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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20240619BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20240619BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20240619BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
B41J29/38 203
B41J29/00 Z
G06F3/12 318
G06F3/12 339
G06F3/12 367
G06F3/12 386
G06F3/12 387
H04N1/00 127A
H04N1/00 912
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020143147
(22)【出願日】2020-08-27
(65)【公開番号】P2022038569
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】中尾 秀雄
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-083809(JP,A)
【文献】特開2006-209504(JP,A)
【文献】特開2010-044744(JP,A)
【文献】特開2019-081302(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00 -29/38
H04N 1/00
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
業務用アカウントおよび個人用アカウントのそれぞれに対して、自印刷装置の利用可能時間帯および印刷データの送信元の範囲を設定可能であり、前記業務用アカウントおよび前記個人用アカウントのいずれかをアカウント種別として指定可能であって、ユーザ毎に指定されたアカウント種別に応じた自印刷装置の利用可能時間帯および印刷データの送信元を設定する設定部と、
前記業務用アカウントまたは前記個人用アカウントに基づいて、前記業務用アカウントまたは前記個人用アカウントに設定された印刷データの送信元のみから印刷データを取得する取得部と、
を備えることを特徴とする印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の印刷装置は、特定の時刻や曜日以外に印刷装置の機能を利用できないようにするため、印刷装置の利用可能時間帯を制限する設定を行う(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-348279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、印刷装置の利用可能時間帯を制限するため、利用可能時間帯以外の時間帯で印刷装置を利用できず、印刷装置を有効に活用できないという課題があった。
【0005】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、印刷装置を有効に活用することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、本発明に係る印刷装置は、ユーザ毎に、業務用アカウントと個人用アカウントのうちいずれかを指定可能であって、前記業務用アカウントおよび前記個人用アカウントについて、それぞれ、自印刷装置の利用可能時間帯と印刷データの送信元とを設定する設定部と、前記業務用アカウントまたは前記個人用アカウントに基づいて、前記業務用アカウントまたは前記個人用アカウントに設定された印刷データの送信元のみから印刷データを取得する取得部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、印刷装置を有効に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】印刷システムの全体構成を示す図である。
図2】アカウントの設定処理フローを示す図である。
図3】個人用および業務用の各アカウントの設定例を示す図である。
図4】個人用アカウントで印刷する場合の印刷処理フローを示す図である。
