(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】コンクリート打設管
(51)【国際特許分類】
E04G 21/04 20060101AFI20240619BHJP
F16J 15/10 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
E04G21/04 102
F16J15/10 C
F16J15/10 L
(21)【出願番号】P 2020134025
(22)【出願日】2020-08-06
【審査請求日】2022-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122781
【氏名又は名称】近藤 寛
(72)【発明者】
【氏名】橋本 学
(72)【発明者】
【氏名】柳井 修司
(72)【発明者】
【氏名】内田 拓史
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-183514(JP,A)
【文献】実公昭39-000753(JP,Y1)
【文献】特開2019-183526(JP,A)
【文献】実開昭53-114823(JP,U)
【文献】特開平01-247890(JP,A)
【文献】特開昭53-67926(JP,A)
【文献】実開昭58-17236(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/04
F16J 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートの供給源に接続される接続管と、
前記接続管に対して管軸周りに回転可能に同軸で接続され、前記接続管からのコンクリートを打設領域に吐出する充填管と、を備え、
前記接続管及び前記充填管のうちのいずれか一方を第1管、他方を第2管としたとき、
前記第1管の前記第2管側の端部には、前記第2管の前記第1管側の端部に形成された第2管フランジの裏面側に回り込んで当該裏面に対向するように設けられたストッパ面を有し前記第1管から遠ざかる方向への前記第2管フランジの前記管軸方向の変位を前記ストッパ面によって規制するフランジ保持部が設けられており、
前記第2管フランジの前記裏面と前記ストッパ面との間には摩擦低減材が挟まれており、
前記第1
管には、
前記フランジ保持部を外周面から内周面まで径方向に貫通するねじの先端が前記第2管フランジの外周面に突き当てられるように前記ねじを締め付ける操作によって前記第1管に対する前記第2管の前記管軸周りの回転を禁止することが可能な操作部が設けられて
おり、
前記充填管のうち前記コンクリートの吐出口側の区間は扁平な形状に形成されており、
前記充填管の少なくとも一部の区間は可撓性の材料からなり、
前記フランジ保持部は、
前記第2管フランジの前記第1管側の端面に対向するように設けられ、前記ストッパ面で規制される前記変位とは逆方向の前記第2管フランジの変位を規制する第2のストッパ面を有し、
前記第2管フランジの前記端面と前記第2のストッパ面との間には前記第1管及び前記第2管の管内を管外から封止する環状のシール材が設置されている、コンクリート打設管。
【請求項2】
コンクリートの供給源に接続される接続管と、
前記接続管に対して管軸周りに回転可能に同軸で接続され、前記接続管からのコンクリートを打設領域に吐出する充填管と、を備え、
前記接続管及び前記充填管のうちのいずれか一方を第1管、他方を第2管としたとき、
前記第1管の前記第2管側の端部には、前記第2管の前記第1管側の端部に形成された第2管フランジの裏面側に回り込んで当該裏面に対向するように設けられたストッパ面を有し前記第1管から遠ざかる方向への前記第2管フランジの前記管軸方向の変位を前記ストッパ面によって規制するフランジ保持部が設けられており、
前記第2管フランジの前記裏面と前記ストッパ面との間には摩擦低減材が挟まれており、
前記第1管には、前記フランジ保持部を外周面から内周面まで径方向に貫通するねじの先端が前記第2管フランジの外周面に突き当てられるように前記ねじを締め付ける操作によって前記第1管に対する前記第2管の前記管軸周りの回転を禁止することが可能な操作部が設けられており、
前記充填管のうち前記コンクリートの吐出口側の区間は扁平な形状に形成されており、
前記フランジ保持部は、
前記第2管フランジの前記第1管側の端面に対向するように設けられ、前記ストッパ面で規制される前記変位とは逆方向の前記第2管フランジの変位を規制する第2のストッパ面を有し、
