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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】折畳み式作業台におけるロック装置
(51)【国際特許分類】
   E04G 1/34 20060101AFI20240619BHJP
   E06C 1/39 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
E04G1/34 A
E06C1/39 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020170867
(22)【出願日】2020-10-09
(65)【公開番号】P2022062753
(43)【公開日】2022-04-21
【審査請求日】2023-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000101662
【氏名又は名称】アルインコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077791
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 収二
(72)【発明者】
【氏名】吉田 隆亘
【審査官】菅原 奈津子
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-303553(JP,A)
【文献】特開2011-246992(JP,A)
【文献】特開2002-180658(JP,A)
【文献】実開平06-014348(JP,U)
【文献】特開平09-299176(JP,A)
【文献】中国実用新案第209875035(CN,U)
【文献】特許第7332340(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 1/34
E06C 1/00- 9/14
A47B 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板の対向する両側縁部に位置して、脚体(5)を下向きに垂設させた開脚姿勢(P1)と天板の下側に格納させた閉脚姿勢(P2)の間で旋回自在に枢結する枢結装置を設けた折畳み式作業台において、天板の下側に位置して、脚体を開脚姿勢(P1)で旋回不能にロックするロック装置(11)と、該ロックを解除する解除操作装置(20)が設けられており、
前記ロック装置(11)は、前記天板の側縁部の近傍に配置されたロッド(15)と、前記脚体の旋回と一体に回動することにより開脚姿勢(P1)とされたとき前記ロッドの軸線上に位置させられるロック孔(16)を有する回動板(13)とから成り、前記ロッド(15)は、先端のロック部(15a)をロック孔に挿入係止したロック位置(L1)と、ロック部(15a)をロック孔から退避したアンロック位置(L2)の間で移動自在に支持されると共に、スプリング(17)によりロック位置(L1)に向けて弾発付勢されており、
前記解除操作装置(20)は、前記ロッド(15)の基端部から折曲方向に延設されたアーム部(15c)と、天板の下方から前記アーム部を被うことにより該アーム部をロッドの軸廻りに回動させるためのペダル手段(23)と、前記ペダル手段と天板の間に設けられた案内駆動手段(22)とから成り、前記案内駆動手段は、アーム部の回動運動と、ロッドの軸方向に関するアーム部の横向き移動運動を相互に変換する運動変換部(24c)を備えており、
前記ペダル手段(23)の押動により伏臥方向に正転回動させられたアーム部(15c)は、前記運動変換部(24c)を介して、スプリング(17)に抗して横向き移動することにより、ロッドをアンロック位置(L2)に移動するように構成され、
前記ペダル手段の押動から解放されたアーム部(15c)は、スプリング(17)の付勢方向に横向き移動しながら、前記運動変換部(24c)を介して、起立方向に逆転回動することにより、ロッドをロック位置(L1)に移動するように構成されて成ることを特徴とする折畳み式作業台におけるロック装置。
【請求項2】
ロッド(15)は、ロック位置(L1)とアンロック位置(L2)の間を移動ストローク(S)として移動自在に構成され、
アーム部(15c)は、ロッドの軸心を通過する天板の垂線(V)に対して、所定角度で傾斜する待機姿勢(Q1)とされたときロッドをロック位置(L1)とし、該角度を増すように回動して作動姿勢(Q2)とされたときロッドをアンロック位置(L2)とするように構成され、
