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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】エンジン作業機の吸気ダクト構造
(51)【国際特許分類】
   F02B 77/13 20060101AFI20240619BHJP
   F01P 5/06 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
F02B77/13 P
F01P5/06 511A
F02B77/13 M
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020146999
(22)【出願日】2020-09-01
(65)【公開番号】P2022041657
(43)【公開日】2022-03-11
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】509264132
【氏名又は名称】株式会社やまびこ
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 卓弥
(72)【発明者】
【氏名】本岡 正幸
【審査官】小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】特開昭50-157735(JP,A)
【文献】特開平09-203326(JP,A)
【文献】特開2000-097039(JP,A)
【文献】特開2003-264957(JP,A)
【文献】特開2015-017504(JP,A)
【文献】特開2017-122395(JP,A)
【文献】実開昭53-079942(JP,U)
【文献】実開昭53-154933(JP,U)
【文献】実開平03-056840(JP,U)
【文献】実開平03-114538(JP,U)
【文献】実開平07-017922(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0260901(US,A1)
【文献】米国特許第10411556(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01P 5/06
F02B 63/00
F02B 77/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
前記エンジンによって駆動される被駆動機と、
前記エンジン及び前記被駆動機を収容する筐体とを備えたエンジン作業機の吸気ダクト構造において、
前記筐体が有するドアには、外部の空気を吸い込むための吸気口が形成され、
前記筐体の内部には、前記吸気口に接続される吸入空気通路を形成する吸気ダクト構成部材と、前記吸入空気通路の外部において当該吸入空気通路から前記筐体内に排出された空気を所定方向に案内する複数の吸音板とが設けられ
前記吸気ダクト構成部材は、前記ドアの内面に固定されて前記吸入空気通路の流れ方向に延び、互いに対向するように配置された第1及び第2板部と、前記第1板部から前記第2板部まで延び、前記ドアの内面と対向するように配置された第3板部と、前記吸入空気通路の上流端を閉塞する閉塞板部とを備えており、
前記第1板部、前記第2板部、前記第3板部、前記閉塞板部及び前記ドアの内面により、前記吸入空気通路が形成され、
複数の前記吸音板は、互いに厚み方向に間隔をあけて配置されるとともに前記ドアの内面に固定され、当該ドアの内面から前記筐体内へ向けて突出するとともに、前記吸入空気通路の下流端である空気の排出口よりも空気流れ方向下流側へ離れて配置されていることを特徴とするエンジン作業機の吸気ダクト構造。
【請求項2】
請求項1に記載のエンジン作業機の吸気ダクト構造において、
前記吸音板は、前記吸入空気通路の下流側への延長方向に延びるように配置されていることを特徴とするエンジン作業機の吸気ダクト構造。
【請求項3】
請求項1に記載のエンジン作業機の吸気ダクト構造において、
前記吸音板は、前記吸入空気通路の下流側への延長方向と交差する方向に延びるように配置されていることを特徴とするエンジン作業機の吸気ダクト構造。
【請求項4】
請求項1からのいずれか1つに記載のエンジン作業機の吸気ダクト構造において、
前記吸音板は、発泡材からなる吸音材を備えていることを特徴とするエンジン作業機の吸気ダクト構造。
【請求項5】
請求項1からのいずれか1つに記載のエンジン作業機の吸気ダクト構造において、
前記吸気ダクト構成部材は、前記吸気口から上方へ向かって延びるように、前記吸入空気通路を形成することを特徴とするエンジン作業機の吸気ダクト構造。
【請求項6】
請求項1からのいずれか1つに記載のエンジン作業機の吸気ダクト構造において、
複数の前記吸音板は、互いに略平行であることを特徴とするエンジン作業機の吸気ダクト構造。
【請求項7】
請求項1からのいずれか1つに記載のエンジン作業機の吸気ダクト構造において、
複数の前記吸音板は、前記吸入空気通路から前記筐体内に排出された空気を前記筐体内の被冷却部へ向けて案内することを特徴とするエンジン作業機の吸気ダクト構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンを筐体に収容したエンジン作業機の吸気ダクト構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種のエンジン作業機としては、例えばエンジンの動力によって発電機を駆動するエンジン発電機やエンジン溶接機、エンジンの動力によって圧縮機を駆動するエンジンコンプレッサ等が知られている。これらエンジン作業機では、運転時の騒音低減の観点からエンジンと共に発電機等が筐体に収容されている。その筐体は騒音低減効果を高めるためにエンジンや発電機等が露出しないように形成されているが、エンジンを収容している関係上、エンジンへ供給する空気を吸い込むための吸気ダクトを筐体に設ける必要がある。
