(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】作業機械のメンテナンス管理システム、作業機械のメンテナンス管理方法及び作業機械のメンテナンス管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20240619BHJP
E02F 9/20 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
G06Q10/20
E02F9/20 N
(21)【出願番号】P 2020117971
(22)【出願日】2020-07-08
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(72)【発明者】
【氏名】古市 光洋
【審査官】田上 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-218408(JP,A)
【文献】国際公開第2009/119032(WO,A1)
【文献】特開2014-070434(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
E02F 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の管理単位を含む対象作業機械の実稼働時間を取得する取得部と、
前記実稼働時間より導出される前記管理単位毎の仮想稼働時間を用いて、前記複数の管理単位のうちの少なくとも1つの管理単位についてのメンテナンス時期に関するメンテナンス情報を出力する出力部と、を備え
、
前記出力部は、前記管理単位毎の前記仮想稼働時間を表すグラフを、前記メンテナンス情報に含まれるメンテナンス推奨稼働時間に重畳して表示させる、
作業機械のメンテナンス管理システム。
【請求項2】
前記対象作業機械は、それぞれ1以上の構成部品を含む複数の部位を有し、
前記管理単位と前記構成部品とは一対一に対応付けられている、
請求項1に記載の作業機械のメンテナンス管理システム。
【請求項3】
前記対象作業機械の前記管理単位毎の前記仮想稼働時間を算出する時間算出部を更に備える、
請求項1又は2に記載の作業機械のメンテナンス管理システム。
【請求項4】
前記時間算出部は、前記対象作業機械と共通の属性を有する複数の作業機械の動作状況に関する参照情報と、前記対象作業機械の動作状況に関する対象情報との比較結果、及び前記対象作業機械の前記実稼働時間に基づいて、前記対象作業機械の前記管理単位毎の前記仮想稼働時間を算出する、
請求項3に記載の作業機械のメンテナンス管理システム。
【請求項5】
前記参照情報と前記対象情報との比較結果は、前記参照情報としての前記複数の作業機械の動作状況の分布に対する、前記対象情報としての前記対象作業機械の動作状況の関係性を含む、
請求項4に記載の作業機械のメンテナンス管理システム。
【請求項6】
前記メンテナンス情報は、前記実稼働時間の代わりに前記仮想稼働時間を用いて前記メンテナンス時期を表す情報である、
請求項1~5のいずれか1項に記載の作業機械のメンテナンス管理システム。
【請求項7】
前記メンテナンス情報は、前記少なくとも1つの管理単位について、
前記メンテナンス推奨稼働時間と前記仮想稼働時間との相対関係を表す情報を含み、
前記出力部は、少なくとも前記相対関係を表示装置に表示可能な態様で出力する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の作業機械のメンテナンス管理システム。
【請求項8】
前記出力部は、前記メンテナンス推奨稼働時間と前記仮想稼働時間とを一覧表示する、
請求項7に記載の作業機械のメンテナンス管理システム。
【請求項9】
前記メンテナンス情報は、前記少なくとも1つの管理単位について、次回のメンテナンスの推奨タイミングを表す情報を含む、
請求項1~8のいずれか1項に記載の作業機械のメンテナンス管理システム。
【請求項10】
前記推奨タイミングは、前記実稼働時間により表される、
請求項9に記載の作業機械のメンテナンス管理システム。
【請求項11】
前記出力部は、前記仮想稼働時間に加えて、前記対象作業機械のメンテナンス履歴を用いて、前記メンテナンス情報を出力する、
請求項1~10のいずれか1項に記載の作業機械のメンテナンス管理システム。
【請求項12】
前記出力部は、前記メンテナンス履歴と前記メンテナンス時期との同一時間軸上での比較結果に基づいて、前記メンテナンス情報を出力する、
請求項11に記載の作業機械のメンテナンス管理システム。
【請求項13】
1以上のプロセッサにより実行されるメンテナンス管理方法であって、
複数の管理単位を含む対象作業機械の実稼働時間を取得することと、
前記実稼働時間より導出される前記管理単位毎の仮想稼働時間を用いて、前記複数の管理単位のうちの少なくとも1つの管理単位についてのメンテナンス時期に関するメンテナンス情報を出力
し、前記管理単位毎の前記仮想稼働時間を表すグラフを、前記メンテナンス情報に含まれるメンテナンス推奨稼働時間に重畳して表示させることと、を有する、
作業機械のメンテナンス管理方法。
【請求項14】
複数の管理単位を含む対象作業機械の実稼働時間を取得することと、
前記実稼働時間より導出される前記管理単位毎の仮想稼働時間を用いて、前記複数の管理単位のうちの少なくとも1つの管理単位についてのメンテナンス時期に関するメンテナンス情報を出力
し、前記管理単位毎の前記仮想稼働時間を表すグラフを、前記メンテナンス情報に含まれるメンテナンス推奨稼働時間に重畳して表示させることと、
を1以上のプロセッサに実行させるための作業機械のメンテナンス管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の管理単位を含む作業機械のメンテナンスに係る管理を行う作業機械のメンテナンス管理システム、作業機械のメンテナンス管理方法及び作業機械のメンテナンス管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、作業車両に搭載されたエンジン等の運転に関与する構成要素の稼働時間を積算した積算時間を計測する積算時間計(アワーメータ)の値に基づいて、次回メンテナンス時期や部品交換の時期を設定することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のアワーメータの値に基づくメンテナンス時期の設定は、作業車両が平均的な走行および作業を行うことを前提にしている。しかしながら、作業環境、作業車両の操作方法等が異なると、同じ稼働時間であっても、作業車両の所定部位の消耗度に大きな差が生じる場合がある。このため、アワーメータの値のみに基づいてメンテナンス時期を設定する方法では、作業車両の各部位のメンテンナス時期を正確に設定することは難しい。
【0005】
本発明の目的は、作業機械の各部位のメンテナンス時期を正確に設定しやすい作業機械のメンテナンス管理システム、作業機械のメンテナンス管理方法及び作業機械のメンテナンス管理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の局面に係る作業機械のメンテナンス管理システムは、取得部と、出力部と、を備える。前記取得部は、複数の管理単位を含む対象作業機械の実稼働時間を取得する。前記出力部は、前記実稼働時間より導出される前記管理単位毎の仮想稼働時間を用いて、前記複数の管理単位のうちの少なくとも1つの管理単位についてのメンテナンス時期に関するメンテナンス情報を出力する。
【0007】
本発明の他の局面に係る作業機械のメンテナンス管理方法は、複数の管理単位を含む対象作業機械の実稼働時間を取得することと、メンテナンス情報を出力することと、を有する。前記メンテナンス情報については、前記実稼働時間より導出される前記管理単位毎の仮想稼働時間を用いて、前記複数の管理単位のうちの少なくとも1つの管理単位についてのメンテナンス時期に関する前記メンテナンス情報が出力される。
【0008】
本発明の他の局面に係る作業機械のメンテナンス管理プログラムは、複数の管理単位を含む対象作業機械の実稼働時間を取得することと、メンテナンス情報を出力することと、を1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。前記メンテナンス情報については、前記実稼働時間より導出される前記管理単位毎の仮想稼働時間を用いて、前記複数の管理単位のうちの少なくとも1つの管理単位についてのメンテナンス時期に関する前記メンテナンス情報が出力される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、作業機械の各部位のメンテナンス時期を正確に設定しやすい作業機械のメンテナンス管理システム、作業機械のメンテナンス管理方法及び作業機械のメンテナンス管理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る仮想稼働時間算出装置が適用された稼働評価システムの構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、作業車両、サービス端末およびサーバの電気的構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、部位テーブルの内容例を示す模式図である。
【
図4】
図4は、基礎係数テーブルの内容例を示す模式図である。
【
図5】
図5は、部位別係数算出式テーブルの内容例を示す模式図である。
【
図7】
図7は、各クラスの番号に対応する確率範囲および確率変数範囲を示す模式図である。
【
図8】
図8は、確率変数閾値テーブルの内容例を示す模式図である。
【
図9】
図9は、仮想稼働時間算出部によって実行される仮想稼働時間算出処理の手順を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、型式YH1111に関して、
図9のステップS1およびS2の処理によって、型式YH1111に属する複数のコンバイン毎に、注目期間での実稼働時間と動作状況情報が算出されることを示す模式図である。
【
図11】
図11は、各クラスの番号に対応する確率範囲およびx値範囲を示す模式である。
【
図12】
図12は、型式がYH1111でかつ機番が2A1のコンバインの基礎係数A、B、CおよびDそれぞれに対するクラス分結果の一例を示す。
【
図13】
図13は、型式がYH1111でかつ機番が2A1のコンバインの基礎係数A、B、CおよびDそれぞれに対して算出された基礎係数の一例を示す模式図である。
【
図14】
図14は、型式がYH1111でかつ機番が2A1のコンバインの基礎係数A、B、CおよびDが
図12に示すような係数である場合の、当該コンバインの各対象部位の部位別係数の一例を示す模式図である。
【
図15】
図15は、型式がYH1111でかつ機番が2A1のコンバインの部位別係数が
図14に示すような係数である場合の、当該作業車両の各対象部位の部位別仮想稼働時間の内容例を示す模式図である。
【
図16】
図16は、コンバインの所定の型式に対する部位テーブルの具体的を示す模式図である。
【
図17】
図17は、コンバインの所定の型式に対する基礎係数テーブルの具体例を示す模式図である。
【
図18】
図18は、コンバインの所定の型式に対する部位別係数算出式テーブルの具体例を示す模式図である。
【
図19】
図19は、サービス端末に表示される集計条件入力画面の一例を示す模式図である。
【
図20】
図20は、サービス端末に表示される出力画面の一例を示す模式図である。
【
図21】
図21は、サービス端末に表示される出力画面の他の例を示す模式図である。
【
図22】
図22は、本発明の実施形態1に係るメンテナンス管理システムの構成を示す模式図である。
【
図23】
図23は、メンテナンステーブルの具体的を示す模式図である。
【
図24】
図24は、参照元テーブルの具体的を示す模式図である。
【
図25】
図25は、仮想時間テーブルの具体的を示す模式図である。
【
図26】