前記案内駆動手段(22)は、スプリングにより付勢されたアーム部を接支する通路(24)を構成し、該通路は、待機姿勢(Q1)とされたアーム部を接支する第1端部(24a)と、作動姿勢(Q2)とされたアーム部を接支する第2端部(24b)と、第1端部と第2端部の間に延びることにより待機姿勢と作動姿勢の間で回動するアーム部を接支する運動変換部(24c)を備えており、
前記運動変換部は、アーム部を斜めに横切るラインに沿って形成される共に、ロッドの軸方向に関する第1端部(24a)と第2端部(24b)の離間距離(L)が前記移動ストローク(S)以上となるように形成されて成ることを特徴とする請求項1に記載の折畳み式作業台におけるロック装置。
【請求項3】
前記第1端部(24a)から第2端部(24b)に向けて延びる運動変換部(24c)は、アーム部が待機姿勢(Q1)から作動姿勢(Q2)に向けて回動する方向に向けて、次第に傾斜するように形成されて成ることを特徴とする請求項2に記載の折畳み式作業台におけるロック装置。
【請求項4】
アーム部(15c)を所定角度で傾斜する待機姿勢(Q1)とした状態において、
ペダル手段(23)は、該アーム部の長手方向中間部の側方に枢軸(28)を配置することにより、アーム部の傾斜にほぼ沿う姿勢として枢支され、枢軸から斜め上向きに延びるペダル手段の押動部(26a)と、枢軸から斜め下向きに延びる尾部(26b)を備えており、
前記押動部(26a)をアーム部(15c)の先端に当接させた状態で、前記尾部(26b)を前記案内駆動手段(22)に接支することにより、アーム部の起立方向の回動を阻止した状態で該アーム部を保持する姿勢制御手段(30)を構成して成ることを特徴とする請求項2又は3に記載の折畳み式作業台におけるロック装置。
【請求項5】
前記ペダル手段(23)と天板(2)の下面の間にストッパ(29)を設け、アーム部(15c)を作動姿勢(Q2)とする位置までペダル手段を押動したとき、ストッパによりペダル手段を受止めるように構成して成ることを特徴とする請求項2、3又は4に記載の折畳み式作業台におけるロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天板の両端部に位置して、脚体を下向きに垂設させた開脚姿勢と天板の下側に格納させた閉脚姿勢の間で旋回自在に枢結して成る折畳み式作業台において、前記脚体を開脚姿勢で旋回不能にロックするためのロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、折畳み式作業台は、脚体を閉脚姿勢として格納することにより、運搬や保管に便利とするように構成されている。
【0003】
ところが、脚体を開脚姿勢として作業台を作業のために使用するとき、脚体が閉脚姿勢に向けて不慮に旋回するおそれがあると、天板の傾きや転倒により、作業者の転落事故を招来する危険があるので、脚体を開脚姿勢の状態で旋回不能にロックするためのロック装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3030253号公報
【文献】特許第3574391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、ロック装置は、脚体と一体的に回動する回動板に向けて、ロックピンをスプリングにより弾発付勢しており、脚体を閉脚姿勢から開脚姿勢に向けて旋回し、回動板の開脚ロック孔が前記ロックピンに臨まされたとき、ロックピンが自動的に開脚ロック孔に挿入係止されるように構成されている。
【0006】
ところで、脚体を折畳む場合は、開脚姿勢におけるロック状態を解除した後、閉脚姿勢に向けて旋回する必要がある。しかしながら、手作業により、ロックピンをスプリングに抗して移動させ、開脚ロック孔から退避させるための作業は、必ずしも容易でなく、しかも、天板の下側でロックピンを操作することは煩雑である。特に、作業中に不慮にロックが解除される危険を防止するために強いスプリングが使用されている場合は、作業者に重労働を強いることになる。
【0007】