【0003】
特許文献1に開示されているエンジン作業機には、ドアまたは側壁に吸気口が形成されており、この吸気口の機内側には上方へ延びる吸気ダクトが設けられている。吸気ダクトの内側に形成される空気流路内には、当該空気流路を流れる空気を整流する複数枚の仕切板が互いに平行に配置されている。この特許文献1には、仕切板によって乱流の発生が抑制されて風切音が低減するとともに、吸気ダクト内の空気流路を仕切板によって区画して個々の流路を狭くすることで機内の騒音が外部へ抜け難くなることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6076213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、吸気ダクト内に仕切板を配置すると、仕切板の断面積分、吸気ダクト内の通路断面積が縮小することになる。特許文献1ではその仕切板を複数枚配置することが前提となっているので、吸気ダクト内の通路断面積が大きく縮小してしまうことになり、その結果、吸気量が低下して機内の冷却性能の低下を招くおそれがある。特に、特許文献1では、機内の騒音が外部へ抜け難くするために、吸気ダクト内の空気流路を複数に区画して個々の流路の断面積を積極的に狭くしているが、このような狭い空気流路では、個々の空気流路で吸気抵抗が増加して吸気量が低下しやすくなることが考えられるとともに、個々の空気流路内の流速が高まることによって風切音が発生しやすくなることも考えられる。このことを回避するためには、吸気ダクトを大型化すればよいが、吸気ダクトを大型化しようとすると、筐体の大型化を招き、好ましくない。
【0006】
また、特許文献1では仕切板が吸気ダクト内に配置されていて機内には臨んでいないので、仕切板によって機内の騒音を直接吸収するという効果は極めて低い。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、吸気ダクトによる機内への吸気量を十分に確保して冷却性能を高めながら、外部騒音を効率よく低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では、吸気ダクト内の通路断面積が大きく縮小しないように、かつ、機内の騒音を直接吸音できるように吸音板を配置した。
【0009】
第1の発明は、エンジンと、前記エンジンによって駆動される被駆動機と、前記エンジン及び前記被駆動機を収容する筐体とを備えたエンジン作業機の吸気ダクト構造において、前記筐体には、外部の空気を吸い込むための吸気口が形成され、前記筐体の内部には、前記吸気口に接続される吸入空気通路を形成する吸気ダクト構成部材と、前記吸入空気通路の外部において当該吸入空気通路から前記筐体内に排出された空気を所定方向に案内する複数の吸音板とが設けられていることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、筐体の吸気口から吸い込まれた空気は、吸気ダクト構成部材によって形成された吸入空気通路を流通して当該吸入空気通路から筐体内に排出される。吸入空気通路から筐体内に排出された空気は、複数の吸音板によって所定方向に案内され、エンジンや被駆動機等の必要な箇所に供給されてエンジンの吸気や各部の冷却風として利用される。
【0011】
複数の吸音板は、吸入空気通路の外部において空気を案内するように配置されているので、吸音板の全てまたは大部分が吸入空気通路の外部に配置される。これにより、複数の吸音板を設けることによって吸入空気通路の断面積が大きく縮小することはなく、機内への吸気量が十分に確保される。
【0012】
また、各吸音板の全てまたは大部分が吸入空気通路の外部に配置されているので、エンジンや被駆動機から発せられる騒音が吸音板によって直接吸音される。また、各吸音板の全てまたは大部分が吸入空気通路の外部に配置されていることで、吸音板により吸音可能な面積を増やすことができ、吸音効果が増大する。したがって、筐体内の騒音の音圧レベルが低減されるので、その筐体の内部から外部に放射される騒音が効率よく低減される。これにより、筐体の吸音口が形成された側だけでなく、筐体の全周囲に亘って低騒音化が図られる。また、吸音板により、吸気ダクト内において整流効果を得ることもできる。
【0013】
前記各吸音板の全てが吸入空気通路の外部に配置されていてもよいし、前記各吸音板の大部分が吸入空気通路の外部に配置され、残りの一部が吸入空気通路の内部に配置されていてもよい。各吸音板の一部が吸入空気通路の内部に配置されていたとしても、機内への吸気量を十分に確保することが可能であるとともに、低騒音化を図ることが可能である。
【0014】
複数の吸音板を、空気の流れ方向と交差する方向に互いに間隔をあけて配置してもよいし、空気の流れ方向に並ぶように配置してもよい。また、複数の吸音板は、吸入空気通路から筐体内に排出された空気を所定方向に案内することができればよいので、各吸音板の全部が吸気ダクト構成部材の外に配置されていてもよいし、各吸音板の一部が吸気ダクト構成部材の内部に配置されていてもよい。
【0015】
第2の発明は、前記吸音板は、前記吸入空気通路の下流側への延長方向に延びるように配置されていることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、吸入空気通路の下流側から筐体内に排出された空気が、吸音板によって当該吸入空気通路の延長方向へスムーズに案内されることになるので、所望の部分に確実に供給できる。
