IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社カネカの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】太陽電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/048 20140101AFI20240619BHJP
   H02S 10/40 20140101ALI20240619BHJP
   H02S 30/00 20140101ALI20240619BHJP
【FI】
H01L31/04 560
H02S10/40
H02S30/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020200780
(22)【出願日】2020-12-03
(65)【公開番号】P2022088767
(43)【公開日】2022-06-15
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100131705
【弁理士】
【氏名又は名称】新山 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】中野 邦裕
【審査官】丸橋 凌
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-187657(JP,A)
【文献】特開平11-1985(JP,A)
【文献】特開2008-85128(JP,A)
【文献】特開2017-92067(JP,A)
【文献】特開2019-75468(JP,A)
【文献】特開2019-114579(JP,A)
【文献】国際公開第2014/050004(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第111785801(CN,A)
【文献】中国実用新案第204659412(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2020/0313012(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/04-31/078
H02S 10/00-99/00
B60R 16/00-16/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の太陽電池セルを備え、外周部が、車両のルーフの開口を囲うフレームに接着剤を用いて接着固定される太陽電池モジュールであって、
前記複数の太陽電池セルの受光側を保護する受光側保護部材であって、ガラス部材で構成された前記受光側保護部材と、
前記複数の太陽電池セルの裏側を保護する裏側保護部材であって、シート状の樹脂部材またはシート状の金属部材で構成された前記裏側保護部材と、
前記受光側保護部材と前記裏側保護部材との間に配置され、前記複数の太陽電池セルを封止する封止部材と、
前記受光側保護部材における前記封止部材側の外周部に配置され、前記受光側保護部材と前記接着剤との接着性を高める黒色セラミック膜と、
を備え、
前記封止部材および前記裏側保護部材の外周部であって、前記黒色セラミック膜に対応する前記外周部には、切り欠きまたは開孔が形成されている、
太陽電池モジュール。
【請求項2】
前記封止部材および前記裏側保護部材の前記外周部の切り欠きまたは開孔では、前記黒色セラミック膜が露出しており、
前記封止部材および前記裏側保護部材の前記外周部の切り欠きまたは開孔以外では、前記黒色セラミック膜および前記受光側保護部材と、前記封止部材および前記裏側保護部材とが重なっている、
請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項3】
複数の太陽電池セルを備え、外周部が、車両のルーフの開口を囲うフレームに接着剤を用いて接着固定される太陽電池モジュールであって、
前記複数の太陽電池セルの受光側を保護する受光側保護部材であって、ガラス部材で構成された前記受光側保護部材と、
前記複数の太陽電池セルの裏側を保護する裏側保護部材であって、シート状の樹脂部材またはシート状の金属部材で構成された前記裏側保護部材と、
前記受光側保護部材と前記裏側保護部材との間に配置され、前記複数の太陽電池セルを封止する封止部材と、
前記受光側保護部材における前記封止部材側の外周部に配置され、前記受光側保護部材と前記接着剤との接着性を高める黒色セラミック膜と、
を備え、
前記封止部材の外周部であって、前記黒色セラミック膜に対応する前記外周部には、切り欠きまたは開孔が形成されており、
前記裏側保護部材は、前記封止部材の切り欠きまたは開孔を覆わないように、前記受光側保護部材および前記封止部材よりも小さい、
太陽電池モジュール。
【請求項4】