本発明は、折畳み式作業台におけるロック装置に関して、ロックを解除する操作装置を提供するものであり、特に、脚体を折畳むためにロックを解除する場合、作業台を逆さまに設置し、つまり、天板の下面を上向きとして地面に設置させた状態で、作業者が足により踏みつけるだけで簡単容易にロック解除を可能とする装置の提供を課題としている。これにより、作業者は両手を自由に使用することができるので、足の踏みつけによりロックを解除するとき、これと同時に、両手を使用することにより脚体を容易に折畳むことが可能になる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明が手段として構成したところは、天板の対向する両側縁部に位置して、脚体を下向きに垂設させた開脚姿勢(P1)と天板の下側に格納させた閉脚姿勢(P2)の間で旋回自在に枢結する枢結装置を設けた折畳み式作業台において、天板の下側に位置して、脚体を開脚姿勢(P1)で旋回不能にロックするロック装置と、該ロックを解除する解除操作装置が設けられており、前記ロック装置は、前記天板の側縁部の近傍に配置されたロッドと、前記脚体の旋回と一体に回動することにより開脚姿勢(P1)とされたとき前記ロッドの軸線上に位置させられるロック孔を有する回動板とから成り、前記ロッドは、先端のロック部をロック孔に挿入係止したロック位置(L1)と、ロック部をロック孔から退避したアンロック位置(L2)の間で移動自在に支持されると共に、スプリングによりロック位置(L1)に向けて弾発付勢されており、前記解除操作装置は、前記ロッドの基端部から折曲方向に延設されたアーム部と、天板の下方から前記アーム部を被うことにより該アーム部をロッドの軸廻りに回動させるためのペダル手段と、前記ペダル手段と天板の間に設けられた案内駆動手段とから成り、前記案内駆動手段は、アーム部の回動運動と、ロッドの軸方向に関するアーム部の横向き移動運動を相互に変換する運動変換部を備えており、前記ペダル手段の押動により伏臥方向に正転回動させられたアーム部は、前記運動変換部を介して、スプリングに抗して横向き移動することにより、ロッドをアンロック位置(L2)に移動するように構成され、前記ペダル手段の押動から解放されたアーム部は、スプリングの付勢方向に横向き移動しながら、前記運動変換部を介して、起立方向に逆転回動することにより、ロッドをロック位置(L1)に移動するように構成されて成る点にある。
【0009】
好ましい実施形態において、ロッドは、ロック位置(L1)とアンロック位置(L2)の間を移動ストローク(S)として移動自在に構成され、アーム部は、ロッドの軸心を通過する天板の垂線(V)に対して、所定角度で傾斜する待機姿勢(Q1)とされたときロッドをロック位置(L1)とし、該角度を増すように回動して作動姿勢(Q2)とされたときロッドをアンロック位置(L2)とするように構成され、前記案内駆動手段は、スプリングにより付勢されたアーム部を接支する通路を構成し、該通路は、待機姿勢(Q1)とされたアーム部を接支する第1端部と、作動姿勢(Q2)とされたアーム部を接支する第2端部と、第1端部と第2端部の間に延びることにより待機姿勢と作動姿勢の間で回動するアーム部を接支する運動変換部を備えており、前記運動変換部は、アーム部を斜めに横切るラインに沿って形成される共に、ロッドの軸方向に関する第1端部と第2端部の離間距離(L)が前記移動ストローク(S)以上となるように形成されている。
【0010】
この際、前記第1端部から第2端部に向けて延びる運動変換部は、アーム部が待機姿勢(Q1)から作動姿勢(Q2)に向けて回動する方向に向けて、次第に傾斜するように形成されることが好ましい。
【0011】
更に好ましくは、アーム部を所定角度で傾斜する待機姿勢(Q1)とした状態において、ペダル手段は、該アーム部の長手方向中間部の側方に枢軸を配置することにより、アーム部の傾斜にほぼ沿う姿勢として枢支され、枢軸から斜め上向きに延びるペダル手段の押動部と、枢軸から斜め下向きに延びる尾部を備えており、前記押動部をアーム部の先端に当接させた状態で、前記尾部を前記案内駆動手段に接支することにより、アーム部の起立方向の回動を阻止した状態で該アーム部を保持する姿勢制御手段を構成している。
【0012】
前記ペダル手段と天板の下面の間にストッパを設け、アーム部を作動姿勢(Q2)とする位置までペダル手段を押動したとき、ストッパによりペダル手段を受止めるように構成することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、折畳み式作業台におけるロック装置に関して、ロックを解除する解除操作装置を提供することができる。そこで、解除操作装置は、脚体を折畳むためにロックを解除する場合、作業台を天地逆向きに設置した状態、つまり、天板の下面を上向きとした状態で、作業者が足により踏みつけるだけで簡単容易にロック解除が可能であり、作業性に優れている。特に、これにより、作業者は両手を自由に使用することができるので、足の踏みつけによりロックを解除すると同時に、両手を使用することにより脚体を容易に折畳むことが可能になる
