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特許7506563データ生成装置、靴型作製システム、およびデータ生成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】データ生成装置、靴型作製システム、およびデータ生成方法
(51)【国際特許分類】
   A43D 3/02 20060101AFI20240619BHJP
   A43D 1/02 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
A43D3/02
A43D1/02
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020148648
(22)【出願日】2020-09-04
(65)【公開番号】P2022043405
(43)【公開日】2022-03-16
【審査請求日】2023-07-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000000310
【氏名又は名称】株式会社アシックス
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】波多野 元貴
(72)【発明者】
【氏名】高島 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】小塚 祐也
(72)【発明者】
【氏名】阿部 悟
(72)【発明者】
【氏名】高浜 健太
【審査官】新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2003/103433(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/069231(WO,A1)
【文献】国際公開第2002/040941(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/191109(WO,A1)
【文献】特開2007-267996(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43D 1/00- 3/14
A43B 23/00-23/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定した足型データから靴を作製するための靴型データを生成するデータ生成装置であって、
前記足型データを受け付ける入力部と、
前記入力部で受け付けた前記足型データから前記靴型データを演算する演算部と、
前記演算部で演算した前記靴型データを出力する出力部と、
複数の前記靴型データを予め記憶してある記憶部と、を備え、
前記入力部は、選択された付加情報をさらに受け付け、
前記演算部は、
前記足型データに基づき前記記憶部に記憶されている前記靴型データを1つ選択し、
前記靴型データは、前記靴のアッパー側の領域に対応する第1データと、前記靴のソール側の領域に対応する第2データとを含み、
選択した前記靴型データに対して補正する部分を特定し、
前記足型データと異なる前記第1データの部分を補正し、
選択した前記第1データと合うように前記第2データを補正し、
前記靴型データを生成するために補正した前記第1データと補正した前記第2データとを組み合わせ、
前記付加情報から、補正した前記第1データおよび補正した前記第2データに対応する前記靴型データを補正する部分を特定し、
特定した前記靴型データの部分の補正量を、前記付加情報に基づき算出する、データ生成装置。
【請求項2】
前記演算部は、予め設定されている複数のソールデータから選択して前記第2データとする、請求項1に記載のデータ生成装置。
【請求項3】
前記足型データは、足型を所定の複数の断面に分け、当該断面内で特定された複数の代表点を結んで作成されるモデルに基づくデータである、請求項1または請求項に記載のデータ生成装置。
【請求項4】
前記足型データは、相同モデルに基づくデータである、請求項に記載のデータ生成装置。
【請求項5】
前記演算部は、前記入力部で受け付けた前記足型データを前記相同モデルに基づくデータに変換する、請求項4に記載のデータ生成装置。
【請求項6】
前記演算部は、
前記相同モデルの前記足型データから複数の断面情報および各々の断面を通る基線情報を求め、
求めた前記断面情報または前記基線情報に対して前記靴型データの補正する部分を特定する、請求項または請求項に記載のデータ生成装置。
【請求項7】
前記演算部は、
補正した複数の前記断面情報に基づき、各々の断面を通る前記靴型データの表面情報を生成する、請求項に記載のデータ生成装置。
【請求項8】
前記付加情報は、事実情報、およびユーザが選択した選択情報のうち少なくとも1つを含む、請求項1~請求項のいずれか1項に記載のデータ生成装置。
【請求項9】
前記付加情報は、靴の形状に関する情報、靴の使用に関する情報、ユーザの足に関する情報のうち少なくとも1つを含む、請求項1~請求項のいずれか1項に記載のデータ生成装置。
【請求項10】
靴の形状に関する情報には、ユーザの嗜好に関する情報、ユーザが使用している靴の情報、既存の靴型データ、履き口の形状の情報、アッパーの材料の情報、ソールの形状の情報のうち少なくとも1つを含む、請求項に記載のデータ生成装置。
【請求項11】
靴の使用に関する情報には、ランニングデータ、使用する競技の情報のうち少なくとも1つを含む、請求項に記載のデータ生成装置。
【請求項12】
ユーザの足に関する情報には、足甲部の圧力の情報、足圧の情報、足型の変形の情報のうち少なくとも1つを含む、請求項に記載のデータ生成装置。
【請求項13】
足型を測定して前記足型データを前記データ生成装置に出力する測定装置と、
請求項1~請求項12のいずれか1項に記載の前記データ生成装置と、
前記データ生成装置で生成した前記靴型データに基づいて靴型を作製する靴型作製装置と、を備える靴型作製システム。
【請求項14】
測定した足型データから靴を作製するための靴型データを生成するデータ生成方法であって、
前記足型データを受け付けるステップと、
