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特許7506545画像読取装置及び読取パラメータ制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】画像読取装置及び読取パラメータ制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240619BHJP
【FI】
H04N1/00 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020120766
(22)【出願日】2020-07-14
(65)【公開番号】P2022017918
(43)【公開日】2022-01-26
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西川 峻成
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-117969(JP,A)
【文献】特開2015-041860(JP,A)
【文献】特開2003-264729(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0168452(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/32-1/36
H04N 1/42-1/44
G06T 1/00
G06T 1/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の画像を読み取るイメージセンサと、
前記画像の画像データを無線接続先へ転送する無線通信モジュールと、
前記無線通信モジュールと前記無線接続先との間の現在の通信実行速度である第一速度に基づいて、前記イメージセンサが前記画像を読み取る際の読取パラメータを制御するプロセッサと、
を具備し、
前記プロセッサは、
前記第一速度と、前記画像の画質を低下させることなく前記画像データを前記無線接続先へ転送するのに必要な通信速度である第二速度とを比較し、
前記第一速度が前記第二速度以上であるときは、前記画質が維持される第一読取モードを選択し、
前記第一速度が前記第二速度未満であるときは、前記画質よりも前記画像データの通信速度が優先される第二読取モードを選択し、
前記第二読取モードを選択したときに、前記第一速度が前記第二速度未満であり、かつ、ユーザによって設定された解像度が、前記画像の色彩の種別を示すモードであるカラーモード毎に複数の読取パラメータと複数の解像度との対応付けが設定されたカラーパラメータテーブルにおいて下限の解像度に対応する読取パラメータでないときは、前記カラーパラメータテーブルにおいて解像度を一段階だけ下げた読取パラメータに変更する一方で、前記第一速度が前記第二速度以上であり、かつ、ユーザによって設定された解像度が前記カラーパラメータテーブルにおいて上限の解像度に対応する読取パラメータでないときは、前記カラーパラメータテーブルにおいて解像度を一段階だけ上げた読取パラメータに変更する、
画像読取装置。
【請求項2】
前記イメージセンサは、複数枚の原稿の各々の複数の画像を読み取り、
前記無線通信モジュールは、前記複数の画像の各々の画像データを順に前記無線接続先へ転送し、
前記プロセッサは、前記第二読取モードを選択したときに、前記各々の画像データに適用される読取パラメータを前記第一速度と前記第二速度との比較結果に基づいて変更する、
請求項に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記読取パラメータの変更範囲を所定の範囲に制限する、
請求項に記載の画像読取装置。
【請求項4】
原稿の画像を読み取るイメージセンサと、
前記画像の画像データを無線接続先へ転送する無線通信モジュールと、
を具備する画像読取装置における読取パラメータ制御方法であって、
前記無線通信モジュールと前記無線接続先との間の現在の通信実行速度である第一速度を取得し、
前記第一速度に基づいて、前記イメージセンサが前記画像を読み取る際の読取パラメータを制御
前記第一速度と、前記画像の画質を低下させることなく前記画像データを前記無線接続先へ転送するのに必要な通信速度である第二速度とを比較し、
前記第一速度が前記第二速度以上であるときは、前記画質が維持される第一読取モードを選択し、
前記第一速度が前記第二速度未満であるときは、前記画質よりも前記画像データの通信速度が優先される第二読取モードを選択し、
前記第二読取モードを選択したときに、前記第一速度が前記第二速度未満であり、かつ、ユーザによって設定された解像度が、前記画像の色彩の種別を示すモードであるカラーモード毎に複数の読取パラメータと複数の解像度との対応付けが設定されたカラーパラメータテーブルにおいて下限の解像度に対応する読取パラメータでないときは、前記カラーパラメータテーブルにおいて解像度を一段階だけ下げた読取パラメータに変更する一方で、前記第一速度が前記第二速度以上であり、かつ、ユーザによって設定された解像度が前記カラーパラメータテーブルにおいて上限の解像度に対応する読取パラメータでないときは、前記カラーパラメータテーブルにおいて解像度を一段階だけ上げた読取パラメータに変更する、
読取パラメータ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像読取装置及び読取パラメータ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナの中には、画像データを無線ネットワークを介して携帯端末装置やクラウドサーバへ転送する機能を有するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-117969号公報