図26は、表示装置に表示される出力画面の一例を示す模式図である。
【
図27】
図27は、表示装置に表示される出力画面の他の例を示す模式図である。
【
図28】
図28は、表示装置に表示される出力画面のさらに他の例を示す模式図である。
【
図29】
図29は、メンテナンス管理システムによって実行されるメンテナンス管理方法の手順を示すフローチャートである。
【
図30】
図30は、本発明の実施形態2に係るメンテナンス管理システムにて表示装置に表示される出力画面の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する趣旨ではない。
【0012】
(実施形態1)
[1]仮想稼働時間算出装置
まず、本実施形態に係る作業機械のメンテナンス管理システム200(
図22参照)に用いられる時間算出部202(
図22参照)について説明する。時間算出部202は、対象作業機械の管理単位毎の仮想稼働時間を算出する。時間算出部202は、以下に説明する仮想稼働時間算出装置により実現される。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る仮想稼働時間算出装置が適用された稼働評価システムの構成を示す模式図である。
稼働評価システム1は、複数の作業車両2と、サービス拠点に設置されたサービス端末3と、仮想稼働時間算出装置としてのサーバ4とを含む。
【0014】
サービス端末3は、作業車両2のメンテナンスを行うサービス拠点(サービス店)に設置されている。
図1では、サービス端末3は1つのみ図示されているが、作業車両2のメンテナンスを行うサービス店は実際には複数存在するので、サービス端末3も実際には複数存在する。サーバ4は、所定の管理センター内に設けられている。
各作業車両2は、通信網5を介してサーバ4と通信可能である。また、サービス端末3は、通信網5を介してサーバ4と通信可能である。
【0015】
複数の作業車両2は、例えば、型式がYH1111である複数のコンバイン2Aと、型式がYT2222である複数のトラクタ2Bと、型式がYR3333の複数の田植機2Cを含む。型式がYH1111である複数のコンバイン2Aは、機番が異なる複数のコンバイン2A1,2A2,…,2ALを含む。
型式がYT2222である複数のトラクタ2Bは、機番が異なる複数のトラクタ2B1,2B2,…,2BMを含む。
【0016】
型式がYR3333である複数の田植機2Cは、機番が異なる複数の田植機2C1,2C2,…,2CNを含む。
各作業車両2は、測位衛星(図示略)を利用して作業車両2の位置を測位する機能を備えている。各作業車両2は、車両識別情報(この例では、作業車両2の型式および機番)と、位置情報と、稼働情報とを含む情報(以下、「車両側情報」という。)をサーバ4に送信する。
【0017】
図2は、作業車両2、サービス端末3およびサーバ4の電気的構成を示すブロック図である。
作業車両2は、車両制御部10を含む。車両制御部10は、CPUおよびメモリ(揮発性メモリ、不揮発性メモリ等)11を備えたマイクロコンピュータを含む。車両制御部10は、作業車両2の動作(前進、後進、停止、旋回等の動作)を制御する。車両制御部10には、作業車両2の各部を制御するための複数のコントロ-ラ(コントローラ類21)が電気的に接続されている。
【0018】
作業車両2がコンバイン2Aである場合には、複数のコントローラは、エンジンの回転数等を制御するエンジンコントローラ、走行部であるクローラを制御する走行コントローラ、刈取部、脱穀部等の作業部を制御する作業コントローラ等を含む。
作業車両2がトラクタ2Bである場合には、複数のコントローラは、エンジンの回転数等を制御するエンジンコントローラ、トラクタ2Bの車速を制御する車速コントローラ、トラクタ2Bの前輪の転舵角を制御する操向コントローラ、PTO軸の回転を制御するPTO軸コントローラ等を含む。
【0019】
作業車両2が田植機2Cである場合には、複数のコントローラは、エンジンコントローラ、車速コントローラ、操向コントローラの他、植付部の昇降を制御するための昇降コントローラ、植付部の植付入力ケースを回転駆動したり停止させたりするためのPTO軸コントローラ等を含む。
車両制御部10には、さらに、アワーメータ22、位置情報算出部23、通信部24、表示部25、操作部26、記憶部27等が接続されている。アワーメータ22は、作業車両2のエンジンがオンされてからオフされるまでの時間の積算値(総実稼働時間)を測定する。
【0020】
位置情報算出部23には、衛星信号受信用アンテナ28が電気的に接続されている。衛星信号受信用アンテナ28は、衛星測位システムを構成する測位衛星(図示略)からの信号を受信するものである。衛星測位システムは、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)である。位置情報算出部23は、衛星信号受信用アンテナ28で受信された測位信号に基づいて、作業車両2(厳密には、衛星信号受信用アンテナ28)の位置を算出する。具体的には、位置情報算出部23は、時刻情報と位置情報とを含む測位情報を生成する。位置情報は、例えば、緯度情報と経度情報とからなる。
【0021】
通信部24は、車両制御部10が通信網5を介してサーバ4と通信するための通信インタフェースである。表示部25は、例えば液晶表示器からなる。操作部26には、複数のレバーやスイッチ等が設けられている。
記憶部27は、不揮発性メモリ等の記憶デバイスから構成されている。記憶部27には、位置情報記憶部31、稼働情報記憶部32等が設けられている。
【0022】
車両制御部10は、情報取得処理部12を含んでいる。情報取得処理部12は、エンジンがオンされてからオフされるまでの間に、位置情報算出部23によって所定時間毎に算出される位置情報を取得して位置情報記憶部31に記憶する。また、情報取得処理部12は、エンジンがオンされてからオフされるまでの間に、車両制御部10から所定時間毎に与えられる稼働情報を取得して稼働情報記憶部32に記憶する。稼働情報には、各型式に応じて設定された1または複数の被オンオフ部材のオンオフ情報と、各型式に応じて設定された1または複数の測定値または検出値であるアナログ情報とが含まれる。被オンオフ部材には、各種のクラッチが含まれる。アナログ情報には、アワーメータ22によって測定される総実稼働時間(以下、「アワーメータ値」という。)、エンジン負荷率、車速、エンジン冷却水の水温、燃料消費率等が含まれる。
【0023】
そして、情報取得処理部12は、位置情報記憶部31に記憶された時刻毎の位置情報および稼働情報記憶部32に記憶された時刻毎の稼働情報を、車両識別情報(型式・機番)とともに、所定のタイミング(例えば、電源キーがオフ操作されたタイミング)でサーバ4に送信する。つまり、車両識別情報と時刻毎の位置情報および稼働情報とからなる車両側情報が、作業車両2からサーバ4に送信される。
【0024】
サービス端末3は、パーソナルコンピュータ(PC)からなり、制御装置(PC本体)41と、ディスプレイ42と、マウス、キーボード等の操作機器43と、通信部44とを含む。通信部44は、制御装置41が通信網5を介してサーバ4と通信するための通信インタフェースである。
制御装置41は、図示しないが、CPU、メモリ、ハードディスク等を含む。ハードディスクには、OS(オペレーションシステム)の他、ウェブページを閲覧するためのブラウザ(browser)等のプログラム、その他必要なデータが格納されている。
【0025】
サーバ4は、サーバ制御部50を備えている。サーバ制御部50には、通信部61、操作表示部62、操作部63、記憶部64等が接続されている。通信部61は、サーバ制御部50が通信網5を介して各作業車両2の車両制御部10やサービス端末3の制御装置41と通信するための通信インタフェースである。操作表示部62は、例えば、タッチパネル式ディスプレイからなる。操作部63は、例えば、キーボード、マウス等を含む。記憶部64は、ハードディスク、不揮発性メモリ等の記憶デバイスから構成されている。
【0026】
記憶部64には、車両側情報記憶部71、部位テーブル72、基礎係数テーブル73、部位別係数算出式テーブル74、確率変数閾値テーブル75、仮想稼働時間記憶部76等が設けられている。
車両側情報記憶部71には、作業車両2の車両制御部10から受信した時刻毎の位置情報および稼働情報が、車両制御部10から受信した車両識別情報に関連付けられて記憶される。
【0027】
図3は、部位テーブル72の内容例を示す模式図である。
部位テーブル72には、型式毎に、仮想稼働時間の算出対象となる部位(対象部位)が記憶される。
図3の例では、型式YH1111に対しては、4つの部位が対象部位として記憶されている。型式YT2222に対しては、3つの部位が対象部位として記憶されている。YR3333に対しては、2つの部位が対象部位として記憶されている。
【0028】
図4は、基礎係数テーブル73の内容例を示す模式図である。
基礎係数テーブル73には、型式毎に、仮想稼働時間算出に必要な基礎係数の種類と、各基礎係数を算出するための動作状況情報とが記憶される。
図4の例では、型式YH1111に対しては、4種類の基礎係数A~Dと、これらの基礎係数A~Dを算出するための4つの動作状況情報が記憶されている。基礎係数A~Dを算出するための動作状況情報は、それぞれ、「オンオフ情報1の合計」、「オンオフ情報2の合計」、「アナログ情報1の平均」および「アナログ情報2の平均」である。
【0029】
型式YT2222に対しては、3種類の基礎係数A~Cと、これらの基礎係数A~Cを算出するための動作状況情報が記憶されている。基礎係数A~Cを算出するための動作状況情報は、それぞれ、「オンオフ情報1の合計」、「オンオフ情報2の合計」および「アナログ情報1の標準偏差」である。
型式YR3333に対しては、2種類の基礎係数AおよびBと、これらの基礎係数AおよびBを算出するための動作状況情報が記憶されている。基礎係数AおよびBを算出するための動作状況情報は、それぞれ、「オンオフ情報2の合計」および「アナログ情報2の最大値」である。
【0030】
動作状況情報としては、「ある期間の実稼働時間に対するその期間での所定のオンオフ情報のオン回数合計の比」や、「ある期間の実稼働時間に対するその期間での所定のオンオフ情報のオン時間合計の比」が用いられてもよい。つまり、動作状況情報は、所定の稼働情報の基本統計量(合計、平均、標準偏差、最小値、最大値、中央値、最頻値等)、ある期間の実稼働時間に対する当該期間での所定の稼働情報の基本統計量の比等からなる。
【0031】
なお、オンオフ情報1およびオンオフ情報2の番号や、アナログ情報1およびアナログ情報2の番号は、同じ型式内において稼働情報を区別するための番号であって、異なる型式間において関連性はない。例えば、型式YH1111のオンオフ情報1と、型式YT2222のオンオフ情報1とは、同じ種類の情報であるとは限られない。基礎係数A~Dについても、同様である。
【0032】
以下において、動作状況情報を算出する元となる稼働情報を、「元情報」という場合がある。例えば、「オンオフ情報1の合計」の元情報は、オンオフ情報1である。また、「アナログ情報1の平均」の元情報は、アナログ情報1である。
図5は、部位別係数算出式テーブル74の内容例を示す模式図である。
部位別係数算出式テーブル74には、型式毎に、対象部位毎の仮想稼働時間の算出に用いられる部位別係数の算出式が記憶される。
【0033】
図5の例では、型式YH1111に対しては、当該型式の部位1、部位2、部位3および部位4それぞれに対する部位別係数算出式が記憶される。部位別係数算出式は、対応する型式の基礎係数A~Dの全てまたは一部を用いて表される。型式YT2222に対しては、当該型式の部位1、部位2および部位3それぞれに対する部位別係数算出式が記憶される。型式YR3333に対しては、当該型式の部位1および部位2それぞれに対する部位別係数算出式が記憶される。
【0034】
確率変数閾値テーブル75について説明する。確率変数閾値テーブル75には、標準正規分布の分布域を所定数のクラスに分割するための1または複数の確率変数閾値が記憶される。