前記封止部材の前記外周部の切り欠きまたは開孔では、前記黒色セラミック膜が露出しており、
前記封止部材の前記外周部の切り欠きまたは開孔以外では、前記黒色セラミック膜および前記受光側保護部材と、前記封止部材とが重なっている、
請求項3に記載の太陽電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池モジュールは、複数の太陽電池セルと、複数の太陽電池セルの受光側を保護する受光側保護部材と、複数の太陽電池セルの裏側を保護する裏側保護部材と、受光側保護部材と裏側保護部材との間に配置され、複数の太陽電池セルを封止する封止部材とを備える。
【0003】
このような太陽電池モジュールが、建物の屋根または壁等に配置されることが知られている。このような建物用の太陽電池モジュールでは、一般に、受光側保護部材および裏側保護部材としては、ガラス部材が用いられる。
【0004】
また、このような太陽電池モジュールが、車両のルーフ等に搭載されることが検討されている。このような車両用の太陽電池モジュールに、上述のような建物用の太陽電池モジュールを適用すると、受光側保護部材および裏側保護部材の両方がガラス部材であるため、その重量が問題となる。この点に関し、特許文献1~3に記載のように、リンフォース等の補強部材を用いて太陽電池モジュールを支えるのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-104939号公報
【文献】特開2015-104940号公報
【文献】特開2015-093524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、車両用の太陽電池モジュールでは、所謂サンルーフまたはムーンルーフ等のガラスルーフ部材との設計の共通性の目的で、リンフォース等の補強部材を用いることなく、太陽電池モジュールの外周部のみで太陽電池モジュールを支えることが検討されている。
【0007】
また、車両用の太陽電池モジュールの軽量化のために、裏側保護部材として、ガラス部材に代えてシート状の樹脂部材またはシート状の金属部材等のバックシートを用いることが考えられる。しかし、バックシートと接着剤との接着性が問題となる。詳説すれば、車両用のガラス部材では、ガラス部材に黒色のセラミック塗料を塗布して黒色セラミック膜を形成することにより、ガラス部材と接着剤との接着性を高める技術がある。しかし、裏側保護部材をガラス部材からバックシートに代えると、バックシートと接着剤との接着性が低下する。
【0008】
これらの点に関し、裏側保護部材および封止部材の外形を小さくし、受光側保護部材の外周部のみで支えることが考えられる。これにより、ガラス部材である受光側保護部材の外周部に黒色セラミック膜を形成することにより、受光側保護部材と接着剤との接着性を高めることができる。
【0009】
しかし、このような構成の太陽電池モジュールでは、ガラス部材である受光側保護部材の外周部近傍が割れると、太陽電池モジュールが脱落する可能性がある。
【0010】
本発明は、軽量化を図っても、接着剤との接着性を低下させることなく、脱落を防止することが可能な車両用の太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る太陽電池モジュールは、複数の太陽電池セルを備え、外周部が、車両のルーフの開口を囲うフレームに接着剤を用いて接着固定される太陽電池モジュールであって、前記複数の太陽電池セルの受光側を保護する受光側保護部材であって、ガラス部材で構成された前記受光側保護部材と、前記複数の太陽電池セルの裏側を保護する裏側保護部材であって、シート状の樹脂部材またはシート状の金属部材で構成された前記裏側保護部材と、前記受光側保護部材と前記裏側保護部材との間に配置され、前記複数の太陽電池セルを封止する封止部材と、前記受光側保護部材における前記封止部材側の外周部に配置され、前記受光側保護部材と前記接着剤との接着性を高める黒色セラミック膜と、を備える。前記封止部材および前記裏側保護部材の外周部であって、前記黒色セラミック膜に対応する前記外周部には、切り欠きまたは開孔が形成されている。
【0012】
