる切替機能付きの元調整器であって、左右に接続されるLPガスボンベ(不図示:ガス容器)のうち、どちらから(どちらの入口部10aから)燃料ガスを導入するかを選択するための切替レバー10bを正面側に備えている。図1に示す例において切替レバー10bは右側を向いており、右側の入口部10aから燃料ガスを導入することとなる。
【0014】
また、一次調整器10は、内部にダイヤフラム等を備えており、ダイヤフラムの動作に応じて内部の弁体を開閉動作させることによって高圧の燃料ガスを中圧とする一次減圧を行う構成となっている。一次減圧された燃料ガスは、二次調整器20に供給される。
【0015】
二次調整器20は、一次減圧された中圧の燃料ガスを低圧とする二次減圧を行うものである。二次調整器20についても一次調整器10と同様に、内部にダイヤフラム(後述の符号21)等を備えており、ダイヤフラムの動作に応じて内部の減圧弁(後述の符号26)を開閉動作させることによって二次減圧を行う。二次減圧された燃料ガスは、出口部(出口流路)20aを通じてガスメータ3に供給される。
【0016】
ガスメータ3は、略四角柱状の外形を有しており、四角柱の高さ方向に長手となる直管形状とされている。図1に示す例においてガスメータ3は、その長手方向が鉛直方向と一致するように設置されており、長手方向の一端側となる鉛直下側が二次調整器20の出口部20aと接続されており、長手方向の他端側となる鉛直上側が需要者側につながっている。
【0017】
ガスメータ3は、内部に高さ方向に延びる流路を有し、流路を流れる燃料ガスの流速を計測する流速センサ(不図示)が設けられている。流速センサは、例えば流速に応じて超音波信号の伝搬時間が変化する超音波センサによって構成されている。このようなガスメータ3はマイコン(不図示)を有し、流速センサによって得られた流速と流路径との関係から、ガスメータ3を通過する燃料ガスの流量を計測する。
【0018】
また、ガスメータ3は、正面側の上部に表示パネル3aを備えている。表示パネル3aは、LCD(Liquid Crystal Display)等によって構成されている。表示パネル3aは、マイコンに制御され、マイコンによって処理された情報を表示する。表示パネル3aに表示される代表的な情報は、燃料ガスの流量の積算値(積算流量)である。
【0019】
図2は、図1に示した圧力調整器2の二次調整器20の要部構成を示す断面図である。図2に示すように、二次調整器20は、減圧室(ガス室)Dと、大気室Aと、ダイヤフラム21と、コイルスプリング22と、軸部材23と、レバー部材24と、ピン25と、減圧弁26と、弁座27とを備えている。
【0020】
減圧室Dは、需要者に供給する燃料ガスを一時的に保持する部位である。大気室Aは、外部と連通することにより内部が大気圧となる部位である。ダイヤフラム21は、周縁が筐体Bに固定された略円形の薄膜であって、減圧室Dと大気室Aとを気密に隔てるものである。また、ダイヤフラム21は、コイルスプリング22により減圧室D側(一面側)に付勢されている。
【0021】
軸部材23は、ダイヤフラム21の中心を軸方向に貫通して設けられる部材であって、減圧室D側の先端にレバー部材24の一端側が取り付けられている。レバー部材24は略L字形状となる部材であって、L字の屈曲部分近傍にピン25が設けられている。レバー部材24は、このピン25を中心に回動可能となっている。また、レバー部材24の他端は減圧弁26が接続されている。減圧弁26は、ガスメータ3側へ燃料ガスを供給したり遮断したりするための弁である。
【0022】
このような二次調整器20は、図2に示すように、ダイヤフラム21が所定位置にあるときに、減圧弁26を弁座27に接触させて弁閉状態とし、燃料ガスの導入を遮断している。このような状態から燃料ガスが使用されると、減圧室Dの圧力が低下する。減圧室Dの圧力が低下すると、コイルスプリング22の付勢力によってダイヤフラム21が一面側に変位する。このとき、軸部材23も一面側に変位し、軸部材23の先端に取り付けられたレバー部材24はピン25を中心として回動する。この回動によって、減圧弁26は弁座27から離れて弁開状態となり、燃料ガスを減圧室Dに導入させる。
【0023】
その後、減圧室Dに燃料ガスが導入されると、減圧室Dの圧力が上昇する。これにより、ダイヤフラム21は、コイルスプリング22の付勢力に抗して他面側に変位する。このとき、軸部材23も他面側に変位し、レバー部材24はピン25を中心として前述とは逆方向に回動する。この回動によって、減圧弁26は弁座27に押圧して燃料ガスの導入を遮断する。以後、二次調整器20は、上記の動作を繰り返しながら、燃料ガスを減圧する。