【文献】特開2014-072565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スキャナから無線ネットワークを介して画像データが転送される場合、無線ネットワークにおける画像データの転送速度は、無線ネットワークの無線状態に依存する。このため、オフィス環境等、無線ネットワークが混雑している環境においては、画像データの転送速度が低下して画像データの転送に時間を要することがある。
【0005】
そこで、本開示では、画像データの転送速度の低下を抑えることができる技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の画像読取装置は、イメージセンサと、無線通信モジュールと、プロセッサとを有する。前記イメージセンサは、原稿の画像を読み取る。前記通信モジュールは、前記画像の画像データを無線接続先へ転送する。前記プロセッサは、前記無線通信モジュールと前記無線接続先との間の現在の通信実行速度に基づいて、前記イメージセンサが前記画像を読み取る際の読取パラメータを制御する。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、画像データの転送速度の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の実施例1の画像転送システムの構成例を示す図である。
図2図2は、本開示の実施例1のスキャナの構成例を示す図である。
図3図3は、本開示の実施例1のエンプティセンサの構成例を示す図である。
図4図4は、本開示の実施例1のエンプティセンサの動作例を示す図である。
図5図5は、本開示の実施例1のエンプティセンサの動作例を示す図である。
図6図6は、本開示の実施例1のスキャナにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、本開示の実施例1のスキャナにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、本開示の実施例1のスキャナにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。
図9図9は、本開示の実施例1のスキャナにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、本開示の実施例1のスキャナの動作例の説明に供する図である。
図11図11は、本開示の実施例1のスキャナの動作例の説明に供する図である。
図12図12は、本開示の実施例1のスキャナの動作例の説明に供する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施例を図面に基づいて説明する。以下の実施例において同一の構成、及び、同一の処理を行うステップには同一の符号を付す。
【0010】
以下では、画像読取装置の一例として、スキャナについて説明する。しかし、開示の技術が適用可能な画像読取装置はスキャナに限定されない。例えば、コピー機等のスキャナ以外の画像読取装置にも開示の技術を適用可能である。
【0011】
[実施例1]
<画像転送システムの構成>
図1は、本開示の実施例1の画像転送システムの構成例を示す図である。図1において、画像転送システム1は、スキャナ10と、携帯端末装置20と、アクセスポイント30とを有する。スキャナ10は、読み取った原稿の画像(以下では「原稿画像」と呼ぶことがある)の画像データを、スキャナ10と、スキャナ10の無線接続先との間の無線回線(以下では「スキャナ回線」と呼ぶことがある)を介して無線接続先へ転送する。携帯端末装置20の一例としてスマートフォンやタブレット端末等のスマートデバイスが挙げられる。
【0012】
例えば、画像データが転送される無線ネットワークがWi-Fi(登録商標)ネットワークである場合、スキャナ10の無線接続先はアクセスポイント30になり、スキャナ10は画像データをアクセスポイント30へ転送する。アクセスポイント30は、スキャナ10から転送された画像データをさらに携帯端末装置20へ転送する。よって、画像データが転送される無線ネットワークがWi-Fi(登録商標)ネットワークである場合、スキャナ10とアクセスポイント30との間の無線回線がスキャナ回線となる。
【0013】
また例えば、画像データが転送される無線ネットワークがBluetooth(登録商標)ネットワークである場合、スキャナ10の無線接続先は携帯端末装置20になり、スキャナ10は画像データを携帯端末装置20へ直接転送する。よって、画像データが転送される無線ネットワークがBluetooth(登録商標)ネットワークである場合、スキャナ10と携帯端末装置20との間の無線回線がスキャナ回線となる。
【0014】
<スキャナの構成>
図2は、本開示の実施例1のスキャナの構成例を示す図である。図2において、スキャナ10は、給紙トレイ11と、下部筐体12と、上部筐体13と、タッチパネル14と、無線通信モジュール15と、イメージセンサ17-1,17-2と、プロセッサ21と、メモリ29と、ピックローラ22と、エンプティセンサ23と、透過型光センサ25と、搬送ローラ26-1,26-2,27-1,27-2と、搬送路CPとを有する。ピックローラ22及び搬送ローラ26-1,26-2,27-1,27-2は、プロセッサ21の制御の下でモータ(図示せず)によって駆動される。以下では、イメージセンサ17-1,17-2を「イメージセンサ17」と総称することがある。
【0015】