図6は、標準正規分布を表すグラフである。標準正規分布は、平均値が0でかつ分散が1の正規分布である。
図6の横軸は、確率変数zを表し、縦軸は確率密度を表している。
【0035】
この実施形態では、
図6に示すように、11個の確率変数閾値z
1~z
11を用いて、分布全体が12のクラスCL
1~CL
12に分割されている。
図6には、11個の確率変数閾値z
1~z
11と、各クラスCL
1~CL
12の番号11~12と、分布全体の面積(以下「全体面積」という。)に対する各クラスに対応する部分の面積の比率[%]とが表示されている。
【0036】
以下において、確率変数最小値(-4.00)からあるクラスにおける確率変数下限値までの面積の全体面積に対する比率[%]から、確率変数最小値(-4.00)からそのクラスにおける確率変数上限値までの面積の全体面積に対する比率[%]までの範囲を、「確率範囲」ということにする。
図7は、各クラスの番号i(i=1,2,3,…,11,12)に対応する確率範囲および確率変数範囲を示している。
【0037】
確率変数閾値テーブル75には、
図8に示すように、11個の確率変数閾値z
1~z
11の値が記憶される。
仮想稼働時間記憶部76には、期間毎かつ型式毎かつ機番毎に、対象部位毎に算出された仮想稼働時間が記憶される。
サーバ制御部50は、CPUおよびメモリ(ROM、RAM等)51を備えたマイクロコンピュータを含む。サーバ制御部50は、情報取得部52と、仮想稼働時間算出部53と、仮想稼働時間提供部54とを含む。仮想稼働時間提供部54は、本発明の「出力画面生成部」の一例である。
【0038】
情報取得部52は、作業車両2から車両識別情報とともに時刻毎の位置情報および稼働情報を受信したときに、受信した時刻毎の位置情報および稼働情報を受信した車両識別情報に関連付けて車両側情報記憶部71に記憶する。
仮想稼働時間算出部53は、型式毎かつ作業車両2毎に、型式毎に設定された所定の1または複数の対象部位それぞれについて、所定期間内での仮想稼働時間を算出する。所定の型式に属する所定の複数の作業車両のうちの所定の1台の作業車両2に注目すると、仮想稼働時間算出部53は、当該型式の注目作業車両における所定の1または複数の対象部位それぞれについて、所定期間に対する仮想稼働時間を算出する。所定期間は、例えば、年単位の期間、月単位の期間である。
【0039】
仮想稼働時間算出部53は、動作状況情報算出部53Aと、基礎係数算出部53Bと、部位別係数算出部53Cと、部位別仮想稼働時間算出部53Dとを含む。以下においては、説明の便宜上、ある型式(注目型式)に属するある作業車両(注目作業車両)のある所定期間(注目期間)における対象部位について、仮想稼働時間を算出する場合について説明する。
【0040】
動作状況情報算出部53Aは、注目作業車両2を含む注目型式に属する複数の作業車両2の注目期間内の稼働情報に基づいて、注目型式に属する複数の作業車両毎に、所定の複数の動作状況情報(
図4参照)を算出する。
基礎係数算出部53Bは、注目型式に属する複数の作業車両毎に算出された複数の動作状況情報に基づいて、注目作業車両の動作状況情報毎に、当該動作状況情報と注目型式に属する複数の作業車両全体の動作状況情報とを比較することによって、注目作業車両の仮想稼働時間を算出するための複数種類の基礎係数(
図4参照)を算出する。
【0041】
この実施形態では、基礎係数算出部53Bは、注目作業車両の動作状況情報毎に、注目型式に属する複数の作業車両全体での当該動作状況情報の分布が正規分布に従うとみなして当該正規分布の分布域を複数にクラスに分割し、注目作業車両の動作状況情報が属するクラスを判定し、判定されたクラスに基づいて基礎係数を算出する。
部位別係数算出部53Cは、複数種類の基礎係数と、対象部位毎に予め設定された部位別係数算出式(
図5参照)とに基づいて、注目作業車両における対象部位毎の部位別係数を算出する。
【0042】
部位別仮想稼働時間算出部53Dは、注目作業車両の注目期間内の実稼働時間に、対象部位毎の部位別係数を乗算することにより、対象部位毎の仮想稼働時間を算出する。そして、部位別仮想稼働時間算出部53Dは、算出された対象部位毎の仮想稼働時間を、当該注目型式の当該注目作業車両の当該注目期間における対象部位毎の仮想稼働時間として、仮想稼働時間記憶部76に記憶する。
【0043】
仮想稼働時間提供部54は、サービス端末3から入力される条件に応じた仮想稼働時間を仮想稼働時間記憶部76から取得して、サービス端末3に提供する。これにより、サービス端末3の操作者は、必要な仮想稼働時間をサーバ4から取得してサービス端末3に表示させることができる。
図9は、仮想稼働時間算出部53によって実行される仮想稼働時間算出処理の手順を示すフローチャートである。
【0044】
ここでは、理解を容易にするために、注目型式に属する注目作業車両の注目期間における対象部位毎の仮想稼働時間を算出する場合について説明する。
仮想稼働時間算出部53内の動作状況情報算出部53Aは、注目型式に属する作業車両2毎に、稼働情報内のアワーメータ値に基づいて、注目期間での実稼働時間を算出する(ステップS1)。具体的には、動作状況情報算出部53Aは、注目型式に属する作業車両2毎に、注目期間内のアワーメータ値の最大値から最小値を減算することにより、注目期間内の実稼働時間を算出する。
【0045】
次に、動作状況情報算出部53Aは、注目型式に属する作業車両2毎に、稼働情報内の注目型式に応じた元情報(稼働情報)に基づいて、注目型式に応じた動作状況情報(
図4参照)を算出する(ステップS2)。
例えば、注目型式がYH1111であれば、
図10に示すように、ステップS1およびS2の処理により、型式YH1111に属するコンバイン2A
1,2A
2,…,2A
L毎に、注目期間での実稼働時間と型式YH1111に応じた動作状況情報が算出される。型式YH1111に応じた動作状況情報は、注目期間内でのオンオフ情報1の合計、注目期間内でのオンオフ情報2の合計、注目期間内でのアナログ情報1の平均および注目期間内でのアナログ情報2の平均である。
図10では、説明の便宜上、コンバイン2A
1,2A
2,…,2A
Lの機番を、それぞれ、2A
1,2A
2,…,2A
Lで表している。
【0046】
次に、仮想稼働時間算出部53内の基礎係数算出部53Bは、注目型式に対する各動作状況情報に対して、注目型式全体での平均μと標準偏差σを求めるための処理を行う(ステップS3~S5)。
具体的には、基礎係数算出部53Bは、まず、第1の算出対象除外処理を行う(ステップS3)。より具体的には、基礎係数算出部53Bは、注目型式に属する全ての作業車両2のうち、注目期間内での実稼働時間が所定時間以下である作業車両を、注目型式に対する全ての動作状況情報の平均・標準偏差の算出対象から除外する。
【0047】
次に、基礎係数算出部53Bは、第2の算出対象除外処理を行う(ステップS4)。具体的には、基礎係数算出部53Bは、注目型式に対する動作状況情報毎に、注目型式に属する全ての作業車両(ステップS3で算出対象外とされたものを除く)の当該動作状況情報を小さいものから順に並べる。そして、下位α%内の当該動作状況情報および上位β%内の当該動作状況情報を、当該動作状況情報の平均・標準偏差の算出対象から除外する。例えば、注目型式に属する車両が20台あり、αおよびβが共に10%とすると、ある動作状況情報に関して、下位2台の当該動作状況情報および上位2台の当該動作状況情報が、当該動作状況情報の平均・標準偏差の算出対象から除外される。
【0048】
そして、基礎係数算出部53Bは、注目型式に対する動作状況情報毎に、ステップS3およびステップS4で除外されなかった情報を対象として、注目型式に属する作業車両全体での平均μおよび標準偏差σを算出する(ステップS5)。
次に、基礎係数算出部53Bは、注目作業車両の動作状況情報毎に、ステップS5で算出された当該動作状況情報の平均μおよび標準偏差σと標準化式とを用いて、当該動作状況情報が属するクラスを判定し、その判定結果に応じた基礎係数を割り当てる(ステップS6)。
【0049】
注目作業車両のある動作状況情報(注目動作状況情報)が属するクラスを判定し、その判定結果に応じた基礎係数を注目動作状況情報に割り当てる場合について、具体的に説明する。基礎係数算出部53Bは、注目動作状況情報の平均μおよび標準偏差σと、確率変数閾値テーブル75(
図8参照)に記憶された確率変数閾値z
1~z
11とを用いて、注目動作状況情報をクラス分けするためのクラス分用閾値を算出する。
【0050】
注目動作状況情報をxとし、当該注目動作状況情報xに対応する動作状況情報の注目型式全体での平均および標準偏差をそれぞれμおよびσとすると、注目動作状況情報xを標準化するための式は次式(1)で表される。
z=x-μ/σ …(1)
この式(1)から、注目動作状況情報xをクラス分けするためのクラス分用閾値xiは、次式(2)で表される。
xi=σzi+μ …(2)
基礎係数算出部53Bは、確率変数閾値z1~z11を式(2)式に代入していくことにより、確率変数閾値z1~z11それぞれに対応するクラス分用閾値x1~x11を算出する。これにより、注目動作状況情報xを、クラス1~12にクラス分けするための11個のクラス分用閾値x1~x11が得られる。
【0051】
図11は、各クラスの番号に対応する確率範囲およびx値範囲を示す模式図である。
基礎係数算出部53Bは、クラス分用閾値x
1~x
11に基づいて、注目動作状況情報xがクラス1~12のうちのいずれに属するかを判別する。そして、基礎係数算出部53Bは、その判別結果に応じた基礎係数を、注目動作状況情報xに割り当てる。
具体的には、基礎係数算出部53Bは、次式(3)に基づいて、注目動作状況情報xに対する基礎係数kを求める。iは、注目動作状況情報xが属すると判別されたクラスのクラス番号である。μは、注目動作状況情報xに対応する動作状況情報の注目型式全体での平均である。
【0052】
If i=1 then k=k1=x1/μ
If i=2 then k=k2=x2/μ
If i=3 then k=k3=x3/μ
If i=4 then k=k4=x4/μ
If i=5 then k=k5=x5/μ
If i=6 then k=k6=x6/μ=1
If i=7 then k=k7=x6/μ=1
If i=8 then k=k8=x7/μ
If i=9 then k=k9=x8/μ
If i=10 then k=k10=x9/μ
If i=11 then k=k11=x10/μ
If i=12 then k=k12=x11/μ …(3)
部位別係数は、1より大きいほど当該対象部位が平均的な使い方に比べて過酷な使い方をされたことを意味し、1より小さいほど当該対象部位が平均的な使い方に比べて緩やかな使い方をされたことを意味する。
【0053】
図12に、型式がYH1111でかつ機番が2A
1のコンバイン2A
1の基礎係数A、B、CおよびDに対応する動作状況情報それぞれに対するクラス分結果の一例を示す。
図12では、クラス分結果の内容を理解しやすくするために、クラス分結果に対応する確率範囲を括弧書きしている。
図13は、型式がYH1111でかつ機番が2A
1のコンバイン2A
1の基礎係数A、B、CおよびDそれぞれに対して算出された基礎係数の一例を示す模式図である。
【0054】
次に、仮想稼働時間算出部53内の部位別係数算出部53Cは、注目作業車両の対象部位毎に部位別係数を算出する(ステップS7)。
具体的には、部位別係数算出部53Cは、ステップS6で算出された注目作業車両の動作状況情報毎に算出された基礎係数と、部位別係数算出式テーブル74(
図5参照)に記憶された部位別係数算出式とに基づいて、注目作業車両の対象部位毎に部位別係数を算出する。
【0055】
例えば、型式がYH1111でかつ機番が2A
1のコンバイン2A
1の基礎係数A、B、CおよびDが
図13に示すような係数である場合には、当該作業車両の各対象部位の部位別係数は、
図14に示すようになる。