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の1実施形態に係るロック装置及び解除操作装置を備えた折畳み式作業台の1例を示す斜視図である。
図2】作業台を示しており、(A)は脚体を開脚姿勢とした作業台の正面図、(B)は閉脚作業中の作業台の正面図、(C)は脚体を閉脚姿勢とした作業台の正面図である。
図3】天板の対向する妻側縁部から脚体を分離した状態を示す斜視図である。
図4図3の部分拡大図であり、天板の一方の妻側縁部から一方の脚体を分離した状態を示す斜視図である。
図5図3の部分拡大図であり、天板の他方の妻側縁部から他方の脚体を分離した状態を示す斜視図である。
図6】天板の下面を上向き状態で示しており、ロック装置と解除操作装置を分解した状態を示す斜視図である。
図7】天板の下面を上向き状態で示しており、(A)は天板にスプリングを備えたロッドと、受台部材と、ストッパを取付けた状態を示す斜視図、(B)及び(C)は受台部材の拡大斜視図、(D)はストッパの拡大斜視図である。
図8】天板の下面を上向き状態で示しており、天板に案内駆動手段を取付けた状態を示す斜視図である。
図9】案内駆動手段を示しており、(A)はベース体から保護板を分離した状態を示す斜視図、(B)はベース体に保護板を装着することにより構成された案内駆動手段を示す斜視図、(C)及び(D)は案内駆動手段に設けられた運動変換部を摺動したときのロッドのアーム部の作用を示す平面図である。
図10】天板の下面を上向き状態で示しており、ペダル手段と端部キャップ材を臨ませた状態を示す斜視図である。
図11】天板の下面を上向き状態で示しており、天板にロック装置におけるロッドと、解除操作装置が組付けられ、端部キャップ材が装着された状態を示す斜視図である。
図12】解除操作装置の作用に関し、ロッドのアーム部が待機姿勢とされているときの状態を示しており、(A)はロッドのアーム部と案内駆動手段の関係を示す斜視図、(B)はロッドのアーム部とペダル手段の関係を示す縦断面図である。
図13】解除操作装置の作用に関し、ロッドのアーム部が作動姿勢とされたときの状態を示しており、(A)はロッドのアーム部と案内駆動手段の関係を示す斜視図、(B)はロッドのアーム部とペダル手段の関係を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。
【0016】
(作業台の1例)
本発明のロック装置及び操作装置を実施するための折畳み式作業台は、建設現場等において高所作業のために使用される種々の形式のものを広く含む汎用の作業台である。従って、図面に示している作業台は単なる1例であり、本発明が図例に限定されるものでないことを了解されたい。
【0017】
図例の場合、作業台1は、天板2の長手方向Xと短手方向Yに関し、長手方向Xから対向する両側縁部を妻側縁部3L、3Rとし、短手方向Yから対向する両側縁部を桁側縁部4L、4Rとしており、妻側縁部3L、3Rに位置して、脚体5L、5Rを設けており、脚体5L、5Rは、枢結装置10L、10Rを介して、下向きに垂設させた開脚姿勢P1と天板2の下側に格納させた閉脚姿勢P2の間で旋回自在となるように枢結されている。
【0018】
尚、以下の説明において、左右の妻側縁部3L、3Rを特に区別しない場合は、単に妻側縁部3と称する場合があり、左右の桁側縁部4L、4Rを特に区別しない場合は、単に桁側縁部4と称する場合がある。
【0019】
図4ないし図6に示すように、天板2は、短手方向Yに並設された中央板2aと両側板2b、2bを連接することにより形成されており、両側板2b、2bは、天板2の下方に向けて高さHとされた両側壁6、6により前記桁側縁部4を構成し、高さHに位置して両側壁6、6から内側に向けて折曲された帯状壁6aを備えている。
【0020】
中央板2aは、両側縁部から天板2の下方に向けて突出するレール状の梁壁7、7を長手方向Yに延設している。梁壁7、7は、断面T形に形成されることにより帯状板部7aを備えており、該帯状板部7aは、前記帯状壁6aと同じ高さHに位置させられている。
【0021】
尚、中央板2a並びに両側板2b、2bの下面には、長手方向Xに延びる複数のリブ8が形成されている。