【0017】
第3の発明は、前記吸音板は、前記吸入空気通路の下流側への延長方向と交差する方向に延びるように配置されていることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、吸入空気通路の下流側から筐体内に排出された空気が、吸音板によって吸入空気通路の延長方向とは異なる方向へ案内されることになるので、吸入空気通路の延長方向とは異なる部分に冷却風を供給して冷却性能を高めることができる。
【0019】
第4の発明は、前記吸気口は、前記筐体が有するドアに形成されており、前記吸気ダクト構成部材は、前記ドアの内面に固定されて前記吸入空気通路の流れ方向に延び、互いに対向するように配置された第1及び第2板部と、前記第1板部から前記第2板部まで延び、前記ドアの内面と対向するように配置された第3板部と、前記吸入空気通路の上流端を閉塞する閉塞板部とを備えており、前記第1板部、前記第2板部、前記第3板部、前記閉塞板部及び前記ドアの内面により、前記吸入空気通路が形成されていることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、筐体内におけるドア近傍のスペースが空いている場合に、その空いているスペースに吸気ダクト構成部材を配置することで、スペースを有効利用できる。この場合に、ドアの内面を利用して吸入空気通路を形成できるので、より一層コンパクトにすることができる。
【0021】
第5の発明は、前記吸音板は、前記ドアの内面に固定され、当該ドアの内面から前記筐体内へ向けて突出していることを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、吸気ダクト構成部材と吸音板を1つのドアに固定することで、筐体内におけるドア近傍のスペースを有効利用できる。
【0023】
第6の発明は、前記吸音板は、前記筐体の上部に設けられている上部カバーまたは前記筐体の下部に設けられているフレームに固定されていることを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、吸音板を上部カバーに固定することで、吸入空気通路から筐体内に排出された空気をより上方まで案内することができる。また、吸音板を下部のフレームに固定することで、吸入空気通路から筐体内に排出された空気をより下方まで案内することができる。
【0025】
第7の発明は、前記吸気口は、前記筐体の側壁に形成されており、前記吸気ダクト構成部材は、前記側壁の内面に固定されて前記吸入空気通路の流れ方向に延び、互いに対向するように配置された第1及び第2板部と、前記第1板部から前記第2板部まで延び、前記側壁の内面と対向するように配置された第3板部と、前記吸入空気通路の上流端を閉塞する閉塞板部とを備えており、前記第1板部、前記第2板部、前記第3板部、前記閉塞板部及び前記側壁の内面により、前記吸入空気通路が形成されていることを特徴とする。
【0026】
この構成によれば、筐体内における側壁近傍のスペースが空いている場合に、その空いているスペースに吸気ダクト構成部材を配置することで、スペースを有効利用できる。この場合に、側壁の内面を利用して吸入空気通路を形成できるので、より一層コンパクトにすることができる。
【0027】
第8の発明は、前記吸音板は、前記吸入空気通路の下流端よりも下流側へ離れて配置されていることを特徴とする。
【0028】
この構成によれば、吸音板の全部が吸入空気通路の外部に配置されることになるので、吸入空気通路の断面積が吸音板によって縮小することはなく、機内への吸気量が十分に確保される。また、エンジンや被駆動機から発せられる騒音を吸音板の広い範囲で直接吸音することができ、吸音性能が向上する。
【0029】
第9の発明は、吸音板が発泡材からなる吸音材を備えているので、騒音を効率よく吸音できる。
【0030】
第10の発明は、吸気ダクト構成部材が、吸気口から上方へ向かって延びるように吸入空気通路を形成するので、雨水等が吸入空気通路に入り難くなる。
【0031】
第11の発明は、複数の吸音板が互いに略平行であるので、筐体内に排出された空気を所望方向へ確実に案内することができる。
【0032】
第12の発明は、吸入空気通路から筐体内に排出された空気を吸音板が筐体内の被冷却部へ向けて案内するので、被冷却部を確実に冷却することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、吸気ダクト構成部材によって形成された吸入空気通路の外部で空気を所定方向に案内する吸音板を複数設けたので、吸気ダクト構成部材による機内への吸気量を十分に確保して冷却性能を高めながら、外部騒音を効率よく低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の実施形態1に係るエンジン作業機の側面図である。
図2】実施形態1に係るドアを内側から見た斜視図である。
図3図1におけるIII-III線断面図である。
図4図1におけるIV-IV線断面図である。
図5】実施形態1の変形例に係るドアの側面図である。
図6】実施形態1の変形例に係るドアを内側から見た斜視図である。
図7図5におけるVII-VII線断面図である。
図8図5におけるVIII-VIII線断面図である。
図9】本発明の実施形態2に係るエンジン作業機の側面図である。
図10図9におけるX-X線断面図である。
図11】本発明の実施形態3に係るエンジン作業機の側面図である。
図12図11におけるXII-XII線断面図である。
図13】本発明の実施形態4に係る吸気ダクト構造を示す斜視図である。
図14】本発明の実施形態5に係る吸気ダクト構造を示す斜視図である。