選択された付加情報をさらに受け付けるステップと、
前記足型データから前記靴型データを演算するステップと、
当該演算するステップにおいて、
前記足型データに基づき記憶部に記憶されている前記靴型データを1つ選択し、
前記靴型データは、前記靴のアッパー側の領域に対応する第1データと、前記靴のソール側の領域に対応する第2データとを含み、
選択した前記靴型データに対して補正する部分を特定し、
前記足型データと異なる前記第1データの部分を補正し、
選択した前記第1データと合うように前記第2データを補正し、
前記靴型データを生成するために補正した前記第1データと補正した前記第2データとを組み合わせ、
前記付加情報から、補正した前記第1データおよび補正した前記第2データに対応する前記靴型データを補正する部分を特定するステップと、
特定した前記靴型データの部分の補正量を、前記付加情報に基づき算出するステップと、
算出した補正量で特定した部分を補正した前記靴型データを演算するステップと、
演算した前記靴型データを出力するステップと、を含む、データ生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、データ生成装置、靴型作製システム、およびデータ生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザの足に合わせたオーダーメイドのシューズを作製する際、測定装置で足型を測定し、測定した足型データに基づいて靴型データを生成する。生成された靴型データに基づいてシューズを作製する靴型(ラスト)が作製される(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6685303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
測定装置で足型を測定した足型データに基づいて靴型データを生成するので、各個人の足の形状を反映させた専用の靴型を作製することができる。しかし、測定装置で測定できる足の情報は、足のサイズ、足の形状に関する情報に限られ、当該情報から作製した靴型でオーダーメイドのシューズを作製しても、ユーザが満足するフィット感を持つシューズを作製することができないことがあった。
【0005】
本開示では、ユーザが満足するフィット感を持つシューズを作製する靴型データを生成するデータ生成装置、靴型作製システム、およびデータ生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある局面に従うデータ生成装置は、測定した足型データから靴を作製するための靴型データを生成する。データ生成装置は、足型データを受け付ける入力部と、入力部で受け付けた足型データから靴型データを演算する演算部と、演算部で演算した靴型データを出力する出力部と、複数の靴型データを予め記憶してある記憶部と、を備える。入力部は、選択された付加情報をさらに受け付ける。演算部は、足型データに基づき記憶部に記憶されている靴型データを1つ選択し、靴型データは、靴のアッパー側の領域に対応する第1データと、靴のソール側の領域に対応する第2データとを含み、選択した靴型データに対して補正する部分を特定し、足型データと異なる第1データの部分を補正し、選択した第1データと合うように第2データを補正し、靴型データを生成するために補正した第1データと補正した第2データとを組み合わせ、付加情報から、補正した第1データおよび補正した第2データに対応する靴型データを補正する部分を特定し、特定した靴型データの部分の補正量を、付加情報に基づき算出する。
【0007】
本開示のある局面に従う靴型作製システムは、足型を測定して足型データをデータ生成装置に出力する測定装置と、上記のデータ生成装置と、データ生成装置で生成した靴型データに基づいて靴型を作製する靴型作製装置と、を備える。
【0008】
本開示のある局面に従うデータ生成方法は、測定した足型データから靴を作製するための靴型データを生成する。データ生成方法は、足型データを受け付けるステップと、選択された付加情報をさらに受け付けるステップと、足型データから靴型データを演算するステップと、当該演算するステップにおいて、足型データに基づき記憶部に記憶されている前記靴型データを1つ選択し、靴型データは、靴のアッパー側の領域に対応する第1データと、靴のソール側の領域に対応する第2データとを含み、選択した靴型データに対して補正する部分を特定し、足型データと異なる第1データの部分を補正し、選択した第1データと合うように第2データを補正し、靴型データを生成するために補正した第1データと補正した第2データとを組み合わせ、付加情報から、補正した第1データおよび補正した第2データに対応する靴型データを補正する部分を特定するステップと、特定した靴型データの部分の補正量を、付加情報に基づき算出するステップと、算出した補正量で特定した部分を補正した靴型データを演算するステップと、演算した靴型データを出力するステップと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、付加情報から、靴型データを補正する部分を特定し、特定した部分の補正量を、付加情報に基づき算出するので、ユーザが満足するフィット感を持つシューズを作製する靴型データを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係る靴型作製システムの構成例を示す概略図である。
図2】実施の形態1に係るデータ生成装置のハードウェア構成例を示す模式図である。
図3】足型データの概略図である。
図4】実施の形態1に係るデータ生成装置が足型データから靴型データを生成する方法を説明するためのフローチャートである。
図5】携帯端末で靴の形状の好みをユーザが入力した一例を示す図である。
図6】実施の形態1に係るデータ生成装置が靴型データを演算する様子を説明するための概略図である。
図7】靴型データに足型データを重畳させた図である。
図8】靴型データに反映させる付加情報の一覧を示す図である。
図9】靴型にユーザの好みの履き口の高さを記入した図である。