本発明に係る別の太陽電池モジュールは、複数の太陽電池セルを備え、外周部が、車両のルーフの開口を囲うフレームに接着剤を用いて接着固定される太陽電池モジュールであって、前記複数の太陽電池セルの受光側を保護する受光側保護部材であって、ガラス部材で構成された前記受光側保護部材と、前記複数の太陽電池セルの裏側を保護する裏側保護部材であって、シート状の樹脂部材またはシート状の金属部材で構成された前記裏側保護部材と、前記受光側保護部材と前記裏側保護部材との間に配置され、前記複数の太陽電池セルを封止する封止部材と、前記受光側保護部材における前記封止部材側の外周部に配置され、前記受光側保護部材と前記接着剤との接着性を高める黒色セラミック膜と、を備える。前記封止部材の外周部であって、前記黒色セラミック膜に対応する前記外周部には、切り欠きまたは開孔が形成されており、前記裏側保護部材は、前記封止部材の切り欠きまたは開孔を覆わないように、前記受光側保護部材および前記封止部材よりも小さい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、車両用の太陽電池モジュールにおいて、軽量化を図っても、接着剤との接着性を低下させることなく、脱落を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係る太陽電池モジュールを裏面側から示す図である。
図2A図1に示す太陽電池モジュールにおけるIIA-IIA線断面図である。
図2B図1に示す太陽電池モジュールにおけるIIB-IIB線断面図である。
図3】変形例1に係る太陽電池モジュールを裏面側から示す図である。
図4A図3に示す太陽電池モジュールにおけるIVA-IVA線断面図である。
図4B図3に示す太陽電池モジュールにおけるIVB-IVB線断面図である。
図5】変形例2に係る太陽電池モジュールを裏面側から示す図である。
図6A図5に示す太陽電池モジュールにおけるVIA-VIA線断面図である。
図6B図5に示す太陽電池モジュールにおけるVIA-VIA線断面図である。
図7】比較例1の太陽電池モジュールを裏面側から示す図である。
図8図7に示す太陽電池モジュールにおけるVIII-VIII線断面図である。
図9】比較例2の太陽電池モジュールを裏面側から示す図である。
図10図9に示す太陽電池モジュールにおけるX-X線断面図である。
図11】比較例3の太陽電池モジュールを裏面側から示す図である。
図12図11に示す太陽電池モジュールにおけるXII-XII線断面図である。
図13】比較例4の太陽電池モジュールを裏面側から示す図である。
図14図13に示す太陽電池モジュールにおけるXIV-XIV線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態の一例について説明する。なお、各図面において同一または相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。また、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、他の図面を参照するものとする。
【0016】
(本実施形態)
図1は、本実施形態に係る太陽電池モジュールを裏面側から示す図であり、図2Aは、図1に示す太陽電池モジュールにおけるIIA-IIA線断面図であり、図2Bは、図1に示す太陽電池モジュールにおけるIIB-IIB線断面図である。なお、図1図2Bには、車両のルーフの開口を囲うフレーム60が破線で示されており、接着剤50が一点鎖線で示されている。
【0017】
図1図2Bに示す太陽電池モジュール100は、車両のルーフに搭載される車両用の太陽電池モジュールである。太陽電池モジュール100の外周部は、車両のルーフの開口を囲うフレーム60に、接着剤50を用いて接着固定される。太陽電池モジュール100は、複数の太陽電池セル1と、受光側保護部材3と、裏側保護部材4と、封止部材5と、黒色セラミック膜6とを備える。
【0018】
太陽電池セル1は、両面電極型であってもよいし、裏面電極型(裏面接合型、バックコンタクト型ともいう。)であってもよい。複数の太陽電池セル1は、2次元状に配列されている。
【0019】
太陽電池セル1は、受光側保護部材3と裏側保護部材4とによって挟み込まれている。受光側保護部材3と裏側保護部材4との間には、封止部材5が充填されており、これにより、太陽電池セル1は封止される。
【0020】
受光側保護部材3は、封止部材5を介して太陽電池セル1の受光面を覆って、その太陽電池セル1の受光側を保護する。受光側保護部材3の形状としては、特に限定されるものではないが、面状の受光面を間接的に覆う点から、板状またはシート状が好ましい。
【0021】
受光側保護部材3の材料としては、特に限定されるものではないが、透光性を有しつつも紫外光に耐性の有る材料が好ましく、例えば、ガラス、または強化ガラス等が挙げられる。すなわち、本実施形態では、受光側保護部材3は、ガラス部材で構成される。
【0022】
裏側保護部材4は、封止部材5を介して太陽電池セル1の裏面を覆って、その太陽電池セル1の裏側を保護する。裏側保護部材4の形状としては、特に限定されるものではないが、面状の裏面を間接的に覆う点から、板状またはシート状が好ましい。
【0023】