透過型光センサ25は、投光器25Tと、受光器25Rとを有する。投光器25Tと受光器25Rとは搬送路CPを挟んで互いに対向して配置され、投光器25Tから投射された光が受光器25Rにより受光される。投光器25Tが投射する光の投光量は、プロセッサ21からの制御の下で一定に保たれる。また、プロセッサ21は、受光器25Rにおける受光量(以下では「第一受光量」と呼ぶことがある)が閾値TH1以上であるときは、第一受光量がハイレベルにあると判定し、第一受光量が閾値TH1未満であるときは、第一受光量がハイレベルより小さいローレベルにあると判定する。閾値TH1は、予め定められてメモリ29に予め記憶されている。
【0016】
上部筐体13には、イメージセンサ17-1と、ピックローラ22と、エンプティセンサ23と、受光器25Rと、搬送ローラ26-1,27-1と、タッチパネル14とが格納される。下部筐体12には、イメージセンサ17-2と、プロセッサ21と、無線通信モジュール15と、メモリ29と、投光器25Tと、搬送ローラ26-2,27-2とが格納される。上部筐体13と下部筐体12との間に搬送路CPが形成される。
【0017】
搬送路CPは、スキャナ10の右側面に形成された挿入口IPと、スキャナ10の左側面に形成された排出口DPとを有する。給紙トレイ11には複数枚の原稿を載置可能であり、給紙トレイ11に載置された原稿が挿入口IPから搬送路CPへ挿入される。搬送路CPは、挿入口IPから挿入される原稿の搬送に用いられる。搬送路CPへ挿入された原稿はピックローラ22によって一枚ずつ+X方向へ搬送される。
【0018】
イメージセンサ17の一例として、CIS(Contact Image Sensor)が挙げられる。プロセッサ21の一例として、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等が挙げられる。メモリの一例として、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)等のRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等が挙げられる。
【0019】
<エンプティセンサの構成及び動作>
図3は、本開示の実施例1のエンプティセンサの構成例を示す図である。図4及び図5は、本開示の実施例1のエンプティセンサの動作例を示す図である。
【0020】
図3において、エンプティセンサ23は、透過型光センサ28と、可動部材50とを有する。透過型光センサ28は、投光器28Tと、受光器28Rとを有する。投光器28Tと受光器28Rとは互いに対向して配置され、投光器28Tから投射された光が受光器28Rにより受光される。投光器28Tが投射する光の投光量は、プロセッサ21からの制御の下で一定に保たれる。プロセッサ21は、受光器28Rにおける受光量(以下では「第二受光量」と呼ぶことがある)が閾値TH2以上であるとは、第二受光量がハイレベルにあると判定し、第二受光量が閾値TH2未満であるときは、第二受光量がローレベルにあると判定する。閾値TH2は、予め定められてメモリ29に予め記憶されている。可動部材50は、アーム51と、アーム51に結合されたレバー52,53とを有する。可動部材50は、回転軸RAを中心にして回転自在な部材である。
【0021】
給紙トレイ11に原稿が載置されていないときには、図4に示すように、搬送路CPには原稿が存在しないため、投光器28Tから投射された光はレバー53によって遮られることなく、受光器28Rによって受光される。
【0022】
図5に示すように、給紙トレイ11に原稿MDが載置されると、挿入口IPから搬送路CPに原稿MDが挿入されるため、レバー52が原稿MDによって押し上げられる。レバー52が原稿MDによって押し上げられると、可動部材50が右回りに回転することに伴ってレバー53が図4に示す位置から図5に示す位置に移動する。これにより、投光器28Tから投射された光がレバー53によって遮られるため、第二受光量がハイレベルからローレベルに減少する。
【0023】
<原稿の搬送>
給紙トレイ11に原稿が載置されて挿入口IPから搬送路CPに原稿が挿入されると、第二受光量がハイレベルからローレベルに減少する。第二受光量がローレベルにあるときに、スキャナ10が有する「スキャン開始ボタン」(図示せず)が押下されると、プロセッサ21は、ピックローラ22、搬送ローラ26-1,26-2,27-1,27-2の回転を開始させる。プロセッサ21は、ピックローラ22及び搬送ローラ26-1,27-1を右回り(時計回り)に回転させる一方で、搬送ローラ26-2,27-2を左回り(反時計回り)に回転させる。プロセッサ21がピックローラ22を回転させることにより、給紙トレイ11に載置された原稿がピックローラ22によって一枚ずつ搬送路CP内に取り込まれ、搬送路CPを+X方向へ搬送される。
【0024】
ピックローラ22により搬送路CPを搬送される原稿の先端(以下では「原稿先端」と呼ぶことがある)が搬送ローラ27-1と搬送ローラ27-2との間に達すると、原稿は搬送ローラ27-1,27-2によって搬送路CPをさらに+X方向へ搬送される。
【0025】
原稿先端が透過型光センサ25の光線位置まで達すると、投光器25Tから投射された光が原稿によって遮られるため、第一受光量がハイレベルからローレベルに減少する。プロセッサ21は、第一受光量がハイレベルからローレベルに減少した時点(つまり、透過型光センサ25が原稿先端を検出した時点)で、イメージセンサ17をオンにする。搬送路CPでの原稿の+X方向への搬送に伴って、原稿画像がイメージセンサ17によって読み取られる。イメージセンサ17-1によって原稿の上面の画像が読み取られ、イメージセンサ17-2によって原稿の下面の画像が読み取られる。イメージセンサ17は、読み取った原稿画像の画像データをプロセッサ21へ出力する。
【0026】
プロセッサ21は、イメージセンサ17から入力された画像データを無線通信モジュール15へ出力する。無線通信モジュール15は、プロセッサ21から入力された画像データを無線接続先へ転送する。