【0024】
さらに、このような二次調整器20は、安全弁吹き出し機構28を備えている。安全弁吹き出し機構28は、スプリング受け座金28aと、安全弁調整スプリング28bと、弁体28cと、弁体受け28dとを有している。
【0025】
スプリング受け座金28aは、軸部材23の大気室A側の先端に設けられている。このスプリング受け座金28aとダイヤフラム21との間には、安全弁調整スプリング28bが介装されている。安全弁調整スプリング28bは、軸部材23の減圧室D側において軸部材23に一体に形成された安全弁の弁体28cを、ダイヤフラム21の一面側に配置した弁体受け28dに当接する方向に常時付勢している。
【0026】
このような構成であるため、例えば二次調整器20の減圧室Dに異常圧力が掛かると(減圧室Dの圧力が所定圧力を超えると)、軸部材23が他面側に移動しないものの、ダイヤフラム21が他面側に変位する。すなわち、安全弁調整スプリング28bの付勢力に抗してダイヤフラム21が他面側に変位して、弁体28cが弁体受け28dから離れる。この結果、減圧室Dと大気室Aとを連通させ、減圧室Dの圧力を大気室A側に逃がすこととなる。筐体Bには、大気室Aと二次調整器20の外部とを接続する貫通孔Hが形成されていることから、大気室Aに逃がされた圧力、すなわち大気室Aの気体は貫通孔Hを通過して大気に放出される。
【0027】
ここで、このような調整器一体型ガスメータ1を含むガス供給システムについては、完成検査として気密試験が実施される。従来の気密試験では低圧の燃料ガスが流れる低圧部の一部区間(ガス栓の下流側)に8.4kPa以上の試験圧力をかける。一方で、安全弁吹き出し機構28の吹き出し圧力は5.6kPa以上8.4kPa以下である。このため、本実施形態に係る調整器一体型ガスメータ1のように圧力調整器2とガスメータ3との間にガス栓を有しない場合には低圧部に試験圧力をかけようとしても、安全弁吹き出し機構28によって低圧部の圧力が大気室A側に逃がされてしまい、試験圧力まで高めることができなくなってしまう。
【0028】
そこで、本実施形態に係る調整器一体型ガスメータ1は、貫通孔Hに弁機構30を備えている。図3は、図2に示した弁機構30の拡大図であり、(a)は弁開状態を示し、(b)は弁閉状態を示している。
【0029】
図3(a)及び図3(b)に示すように、弁機構30は、外力が付与されていない状態(筐体Bの外側方向に引っ張られていない状態)で貫通孔Hを開放し、外力が付与された状態(筐体Bの外側方向に引っ張られた状態)で貫通孔Hを閉塞するものである。この弁機構30は、弁体31と、弁座32と、スプリング33と、操作部34とを備えている。
【0030】
弁体31は、断面視して略T字形状となる部材である。この弁体31は、弁座32側に突出する突起部31aを備えている。弁座32は、ゴムパッキン等を有し、弁体31が押圧接触及び離間可能に設けられている。弁体31が弁座32に押圧接触した場合には貫通孔Hが閉塞し、弁体31が弁座32から離間した場合には貫通孔Hが開放される。
【0031】
スプリング33は、弁体31を弁座32から離れる方向に付勢するものである。操作部34は、断面視して略T字形状となる部材であって、筐体Bの外側に露出しており、試験作業員によりスプリング33を圧縮するように引っ張り操作が可能なものである。このような構成であるため、操作部34を筐体Bの外側方向に引っ張るとスプリング33を圧縮させて弁体31を弁座32に押圧接触させることができる。これにより、貫通孔Hを閉塞することができる。一方、操作部34を筐体Bの外側方向に引っ張ることがなく外力が付与されていない場合には、スプリング33の付勢力によって弁体31を弁座32から離間させることができる。これにより、貫通孔Hを開放することができる。
【0032】
特に、本実施形態に係る調整器一体型ガスメータ1は、貫通孔Hを閉塞することができるため、気密試験時において大気室Aを外部と遮断することができる。この結果、安全弁吹き出し機構28が作動して減圧室Dの圧力が大気室Aに逃がされたとしても、大気室Aの圧力が高まることとなり、試験圧力まで高めることができる。
【0033】
次に、図4図8を参照して本実施形態に係る調整器一体型ガスメータ1の気密試験方法について説明する。図4図8は、本実施形態に係る調整器一体型ガスメータ1の気密試験方法を示す工程図である。
【0034】