図5】業務用アカウントで印刷する場合の印刷処理シーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施する一実施形態について図面を用いて説明する。
【0010】
[発明の概要]
本発明は、オフィスに設置されている印刷装置を従業者(以降、ユーザ)により有効に活用するため、時間帯により印刷装置の私的利用を可能にする方法を開示する。
【0011】
具体的には、本発明は、業務用と個人用のうちいずれかのアカウントを指定可能とし、各アカウントについて、印刷装置の利用可能時間帯、印刷データの送信元、業務印刷用トレイまたは個人印刷用トレイに関するトレイ種別、を設定可能とする。これにより、個人用アカウントに設定された利用可能時間帯で印刷装置の私的利用が可能になり、印刷装置を有効に活用することができる。
【0012】
また、印刷費は一般に印刷装置の利用契約者である使用者に請求される。しかし、印刷装置の私的利用はユーザの業務と無関係であるため、私的利用を行ったユーザに請求すべきである。そこで、本発明は、印刷装置の私的利用に伴い印刷料金を算出して表示し、印刷前にユーザに事前通知することで、印刷料金を請求可能とする。これにより、私的利用時においても印刷装置を適切に活用することができる。
【0013】
また、ユーザは業務用PCで業務を遂行し、その業務用PCにインストールされたプリンタドライバを通じて印刷データを印刷装置で印刷する。このとき、プリンタドライバは、印刷装置が個人印刷用の給紙トレイを備える場合、その給紙トレイをユーザに選択させることも可能である。しかし、業務に関連しない私的用途の用紙を格納した給紙トレイを業務用PCで選択させるべきではない。そこで、本発明は、印刷設定画面で個人印刷用トレイに関する情報を表示させないようにする。これにより、業務利用時においても印刷装置を適切に活用することができる。
【0014】
[印刷システムの構成]
図1は、本実施形態に係る印刷システムの全体構成を示す図である。印刷システムは、印刷装置1と、USBメモリ2と、業務用PC3と、個人用PC4と、クラウドサーバ5と、を備える。
【0015】
USBメモリ2および業務用PC3は、それぞれ、印刷装置1が設置されたオフィスで使用される業務用のデータ記憶端末と情報処理端末である。USBメモリ2には、印刷データが格納されており、印刷装置1のUSBインタフェースに挿入されることで、その印刷データが印刷装置1に出力される。業務用PC3は、ローカル通信網を介して印刷装置1に接続されており、印刷装置1のプリンタドライバをインストールしてユーザにより印刷実行されることで、印刷データを印刷装置1に出力する。印刷データは、印刷装置1の記憶部12の業務用データ領域121に格納される。
【0016】
個人用PC4およびクラウドサーバ5は、それぞれ、印刷装置1を私的利用する際に使用される情報処理端末とサーバ装置である。個人用PC4は、ユーザによるアップロード命令に基づき、印刷データをクラウドサーバ5にアップロードする。クラウドサーバ5は、個人用PC4からアップロードされた印刷データを記憶する。クラウドサーバ5は、グローバル通信網を介して印刷装置1に接続されており、記憶している個人用PC4の印刷データは、印刷装置1によりダウンロードされる。この印刷データが、印刷装置1を私的利用して印刷したい印刷対象である。
【0017】
印刷装置1について説明する。印刷装置1は、印刷データの画像を形成する画像形成装置であり、かつ、その画像を用紙に印刷する印刷機である。印刷装置1は、プロセッサやメモリなどのコンピュータを内蔵しており、図1に示したように、制御部11と、記憶部12と、操作パネル13と、給紙トレイ14と、印刷部15と、を備える。
【0018】
制御部11は、図1に示すように、アカウント設定部111と、利用可能時間帯判定部112と、印刷データ取得部113と、印刷設定画面生成部114と、利用可能リソース判定部115と、印刷料金算出部116と、を備える。
【0019】
アカウント設定部(設定部)111は、印刷装置1を利用するユーザのアカウントを設定する機能を備える。例えば、アカウント設定部111は、ユーザ毎に、業務用アカウントと個人用アカウントのうちいずれかを指定可能であって、業務用アカウントおよび個人用アカウントについて、それぞれ、印刷装置1の利用可能時間帯、印刷データの送信元、給紙トレイ14のトレイ種別(業務印刷用トレイ141または個人印刷用トレイ142)、を設定する機能を備える。