【0027】
さらに搬送路CPでの原稿の+X方向への搬送に伴って、原稿先端が搬送ローラ26-1と搬送ローラ26-2との間に達すると、原稿は搬送ローラ26-1,26-2によって搬送路CPをさらに+X方向へ搬送される。よって、読取が為された後の原稿は、その後、排出口DPからスキャナ10の左側方に排出される。
【0028】
また、給紙トレイ11に載置されていた最後の原稿の後端がエンプティセンサ23を通過した時点で、第二受光量がローレベルからハイレベルに増加する。プロセッサ21は、第二受光量がローレベルからハイレベルに増加した時点から所定時間だけ経過後に、ピックローラ22及び搬送ローラ26-1,26-2,27-1,27-2の回転を停止させるとともに、イメージセンサ17をオフにする。
【0029】
<スキャナの処理>
図6図7図8及び図9は、本開示の実施例1のスキャナにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0030】
ステップS100では、プロセッサ21は、給紙トレイ11に載置されている原稿が有るか否かを判定する。第二受光量がハイレベルにあるときは、プロセッサ21は、給紙トレイ11に原稿が載置されていないと判定し(ステップS100:No)、ステップS100の処理を一定時間毎に繰り返す。一方で、第二受光量がローレベルにあるときは、プロセッサ21は、給紙トレイ11に原稿が載置されていると判定し(ステップS100:Yes)、処理はステップS105へ進む。
【0031】
ステップS105では、プロセッサ21は無線状態を無線通信モジュール15から取得する。無線通信モジュール15はスキャナ回線の無線状態を監視している。プロセッサ21は、無線状態の取得要求を無線通信モジュール15へ出力し、無線通信モジュール15は、取得要求に応じて、スキャナ回線の現在の無線状態をプロセッサ21へ出力する。現在の無線状態の一例として、無線通信モジュール15と無線接続先との間の現在の通信実行速度[Mbps](以下では「現在速度」と呼ぶことがある)が挙げられる。
【0032】
次いで、ステップS110では、プロセッサ21は、イメージセンサ17が原稿画像を読み取る際のパラメータ(以下では「読取パラメータ」と呼ぶことがある)に基づいて、スキャナ10に対してユーザが設定した読取パラメータ(以下では「ユーザ設定パラメータ」と呼ぶことがある)に対応する画質(以下では「ユーザ設定画質」と呼ぶことがある)を低下させることなく画像データを無線接続先へ転送するのに必要な通信速度(以下では「必要速度」と呼ぶことがある)を算出する。ユーザによるスキャナ10に対する読取パラメータの設定は、例えば、タッチパネル14を用いて行われる。
【0033】
ここで、読取パラメータの一例として、カラーモード、及び、解像度[dpi]が挙げられる。カラーモードは、原稿画像の色彩の種別を示すモードであり、例えば、「カラー」、「グレー」または「白黒」に設定される。1つの原稿画像あたりの画像データのデータ量(以下では「画像サイズ」と呼ぶことがある)はカラーモード及び解像度に応じて変化する。カラーモードが「カラー」に設定された原稿画像の画像サイズは、カラーモードが「グレー」に設定された原稿画像の画像サイズより大きく、カラーモードが「グレー」に設定された原稿画像の画像サイズは、カラーモードが「白黒」に設定された原稿画像の画像サイズより大きい。また、解像度が大きいほど、画像サイズは大きくなる。また、同一の現在速度の下では、画像サイズが大きくなるほど必要速度は大きくなる。
【0034】
また、画像データの転送速度の上限は現在速度に制限される。よって、現在速度が必要速度以上である場合は、画像データの転送に遅延が生じない一方で、現在速度が必要速度未満である場合は、画像データの転送に遅延が生じてしまう。
【0035】
ステップS110において、プロセッサ21は、現在の読取パラメータに対応する画像サイズに基づいて、式(1)に従って必要速度を算出する。式(1)における「RP」は、スキャナ10で1分間に読み取り可能な面数[ipm(images per minute)]を表す。例えば、RPが30[ipm]で、現在の読取パラメータに対応する画像サイズが1.5[Mbyte]である場合、必要速度は6[Mbps]と算出される。
必要速度[Mbps]=RP[ipm]/60[秒]×画像サイズ[Mbyte]×8 …(1)
【0036】
そして、ステップS110では、プロセッサ21は、現在速度が必要速度以上であるか否かを判定する。現在速度が必要速度以上であるときは(ステップS110:Yes)、処理はステップS115へ進み、現在速度が必要速度未満であるときは(ステップS110:No)、処理はステップS150へ進む。
【0037】
ステップS115では、プロセッサ21は、原稿画像の読取モードとして「画質優先モード」を選択する。「画質優先モード」とは、原稿画像の画質が維持される読取モードである。プロセッサ21は、画質優先モードを選択したときは、ユーザ設定パラメータをイメージセンサ17に出力し、ユーザ設定パラメータで原稿画像の読取を行うことをイメージセンサ17に指示する。
【0038】
次いで、ステップS120では、プロセッサ21は、スキャン開始ボタンが押下されたか否かを判定し、スキャン開始ボタンが押下されるまで待機する(ステップS120:No)。スキャン開始ボタンが押下されると(ステップS120:Yes)、処理はステップS125へ進む。
【0039】
ステップS125では、プロセッサ21は、ピックローラ22、搬送ローラ26-1,26-2,27-1,27-2の回転を開始させることにより原稿の搬送を開始する。
【0040】