次に、仮想稼働時間算出部53内の部位別仮想稼働時間算出部53Dは、注目作業車両の各対象部位に対する仮想稼働時間を算出し、算出した仮想稼働時間、それを算出するために用いた部位別係数および注目期間中の実稼働時間を、注目期間、注目型式および機番に関連付けて仮想稼働時間記憶部76に記憶する(ステップS8)。
【0056】
具体的には、部位別仮想稼働時間算出部53Dは、注目作業車両の対象部位毎に、ステップS1で算出された注目作業車両の実稼働時間hに、ステップS8で算出された当該対象部位の部位別係数を乗算することにより、部位別仮想稼働時間を算出する。
例えば、型式がYH1111でかつ機番が2A
1のコンバイン2A
1の部位別係数が
図14に示すような係数である場合には、当該作業車両の各対象部位の部位別仮想稼働時間は、
図15に示すようになる。
【0057】
以下、型式がコンバインの所定の型式である場合の部位テーブル72、基礎係数テーブル73および部位別係数算出式テーブル74の内容例について、より具体的に説明する。ここでは、所定の型式を、例えば、YH4444とする。
図16は、型式YH4444に対する部位テーブル72の具体的を示す模式図である。
図16の例では、型式YH4444に対して、脱穀部、刈取部、グレンタンク部(貯留部)、走行部、エンジン冷却系およびエンジン燃料系の6つの部位が、対象部位として設定されている。
【0058】
図17は、型式YH4444に対する基礎係数テーブル73の具体例を示す模式図である。
図17の例では、型式YH4444に対して、実稼働時間に対する脱穀クラッチオン時間積算値の比率[%]、実稼働時間に対する刈取クラッチオン時間積算値の比率[%]、実稼働時間に対するオーガクラッチオン時間積算値の比率[%]、エンジン負荷率平均値、排藁量平均値、車速平均値、水温平均値および燃料消費率平均値が、それぞれ8つの基礎係数A~Hを算出するための動作状況情報として設定されている。
【0059】
実稼働時間に対する脱穀、刈取およびオーガクラッチオン時間積算値の比率は、それぞれ所定期間における実稼働時間に対する、所定期間における脱穀、刈取およびオーガクラッチクラッチオン時間積算値の比率である。
8つの動作状況情報の元情報は、それぞれ、脱穀クラッチオンオフ情報、刈取クラッチオンオフ情報、オーガクラッチオンオフ情報、エンジン負荷率、排藁量、車速、水温および燃料消費率である。
【0060】
脱穀クラッチオンオフ情報、刈取クラッチオンオフ情報およびオーガクラッチオンオフ情報は、それぞれ脱穀クラッチ、刈取クラッチおよびオーガクラッチがオンされているかオフされているかを表す情報である。エンジン負荷率は、例えば、最大燃料噴射量および無負荷燃料噴射量間の偏差に対する、実際の燃料噴射量および無負荷燃料噴射量間の偏差の比率である。
【0061】
排藁量は、コンバインの排藁搬送装置によって搬送される所定時間当たりの排藁量である。車速は、コンバインの車速である。水温は、エンジン冷却水の温度である。燃料消費率は、所定時間当たりの燃料消費量である。
図18は、型式YH4444に対する部位別係数算出式テーブル74の具体例を示す模式図である。
【0062】
図18の例によると、脱穀部に対する部位別係数は、実稼働時間に対する脱穀クラッチオン時間積算値の比率に基づく基礎係数Aと、エンジン負荷率平均値に基づく基礎係数Dと、排藁量平均値に基づく基礎係数Eとの積となる。
刈取部に対する部位別係数は、実稼働時間に対する刈取クラッチオン時間積算値の比率に基づく基礎係数Bと、排藁量平均値に基づく基礎係数Eと、車速平均値に基づく基礎係数Fとの積となる。
【0063】
グレンタンク部に対する部位別係数は、実稼働時間に対するオーガクラッチオン時間積算値の比率に基づく基礎係数Cと、排藁量平均値に基づく基礎係数Eとの積となる。
走行部に対する部位別係数は、エンジン負荷率平均値に基づく基礎係数Dと、車速平均値に基づく基礎係数Fとの積となる。
エンジン冷却系に対する部位別係数は、水温平均値に基づく基礎係数Gとなる。
【0064】
エンジン燃料系に対する部位別係数は、燃料消費率平均値に基づく基礎係数Hとなる。
次に、サービス端末3の操作者(以下、端末操作者という)が、所定の型式の所定の機番の作業車両における各対象部位の仮想稼働時間を取得する場合の手順について説明する。
端末操作者は、サービス端末3を操作することにより、サーバ4が提供するWebサイトにアクセスして、Webページを取得する。そして、Webページ上でログインを行う。これにより、サービス端末3に、例えば
図19に示すような集計条件入力画面80が表示される。
【0065】
集計条件入力画面80には、例えば、型式入力部81、機番入力部82、出力年度入力部(期間入力部)83、比較用機番入力部84、OKボタン85および終了ボタン86が表示される。
端末操作者は、型式入力部81、機番入力部82および出力年度入力部83に、所望の型式(以下、目標型式という)、機番(以下、目標機番という)および出力年度(以下、目標出力年度という)を入力する。また、必要であれば、比較用機番入力部84に、目標機番と比較したい機番(以下、比較用機番という)を入力する。この後、OKボタン85をクリックする。これにより、端末操作者によって入力された集計条件がサーバ4に送信される。
【0066】
サーバ4の仮想稼働時間提供部54は、端末操作者によって入力された集計条件を受信すると、目標機番の目標出力年度における実稼働時間、部位別係数および部位別仮想時間を仮想稼働時間記憶部76から取得する。集計条件の中に比較用機番が含まれている場合には、仮想稼働時間提供部54は、比較用機番の目標出力年度における実稼働時間、部位別係数および部位別仮想時間を仮想稼働時間記憶部76から取得する。そして、仮想稼働時間提供部54は、例えば、
図20に示すような出力画面90を生成して、サービス端末3に提供する。これにより、サービス端末3に、出力画面90が表示される。なお、
図20は、目標型式が前述したYH1111であり、目標機番が2A
1であり、比較用機番が2A
2および2A
3である場合の出力画面例を示している。
【0067】
出力画面90には、目標機番および比較用機番毎に、型式、期間中の実稼働時間、部位別仮想時間が表示される。出力画面90により、端末操作者は、各対象部位について、実稼働時間に使用状況が加味された仮想稼働時間を認識することができるようになる。これにより、端末操作者は、各対象部品について、メンテナンス時期、部品交換時期等を適切に設定することが可能となる。
【0068】
なお、仮想稼働時間提供部54は、
図21に示すような出力画面100を表示するようにしてもよい。出力画面100は、第1グラフ101、第2グラフ102、戻るボタン103等を含む。なお、
図21は、目標型式が前述したYH4444であり、目標機番が999999である場合の出力画面例を示している。
第1グラフ101は、目標型式に対する基本係数が全て1である場合の平均的な部位別係数(=1)と、目標機番の目標出力年度における部位別係数とを比較するためのレーダチャートである。実線のグラフが平均的な部位別係数(=1)を表し、破線のグラフが目標機番の部位別係数を表している。第1グラフ101により、端末操作者は、各対象部品について、目標型式全体における平均的な使われ方に比べて、目標機番の使われ方が過酷であるか緩やかであったかを判断することが可能となる。これにより、端末操作者は、各対象部品について、メンテナンス時期、部品交換時期等を適切に設定することが可能となる。
【0069】
第2グラフ102は、目標機番の目標出力年度における実稼働時間および部位別仮想稼働時間を表す棒グラフである。第2グラフ102により、端末操作者は、各対象部品について、実稼働時間に使用状況が加味された仮想稼働時間を認識することができるようになる。これにより、端末操作者は、各対象部品について、メンテナンス時期、部品交換時期等を適切に設定することが可能となる。
【0070】
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。
前述の実施形態では、仮想稼働時間算出部53は、第1の算出対象除去処理(
図9AのステップS3)および第2の算出対象除去処理(
図9AのステップS4)を行った後に、動作状況情報の平均および標準偏差を算出している。しかし、仮想稼働時間算出部53は、第1の算出対象除去処理および第2の算出対象除去処理のうちのいずれか一方また両方を行うことなく、動作状況情報の平均および標準偏差を算出するようにしてもよい。
【0071】
[2]メンテナンス管理システムの構成
次に、本実施形態に係る作業機械のメンテナンス管理システム200(以下、単に「メンテナンス管理システム200」という)の構成について説明する。
【0072】
メンテナンス管理システム200は、複数の作業機械のうちのいずれかの作業機械を対象(対象作業機械)とし、対象作業機械のメンテナンスに係る管理を行うシステムである。ここで、メンテナンス管理システム200は、特にメンテナンス時期に関する情報を、メンテナンス情報として出力することで、対象作業機械のメンテナンスに係る管理を行う。そして、本実施形態では、メンテナンス管理システム200は、メンテナンス時期を求めるために、上述した仮想稼働時間算出装置(時間算出部202)で算出される仮想稼働時間を用いる。
【0073】
本開示でいう「作業機械」は、各種の作業用の機械を意味し、一例として、コンバイン2A、トラクタ2B及び田植機2C等の作業車両2である。つまり、作業機械は作業車両2を含む。作業機械は、コンバイン2A、トラクタ2B及び田植機2C等の「車両」に限らず、例えば、農薬散布用のドローン等の作業飛翔体等であってもよい。さらに、作業機械がエンジンを備えることも必須ではなく、作業機械は、例えば、動力源としてエンジンに代えてモーターを備えてもよい。
【0074】
また、本開示でいう「対象作業機械」は、このような作業機械の中でも、メンテナンス管理システム200によるメンテナンスの管理対象となる作業機械である。特に、本実施形態では、メンテナンス管理システム200は、上述した仮想稼働時間算出装置で算出される仮想稼働時間を用いてメンテナンス時期を求める。そのため、「[1]仮想稼働時間算出装置」の欄で説明した、ある作業車両(注目作業車両)に注目して仮想稼働時間を算出する場合の「注目作業車両」は、「対象作業機械」と同一である。そのため、以下では、作業機械及び対象作業機械についても、作業車両と同様の符号(2)を付して説明する。
【0075】
本開示でいう「メンテナンス」は、作業機械2についてサービス拠点(サービス店)等で行われる作業であって、一例として、機械類の整備、維持、保守、点検、調整、手入れ、清掃(掃除)、機能チェック、修理及び部品の交換等を含む。作業機械2を稼働していく上では、作業機械2について適切な時期に適切なメンテナンスを実施することが好ましい。そこで、本実施形態に係るメンテナンス管理システム200は、このようなメンテナンスを実施することを推奨し得る時期、又はメンテンナンスの実施が必須である時期等である「メンテナンス時期」に関するメンテナンス情報を、出力する。そのため、「[1]仮想稼働時間算出装置」の欄で説明した、部品交換時期等は「メンテナンス時期」に含まれる。
【0076】
また、本実施形態では、対象作業機械2等の作業機械2は、いずれも複数の管理単位を含んでいる。本開示でいう「管理単位」は、メンテナンス管理システム200によるメンテナンスの管理対象となる単位を意味し、例えば、作業機械2の部位(対象部位)でもよいし、部位を更に細分化した構成部品(対象部品)でもよい。一例として、作業機械2がコンバイン2Aである場合には、作業機械2は、エンジン、走行部、刈取部、脱穀部、グレンタンク部(貯留部)及び電装品といった6つの部位を含む。そのため、管理単位が部位であれば、コンバイン2Aからなる作業機械2は、上記6つの管理単位を含むことになる。
【0077】
本実施形態では一例として、対象作業機械2は、それぞれ1以上の構成部品を含む複数の部位を有している。管理単位と構成部品とは一対一に対応付けられている。言い換えれば、本実施形態では、「管理単位」は、「部位」を更に細分化した「構成部品」である。一例として、作業機械2がコンバイン2Aである場合には、その部位の1つである「走行部」は、クローラ、ベアリング、シール、部品A、部品B及び部品Cといった6つの構成部品を含んでいる。ただし、作業機械2に含まれる全ての部位が、複数の構成部品を含むことは必須ではなく、部位によっては1つの構成部品のみを含んでもよい。