裏側保護部材4の材料としては、特に限定されるものではないが、水等の浸入を防止する(遮水性の高い)材料が好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、オレフィン系樹脂、含フッ素樹脂、若しくは含シリコーン樹脂等の樹脂フィルムと、アルミニウム箔等の金属箔との積層体が挙げられる。すなわち、本実施形態では、裏側保護部材4は、シート状の樹脂部材またはシート状の金属部材で構成される、いわゆるバックシートである。
【0024】
封止部材5は、太陽電池セル1を封止して保護するもので、太陽電池セル1の受光側の面と受光側保護部材3との間、および、太陽電池セル1の裏側の面と裏側保護部材4との間に介在する。封止部材5の形状としては、特に限定されるものではなく、例えばシート状が挙げられる。シート状であれば、面状の太陽電池セル1の受光面および裏面を被覆しやすいためである。
【0025】
封止部材5の材料としては、特に限定されるものではないが、光を透過する特性(透光性)を有すると好ましい。また、封止部材5の材料は、太陽電池セル2と受光側保護部材3と裏側保護部材4とを接着させる接着性を有すると好ましい。このような材料としては、例えば、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/α-オレフィン共重合体、エチレン/酢酸ビニル/トリアリルイソシアヌレート(EVAT)、ポリビニルブチラート(PVB)、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、または、シリコーン樹脂等の透光性樹脂が挙げられる。
【0026】
黒色セラミック膜6は、受光側保護部材3における封止部材5側の外周部に配置されている。例えば、黒色セラミック膜6は、ガラス部材である受光側保護部材3に、公知の黒色のセラミック塗料が塗布されることにより形成される。
ここで、車両にガラス部材を搭載する場合、一般に、接着剤50としてウレタン系の接着剤が用いられる。この場合、黒色セラミック膜6によって、ガラス部材である受光側保護部材3と接着剤50との接着性を高めることができる。また、黒色セラミック膜6によって、紫外線を遮蔽し、紫外線による接着剤50の劣化を防止することができる。これにより、接着剤50の耐環境性を向上することができ、ガラス部材である受光側保護部材3と接着剤50との接着性の耐久性を向上することができる。
【0027】
次に、封止部材5および裏側保護部材4の詳細について説明する。
封止部材5の外周部であって、黒色セラミック膜6に対応する外周部には、複数の切り欠き41が所定の間隔で形成されている。同様に、裏側保護部材4の外周部であって、黒色セラミック膜6に対応する外周部には、複数の切り欠き41が所定の間隔で形成されている。
【0028】
封止部材5および裏側保護部材4の外周部の切り欠き41では、黒色セラミック膜6が露出している。一方、封止部材5および裏側保護部材4の外周部の切り欠き41以外では、黒色セラミック膜6および受光側保護部材3と、封止部材5および裏側保護部材4とが重なっている。
【0029】
ところで、太陽電池モジュールは、建物の屋根または壁等に配置されることが知られている。このような建物用の太陽電池モジュールでは、一般に、受光側保護部材および裏側保護部材としては、ガラス部材が用いられる(合わせガラス、二枚ガラス)。
【0030】
このような建物用の太陽電池モジュールが車両用の太陽電池モジュールに適用されると、受光側保護部材および裏側保護部材の両方がガラス部材であるため、その重量が問題となる。この点に関し、特許文献1~3に記載のように、リンフォース等の補強部材を用いて太陽電池モジュールを支えるのが一般的である。
【0031】
この点に関し、車両用の太陽電池モジュールでは、所謂サンルーフまたはムーンルーフ等のガラスルーフ部材との設計の共通性の目的で、リンフォース等の補強部材を用いることなく、太陽電池モジュールの外周部のみで太陽電池モジュールを支えることが検討されている。
【0032】
図7は、比較例1の太陽電池モジュールを裏面側から示す図であり、図8は、図7に示す太陽電池モジュールにおけるVIII-VIII線断面図である。図7および図8に示す比較例1の太陽電池モジュール100X1は、図1図3に示す本実施形態の太陽電池モジュール100において、主に以下の点で本実施形態と異なる。
・シート状の樹脂部材またはシート状の金属部材等のバックシートである裏側保護部材4に代えて、ガラス部材である裏側保護部材4X1を備える。
・封止部材5に代えて封止部材5X1を備える。
・裏側保護部材4X1および封止部材5X1の外周部には、切り欠きが形成されていない。
・黒色セラミック膜6が、ガラス部材である裏側保護部材4X1の外周部に配置されている。
【0033】
この比較例1でも、ガラス部材である裏側保護部材4X1の外周部に形成された黒色セラミック膜6によって、ガラス部材である裏側保護部材4X1と接着剤50との接着性を高めることができる。また、黒色セラミック膜6によって、紫外線による接着剤50の劣化を防止することができる。