図15】本発明の実施形態6に係る吸気ダクト構造を示す斜視図である。
図16】本発明の実施形態7に係る吸気ダクト構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0036】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るエンジン作業機1の側面図である。エンジン作業機1は、エンジンEと、エンジンEよって駆動される被駆動機としての発電機Gと、エンジンE及び被駆動機Gを収容する筐体10とを備えた可搬型の発電装置である。エンジン作業機1の被駆動機は、発電機G以外にも、例えば圧縮機やポンプ等であってもよい。また、エンジン作業機1は、発電機Gを備えた溶接機等であってもよいし、その他、エンジンEによって駆動される各種被駆動機を備えた作業機であってもよい。
【0037】
エンジン作業機1の下部には、水平方向に延びるフレーム11が設けられており、このフレーム11もエンジン作業機1の一構成部材である。フレーム11には、エンジンE及び発電機Gが取り付けられている。尚、図示しないが、各種補機類もフレーム11に取り付けられている。
【0038】
エンジンEのクランク軸(図示せず)から出力される駆動力が発電機Gに入力されるようになっている。エンジンEと発電機Gとは、クランク軸方向に並ぶように配置されているが、この配置に限られるものではない。この実施形態の説明では、図1に示すように前及び後を定義し、エンジンEの後側に発電機Gが配置されている例について説明するが、これは説明の便宜を図るために定義するだけであり、実際の使用状態や製造時にどちら側が前であっても、後であってもよい。
【0039】
エンジンEは、ラジエータR、冷却ファンF、エアクリーナAを備えている。ラジエータRは、エンジンEの前方に配置され、エンジン冷却水を冷却するための熱交換器である。ラジエータRにはエンジンEの運転時にエンジン冷却水が循環するようになっている。冷却ファンFは、ラジエータRの後方に配置され、ラジエータRに冷却風を供給するためのものである。冷却ファンFは、エンジンEまたは図示しないモータ等によって駆動することができる。エアクリーナAは、発電機Gの上方に配置されており、エンジンEへ吸入される空気を濾過するためのものである。エアクリーナAには前側へ向けて開口する吸気口A1が設けられている。
【0040】
エンジンE及び発電機Gが前後方向に並んでいるので、筐体10はその前後方向が左右方向(幅方向)に比べて長い箱型形状となっている。筐体10は、側壁12と、ドア13と、上部カバー14とを備えている。側壁12は、フレーム11の上部から上方へ延びるとともに、エンジンE及び発電機Gの周囲を囲むように形成されている。側壁12の上部に上部カバー14が設けられている。この上部カバー14により、側壁12で囲まれた空間の上方が覆われるようになっている。
【0041】
ドア13は、側壁12に設けられている。すなわち、側壁12の前後方向に延びる部分には、前後方向の中間部にドア13によって開閉される矩形状の開口部12aが形成されている。開口部12aは、エンジンEの側方に位置しており、エンジンE等の補修や修理作業が容易に行える位置に開口している。開口部12aの下縁部は、フレーム11の上部近傍に位置しており、また、開口部12aの上縁部は、上部カバー14の下部近傍に位置している。これにより、開口部12aの上下寸法を長く確保して開口面積を大きくすることができる。
【0042】
尚、開口部12aの位置は、上述した位置に限られるものではなく、側壁12の前部近傍や後部近傍であってもよい。また、開口部12aの大きさや形状も任意に設定することができる。
【0043】
ドア13は、側壁12の開口部12aの全体を閉塞することが可能な矩形状をなしている。図2に示すように、ドア13は、開口部12aの形状に対応したドア本体板部13aと、ドア本体板部13aの周縁部から筐体10の内部へ向けて突出する周板部13bとを備えている。ドア13の閉時に、周板部13bが側壁12の開口部12aに入るように形成されている。周板部13bは、省略してもよい。
【0044】
ドア13の一縁部には、当該ドア13を回動可能に側壁12に支持するためのヒンジ(図示せず)が設けられている。この実施形態では、ドア13の前縁部または後縁部にヒンジが設けられている。ドア13の側壁12に対する取付構造はヒンジを用いた構造に限られるものではなく、ドア13を側壁12に着脱可能にする構造であってもよい。ドア13の内側とは、筐体10の内部に臨む側であり、裏側と呼ぶこともできる。また、ドア13の外側とは筐体10の外部に臨む側であり、表側と呼ぶこともできる。ドア13は、例えば鋼板等で構成することができる。
【0045】
エンジン作業機1には、吸気ダクト構造20が設けられている。吸気ダクト構造20は、筐体10の外部の空気を筐体10の内部に導入するための構造であり、吸気量を多く確保しながら、筐体10の外部に放射される騒音を低減することができる点が特徴となっている。筐体10の内部に導入する空気は、エンジンEに吸入される空気を含む他、エンジンEを冷却するための空気、発電機Gを冷却するための空気も含まれている。
【0046】
吸気ダクト構造20は、ドア13に形成された吸気口21と、ドア13の内側に設けられた吸気ダクト構成部材22と、吸音板23とを備えている。吸気口21は、ドア13のドア本体板部13aを表裏方向に貫通するように形成されており、筐体10の外部の空気を吸い込むための開口である。この実施形態では、吸気口21がドア13の上下方向中央部よりも下に位置しているが、吸気口21は、ドア13の上下方向中央部に形成されていてもよいし、ドア13の上下方向中央部よりも上に形成されていてもよい。