【0022】
天板2の長手方向Xの両端部には端部キャップ材9が外装され、これにより妻側縁部3が形成されている。
【0023】
脚体5L、5Rは、それぞれ一対の柱脚5a、5aを踏桟5bにより連結した多段梯子状に構成されており、柱脚5a、5aの上端部を天板2の妻側縁部3の両側に旋回自在に枢結されている。尚、以下の説明において、左右の脚体5L、5Rを特に区別しない場合は、単に脚体5と称する場合がある。
【0024】
(枢結装置とロック装置)
枢結装置10は、天板2の四隅と、柱脚5aの間に設けられている。図示実施形態の場合、図3ないし図5に示すように、一方の脚体5Lと妻側縁部3Lの両側の間に設けられた枢結装置10Lと、他方の脚体5Rと妻側縁部3Rの間に設けられた枢結装置10Rにより構成されている。枢結装置10L、10Rは、脚体5L、5Rに対する旋回半径を相互に大小相違させるように構成されており、これにより、図2に示すように脚体5L、5Rを重ね合わせた状態で折畳み可能としている。
【0025】
図示実施形態の場合、枢結装置10L、10Rには、脚体5L、5Rを開脚姿勢P1で旋回不能にロックする開脚ロックと、閉脚姿勢P2で旋回不能にロックする閉脚ロックを可能にするロック装置11L、11Rが設けられている。
【0026】
しかしながら、先行して閉脚された脚体5Rに対して後行して閉脚される脚体5Lを重ね合わせる構成においては、先行する脚体5Rの枢結装置10Rは、必ずしも閉脚ロックを行わなくても、後行して重ね合わせた脚体5Lにより保持されるので、閉脚ロック手段を省略し、開脚ロックだけを可能とするように構成しても良い。
【0027】
更に、開脚ロックは、作業台の使用中における安全を確保するために必ず必要とされる反面、閉脚ロックは、作業台の不使用時における脚体の折畳み状態を保持するためのものであるから、必ずしも必要とされるものではない。
【0028】
(開脚ロック及び閉脚ロックの構成)
枢結装置10L、10Rとロック装置11L、11Rにより開脚ロックと閉脚ロックを行うための構成は、相互に共通している。従って、左右の枢結装置10L、10Rを区別しない場合は単に枢結装置10と称し、左右のロック装置11L、11Rを区別しない場合は単にロック装置11と称することにより、また、共通する構成部分には同一符号で示すことにより説明する。
【0029】
枢結装置10は、天板2の妻側縁部3の両側に固着された一対の固定板12と、脚体5の柱脚5aの上端部に固着された一対の回動板13により構成され、それぞれ回動板13を固定板12の外側に重ねた状態で枢軸14により回動自在に枢結している。これにより、脚体5は、天板2に対して、開脚姿勢P1と閉脚姿勢P2の間で旋回自在に枢結されている。
【0030】
ロック装置11は、天板2の下側に位置して短手方向Yに直列配置された一対のロッド15、15と、回動板13に設けられた開脚ロック孔16及び閉脚ロック孔19により構成されている。開脚ロック孔16は、脚体5が前記枢軸14を中心として開脚姿勢P1となる位置に旋回されたとき、ロッド15の軸線上に位置するように配置されている。これに対して、閉脚ロック孔19は、脚体5が前記枢軸14を中心として閉脚姿勢P2となる位置に旋回されたとき、ロッド15の軸線上に位置するように配置されている。
【0031】
ロッド15は、天板2の梁壁7及び側壁6に形成された軸支孔に挿通され、軸方向移動自在に軸支されており、スプリング17により前記回動板13に向けて軸方向に弾発付勢されている。ロッド15の先端部はロック部15aとされており、固定板12の位置決め孔18から挿出されたロック部15aが前記開脚ロック孔16又は閉脚ロック孔19に挿入係止した位置をロック位置L1、ロック部15aが前記開脚ロック孔16又は閉脚ロック孔19から退避した位置をアンロック位置L2とするように構成され、常時は、スプリング17によりロック位置L1に弾性保持されており、後述する解除操作装置を操作することにより、スプリング17に抗してアンロック位置L2まで移動させられる。
【0032】
ロッド15をアンロック位置L2として、脚体5を旋回させることにより開脚ロック孔16又は閉脚ロック孔19を位置決め孔18から離したとき、スプリング17により弾発付勢されたロッド15は、ロック部15aを回動板13の内側面に弾接している。
【0033】
従って、折畳まれた脚体5を旋回させることにより展開し、開脚姿勢P1としたとき、回動板13の開脚ロック孔16が固定板12の位置決め孔18に合致するや否や、ロッド15のロック部15aが開脚ロック孔16に挿入係止され、自動的に開脚ロックを行う。