図10】踵のソールの厚みと前足部のソールの厚みとの差を示す図である。
図11】データ生成装置で補正した複数の断面情報に基づき、各々の断面を通る靴型データの表面情報を生成する様子を示した概略図である。
図12】様々な店舗の靴型作製システムがデータサーバに接続されている様子を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態について図面に基づいて説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
<実施の形態1>
実施の形態1では、本発明が適用される場面の一例について説明する。まず、実施の形態1では、例えば店舗において、ユーザの足に合わせたオーダーメイドのシューズを作製する際に、測定装置で測定した足型データに基づいて靴型データを生成し、生成された靴型データに基づいてシューズを作製する靴型(ラスト)を作製する靴型作製システムについて説明する。
【0012】
図1は、実施の形態1に係る靴型作製システム10の構成例を示す概略図である。図1を参照して、靴型作製システム10は、データ生成装置100、足型を測定する測定装置200、靴型データに基づいて靴型を作製する靴型作製装置400を含む。なお、店舗によっては、または、ユーザの自宅等の遠隔地からは、測定装置200に代えてスマートフォンなどの携帯端末300を用いて足型を測定してもよい。また、データ生成装置100は、店舗内または店舗外に設置されたデータサーバ500と通信することが可能である。
【0013】
データ生成装置100は、測定装置200または携帯端末300から得られた足型データに基づき靴型データを生成する。図2は、実施の形態1に係るデータ生成装置100のハードウェア構成例を示す模式図である。図2を参照して、データ生成装置100は、プロセッサ102と、メインメモリ104と、入力部106と、出力部108と、ストレージ110と、光学ドライブ112と、通信コントローラ120とを含む。これらのコンポーネントは、プロセッサバス118を介して接続されている。
【0014】
プロセッサ102は、CPUやGPUなどで構成され、ストレージ110に記憶されたプログラム(一例として、OS1102および処理プログラム1104)を読出して、メインメモリ104に展開して実行することができる。プロセッサ102では、入力部106で受け付けた足型データおよび付加情報から所定のアルゴリズムに基づいて靴型データを演算する処理プログラム1104が実行される。当該処理プログラム1104を実行するプロセッサ102は、データ生成装置100の演算部に対応する。
【0015】
メインメモリ104は、DRAMやSRAMなどの揮発性記憶装置などで構成される。ストレージ110は、例えば、HDDやSSDなどの不揮発性記憶装置などで構成される。
【0016】
ストレージ110には、基本的な機能を実現するためのOS1102に加えて、データ生成装置100としての機能を提供するための処理プログラム1104が記憶される。すなわち、処理プログラム1104は、データ生成装置100のプロセッサ102で実行されることで、足型データから靴型データを演算する。さらに、ストレージ110には、複数の靴型データを含む靴型データベース1106と、靴のソール側の領域に対応するソールデータを含むソールデータベース1108とが記憶されている。なお、靴型データベース1106に記憶される靴型データは、靴のアッパー側の領域に対応するアッパーデータのみでもよい。靴型データベース1106およびソールデータベース1108は、頻繁に利用するデータのみがストレージ110に記憶され、その他のデータはデータサーバ500に記憶されていてもよい。また、靴型データベース1106およびソールデータベース1108には、リストのみ記憶され、複数の靴型データおよび複数のソールデータ自体はデータサーバ500に記憶されていてもよい。
【0017】
入力部106は、測定装置200または携帯端末300と接続して、測定装置200または携帯端末300から足型データを受け付ける入力インターフェースを含む。また、入力部106は、キーボードやマウス、マイク、タッチデバイスなどで構成され、ユーザにより選択された付加情報をさらに受け付けることができる。付加情報については、後で詳しく説明するが、足のサイズ、足の形状に関する情報以外の情報である。
【0018】
出力部108は、プロセッサ102で演算した靴型データを靴型作製装置400に出力する出力インターフェースを含む。また、出力部108は、ディスプレイ、各種インジケータ、プリンタなどで構成され、プロセッサ102からの処理結果などを出力する。
【0019】
通信コントローラ120は、有線通信または無線通信を用いて、他の制御装置などとの間でデータを遣り取りする。データ生成装置100は、測定装置200または携帯端末300との間で通信コントローラ120を介して足型データ、付加情報の遣り取りを行ったり、靴型作製装置400との間で通信コントローラ120を介して靴型データの遣り取りを行ったりしてもよい。なお、通信コントローラ120と別にプロセッサバス118に接続されるUSBコントローラを設け、USB接続を介して、他の制御装置などとの間のデータを遣り取りしてもよい。
【0020】
データ生成装置100は、光学ドライブ112を有しており、コンピュータ読取可能なプログラムを非一過的に記憶する記録媒体114(例えば、DVD(Digital Versatile Disc)などの光学記録媒体)から、その中に記憶されたプログラムが読取られてストレージ110などにインストールしてもよい。
【0021】
データ生成装置100で実行される処理プログラム1104などは、コンピュータ読取可能な記録媒体114を介してインストールされてもよいが、ネットワーク上のサーバ装置などからダウンロードする形でインストールするようにしてもよい。また、実施の形態1に係るデータ生成装置100が提供する機能は、OSが提供するモジュールの一部を利用する形で実現される場合もある。
【0022】
図2には、プロセッサ102がプログラムを実行することで、データ生成装置100として必要な機能が提供される構成例を示したが、これらの提供される機能の一部または全部を、専用のハードウェア回路(例えば、ASICまたはFPGAなど)を用いて実装してもよい。また、図2に示したデータ生成装置100の構成は例示であって、この構成に限定されない。