前記第2管フランジの前記端面と前記第2のストッパ面との間には前記第1管及び前記第2管の管内を管外から封止する環状のシール材が設置されてい
る、コンクリート打設管。
【請求項3】
フランジ保持部は、
前記第2管フランジに突き合わされるように前記第1管に形成された第1管フランジと、前記第1管フランジの端面の外周側に取り付けられ前記ストッパ面を有するフランジ掛止部材と、を備える、請求項
1又は2に記載のコンクリート打設管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート打設管に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、下記特許文献1に記載のコンクリート打設管が知られている。この打設管は、コンクリートを供給するポンプ車の供給管に接続される接続管と、この接続管に接続され、コンクリートを決められた打設領域に充填する充填管とを備えており、充填管が接続管に対して管軸周りに回転自在に接続されている。このように充填管が回転することによって、コンクリートの吐出口を所望の位置に移動させるための操作が容易になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この充填管の回転機構においても改良の余地がある。例えば、充填管の回転における回転抵抗がより小さくなれば、コンクリート打設の作業負担がより軽減され、この種のコンクリート打設管の応用の幅が拡がると考えられる。本発明は、接続管に対する充填管の回転抵抗を低減するコンクリート打設管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のコンクリート打設管は、コンクリートの供給源に接続される接続管と、接続管に対して管軸周りに回転可能に同軸で接続され、接続管からのコンクリートを打設領域に吐出する充填管と、を備え、接続管及び充填管のうちのいずれか一方を第1管、他方を第2管としたとき、第1管の第2管側の端部には、第2管の第1管側の端部に形成された第2管フランジの裏面側に回り込んで当該裏面に対向するように設けられたストッパ面を有し第1管から遠ざかる方向への第2管フランジの管軸方向の変位をストッパ面によって規制するフランジ保持部が設けられており、第2管フランジの裏面とストッパ面との間には摩擦低減材が挟まれている。
【0006】
充填管のうちコンクリートの吐出口側の区間は扁平な形状に形成されている、こととしてもよい。また、充填管の少なくとも一部の区間は可撓性の材料からなる、こととしてもよい。
【0007】
また、フランジ保持部は、第2管フランジの第1管側の端面に対向するように設けられ、ストッパ面で規制される変位とは逆方向の第2管フランジの変位を規制する第2のストッパ面を有し、第2管フランジの端面と第2のストッパ面との間には第1管及び第2管の管内を管外から封止する環状のシール材が設置されている、こととしてもよい。
【0008】
フランジ保持部は、第2管フランジに突き合わされるように第1管に形成された第1管フランジと、第1管フランジの端面の外周側に取り付けられストッパ面を有するフランジ掛止部材と、を備える、こととしてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、接続管に対する充填管の回転抵抗を低減するコンクリート打設管を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】(a)は、実施形態のコンクリート打設管を示す正面図であり、(b)は、そのIb-Ib断面図である。
【
図2】コンクリート打設管の要部を示す分解斜視図である。
【
図4】コンクリート打設管の使用状態を示す図である。
【
図5】コンクリート打設管の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明に係るコンクリート打設管の実施形態について詳細に説明する。
図1及び
図2に示されるコンクリート打設管1は、コンクリートポンプ車(図示せず)のコンクリート供給管3から送出されるコンクリートを打設領域Tまで搬送する管である。このコンクリート打設管1は、コンクリート供給管3の下流側に接続され、主に、コンクリート供給管3から鉛直に吊り下がるような姿勢で使用される(
図3参照)。以下の説明において、「上方/下方」、「上面/下面」等の語を用いる場合には、上記のような使用状態におけるコンクリート打設管1の上下方向に対応させるものとする。