【0078】
そして、本実施形態に係るメンテナンス管理システム200は、管理単位毎の仮想稼働時間を用いて、複数の管理単位のうちの少なくとも1つの管理単位についてのメンテナンス時期に関するメンテナンス情報を出力する。「管理単位毎の仮想稼働時間」は、一例として、「[1]仮想稼働時間算出装置」の欄で説明した、部位別仮想稼働時間算出部53Dで算出される「対象部位毎の仮想稼働時間」である。つまり、管理単位が部位(対象部位)である場合には、部位(対象部位)毎の仮想稼働時間が、管理単位毎の仮想稼働時間(部位別仮想時間)となる。
【0079】
本実施形態では、上述のように管理単位は構成部品であるので、メンテナンス時期に関するメンテナンス情報の出力には、構成部品毎の仮想稼働時間が用いられる。ただし、この場合において、2以上の構成部品間で同一(共通)の仮想稼働時間が用いられてもよい。すなわち、例えば、「エンジン」という部位に含まれる「ベルト」、「フィルター」、「部品A」及び「部品B」という4つの構成部品において、仮想稼働時間が共通であってもよい。要するに、管理単位毎の仮想稼働時間といえども、管理単位としての構成部品が属する部位については共通化されていてもよく、この場合、構成部品(管理単位)毎の仮想稼働時間は、部位毎の仮想稼働時間と同義になる。
【0080】
具体的には、本実施形態に係るメンテナンス管理システム200は、
図22に示すように、取得部201と、出力部203と、を備えている。取得部201は、複数の管理単位を含む対象作業機械2の実稼働時間を取得する。出力部203は、実稼働時間より導出される管理単位毎の仮想稼働時間を用いて、複数の管理単位のうちの少なくとも1つの管理単位についてのメンテナンス時期に関するメンテナンス情報を出力する。本実施形態では一例として、取得部201及び出力部203は、作業機械(作業車両)2及びサービス端末3の各々と通信可能なサーバ4に設けられている。
【0081】
この構成によれば、対象作業機械2の実稼働時間より導出される管理単位毎の仮想稼働時間を用いて、メンテナンス時期に関するメンテナンス情報が出力されるので、メンテナンス情報により、適切なメンテナンス時期(部品交換時期を含む)が認識可能となる。つまり、仮想稼働時間は、実稼働時間に、例えば、対象作業機械の使用状況が加味された時間であるので、実稼働時間を用いてメンテナンス情報が出力される場合に比較して、より適切な対象作業機械2のメンテナンス時期がメンテナンス情報に反映されやすくなる。しかも、メンテナンス情報は、複数の管理単位のうちの少なくとも1つの管理単位についてのメンテナンス時期に関する情報であるので、1台の対象作業機械2の中でも管理単位毎に区別して、メンテナンス時期を設定することが可能である。したがって、管理単位間の区別なく、対象作業機械2全体について単一のメンテナンス時期が示される場合に比べて、メンテナンス情報により、管理単位(部位等)毎に、より適切かつ正確なメンテナンス時期が認識可能となる。結果的に、本実施形態に係るメンテナンス管理システム200によれば、作業機械2の各部位のメンテナンス時期を正確に設定しやすい、という利点がある。
【0082】
しかも、本実施形態では、管理単位と構成部品とは一対一に対応付けられているので、1台の対象作業機械2の中でも構成部品毎に区別して、メンテナンス時期を設定することが可能である。したがって、メンテナンス管理システム200によれば、作業機械2の各構成部品のメンテナンス時期を正確に設定しやすくなる。
【0083】
本開示でいう「実稼働時間」は、対象作業機械が実際に稼働している時間であって、基本的には、対象作業機械にて実測される稼働時間である。一例として、実稼働時間は、「[1]仮想稼働時間算出装置」の欄で説明した、アワーメータ22で測定される、対象作業機械のエンジンがオンされてからオフされるまでの時間の積算値(総実稼働時間)、つまりアワーメータ値である。また、実稼働時間は、対象作業機械のエンジン以外の特定の部位(電装品等)が稼働している時間の積算値であってもよいし、対象作業機械の電源キーがオンされてからオフされるまでの時間の積算値であってもよい。さらに、対象作業機械の少なくとも1つの特定の部位(エンジン、走行部、刈取部、脱穀部、グレンタンク部又は電装品等)が稼働している時間の積算値が、実稼働時間であってもよい。
【0084】
本開示でいう「仮想稼働時間」は、実稼働時間より導出される、つまり取得部201にて取得される対象作業機械の実稼働時間から導き出される、対象作業機械における管理単位毎の仮想的な稼働時間である。要するに、仮想稼働時間は、実稼働時間より導かれる仮想的な時間であればよく、実稼働時間と同じであってもよいし異なっていてもよい。
【0085】
本実施形態では一例として、仮想稼働時間は、仮想稼働時間算出装置(時間算出部202)にて算出されることとするが、この例に限らず、適宜の手段で、実稼働時間より導出されればよい。例えば、管理単位毎に、実稼働時間と仮想稼働時間とがテーブル等の形式で予め対応付けられていれば、この対応関係を用いて、実稼働時間より仮想稼働時間を導出することは可能である。つまり、実稼働時間と仮想稼働時間との対応関係が既知であって記憶部64等に予め記憶されていれば、実稼働時間から、この実稼働時間に対応する仮想稼働時間を導出することが可能である。あるいは、対象作業機械についての基礎係数又は部位別係数等が記憶部64等に予め記憶されていれば、これらの係数を用いて、実稼働時間より仮想稼働時間を導出することは可能である。つまり、実稼働時間から仮想稼働時間を算出するための係数が既知であれば、実稼働時間に、これらの係数を乗算することで仮想稼働時間を導出することが可能である。
【0086】
また、以下の説明では、仮想稼働時間の算出に係る注目期間を、対象作業機械の使用開始時点を始点とする、対象作業機械の使用開始後の全期間とする。言い換えれば、注目期間内の実稼働時間及び仮想稼働時間は、いずれも対象作業機械の総稼働時間に相当し、アワーメータ22で測定されるアワーメータ値がそのまま、注目期間内の実稼働時間となる。
【0087】
以下、本実施形態に係るメンテナンス管理システム200の構成について、より詳細に説明する。
【0088】
メンテナンス管理システム200は、
図22に示すように、取得部201及び出力部203に加えて、時間算出部202を更に備えている。本実施形態では一例として、時間算出部202についても、取得部201及び出力部203と同様に、サーバ4に設けられている。言い換えれば、メンテナンス管理システム200は、サーバ4によって実現される。
図22では、サーバ4の構成要素としては、取得部201、時間算出部202及び出力部203に加えて、通信部61、操作表示部62、操作部63及び記憶部64のみを図示し、その他の構成要素の図示は省略する。同様に、
図22では、作業機械(作業車両)2の構成要素としては通信部24及び表示部25、サービス端末3の構成要素としてはディスプレイ42及び通信部44のみを図示し、その他の構成要素の図示は省略する。
【0089】
本実施形態では、取得部201は、サーバ制御部50における情報取得部52の一機能により具現化される。つまり、情報取得部52が、作業車両2から稼働情報を受信するときに、取得部201は、稼働情報に含まれるアワーメータ値により実稼働時間を取得する。より詳細には、対象作業機械(作業車両)2からは、車両識別情報と時刻毎の位置情報及び稼働情報とからなる車両側情報がサーバ4に送信されるので、取得部201は、稼働情報に含まれるアワーメータ値をもって、実稼働時間を取得する。
【0090】
また、本実施形態では、時間算出部202は、サーバ制御部50における仮想稼働時間算出部53の一機能により具現化される。つまり、仮想稼働時間算出部53が、注目作業車両の対象部位について仮想稼働時間を算出することで、時間算出部202は、対象作業機械(注目作業車両)2の管理単位毎の仮想稼働時間を算出する。厳密には、本実施形態では、「管理単位」は「構成部品」であるので、仮想稼働時間算出部53が、構成部品毎の仮想稼働時間を算出することで、時間算出部202は、対象作業機械2の管理単位(構成部品)毎の仮想稼働時間を算出することになる。これにより、メンテナンス管理システム200では、実稼働時間を取得することで、管理単位毎の仮想稼働時間を得ることが可能となる。
【0091】
また、本実施形態では、出力部203は、サーバ制御部50における仮想稼働時間提供部54の一機能により具現化される。つまり、仮想稼働時間提供部54が、サービス端末3から入力される条件に応じて出力画面を生成し、出力画面を表示させることで、出力部203は、メンテナンス時期に関するメンテナンス情報を出力する。要するに、本実施形態における出力部203は、メンテナンス情報を含む出力画面D1(
図26参照)等の画面を表示装置へ表示させる態様により、メンテナンス情報を出力する。メンテナンス情報を含む出力画面D1は、例えば、サービス端末3のディスプレイ42、サーバ4の操作表示部62又は作業機械2の表示部25等の表示装置に表示される。本開示でいう「画面」は、表示装置に映し出される像(画像、テキスト、グラフ及びアイコン等を含む)である。ただし、出力部203によるメンテナンス情報の出力の態様は、表示装置への表示に限らず、例えば、ランプの点灯状態、音(音声を含む)出力、印刷、記憶部64を含む記録媒体への書き込み、及び通信による外部端末への送信等を含む。
【0092】
出力部203は、
図22に示すように、生成部204を含んでいる。生成部204は、メンテナンス情報を生成し、更にはメンテナンス情報を含む出力画面D1等の生成を行う。つまり、生成部204は、実稼働時間より導出される管理単位毎の仮想稼働時間を用いて、複数の管理単位のうちの少なくとも1つの管理単位についてのメンテナンス時期に関するメンテナンス情報を生成する。ここで、生成部204がメンテナンス情報の生成に用いる管理単位毎の仮想稼働時間は、時間算出部202にて算出される構成部品毎の仮想稼働時間である。出力部203は、生成部204にて生成されるメンテナンス情報を出力する。
【0093】
出力部203は、
図22に示すように、生成部204を含んでいる。生成部204は、メンテナンス情報を生成し、更にはメンテナンス情報を含む出力画面D1等の画面の生成を行う。つまり、生成部204は、実稼働時間より導出される管理単位毎の仮想稼働時間を用いて、複数の管理単位のうちの少なくとも1つの管理単位についてのメンテナンス時期に関するメンテナンス情報を生成する。ここで、生成部204がメンテナンス情報の生成に用いる管理単位毎の仮想稼働時間は、時間算出部202にて算出される構成部品毎の仮想稼働時間である。出力部203は、生成部204にて生成されるメンテナンス情報を出力する。
【0094】
本実施形態では、メンテナンス管理システム200は、1以上のメモリ及び1以上のプロセッサを含むコンピュータシステム(ここではサーバ4)を主構成とする。すなわち、コンピュータシステムの1以上のメモリに記録されたプログラムを、1以上のプロセッサが実行することにより、メンテナンス管理システム200の各々の機能が実現される。プログラムはメモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0095】
[3]メンテナンス管理システムの動作
次に、本実施形態に係るメンテナンス管理システム200の動作について、
図23~
図29を参照して説明する。本実施形態に係る作業機械のメンテナンス管理方法は、一例として、メンテナンス管理システム200にて具現化される。そのため、以下に説明するメンテナンス管理システム200の動作は、作業機械のメンテナンス管理方法に相当する。また、本実施形態に係る作業機械のメンテナンス管理プログラムは、作業機械のメンテナンス管理方法を1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【0096】