【0023】
測定装置200は、レーザ測定による3次元の足型スキャナで、天板に足を載せ、当該足を挟んで両側に設けた壁に内蔵されたレーザ測定装置が、足のつま先から踵まで移動して測定することでユーザの3次元の足型データを得る。なお、測定装置200は、3次元の足型データを測定することができれば、測定方式などは特に問わない。また、スマートフォンなどの携帯端末300を用いて、ユーザの足を撮影して、足の画像データを取得し、予めインストールされているソフトウェアにより撮影した足の画像データから足型データを生成してもよい。
【0024】
図3は、足型データの概略図である。図3(a)は、測定装置200または携帯端末300で測定して得られた3次元の足型データIの斜視図である。図3(a)に示す足型データIは、解像度にもよるがデータ量が多い。そのため、測定装置200または携帯端末300は、データ生成装置100に3次元の足型データIをそのまま送るのではなく、図3(b)に示す相同モデルに基づくデータに変換した足型データFをデータ生成装置100に送る。ここで、相同モデルに基づく足型データFとは、足型を解剖学的に対応付けられた295点のデータを使って同一位相幾何構造の多面体で物体形状を表現する足型データである。なお、足型データは、相同モデルに基づく足型データFに限定されず、図3(a)に示す足型データIの物体形状を表現できれは、足型を所定の複数の断面に分け、当該断面内で特定された複数の代表点を結んで作成されるモデルに基づく足型データであってもよい。
【0025】
なお、測定装置200または携帯端末300で3次元の足型データIを相同モデルに基づく足型データFに変換すると説明したが、データ生成装置100で3次元の足型データIを相同モデルに基づく足型データFに変換してもよい。また、携帯端末300は、ユーザの足を撮影して、足の画像データを取得するだけで足型データを生成せず、携帯端末300で撮影した足の画像データに基づき、データ生成装置100で足型データを生成してもよい。
【0026】
靴型作製装置400は、靴型データに基づいて靴型を作製する3Dプリンタ、CNC(computerized numerical control)工作機械などである。靴型作製装置400が3Dプリンタであれば、データ生成装置100で生成した靴型データに基づいて3次元の靴型が樹脂により作製される。作製される靴型は、樹脂に限定されず段ボールなどでもよく、当該段ボールで靴型を作製する場合、靴型作製装置400は段ボールをカットする装置、または段ボールをカットする形状パターンを出力する装置でもよい。また、靴型が形状を可変できる靴型の場合、靴型作製装置400は、データ生成装置100で生成した靴型データに基づいて靴型を可変させる装置となる。
【0027】
データ生成装置100は、測定装置200または携帯端末300で測定した足型データから単に靴型データを生成した場合、靴型データに反映される情報が足のサイズ、足の形状に関する情報に限られる。そのため、当該情報から作製した靴型に基づいてオーダーメイドのシューズを作製しても、ユーザが満足するフィット感を持つシューズを作製することができない場合がある。そこで、データ生成装置100では、入力部106で選択された付加情報をさらに受け付け、演算部で、付加情報から靴型データを補正する部分を特定し、特定した部分の補正量を付加情報に基づき算出して、靴型データを作成している。つまり、データ生成装置100は、足のサイズ、足の形状に関する情報以外に付加情報を靴型データに反映させている。付加情報には、靴の形状に関する情報、靴の使用に関する情報、ユーザの足に関する情報のうち少なくとも1つを含むものとする。
【0028】
以下に、データ生成装置100が、靴の形状に関する情報のうち、ユーザの嗜好に関する情報を反映させて靴型データを生成する一例を説明する。図4は、実施の形態1に係るデータ生成装置100が足型データから靴型データを生成する方法を説明するためのフローチャートである。まず、データ生成装置100は、測定装置200または携帯端末300で測定した足型データを受け付ける(ステップS101)。
【0029】
データ生成装置100は、ユーザにより選択された付加情報がある場合、当該付加情報を受け付ける(ステップS102)。具体的に、データ生成装置100は、ユーザの嗜好に関する情報として、ユーザの靴の形状の好みを付加情報として受け付ける。図5は、携帯端末300で靴の形状の好みをユーザが入力した一例を示す図である。図5に示す携帯端末300には靴型が表示され、靴型のつま先エリアの形状は「ゆるめ」がユーザの好みで、靴型の中足部エリアの形状は「きつめ」がユーザの好みで、靴型の踵エリアの形状は「ふつう」がユーザの好みであることが入力されている。図5のように、携帯端末300を用いて簡単に入力できるようにすることで、靴の形状の好みをエリアごとに分けて容易に把握することができる。
【0030】
データ生成装置100は、靴のエリアごとにユーザが入力した形状の好みの情報(付加情報)を反映して靴型データを生成することができる。靴型データに反映させる情報は1つに限らず複数の情報を反映させてもよい。図4に戻って、データ生成装置100は、ユーザにより他に選択された付加情報が存在するか否かを判断する(ステップS103)。他に選択された付加情報が存在する場合(ステップS103でYES)、データ生成装置100は、処理をステップS102に戻して、他に選択された付加情報を受け付ける。
【0031】
他に選択された付加情報が存在しない場合(ステップS103でNO)、データ生成装置100は、足型データから靴型データを演算する(ステップS104)。図6は、実施の形態1に係るデータ生成装置100が靴型データを演算する様子を説明するための概略図である。まず、データ生成装置100は、靴型データベース1106に記憶されている複数の靴型データのライブラリLaから足型データに近い靴型データUを選択する(ステップS104a)。また、データ生成装置100は、作製するシューズにより予め定められているソールデータ、またはユーザが選択したソールデータをソールデータベース1108に記憶されている複数のソールデータのライブラリLbから選択する(ステップS104b)。