【0047】
吸気口21は、上下方向の寸法よりも前後方向の寸法が長く設定されており、前後方向に長い形状とされている。吸気口21の内側には、格子21aを設けて異物の侵入を抑制することができるが、この格子21aは省略してもよい。格子21aを設けることで吸気口21が複数に分割されることになるが、これら複数の開口を1つの吸気口21としてもよいし、複数の吸気口21を互いに間隔をあけてドア13に形成してもよい。吸気口21は、エアクリーナAの吸気口A1よりも下方かつ前方に位置付けられている。
【0048】
図2及び図3に示すように、吸気ダクト構成部材22は、筐体10の内部に設けられており、吸気口21に接続される吸入空気通路24を形成するための部材である。吸気ダクト構成部材22の材料は、例えばドア13と同じ材料であってもよいし、異なっていてもよい。吸気ダクト構成部材22は、前側板部(第1板部)22aと、後側板部(第2板部)22bと、内側板部(第3板部)22cと、閉塞板部22dとを備えており、これら板部22a、22b、22c、22dは、例えばプレス加工によって一体成形されたものであってもよいし、それぞれ別部材からなるものを接合することによって一体化してもよい。前側板部22a、後側板部22b、内側板部22c、閉塞板部22d及びドア13の内面により、吸入空気通路24が形成されている。
【0049】
前側板部22a及び後側板部22bは、それぞれドア13のドア本体板部13aの内面に固定されて筐体10内へ向けて突出しており、吸入空気通路24の流れ方向である上下方向に延びている。前側板部22a及び後側板部22bは、互いに前後方向に間隔をあけて配置されるとともに、前後方向に互いに対向するように配置されている。前側板部22aは、吸気口21の前縁部よりも前に配置され、後側板部22bは、吸気口21の後縁部よりも後に配置されており、吸気口21が前側板部22aと後側板部22bとの間に位置するようになっている。前側板部22a及び後側板部22bの間隔は、吸入空気通路24の前後方向の寸法に対応している。前側板部22a及び後側板部22bは平行であってもよいし、例えば上に行くほど間隔が広くなっていてもよいし、上に行くほど間隔が狭くなっていてもよい。
【0050】
内側板部22cは、前側板部22aにおける筐体10内側の縁部から、後側板部22bにおける筐体10内側の縁部まで延びるとともに、上下方向に延びている。内側板部22cは、ドア本体板部13aの内面との間に所定の間隔をあけて対向するように配置されている。ドア本体板部13aの内面と、内側板部22cとの間隔は、吸入空気通路24の左右方向(奥行方向)の寸法に対応している。この実施形態では、吸入空気通路24の前後方向の寸法が左右方向の寸法よりも長く設定されており、吸入空気通路24の断面形状は前後方向に長い扁平な形状となっている。尚、吸入空気通路24の前後方向の寸法と奥行方向の寸法とは同程度にしてもよいし、奥行方向の寸法を長くしてもよい。また、内側板部22cとドア本体板部13aとは平行であってもよいし、例えば上に行くほど間隔が広くなっていてもよいし、上に行くほど間隔が狭くなっていてもよい。
【0051】
閉塞板部22dは、吸入空気通路24の上流端(下端)を閉塞するためのものである。閉塞板部22dの前縁部は前側板部22aの下縁部に接続され、また、閉塞板部22dの後縁部は後側板部22bの下縁部に接続されている。さらに、閉塞板部22dは、ドア本体板部13aに接合されるとともに、内側板部22cの下縁部に接続されている。これにより、吸気ダクト構成部材22の下端部が閉塞されて吸気口21から吸い込まれた空気が上方へのみ流れることになる。
【0052】
吸気ダクト構成部材22の上端は吸入空気通路24の下流端であり、その全体が開放されて空気の排出口22eとされている。吸入空気通路24が上下方向に延びていて、排出口22eが上に向けて開口しているので、吸入空気通路24内の空気は排出口22eから上に向けて吹き出すことになる。排出口22eは吸入空気通路24の断面形状と同様に前後方向に長い形状とされている。
【0053】
吸音板23は、吸入空気通路24の外部において当該吸入空気通路24から筐体10内に排出された空気を所定方向に案内するとともに、筐体10内の騒音を吸収する部材である。この実施形態では、吸音板23として、第1~第4吸音板23A~Dが設けられている例について説明するが、吸音板23は2枚以上の任意の枚数であってもよい。
【0054】
第1~第4吸音板23A~Dは、ドア本体板部13aの内面に固定され、当該内面から筐体10内へ向けて突出している。図4に一部を拡大して示すように、第1~第4吸音板23A~Dは、金属等の硬質材料からなる板材230と、板材230の両面にそれぞれ貼り付けられた吸音材231とを有している。吸音材231としては、例えば発泡ウレタンのような樹脂からなる多孔質材を挙げることができる。吸音材231は、板材230の全面に設けられていてもよいし、一部にのみ設けられていてもよい。吸音材231は、板材230の一方の面にのみ設けられていてもよい。また、吸音板23を中空板状に形成し、例えばヘルムホルツ共鳴の原理等を利用して音エネルギを減衰させる構造を採用してもよい。すなわち、中空板状の吸音板の表面に多数の開口を形成し、当該開口と吸音板の内部空間とを連通させ、開口から内部空間に入った音を当該内部空間で共鳴させることによって騒音を低減させることができる。この場合、吸音板23は樹脂材であってもよく、また、多数の気泡を持った構造体とすることもできる。上述した吸音板23の構造例は一例であり、他の吸音効果を持った板を吸音板23として利用することもできる。また、この実施形態における第1~第4吸音板23A~Dの各々は、1枚の板材から構成されたものであってもよいし、複数の板状部材が積層されて構成されたものであってもよい。