【0020】
利用可能時間帯判定部112は、印刷データの印刷開始時刻が、印刷を行う印刷ユーザのアカウントに設定された印刷装置1の利用可能時間帯であるか否かを判定する機能を備える。印刷装置1の利用可能時間帯は、業務用または個人用のアカウント種別により異なる。業務用アカウントの場合、印刷装置1の利用可能時間帯に制限はなく、個人用アカウントの場合、印刷装置1の利用可能時間帯に制限がある。
【0021】
印刷データ取得部(取得部)113は、業務用アカウントまたは個人用アカウントに基づいて、印刷対象である印刷データを、印刷ユーザのアカウントに設定された印刷データの送信元のみから取得する機能を備える。印刷データの送信元は、業務用または個人用のアカウント種別に応じて制限される。例えば、業務用アカウントの場合、USBメモリ2または業務用PC3のみとし、個人用アカウントの場合、クラウドサーバ5のみとする。
【0022】
印刷設定画面生成部114は、操作パネル13に表示する印刷設定画面を生成する機能を備える。印刷設定画面には、印刷部数などが表示され、給紙トレイの設定項目については、印刷ユーザのアカウントに設定されたトレイ種別の給紙トレイのみが表示される。
【0023】
利用可能リソース判定部115は、印刷装置1で利用可能なリソースを判定する機能を備える。例えば、利用可能リソース判定部115は、操作パネル13の印刷設定画面で印刷ユーザが選択した印刷データ送信元およびトレイ種別が、その印刷ユーザのアカウントに設定された印刷データ送信元およびトレイ種別であるか否かを判定する。例えば、利用可能リソース判定部115は、プリンタドライバからの問い合わせに応じ、各トレイが各々業務印刷用トレイ141であるか否かを判定する。利用可能リソース判定部115は、業務印刷用トレイ141ではなく、個人印刷用トレイ142があるか否か、業務印刷用トレイ141と個人印刷用トレイ142の両トレイがあるか否か、を判定してもよい。
【0024】
印刷料金算出部116は、ユーザが印刷装置1を私的利用する場合に印刷料金を算出し、その印刷料金を印刷前に操作パネル13に表示する機能を備える。例えば、印刷料金算出部116は、個人用アカウントで印刷データを印刷する場合、その印刷データの印刷前に、ユーザの選択するカラーモード(CMYKカラー、モノクロカラーなど)に応じた印刷料金を算出して操作パネル13に表示する。この印刷料金は、印刷装置1を私的利用したユーザに対して請求する請求料金となる。
【0025】
記憶部12は、業務用データ領域121と、個人用データ領域122と、を備える。
【0026】
業務用データ領域121は、業務用アカウントに関するデータ、USB2または業務用PC3から出力された印刷データ、を記憶する。個人用データ領域122は、業務用アカウントに関するデータを記憶する。記憶部12は、これらの領域を別々にそれぞれ管理する。
【0027】
業務用または個人用の各アカウントに関するデータとは、例えば、ユーザID、パスワード、アカウント種別(業務用または個人用)、印刷装置1の利用可能時間帯、印刷データの送信元、トレイ種別(業務印刷用トレイまたは個人印刷用トレイ)、印刷費請求の有無、再印刷の可否、である。
【0028】
プリンタドライバとは、印刷装置1を印刷装置1以外の装置で制御するためのソフトウェアプログラムである。プリンタドライバは、業務用PC3にインストールされ、インストールされた業務用PC3において、印刷装置1に対して各トレイが各々業務印刷用トレイ141であるか否かを問い合わせ、利用不可のトレイ、すなわち個人印刷用トレイ142がある場合、業務用PC3のディスプレイに出力する印刷設定画面の設定項目に個人印刷用トレイ142に関する情報を表示させない処理を実行する。
【0029】
操作パネル13は、アカウント登録画面、ログイン画面、印刷設定画面などの画面を表示するディスプレイ(表示装置)である。
【0030】
給紙トレイ14は、印刷用の用紙を格納した給紙トレイであり、業務印刷用トレイ141と、個人印刷用トレイ142と、を備える。業務印刷用トレイ141は、印刷装置1の業務利用時に使用する給紙トレイである。個人印刷用トレイ142は、印刷装置1の私的利用時に使用する給紙トレイである。例えば、業務印刷用トレイ141には白色無地の用紙が格納され、個人印刷用トレイ142には絵柄や罫線入りの個人用途の用紙が格納される。
【0031】