【0032】
データ生成装置100は、選択した靴型データUに対して足型データと異なる部分(例えば、足甲部のサーフェス部分)を修正する(ステップS104c)。また、データ生成装置100は、選択したソールデータSを選択した靴型データUに合わせるために修正する(ステップS104d)。データ生成装置100は、修正した靴型データUと修正したソールデータSとを合わせて靴型データKを生成する。靴型データKが、ステップS104で足型データから演算して生成した靴型データである。
【0033】
図6に示した例では、靴型データUとソールデータSとを別々に選択して組み合わせる例を示した。しかし、データ生成装置100は、複数の靴型データが記憶されているライブラリから足型データに近い靴型データのみを選択し、選択した靴型データのうちアッパー側の領域に対応するアッパーデータを足型データに合わせて修正し、ソール側の領域に対応するソールデータはそのまま利用してもよい。もちろん、データ生成装置100は、選択した靴型データのアッパー側の領域に対応するアッパーデータを足型データに合わせて修正するとともに、ソール側の領域に対応するソールデータをユーザが選択したソールデータに合わせて修正してもよい。また、データ生成装置100は、データベースに記憶されているライブラリからデータを選択して修正するのではなく、足型データから所定のアルゴリズムに基づいて靴型データKを演算して生成してもよい。
【0034】
図4に戻って、データ生成装置100は、ステップS104で演算した靴型データKに対して、付加情報から補正する部分を特定する(ステップS105)。図5で入力した靴のエリアは、足型データおよび靴型データの位置と対応関係が設定されている。図7は、靴型データに足型データを重畳させた図である。なお、図7には、相同モデルの足型データから複数の断面情報(断面T1~T3,M1~M4,H1~H3)および各々の断面を通る基線情報(基線B)を求め、足型データに対応する複数の断面情報および基線情報を実線で、靴型データに対応する複数の断面情報および基線情報を破線でそれぞれ図示してある。図7では、相同モデルのすべての断面情報および基線情報を図示されておらず、一部の断面情報および基線情報を図示している。
【0035】
具体的に、図5で示すつま先エリアは、図7に示す断面T1~T3の位置が対応し、中足部エリアは、断面M1~M4の位置が対応し、踵エリアは、断面H1~H3の位置が対応している。そのため、データ生成装置100は、図5で入力した靴のエリアのうち、「ふつう」と入力した踵エリア以外において補正が必要なエリアとして特定できる。
【0036】
データ生成装置100は、付加情報から、特定した部分の補正量を算出する(ステップS106)。具体的に、データ生成装置100は、図5で入力したつま先エリアの形状は「ゆるめ」がユーザの好みであるとの付加情報に基づいて、断面T1~T3の位置の靴型データの形状を例えば3%大きくする。なお、補正量は、予め設定してあり、例えば、付加情報が「ゆるめ」の場合には形状を例えば3%大きくし、付加情報が「きつめ」の場合には形状を例えば2%小さくする。
【0037】
データ生成装置100は、つま先エリアについて補正量を算出した後、すべての特定した部分の補正量を算出したか否かを判断する(ステップS107)。すべての特定した部分の補正量を算出していない場合(ステップS107でNO)、データ生成装置100は、処理をステップS106に戻し、残りの特定した部分の補正量を算出する。具体的に、データ生成装置100は、図5で入力した踵エリアの形状は「きつめ」がユーザの好みであるとの付加情報に基づいて、断面H1~H3の位置の靴型データの形状を例えば2%小さくする。
【0038】
踵エリアについて補正量を算出した後、すべての特定した部分の補正量を算出したと判断されるので(ステップS107でYES)、データ生成装置100は、算出した補正量で特定した部分を補正した靴型データを演算する(ステップS108)。具体的に、データ生成装置100は、ステップS104で演算した靴型データKに対して、例えば、断面T1~T3の位置の靴型データの形状を例えば3%大きくし、断面H1~H3の位置の靴型データの形状を例えば2%小さくする。
【0039】
データ生成装置100は、演算部で演算した結果である補正後の靴型データを、靴型作製装置400に出力する(ステップS109)。靴型作製装置400に出力された靴型データは、ユーザの靴の形状の好みの情報が反映された靴型データとなっている。そのため、当該靴型データから作製した靴型に基づいてオーダーメイドのシューズを作製した場合、ユーザが満足するフィット感を持つシューズを作製することができる。
【0040】
以上のように、実施の形態1に係るデータ生成装置100は、測定した足型データから靴を作製するための靴型データを生成する。データ生成装置100は、足型データを受け付ける入力部106と、入力部106で受け付けた足型データから靴型データを演算するプロセッサ102(演算部)と、プロセッサ102で演算した靴型データを出力する出力部108と、を備える。入力部106は、選択された付加情報をさらに受け付ける。プロセッサ102は、付加情報から、靴型データを補正する部分を特定し、特定した部分の補正量を、付加情報に基づき算出する。靴型作製システム10は、足型を測定して足型データをデータ生成装置100に出力する測定装置200と、上記のデータ生成装置100と、データ生成装置100で生成した靴型データに基づいて靴型を作製する靴型作製装置400と、を備える。
【0041】
これにより、実施の形態1に係るデータ生成装置100は、ユーザが満足するフィット感を持つシューズを作製する靴型データを生成することができる。また、靴型作製システム10は、データ生成装置100で生成した靴型データから作製した靴型に基づいてシューズを作製するので、ユーザが満足するフィット感を持つシューズを作製することができる。
【0042】