【0034】
反対に、開脚ロックを解除し、脚体5を旋回させることにより折畳み、閉脚姿勢P2としたとき、回動板13の閉脚ロック孔19が固定板12の位置決め孔18に合致するや否や、ロッド15のロック部15aが閉脚ロック孔19に挿入係止され、自動的に閉脚ロックを行う。
【0035】
作業台1は、図2(A)に示すように、脚体5L、5Rを開脚姿勢P1としたとき、両脚体5L、5Rが前記ロック装置11、11により開脚ロックされる。脚体の折畳みに際しては、図2(B)(C)に示すように、両脚体5L、5Rにおけるロック装置11の開脚ロックを解除することにより、右側の脚体5Rを閉脚姿勢P2として閉脚ロックした後、左側の脚体5Lを閉脚姿勢P2として閉脚ロックすることにより、両脚体5L、5Rが重ね合わせられた状態で折畳まれる。上述のように、右側の脚体5Rは必ずしも閉脚ロック手段を設けていなくても良く、その場合でも、左側の脚体5Lを閉脚ロックされるように構成しておけば、天板2の下側に脚体5L、5Rを折畳んだ状態で作業台1を運搬する際に、脚体5L、5Rが展開方向に旋回するようなことはなく、安全に運搬することができる。
【0036】
(解除操作装置)
図6ないし図11は、ロック装置11のロッド15をロック位置L1からアンロック位置L2に移動させ、ロックを解除するために使用される解除操作装置20を示している。尚、以下に説明する図6ないし図13は、天板2の下面を上向き状態で示している。
【0037】
ロッド15は、先端のロック部15aを含んで直線状に延びる本体軸部15bを天板2の側壁6及び梁壁7の軸支孔に摺動自在に挿通しており、本体軸部15bに外挿したコイルスプリングから成るスプリング17を梁壁7とバネ受材17aの間で圧縮させることにより、ロック位置L1に向けて弾発付勢されている。
【0038】
図示実施形態の場合、天板2の妻側縁部3に装着される端部キャップ材9を内側から接支するため、受台部材21、21を梁壁7、7の間に配置している。そこで、受台部材21を利用して棚状部21aを設けることにより、ロッド15の本体軸部15bの基端部を棚状部21aにより摺動自在に支持するように構成している。
【0039】
受台部材21は、妻側縁部3に端部キャップ材9が装着されたとき(図11参照)、端部キャップ材9の中空内部に配置されると共に内側面に接支するように構成されており、図7に示すように、中央板2aの縁部近傍にリベット等のファスナを介して固定される固定部21bと、該固定部21bから突設されることにより端部キャップ材9の内側面に接支する接支板部21b、21bを備えており、固定部21bの上面に棚状部21aを形成している。
【0040】
解除操作装置20は、ロッド15の軸方向移動を可能とするために該ロッドにおける本体軸部15bの基端部から折曲方向にアーム部15cを延設しており、該アーム部15cを介して本体軸部15bを軸方向に移動させるための手段として、案内駆動手段22とペダル手段23を構成している。
【0041】
この点の作用を可能とする解除操作装置20の基本的構成は、ロッド15のアーム部15cを本体軸部15bの軸廻りに回動したとき、アーム部15cの回動運動を本体軸部15bの軸方向の横向き運動に変換させ、これによりロック部15aをロック位置L1からアンロック位置L2に移動させることにある。そして、アーム部15cを回動させる手段として、ペダル手段23を構成し、前記回動運動を軸方向の横向き運動に変換させる手段として、案内駆動手段22を構成している。
【0042】
(案内駆動手段)
図8及び図9に示すように、ロッド15のアーム部15cを天板2の内側に向くように傾動させた状態で、該アーム部15cに対向して案内駆動手段22が配置され、リベット等のファスナを介して天板2に固定されている。図示実施形態の場合、左右対称に配置された一対のロッド15、15に対応して、案内駆動手段22も一対のアーム部15c、15cを作動させる左右対称の構成を備えている。
【0043】
ロッド15は、本体軸部15bの軸心を通過する天板2の垂線Vに対してアーム部15cが所定角度θ1で傾斜する待機姿勢Q1とされているとき(図12参照)、ロック部15aをロック位置L1に位置させている。そこで、案内駆動手段22は、アーム部15cが伏臥方向に回動(正転回動)されることにより角度θ2まで傾斜する作動姿勢Q2とされたとき(図13参照)、本体軸部15bを軸方向に移動させ、ロック部15aをアンロック位置L2に移動させるように構成されている。