【0055】
上記多孔質材は、板材230以外にも、ドア13の内面に貼り付けられていてもよいし、吸気ダクト構成部材22の外面や内面に貼り付けられていてもよい。上記多孔質材をドア13の内面や吸気ダクト構成部材22の外面、内面に貼り付けることで、吸音板23と共に内部騒音の低減効果を高めることができる。
【0056】
図1図2に示すように、第1~第4吸音板23A~Dの延びる方向は斜めである。すなわち、吸入空気通路24が下から上に延びているので、吸入空気通路24の下流側への延長方向は上方となるが、本実施形態では、第1~第4吸音板23A~Dが上へ行くほど後に位置するように傾斜しているので、吸入空気通路24の下流側への延長方向と交差する方向に延びるように配置されることになる。これにより、外部から導入した空気をエアクリーナAの吸気口A1へ向けて案内することができる。エアクリーナAは、外部から導入した温度の低い空気を供給する被冷却部である。被冷却部としては、例えばエンジンE本体、ラジエータR、冷却ファンF等を挙げることができ、図示しないが過給器を備えているエンジンの場合、過給器やインタークーラも被冷却部となる。これら被冷却部に外部から導入した空気を案内するように吸音板23の向きや長さを設定すればよい。尚、第1~第4吸音板23A~Dは、上へ行くほど前に位置するように配置されてもよい。
【0057】
第1~第4吸音板23A~Dは互いに平行とされているが、平行でなくてもよい。例えば第1~第4吸音板23A~Dの間隔が上へ行くほど広くなっていてもよいし、狭くなっていてもよい。また、本実施形態では、第1吸音板23Aの長さが最も長く、第4吸音板23Dの長さが最も短くされているが、これに限らず、全ての吸音板23A~Dの長さが等しくなっていてもよいし、第1吸音板23Aの長さが最も短くなっていてもよい。
【0058】
第1~第4吸音板23A~Dは、吸入空気通路24の下流端(排出口22e)よりも下流側へ離れて配置されている。これにより、第1~第4吸音板23A~Dの全部が吸入空気通路24の外部に配置されることになるので、吸入空気通路24の断面積が吸音板によって縮小することはなく、機内への吸気量が十分に確保される。また、エンジンEや発電機Gから発せられる騒音を吸音板23A~23Dの広い範囲で直接吸音することができ、吸音性能が向上する。吸音板23A~23Dは、全てが同じ方向に延びていなくてもよく、互いに異なる方向に延びていてもよい。例えば第1吸音板23A及び第2吸音板23Bが前に向けて延びる一方、第3吸音板23C及び第4吸音板23Dが後に向けて延びていてもよい。これにより、空気を2方向に案内することができる。
【0059】
図示しないが、第1~第4吸音板23A~Dの下部のみが吸入空気通路24内に配置されていてもよい。この場合も、上記特許文献1に比べて吸入空気通路24の断面積を広く確保できるので、機内への吸気量を十分に確保できる。
【0060】
また、図5図8に示す変形例のように、吸音板23が吸入空気通路24の下流側への延長方向(上方)に延びるように配置されていてもよい。この変形例では、吸入空気通路24の前後方向の寸法が図1に示す形態に比べて長く設定されているが、図1に示す形態と同様な寸法であってもよい。この変形例においても吸音板23は2枚以上の任意の枚数であってもよい。吸音板23が上下方向に延びているので、吸入空気通路24から筐体10内に排出された空気を上方へ導くことができる。例えば、冷却ファンFによって筐体10内に大きな空気の流れが形成されている場合には、筐体10内の空気の流れを阻害しないように、筐体10内の空気の流れに沿うように、吸入空気通路24から排出された空気を吸音板23によって案内することができる。このような空気の案内方向は、吸音板23の形状及び位置によって設定することができる。
【0061】
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、この実施形態によれば、筐体10の吸気口21から吸い込まれた空気は、吸気ダクト構成部材22によって形成された吸入空気通路24を流通して当該吸入空気通路24から筐体10内に排出される。吸入空気通路24から筐体10内に排出された空気は、吸音板23によって所定方向に案内されてエンジンEや発電機Gの必要な箇所に供給されてエンジンEの吸気や各部の冷却風として利用される。
【0062】
吸音板23は、吸入空気通路24の外部において空気を案内するように配置されているので、吸音板23の全てまたは大部分が吸入空気通路24の外部に配置される。これにより、吸音板23を設けることによって吸入空気通路24の断面積が大きく縮小されることはなく、機内への吸気量が十分に確保される。
【0063】
また、吸音板23の全てまたは大部分が吸入空気通路24の外部に配置されているので、エンジンEや発電機Gから発せられる騒音が吸音板23によって直接吸音される。したがって、筐体10内の騒音の音圧レベルが低減されるので、その筐体10から外部に放射される騒音が効率よく低減される。これにより、筐体10の吸音口21が形成された側だけでなく、筐体10の全周囲に亘って低騒音化が図られる。
【0064】
また、筐体10内におけるドア13近傍のスペースが空いている場合に、その空いているスペースに吸気ダクト構成部材22を配置することで、スペースを有効利用できる。この場合に、ドア13の内面を利用して吸入空気通路24を形成できるので、より一層コンパクトにすることができる。
【0065】
(実施形態2)
図9及び図10は、本発明の実施形態2に係るエンジン作業機1を示すものである。この実施形態2では、吸音板23が上部カバー14に固定されている点で実施形態1のものと異なっている。以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。