まず、前提として、メンテナンス管理システム200は、メンテナンステーブルT1(
図23参照)及び参照元テーブルT2(
図24参照)を、サーバ4の記憶部64に予め記憶(格納)している。
【0097】
図23は、メンテナンステーブルT1の内容例を示す模式図である。メンテナンステーブルT1は、管理単位毎に、メンテナンス推奨稼働時間を表す情報である。このようなメンテナンステーブルT1は、作業機械2の型式毎に予め設定されている。本開示でいう「メンテナンス推奨稼働時間」は、メンテナンスを実施することが推奨される稼働時間である。したがって、標準的な作業機械2であれば、稼働時間(実稼働時間)がメンテナンス推奨稼働時間に到達した時点で、メンテナンスの実施が推奨される。特に、本実施形態では、メンテナンス推奨稼働時間は、実施が推奨されるメンテナンスの種類によって区別されている。一例として、部品(構成部品)の交換を伴わないメンテナンス(点検、調整又は清掃等)と、部品の交換を伴うメンテナンスと、の2種類のメンテナンスに対してそれぞれ、区別可能にメンテナンス推奨稼働時間が設定される。
【0098】
本実施形態では一例として、管理単位は部位を更に細分化した構成部品であるので、メンテナンステーブルT1では、メンテナンス推奨稼働時間が構成部品毎に設定されている。メンテナンステーブルT1等においては、「大分類」欄に部位を示し、「点検箇所」欄に構成部品を示している。つまり、メンテナンステーブルT1等では、メンテナンス推奨稼働時間は、部位ごとにグループ分けされた状態で、管理単位(構成部品)毎に設定されている。
図23の例では、メンテナンステーブルT1は、いわゆる星取表のように、管理単位(構成部品)毎に、「稼働時間」欄の該当する位置にマークが付された形式のテーブルである。つまり、メンテナンステーブルT1では、横軸を時間軸とする「稼働時間」欄のうち、メンテナンス推奨稼働時間に対応する位置に第1マークM1又は第2マークM2が付されることで、メンテナンス推奨稼働時間を表している。ここでは、丸印からなる第1マークM1が、部品の交換を伴わないメンテナンス(点検、調整又は清掃等)に係るメンテナンス推奨稼働時間を表し、三角印からなる第2マークM2が、部品の交換を伴うメンテナンスに係るメンテナンス推奨稼働時間を表す。
【0099】
図23の例では、対象作業機械2の属する型式に対しては、「エンジン」、「走行部」、「刈取部」、「脱穀部」、「グレンタンク部」及び「電装品」の6つの部位が対象部位(大分類)として設定されている。
図23等では、「刈取部」、「脱穀部」及び「グレンタンク部」の「部」を省略する。さらに、「エンジン」には、「ベルト」、「フィルター」、「部品A」及び「部品B」という4つの構成部品が、「走行部」には、「クローラ」、「ベアリング」、「シール」、「部品A」、「部品B」及び「部品C」という6つの構成部品がそれぞれ設定されている。「刈取部」には、「ベルト」、「チェーン」、「部品A」、「部品B」及び「部品C」という5つの構成部品が、「脱穀部」には、「ベルト」、「チェーン」、「部品A」、「部品B」及び「部品C」という5つの構成部品がそれぞれ設定されている。「グレンタンク部」には、「ベルト」、「部品A」及び「部品B」という3つの構成部品が、「電装品」には、「部品A」、「部品B」及び「部品C」という3つの構成部品がそれぞれ設定されている。
【0100】
このように、
図23の例では、6つの部位にグループ分けされた計26個の構成部品(管理単位)ごとに、メンテナンス推奨稼働時間が個別に設定されている。例えば、「エンジン」の「ベルト」という構成部品については、100h(時間)、200h、300h、400h、600h、700h及び800hの各々が、部品の交換を伴わないメンテナンスに係るメンテナンス推奨稼働時間として設定されている。同じく、「エンジン」の「ベルト」という構成部品については、500hが、部品の交換を伴うメンテナンスに係るメンテナンス推奨稼働時間として設定されている。また、例えば、「走行部」の「シール」という構成部品については、200h、400h及び800hの各々が、部品の交換を伴わないメンテナンスに係るメンテナンス推奨稼働時間として設定されている。同じく、「走行部」の「シール」という構成部品については、600hが、部品の交換を伴うメンテナンスに係るメンテナンス推奨稼働時間として設定されている。ここで、「部品A」及び「部品B」等、各部位内において構成部品を区別するための呼称であって、異なる部位間において関連性はない。例えば、エンジンの「部品A」と、走行部の「部品A」とは、同じ種類の構成部品であるとは限らない。
【0101】
図24は、参照元テーブルT2の内容例を示す模式図である。参照元テーブルT2は、管理単位毎に、メンテナンス時期を求める際の参照元を表す情報である。このような参照元テーブルT2は、作業機械2の型式毎に予め設定されている。本開示でいう「参照元」は、メンテナンス時期を表すメンテナンス情報を生成する際に用いる稼働時間であって、実稼働時間と仮想稼働時間とに大別される。さらに、仮想稼働時間については、管理単位毎の仮想稼働時間に分類される。本実施形態では、管理単位は構成部品であるものの、管理単位としての構成部品が属する部位については仮想稼働時間が共通化されており、言い換えれば、構成部品(管理単位)毎の仮想稼働時間は、部位毎の仮想稼働時間と同義になる。そのため、例えば、「エンジン」という部位に含まれる「ベルト」、「フィルター」、「部品A」及び「部品B」という4つの構成部品については、参照元は、いずれもエンジンの仮想稼働時間(
図24では「仮想稼働時間-エンジン」と表記)である。よって、これらの管理単位(構成部品)については、エンジンの仮想稼働時間が用いられる。
【0102】
一方で、「走行部」の「部品C」、「脱穀部」の「部品B」及び「部品C」、並びに「電装品」の「部品A」、「部品B」及び「部品C」の参照元は、実稼働時間である。そのため、これらの管理単位(構成部品)については、メンテナンス時期を求める際に、仮想稼働時間ではなく実稼働時間が用いられる。つまり、この例においては、「電装品」の仮想稼働時間は、メンテナンス時期を求めるためには用いられない。
【0103】
メンテナンス管理システム200は、上述したようなメンテナンステーブルT1及び参照元テーブルT2が準備されている、つまり記憶部64に記憶されている状態で、メンテナンス時期に関する情報をメンテナンス情報として出力するように動作する。すなわち、メンテナンス管理システム200は、まず取得部201にて対象作業機械2についての実稼働時間を取得し、この実稼働時間から仮想稼働時間を導出する。特に、本実施形態では、メンテナンス管理システム200は、実稼働時間に基づいて、仮想稼働時間算出装置(時間算出部202)にて、部位毎の仮想稼働時間を算出する。これにより、メンテナンス管理システム200では、対象作業機械2について、実稼働時間、部位別係数及び部位別仮想時間(つまり部位毎の仮想稼働時間)が得られる。
【0104】
このようにして得られる実稼働時間、部位別係数及び部位別仮想時間をまとめたのが、仮想時間テーブルT3(
図25参照)である。
図25は、仮想時間テーブルT3の内容例を示す模式図である。仮想時間テーブルT3は、部位(対象部位)毎に、係数(部位別係数)及び仮想稼働時間(部位別仮想時間)を表す情報である。このような仮想時間テーブルT3は、仮想稼働時間算出装置(時間算出部202)にて生成される。
【0105】
より詳細には、時間算出部202は、対象作業機械(注目作業車両)2を含む注目型式に属する複数の作業機械2の注目期間内の稼働情報に基づいて、注目型式に属する複数の作業機械2毎に、複数の動作状況情報を算出する。時間算出部202は、注目型式に属する複数の作業機械2毎に算出された複数の動作状況情報に基づいて、対象作業機械2の動作状況情報毎に、当該動作状況情報と注目型式に属する複数の作業機械2全体の動作状況情報とを比較することによって、対象作業機械2の仮想稼働時間を算出するための複数種類の基礎係数を算出する。ここで、時間算出部202は、対象作業機械2の動作状況情報毎に、注目型式に属する複数の作業機械2全体での当該動作状況情報の分布が正規分布に従うとみなして当該正規分布の分布域を複数にクラスに分割し、対象作業機械2の動作状況情報が属するクラスを判定し、判定されたクラスに基づいて基礎係数を算出する。そして、時間算出部202は、複数種類の基礎係数と、対象部位毎に予め設定された部位別係数算出式とに基づいて、対象作業機械2における対象部位毎の部位別係数を算出する。時間算出部202は、実稼働時間に、対象部位毎の部位別係数を乗算することにより、対象部位毎の仮想稼働時間を算出する。
【0106】
要するに、時間算出部202は、参照情報と対象作業機械2の動作状況に関する対象情報との比較結果、及び対象作業機械2の実稼働時間に基づいて、対象作業機械2の管理単位毎の仮想稼働時間を算出する。ここで、参照情報は、対象作業機械2と共通の属性を有する複数の作業機械2の動作状況に関する情報である。つまり、時間算出部202は、注目型式に属する複数の作業機械2全体の動作状況情報を参照情報として、この参照情報を、対象作業機械2の動作状況情報(対象情報)とを比較する。そして、時間算出部202は、これら参照情報と対象情報との比較結果、及び対象作業機械2の実稼働時間を用いて、対象作業機械2の部位毎の仮想稼働時間を算出する。これにより、同一型式の作業機械2に比べて対象作業機械2の動作状況がどうであったかという事情に基づいて、管理単位毎の仮想稼働時間が算出されるので、管理単位毎の仮想稼働時間の算出精度が向上する。
【0107】
しかも、本実施形態では、参照情報と対象情報との比較結果は、参照情報としての複数の作業機械2の動作状況の分布に対する、対象情報としての対象作業機械2の動作状況の関係性を含む。要するに、同一型式の正規分布の中での対象作業機械2の位置付けに基づいて管理単位毎の仮想稼働時間が算出されるので、同一型式の平均的な作業機械2に対する対象作業機械2の動作状況の相対的な評価が正確になされる。結果的に、管理単位毎の仮想稼働時間の算出精度がより向上する。
【0108】
図25の例では、「エンジン」、「走行部」、「刈取部」、「脱穀部」及び「グレンタンク部」の5つの部位の各々についての係数(部位別係数)及び仮想稼働時間(部位別仮想時間)が、仮想時間テーブルT3として表されている。本実施形態では、「電装品」の仮想稼働時間はメンテナンス時期を求めるために用いられないため、少なくとも、「電装品」を除く上記5つの部位についての仮想稼働時間(部位別仮想時間)が時間算出部202にて算出される。例えば、実稼働時間が400hである場合に、エンジンの係数は「1」で仮想稼働時間は400hとなり、走行部及び刈取部の係数は「0.8」で仮想稼働時間は320hとなる。一方、脱穀部の係数は「1.2」で仮想稼働時間は480hとなり、グレンタンク部の係数は「0.6」で仮想稼働時間は240hとなる。
【0109】
仮想稼働時間が導出されれば、次に、メンテナンス管理システム200は、生成部204にて、管理単位毎の仮想稼働時間を用いて、複数の管理単位のうちの少なくとも1つの管理単位についてのメンテナンス時期に関するメンテナンス情報を生成する。本実施形態では、生成部204は、管理単位毎の仮想稼働時間に係る情報を、メンテナンステーブルT1(
図23参照)と照らし合わせることによって、メンテナンス情報を生成する。例えば、生成部204は、
図26に例示するように、メンテナンス情報を含む出力画面D1を生成する。
【0110】
図26の例では、出力画面D1は、管理単位毎の仮想稼働時間を表すグラフG1を、メンテナンステーブルT1における「稼働時間」欄のメンテナンス推奨稼働時間(第1マークM1及び第2マークM2)に重畳させた画面である。例えば、「エンジン」の各構成部品については、「稼働時間」欄に、エンジンの仮想稼働時間である「400h」を表すグラフG1がそれぞれ重畳される。同様に、「刈取部」の各構成部品については、「稼働時間」欄に、刈取部の仮想稼働時間である「320h」を表すグラフG1がそれぞれ重畳される。
【0111】
ただし、このときに用いられる稼働時間は、管理単位(構成部品)毎に参照元として、参照元テーブルT2(