印刷部15は、業務印刷用トレイ141または個人印刷用トレイ142から給紙された用紙に印刷データを印刷する機能を備える。例えば、印刷部15は、インクカートリッジ、インクジェットヘッドなどである。
【0032】
[アカウントの設定方法]
次に、印刷装置1に対するアカウントの設定方法について説明する。図2は、アカウントの設定処理フローを示す図である。
【0033】
ステップS101;
アカウント設定部111は、アカウント登録画面を操作パネル13に表示する。ユーザがアカウント登録画面内の登録開始ボタンを押し下げると、アカウント設定部111は、ユーザIDを任意に決定し、ユーザによりアカウント登録画面内に入力されたパスワードを受け付ける。
【0034】
ステップS102;
次に、アカウント設定部111は、アカウント種別の選択画面を表示し、ユーザが選択したアカウント種別(個人用または業務用)を受け付ける。なお、アカウント登録画面からアカウント種別の選択画面へ遷移させず、1つの画面で全ての設定情報を入力させるようにしてもよい。
【0035】
ステップS103;
次に、アカウント設定部111は、ユーザが選択したアカウント種別を判定し、そのアカウント種別が個人用であればステップS104~ステップS106を行い、そのアカウント種別が業務用であればステップS107~ステップS109を行う。
【0036】
ステップS104;
次に、アカウント設定部111は、印刷装置1の利用可能時間帯、印刷データ送信元、トレイ種別(業務印刷用トレイまたは個人印刷用トレイ)をそれぞれ入力する画面を表示し、ユーザが入力した各値を受け付ける。ただし、ここでは印刷装置1を私的利用する個人用アカウントの登録であるため、業務に配慮して一定の制限を設ける。例えば、印刷装置1の利用可能時間帯は、昼休みなどの一定時間帯のみとする。印刷データ送信元は、クラウドサーバ5のみを許可し、USBメモリ2および業務用PC3は許可しない。トレイ種別は、個人印刷用トレイ142のみとする。
【0037】
ステップS105;
次に、アカウント設定部111は、印刷費請求の有無、再印刷の可否を決定する。ここでも印刷装置1を私的利用する個人用アカウントの登録であるため、印刷費請求はありとし、再印刷は不可とする。
【0038】
ステップS106;
最後に、アカウント設定部111は、ユーザID、パスワード、アカウント種別(個人用)、印刷装置1の利用可能時間帯(制限あり)、印刷データの送信元(クラウドサーバ5)、トレイ種別(個人印刷用トレイ142)、印刷費請求あり、再印刷不可、を関連付けて、個人用アカウントとして記憶部12の個人用データ領域122に格納する。個人用アカウントの例を図3(a)に示す。個人用アカウントは、後述の業務用アカウントとは独立したアカウントである。その後、処理を終了する。
【0039】
ステップS107;
ステップS103で判定したアカウント種別が業務用である場合にも、個人用の場合と同様に、アカウント設定部111は、印刷装置1の利用可能時間帯、印刷データ送信元、トレイ種別(業務印刷用トレイまたは個人印刷用トレイ)をそれぞれ入力する画面を表示し、ユーザが入力した各値を受け付ける。ただし、ここでは印刷装置1の業務利用であることに配慮する。例えば、印刷装置1の利用可能時間帯は、制限を設けない。印刷データ送信元は、USBメモリ2または業務用PC3のみを許可する。トレイ種別は、業務印刷用トレイ141のみとする。
【0040】
ステップS108;
次に、アカウント設定部111は、印刷費請求の有無、再印刷の可否を決定する。ここでも印刷装置1の業務利用であることに配慮し、印刷費請求はなしとし、再印刷は可とする。
【0041】
ステップS109;
最後に、アカウント設定部111は、ユーザID、パスワード、アカウント種別(業務用)、印刷装置1の利用可能時間帯(制限なし)、印刷データの送信元(USBメモリ2または業務用PC3)、トレイ種別(業務印刷用トレイ141)、印刷費請求なし、再印刷可、を関連付けて、業務用アカウントとして記憶部12の業務用データ領域121に格納する。業務用アカウントの例を図3(b)に示す。業務用アカウントは、前述の個人用アカウントとは独立したアカウントである。その後、処理を終了する。
【0042】
以上の通り、個人用アカウントを指定可能であり、その個人用アカウントに対して、印刷装置1の利用可能時間帯、印刷データの送信元、個人印刷用トレイ、を設定するので、設定された利用可能時間帯で印刷装置1の私的利用が可能になり、印刷装置1を有効に活用することができる。