【0034】
また、この比較例1では、ガラス部材である受光側保護部材3が割れても、裏側保護部材4X1および封止部材5X1によって、太陽電池モジュール100X1の脱落を防止することができる。
【0035】
しかし、この比較例1では、上述したように、受光側保護部材3および裏側保護部材4X1の両方がガラス部材であるため、その重量が問題となる。
【0036】
この点に関し、車両用の太陽電池モジュールの軽量化のために、裏側保護部材として、ガラス部材に代えてシート状の樹脂部材またはシート状の金属部材等のバックシートを用い、受光側保護部材の外周部のみで支えることが考えられる。
【0037】
図9は、比較例2の太陽電池モジュールを裏面側から示す図であり、図10は、図9に示す太陽電池モジュールにおけるX-X線断面図である。図9および図10に示す比較例2の太陽電池モジュール100X2は、図7および図8に示す比較例1の太陽電池モジュール100X1において、主に以下の点で比較例1と異なる。
・ガラス部材である裏側保護部材4X1に代えて、シート状の樹脂部材またはシート状の金属部材等のバックシートである裏側保護部材4X2を備える。
・黒色セラミック膜6が、ガラス部材である受光側保護部材3の外周部に配置されている。
【0038】
また、図11は、比較例3の太陽電池モジュールを裏面側から示す図であり、図12は、図11に示す太陽電池モジュールにおけるXII-XII線断面図である。図11および図12に示す比較例3の太陽電池モジュール100X3は、図9および図10に示す比較例2の太陽電池モジュール100X2において、主に以下の点で比較例2と異なる。
・裏側保護部材4X2に代えて、裏側保護部材4X2よりも外形が小さい裏側保護部材4X3を備える。
【0039】
この比較例2および比較例3では、ガラス部材である受光側保護部材3の外周部に形成された黒色セラミック膜6によって、紫外線による接着剤50の劣化を防止することができる。
【0040】
また、この比較例2および比較例3でも、ガラス部材である受光側保護部材3が割れても、裏側保護部材4X2および封止部材5X1によって、太陽電池モジュール100X2,100X3の脱落を防止することができる。
【0041】
しかし、比較例2のように、裏側保護部材4X2をガラス部材からシート状の樹脂部材またはシート状の金属部材等のバックシートに代えると、バックシートと黒色セラミック膜6との密着性が低いため、裏側保護部材4X2と接着剤50との接着性が低下する。また、比較例3のように、バックシートの外形を小さくして封止部材5を露出させても、封止部材5と黒色セラミック膜6との密着性が低いため、封止部材5と接着剤50との接着性が低下する。
【0042】
これらの点に関し、裏側保護部材および封止部材の外形を小さくし、受光側保護部材3の外周部のみで支えることが考えられる。
【0043】
図13は、比較例4の太陽電池モジュールを裏面側から示す図であり、図14は、図13に示す太陽電池モジュールにおけるXIV-XIV線断面図である。図13および図14に示す比較例4の太陽電池モジュール100X4は、図9および図10に示す比較例2の太陽電池モジュール100X2において、主に以下の点で比較例2と異なる。
・裏側保護部材4X2に代えて、裏側保護部材4X2よりも外形が小さい裏側保護部材4X4を備える(比較例3の裏側保護部材4X3と同等)。
・封止部材5X1に代えて、封止部材5X1よりも外形が小さい封止部材5X4を備える。
【0044】
この比較例4では、ガラス部材である受光側保護部材3の外周部に形成された黒色セラミック膜6によって、ガラス部材である受光側保護部材3と接着剤50との接着性を向上することができる。また、黒色セラミック膜6によって、紫外線による接着剤50の劣化を防止することができる。
【0045】
しかし、この比較例4では、ガラス部材である受光側保護部材3の外周部近傍が割れると、太陽電池モジュール100X4が脱落する可能性がある。
【0046】
そこで、本実施形態の車両用の太陽電池モジュール100によれば、封止部材5および裏側保護部材4の外周部であって、黒色セラミック膜6に対応する外周部には、複数の切り欠き41が形成されており、封止部材5および裏側保護部材4の外周部の切り欠き41では、黒色セラミック膜6が露出しており、封止部材5および裏側保護部材4の外周部の切り欠き41以外では、黒色セラミック膜6および受光側保護部材3と、封止部材5および裏側保護部材4とが重なっている。
【0047】
これにより、裏側保護部材4としてガラス部材に代えてシート状の樹脂部材またはシート状の金属部材等のバックシートを用いて太陽電池モジュール100の軽量化を図っても、封止部材5および裏側保護部材4の外周部の切り欠き41において、黒色セラミック膜6によって受光側保護部材3と接着剤50との接着性を高めることができる。また、ガラス部材である受光側保護部材3の外周部近傍が割れても、切り欠き41以外の封止部材5および裏側保護部材4によって、太陽電池モジュール100の脱落を防止することができる(安全性)。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、種々の変更および変形が可能である。