【0066】
この実施形態2では、吸気ダクト構成部材22が実施形態1よりも上に位置しており、吸気ダクト構成部材22の上端部が上部カバー14に近くなっている。筐体10の内部機器の配置等により、このような吸気ダクト構成部材22のレイアウトとなる場合がある。このため、ドア13には、吸音板23を取り付けるのに十分なスペースがないので、吸音板23を上部カバー14に固定している。吸音板23を上部カバー14に固定することで、吸入空気通路24から筐体10内に排出された空気をより上方まで案内することができる。
【0067】
図10に示すように、吸音板23は、上部カバー14の内面から筐体10内へ突出して上下方向に延びている。吸入空気通路24から筐体10内に排出された空気は、吸音板23によって上方へ案内された後、上部カバー14に当たって筐体10の奥側へ向けて流れる。これにより、筐体10内の上部において奥側へ向けて流れる空気の流れを形成できる。
【0068】
実施形態2においても、吸音板23は2枚以上の任意の枚数であってもよい。また、吸音板23は、吸入空気通路24の下流側への延長方向と交差する方向、即ち斜め前、斜め後に延びていてもよい。
【0069】
したがって、この実施形態2によれば、実施形態1と同様に吸気ダクト構成部材22による機内への吸気量を十分に確保して冷却性能を高めながら、外部騒音を効率よく低減できる。
【0070】
(実施形態3)
図11及び図12は、本発明の実施形態3に係るエンジン作業機1を示すものである。この実施形態3では、空気が筐体10内で下向きに供給される点と吸音板23がフレーム11に固定されている点とで実施形態1のものと異なっている。以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。
【0071】
この実施形態3では、図12に示すように、吸入空気通路24が上へ延びた後、曲げられて下へ延びている。実施形態3の吸気ダクト構成部材220は、実施形態1と同様な前側板部220a、後側板部220bと、内側板部220cと、閉塞板部220dを備えており、更に上板部220eを上部に備えている。上板部220eは、吸気ダクト構成部材220の上端部を閉塞するための部材である。
【0072】
さらに、吸気ダクト構成部材220は、中間仕切板部220fを備えている。中間仕切板部220fは、ドア本体板部13aと内側板部220cとの間に配置されている。中間仕切板部220fの下端部は、閉塞板部220dと連続している。また、中間仕切板部220fの上端部は、上板部220eから下に離れている。中間仕切板部220fよりも筐体10の奥側に、下方へ向けて排出口220gが開口している。
【0073】
実施形態3では、吸気口21から吸入空気通路24の下側に流入した空気が吸気ダクト構成部材220内に流入すると、上向きに流れた後、中間仕切板部220fよりも奥側へ向けて流れ、その後、下方へ向けて流れて排出口220gから排出される。
【0074】
吸音板23は、フレーム11の上面に固定されており、上方へ突出するとともに、奥行方向に延びている。吸音板23の上端部は排出口220gと対向している。吸入空気通路24から筐体10内に排出された空気は、吸音板23によって下方へ案内された後、フレーム11の上面に当たって筐体10の奥側へ向けて流れる。これにより、筐体10内の下部において奥側へ向けて流れる空気の流れを形成できる。
【0075】
実施形態3においても、吸音板23は2枚以上の任意の枚数であってもよい。また、吸音板23は、吸入空気通路24の下流側への延長方向と交差する方向、即ち斜め前、斜め後に延びていてもよい。
【0076】
したがって、この実施形態3によれば、実施形態1と同様に吸気ダクト構成部材220による機内への吸気量を十分に確保して冷却性能を高めながら、外部騒音を効率よく低減できる。
【0077】
(実施形態4)
図13は、本発明の実施形態4に係る吸気ダクト構造20を示すものである。この実施形態4では、空気が筐体10内で下向きに供給される点と吸音板23が吸気ダクト構成部材240の下方に配置されている点とで実施形態1のものと異なっている。以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。
【0078】
実施形態4では、吸入空気通路24が上へ延びた後、曲げられて下へ延びている。実施形態4の吸気ダクト構成部材240は、実施形態1と同様な前側板部240a、後側板部240bと、内側板部240cと、閉塞板部240dを備えており、更に上板部240eを上部に備えている。上板部240eは、吸気ダクト構成部材240の上端部を閉塞するための部材である。
【0079】
さらに、吸気ダクト構成部材240は、中間仕切板部240fを備えている。中間仕切板部240fは、前側板部240aと後側板部240bとの間に配置されており、上下方向に延びている。中間仕切板部240fの下端部は、閉塞板部240dと連続している。また、中間仕切板部240fの上端部は、上板部240eから下に離れている。排出口240gは、吸気口21の後側に配置されて下方に向けて開口している。
【0080】
実施形態4では、吸気口21から吸入空気通路24の下側に流入した空気が吸気ダクト構成部材240内に流入すると、上向きに流れた後、中間仕切板部240fよりも後側へ向けて流れ、その後、下方へ向けて流れて排出口240gから排出される。
【0081】