靴型データは、靴のアッパー側の領域に対応するアッパーデータ(第1データ)と、靴のソール側の領域に対応するソールデータ(第2データ)とのうち、少なくともいずれか一方を含むことが好ましい。例えば、同じ形状のソールの靴を作製する場合、ソールデータを共通化することができる。また、プロセッサ102は、アッパーデータに対して補正する部分を特定することが好ましい。これにより、補正する部分をアッパー側に限定することができる。さらに、プロセッサ102は、予め設定されている複数のソールデータから選択してソールデータとすることが好ましい。これにより、足型データからソールデータを演算で生成する場合に比べ、プロセッサ102の処理負担を軽減できる。
【0043】
データ生成装置100は、複数の靴型データを予め記憶してあるストレージ110をさらに含んでいることが好ましい。プロセッサ102は、足型データに基づきストレージ110に記憶されている靴型データを1つ選択し、選択した靴型データに対して補正する部分を特定してもよい。これにより、足型データから靴型データを演算で生成する場合に比べ、プロセッサ102の処理負担を軽減できる。
【0044】
足型データは、足型を所定の複数の断面に分け、当該断面内で特定された複数の代表点を結んで作成されるモデルに基づくデータであることが好ましい。これにより、測定装置200からデータ生成装置100に送信される足型データのデータ量を低減できる。足型データは、相同モデルに基づくデータであることが好ましい。測定装置200および携帯端末300側で相同モデルに基づくデータに変換できない場合、プロセッサ102が入力部106で受け付けた足型データを相同モデルに基づくデータに変換してもよい。
【0045】
プロセッサ102は、相同モデルの足型データから複数の断面情報および各々の断面を通る基線情報を求め、求めた断面情報または基線情報に対して靴型データの補正する部分を特定することが好ましい。これにより、靴型データの補正する部分を相同モデルの足型データに対応させて特定することができる。
【0046】
実施の形態1に係る靴型データを生成するデータ生成方法は、足型データを受け付けるステップ(S101)と、選択された付加情報をさらに受け付けるステップ(S102)と、足型データから靴型データを演算するステップ(S104)と、付加情報から、靴型データを補正する部分を特定するステップ(S105)と、特定した部分の補正量を、付加情報に基づき算出するステップ(S106)と、算出した補正量で特定した部分を補正した靴型データを演算するステップ(S108)と、演算した靴型データを出力するステップ(S109)と、を含む。これにより、実施の形態1に係る靴型データを生成するデータ生成方法は、ユーザが満足するフィット感を持つシューズを作製する靴型データを生成することができる。
<実施の形態2>
実施の形態1に係るデータ生成装置100では、靴の形状に関する情報のうち、ユーザの嗜好に関する情報を反映させて靴型データを生成する一例を説明した。実施の形態2では、靴型データに反映させる付加情報の他の例について説明する。なお、実施の形態2に係る靴型作製システムおよびデータ生成装置は、実施の形態1に係る靴型作製システム10およびデータ生成装置100と同じ構成であり、同じ符号を付して詳しい説明を繰返さない。
【0047】
図8は、靴型データに反映させる付加情報の一覧を示す図である。なお、図8に示す付加情報は、靴型データに反映させる付加情報のすべての情報を示すものではなく、他の情報であってもよい。付加情報は、情報の内容から、靴の形状に関する情報、靴の使用に関する情報、ユーザの足に関する情報に分かることができる。靴の形状に関する情報には、ユーザの嗜好に関する情報、ユーザが使用している靴の情報、既存の靴型データ、履き口の形状の情報、アッパーの材料の情報、ソールの形状の情報などが含まれる。靴の使用に関する情報には、ランニングデータ、使用する競技の情報などが含まれる。ユーザの足に関する情報には、足甲部の圧力の情報、足圧の情報、足型の変形の情報などが含まれる。
【0048】
また、付加情報は、情報の内容から、事実情報と、選択情報とに分けることもできる。ここで、事実情報とは、客観的な情報であり、長さ、圧力、速度など様に数値データで表すことができる情報である。一方、選択情報は、ユーザの主観的な情報であり、ゆるめ、きつめ、速い、ゆっくりなどユーザに対するヒアリングなどで選択した情報である。
【0049】
さらに、個々の付加情報について詳しく説明する。ユーザの嗜好に関する情報としては、図5で説明したようにつま先は「ゆるめ」が好みなどのようなユーザの好みの情報である。このユーザの好みの情報は、ユーザに対するヒアリングで収集できる選択情報で、図5で示したように靴のエリアごとの好みを携帯端末300に入力してもらうことで得ることができる。
【0050】
ユーザが使用している靴の情報として、例えば既存シューズの好みの情報がある。この既存シューズの好みの情報は、ユーザに対するヒアリングで収集できる選択情報で、例えば既存シューズが「A商品」でサイズが27cmであり、「A商品」は踵および中足部はちょうどいいが、つま先がややきついと感じているとの情報である。なお、データ生成装置100は、既存シューズの好みの情報に含まれる「踵」、「中足部」などの用語と靴データでの部分とを予め対応させ、既存シューズの好みの情報に含まれる「ややきつい」、「ゆるい」などの用語と靴データの補正量とを予め対応させておくことで、付加情報から靴型データを補正する部分を特定し、特定した部分の補正量を算出することができる。
【0051】
ユーザが使用している靴の情報として、例えば既存シューズの3Dデータの情報がある。この既存シューズの3Dデータの情報は、客観的な数値データなどの事実情報で、例えば既存シューズの「A商品」の靴型データである。なお、既存シューズの靴型データは、既存のシューズを3D計測により測定して取得されるデータでもよい。データ生成装置100は、足型データから生成した靴型データと、「A商品」の靴型データとを比較し、所定の範囲を超える差のある部分を特定し、その差が所定の範囲内となるように補正量を算出する。
【0052】