次いで、ステップS130では、イメージセンサ17は、ステップS115でのプロセッサ21からの指示に従って、ユーザ設定パラメータで原稿画像の読取を行い、読み取った原稿画像の画像データをプロセッサ21へ出力する。ステップS130での原稿画像の読取はユーザ設定パラメータで行われるため、ステップS130で読み取られた原稿画像の画質は、ユーザ設定パラメータに対応する画質に維持されている。
【0041】
次いで、ステップS135では、プロセッサ21は、イメージセンサ17から入力された画像データを無線通信モジュール15へ出力し、無線通信モジュール15は、プロセッサ21から入力された画像データを無線接続先へ転送する。
【0042】
次いで、ステップS140では、プロセッサ21は、給紙トレイ11に載置されている原稿が有るか否かを判定する。第二受光量がローレベルにあるときは、プロセッサ21は、給紙トレイ11に載置されている原稿が残っていると判定する。給紙トレイ11に載置されている原稿が残っているときは(ステップS140:Yes)、処理はステップS130に戻る。一方で、第二受光量がハイレベルにあるときは、プロセッサ21は、給紙トレイ11に載置されている原稿が無いと判定する。給紙トレイ11に載置されている原稿が無いときは(ステップS140:No)、処理はステップS145へ進む。
【0043】
ステップS145では、プロセッサ21は、ピックローラ22及び搬送ローラ26-1,26-2,27-1,27-2の回転を停止させる。ステップS145の処理により、スキャナ10における処理手順は終了する。
【0044】
一方で、ステップS150では、プロセッサ21は、原稿画像の読取モードとして「転送優先モード」を選択する。「転送優先モード」とは、原稿画像の画質よりも画像データの通信速度が優先される読取モードである。
【0045】
次いで、ステップS155では、「転送優先モード処理」(図7)が行われる。
【0046】
図7において、ステップS200では、プロセッサ21は、スキャナ10に対してユーザが設定したカラーモード(以下では「ユーザ設定カラーモード」と呼ぶことがある)を判定する。ユーザ設定カラーモードが「カラー」であるときは、ステップS205において、プロセッサ21は、カラーパラメータテーブルTAを選択する。ユーザ設定カラーモードが「グレー」であるときは、ステップS210において、プロセッサ21は、グレーパラメータテーブルTBを選択する。ユーザ設定カラーモードが「白黒」であるときは、ステップS215において、プロセッサ21は、白黒パラメータテーブルTCを選択する。イメージセンサ17が複数枚の原稿の各々の複数の原稿画像を読み取る際に複数の原稿画像の間でカラーモードが異なると色彩の相違に対する違和感をユーザに与えてしまうため、プロセッサ21は、上記のように、ユーザ設定カラーモードに応じたカラーパラメータテーブルを選択する。
【0047】
また、ステップS205、S210及びS215では、プロセッサ21は、ユーザ設定パラメータをイメージセンサ17に出力し、ユーザ設定パラメータで原稿画像の読取を行うことをイメージセンサ17に指示する。ステップS205、S210またはS215の処理後、処理はステップS220へ進む。
【0048】
ステップS220では、プロセッサ21は、スキャン開始ボタンが押下されたか否かを判定し、スキャン開始ボタンが押下されるまで待機する(ステップS220:No)。スキャン開始ボタンが押下されると(ステップS220:Yes)、処理はステップS225へ進む。
【0049】
ステップS225では、プロセッサ21は、ピックローラ22、搬送ローラ26-1,26-2,27-1,27-2の回転を開始させることにより原稿の搬送を開始する。
【0050】
次いで、ステップS230では、イメージセンサ17は、ステップS205、S210、S215、S310(図8)、S410(図9)、または、S435(図9)でプロセッサ21から入力された読取パラメータで原稿画像の読取を行い、読み取った原稿画像の画像データをプロセッサ21へ出力する。
【0051】
次いで、ステップS235では、プロセッサ21は、イメージセンサ17から入力された画像データを無線通信モジュール15へ出力し、無線通信モジュール15は、プロセッサ21から入力された画像データを無線接続先へ転送する。
【0052】
次いで、ステップS240では、プロセッサ21は、給紙トレイ11に載置されている原稿が有るか否かを判定する。第二受光量がローレベルにあるときは、プロセッサ21は、給紙トレイ11に載置されている原稿が残っていると判定する。給紙トレイ11に載置されている原稿が残っているときは(ステップS240:Yes)、処理はステップS250へ進む。つまり、ユーザによって給紙トレイ11に一度に複数枚の原稿が載置されたときは、2枚目以降の原稿については、ステップS240からステップS250へと処理が進む。一方で、第二受光量がハイレベルにあるときは、プロセッサ21は、給紙トレイ11に載置されている原稿が無いと判定する。給紙トレイ11に載置されている原稿が無いときは(ステップS240:No)、処理はステップS245へ進む。
【0053】
ステップS245では、プロセッサ21は、ピックローラ22及び搬送ローラ26-1,26-2,27-1,27-2の回転を停止させる。ステップS245の処理により、スキャナ10における処理手順は終了する。
【0054】
一方で、ステップS250では、プロセッサ21は、現在の無線状態として現在速度を無線通信モジュール15から取得する。
【0055】
次いで、ステップS255では、プロセッサ21は、式(1)に従って必要速度を算出する。そして、プロセッサ21は、現在速度が必要速度以上であるか否かを判定する。現在速度が必要速度未満であるときは(ステップS255:No)、処理はステップS260へ進み、現在速度が必要速度以上であるときは(ステップS255:Yes)、処理はステップS265へ進む。
【0056】