吸音板23は、排出口240gの下方に位置しており、上下方向に延びている。吸入空気通路24から筐体10内に排出された空気は、吸音板23によって下方へ案内される。実施形態4においても、吸音板23は2枚以上の任意の枚数であってもよい。また、吸音板23は、吸入空気通路24の下流側への延長方向と交差する方向、即ち斜め前、斜め後に延びていてもよい。
【0082】
したがって、この実施形態4によれば、実施形態1と同様に吸気ダクト構成部材240による機内への吸気量を十分に確保して冷却性能を高めながら、外部騒音を効率よく低減できる。
【0083】
(実施形態5)
図14は、本発明の実施形態5に係る吸気ダクト構造20を示すものである。この実施形態5では、実施形態3の吸気ダクト構成部材220と同様な構成を備えているが、吸音板23が吸気ダクト構成部材220に固定されている点で実施形態3とは異なっている。以下、実施形態3と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。
【0084】
実施形態5では、排出口220gが下方へ向けて開口しており、この開口の下方に、吸音板23が配置されている。この吸音板23は、吸気ダクト構成部材220に固定されている。これにより、吸気ダクト構成部材220と吸音板23とを含む吸気ダクト構造20の上下方向の寸法を短縮することができる。
【0085】
この実施形態5によれば、実施形態1と同様に吸気ダクト構成部材220による機内への吸気量を十分に確保して冷却性能を高めながら、外部騒音を効率よく低減できる。
【0086】
(実施形態6)
図15は、本発明の実施形態6に係る吸気ダクト構造20を示すものである。この実施形態6では、排出口22eが前後にそれぞれ設けられている点と、吸音材23の配設位置とが実施形態1とは異なっている。以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。
【0087】
吸気ダクト構成部材22の上部には、上板部22fが設けられており、この上板部22fによって吸気ダクト構成部材22の上部が閉塞されている。一方、前側板部22a及び後側板部22bの上部には、それぞれ排出口22eが形成されている。前側板部22aに形成された排出口22eからは空気が前方へ排出され、後側板部22bに形成された排出口22eからは空気が後方へ排出される。
【0088】
一方、吸音板23は、前側板部22aの排出孔22eの前方に配置されて前方へ向けて延びており、また、後側板部22bの排出孔22eの後方に配置されて後方へ向けて延びている。これにより、空気を筐体10内の前方及び後方の両方向に案内することができる。
【0089】
この実施形態6によれば、実施形態1と同様に吸気ダクト構成部材22による機内への吸気量を十分に確保して冷却性能を高めながら、外部騒音を効率よく低減できる。
【0090】
図15に示す例では、排出口22bおよび吸音板23が、前方と後方に形成されているが、いずれか一方側だけに形成されていてもよい。その場合、他方側の排出口22bは、塞がれることになる。
【0091】
(実施形態7)
図16は、本発明の実施形態7に係る吸気ダクト構造20を示すものである。この実施形態7では、排出口22eが筐体10の奥側に向けて開口している点と、吸音材23の配設位置とが実施形態1とは異なっている。以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。
【0092】
吸気ダクト構成部材22の上部には、上板部22fが設けられており、この上板部22fによって吸気ダクト構成部材22の上部が閉塞されている。一方、内側板部22cの上部には、排出口22eが形成されている。空気は、排出口22eから筐体10の奥側へ排出される。
【0093】
一方、吸音板23は、排出孔22eの前方に配置されて上下方向及び筐体10の奥側へ向けて延びている。これにより、空気を筐体10内の奥側に案内することができる。
【0094】
この実施形態7によれば、実施形態1と同様に吸気ダクト構成部材22による機内への吸気量を十分に確保して冷却性能を高めながら、外部騒音を効率よく低減できる。
【0095】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【0096】
また、上記実施形態1~7では、吸気口21をドア13に形成し、吸気ダクト構成部材22、220、240をドア13に固定しているが、これに限らず、図示しないが、側壁12に吸気口21を形成し、側壁12に吸気ダクト構成部材22、220、240を固定してもよい。これにより、吸気ダクト構成部材22、220、240と、側壁12の内面とによって吸入空気通路24を構成することができる。この場合、例えば、ドア13以外の側壁12に吸気口21を形成することで、筐体10内における側壁12近傍のスペースが空いている場合に、その空いているスペースに吸気ダクト構成部材22、220を配置することで、スペースを有効利用できる。また、側壁12の内面を利用して吸入空気通路24を形成できるので、より一層コンパクトにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
以上説明したように、本発明は、例えば発電機や圧縮機を搭載したエンジン作業機に適用することができる。
【符号の説明】
【0098】
1 エンジン作業機
10 筐体
11 フレーム
12 側壁
13 ドア
14 上部カバー
20 吸気ダクト構造
21 吸気口
22 吸気ダクト構成部材
22a 前側板部(第1板部)
22b 後側板部(第2板部)
22c 内側板部(第3板部)
22d 閉塞板部
23 吸音板(第1~第4吸音板23A~23D)
231 吸音材
24 吸入空気通路
E エンジン
G 発電機(被駆動機)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16