既存の靴型データとして、例えば、前回作成したラスト(靴型)データがある。この前回作成したラストデータは、客観的な数値データなどの事実情報である。データ生成装置100は、今回、足型データから生成した靴型データと、前回作成したラスト(靴型)データとを比較し、所定の範囲を超える差のある部分を特定し、その差が所定の範囲内となるように補正量を算出する。
【0053】
履き口の形状の情報として、例えば、履き口の高さの情報がある。この履き口の高さの情報は、ユーザに対するヒアリングで収集できる選択情報である。図9は、靴型にユーザの好みの履き口の高さを記入した図である。図9に示す破線は、履き口の基準線であり、基準線が記載されている靴型に対して好みの履き口の高さをユーザに記入してもらうことで情報を収集する。データ生成装置100は、好みの履き口の高さが基準線より高い場合(ユーザA、ユーザB)、靴の履きにくさを軽減のため靴型データの履き口付近を大きく設定する。逆に、データ生成装置100は、好みの履き口の高さが基準線より低い場合(ユーザC)、靴の脱げやすさを軽減のため靴型データの履き口付近を小さく設定する。
【0054】
アッパーの材料の情報として、例えば、ニット素材、メッシュ素材、人工皮革、不織布、熱収縮素材などの情報がある。このアッパーの材料の情報は、ユーザに対するヒアリングで収集できる選択情報である。データ生成装置100は、例えば、ニット素材のように伸びやすい素材が選択された場合、当該ニット素材の収縮率に基づいて補正量を算出し、靴型データの全体のサイズを当該補正量に合わせて小さめに調整する。また、データ生成装置100は、例えば、熱収縮素材が選択された場合、靴型データの踵部分の形状を調整する。
【0055】
ソールの形状の情報として、例えば、踵のソールの厚みと前足部のソールの厚みとの差(PC)の情報がある。このPCの情報は、客観的な数値データなどの事実情報で、例えばPC=10mmである。図10は、踵のソールの厚みと前足部のソールの厚みとの差を示す図である。測定装置200の上にユーザが立って足型を測定するため、足型データFは、図10に示すように底面がフラットになる。しかし、PC=10mmであれば、それに応じてデータ生成装置100は、靴型データKを変形する補正を行う。データ生成装置100は、PCの高さに応じて靴型データKを変形するアルゴリズムが予め設定してあり、当該アルゴリズムに基づいて靴型データKを補正する部分を特定し、特定した部分の補正量を算出する。
【0056】
靴の使用に関する情報に含まれるランニングデータとして、例えば、ユーザの走りのピッチ・ストライド・速度などの情報がある。このランニングデータは、スマートフォンやスマートウォッチ等のアプリやランニング時に装着したセンシングデバイス等から得られる客観的な数値データなどの事実情報であるが、ユーザに対するヒアリングで収集できる選択情報である「速い」、「ゆっくり」などの情報でもよい。ストライドが大きいユーザは、ストライドが小さいユーザに比べて1歩当たりのステップが長い。そのため、ストライドが大きいユーザは、ランニング中、シューズに加わる荷重が大きく、足とシューズとのずれも生じやすい。一方、ストライドが小さいユーザは、小刻みに着地するため、ランニング中、足とシューズとのずれも生じにくい。データ生成装置100は、ランニングデータからユーザの体格を踏まえて平均値に比べてストライドが大きいか小さいかを判断し、ストライドが大きければ、靴型データの全体のサイズを小さめに調整する。具体的に、データ生成装置100は、(ストライドの長さ)/(身長)の割合が所定の割合を上回る場合、靴型データの全体のサイズを例えば2%小さくする。
【0057】
使用する競技の情報として、例えば、対象競技の情報がある。この対象競技の情報は、ユーザに対するヒアリングで収集できる選択情報であり、例えば、サッカー、バスケットボール、ウォーキングなどの情報である。データ生成装置100は、対象競技の情報として例えばサッカーの情報が入力された場合、前後・左右方向への移動が多い競技であるので、靴型データの全体のサイズを小さめに調整する。データ生成装置100は、対象競技の情報として例えばウォーキングの情報が入力された場合、前後の移動が主で移動の速度が遅い競技であるので、靴型データの全体のサイズを大きめに調整する。
【0058】
使用する競技の情報として、例えば、対象速度の情報がある。この対象速度の情報は、客観的な数値データなどの事実情報であるが、ユーザに対するヒアリングで収集できる選択情報である「速い」、「ゆっくり」などの情報でもよい。ユーザの走りの速度が速いほど、足とシューズとのずれも生じやすい、または、紐締めを強くする傾向があるため、データ生成装置100は、靴型データの全体のサイズを小さめに調整する。
【0059】
ユーザの足に関する情報に含まれる足甲部の圧力の情報として、例えば、足甲部に設けた圧力センサにより得られる着圧の情報がある。この着圧の情報は、客観的な数値データなどの事実情報であり、例えば、足甲部に圧力センサを設けたテストシューズでユーザが走ったときに、当該圧力センサで計測された圧力データである。データ生成装置100は、足甲部へのアッパーの接触を考慮して、靴型データを補正する。具体的に、データ生成装置100は、断面M1の着圧の情報が所定の圧力を上回った場合、断面M1の位置の靴型データの形状を例えば3%大きくし、断面T2の着圧の情報が所定の圧力を下回った場合、断面T2の位置の靴型データの形状を例えば2%小さくする。
【0060】
足底圧の情報として、例えば、テストシューズでユーザが走ったときに、圧力センサで計測された足底の圧力データである。この足底圧の情報は、客観的な数値データなどの事実情報である。データ生成装置100は、中足部エリアの足底の圧力データが所定の圧力を上回った場合、中足部エリアの断面M1~M4の位置の靴型データの形状を例えば2%小さくする。
【0061】
足型の変形の情報として、例えば、プロネーションの情報がある。プロネーションとは、走行時に外側から着地し、内側へ踵が倒れこむように、また内側アーチが潰れるような動きをいう。プロネーションの情報として、例えば、着地の際に、脚に対する踵の角度をプロネーション角度として計測する。このプロネーション角度は、客観的な数値データなどの事実情報である。データ生成装置100は、プロネーション角度が例えば10度を上回った場合、中足部エリアの断面M1~M4の位置の靴型データの形状を例えば2%小さくする。なお、足型の変形の情報としてその他に、例えば、おもりを持った時の足型、または踵を挙上した時の足型の情報がある。