【0012】
コンクリート打設管1は、上下に接続された鋼製の接続管5(第1管)と充填管7(第2管)とを備えている。接続管5はコンクリート供給管3(コンクリートの供給源)の下端に同軸に接続され、充填管7は更に接続管5の下端に同軸に接続される。充填管7の下端にはコンクリートの吐出口7bが設けられている。接続管5と充填管7との接続部には、充填管7を接続管5に対して管軸周りに回転可能とするジョイント部9が設けられている。ジョイント部9の詳細については後述する。
【0013】
充填管7は、充填管上部11と、ホース装着部13と、ゴムホース15と、の3部材を有している。充填管上部11は鋼製の管部材であり、接続管5の下端に対してジョイント部9を介して接続される。ゴムホース15は可撓性の材料であるゴム材からなる管部材であり、下端には前述の吐出口7bが形成されている。このゴム材の例としては、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、クロロプレンゴム、イソブチレン・イソプレンゴム(ブチルゴム)、エチレンプロピレンゴム等が挙げられる。
【0014】
ホース装着部13は、ゴムホース15を装着するための鋼製の部材である。ホース装着部13の下端部の外周にゴムホース15の上端部が嵌め込まれ結束帯17が巻き付けられることにより、ゴムホース15がホース装着部13に装着される。ホース装着部13の上端と充填管上部11の下端とが、所定の適切な連結部材19によって連結されている。なお、同様の連結部材19が、コンクリート供給管3と接続管5との連結にも使用される。
【0015】
ゴムホース15のホース上部15aは円形断面をなすが、
図1(b)に断面図が示されるように、ホース下部15bは扁平な形状をなしている。ゴムホース15にコンクリート供給管3からのコンクリートが供給されていない状態においては、ホース下部15bの対向する管壁同士がゴム材の弾性によって密着し、ホース下部15bが閉鎖する。この場合、ホース上部15aに残留するコンクリートの荷重程度ではホース下部15bは変形せず、ホース下部15bの閉鎖状態は維持される。そして、ゴムホース15にコンクリートポンプ車からのコンクリートが供給された状態では、コンクリートの内圧によりホース下部15bが内側から押し広げられ、コンクリートが吐出口7bから吐出される。このような扁平形状のホース下部15bの存在により、コンクリート打設管1におけるコンクリートの落下速度が緩和され、コンクリートの材料分離が抑制される。
【0016】
コンクリート打設管1の充填管7が上記のような可撓性のゴムホース15を有することにより、コンクリート供給管3がコンクリートポンプ車のブームに対してほぼ固定されていたとしても、
図3に示されるように、作業者Pがゴムホース15を撓ませて吐出口7bを所望の位置に移動させることができる。また、前述のジョイント部9の存在により充填管7が管軸周りに回転可能であるので、扁平な吐出口7bの回転方向の向きを所望の向きに合わせることができる。このように、作業者Pが吐出口7bの位置及び向きを自在に調整可能であるので、コンクリートポンプ車のブームを移動させることなく、ホース下部15bを狭隘な箇所(例えば、鉄筋と型枠との間の隙間や鉄筋同士の隙間)にも速やかに挿入して、コンクリートを打設領域Tに送り込むことができる。
【0017】
上記のような充填管7の回転を可能にするジョイント部9の構造について説明する。コンクリート打設の作業において、作業者Pは、
図3に示されるように、コンクリート打設管1のゴムホース15の部分を手で持ってコンクリート打設管1を操作することが多いと考えられる。そして、充填管7の吐出口7bの向きを回転させたい場合には、作業者Pは、ゴムホース15を管軸周りに捩るような操作を行うことになる。
【0018】
ここで、前述の特許文献1のように、仮に充填管7全体が鋼製であれば、作業者Pが充填管7の下部を管軸周りに捩ったときに、その捩り力が充填管7の上端まで伝達され、充填管7が接続管5に対し円滑に管軸周りに回転する。しかしながら、このコンクリート打設管1においては、ゴムホース15の捩り剛性が小さい故に、作業者Pがゴムホース15を捩ったときに、その捩り力が充填管7の上端まで伝達されにくく、充填管7が回転し難い場合があり得る。
【0019】