図24)にて規定されているのであって、全ての管理単位について仮想稼働時間が適用されるわけではない。例えば、「脱穀部」の「部品B」及び「部品C」等のように、参照元が実稼働時間である管理単位については、仮想稼働時間ではなく実稼働時間が用いられる。そのため、出力画面D1においても、「脱穀部」の「部品B」及び「部品C」等のように、参照元が実稼働時間である管理単位については、実稼働時間を表すグラフG2が、メンテナンステーブルT1に重畳される。ここでは、グラフG1及びグラフG2は、いずれもメンテナンステーブルT1の「稼働時間」欄の時間軸(横軸)と同一スケールの棒グラフであって、基端部(左端部)に、値(時間)を表す数値(数字)を有する。さらに、上記出力画面D1では、仮想稼働時間を表すグラフG1と実稼働時間を表すグラフG2とを区別なく表示している。
【0112】
このような出力画面D1は、管理単位毎に、グラフG1又はグラフG2によってメンテナンス時期を表している。つまり、メンテナンステーブルT1においてメンテナンス推奨稼働時間を表す第1マークM1及び第2マークM2に、重畳するグラフG1又はグラフG2によって、管理単位毎のメンテナンス時期が表される。例えば、「エンジン」の「ベルト」であれば、仮想稼働時間(400h)を表すグラフG1の先端部(右端部)が、400hに設定された第1マークM1に重畳するので、このグラフG1をもって、部品の交換を伴わないメンテナンス時期の到来が表される。また、「刈取部」の「部品A」であれば、仮想稼働時間(320h)を表すグラフG1の先端部が、300hに設定された第2マークM2に重畳するので、このグラフG1をもって、部品の交換を伴うメンテナンス時期の到来が表される。また、「走行部」の「部品C」であれば、実稼働時間(400h)を表すグラフG2の先端部が、400hに設定された第2マークM2に重畳するので、このグラフG2をもって、部品の交換を伴うメンテナンス時期の到来が表される。つまり、出力画面D1は、メンテナンス時期に関するメンテナンス情報を含んでいる。
【0113】
出力部203は、出力画面D1を生成部204にて生成すると、出力画面D1を、例えば、サービス端末3のディスプレイ42、サーバ4の操作表示部62又は作業機械2の表示部25等の表示装置に表示される。サービス端末3のディスプレイ42に表示される出力画面D1により、端末操作者は、各管理単位(構成部品)について、実稼働時間に使用状況が加味された仮想稼働時間による、メンテナンス推奨稼働時間との対比が容易になる。その結果、端末操作者は、各構成部品について、メンテナンス時期を適切に認識することが可能となる。ただし、
図26等において、出力画面中に示す引出線及び参照符号等は説明のために付しているのであって、表示装置に表示させるわけではない。
【0114】
要するに、本実施形態では、メンテナンス情報は、実稼働時間の代わりに仮想稼働時間を用いてメンテナンス時期を表す情報である。例えば、上記出力画面D1では、「刈取部」の各構成部品等、参照元が仮想稼働時間である管理単位については、実稼働時間に代えて、仮想稼働時間を表すグラフG1によってメンテナンス時期が表されている。したがって、このようなメンテナンス情報(を含む出力画面D1)によれば、各構成部品について、実稼働時間に使用状況が加味された仮想稼働時間にて、メンテナンス時期を適切に認識することが可能となる。
【0115】
また、本実施形態では、メンテナンス情報は、少なくとも1つの管理単位について、メンテナンス推奨稼働時間と仮想稼働時間との相対関係を表す情報を含んでいる。出力部203は、少なくとも上記相対関係を表示装置に表示可能な態様で出力する。例えば、上記出力画面D1においては、メンテナンステーブルT1のメンテナンス推奨稼働時間に、仮想稼働時間を表すグラフG1を重畳させることで、メンテナンス推奨稼働時間と仮想稼働時間との相対関係を表している。したがって、このようなメンテナンス情報(を含む出力画面D1)によれば、各構成部品について、メンテナンス時期を適切に認識することが可能となる。
【0116】
さらに、本実施形態では、出力部203は、メンテナンス推奨稼働時間と仮想稼働時間とを一覧表示する。例えば、上記出力画面D1においては、仮想稼働時間を表すグラフG1が、メンテナンステーブルT1のメンテナンス推奨稼働時間に重畳されることで、メンテナンス推奨稼働時間と仮想稼働時間とが一覧表示される。したがって、このようなメンテナンス情報(を含む出力画面D1)によれば、メンテナンス推奨稼働時間と仮想稼働時間とを見比べやすく、各構成部品について、メンテナンス時期をより適切に認識しやすくなる。
【0117】
また、本実施形態では、出力部203は、
図26の出力画面D1に代えて、
図27に示すような出力画面D2を、表示装置に表示させることもできる。
図27の例では、出力画面D2は、
図26の出力画面D1に加えて、「実施が必要な作業」欄を有している。「実施が必要な作業」欄には、管理単位毎に、メンテナンス時期の到来が検知されるメンテナンスの内容が表示される。メンテナンス時期が到来しているか否かの検知は、仮想稼働時間を表すグラフG1又は実稼働時間を表すグラフG2と、メンテナンステーブルT1におけるメンテナンス推奨稼働時間との対比によって実現される。ここで、仮想稼働時間又は実稼働時間の時点から過去に遡って最も近い位置にメンテナンス推奨稼働時間があるメンテナンス、つまり最新のメンテナンスについて、メンテナンス時期が到来していると判断される。該当するメンテナンスが存在しない場合には、「実施が必要な作業」欄は「-」の表記となる。
【0118】
例えば、「エンジン」の「ベルト」であれば、部品の交換を伴わないメンテナンスの時期が到来しているため、該当するメンテナンスの内容(点検・整備・掃除)が「実施が必要な作業」欄に表示される。また、「走行部」の「部品C」であれば、部品の交換を伴うメンテナンスの時期が到来しているため、該当するメンテナンスの内容(交換)が「実施が必要な作業」欄に表示される。
図27においては、メンテナンス時期の到来が検知されたメンテナンスに係るマーク(第1マークM1又は第2マークM2)を一点鎖線で囲んでいるが、実際の出力画面D2では、この一点鎖線のようにマークを強調表示してもよいし、強調表示しなくてもよい。
図27に示すような出力画面D2によれば、各構成部品について、メンテナンス時期をより適切に認識しやすくなる。
【0119】
また、本実施形態では、出力部203は、
図26の出力画面D1に代えて、
図28に示すような出力画面D3を、表示装置に表示させることもできる。
図28の例では、出力画面D3は、
図26の出力画面D1に加えて、「次回点検時期」欄、「次回部品交換時期」欄、「係数」欄及び「実稼働時間相当」欄を有している。「次回点検時期」欄には、管理単位毎に、部品の交換を伴わないメンテナンスについて、次回のメンテナンスの推奨タイミングが表示される。「次回部品交換時期」欄には、管理単位毎に、部品の交換を伴うメンテナンスについて、次回のメンテナンスの推奨タイミングが表示される。「係数」欄には、管理単位毎に、メンテナンス時期を求める際の参照元に係る係数(部位別係数)が表示される。参照元が実稼働時間である場合には、「係数」欄は「-」の表記となる。「実稼働時間相当」欄には、次回のメンテナンスの推奨タイミングまでの時間を、実稼働時間に換算した値が表示される。「実稼働時間相当」欄は、「次回点検時期」に対応する「次回点検までの時間」欄と、「次回部品交換時期」に対応する「次回部品交換までの時間」欄と、に分割される。
【0120】
本開示でいう「次回のメンテナンス」は、参照元である仮想稼働時間又は実稼働時間を基準時点としたときに、基準時点とメンテナンステーブルT1中のメンテナンス推奨稼働時間との相対関係から求められる。例えば、メンテナンス推奨稼働時間が基準時点以降であって、かつ最初に到来する(つまり基準時点に最も近い)メンテナンスが、次回のメンテナンスとなる。ここでは一例として、「次回点検時期」欄及び「次回部品交換時期」欄に表示される次回のメンテナンスの推奨タイミングは、メンテナンステーブルT1中のメンテナンス推奨稼働時間をもって表される。例えば、「走行部」の「部品C」であれば、「次回点検時期」は、第1マークM1に相当する「500h」であって、「次回部品交換時期」は、第2マークM2に相当する「600h」である。
【0121】
「係数」欄には、参照元テーブルT2及び仮想時間テーブルT3を参照することで、管理単位毎に、参照元に係る係数(部位別係数)が表示される。ただし、「係数」欄に表示される係数は、管理単位毎に、仮想稼働時間を実稼働時間で除算することで算出されてもよい。
【0122】
また、「実稼働時間相当」欄に表示される次回のメンテナンスの推奨タイミングまでの時間は、「次回のメンテナンス」に係るメンテナンス推奨稼働時間と基準時点との差分をもって表される。ただし、メンテナンス推奨稼働時間と基準時点との単なる差分であれば、仮想稼働時間と実稼働時間とが混在することになるため、当該差分を、「係数」欄の係数を用いて実稼働時間に換算した値が「実稼働時間相当」欄に表示される。例えば、「走行部」の「部品C」であれば、次回点検時期(500h)と、基準時点である仮想稼働時間(320h)との差分(180h)を、係数(0.8)で除した値(225h)が、「次回点検までの時間」となる。
【0123】
すなわち、本実施形態では、メンテナンス情報は、少なくとも1つの管理単位について、次回のメンテナンスの推奨タイミングを表す情報を含んでいる。次回のメンテナンスの推奨タイミングを表す情報には、上記「次回点検時期」欄、「次回部品交換時期」欄及び「実稼働時間相当」欄の表示が該当する。また、次回のメンテナンスの推奨タイミングの表記については、「実稼働時間相当」欄のメンテナンスの推奨タイミングまでの時間(残り時間)に限らず、次回のメンテナンスの推奨タイミングの到来が予想される日付(X月Y日)等であってもよい。このように、
図28に示すような出力画面D3によれば、各構成部品について、実稼働時間で後何時間経過すればメンテナンスが必要になるかを表すことができ、次回のメンテナンスまでの時間についても適切に認識しやすくなる。
【0124】
また、本実施形態では、推奨タイミングは、実稼働時間により表される。つまり、上記「実稼働時間相当」欄のように、次回のメンテナンスの推奨タイミングは、実稼働時間に換算して表される。これにより、各構成部品について、次回のメンテナンスまでの時間についてより適切に認識しやすくなる。
【0125】
出力画面D1,D2,D3のいずれを表示させるかは、任意に選択できてもよい。例えば、出力画面D1,D2,D3を閲覧する端末操作者等の操作により、出力画面D1,D2,D3の切り替えができてもよい。もちろん、
図26に示す出力画面D1からでも、端末操作者等は、実施が必要な作業を認識することは可能である。同様に、
図26に示す出力画面D1からでも、端末操作者等は、次回のメンテナンスまでの時間を認識することは可能である。
【0126】
以下、
図29を参照しつつ、メンテナンス管理システム200(サーバ4)によって具現化される作業機械2のメンテナンス管理方法の一例について説明する。例えば、メンテナンス管理方法は、サービス端末3、作業機械2又はサーバ4に対する所定のユーザ(端末操作者を含む)の操作に応じて開始される。あるいは、メンテナンス管理方法は、定期的に開始されてもよい。
【0127】
ステップS11において、メンテナンス管理システム200(サーバ4)は、取得部201にて、対象作業機械2の実稼働時間を取得する。具体的には、取得部201は、対象作業機械2から、稼働情報を含む車両側情報を受信し、稼働情報に含まれるアワーメータ値をもって、実稼働時間を取得する。
【0128】
ステップS12において、メンテナンス管理システム200(サーバ4)は、時間算出部202にて、実稼働時間に基づいて、対象作業機械2の仮想稼働時間を算出する。このとき、時間算出部202は、部位毎の仮想稼働時間を算出する。
【0129】