【0044】
このため、案内駆動手段22は、図9に示すように、スプリング17により付勢されたアーム部15cを傾斜姿勢として受入れる通路24を構成しており、該通路24は、待機姿勢Q1とされたアーム部13cを接支する第1端部24aと、作動姿勢Q2とされたアーム部15cを接支する第2端部24bと、第1端部と第2端部の間に延びることにより待機姿勢Q1と作動姿勢Q2の間で回動するアーム部15cを接支させる運動変換部24cを備えている。そして、運動変換部24は、アーム部15cを斜めに横切り、第1端部24aから第2端部24bに至り、次第にロック部15aから短手方向Yかつ長手方向Yに遠ざかる傾斜ラインに沿って形成されており、ロッドの本体軸部15bの軸方向に関して、第1端部24aと第2端部24bが距離Lだけ離間している。
【0045】
これにより、作動姿勢Q1から待機姿勢Q2まで回動するアーム部15cは、運動変換部24cに接した状態で摺擦しながら本体軸部15bの軸方向に向けて前記距離Lだけ移動する。この距離Lは、ロック部15aがロック位置L1からアンロック位置L2に至るロッド15の移動ストロークS以上となるように構成されている。
【0046】
上述のように、運動変換部24cに沿って回動させられるアーム部15cは、スプリング17の付勢力により運動変換部24cに弾接されており、摩擦抵抗を発生する。そこで、作動姿勢Q1から待機姿勢Q2に至る回動をスムースに行わせるため、図9(B)に角度αで示すように、第1端部24aから第2端部24bに向けて延びる運動変換部24cは、天板2と平行な基準面Pに対して、アーム部15cの正転方向(待機姿勢Q1から作動姿勢Q2に回動する方向)に向けて、次第に傾斜するように形成されている。
【0047】
図示実施形態の場合、図8(A)に示すように、案内駆動手段22は、プラスチックにより成形されたベース体22aと、金属板製の保護板22bにより構成されており、ベース板22aの上面に保護板22bを重ねて固定することにより、前記通路24の縁部を高強度とされた保護板22bにより形成するように構成している。
【0048】
(ペダル手段)
図10及び図11に示すように、ロッド15のアーム部15cを待機姿勢Q1から作動姿勢Q2に向けて回動させるため、ペダル手段23が設けられ、アーム部15c、15cを天板2の下方から被うように配置される。
【0049】
ペダル手段23を軸支するための枢支ブラケット25、25が、前記案内駆動手段22の両側に位置する梁壁7、7の帯状板部7a、7aにリベット等のファスナを介して固定される。ペダル手段23は、金属板の折曲により形成されており、踏板部26の両側に折曲形成された枢支片27を前記枢支ブラケット25に枢軸28を介して回動自在に枢着される。
【0050】
図12に示すように、アーム部15cを待機姿勢Q1とした状態において、ペダル手段23は、該アーム部15cの長手方向中間部の側方に枢軸28を配置することにより、アーム部15cの傾斜にほぼ沿う姿勢として枢支されており、このため、ペダル手段23の踏板26は、枢軸28から斜め上向きに延びる押動部26aと、枢軸28から斜め下向きに延びる尾部26bを備えている。
【0051】
上述のように、待機姿勢Q1とされたアーム部15cは、スプリング17の付勢力を伴って前記通路24の第1端部24aに接支されており、待機姿勢Q1から起立方向に回動させられると、通路24から脱出することになる。このため、ペダル手段23は、前記押動部26aをアーム部15cの先端に当接させた状態で、前記尾部26bを前記案内駆動手段22に接支させており、これにより、アーム部15cの起立方向の回動を阻止した状態で保持する姿勢制御手段30を構成している。
【0052】
天板2には、ペダル手段23の枢着に先立ち、図8及び図10に示すように、柱状のストッパ29が取付けられている。図例の場合、ストッパ29は、有底の円筒体を構成しており、底部を天板2の中央板2aにリベット等のファスナを介して固定される。
【0053】
これにより、ペダル手段23の押動部26aと天板2の下面の間にストッパ29が配置されるので、ペダル手段23は、アーム部15cを作動姿勢Q2とする位置まで押動されたとき、ストッパ29により受止められる。
【0054】
(作用)
解除操作装置20は、作業台1を天地逆向きに設置した状態、つまり、天板2の下面を上向きとした状態で、作業者が足裏(靴底等)でペダル手段23を踏みつけることにより、ロッド15のロック部15aをロック位置L1からアンロック位置L2に移動させ、ロックを解除させるように構成されている。