【0043】
[個人用アカウントによる印刷処理]
次に、個人用アカウントによる印刷処理について説明する。図4は、個人用アカウントで印刷する場合の印刷処理フローを示す図である。
【0044】
ステップS201;
制御部11は、ログイン画面を操作パネル13に表示する。ユーザがログイン画面内にユーザID、パスワード、アカウント種別を入力すると、制御部11は、ログイン処理を実行する。ここでは、ユーザは、個人用アカウントでログインしたと仮定する。
【0045】
ステップS202;
次に、利用可能時間帯判定部112は、ログインした印刷ユーザの個人用アカウントに関するデータを記憶部12の個人用データ領域122から読み出し、現在の印刷開始時刻が、その個人用アカウントに設定された印刷装置1の利用可能時間帯であるか否かを判定する。現在の印刷開始時刻が印刷装置1の利用可能時間帯に含まれる場合、印刷処理を継続するため、以降のステップへ進む。現在の印刷開始時刻が印刷装置1の利用可能時間帯に含まれない場合、印刷装置1の私的利用時間外であるため、処理を終了する。
【0046】
ステップS203;
次に、印刷データ取得部113は、個人用データ領域122から読み出された上記個人用アカウントを参照し、印刷データ送信元の欄内に設定されているクラウドサーバ5から印刷データをダウンロードして、その印刷データを個人用データ領域122に一時格納する。印刷データ送信元の欄には、印刷データが格納されたクラウドサーバ5のURLまたはURIが設定されている。
【0047】
ステップS204;
次に、印刷設定画面生成部114は、個人用データ領域122から読み出された上記個人用アカウントを参照し、トレイ種別の欄内に設定されている個人印刷用トレイを給紙トレイの設定項目に設定した印刷設定画面を生成して、その印刷設定画面を操作パネル13に表示する。このとき、印刷設定画面生成部114は、料金請求の対象としない業務印刷用トレイについては給紙トレイの設定項目に表示しない。
【0048】
ステップS205;
次に、印刷料金算出部116は、上記印刷設定画面でユーザが所定のカラーモードを選択すると、その選択したカラーモードに応じた印刷料金を算出し、その印刷料金を操作パネル13に表示する。このとき、印刷料金算出部116は、ユーザがカラーモードを変更する毎に、印刷料金を再計算して表示し直す。印刷料金算出部116は、用紙サイズや印刷部数などに応じて印刷料金を計算してもよいし、印刷料金を後日請求することを積極的に表示してもよい。印刷ユーザは、このタイミングで現在の私的印刷により印刷料金が請求されることを知る。
【0049】
ステップS206;
次に、印刷部15は、ユーザが上記印刷設定画面内の印刷実行開始ボタンを押し下げると、個人印刷用トレイから給紙された用紙に、クラウドサーバ5からダウンロードしていた印刷データを印刷する。
【0050】
ステップS207;
最後に、制御部11は、印刷した印刷データを個人用データ領域122から削除する。これにより、個人的な印刷データが印刷装置1から消去される。
【0051】
以上の通り、印刷装置1の私的利用に伴い印刷料金を算出し、その印刷料金を印刷前に表示してユーザに通知するので、私的利用時においても印刷装置1を適切に活用することができる。また、印刷後に印刷データを削除するので、職場への個人データの流入を防止することができる。
【0052】
[業務用アカウントによる印刷処理]
次に、業務用アカウントによる印刷処理について説明する。図5は、業務用アカウントで印刷する場合の印刷処理シーケンスを示す図である。ここでは、業務用PC3は、印刷装置1のプリンタドライバをインストール済みであり、業務用PC3のユーザは、業務用アカウントで印刷装置1にログインしていると仮定する。
【0053】
ステップS301;
ユーザが業務用PC3の業務用ソフトウェアで印刷データの印刷設定画面を表示する際に、その業務用PC3にインストール済みのプリンタドライバは、印刷装置1に対して、印刷装置1の各トレイ種別が業務用印刷トレイであるか否かを問い合わせる。
【0054】
ステップS302;
次に、印刷装置1の利用可能リソース判定部115は、印刷装置1の各トレイが各々業務印刷用トレイであるか否かを判定する。
【0055】
ステップS303;
次に、印刷装置1の利用可能リソース判定部115は、印刷装置1の各トレイが各々業務印刷用トレイであるか否かの判定結果を業務用PC3のプリンタドライバへ返信する。