従って、特に、ゴムホース15のような可撓性の部材が充填管7に採用されたコンクリート打設管1においては、充填管7の上部が小さい捩り力で回転するように、ジョイント部9における充填管7の回転抵抗を小さくすることが好ましい。また、特に、充填管7の吐出口7bが非円形の断面形状(本実施形態では扁平形状)をなすときには、狭隘な箇所にゴムホース15の先端部を挿入するときに、挿入し易い向きに吐出口7bを回転させる機会が多いので、充填管7の回転抵抗を低減する必要性が高い。そこで、コンクリート打設管1のジョイント部9は、次のような構造をなしている。
【0020】
図4はジョイント部9を示す分解斜視図である。
図4及び
図2に示されるように、接続管5の下端にはフランジ21(以下、「接続管フランジ21」と呼ぶ)が形成されている。これに対し、充填管上部11の上端には、上記の接続管フランジ21よりも小径のフランジ23(以下、「充填管フランジ23」と呼ぶ)が形成されている。このような接続管フランジ21(第1管フランジ)と充填管フランジ23(第2管フランジ)とが管軸方向に突き合わされることで、接続管5と充填管7とが接続されている。また、接続管フランジ21の下面21bにはコンクリートの流路を環状に囲むOリング27(シール材)が設置され、このOリング27が充填管フランジ23の上面23aとの間に挟み込まれることにより、コンクリート打設管1の管内が管外から封止され、コンクリートの漏洩が防止されている。
【0021】
接続管フランジ21の下方には、当該接続管フランジ21とほぼ同じ外径のリング状をなし、充填管フランジ23を掛止して保持するための充填管受リング29(フランジ掛止部材)がボルト止めされている。なお、
図4中の符号30は、上記ボルト止めのためのボルト穴である。充填管受リング29の内周面下部には、充填管フランジ23の下面23b側に回り込むように、内周側に張出したフランジ受部31が設けられている。充填管上部11が後述するスラストワッシャ33と一緒に上方から充填管受リング29に挿通され、充填管フランジ23がフランジ受部31の上面31aに引っ掛かることで、充填管7がフランジ受部31によって支持されている。このフランジ受部31の上面31a(ストッパ面)が、充填管フランジ23の下面23bに対向し当該充填管フランジ23の下方への変位を規制している。その一方、充填管フランジ23の上方への変位は、接続管フランジ21の下面21b(第2のストッパ面)によって規制されている。
【0022】
このように、接続管5の下端部に設けられた、接続管フランジ21及び充填管受リング29によれば、充填管フランジ23の裏面側(下面23b側)に回り込んで下面23bに対向するように設けられたストッパ面(フランジ受部31の上面31a)を有し、充填管フランジ23の下方への変位を上記ストッパ面によって規制するフランジ保持部47が構成される。すなわち、フランジ保持部47は、充填管フランジ23に突き合わされるように接続管5に形成された接続管フランジ21と、接続管フランジ21の下面21bの外周側に取り付けられストッパ面(上面31a)を有する充填管受リング29と、を備えるものである。
【0023】
充填管受リング29の上部の内周面と、フランジ受部31の上面31aと、接続管フランジ21の下面21bと、で囲まれるスペースには、充填管フランジ23が、回転可能な程度の径方向のクリアランスをもって収納されている。このようなクリアランスにより、接続管5に対して充填管上部11が管軸周りに回転可能であり、ひいては、コンクリート供給管3及び接続管5に対して充填管7が管軸周りに回転可能である。なお、充填管受リング29の上部には、外周面から内周面まで径方向に貫通するネジ穴41が対称の位置に一対形成されている。このネジ穴41に蝶ねじ43が取り付けられ、蝶ねじ43の先端が充填管フランジ23の外周面に突当てられるように当該蝶ねじ43を締め付けることで、上記のような充填管7の回転を禁止することもできる。
【0024】
更に、充填管フランジ23の下面23bと、フランジ受部31の上面31aと、の間には、スラストワッシャ33(摩擦低減材)が挟み込まれている。スラストワッシャ33は、管軸方向から見て充填管フランジ23の下面23bとほぼ同一形状の円環薄板状をなす。スラストワッシャ33は、その材料及び表面状態により、鋼材の平滑面(充填管フランジ23の下面23b、フランジ受部31の上面31a)に対する低摩擦を実現するものである。スラストワッシャ33の上端面33aは充填管フランジ23の下面23bに密着し当該下面23b上を円滑に滑る。また、スラストワッシャ33の下端面33bはフランジ受部31の上面31aに密着し当該上面31a上を円滑に滑る。スラストワッシャ33の素材は、例えば高力黄銅鋳物である。市販のスラストワッシャが上記スラストワッシャ33として採用されてもよい。