ステップS260では「パラメータ変更第一処理」(図8)が行われ、ステップS265では「パラメータ変更第二処理」(図9)が行われる。パラメータ変更第一処理(ステップS260)またはパラメータ変更第二処理(ステップS265)が行われた後、処理はステップS230に戻る。よって、ユーザによって給紙トレイ11に一度に複数枚の原稿が載置されたときは、イメージセンサ17は、ステップS230において、複数枚の原稿の各々の複数の原稿画像を読み取り、無線通信モジュール15は、ステップS235において、複数の原稿画像の各々の画像データを順に無線接続先へ転送する。
【0057】
図8において、ステップS300では、プロセッサ21はカウンターnの値を0(ゼロ)に初期化する。
【0058】
次いで、ステップS305では、プロセッサ21は、ユーザまたはプロセッサ21によって設定されている現在の読取パラメータ(以下では「現在パラメータ」と呼ぶことがある)が、ステップS200で判定したユーザ設定カラーモードに基づいて選択したカラーパラメータテーブルTA、グレーパラメータテーブルTBまたは白黒パラメータテーブルTCにおいて下限の読取パラメータ(以下では「下限パラメータ」と呼ぶことがある)であるか否かを判定する。現在パラメータが下限パラメータであるときは(ステップS305:Yes)、読取パラメータの変更が行われることなく、処理はステップS230(図7)に戻る。一方で、現在パラメータが下限パラメータでないときは(ステップS305:No)、処理はステップS310へ進む。
【0059】
ステップS310では、プロセッサ21は、カラーパラメータテーブルTA、グレーパラメータテーブルTBまたは白黒パラメータテーブルTCにおいて読取パラメータを一段階だけ下げることにより、画像サイズを減少させる。ステップS310の処理により、ステップS235(図7)で転送される画像データに適用される読取パラメータが変更される。また、画像サイズの減少により、原稿画像の画質は低下する一方で、必要速度は減少するため画像データの転送速度は増加する。プロセッサ21は、変更後の読取パラメータをイメージセンサ17に出力し、変更後の読取パラメータで原稿画像の読取を行うことをイメージセンサ17に指示する。
【0060】
次いで、ステップS315では、プロセッサ21は、カウンターnの値をインクリメントする。
【0061】
次いで、ステップS320では、プロセッサ21は、カウンターnの値が所定値Nに達したか否かを判定する。カウンターnの値が所定値Nに達しているときは(ステップS320:Yes)、処理はステップS230(図7)に戻る。一方で、カウンターnの値が所定値Nに達していないときは(ステップS320:No)、処理はステップS325へ進む。
【0062】
ステップS325では、プロセッサ21は、現在の無線状態として現在速度を無線通信モジュール15から取得する。
【0063】
次いで、ステップS330では、プロセッサ21は、式(1)に従って必要速度を算出する。そして、プロセッサ21は、現在速度が必要速度以上であるか否かを判定する。現在速度が必要速度以上であるとき、つまり、読取パラメータが一段階だけ下げられたことにより必要速度が現在速度以下になったときは(ステップS330:Yes)、処理はステップS230(図7)に戻る。一方で、現在速度が必要速度未満であるとき、つまり、読取パラメータが一段階だけ下げられても必要速度が現在速度以下にならないときは(ステップS330:No)、処理はステップS305に戻る。
【0064】
また、図9において、ステップS400では、プロセッサ21はカウンターnの値を0(ゼロ)に初期化する。
【0065】
次いで、ステップS405では、プロセッサ21は、現在パラメータがステップS200で判定したユーザ設定カラーモードに基づいて選択したカラーパラメータテーブルTA、グレーパラメータテーブルTBまたは白黒パラメータテーブルTCにおいて上限の読取パラメータ(以下では「上限パラメータ」と呼ぶことがある)であるか否かを判定する。現在パラメータが上限パラメータであるときは(ステップS405:Yes)、読取パラメータの変更が行われることなく、処理はステップS230(図7)に戻る。一方で、現在パラメータが上限パラメータでないときは(ステップS405:No)、処理はステップS410へ進む。
【0066】
ステップS410では、プロセッサ21は、カラーパラメータテーブルTA、グレーパラメータテーブルTBまたは白黒パラメータテーブルTCにおいて読取パラメータを一段階だけ上げることにより、画像サイズを増加させる。ステップS410の処理により、ステップS235(図7)で転送される画像データに適用される読取パラメータが変更される。また、画像サイズの増加により、原稿画像の画質は向上する一方で、必要速度は増加するため画像データの転送速度は減少する。プロセッサ21は、変更後の読取パラメータをイメージセンサ17に出力し、変更後の読取パラメータで原稿画像の読取を行うことをイメージセンサ17に指示する。
【0067】
次いで、ステップS415では、プロセッサ21は、カウンターnの値をインクリメントする。
【0068】
次いで、ステップS420では、プロセッサ21は、カウンターnの値が所定値Nに達したか否かを判定する。カウンターnの値が所定値Nに達しているときは(ステップS420:Yes)、処理はステップS230(図7)に戻る。一方で、カウンターnの値が所定値Nに達していないときは(ステップS420:No)、処理はステップS425へ進む。
【0069】
ステップS425では、プロセッサ21は、現在の無線状態として現在速度を無線通信モジュール15から取得する。
【0070】