【0056】
ステップS304;
次に、業務用PC3のプリンタドライバは、印刷設定画面を業務用PC3のディスプレイに表示する。このとき、プリンタドライバは、利用可能リソース判定部115から返信された各トレイのうち業務用印刷トレイを印刷設定画面の給紙トレイの設定項目に表示し、料金請求の対象である個人印刷用トレイについては、印刷設定画面の給紙トレイの設定項目に表示しない。これにより、業務用PC3で個人用印刷トレイの選択は不能となる。
【0057】
ステップS305;
次に、業務用PC3のプリンタドライバは、ユーザが上記印刷設定画面内の印刷実行開始ボタンを押し下げると、印刷命令および印刷データを印刷装置1へ送信する。
【0058】
ステップS306;
最後に、印刷装置1の印刷部15は、業務印刷用トレイから給紙された用紙に、業務用PC3から送信された印刷データを印刷する。
【0059】
以上の通り、業務用PC3の印刷設定画面に個人印刷用トレイを表示させないので、業務利用時においても印刷装置1を適切に活用することができる。
【0060】
[実施形態の効果]
本実施形態によれば、印刷装置1のアカウント設定部111が、ユーザ毎に、業務用アカウントと個人用アカウントのうちいずれかを指定可能であって、業務用アカウントおよび個人用アカウントについて、それぞれ、印刷装置1の利用可能時間帯と印刷データの送信元とを設定するので、設定された利用可能時間帯で印刷装置1を私的利用可能となり、オフィスに設置された印刷装置1を有効に活用することができる。
【0061】
また、本実施形態によれば、印刷データ取得部113が、業務用アカウントまたは個人用アカウントに基づいて、業務用アカウントまたは個人用アカウントに設定された印刷データの送信元のみから印刷データを取得するので、個人用アカウントによる業務用印刷データの印刷を禁止できるようになり、情報漏洩の可能性を低減できる。
【0062】
また、本実施形態によれば、印刷装置1の印刷料金算出部116が、個人用のアカウントで印刷データを印刷する場合、印刷データの印刷前に、ユーザの選択するカラーモードに応じた印刷料金を算出して操作パネル13に表示するので、カラーモードの種別に応じて印刷料金が異なること、印刷料金が別途請求されることをユーザに予め通知可能となり、私的利用時においても印刷装置1を適切に活用することができる。
【0063】
また、本実施形態によれば、業務用PC3にインストールされたプリンタドライバが、印刷装置1に対して業務印刷用トレイおよび個人印刷用トレイがあるか否かを問い合わせ、個人印刷用トレイがある場合、業務用PC3のディスプレイに出力する印刷設定画面の設定項目に個人印刷用トレイに関する情報を表示させないので、業務印刷用トレイのみを選択可能となり、業務利用時においても印刷装置1を適切に活用することができる。
【0064】
また、本実施形態によれば、個人用アカウントで印刷する場合、印刷装置1のアカウント設定部111が、印刷データの送信元を職場のデバイスは不可としてクラウドサーバ5のみに限定し、印刷装置1の制御部11が、印刷後に印刷データを印刷装置1から削除するので、職場への個人データの流入を防止しつつ、オフィスの印刷装置1を有効に活用することができる。
【0065】
[その他]
本実施形態で説明した印刷装置1に対して封入封緘装置等も更に含めてもよい。
【0066】
[付記]
本出願は、以下の発明を開示する。
【0067】
(付記1)
ユーザ毎に、業務用アカウントと個人用アカウントのうちいずれかを指定可能であって、前記業務用アカウントおよび前記個人用アカウントについて、それぞれ、自印刷装置の利用可能時間帯と印刷データの送信元とを設定する設定部と、
前記業務用アカウントまたは前記個人用アカウントに基づいて、前記業務用アカウントまたは前記個人用アカウントに設定された印刷データの送信元のみから印刷データを取得する取得部と、
を備えることを特徴とする印刷装置。
【符号の説明】
【0068】
1…印刷装置
11…制御部
111…アカウント設定部
112…利用可能時間帯判定部
113…印刷データ取得部
114…印刷設定画面生成部
115…利用可能リソース判定部
116…印刷料金算出部
12…記憶部
121…業務用データ領域
122…個人用データ領域
123…プリンタドライバデータ領域
13…操作パネル
14…給紙トレイ
141…業務印刷用トレイ
142…個人印刷用トレイ
15…印刷部
図1
図2
図3
図4
図5