【0062】
以上のように、付加情報は、事実情報、およびユーザが選択した選択情報のうち少なくとも1つを含むことが好ましい。また、付加情報は、靴の形状に関する情報、靴の使用に関する情報、ユーザの足に関する情報のうち少なくとも1つを含むことが好ましい。靴の形状に関する情報には、ユーザの嗜好に関する情報、ユーザが使用している靴の情報、既存の靴型データ、履き口の形状の情報、アッパーの材料の情報、ソールの形状の情報のうち少なくとも1つを含むことが好ましい。靴の使用に関する情報には、ランニングデータ、使用する競技の情報のうち少なくとも1つを含むことが好ましい。ユーザの足に関する情報には、足甲部の圧力の情報、足圧の情報、足型の変形の情報のうち少なくとも1つを含むことが好ましい。このように、様々な種類のうち少なくとも1つを付加情報として靴型データに反映させることで、単に足のサイズ、足の形状に関する情報にから作製した靴型に比べて、ユーザが満足するフィット感を持つシューズを作製することができる靴型データを生成できる。
<その他の変形例>
(1) データ生成装置100は、相同モデルに基づく足型データから、特定の部分を補正した複数の断面情報のデータを靴型データとして出力してもよいが、各々の断面を通り靴型の表面を形成するように加工して最終の靴型データKとして出力してもよい。図11は、データ生成装置100で、補正した複数の断面情報に基づき、各々の断面を通る靴型データの表面情報を生成する様子を示した概略図である。図11(a)に示す靴型データK1では、特定の部分を補正した複数の断面情報(断面T1~T3,M1~M4,H1~H3)の各々の通り、靴型のつま先から踵に至る曲線Q1が生成されている。さらに、図11(b)に示す靴型データK2では、複数の断面情報の各々の通り、靴型のつま先または踵から履き口に至る曲線Q2が生成されている。
【0063】
図11(c)に示す靴型データK3では、図11(a)および図11(b)で生成した曲線を通り、かつスムーズな靴型データの表面情報を生成している。なお、靴型データの表面情報の品質は、データ生成装置100で実行されるプログラムなどにも依存するが、法線ベクトルおよび曲率が連続するような表面情報が望ましい。
【0064】
(2)図1では、データ生成装置100、測定装置200、靴型作製装置400を含む1つの店舗の靴型作製システム10について説明した。しかし、店舗によっては、測定装置200を有しておらず、スマートフォンなどの携帯端末300を用いて足型を測定する店舗が靴型作製システム10に含まれてもよい。また、靴型作製装置400を有しておらず、他の店舗の靴型作製装置400で靴型を作製しシューズを作製する店舗が靴型作製システム10に含まれてもよい。図12は、様々な店舗の靴型作製システムがデータサーバ500に接続されている様子を示す概略図である。
【0065】
図12に示すように、靴型作製システム10は、複数の店A~店Cのそれぞれに配置されている。たとえば、店Aおよび店Cは街にある小型店舗であり、当該店Aおよび店Cの店内において、店員がユーザの足を携帯端末300で撮影して、携帯端末300で足型データを測定するか、ユーザ自身が自宅等において携帯端末300で測定した足型データを店舗で受け付ける。一方、店Bはショッピングモールなどにある大型店舗であり、当該店Bの店内において、店員がユーザの足を測定装置200で測定して足型データを取得する。店A~店Cのそれぞれで取得された足型データは、各々の店舗にあるデータ生成装置100で処理されるが、ネットワーク5を介して、メーカなどに配置されたデータサーバ500に、ユーザの個人情報とともに保存されてもよい。
【0066】
メーカにおいては、既存のシューズの靴型データ、ソールデータを作成し、当該データをデータサーバ500内の靴型データベースおよびソールデータベースに記憶しておく。データサーバ500内の靴型データベースおよびソールデータベースに既存のシューズの靴型データ、ソールデータを記憶しておくことで、店舗に設けたデータ生成装置100から、靴型データベースのライブラリから足型データに近い靴型データを選択したり、ソールデータベースのライブラリからユーザが選択したソールデータを選択したりすることができる。また、データ生成装置100は、ユーザが使用している靴の情報から当該靴の靴型データ、ソールデータを、データサーバ500内の靴型データベースおよびソールデータベースから検索することができる。データサーバ500に記憶される情報は、既存のシューズの靴型データ、ソールデータに限られず、ユーザのランニングデータ、ユーザが前回作成した靴型データ、使用する競技の情報、アッパーの材料の情報などを記憶してもよい。
【0067】
なお、データサーバ500は、店舗とは異なるメーカに配置されるものに限らず、他の場所、特定の店舗内に配置されてもよい。たとえば、店A~店Cのうちのいずれかの店舗内にデータサーバ500が配置されてもよい。また、1つの店舗内に複数の靴型作製システム10が配置されてもよく、さらに、当該1つの店舗内に当該複数の靴型作製システム10と通信可能なローカルのデータサーバが配置されてもよい。また、データサーバ500は、クラウドサービスの形態で実現されてもよい。
【0068】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0069】
10 靴型作製システム、100 データ生成装置、102 プロセッサ、104 メインメモリ、106 入力部、108 出力部、110 ストレージ、112 光学ドライブ、114 記録媒体、118 プロセッサバス、120 通信コントローラ、200 測定装置、300 携帯端末、400 靴型作製装置、500 データサーバ、1104 処理プログラム、1106 靴型データベース、1108 ソールデータベース。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12