次いで、ステップS430では、プロセッサ21は、式(1)に従って必要速度を算出する。そして、プロセッサ21は、現在速度が必要速度以上であるか否かを判定する。現在速度が必要速度以上であるとき、つまり、読取パラメータが一段階だけ上げられても未だ必要速度が現在速度以下であるときは(ステップS430:Yes)、処理はステップS405に戻る。一方で、現在速度が必要速度未満であるとき、つまり、読取パラメータが一段階だけ上げられたことにより必要速度が現在速度より大きくなってしまったときは(ステップS430:No)、処理はステップS435へ進む。
【0071】
ステップS435では、プロセッサ21は、カラーパラメータテーブルTA、グレーパラメータテーブルTBまたは白黒パラメータテーブルTCにおいて読取パラメータを一段階だけ下げる。プロセッサ21は、変更後の読取パラメータをイメージセンサ17に出力し、変更後の読取パラメータで原稿画像の読取を行うことをイメージセンサ17に指示する。ステップS435の処理後、処理はステップS230(図7)に戻る。
【0072】
<スキャナの動作>
図10図11及び図12は、本開示の実施例1のスキャナの動作例の説明に供する図である。図10には、ステップS205で選択されるカラーパラメータテーブルTAの一例を示し、図11には、ステップS210で選択されるグレーパラメータテーブルTBの一例を示し、図12には、ステップS215で選択される白黒パラメータテーブルTCの一例を示す。カラーパラメータテーブルTA、グレーパラメータテーブルTB、及び、白黒パラメータテーブルTCは、予めメモリ29に記憶されている。
【0073】
図10において、カラーパラメータテーブルTAには、読取パラメータC1~C10の各々に対し、「カラー」のカラーモードと、互いに異なる解像度と、互いに異なる画像サイズとが対応付けて設定されている。カラーパラメータテーブルTAでは、カラーモードはすべて「カラー」で同一であるため、読取パラメータC1~C10のうち、解像度がより大きい読取パラメータほど、画像サイズがより大きくなる。また、カラーパラメータテーブルTAにおける下限パラメータは読取パラメータC10であり、カラーパラメータテーブルTAにおける上限パラメータは読取パラメータC1である。
【0074】
また、図11において、グレーパラメータテーブルTBには、読取パラメータG1~G10の各々に対し、「グレー」のカラーモードと、互いに異なる解像度と、互いに異なる画像サイズとが対応付けて設定されている。カラーパラメータテーブルTBでは、カラーモードはすべて「グレー」で同一であるため、読取パラメータG1~G10のうち、解像度がより大きい読取パラメータほど、画像サイズがより大きくなる。また、グレーパラメータテーブルTBにおける下限パラメータは読取パラメータG10であり、グレーパラメータテーブルTBにおける上限パラメータは読取パラメータG1である。
【0075】
また、図12において、白黒パラメータテーブルTCには、読取パラメータM1~M10の各々に対し、「白黒」のカラーモードと、互いに異なる解像度と、互いに異なる画像サイズとが対応付けて設定されている。白黒パラメータテーブルTCでは、カラーモードはすべて「白黒」で同一であるため、読取パラメータM1~M10のうち、解像度がより大きい読取パラメータほど、画像サイズがより大きくなる。また、白黒パラメータテーブルTCにおける下限パラメータは読取パラメータM10であり、白黒パラメータテーブルTCにおける上限パラメータは読取パラメータM1である。
【0076】
例えば、ステップS200での判定に従ってステップS205においてカラーパラメータテーブルTAが選択され、かつ、スキャナ10に対してユーザが設定した解像度(以下では「ユーザ設定解像度」と呼ぶことがある)が400[dpi]である場合、現在パラメータは読取パラメータC5に設定されている。現在パラメータが読取パラメータC5に設定されている状態で、ステップS255において現在速度が必要速度未満であるときは、ステップS310において読取パラメータが一段階だけ下げられるため、現在パラメータは読取パラメータC5から読取パラメータC6に変更される。一方で、ステップS255において現在速度が必要速度以上であるときは、ステップS410において読取パラメータが一段階だけ上げられるため、現在パラメータは読取パラメータC5から読取パラメータC4に変更される。ここで、例えば、所定値Nが「3」に設定されている場合、ステップS310またはステップS410における読取パラメータの変更処理は最大で3回までに制限される。このため、最初の現在パラメータが読取パラメータC5であったときは、プロセッサ21は、読取パラメータの変更範囲を読取パラメータC2から読取パラメータC8までの所定の範囲に制限した上で、読取パラメータの変更処理を行うことになる。
【0077】
また例えば、ステップS200での判定に従ってステップS210においてグレーパラメータテーブルTBが選択され、かつ、ユーザ設定解像度が400[dpi]である場合、現在パラメータは読取パラメータG5に設定されている。現在パラメータが読取パラメータG5に設定されている状態で、ステップS255において現在速度が必要速度未満であるときは、ステップS310において読取パラメータが一段階だけ下げられるため、現在パラメータは読取パラメータG5から読取パラメータG6に変更される。一方で、ステップS255において現在速度が必要速度以上であるときは、ステップS410において読取パラメータが一段階だけ上げられるため、現在パラメータは読取パラメータG5から読取パラメータG4に変更される。ここで、例えば、所定値Nが「3」に設定されている場合、ステップS310またはステップS410における読取パラメータの変更処理は最大で3回までに制限される。このため、最初の現在パラメータが読取パラメータG5であったときは、プロセッサ21は、読取パラメータの変更範囲を読取パラメータG2から読取パラメータG8までの所定の範囲に制限した上で、読取パラメータの変更処理を行うことになる。
【0078】