【0049】
(変形例1)
図3は、変形例1に係る太陽電池モジュールを裏面側から示す図であり、図4Aは、図3に示す太陽電池モジュールにおけるIVA-IVA線断面図であり、図4Bは、図3に示す太陽電池モジュールにおけるIVB-IVB線断面図である。
【0050】
図3図4Bに示す変形例1の太陽電池モジュール100は、図1図2Bに示す本実施形態の太陽電池モジュール100において、封止部材5および裏側保護部材4の外周部に切り欠き41に代えて開孔42が形成されている点で本実施形態と異なる。
【0051】
具体的には、封止部材5の外周部であって、黒色セラミック膜6に対応する外周部には、複数の開孔42が所定の間隔で形成されている。同様に、裏側保護部材4の外周部であって、黒色セラミック膜6に対応する外周部には、複数の開孔42が所定の間隔で形成されている。
【0052】
封止部材5および裏側保護部材4の外周部の開孔42では、黒色セラミック膜6が露出している。一方、封止部材5および裏側保護部材4の外周部の開孔42以外では、黒色セラミック膜6および受光側保護部材3と、封止部材5および裏側保護部材4とが重なっている。
【0053】
この変形例1の太陽電池モジュール100でも、裏側保護部材4としてガラス部材に代えてシート状の樹脂部材またはシート状の金属部材等のバックシートを用いて太陽電池モジュール100の軽量化を図っても、封止部材5および裏側保護部材4の外周部の開孔42において、黒色セラミック膜6によって受光側保護部材3と接着剤50との接着性を高めることができる。また、ガラス部材である受光側保護部材3の外周部近傍が割れても、開孔42以外の封止部材5および裏側保護部材4によって、太陽電池モジュール100の脱落を防止することができる(安全性)。
【0054】
(変形例2)
図5は、変形例2に係る太陽電池モジュールを裏面側から示す図であり、図6Aは、図5に示す太陽電池モジュールにおけるVIA-VIA線断面図であり、図6Bは、図5に示す太陽電池モジュールにおけるVIB-VIB線断面図である。
【0055】
図5図6Bに示す変形例2の太陽電池モジュール100は、図1図2Bに示す本実施形態の太陽電池モジュール100において、裏側保護部材4の形状が小さい点で本実施形態と異なる。
【0056】
具体的には、封止部材5の外周部であって、黒色セラミック膜6に対応する外周部には、複数の切り欠き41が所定の間隔で形成されている。一方、裏側保護部材4は、封止部材5の切り欠き41を覆わないように、受光側保護部材3および封止部材5よりも小さい。
【0057】
封止部材5の外周部の切り欠き41では、黒色セラミック膜6が露出している。一方、封止部材5の外周部の切り欠き41以外では、黒色セラミック膜6および受光側保護部材3と、封止部材5とが重なっている。
【0058】
なお、この変形例2でも、変形例1と同様に、封止部材5の外周部に切り欠き41に代えて開孔が形成されていてもよい。具体的には、封止部材5における、黒色セラミック膜6に対応する外周部には、複数の開孔が所定の間隔で形成されていてもよい。一方、裏側保護部材4は、封止部材5の開孔を覆わないように、受光側保護部材3および封止部材5よりも小さくてもよい。
【0059】
すなわち、封止部材5の外周部の開孔では、黒色セラミック膜6が露出していてもよい。一方、封止部材5の外周部の開孔以外では、黒色セラミック膜6および受光側保護部材3と、封止部材5とが重なっていてもよい。
【0060】
この変形例2の太陽電池モジュール100でも、裏側保護部材4としてガラス部材に代えてシート状の樹脂部材またはシート状の金属部材等のバックシートを用いて太陽電池モジュール100の軽量化を図っても、封止部材5の外周部の切り欠き41または開孔において、黒色セラミック膜6によって受光側保護部材3と接着剤50との接着性を高めることができる。また、ガラス部材である受光側保護部材3の外周部近傍が割れても、切り欠き41または開孔以外の封止部材5によって、太陽電池モジュール100の脱落を防止することができる(安全性)。
【符号の説明】
【0061】
1 太陽電池セル
3 受光側保護部材
4,4X1,4X2,4X3,4X4 裏側保護部材
5,5X1,5X4 封止部材
6 黒色セラミック膜
41 切り欠き
42 開孔
50 接着剤
60 フレーム
100,100X1,100X2,100X3,100X4 太陽電池モジュール
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14