ステップS13において、メンテナンス管理システム200(サーバ4)は、出力部203(生成部204)にて、算出された対象作業機械2の仮想稼働時間を、メンテナンステーブルT1に重畳する。このとき、生成部204は、管理単位毎の仮想稼働時間を表すグラフG1を、メンテナンステーブルT1に重畳させることにより、出力画面D1を生成する。
【0130】
ステップS14において、メンテナンス管理システム200(サーバ4)は、出力部203(生成部204)にて、要実施作業の有無を判断する。ここでいう「要実施作業」は、メンテナンス時期の到来が検知されるメンテナンスを意味し、
図27の出力画面D2の「実施が必要な作業」欄に表示される情報に相当する。つまり、生成部204は、仮想稼働時間を表すグラフG1又は実稼働時間を表すグラフG2と、メンテナンステーブルT1におけるメンテナンス推奨稼働時間との対比によって、要実施作業(メンテナンス時期の到来が検知されるメンテナンス)の有無を判断する。
【0131】
ステップS14において、要実施作業が有ると判断された場合(S14:Yes)、処理はステップS15に移行する。一方、要実施作業が無いと判断された場合(S14:No)、処理はステップS16に移行する。
【0132】
ステップS15では、メンテナンス管理システム200(サーバ4)は、出力部203(生成部204)にて、管理単位毎に要実施作業の抽出を行う。つまり、ステップS14において要実施作業と判断されたメンテナンスについて、生成部204は、このメンテナンスの内容及び管理単位の抽出を行う。
【0133】
ステップS16では、メンテナンス管理システム200(サーバ4)は、出力部203(生成部204)にて、次回のメンテナンスまでの時間を算出する。ここでいう「次回のメンテナンスまでの時間」は、次回のメンテナンスの推奨タイミングまでの時間(残り時間)を意味し、
図28の出力画面D3の「実稼働時間相当」欄に表示される情報に相当する。つまり、生成部204は、「次回のメンテナンス」に係るメンテナンス推奨稼働時間と基準時点との差分をもって、次回のメンテナンスまでの時間を算出する。
【0134】
ステップS17においては、メンテナンス管理システム200(サーバ4)は、出力部203(生成部204)にて、ステップS16で算出された次回のメンテナンスまでの時間を、実稼働時間に換算する。具体的には、生成部204は、管理部位毎に、次回のメンテナンスの推奨タイミングと基準時点である仮想稼働時間との差分を、参照元に係る係数(部位別係数)にて除算することで、実稼働時間に換算する。
【0135】
ステップS18においては、メンテナンス管理システム200(サーバ4)は、出力部203にて、メンテナンス時期に関するメンテナンス情報を出力する。例えば、出力部203は、出力画面D1,D2,D3のいずれかを、サービス端末3のディスプレイ42、サーバ4の操作表示部62又は作業機械2の表示部25等の表示装置に表示させることにより、メンテナンス情報を出力する。
【0136】
以上説明したメンテナンス管理方法の手順は一例に過ぎず、
図29のフローチャートに示す処理の順番が適宜入れ替わってもよい。
【0137】
[4]変形例
以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0138】
本開示におけるメンテナンス管理システム200は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示におけるメンテナンス管理システム200としての機能が実現される。言い換えれば、作業機械2のメンテナンス管理プログラムは、上述した作業機械2のメンテナンス管理方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0139】
また、メンテナンス管理システム200の少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていることはメンテナンス管理システム200に必須の構成ではなく、メンテナンス管理システム200の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。例えば、メンテナンス管理システム200のうちの出力部203は、取得部201とは別の筐体に設けられていてもよい。さらに、メンテナンス管理システム200の少なくとも一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。反対に、メンテナンス管理システム200の複数の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。
【0140】
また、出力部203は、「要実施作業」又は「次回のメンテナンスまでの時間」等の情報を、出力画面D2,D3として表示する態様に限らず、他の態様で「要実施作業」又は「次回のメンテナンスまでの時間」等を報知してもよい。一例として、出力部203は、内部処理として「要実施作業」を求め、要実施作業がある場合に、該当する対象作業機械2にて、ランプの点灯状態又は音(音声を含む)出力にて、ユーザに直接的に通知してもよい。同様に、出力部203は、内部処理として「次回のメンテナンスまでの時間」を求め、該当する対象作業機械2にて、ランプの点灯状態又は音(音声を含む)出力にて、ユーザに直接的に「次回のメンテナンスまでの時間」を通知してもよい。
【0141】
(実施形態2)
本実施形態に係るメンテナンス管理システム200は、出力部203が、仮想稼働時間に加えて、対象作業機械2のメンテナンス履歴を用いて、メンテナンス情報を出力する点で、実施形態1に係るメンテナンス管理システム200と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0142】
本開示でいう「メンテナンス履歴」は、対象作業機械2について、実際にメンテナンスが行われた記録(ログ)としての情報であって、一例として、メンテナンスを実施するサービス拠点(サービス店)等で登録(記録)される。メンテナンス履歴は、人が手動で登録してもよいし、メンテナンスの実施に伴って自動的に登録されてもよい。メンテナンス履歴は、作業機械毎かつ管理単位毎に、実施済みのメンテナンスの内容及びメンテナンスの実施タイミング等の情報を含んでいる。メンテナンスの実施タイミングについては、一例として、実稼働時間にて表される。
【0143】
具体的には、本実施形態では、出力部203は、
図27の出力画面D2に代えて、
図30に示すような出力画面D4を、表示装置に表示させる。
図30の例では、出力画面D4は、
図27の出力画面D2に加えて、第3マークM3、「部品交換履歴(実稼働時間)」欄及び「部品交換履歴(実稼働時間)」欄を有している。
【0144】
第3マークM3は、メンテナンス履歴を表すマークである。出力画面D4では、メンテナンステーブルT1の横軸を時間軸とする「稼働時間」欄のうち、メンテナンスを実施した実稼働時間に対応する位置に第3マークM3が付されることで、メンテナンス履歴を表している。本実施形態では一例として、第3マークM3は、星印からなり、部品の交換を伴うメンテナンスの履歴のみを表している。例えば、「エンジン」の「フィルター」であれば、350h(実稼働時間)で部品の交換を伴うメンテナンスが実施されているので、350hの位置に第3マークM3が付されている。また、「刈取部」の「ベルト」であれば、300h(実稼働時間)で部品の交換を伴うメンテナンスが実施されているので、300hの位置に第3マークM3が付されている。このように、メンテナンス履歴がメンテナンス情報(出力画面D4)に含まれることで、メンテナンス時期の到来が検知されても、既にメンテナンスが実施済みか否かを踏まえてメンテナンスの必要性を認識しやすくなる。
【0145】
「部品交換履歴(実稼働時間)」欄には、管理単位毎に、部品の交換を伴う実施済みのメンテナンスの実施タイミングが、実稼働時間にて表示されてる。「部品交換履歴(仮想稼働時間)」欄には、管理単位毎に、部品の交換を伴う実施済みのメンテナンスの実施タイミングが、仮想稼働時間にて表示されてる。つまり、「部品交換履歴(実稼働時間)」欄に表示される時間は、第3マークM3が付された時間と等しい。一方、「部品交換履歴(仮想稼働時間)」欄に表示される時間は、「部品交換履歴(実稼働時間)」欄に表示される時間を、仮想稼働時間に換算した値である。つまり、「部品交換履歴(実稼働時間)」欄に表示される時間に、係数(部位別係数)を乗じた時間が、「部品交換履歴(仮想稼働時間)」欄に表示される。例えば、「エンジン」の「フィルター」であれば、メンテナンスの実施タイミング(350h)に係数(1.0)を乗じた値(350h)が、「部品交換履歴(仮想稼働時間)」となる。また、「刈取部」の「ベルト」であれば、メンテナンスの実施タイミング(300h)に係数(0.8)を乗じた値(240h)が、「部品交換履歴(仮想稼働時間)」となる。
【0146】
また、出力画面D4における「実施が必要な作業」欄の表示内容は、メンテナンス履歴に基づいて決定される。つまり、メンテナンス時期の到来が検知されるメンテナンスであっても、既に実施済みのメンテナンスであれば、改めてメンテナンスを実施する必要がないため、「実施が必要な作業」欄から除外される。具体的には、管理単位毎に、参照元である仮想稼働時間又は実稼働時間を基準時点としたときに、基準時点とメンテナンス履歴中のメンテナンスの実施タイミングとの差分を求め、当該差分に基づいて「実施が必要な作業」欄から除外するか否かが決定される。より詳細には、メンテナンス管理システム200は、当該差分と、該当するメンテナンスのインターバルとを比較することで、「実施が必要な作業」欄から除外するか否かを決定する。ここでいうメンテナンスのインターバルは、メンテナンステーブルT1において、当該メンテナンスのインターバルとして予め設定されている時間である。そして、差分がインターバル未満であれば、当該メンテナンスは「実施が必要な作業」欄から除外される。
【0147】
例えば、「エンジン」の「フィルター」であれば、仮想稼働時間である基準時点(400h)と、「部品交換履歴(仮想稼働時間)」である350hとの差分(50h)は、インターバルである400h未満である。そのため、「エンジン」の「フィルター」については、部品の交換は「実施が必要な作業」欄から除外され、「実施が必要な作業」欄の表示が「点検・調整・掃除」に変更される。一方、「エンジン」の「部品B」であれば、仮想稼働時間である基準時点(400h)と、「部品交換履歴(仮想稼働時間)」である0hとの差分(400h)は、インターバルである300h以上である。そのため、「エンジン」の「部品B」については、部品の交換が「実施が必要な作業」欄に追加され、「実施が必要な作業」欄の表示が「交換」に変更される。また、「刈取部」の「部品C」であれば、仮想稼働時間である基準時点(320h)と、「部品交換履歴(仮想稼働時間)」である200hとの差分(120h)は、インターバルである300h未満である。そのため、「刈取部」の「部品C」については、部品の交換は「実施が必要な作業」欄から除外され、「実施が必要な作業」欄の表示が「点検・調整・掃除」に変更される。
【0148】
このように、本実施形態では、出力部203は、メンテナンス履歴とメンテナンス時期との同一時間軸上での比較結果に基づいて、メンテナンス情報を出力する。要するに、上述したように、メンテナンス履歴(部品交換履歴)とメンテナンス時期(基準時点)とを、いずれも仮想稼働時間同士で比較することにより、同一時間軸上での比較となり、より正確なメンテナンス情報を得ることができる。「刈取部」の「部品C」のように、参照元が「実稼働時間」である管理単位については、メンテナンス履歴とメンテナンス時期とを、いずれも実稼働時間同士で比較することにより、同一時間軸上での比較となる。
【0149】
実施形態2で説明した種々の構成は、実施形態1で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
【符号の説明】
【0150】
2 対象作業機械、作業機械
25 表示部(表示装置)
42 ディスプレイ(表示装置)
62 操作表示部(表示装置)
200 メンテナンス管理システム
201 取得部
202 時間算出部
203 出力部