また例えば、ステップS200での判定に従ってステップS215において白黒パラメータテーブルTCが選択され、かつ、ユーザ設定解像度が400[dpi]である場合、現在パラメータは読取パラメータM5に設定されている。現在パラメータが読取パラメータM5に設定されている状態で、ステップS255において現在速度が必要速度未満であるときは、ステップS310において読取パラメータが一段階だけ下げられるため、現在パラメータは読取パラメータM5から読取パラメータM6に変更される。一方で、ステップS255において現在速度が必要速度以上であるときは、ステップS410において読取パラメータが一段階だけ上げられるため、現在パラメータは読取パラメータM5から読取パラメータM4に変更される。ここで、例えば、所定値Nが「3」に設定されている場合、ステップS310またはステップS410における読取パラメータの変更処理は最大で3回までに制限される。このため、最初の現在パラメータが読取パラメータM5であったときは、プロセッサ21は、読取パラメータの変更範囲を読取パラメータM2から読取パラメータM8までの所定の範囲に制限した上で、読取パラメータの変更処理を行うことになる。
【0079】
以上、実施例1について説明した。
【0080】
[実施例2]
プロセッサ21での上記説明における各処理の全部または一部は、各処理に対応するプログラムをプロセッサ21に実行させることによって実現しても良い。例えば、上記説明における各処理に対応するプログラムがメモリ29に記憶され、プログラムがプロセッサ21によってメモリ29から読み出されて実行されても良い。また、プログラムは、任意のネットワークを介してスキャナ10に接続されたプログラムサーバに記憶され、そのプログラムサーバからスキャナ10にダウンロードされて実行されたり、スキャナ10が読み取り可能な記録媒体に記憶され、その記録媒体から読み出されて実行されても良い。スキャナ10が読み取り可能な記録媒体には、例えば、メモリカード、USBメモリ、SDカード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD、及び、Blu-ray(登録商標)ディスク等の可搬の記憶媒体が含まれる。また、プログラムは、任意の言語や任意の記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードやバイナリコード等の形式を問わない。また、プログラムは必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールや複数のライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものも含む。
【0081】
以上、実施例2について説明した。
【0082】
以上のように、本開示の画像読取装置(実施例のスキャナ10)は、イメージセンサ(実施例のイメージセンサ17)と、無線通信モジュール(実施例の無線通信モジュール15)と、プロセッサ(実施例のプロセッサ21)とを有する。イメージセンサは、原稿画像を読み取る。無線通信モジュールは、原稿画像の画像データを無線接続先へ転送する。プロセッサは、無線通信モジュールと無線接続先との間の現在の通信実行速度である第一速度(実施例の現在速度)に基づいて、イメージセンサが原稿画像を読み取る際の読取パラメータを制御する。
【0083】
こうすることで、第一速度に応じて読取パラメータを適宜変更することができるため、無線ネットワークが混雑している環境においても画像データの転送速度の低下を抑えることができる。
【0084】
また、プロセッサは、第一速度と、原稿画像の画質を低下させることなく画像データを無線接続先へ転送するのに必要な通信速度である第二速度(実施例の必要速度)とを比較する。プロセッサは、第一速度が第二速度以上であるときは、原稿画像の画質が維持される第一読取モード(実施例の画質優先モード)を選択し、第一速度が第二速度未満であるときは、画質よりも画像データの通信速度が優先される第二読取モード(実施例の転送優先モード)を選択する。
【0085】
こうすることで、第一速度と第二速度との比較結果に応じた適切な読取モードを選択することができる。
【0086】
また、イメージセンサは、複数枚の原稿の各々の複数の原稿画像を読み取り、無線通信モジュールは、複数の原稿画像の各々の画像データを順に無線接続先へ転送する。プロセッサは、第二読取モードを選択したときに、各々の画像データに適用される読取パラメータを第一速度と第二速度との比較結果に基づいて変更する。
【0087】
こうすることで、イメージセンサが複数枚の原稿の各々の複数の原稿画像を読み取る際に、複数の原稿画像毎に、各画像データの転送に最適な読取パラメータを設定することができる。
【0088】
例えば、プロセッサは、第一速度が第二速度未満であるときは、画像データのデータ量が減少するように読取パラメータを変更する。
【0089】
こうすることで、画像データの転送速度を増加させることができる。
【0090】
また例えば、プロセッサは、第一速度が第二速度以上であるときは、画像データのデータ量が増加するように読取パラメータを変更する。
【0091】
こうすることで、画像データの転送速度の低下を抑えつつ原稿画像の画質を向上させることができる。
【0092】
また、プロセッサは、読取パラメータの変更範囲を所定の範囲に制限する。
【0093】
こうすることで、イメージセンサが複数枚の原稿の各々の複数の原稿画像を読み取る際に、複数の原稿画像の間において画質の相違に対する違和感をユーザに与えてしまうことを防止できる。
【符号の説明】
【0094】
10 スキャナ
15 無線通信モジュール
17-1,17-2 イメージセンサ
21 プロセッサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12