まず、図4に示すように試験作業員は、弁機構30の操作部34を引っ張り、弁体31を弁座32に押圧接触させる。次いで、図5に示すように低圧部を試験圧力まで加圧する。この加圧過程においては、まず、減圧室Dの圧力が高まっていき、その後安全弁吹き出し機構28が作動して減圧室Dと大気室Aとが連通することとなる。大気室Aでは貫通孔Hが閉塞されていることから、大気室Aについても圧力が高まっていく。
【0035】
その後、図6に示すように、大気室Aの圧力が規定圧力(少なくとも大気圧を超える圧力)以上となると、大気室Aの圧力によって弁体31を弁座32に押し付ける状態が維持される。すなわち、貫通孔Hの閉塞状態が維持され、試験作業員は、操作部34を引っ張る必要がなくなる。
【0036】
その後、低圧部が試験圧力に達して気密試験が実施される。ここで、図7に示す状態においては、減圧室Dと大気室Aとの圧力差が小さくなることから、安全弁吹き出し機構28が非作動となり、減圧室Dと大気室Aとの連通状態が解除される。
【0037】
その後、気密試験が完了すると、低圧部の圧力が抜かれることとなる。ここで、大気室Aは圧力が高い状態であるため、ダイヤフラム21は一面側に変位することとなる。この変位により大気室Aの圧力が低下することとなり、スプリング33の付勢力によって弁体31は弁座32から離れる。すなわち、弁機構30については、気密試験の開始時に外力が付与されて貫通孔Hを閉塞し、大気室Aの圧力が閉塞状態を維持する圧力まで高まった後は操作を要することなく、試験終了時にも操作を要することなく開放状態に移行することとなる。
【0038】
このようにして、本実施形態に係る調整器一体型ガスメータ1によれば、大気室Aと圧力調整器2の外部とを接続する貫通孔Hに設けられ、外力が付与されていない状態において貫通孔Hを開放し、外力が付与された状態において貫通孔Hを閉塞する弁機構30を備える。このため、例えば試験作業員が弁機構30を操作することで貫通孔Hを閉塞することができる。この閉塞状態においては大気室Aと外部とが連通しないことから、安全弁吹き出し機構28が作動しても減圧室Dの気体が圧力調整器2の外部まで放出されず、ガス栓を設けることなく圧力調整器2の内部を含んで低圧部を試験圧力まで高めることができる。従って、全長が延びてしまう事態を抑制すると共に、低圧部を試験圧力まで高めることができる。
【0039】
また、弁機構30は、安全弁吹き出し機構28により減圧室Dと大気室Aとが連通し大気室Aが大気圧を超える規定圧力以上となる状態において、大気室Aの圧力が外力として作用して貫通孔Hを閉塞した状態を維持する。このため、スプリング33に適切なものを用いて規定圧力を適正化することで、気密試験の試験圧力を利用して弁機構30が貫通孔Hを閉塞した状態に維持することができる。これにより、貫通孔Hの閉塞状態を維持するために、初期的には試験作業員が弁機構30を操作する必要があっても、気密試験の途中からは弁機構30を操作する必要がなくなり、気密試験の簡易化に寄与することができる。
【0040】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、可能な範囲で適宜他の技術を組み合わせてもよい。
【0041】
例えば本実施形態においては調整器一体型ガスメータ1を例に説明したが、これに限らず、本発明は、例えばガスメータ3と分離されて、後にガスメータ3と一体化されて調整器一体型ガスメータ1とするための圧力調整器2に適用されてもよい。
【0042】
また、調整器一体型ガスメータ1については、圧力調整器2とガスメータ3との間に短めの配管を備えていてもよいし、直接接続されていてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 :調整器一体型ガスメータ
2 :圧力調整器
3 :ガスメータ
3a :表示パネル
10 :一次調整器
10a :入口部
10b :切替レバー
20 :二次調整器
20a :出口部(出口流路)
21 :ダイヤフラム
22 :コイルスプリング
23 :軸部材
24 :レバー部材
25 :ピン
26 :減圧弁
27 :弁座
28 :安全弁吹き出し機構
28a :スプリング受け座金
28b :安全弁調整スプリング
28c :弁体
28d :弁体受け
30 :弁機構
31 :弁体
31a :突起部
32 :弁座
33 :スプリング
34 :操作部
A :大気室
B :筐体
D :減圧室(ガス室)
H :貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8