【0055】
従って、作業者は、足裏(靴底等)で踏みつけるだけで、脚体5をロックしているロック装置11を簡単容易にロック解除することができ、この際、作業者は両手を自由に使用することができるので、踏みつけによるロックを解除と同時に、両手を使用することにより脚体5を旋回させることができる。
【0056】
即ち、ロッド15のロック部15aがロック位置L1に移動され、アーム部15cが待機姿勢Q1とされている状態(図12参照)から、ペダル手段23を踏みつけると、図13に示すように、アーム部15は、待機姿勢Q1から作動姿勢Q2に向けて正転回動し、その際、案内駆動手段22における通路24の第1端部14aから第2端部14bに向けて運動変換部24cに接して移動することにより、ロッド15をスプリング17に抗して移動させ、ロック部15aをロック位置L1からアンロック位置L2まで移動する。
【0057】
この状態(図13参照)において、踏板部26の押動部26aを踏みつけから解放すると、図12に示すように、ロッド15は、スプリング17の復元力により復帰方向に移動され、ロック部15aをアンロック位置L2からロック位置L1まで移動する。その際、アーム部15cは、通路24の第2端部14bから第1端部14aに向けて運動変換部24cに接して移動することにより、作動姿勢Q2から待機姿勢Q1に向けて起立方向に逆転回動させられ、これに追従して、ペダル手段23の押動部26aを起立方向に回動させ、尾部26bの姿勢制御手段30を案内駆動手段22に接支する。
【0058】
開脚姿勢P1の状態で開脚ロックされている脚体5を閉脚させるときと、閉脚姿勢P2の状態で閉脚ロックされている脚体5を開脚させるときの何れの場合においても、作業者は、足裏(靴底等)でペダル手段23を踏みつけるだけで、脚体5をロックしているロック装置11を簡単容易にロック解除することができ、この際、作業者は両手を自由に使用することができるので、踏みつけによるロックを解除と同時に、両手を使用することにより、脚体5を容易に折畳み又は展開することができる。そして、折畳み又は展開された脚体5は、閉脚ロック孔19又は開脚ロック孔16に対して、スプリング17で付勢されたロッド15のロック部15aが挿入係止され、自動的にロックされる。
【0059】
本発明が上述の実施形態に限定されないことは勿論である。例えば、図示実施形態は、短手方向Yに直列配置された一対のロッド15、15と、妻側縁部3の両側と2本の柱脚5a、5aに設けられた一対の枢結装置10、10のロック孔16、19により、短手方向Yの両側にロック装置11、11を構成し、解除操作装置20における1つのペダル手段23により、一対のロッド15、15を同時にロック解除させる構成としているが、このような構成に限定されるものではない。脚体5は、2本の柱脚5a、5aを一体とした梯子状に形成されているので、例えば、一対のロッドのうち一方の1本のロッド15により短手方向Yの片側に位置する柱脚5aの枢結装置10に関してだけロック装置11を構成し、該ロック装置11を解除操作装置20によりロック解除させるように構成したものとしても良い。更に、開脚ロックと閉脚ロックのうち、必ずしも閉脚ロックは必要でないことは、上述の通りである。
【符号の説明】
【0060】
1 作業台
2 天板
2a 中央板
2b、2b 両側板
3、3L、3R 妻側縁部
4、4L、4R 桁側縁部
5、5L、5R 脚体
5a 柱脚
5b 踏桟
6、6 両側壁
6a 帯状壁
7、7 梁壁
7a 帯状板部
8 リブ
9 端部キャップ材
10、10L、10R 枢結装置
11、11L、11R ロック装置
12 固定板
13 回動板
14 枢軸
15 ロッド
15a ロック部
15b 本体軸部
15c アーム部
16 開脚ロック孔
17 スプリング
17a バネ受材
18 位置決め孔
19 閉脚ロック孔
20 解除操作装置
21 受台部材
21a 棚状部
21b 固定部
21c 接支板部
22 案内駆動手段
22a ベース体
22b 保護板
23 ペダル手段
24 通路
24a 第1端部
24b 第2端部
24c 運動変換部
25 枢支ブラケット
26 踏板部
26a 押動部
26b 尾部
27 枢支片
28 枢軸
29 ストッパ
30 姿勢制御手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13