【0025】
以上のようなコンクリート打設管1による作用効果について説明する。このコンクリート打設管1においては、充填管7の重量による荷重が充填管フランジ23の下面23bからフランジ受部31の上面31aに対して鉛直方向に作用するので、この下面23bと上面31aとの間の摩擦が、円滑な充填管7の回転の妨げになり得る。これに対して、コンクリート打設管1によれば、スラストワッシャ33の存在により、充填管フランジ23の下面23bと、フランジ受部31の上面31aと、の摩擦が低減される。その結果、ジョイント部9においては、接続管5に対する充填管7の回転抵抗が低減され、充填管7は小さい捩り力によって回転可能である。そして、作業者が充填管7のうち可撓性で低剛性の部位(本実施形態ではゴムホース15)を持って作業する場合に、当該部位を捩る操作によって、充填管7を回転させることができる。
【0026】
本発明は、上述した実施形態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した様々な形態で実施することができる。また、上述した実施形態に記載されている技術的事項を利用して、下記の変形例を構成することも可能である。各実施形態の構成を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0027】
例えば、実施形態のコンクリート打設管1において、Oリング27は省略されてもよい。Oリング27を省略する場合、Oリング27の摩擦に起因する充填管7の回転抵抗が削減される観点で好ましい。また、スラストワッシャ33に代えて、回転方向の摩擦を低減できるような他の種類の摩擦低減材が、充填管フランジ23の下面23bと、フランジ受部31の上面31aと、の間に挟まれてもよい。また、スラストワッシャ33の素材は高力黄銅鋳物には限定されず、金属製、樹脂製、セラミック製と様々な素材のスラストワッシャを適用することができる。また、スラストワッシャ33の素材としては、摩擦係数が小さいのみならず、接続管5及び充填管7よりも摩耗し易い材質の素材が選択されてもよい。スラストワッシャ33が接続管5及び充填管7よりも摩耗し易い場合には、接続管5及び充填管7の摩耗が抑制され、メンテナンス時には摩耗したスラストワッシャ33のみを交換すればよい。
【0028】
例えば、
図5は、変形例に係るコンクリート打設管51を示す断面図である。コンクリート打設管51は、コンクリート打設管1の構成に加えて更に、接続管フランジ21の下面21bと充填管フランジ23の上面23aとの間にも、スラストワッシャ33が挟み込まれている。この構成によれば、下面21bと、上面23aと、の回転方向の摩擦も更に低減され、その結果、ジョイント部9においては、接続管5に対する充填管7の回転抵抗が更に低減される。なお、コンクリート打設管51においては、Oリング27及び蝶ねじ43(
図2参照)が省略されている。コンクリート打設管51のうち前述のコンクリート打設管1と同一又は同等の構成要素については、図面で同一符号を付し重複する説明を省略する。
【0029】
また、実施形態では、ボルト締結された接続管フランジ21及び充填管受リング29によってフランジ保持部47が構成されているが、フランジ保持部47が一体的に形成されてもよいし、3以上の部品によって構成されてもよい。
【0030】
また、実施形態では、前述のようなフランジ保持部47が接続管5(第1管)の下端部に設けられて、当該フランジ保持部47が充填管7(第2管)の充填管フランジ23を内側に保持する構造が採用されているが、このような接続管5と充填管7との関係が逆であってもよい。すなわち、フランジ保持部47が充填管7(第1管)の上端部に設けられ、当該フランジ保持部47が接続管5(第2管)の接続管フランジ21を内側に保持する構造であってもよい。この場合におけるジョイント部の断面図は、
図2又は
図5のジョイント部9の断面図を上下反転させたようなものになる。
【符号の説明】
【0031】
1,51…コンクリート打設管、3…コンクリート供給管(供給源)、5…接続管、7…充填管、7b…吐出口、15…ゴムホース、15b…ホース下部(吐出口側の区間)、21…接続管フランジ(第1管フランジ)、21b…下面(第2のストッパ面)、23…充填管フランジ(第2管フランジ)、23a…上面、23b…下面(裏面)、27…Oリング(シール材)、29…充填管受リング(フランジ掛止部材)、31a…上面(ストッパ面)、33…スラストワッシャ(摩擦低減材)、47…フランジ保持部、T…打設領域。